受験お作法2.0
【小学校受験のお作法2.0】親子力を合わせ、厳しいお受験を乗り越えるためにも、先人たちのリアルな合格体験談はあらかじめしっかりと知っておきたいもの。しかし、幼児教室などで登壇する合格者の経験談は、幼児教室の先生たちのフィルターがかかった内容になりがち。実際にはいろいろな教室に行っていたのに「わが家は本当にこちらの教室のみでした」とコメントされることもあるそう。そこでここでは、お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、合格者のお母様たちにインタビューを実施。合格するまでの道のり、そして入学後の様子など“生”の声を伝えてくれます。あくまでもひとつの参考とされてみてくださいね。
■かつて暁星学園に合格した男性の場合
ご家族のスペック
・お父様:暁星高校出身、私立大学卒、自営業
・お母様:地方私立大学卒
・お子様:都内人気お受験幼稚園
――暁星学園にはいつから通われていたのですか?
「試験は受けたものの幼稚園では入園できずに、小学校から暁星に入学しました。暁星は父親の出身校だったのですが、中学受験をするなら幼稚園から入れてしまおうと両親が思ったのだと思います。幼稚園受験のために塾などにも行かされていたようですが、あまり記憶はありません。試験内容も覚えていません」
――学園生活はいかがでしたか?
「暁星はキリスト教系の男子校ですが、特に堅苦しく感じることもなく、学園生活は楽しかったです。勉強しつつも、毎日サッカーをして、同級生とふざけながら小学校の6年間を過ごしました。しかし、中学になると授業のレベルも上がって勉強がかなり厳しくなりました。
――どのような大学を受験される方が多かったですか?
「医師の息子が多いので、医学部受験をする生徒も多かったです。中学から入ってきた外部生は、最初から東大などの国立や早慶を目指しているような感じでしたね。私は、そうした医学部や国立、早慶を一般受験しない、真ん中グループを死守して指定校推薦が取れればいいなくらいの感じでした。
――当時の仲間とはいまでも交流がありますか?
「仲のよい部活などでは、大学進学後も常に一緒に遊んでいるメンツもいました。私は大学時代は特につるむこともなかったのですが、社会人になったころから飲み会に行ったりして、また集まりだしました。
――お子様も暁星に入れたいと思っていらっしゃいますか?
「子どもが生まれて男の子だったら、やはり暁星に……と考えていた時期もありましたが、最近の異常な小学校受験のやり方には正直、信用がおけないんですよね。父親が出身だから受かりやすいとも考えられませんし。
――お子様ももうそろそろ小学校受験に向けて準備が必要なころですね。
「ええ、先日は学習院の説明会に行ってきました。暁星育ちなんで、皇居の近くや総武線沿線が何となく落ち着くんですよね。私自身がそうであったように、子どもも小学校から私立に行かせて、いい先生、いい仲間と出会ってほしいと思っていますが、それが暁星なのか、青学なのか、学習院なのか、公立なのか……。それは神のみぞ知るのだと思いますが、そろそろ受験準備は始めないといけないとは思っています」
■暁星学園に合格した男の子の場合
ご家族のスペック
・お父様:地方国立大学卒、中小企業社長
・お母様:地方私立女子大卒
・お子様:都内人気幼稚園
――お受験にいたる経緯を教えていただけますか?
「出産後、主人の会社の本社を東京に移すこととなり、東京に引っ越してきました。居を構えた近くに人気の幼稚園があり、入園しましたところ、みなさま、小学校受験をするとのことで驚きました。地方は私立の小学校や中学校を受験するという考え方はほとんどないんですよ。県立高校から、国立大学を目指すのが一種の“ステータス”的考え方なので。
――なぜ志望校に暁星を選ばれたのでしょうか?
「志望校として、やはり最初に慶應幼稚舎が浮かんだのですが、個人の先生に“コネも何もないのにどうやって入れるの?”と厳しく言われ、東京のお受験世界の裏側をいろいろと教えていただきました。しかし同時に、“コネもなく卒業生でもないのなら、実力をつければいいんだよ”とも言われ、無我夢中で先生のご指示どおりの活動をしました。
――小学校受験に向けて準備されたお稽古などを教えてください。
「暁星幼稚園が2年保育からの募集だったのは、幼稚園児のなかでも“幼児”というより“男児”に近い成長をしている子どもと、子離れができている保護者を求めていたからなのだと感じましたので、暁星小学校は、さらに精神的に成長した“少年”を求めているのかなと思い、精神面の鍛錬に力を入れました。田舎育ちの私たちは、そういう面では強いメンタルを持っているのではないか? と思いましたし。
――暁星以外にはどのような学校を受験されましたか?
「暁星以外では、幼稚舎、早稲田実業、成蹊、立教、学習院、青山学院、慶應横浜初等部に出願しましたが、試験日程がかぶりまくりました。
■暁星幼稚園に合格した姉弟の場合
ご家族のスペック
・お父様:地方国立大学医学部卒、開業医
・お母様:初等科から聖心出身
・お子様:暁星幼稚園卒園
――お母様自身、初等科から聖心に通われていたということですが、聖心での生活はいかがでしたか?
「大学時代は同級生が他大学のサークルや飲み会に励む間も、私は学生時代から婚活をし、旦那様にふさわしい方を探していました。お金持ちなだけ、顔がカッコいいだけの慶應ボーイは周りにたくさんいましたが、たとえ慶應ボーイでも幼稚舎出身以外には興味がなく、学歴、家柄、職業、収入のトータルで点数をつけて、旦那様候補となる男性を探していました。そして主人とは、医師と結婚した同級生が開いてくれたお食事会で知り合いました。
――お子様も聖心に入れたいとお思いに?
「ええ、開業医の夫と結婚し、女の子を妊娠したとわかったときは、母と手を合わせて喜びました。そして、お腹にいる娘の未来予想図を思い描き、かつての私と同じ聖心の制服を着ている姿を想像するのは、まさに幸せに満ちた時間でした。出産予定日がわかり、まずは初等科時代の先生に“みこころ祭”で妊娠のご報告をしました。
――当初考えられていた枝光会幼稚園ではなく、暁星を受けられたと?
「この選択は弟のためです。弟を兄弟枠でスムーズに暁星幼稚園に入れるための秘策でした。暁星は男子校の幼稚園ですが、10人だけ女の子が入園できるんです。
――ご息女は暁星幼稚園を卒園された後、聖心の初等科を受けられたということですが、小学校受験に際しては、どのような準備をされましたか?
「娘の受験準備は、ジャックの聖心クラスを中心に、体操教室、個人の家庭教師の先生にペーパーを見てもらい、行動観察のお教室にも通いました。そして私の“活動”の甲斐もあってか、無事に聖心の初等科に合格いたしました」
――そして、ご子息も暁星幼稚園を受けられたのですね。
「娘の入学式後、聖心の制服姿を見せに暁星幼稚園にご挨拶に行ったとき、初めて息子も一緒に連れて行きました。もう3歳になっておりましたので、走ったり騒いだりすることもなく、おとなしく姉の横に立っていました。園長先生、神父様からの印象もよかったようで、無事に暁星幼稚園に入園することができました。
<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design