『いきものがかり』が所属する株式会社キューブ(左下)に是正勧告が
《担当していたアーティストのことが人間としても好きだったから我慢して働いていたが、限界がきてしまった》
「テレビ番組の制作会社では、ほぼ変化はありませんが、テレビ局社員は長時間労働が規制されるようになりました」
「例えば、アシスタントプロデューサーという、プロデューサーの下につく人間が局員で、プロデューサーが制作会社の人間だとします。ドラマ制作で、連日連夜の仕事は多々あることですが、それが続くと局員はどこかで必ず休みを取らなければならないんです。上司であるプロデューサーが仕事をしていても、局員だからという理由で帰らなければならない。申し訳なさそうに帰っていく姿をよく見ますね」(同・キー局ドラマ制作スタッフ)
大きな課題もあるなか、テレビ各局で細かい違いはあれど、最も過酷な仕事と言われる“AD(アシスタントディレクター)”を早く帰そうという動きは共通している。
「昔は泊まり込みで仕事をするのが普通だったADが、早々と帰宅する光景を目にします。同じ時間に出社しても、ディレクターよりADが先に帰ることもありますからね」(制作会社ディレクター)
「ADが早く帰るようになって、そのしわ寄せがディレクターに来ている部分はあります。ADが終わらなかった仕事を引き継ぐのはディレクターなので……。また、“ディレクターは作業をするけどADは帰る”という現象で、先輩の作業を見て学ぶということが難しくなっています。やる気があってバリバリ働きたいADもいるので、それは少しかわいそうですね」(同・制作会社ディレクター)
「あるテレビ局は、夜10時以降になると“帰りましょう”というアナウンスが流れますね。残業時間が多い月が続くと、プロデューサーが総務から注意を受けたり、番組ごとで早く帰る日が決められているという話も聞いたことがあります」(放送作家)
「“夜10時以降の会議は禁止”という通達が出され、本当に会議室のカギがかけられるようになりました。ただ、どうしても会議をしなければいけないときは、局の外に出てしまえばいくらでも会議ができる場所はあるので、あまり効果的ではないように思いますけどね……」(制作会社プロデューサー)
働き方改革なんて言ってられない仕事量だけど……
「ドラマの撮影に入ると、場合によっては早朝から深夜まで行われることもあるので、マネージャーが交代制でタレントにつくことがあります。朝担当、夜担当というように時間で分けて、ひとりのタレントに2人のマネージャーがつく、ということです」(芸能プロ関係者)
「マネージメントだけというわけではなく全社的なことなのですが、休日出勤をしたら必ず振り替えで代休を取ることが決められています。土日に仕事があるというケースがどうしても多くなってしまうので、この制度ができて非常に助かっています」(別の芸能プロ関係者)
「昨年の秋くらいから、早帰り制度というものができました。指定の日の決まった時間になるとフロアの電気が消されてしまうので、帰らざるをえなくなるというシステムです。でも、結局は作業が終わらずに別の場所で仕事をしたりしているのが現状ですね」
「正直“働き方改革”なんて言ってられないほど仕事量は多いですし、それを分担できるほどの人員もいないという状況です。同じ芸能プロでも、ほかの会社は徐々に働きやすい環境づくりのための制度が導入されていると聞きましたが、うちの会社だと長期休暇はもちろん、土日の休みを確保するのも難しいという状況です」(別の芸能プロ関係者)
「仕事は続けたいと思いながらも、会社的に育休や産休を取る制度が整っていないため、なかなか難しいのかなと思います。女性も子育てをしながら働くのが普通になっている時代なので、この業界にも育児休業の制度が整ってくれればありがたいですね」(別の芸能プロ関係者)