cat_oa-shujoprime_issue_1ee94c817d1f oa-shujoprime_0_1ee94c817d1f_刑事に恋して殺人犯になった女性が語る「刑務所暮らし12年」と「彼への想い」 1ee94c817d1f

刑事に恋して殺人犯になった女性が語る「刑務所暮らし12年」と「彼への想い」

2018年1月24日 16:00 週刊女性PRIME

再審開始が決まり大阪高裁前で支援者と喜ぶ


「私が取り調べの刑事のことを好きになって、気に入ってもらおうと思ってどんどん嘘を言ってしまった。こんなことになるとは思わなかった」

 大阪高裁が再審開始を認めた昨年12月20日、大阪市と滋賀県大津市で両親を伴って記者会見した彦根市の元看護助手・西山美香さん(38)はそう語った。

 身に覚えのない殺人罪で12年服役し、昨年8月に和歌山刑務所を満期出所。逮捕勾留から数えると13年以上も自由を奪われた。女性として最も華やかな時期を棒に振り、「20代のいちばん大事な時を刑務所で過ごすのはつらかった」と打ち明けた。

密室で若い男性刑事に自白

 2003年5月22日、滋賀県の湖東記念病院に入院していた植物状態の男性患者(当時72歳)が死亡した。滋賀県警は、人工呼吸器のチューブがはずれたことを報じるアラーム音に当直の看護師らが気づかず窒息死したとみて過失致死事件として捜査した。

 2人の看護師とともに任意聴取された西山さんは事件から1年以上経過した翌年7月6日、「職場での待遇への不満から、呼吸器のチューブをはずした」と自白して逮捕された。

 当時24歳。密室で自白した相手は県警本部から新たに派遣された若い男性刑事だった。

 目撃者はなく「証拠」は自白のみ。過ちに気づいた西山さんは裁判で無実を主張したが、大津地裁は懲役12年の実刑判決を言い渡し、最高裁で刑が確定した。

 獄中から冤罪を訴え続け、2度目の再審請求でようやく、大阪高裁の後藤眞理子裁判長が「警察官などから誘導があり、迎合して供述した可能性がある」と裁判のやり直しを認めた。




 なぜ刑事に恋したのか。週刊女性は昨年末から西山さんに単独インタビュー取材を申し込み、1月中旬に滋賀県内で約1時間半、話を聞くことができた。会見や支援者集会の疲れが残っている様子だった。

認めると急に優しく



 西山さんは、「事件当時、恋人はいませんでした」と振り返る。

 暴力的、強圧的態度から一転、優しく接するのは取り調べ担当刑事の常套手段とされる。しかし、そんなことは知らず、その刑事を「優しい男性」と思い込んで好意を抱いてしまったという。

 事件のカギを握るのがアラーム音だ。人工呼吸器のチューブがはずれるとアラーム音が鳴る仕組みだった。西山さんが故意にチューブをはずしたのであれば、アラーム音は当然鳴る。アラーム音を聞いたのか。男性刑事は迫った。

「私が“アラームは鳴っていなかった”と言うと、“そんなはずはない、嘘つくな”と机をたたき、密室なので怖かった。でも、“鳴っていた”と認めると急に優しくなった」と西山さん。

 滋賀県長浜市の農業高校を卒業後、別の病院で働いていたが、湖東記念病院に移って半年たたないうちに“事件”に巻き込まれた。西山さんには発達障害があり、情緒不安定なときがある。あれこれ責められるとパニックになり自暴自棄になる一面もあった。取り調べという精神的にきつい環境で、ときおり優しい顔を見せる男性刑事に魅かれた。



 男性刑事は、「殺人罪でも執行猶予で刑務所に入らないでいいこともある」と話したり、混乱した西山さんが拘置所で規律違反をすると、「私が処分を取り消してあげる」などと持ちかけたという。

 しかし、その後の捜査で、ほかに誰ひとりとしてアラーム音を聞いた人は出てこなかった。男性刑事に「鳴っていた」と言わされた西山さんの供述は不自然になり、最終的に西山さんがアラーム音を消す操作方法を発見して犯行に及んだとするシナリオに軌道修正された疑いがある。

 男性患者の死因についても不可解な点がある。

 鑑定医は「酸欠による窒息死」とした。しかし、警察から「呼吸器がはずれていた」との情報を得て鑑定書を作っており、信憑性には疑問符がつく。

 西山さんの弁護団は、「植物状態だった男性はカリウム値が異常に低く、致死性不整脈で病死した可能性が高い」とみる。

 主任弁護人を務める井戸謙一弁護士は、不自然な供述変遷に“捜査誘導”を確信し、

「事件でも事故でもない。なかった犯罪を警察と検察がでっち上げたのです」

 と断言する。






 また事件の背景には、男性患者の心肺停止を最初に見つけた同僚看護師Aさんの存在もある。Aさんは指示どおりに痰の吸引を実行しておらず、

「痰が詰まって死んだと勘違いし、怠慢を問われると案じたAさんがとっさに“呼吸器がはずれていた”と嘘をついた可能性が高い」(井戸弁護士)

 とみている。

もう彼のことは考えたくない

 その嘘に合わせるような供述をした西山さんは、

「Aさんはシングルマザーで逮捕されたら生活できない。自分は正看護師ではないし、親と暮らしているし」と、お人よしな性格。しかし、退職したAさんが弁護団に協力することは一切なかった。

 とんでもない罪を背負わされてしまった西山さんと男性刑事の別れのシーンは恋愛ドラマのようだった。

「会えなくなるのが寂しい」

 西山さんは起訴される2〜3日前、調書を書く男性刑事の手の甲を撫でるように触れながら言った。別の日には、「離れたくない。もっと一緒にいたい」と抱きついた。

「彼は拒否しなかった。“頑張れよ”と励ましてくれた」

 男性刑事に騙されたと思うかと尋ねると、

「もう彼のことは考えたくないです」

 と言って机に突っ伏した。

 後日、井戸弁護士に発言の真意を確認すると、いまでは男性刑事を恨むことはあっても好意は一切ないという。

 西山さんの実家に両親を訪ねた。獄中から両親に送った手紙は350通を超える。両親はこの12年、出所するまで毎月、娘と面会するため刑務所に通い続けた。



 脳梗塞の後遺症で足が不自由な母・令子さん(67)は、

「上2人の息子は国立大学に行ったけれどお金がかかり、家計のため私は必死で働きましたが、美香のことが放ったらかしになったと後悔しています」

 と、うつむいた。

 西山さんは、「私は勉強ができなくて、よくできた兄と比べられてコンプレックスを持っていた。それを刑事に言うと“お兄さんと同じように賢いところあるよ”と言われて、うれしくなってしまった」と告白している。

