『100日後に死ぬワニ』の表紙より
「作者のきくちさんは、3月20日に最終回を発表した直後、“書籍化”“映画化”“グッズ販売”といったメディアミックスを明らかにしました。同時に『いきものがかり』の新曲と『100日後に死ぬワニ』のコラボ動画もYouTubeで公開。その動画のクレジットに大手広告代理店である電通のプランナーの名前があったことから、“はじめから電通によって仕組まれたコンテンツだったのか”という噂が広まって、賞賛から一転、炎上状態になりました」(アニメ雑誌編集者)
「メディアミックス自体、何も珍しくないことですが、ワニが死んだ直後に続々と発表されたことがやはり大きいですよね。もう少し間を置くなり、段階的にするなりしていれば、それまで楽しんでいた読者たちの受け取り方も変わったかもしれません。
《生々しい話をしますと、映画というのはどれだけ観客が入ろうと どれだけ興収をあげようと 作家の懐には何も入ってきません 最初に原作使用料というものが支払われるのみです。全体の興収からいえばハナクソみたいな額ですね》
原作者にお金って入るの?
「'12年公開の映画『テルマエ・ロマエ』は漫画家のヤマザキマリさんによる原作の実写化で興行収入59億円の大ヒットとなりました。しかし翌年にヤマザキさんがバラエティー番組で、受け取った原作使用料は100万円だったことを告白し、映画を製作したフジテレビに抗議が殺到する騒ぎとなりました」(映画製作会社関係者)
「小説の実写映画化による原作使用料は、漫画よりもかなり低く設定されていると思いますね。土屋太鳳さんが主演したある小説の実写映画の原作使用料は、5万円だったそうです。原作者側は“映画化したら重版がかかって、本が売れるかもしれないから……”としょうがなく許諾することが多いですね」(文芸誌編集者)
「原作使用料が思いのほか低く設定されているのは、メディアミックスされることによって大きな宣伝効果をもたらし、原作が売れることが見込まれるからなんです。メディアミックスされるだけで御の字という原作者もいますし、制作会社からの言い値でOKすることが多いと思います。
「だいたい原作使用料の相場としては、200万円から400万円だといわれています。ただ、基本的に映画会社が直接お金を払っているのは出版社に対してです。
「映画なりアニメになったときに、原作者がもらうお金は、最初に支払われる原作使用料だけじゃないんですね。いわゆる“二次使用料”というものですけど、たとえばDVDやブルーレイになったとき、その売り上げ数に応じて支払いがあります。
「社団法人日本文藝家協会が、『著作物使用料規定』というもので、一応上限として1000万円というのが協議して決まっています。規定には下限は書いてないんですが……(苦笑)。DVD等の販売のインセンティブは、“本体価格の1.75%×出荷枚数”というのが基本。ただ、個別の契約によって上下はあるでしょう」(杉本さん)