松島幸太朗 (写真/アフロ、AP)
“ルーティン”の五郎丸歩、“マネージメント”のエディ・ジョーンズ監督……強豪相手への金星といった“奇跡”もあり、かつてないほどに注目された'15年のラグビーワールドカップ。しかし現在、開催中の日本大会でも、前回に負けず劣らずのスターが誕生している。日本代表としてワールドカップでは初めてとなるハットトリックを初戦で決めた男・松島幸太朗(26)。日本を勝利に導き、今後の躍進に欠かせない選手。相手チーム守備陣を切り裂く“モヒカン男子”の素顔に迫る──。
「いや〜もう別格でした」
「スピードは当時から素晴らしかったですが、走るだけじゃなく、キックやパスも中学のときからすごくうまかった。とにかく“すごい子”という印象でしたね」
「とにかく足が速かったですよ。もう走るフォームから違う。卒業アルバムや文集を息子と見返しましたが、クラスのみんながひと言ずつ書き込むページがあるのですが、松ちゃんは《毎日努力》と書いていました」
“松島の観察力”
「跳ぶ力、走る力が素晴らしい選手ですね。ロシア戦でいえば、3つ目のトライのとき、タックルをしてきた選手に少しつかまれかけたのですが、単純に加速力ではじき飛ばしていましたね。
「試合の流れやボールの動きを読む力がある。流れを読むという言い方をしますが、流れの予測力が高いですね」
《結構、電車に乗った時とかに人を見るのが好きで。『この人、こういう癖があるな』とかいうの、よくわかるじゃないですか》
「“よく人を見ています”という話をご本人がして、それに対して、僕が“電車の中でお化粧してる人はどう思いますか?”って聞いたら、“う〜ん、すごい度胸だなって思います”と(笑)。人の動きは普段から見ているんだと思いますね。トレーニングとかそういう意味合いではなくて、よく人を見る人なんだろうなと思います」(向さん)
「周りを見ているというのは本当にあったと思いますね。僕ら大人のことも注視して見ていたと思いますし、周りの選手のことも」(今田さん)
「すごく物静かで、とにかくシャイでしたね。いまもあまり口数は多いほうじゃないと思うんですけど。ここは昔からそうだったなという感じですね」(今田さん)
「以前はそこまで人前で話せるタイプではなかったんです。気軽に冗談を言うタイプでもなかった。周囲と外見が違っていたため、あまり表に出ていきたくないという気持ちがあったと思うんです。そのわりに必要なことは話す。必要ないことは話さない。これは高校時代の同級生も話していたことですね」(大友さん)
「高校生時代から比較すると、当時より人の目を見て話すようになった印象ですね。大勢の人に囲まれて話すときに自分の進行方向だけを見ていたので、当時は人の目を見て話すのがあんまり得意じゃないのかなと思っていました」(向さん)
シャイでまじめ、でも仲間には……
「受け答えは淡々としていますが、言っている内容は面白いですよ。比較的素直に答えてくれているなとも思いますし、すごく的を射た話をしてくれる選手ですね」(向さん)
「シャイなので口数は多くないですが、人との接し方や礼儀などはしっかりしている人ですね。お母さんの教育がいいんだろうなと思います。質問を途中で終わりにしたりしない。広報担当者が“このへんで”と言って打ち切りにしたりするのですが、いま聞かれていることにはちゃんと答えてから帰るというところが彼にはありますね」(大友さん)
「お母さんの教育がすごくしっかりされてるなという印象なのですが、卒業してからいまでも年賀状を送ってくれるんです。まじめでビシッとした性格ですよ」
「仲間内では、けっこう人をからかったり、いたずらもしたりするみたいですね。例えば、'15年のワールドカップに出かける前に、所属先のサントリーのクラブハウスで、当時、日本代表じゃなかった流選手のロッカールームをわざと汚くして出て行ったり。
南アフリカ戦の後に“そんなことをしたらしいですね?”って聞いたら、“いや、物をいろんなところに置き換えただけです”って淡々と言ってましたね(笑)。あまりたくさんしゃべったり、笑わせたりということはしないですけど、仲よくなるといろんなことをするタイプというか」(向さん)
「豚しょうが焼きのデカ盛りで、選手だけに特別に出すんですよ。優勝したときは無料でサービスするんですが、松島選手はよく来ていましたよ。2年前に優勝したときにはチーム全員で来店してくれました」(鈴木朗之店長)