 人間関係をつくるのも上手ではなく、幼少時から本当の友達はいなかった。

 父・輝男さん(75)は、「勤めだしてからは、お金をあげたりして、友達をつくっていたみたいですね」と話し、「警察は当初、“弁護士はすごい金がかかる。国選にしろ”とか言っていた。何もわからん娘に警察はあまりにも残酷な……」と唇をかんだ。

 大阪高検は再審開始決定を認めず最高裁に特別抗告中。西山さんの闘いは続く。

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cat_oa-shujoprime_issue_1ee94c817d1f oa-shujoprime_0_420005b083a1_木村拓哉『グランメゾン東京』ヒットの背景あった“キムタクドラマ“の秘策 420005b083a1

木村拓哉『グランメゾン東京』ヒットの背景あった“キムタクドラマ“の秘策

2019年12月8日 21:00 週刊女性PRIME

ドラマのロケ中に小休止を挟む木村拓哉

 木村拓哉が主演を務める日曜劇場『グランメゾン東京』が視聴率・反響ともに好調だ。数々のドラマを社会現象化さえてきた彼の“視聴率男”時代の伝説を、今こそ振り返りたい。

 '08年に放送された月9ドラマ『CHANGE』(フジテレビ系)。木村演じる朝倉啓太が、議員だった父を不慮の事故で亡くしたことをきっかけに政界へ進出し、内閣総理大臣に就任。政治の世界で奮闘する姿を描いた、サクセスストーリーだ。

木村さんが総理大臣役を演じるということで、放送前にもかかわらず、かなり注目が集まっていました。当時の木村さんのドラマと言えば、視聴率は20パーセント以上を取ることが至上命題。大胆な設定が吉と出るか凶と出るかと、こぞって話題になっていましたね」(テレビ誌ライター)

 同時期に放送されたドラマが4月放送開始だったにもかかわらず、『CHANGE』は“異例の奇策”を取った。

ほかのドラマと視聴率を比較されることを避けてか、当初予定されていた4月の放送日から1か月以上遅らせた、5月から放送をスタートさせたんです。1か月以上も初回放送を遅らせたのは、このドラマが初めてだと思いますよ」(芸能プロ関係者)

『CHANGE』は1か月遅れで


 コラムニストのペリー荻野さんいわく、木村が主演のドラマであれば、このような例は珍しくないという。

木村さん主演の作品で、このように放送日を遅らせた例は『CHANGE』のほかに、'09年に放送されたTBS系の『MR.BRAIN』があります。放送中のTBS系『グランメゾン東京』も1か月は遅れていないものの、少し遅れて放送されました

 このように初回放送日を大幅に遅らせた例は『CHANGE』が初めてだが、『MR.BRAIN』も例にならい、この奇策を実行したという。初回を遅らせることにどのような効果があるのだろうか。

4月は世間的に新生活がスタートする時期でもあるので、行事や引っ越しで忙しい時期でもありますよね。そういった状況では、ゆっくりドラマを見る機会がほかの時期に比べて少なくなるという点と、ドラマが新しく始まる時期に放送される、特番のバラエティー番組などに埋もれてしまうといった危険性もあります」(荻野さん)

 しかし、このような策を打てるのも主演が木村だから。

ほかのドラマより1か月遅らせて放送するには、いわばそれだけの焦らしに耐えうるキャストでないといけません。“やっと見ることができる!”という視聴者の期待に応えるだけのスター性を兼ねた木村さんだからこそ、テレビ局もこのような作戦で視聴率が狙えると踏んだのだと思います」(荻野さん)

 スターとしての一面は、撮影現場でも惜しみなく発揮されていたようで……。

木村さんは毎回、演者やスタッフに感謝を込めてプレゼントをするんです。『CHANGE』の現場には、ファッションデザイナーのNIGOさんが手がけていた『A BATHING APE』の特注パーカを差し入れしてくれました」(制作会社関係者)

 全10話中、20パーセントを下回ってしまったことが4回あったものの、平均では22パーセントでフィニッシュ。制作スタッフも、胸をなで下ろしたに違いない。

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cat_oa-shujoprime_issue_1ee94c817d1f oa-shujoprime_0_db324553fb72_社員寮で起きた20代男性の孤独死、自己啓発本に見えた葛藤 db324553fb72

社員寮で起きた20代男性の孤独死、自己啓発本に見えた葛藤

2019年12月8日 18:00 週刊女性PRIME

※写真はイメージ

 年間約3万人と言われる孤独死──。そんな凄惨な現場を清掃するのが特殊清掃員だ。特殊清掃の件数は夏場が最も多く、寒くなるとぐっと減る。孤独死の件数が少なくなるからだ。しかし、孤独死が起こっていないわけではない。

 紅葉も終わりに近づいた、10月後半。遺品整理開業アドバイザーの上東丙唆祥(ひさよし)さんは、某所の社宅に向かっていた。

 電話をかけてきた友人の会社社長はかなり動揺した様子で、「ちょっと大変なことが起こったの。今から来てくれないかな」と上東に訴えた。

 会社社長はプライベートな用事で電話をかけてくるとき、普段なら必ず、「今、電話しても大丈夫?」と気遣ってくれる。しかし、この日に限って、電話口からはとてもそんな余裕はなさそうだった。こんなに慌てた口調の社長は初めてだ、と上東さんは感じた。電話の内容を要約すると、会社の所有する社員寮で孤独死があり、部屋の中を見たが、あまりのにおいで思わず外に出てしまったので片づけてほしいという。

 上東さんは、部屋の中はかなりの惨状が予想されると、物件に向かう途中で、そう直感した。

パイプベッドの上に人型に広がった血のり


 さっそく現地に到着し、社員寮のワンルームの玄関を開け、マスクをして、部屋をのぞき込んだ。右側にキッチンがあり、冷蔵庫、左側にはユニットバス。廊下というには少し狭い通路の先に、6畳のフローリングという一般的なワンルームの間取りが広がっている。

 部屋の奥まで見渡すと、窓際に配置されたパイプベッドの上には、真っ赤な血のりが人型に広がっていた。

 物が異様に少なく、病院のベッドを思わせる無機質な個室だった。流行の漫画雑誌が床に転がり、本棚には自己啓発系の本が大量に並んでいた。

 ここで亡くなったのは20代の男性。死因は脳梗塞だった。男性は高校を卒業後、地方から上京し、社長の経営する会社の現場作業員として働いていた。

 社長によると、男性が1週間、仕事場に現れないため実家に帰ったか、荷物をまとめて退職したとでも思っていたという。この職場では、何の連絡もなく、突然いなくなるということも珍しくないからだ。電話をしても部屋をノックをしても出ないので、しびれを切らして合カギで入ると、そこで男性の遺体を発見した。まさか寮で亡くなっているとは思わず、驚いて警察に通報したという。

