放送中の大河ドラマ「西郷どん」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の10月14日放送の第38回で、吉二郎(渡部豪太)が戦死した。
【写真を見る】柏木が「猛反省しました」というシーンって?
吉二郎は、主人公・西郷吉之助(鈴木亮平)の弟で、西郷家を兄に代わって支えてきた人物。自ら「戦に出たい」と言った吉二郎を、妻・園(柏木由紀)も後押しするが、吉二郎が家に帰ってくることはなかった。
園を演じる柏木は、今作が大河ドラマ初出演。インタビューを行い、どのような気持ちで演技に臨んだのか、そして吉二郎を送り出した気持ちなどを聞いた。
クランクインの前日の夜は全然寝れなくて
――出演が決まった際の心境を改めて聞かせください。
大河ドラマが「西郷どん」に決まった時、放送が始まる前から地元の鹿児島の盛り上がりがすごかったんです。
地元に帰ったら、いろんなお店にポスターが貼ってあったりしていましたし、私も第1回から放送を見ていたので、まさか出演できると思っていなくてびっくりしましたが、とてもうれしかったです。
3歩後ろに下がって男性をたてる、「薩摩おごじょ」と呼ばれる女性像が西郷園という役から感じられて、自分が理想としているような薩摩の女性だなという印象を受けました。
――クランクインした時はどうでしたか?
私、AKB48やNGT48の他のメンバーと比べたら、全然緊張しない方なんです。でも、クランクインの前日の夜は全然寝れなくて。
それにスケジュールの都合で、初めての撮影のリハーサルに参加できなかったんです。
だから、本番の撮影現場が本当に初めてだったので、それも重なってかなり緊張していたので、「自分の演技がどうだったかな」ってほぼ記憶にないです。
――その緊張がほぐれたのはいつごろからだったんでしょうか。
緊張は、今でもしています。でも、渡部さんが声をかけてくださったので、私も「実は全然寝てなくて」って言えました。
そしたら、渡部さんが「本当に寝ないと駄目だよ」って言ってくれて、緊張を和らげてくれましたし、最初に弱音を吐けたのは渡部さんでしたね。かなり助けていただきました。
――大河ドラマ初出演ですが、苦労された点などはありましたか?
シーンで言えば、やっぱり第38回になりますね。他のお仕事をしてても、ずっとそのこと考えているくらいでした。
撮影の1カ月くらい前に脚本をいただいたので、かなり読み込みましたし、寝る前にずっと読んでたので、睡眠の前と起床の時が辛かったです(笑)。
読まなきゃいいんですけど読まないと不安で、毎日「はぁ」って思いながら寝て、起きても「はぁ」ってなるのを続けていたので、かなり大変でした。
あとは、大河は知らないことや初めてのことが多くて、こうやってカツラを付けたり、着物を着たり、そういういろんな初めてのことに慣れることが大変でした。
――夫・吉二郎が亡くなってしまうシーンを撮影された時はどのように思いましたか?
歴史としては知っていたので、いつか戊辰戦争のシーンがくるんだなって思いながら撮影してたんですけど、第38回の台本を読んですごく泣いてしまいました。
薩摩隼人らしく戦働きがしたいという吉二郎さんは格好良いなって思いましたし、そんな吉二郎さんの背中を押す園さんは、薩摩の女性らしいなと感じました。
そして、「園さんは吉二郎さんと一緒になれて幸せだったんだろうな」と考えながら撮影していましたが、撮影現場はかなり暗かったです。
西郷家はいつも明るいシーンが多くて、とにかく笑いの絶えない現場なんですけど、第38回のシーンを撮る時だけは空気が違いました。亮平さんも「しんどいね」って常におっしゃっているくらい、私が撮影に参加してから初めて、暗い西郷家になっていました。
――園さんの気持ちには共感する部分がありましたか?
台本を読んでる段階では、あまり気持ちが追いつかなかくて、「本当に背中を押せるのかな」って思っていたんです。
でも、撮影の時の吉二郎さんの「戦に行きたい」という思いの強さと表情を見たら、初めて勇気を出して言ったことを応援できるのって私しかいないって実感しました。
そういう意味では、戦で亡くなってしまったと聞いた時も「私が送り出してしまったから…」という後悔より、素直に「よく頑張りましたね、お疲れ様でした」という気持ちが出てきました。
園さんに共感することがとても多くて、吉二郎さんの背中を押す場面で「こういうことが言える園さんてすてきだな」って思いました。
――渡部さんとはシーンの相談などはされましたか?
シーンのことについてだけではなく、私が撮影に入った当初から、夫婦の空気感を出せるように撮影の空き時間とかに2人で話したりしていて、それが自然に撮影に生かされていた部分もあると思います。
それに、アドリブで話すシーンでも積極的に「園!」って声をかけてくださったり、リードしていただいたので、すごく渡部さんには助けていただいたと感じています。
すごく心強くて、今も支えになっています
――主人公の吉之助を演じている鈴木亮平さんの印象はいかがですか?
クランクインしてすぐに、亮平さんが「なにか分からないことや言いたいことがあったら、後から入ってきたことを全然遠慮せずに何でも言ってください」みたいなことをおっしゃってくださって。それがすごく心強くて、今も支えになっています。
――AKB48、NGT48のメンバーや、ファンの方からも何か声をかけられたりしましたか?
はい! 見た感想を言ってくれることは多いです。ただ、メンバーにもファンの方にも、「赤ちゃんの抱っこの仕方が下手くそ」って言われてしまいました(笑)。
自分でも放送を見てみて、「確かに」って思いましたね。今まで赤ちゃんと接する機会がほとんどなかったので、ちょっと慣れていない感があって、猛反省しました。
――アイドルの仕事と大河での演技の両立は大変ではなかったですか?
そうですね。切り替えは大変でした。
確かに大変ではありましたが、カツラと衣装を着るとすんなり入っていけるので、現代のドラマと違って入りやすいような気がします。
――この大河ドラマ出演で演技への意識が変わった部分もあったんでしょうか。
私が大河に出させていただいていいのかっていう不安は、今も常に抱いています。
最初はものすごく緊張したんですけど、すてきなキャストの方々とご一緒させていただけて、現場がすごく楽しみで、楽しいなって思えることが自分の中では大きな変化かなと思います。
――では、最後に「西郷どん」も最終章に入ります。それに向けて、園としての見どころを教えてください。
吉二郎さんが一緒にいる時の西郷家の中では、園はかなり控えめで、吉二郎さんに同意するくらいしかしていませんでした。でも吉二郎さんが亡くなって、かなり園が頼もしくなっています。
子供たちも増えて大きくなって、たまに他の人の子どもの面倒を見たりもしていて、すごくたくましくなっていますし、安心して見れる園になっていると思います。(ザテレビジョン)