三浦春馬 撮影/山田智絵
オファーへの疑問から一転、挑戦の理由
「アンドリュー・ロイド=ウェバー作品は『オペラ座の怪人』をロンドンで見たのが最初でした。たしか21歳だったと思いますが、ただただ圧倒されましたね。
「自分が本当にこの役を演じきれるのか、演じるうえで高揚できるのか、最初は疑問だったんです。自分に合っているのかどうかわからなくて正直、悩みました。でも、このザ・マンという男が生田絵梨花さん演じるスワローという純粋な女性の心に触れて、彼が持っている闇であったり、世の中が信じられずに自分の存在にさえも疑心暗鬼になっているようなところが、どう浄化されるのか。
その心の浄化のプロセスをいかに観客の心に届く形で演じることができるか、というところに興味を持って手をあげさせていただきました」
内面が見えるような演じ方を目指す
「『キンキーブーツ』もそうですけど、僕は今までナンバーがショーアップされている演目しかやっていないので、この完全なるミュージカルをやることの難しさは感じていますし、うまくお客様に届けられるのか怖い部分ではありますけど、とても楽しみにしているところでもあります」
「この独特な作品の世界観が、日本語の歌詞でどう表現されるのかは楽しみですね。今作の楽曲は、飽きさせない転調を多用していたり、バラードにいきなりゴスペルが入ってきたり、魅力的な曲ばかりなので、すごく高揚感を感じていただけるんじゃないかなと思います。
それで、今回の出演者の方たちは、本当にすこぶる歌がうまい実力派ぞろいなので期待していただきたいですね。僕個人としては、歌の中で“あ! 感情がいま変わった”とか、内面が見えるような演じ方ができることを目指して、たくさん稽古を積まなければと思っています」
「儚さもありながら、唯一無二の光を放っている存在感のある女優さんだなと思います。ザ・マンの嘘も許すような、おおらかで神秘的なスワローをどう柔らかく演じてくださるのか、とても楽しみですね。絶対、歌声は役にマッチすると思うんですよ」
「以前、白井さんが演出された高橋一生さん主演の『マーキュリー・ファー』という舞台を見たのですが、それが素晴らしくて。ミュージカルですがストレートプレーを演出してくださるときのような、こまやかな指摘や指導をとことん受けてみたいなと思っています。
俳優としてよりよく生きること
「『罪と罰』の舞台から始まり、続いて『キンキーブーツ』の再演があって、板の上に立つということに関しては、すごく動いたし練れた1年だった気がしますね。今はやりたいことがやれているので、充実しています」
「変に思われるかもしれませんが、よりよく生きること。いろいろな意味でよりよく生きれば、日々のマインドも波風立てられずに、仕事でもしっかり自分の役目を果たせるんじゃないかなと思うから。
みうら・はるま 1990年4月5日、茨城県出身。2019年も、映画、ドラマ、舞台で幅広く活躍。NHK総合『世界はほしいモノにあふれてる 旅するバイヤー極上リスト』(毎週木曜22時30分~)出演中。2020年1月16日~17日東京国際フォーラムAにて上演の『シンシア・エリヴォ ミュージカルコンサート featuring マシュー・モリソン&三浦春馬』出演。
ミュージカル『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド〜汚れなき瞳〜』
取材・文/井ノ口裕子
スタイリスト/TAKAO(D-CORD LIMITED) ヘアメイク/AZUMA(M-rep)