別の人生を夢見ていたのか


 上東さんは、亡くなった男性にについてこう語る。

「亡くなった男性が会社で目立った存在だったり、重要な役職に就いていたりすれば、少なくとも1日や2日で遺体は見つかったと思う。病気じゃないかとか、心配して訪ねてくるような関係があるような人だったら違っていた。だけど、そうじゃなかった」

 同僚によると、仕事ぶりはいたってまじめだったが、会社の中では目立たなくおとなしい性格の男性だったという。

「20代という年齢を考えると、部屋にはもっと物が多くてもおかしくない。しかし彼の部屋は殺伐としていて物が少なかった。自己啓発系の本があることからも、本や漫画を通して、本当の自分とは何かを探していたのかもしれないね。彼は、いま自分がやっている仕事ではなく、どこかで、別の人生を夢見ていたのかもしれない

 朝はコンビニでパン、昼は現場で弁当、夜はカップ麺などの加工食品という質素な生活を送っていて、冷蔵庫を見ると、自炊した形跡は全くなかった。

「現場作業員は、男性が多いよね。より強い者、誰よりも強そうに見える者が評価されやすい。もしかしたら、そんな中で自らの性格との葛藤を抱えていたのかもしれないね」

 社長は、作業が終わると動揺した様子でガックリと肩を落としてうなだれ、こう言ったという。

「こんなことが起こったのは、今までで初めてだよ。もっと早く気づいて、彼の死に思い至っていたらと思うと本当に、悔しいよね。もうこれ以上、誰もうちの社員を死なせないよ。社員寮の生存確認を徹底するようにする」

 そうして腕で涙をぬぐっていた。

近隣住民の「怒り」は『近隣対策費』で解決


 しかし、このように、涙を流して悲しんでくれる人がいるのはまれなケースで、恵まれているほうである。孤独死の現場では、遺族にとって疎遠だった「ほぼ他人」ともいえる親族の後始末は迷惑でしかないからだ。

 取材で知り合ったある特殊清掃業者は、『近隣対策費』という費用を別で計上している。それほどまでに、孤独死は近隣住民からの反発が強いからだ。近隣住民に頭を下げて、まるで自分の親族が迷惑をかけたかのように、腰が低い営業マンのように、一軒一軒とインターフォンを押して、作業の開始を告げる。

 特殊清掃業者は、ときとして大家に怒鳴られたり、近隣住民に敵意を向けられたりする。近隣住民にとっては、強烈なにおいの「迷惑」な発生源でしかない。孤独死の代償は、「怒り」という表出の仕方をする。どこにもぶつけられない怒りの矛先──。

 無縁社会のつけである周囲の負の感情は、『近隣対策費』の上乗せによって、皮肉にも金で解決するというわけだ。

 特殊清掃業者は、真夏は防護服を身にまとい、滝のような汗をかきながら、完璧ともいえる、プロの仕事を成し遂げる。

 ドロドロに溶けた遺体も、特殊清掃業者のプロの手にかかると、壁紙をはがし、フローリングの下まで解体することもあり、まるで新築同様へと戻る。孤独死などなかったかのように生まれ変わるのだ。

 まっさらになった物件を見ると、彼らは仕事をやり遂げたという達成感で満ちている。

 私はそんな彼らの仕事ぶりに感銘を受けながらも、いつも複雑な心境になってしまう。私たちの社会は、はたして本当にこれでいいのだろうか──と。

現役世代の孤独死は4割。対策に向けて歩み出す


 不動産オーナーなどに向けて、『孤独死保険』を提供する一般社団法人日本少額短期保険協会は、2015年に『孤独死対策委員会』を設置、『孤独死現状レポート』を過去4回にわたって発表している。

 このレポートは協会に所属する各社が持ち寄った案件データを統計化し、賃貸住居内における孤独死の実像をあらわにしている。孤独死の実態について、業界内外に発信することで、孤独死の問題点やリスクについて社会に広く知ってもらうことを趣旨としている。

 この2019年度のレポートによると、高齢者に満たない年齢(65歳以下)での孤独死の割合は5割を超え、 20〜50代の現役世代は男女ともに、およそ4割だとしている。先ほどの男性のような、現役世代の孤独死は決して珍しくないことがわかる。

 今年の11月、この孤独死対策委員会において、『第3回孤独死対策意見交換会』が行われた。この意見交換会は、関東財務局などの行政機関、不動産賃貸業界、少額短期保険業界、孤独死対策に取り組む民間企業などが一堂に会して、孤独死について考える場となった。民間の参加企業も、水道メーターや電気を利用した見守りサービスの企業、特殊清掃業者、居住支援サービス提供企業、65歳から賃貸不動産探しができる高齢者向けポータルサイト、事故物件マッチングサイトなど多種多様な顔ぶれとなった。

 どれも孤独死に関連のある企業だ。これらの業種が集まって孤独死への課題やそれぞれに連携できる箇所や対策などを話し合った。この意見交換会では、民間の居住支援サービス提供業者から行政への具体的な要望が飛び出したり、どう連携すればよいかなど、活発な意見交換が行われた。

 私自身、少しでも力になれたらという思いから、孤独死現場のジャーナリストとして、『孤独死現場の最前線』というテーマで講演を行った。参加者からは反響が大きく、多くの方に孤独死に関心を持ってもらうきっかけになったと思う。他国を見ると、イギリスでは孤独担当大臣を設置するなど、国を挙げての「孤立」「孤独」対策に余念がない。

 まだまだ小さな一歩だが、わが国でも行政と民間企業が手を組むことで、少しでもその解決に向けて未来が開けるのではないかと、小さな手ごたえを感じている。


<プロフィール>

菅野久美子(かんの・くみこ)

1982年、宮崎県生まれ。ノンフィクション・ライター。著書に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)などがある。最新刊は『超孤独死社会 特殊清掃現場をたどる』(毎日新聞出版)。また、さまざまなウェブ媒体で、孤独死や男女の性にまつわる多数の記事を執筆している。

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cat_oa-shujoprime_issue_1ee94c817d1f oa-shujoprime_0_61f79b1e0a91_孤独死現場で「死んでくれてよかった」の声 無縁社会がすべき対策 61f79b1e0a91

