'20年7月、野上被告を取材すると、小倉美咲ちゃんの写真などをプリントし「小倉とも子が犯人だという証拠」と主張していた
「はっきり言ってねえ、小倉とも子が犯人じゃないっていう証拠がない」
名誉毀損とは これっぽっちも思っていない
「はっきり言って分かんないんですよ。それを追及したらたまたまこういうことになったんだけど、これ(起訴状)ねえ、インターネットで意味のない感想文をだらだらと書いてるけど、1番肝心なものが抜けているでしょ?」
「先ほど読まれた起訴状の内容は名誉毀損に当たらないということでいいんですよね?」
「だから、それはねぇ、わかんないの」
「名誉毀損とはこれっぽっちも思っていないよ。(起訴状は)全然チンプンカンプンなことを言っている」
この男の名前は、野上幸雄被告 (70)。山梨県のキャンプ場で2019年9月、行方不明になった小倉美咲ちゃん(8)の母・とも子さんを自身のブログで誹謗中傷したなどとして、名誉毀損の容疑で昨年10月、逮捕されていた。
ブログの管理人名は野上ではなく、「和田隆二」。肩書きは「霊媒師」。
《募金詐欺、美咲ちゃんの事件はかなり組織だってやっているそうです》(2020年2月13日付)
《今までの流れで親が関与し人身売買、臓器売買が真相だろう》(2020年10月3日付)
「感想文だなぁと思った」
「私は行方不明の子を探しているだけであって、それに対して誹謗中傷しておとしめているっていうのは関係ない」
「人身売買は世界中で摘発されている。1日に何十件も。みんな親が関与している。だからそういうふうなことを書いて何が悪いんだ!」
「被告人においては(ブログへの投稿は)社会正義と公益をはかる目的のために必要と考えている」
「お前ちょっと家まで来いや!」
「この野郎、ナメた記事書きやがって。お前ちょっと家まで来いや!」
「美咲がいなくて苦しみのどん底に突き落とされたまま1年5か月が経っている。そうした家族にあのような言葉をネットに書き綴られていたのは言葉にならないぐらい辛かった。人身売買のために美咲に手を掛けたというようなことを言われたのは事実無根。それが社会正義のためと言われたら、何でも通ってしまう世の中になる」
「どこかに美咲が無事で元気でいてくれれば、また笑顔で会えると信じている」
PROFILE●水谷竹秀●ノンフィクションライター。1975年三重県生まれ。上智大学外国語学部卒業。カメラマンや新聞記者を経てフリーに。2011年『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』で第9回開高健ノンフィクション賞受賞。近著に『だから、居場所が欲しかった。 バンコク、コールセンターで働く日本人』(集英社文庫)など。
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