孤独死現場で「死んでくれてよかった」の声 無縁社会がすべき対策

2019年12月8日 17:00 週刊女性PRIME

 住居内でひとり最期を迎える孤独死は増加の一途をたどっている。誰にも見つけられずに長期間放置され、遺体がドロドロに溶けた凄惨な現場は、まさに無縁社会の最終地点だ。

 一方、「孤独を楽しむ」「最高の孤独」など、雑誌や書籍で孤独を礼賛する企画が人気を集めている。こうした孤独をポジティブにとらえる動きに警鐘を鳴らすのが、『世界一孤独な日本のオジサン』の著者で、コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんと、孤独死の現場を数多く取材し、『超孤独死社会』などの著作を発表しているノンフィクションライターの菅野久美子さんだ。

 今回はおふたりに、日本人が直面している「孤独」の実態と危機について徹底対談してもらった。(後編)

(前編はこちら)

(写真左から)岡本純子さん、菅野久美子さん 撮影/矢島泰輔

孤独になることで「依存」に陥る


──ひとりひとりの個性や考えが尊重される多様性の時代になりつつありますが、同時に孤独死の現象も起きている。個人の自由を尊重すると、人と人は断絶してしまうんでしょうか?

岡本 それは誤解なんです。「孤独」と「自由」は全く違うものなので、自立しながらつながりを作り続けないと、人間というものはいけないんじゃないかと思います。逆に「孤独」と「依存」は反対語のように見えて、実は同義語なんですよ。何かに過度に依存すると孤独になるし、また孤独になると、アルコールとかに依存するわけなんですよね。セルフネグレクト(自己放任)の人が家でゴミを集めるっていうのもまさに孤独による依存で、人とつながるかわりにゴミとつながっている。

菅野 孤独死する方はセルフネグレクトに陥ってゴミ屋敷になっている方がほとんどですね。

──岡本さんのご著書『世界一孤独な日本のオジサン』の中で、《「人と人との温かいつながりを作る」ための本質的な議論が悲しいぐらいに置き去りにされている》という一文が刺さりました。なぜ、人とのつながりという資源がこんなに軽視されているのでしょうか?

岡本 日本人は、人とつながっていることは人に甘えていることだと思っているというのがひとつの理由だと思います。そこから独立すること=同調圧力から逃れる、カッコいいっていう連想が働くんですよね。でも本当は、群れる必要はないけれどつながっていないといけない。欧米では個人個人が独立しているけど、個人だからこそひとりでは生きられないことを知っている。日本は抑圧的な集団の中に無理やり入れられているだけであって、お互いがつながってはいない。器をはずされるとみんなバラバラ。日本は集団主義のようで、実は究極の個人主義がはびこっているという考え方もあります。

菅野 それをよしとしているんですかね。

岡本 そうすると、会社からすれば使いやすかった時代があったんです。会社に帰属させたり、忠誠心を持たせるために。

菅野 ああ、なるほど。高度経済成長期の、会社が社員の面倒見て、社宅があって、社葬までしてくれてという時代はコミュニティーがあった。

岡本 今は会社が面倒を見てくれないし、地域コミュニティーもないし。みんなバラバラで空中分解している。つながりがなくなったときに、じゃあ、ひとりでいいですよっていうのは社会として成り立たないですよ。

──その危機感がない。

岡本 最終的には国が福祉で面倒見てくれると思っている。実際、そこまで手が回らないよね。

近隣住民にとって孤独死する人は迷惑でしかない


菅野 現実問題として、水面下では毎日、孤独死が発生していて。特殊清掃の方って体液を処理するとかだけじゃなくて、近所の人から「クサい」とかすごい文句言われる中で作業して、本当に大変なんですよ。近所の人にとってはそういう孤独死してしまうようなゴミ屋敷の人はとにかく迷惑でしかなくて、「死んでくれてよかった」とか平気で言う人もいるし。もちろん、彼らはプロとしての仕事に徹しているので、それは目を見張るような尊い仕事ぶりですし、素晴らしいのですが。しかし、そんな“無縁の後始末”を私たちの目の見えないところで毎日引き受けている人がいると思ったら……そもそもそんな社会でいいのかなって。

岡本 長年、孤独であればあるほど鎧(よろい)を着てしまう、脱げなくなってしまうんですよね。初期の段階で居場所を持つとか、つながりを作らないと、蟻(あり)の巣のようにどんどん孤独に入って行ってしまう。これからは地域頼み、家族頼みというわけにはいかない。

──対策を進めている行政もあるんでしょうか?

菅野 そうですね。例えば、東京都中野区では、今年1月から賃貸住宅に住む高齢者へ定期的に電話で安否確認をして、亡くなった際は葬儀費用と部屋の原状回復を保証する「中野区あんしんすまいパック」の導入を始めています。足立区なども「孤独死ゼロ」の取り組みを活発化させていますね。

──民間にもサービスが?

菅野 AIやITを使って高齢者の見守りに応用しようという動きも出てきています。例えば電力会社には通常1時間遅れで30分ごとの電気量が通知されるんですが、その仕組みを利用して30分ごとに電気使用量をチェックして、見守り者にメールやLINEで通知するシステムがありますね。若い世代に向けては、スマホにダウンロードだけですぐに使用できる安否確認アプリや、LINEに友達追加して登録するだけで2日に1度、安否確認ができるLINE見守りサービスを行うNPO法人があります。

 ただ、これらはあくまで実務的な対策であって、そもそも現役世代の孤立して生きづらさを抱えた人たちは、こうした仕組みにたどり着きづらい。

会社や家庭以外の「サード・プレイス」が必要


──今後はどんな対策をしていくべきなのでしょうか?

岡本 このままではダメだ、何とかしなきゃ! という人が増えて、社会としての機運が高まることが必要だと思います。孤独に陥ってしまう彼らだけに責任があるのではない。地域でコミュニティーをつなぐ人や、会社や家庭以外の「サード・プレイス」が増えれば、そのネットワークにつながりを見いだす人が増えるかもしれません。

 そして難しいかもしれないけど、国が動いて、もっと孤独の状況を調査するべきです。ひきこもり、虐待、貧困など、現代日本のすべての社会問題の裏側には孤独がある。あらゆる病の奥底には孤独があると、アメリカの公衆衛生長官を務めていたビベック・マーシー氏も言っています。表面的な解決策だけじゃなくて、根元となる部分を研究していかないと。日本のようにひきこもり問題が何十年も放置されている国はほかにないですよ。

菅野 遅いですよね、いまさら。

イギリスで孤独な人を支えるボランディアが多い理由


──海外ではどんな対策が?

岡本 2006年にアメリカで『孤独なボウリング─米国コミュニティの崩壊と再生』(ロバート・D・バットナム=著)という本が出たくらいから、地域のつながりが断絶されて孤独になっていると提起され、問題視されるようになりました。イギリスやアメリカには、国と個人をつなげるセーフティーネットを作るNPO団体がいっぱいあって、つながりのハブになっている。日本はそうした「サード・プレイス」が少なく国と個人しかないけれど、自治体も手が回らないのが現状です。

菅野 日本は自治体の単位が大きすぎますね。町内会、自治会はひとつあたり1000世帯以上も当たり前で、1人の民生委員が300世帯以上割り振られていたりする。誰がどこに住んでるかもわからないし、把握しようとしてもそもそも無理がある。

 住宅マップを使って誰と誰がつながっているか、ご近所同士を点と点でつないで見守っていこうという活動をしている団体があるんです。その代表の方がおっしゃるには、ご近所という単位でいうと、日常的に人の目が届くのって50世帯くらいらしいんです。それ以上は認知的に限界がある。でも今、行政サービスはご都合主義的なんです。公民館やコミュニティーサロンなどが家からすごく遠いところにあって、高齢者とか足が悪かったら歩いて行けなかったりする。どこか、ちぐはぐですよね。

岡本 少ない単位ならお互いにっていうのはできるけど、人の出入りが激しい都会では無理ですよね。

──イギリスは特に先進的な取り組みをしているそうですね。孤立しやすい男性向けに、DIYという共同作業をしながら仲間と交流できる「Men’s Shed(男の小屋)」や、走らず、歩くサッカーを楽しむ高齢者向けの「Walking Football」が普及し、効果があらわれている。

岡本 そうなんです。ほかにもイギリスは数えきれないほどの団体が高齢者支援を行っている。イギリスの孤独対策ですごいのは、孤独な人たちを助けるボランティアをすることで自分の孤独も癒されるという人が多く、お互い支え合うんです。いつか支えてもらうんだから自分がいま支えておこうっていう考え方があって、まだまだ働ける60代のうちからボランティアをする人が多い。

 例えば、地域の高齢者が孤立しないように車で送り迎えしてあげて、ティーパーティーに連れて行く。それを開催するのもまたボランディアの方。そういう人たちがハブになって声をかけてくれる。すごく手厚いんですね。日本でもそういった支え合いのつながりがあったらいいなと思います。アメリカでも、行政だけではなく、民間の保険会社も対策に乗り出すなど、社会をあげて解決しようという機運が盛り上がっています。

自立しながら“ゆるく”つながりを持つことが大事


──そんなに海外は進んでいるのに、なぜ日本は対応できていないのでしょう?

岡本 「孤独=美徳」という文化が根強いこと、そして、逆説的に日本は孤独大国化しているからかもしれません。「孤独がデフォルトなんだから、それでいいでしょ」という同調圧力が蔓延(まんえん)していて……。でも、そのひずみは、そこかしこにあらわれている。

菅野 そういった人間心理もすごく理解できるのですが、孤独死の現場を目の当たりにしていると、もうそんな段階ではないような気がして、本当に危機感しかありません。特殊清掃業者さんもとてもこの現状を憂いていらっしゃって、「自分たちが活躍しない社会のほうが絶対にいい」と言う方が圧倒的に多いんですよ。

岡本 自立しながら誰とでもつながり続ければいいんだと思うんです。家族がなきゃとか、会社がなきゃとか思わずに、いろんな人に助けてねって言える状況にしておけばいい。

 日本の社会は“すじこ”的つながりだと思う。イクラ同士ってべったりくっついてるけど、自立はしてないのね。誰かとつながっているけどたまたまつなげられていただけで、離れてしまうとイクラとしてすごく孤独なんですよ。でも、蜘蛛の巣みたいに人とつながっていれば、1本の糸が切れてもほかがある。糸は細くてもいいんですよ。細くても10本あれば強くなる。家族ほどの絆がなくても、スーパーやコンビニの店員さんとかでいいから、気軽にしゃべれればいい。お風呂屋さんに行って挨拶をするとか、そういうのが1日1回あれば、生きていける気がする。

菅野 ゆるいつながりでいいんですね。「絆を探さなきゃ」って思っちゃいますけど。そうではないということ。

岡本 自分の存在を認めてもらえるだけで変わると思います。昔はちょっとしたおしゃべりができる環境がいっぱいあったと思うんですよ。そういった当たり前にあった、ふれあい、支え合い、助け合いの風景が消え、「つながり格差」が生まれている。

──まずはひとりひとりが当事者意識をもって、日常の小さなつながりを大事にしていくことから始めたいですね。ありがとうございました。


<プロフィール>

岡本純子(おかもと・じゅんこ)

コミュニケーション・ストラテジスト。企業やビジネスプロフェッショナルの「コミュ力」強化を支援するスペシャリスト。グローバルの最先端ノウハウやスキルをもとにしたリーダーシップ人材育成・研修、企業PRのコンサルティングを手がける。これまでに1000人近い社長、企業幹部のコミュニケーションコーチングを手がけ、オジサン観察に励む。その経験をもとに、2018年『世界一孤独な日本のオジサン』(KADOKAWA)を出版。読売新聞経済部記者、電通パブリックリレーションズコンサルタントを経て、株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部政治学科卒、英ケンブリッジ大学院国際関係学修士、アメリカMIT(マサチューセッツ工科大学)比較メディア学客員研究員。

菅野久美子(かんの・くみこ)

1982年、宮崎県生まれ。ノンフィクション・ライター。著書に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)などがある。最新刊は『超孤独死社会 特殊清掃現場をたどる』(毎日新聞出版)。また、さまざまなウェブ媒体で、孤独死や男女の性にまつわる多数の記事を執筆している。

(取材・文/小新井知子)

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現役世代の孤独死が半年も発見されない現状「孤独を美化しないで」

2019年12月8日 16:30 週刊女性PRIME

 住居内でひとり最期を迎える孤独死は増加の一途をたどっている。誰にも見つけられずに長期間、放置され遺体がドロドロに溶けた凄惨な現場は、まさに無縁社会の最終地点だ。

 一方、「孤独を楽しむ」「最高の孤独」など、雑誌や書籍で孤独を礼賛する企画が人気を集めている。こうした孤独をポジティブにとらえる動きに警鐘を鳴らすのが、『世界一孤独な日本のオジサン』の著者で、コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんと、孤独死の現場を数多く取材し、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』などの著作を発表しているノンフィクションライターの菅野久美子さんだ。

 今回はおふたりに、日本人が直面している「孤独」の実態と危機について徹底対談してもらった。(前編)

(写真左から)岡本純子さん、菅野久美子さん 撮影/矢島泰輔

「選択的孤独」と「絶望的孤独」の違い


──岡本さん、まず「孤独」の定義について教えていただけますか? おひとりさまの流行や結婚しない人の増加で、ひとりでいることも当たり前になってきていますが。

岡本 家族がいるとか、物理的にひとりでいるかいないかは全く関係なくて。本当にひとりが好きでひとりの時間を楽しむ、それはそれでいいことなんです。イギリスの定義では、「自分が求めている人間関係の質と量と、現実の人間関係の質と量の乖離(かいり)」、それが問題だって言ってるんですね。本当は友達が欲しい、誰かと一緒にいたいと思っているのに、現実としては全く人とつながっていない。その差があればあるほど、孤独の状態と言える。誰にも頼れないとか、すごく不安で寂しい状態を、孤独ととらえられて問題視されています。

菅野 日本では孤独というのが、すごく肯定的にとらえられている感じはありますよね。

岡本 日本はひとりの状態を楽しむっていうのを孤独ととらえている向きがあるんですよね。ひとりの時間を楽しむのは「選択的孤独」で、英語でいうソリチュード(Solitude)。自分で望んでいないのに不安で寂しい状態に置かれてしまうのは「絶望的孤独」で、ロンリネス(Loneliness)です。日本では、この2つが全く同じ「孤独」という言葉で言われているので、誤解を生じやすい。

──岡本さんはご著書で、孤独は身体を蝕(むしば)むと言われていますね。

岡本 健康に悪いと言われてるのはロンリネスの状態ですね。古代から人間の本能として、孤独でいるってことは四方にいる獣などの敵にひとりで立ち向かっている状態だから、心身にものすごいストレスをかける。心臓であるとか、神経系、免疫系に影響があります。のどが渇いたら水を飲みなさい、お腹がすいたら食べなさいって脳から信号が出るじゃないですか。ひとりで寂しいときには脳から「人とつながりなさい」って信号が出るんです。のどの渇きとか空腹感と同じくらいつらいんですよ。それをひとりでいいんだって我慢していると、身体に知らず知らずのうちに負荷をかけてしまう。本能的な反応なんですよ。生存がかかっているから。

菅野 そこまで重いものだと思わなかったです。身体は「無理」って言ってるんですね。

岡本 それを我慢しなさいっていうのは、水を飲むな、ごはんを食べるなと言っているのと同じ。アメリカやイギリスなどではたくさんの研究がされていて、孤独のリスクは肥満の2倍で、タバコを1日15本吸うこと、アルコール依存症に匹敵すると言われているくらい。孤独というのは「万病のもと」であり、現代の伝染病である、がんであるなどと、連日報道されています。それに対する対策をとにかく取らなきゃいけないというのは、海外で一致している意見です。

菅野 昨年からイギリス政府は孤独担当大臣を設置して、国家ぐるみで対策を行っていますよね。比べると日本の現状は、あまりにもお粗末な状況です。

1度つまずいた人に世間は恐ろしいほど無関心


岡本 絶望的孤独と選択的孤独があって、絶望的孤独を美化することはできないっていうことを私は言いたいんです。選択的に私はひとりだっていうのを、否定しないでくれっていう意見はすごくよくわかるんです。でもその状態に置かれたくないけれども孤独だという人に対して、そのままで我慢しなさいっていうのは、私はおかしいと思うし、孤独になるのはその人の責任だけではないと思う。社会としての構造的な問題が絶対ある。社会としてとらえていくべきだ、ということですよね。

菅野 まさにそう。私は2015年ころから孤独死の取材を始めたのですが、特殊清掃の現場を訪れると、日本の社会構造が疲弊しているということをひしひしと感じる。

 孤独死する人の8割が男性なんですが、だいたいセルフネグレクト(自己放任)になって、家はゴミ屋敷で、ペットボトルに尿をためてて、ひどい状態になってるんです。孤独死は“大往生”的な、布団の中でポックリみたいなのって非常に少なくて、部屋の動線で亡くなっていることが多くて、苦しくて外に助けを求めようとして行き倒れてしまったというケースも多い。本当に悲惨で。早く見つかっていたら助かっていたかもしれないっていう現場もかなりある。だから長年、孤独死の現場を見ている身としては、孤独死って全然いいものではない。その一方で、置かれてる状況を本人ではどうにもできないくらい傷ついてしまった人もいる。

 だからといってお金があればいいってものでもなくて、孤立までの道のりが個々の事情によっても違うし、すごく根深い問題なんですよね。

──菅野さんの取材記事の中で、高級マンションで暮らしていた男性が孤独死で見つかった事例もありましたね。

菅野 築1年のマンションでペットを10匹くらい飼っていて、でも誰ともつながりがなくて、亡くなってから半年以上、見つからなかった。その男性は、親の遺産で生計を立てていて、何不自由ない生活を送っていた。そんなこともあるから、決してお金の有無ではないんですよね。

──ひとりで死ぬことはあっても、そこから見つけられないっていうのが問題。

菅野 社会との関係性のなさの表れですもんね。最後、そこまで何もつながりがないっていうのは。

岡本 ひとりで死ぬということが悪いのではなく、孤独は人を死に追いやるんですよね。孤独になることによって死期を早める。

菅野 私はいつも記事で、国は孤独死や孤独の実態を把握して、対策を考えるべきだという締めくくりで終わることが多いんですけど、現実問題としてまだ国として孤独死の研究がされず、実態もわかっていません。ただ、これまで取材した中で感じるのは、孤独死する人は、かつては会社に属していたりした経験がある方が多いのですが、1度つまずいた人には、世間は恐ろしいほどに無関心だということです。そんないびつな日本の社会構造がかなり影響していると感じます。

岡本 自己責任って言われてしまう。

菅野 自己責任文化、強いですよね。なぜでしょうか?

岡本 迷惑をかけたくない、っていう気持ちもあるし、その裏に迷惑をかけられたくないっていうものもあるので、お互いすごく無関心。日本って家族とか親戚が面倒見合ってきたんですけど、今は支え合うっていう考えがなくなった。すると国と個しかないので、国の網目に入らず、家族との関係も絶たれていると、本当にひとりっていう社会になってしまっている。地域もない、家族もない。セーフティーネットが全くない人はこれからどんどん増えていくと思います。

スナックのママが常連客の孤独死を発見


菅野 在宅医療の現場とか見ると、高齢者はすごく手厚い部分ってあるんですよね。高齢者は民生委員さんが把握していますし、介護保険もある。意外かと思われるかもしれませんが、孤独死でも高齢者は行政サービスによって早く見つかることが多い。やっぱり若い人って1回、社会からフェードアウトしちゃうと、もうどこからも手助けされなくて、存在すらないことになって、早く亡くなってしまう。それは非常に危ないと感じます。例えば派遣社員だった40代女性は、お盆の休み期間中に自宅で亡くなって、そのまま半年、放置されていた。

──現役世代で半年見つからないなんて。会社から連絡は来ないんですか?

菅野 ブラック企業に勤めていたり、派遣だったりするとわざわざ家まで訪ねてきたりしない。朝から晩まで休みなく働いて、家で毎日カップラーメンを食べるのを繰り返していると身体は悪くなりますよね。中高年男性の場合は、奥さんが出ていっちゃって、ひとりで残されて……自暴自棄みたいな状態で、お酒やタバコが増えていく。就労環境に加えて、やっぱり離婚とか死別は、ファクターとして大きいですね。特に中年以降の男性は、女性と何らかの理由で別れてから生活の崩壊が起きやすい気がします。

岡本 今の中高年男性に限っては、“妻依存”が多いんですよ。男性同士で友人関係を築くのはすごく難しい。定年退職後の男性で、妻が社会の入り口っていう方は多い。

──妻を失ったらもう社会とつながれない。

岡本 すごく多いですね、本当に。もしかしたら世代的なものかも。ずっと働いてきて、奥さんに地域との付き合いや家の中のことをすべて頼ってやってきたから。

菅野 地域のカフェで社会福祉協議会とか町内会がやっている集いは、ほぼ女の人でおしゃべりしてて楽しそうでいいんですけど、本当に来てほしい肝心の男性はなかなか来ない。これはまずいと思って、私は2か月に1回くらい、夜に要町のバーを貸し切って、お酒を飲みながら孤独死について語り合う「孤独死バー」を開くことにしたんです。こちらは狙いどおりというか、ほぼ男の人しか来ないんです。お酒の要素が入れば男性も重い腰を上げる、ということがわかりました。学生や一般のサラリーマン、中小企業の経営者から、定年後の男性までいらっしゃいます。やっぱりみなさん「孤独死」や「孤独」については思うところがあるみたいですね。お酒が入ると、男性もかなりの本音トークができる。さまざまな世代の交流の場になっています。

岡本 福祉という名目だと、男性は行きにくい。施しを受けるっていうこと自体が嫌な人が多いので。でもスナックっていうと「行ってみるか」となる。スナックを地域にたくさん作るっていうのは、いいんじゃないかと思いますね。

菅野 取材していても、孤独死した男性でスナックのママさんとつながっていたケースはかなり多くて。そういう方は、同じ孤独死でも早く発見されることが多いんです。ママさんって、すごくお客さんを観察していて、「あの人、身体悪いな」とかわかるんですよね。それで心配で訪ねていったら亡くなっていた、と。

 ある70代の男性は、部屋でひとり亡くなったんですけど、親類のつながりを調べていっても、疎遠で誰も出てこない。賃貸住宅の保証人になっていたのは、近所のスナックのママさんでした。「常連だからいいわよ」っていう理由でママさんがなっていたんです。ママさんも近所だったから、男性の様子は頻繁に見に行っていたみたいで。介護サービスも入っていて死後1日で見つかったので、部屋もきれいでしたね。

孤独はどんな人にも訪れる


──今は親子であってもつながりが希薄になっていますからね。根本的に男性はコミュニケーションが、仕事を通してしかできないものなんでしょうか?

岡本 はい。中高年男性にお話を聞いてますと、仕事ならコミュニケーションするけど、それ以外はしたくない、できないって方は多いですね。何か目的がないとコミュニケーションできない。女性はコミュニケーションを目的化してるところあって、ハードルが低いんですけど。あと日本の会社という……私は「孤独養成装置」って呼んでるんですけど。会社で上司部下との縦のコミュニケーションだけやってると、胸を開いた横のコミュニケーションをしにくくなるとか、お互いマウントしてしまうとか、すごく難しい。なかなか友達感覚のコミュニケーションができない。

菅野 それこそ、会社組織の中で1回弾かれちゃうと、本当に孤立してしまう。例えば、某大手企業の中間管理職だった50代の男性は、会社のパワーゲームに巻き込まれて、負けてしまった。結局それで一斉に上司や部下が変わって、男性の派閥の一派が全員、地方に左遷されちゃったらしいんです。男性も子会社に異動になって、そこから心を病んでひきこもるようになって、孤独死してしまったんです。例えば学生時代に不登校になり、10年、20年とひきこもってたっていう方は意外に少ないので、孤独死って人生のちょっとした運によって、誰でも起こりうるのかなって。

岡本 女性でも会社に長く勤めている人は仕事だけの考えになってしまう人も多い。環境によるものも大きいですね。

菅野 女性でも心配な方いますね。営業職で朝から晩まで働いていた40代のバリキャリの女性が後輩からのパワハラ告発を受けて突然、事務職に配置換えされたんです。完全に嫌がらせ人事ですよね。彼女はそこから精神崩壊して、ゴミ屋敷、いわゆるセルフネグレクトになった。ガリガリにやせて、30キロ台まで体重が落ちてしまいました。こういうケースは、特に貧困とか関係ない。人って、早いですよね、崩壊すると。

 私も仕事で大きなミスをしてしまい、落ち込んで、体重が1週間で3〜4キロ落ちた経験があるんです。ゴミも出せなくなり、しばらく食事ものどを通らなかった。短期間で一気にすべてが崩壊しちゃうんだ、と身にしみてわかったんですよ。

岡本 わかる。あっという間。孤独って、誰にでも待っていることですよね。

──本当はいろいろと術があるはずなのに、1回落ちると「もうダメだ!」と思い込んで抜け出せなくなる、という感じでしょうか。

菅野 そうそう。自分の中で完結しちゃう。助けを求めないんですよね。正確にいうと、助けを求められないほどにダメージを受けている。取材していると、孤独死した方は失業、失恋、離婚、病気とか、何かしら人生でのつまずきがあることが多いです。

岡本 孤独って喪失と関連していると言われていて。仕事であるとか、家族であるとか、若さであるとか。何かをなくすことをきっかけに、孤独に陥りやすい。だから、定年退職した男性なんかは、自分の存在価値を喪失した感覚を持つらしいんですね。本当にもう、一歩先に誰にでも待ち構えているテーマなので、イギリスではものすごく孤独に対する関心が高いんですよ。孤独は弱い人のものではなくて、どんな人にも訪れる。それを我慢しろ、っていうのが、日本。乗り越えられる人はいいけど、そうじゃない人ってたくさんいて。

──我慢しろっていわれて、ひとりで抱えて、さらに病んで外と断絶して、誰にも何も言えなくなる。

岡本 まさにそう。悪循環なんですよね。女性は弱っているときは周りについ、言っちゃうんですよ。それでやっぱり救われる人は多い。男性は強くありなさい、誰かに甘えてはいけませんという価値観がまだまだあるので、弱みを見せるのがすごく難しくて、感情を押し殺してアルコールなどに頼ってしまう。海外ではこうした「内にこもる男性の危機」に関心が集まり、対策も講じられているのですが、日本男性のメンタルヘルス対策は、先進国としては考えられないほど遅れているのが現状です。

(後編に続く)

※後編は12月8日17時00分に公開します。


岡本純子(おかもと・じゅんこ)

コミュニケーション・ストラテジスト。企業やビジネスプロフェッショナルの「コミュ力」強化を支援するスペシャリスト。グローバルの最先端ノウハウやスキルをもとにしたリーダーシップ人材育成・研修、企業PRのコンサルティングを手がける。これまでに1000人近い社長、企業幹部のコミュニケーションコーチングを手がけ、オジサン観察に励む。その経験をもとに、2018年『世界一孤独な日本のオジサン』(KADOKAWA)を出版。読売新聞経済部記者、電通パブリックリレーションズコンサルタントを経て、株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部政治学科卒、英ケンブリッジ大学院国際関係学修士、アメリカMIT(マサチューセッツ工科大学)比較メディア学客員研究員。

菅野久美子(かんの・くみこ)

1982年、宮崎県生まれ。ノンフィクション・ライター。著書に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)などがある。最新刊は『超孤独死社会 特殊清掃現場をたどる』(毎日新聞出版)。また、さまざまなウェブ媒体で、孤独死や男女の性にまつわる多数の記事を執筆している。

(取材・文/小新井知子)

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『小6女児誘拐』 “知らないおじさん”との距離感の変化に親が感じるべきこと

2019年12月8日 14:00 週刊女性PRIME

SNSが浸透したことで親がこの子のためにすべきことは──(TwitterJapanのアカウントより)

 大阪市に住む小6女児がTwitterのダイレクトメッセージでやりとりをしていた35歳男性に誘拐されるという事件が起き、世間を驚かせている。今や世代に関わらず、誰もがSNSを使用する世の中だけに他人事ではない。自身も子育て真っ最中の放送作家でNSC講師を務める野々村友紀子が感じたこととは──?


* * *


 今年もいろいろありましたが、これは世の思春期の子を持つ母親たちの心を相当かき乱した事件のひとつではないでしょうか。

 女児が無事に保護されてホッと安心したあとも、「自分の子どもは大丈夫か?」「SNSで見知らぬ人と変なやりとりをしていないか?」「今後どう教育するべきなの?」と、親として心配が尽きることはありません。しかも、その後、似たような事件がいくつか発覚したことも、世間に大きな衝撃を与えました。

 子どもが、自分のスマホで連絡をとった大人の男性に、自らついていってしまう。

 道を歩いていて突然、車で連れ去られたわけでも、公園で遊んでいて何かにつられてついて行ったわけでもなく、自分の意志で出ていく。これははたして「誘拐」なのか? 一見「家出」とも思える行動ですが、まだ判断能力がない未成年者を大人が甘言でかどわかしているわけですから、完全に大人が悪い、憎っくき犯罪です。

 ほんま、こんなことされたら親としてたまらんっちゅーの! 

女子の思春期は今も昔も……


 今までは、子どもの行動範囲や自宅近所にいる変な人に対して、親として網を張って気をつけたり、子どもには口が酸っぱくなるのも通り越して、もう甘辛くなってくるくらい「知らんおじさんにしゃべりかけられても逃げるんやでー」と注意してきましたが、これからは「世界中の知らんおじさん」に注意しないといけない時代なの!?

 しかも、SNSで何度かやりとりして、悩みを聞いてもらったりおしゃべりして少しでも親交を深められたら、それはもう子どもからしたら「知らんおじさん」ではなくなってしまうわけで、家庭環境によっては、「親より優しい、ちょっと知ってるおじさん」を頼る子が出てきても不思議ではないでしょう。

 今回の事件の背景や、家庭での親子関係は知りうることはできません。なので、ここからは自分も思春期を経験し、思春期の娘を2人持つ私の勝手な考えです。まずひとつ言えることは、今回の事件に巻き込まれた小6も、一緒に保護された女子中学生の15歳という年齢も、本当に難しい時期!

 ほとんどの子が、ちょうど親をわずらわしく感じたり、母親とケンカしたりする時期ではないでしょうか。私だって親が嫌いでしかたがない時期がちょうどその頃だったし、中学生の頃は母親と大ゲンカして、徒歩2分のところにある友達の家に家出したこともあります。

 かつて私は、母親や家の不満を日記に書きなぐっていたので、もしもそのときにSNSがあったなら「もうこんな家出ていきたい!」とか「早くひとり暮らししたい」とか呟(つぶや)いていたかも。

 そう。こんなことは今始まったわけではないのです。

「知らないおじさん」に対するハードルの変化


 いつの時代も、一定数の女子は必ず「は〜、はやく家を出たいな」などと呟くもの。それが、昔は自室の天井を見てひとりため息まじりに、か、友達に話を聞いてもらった後にやけくそぎみに、だったのが、今は文字にして全世界に向けて大公開してしまうようになってしまっただけ。

 SNS上で、試しに「家出したい」「誰か泊めて」というワードを検索してみると、大量の女子中学生や高校生の呟きが出てきて驚きます。そして必ず、そういった呟きには、男性たちによる「うちでよければおいで」「迎えに行くよ」「お金持ってます」という返信が大量についている! 怖い!

 リアルタイムで見ていると、鯉がたくさんいる池にエサを投げた時の水面のごとく、われ先に「家出希望少女」に群がる男性の書き込みには、あきれるとともに大きな恐怖を感じます。

 しかもあれだけ報道された後でも、その数は減っているように感じません。正直こんなおっさんら、全員同じ場所に迎えに来させてYouTubeとかで実況して顔さらしてやれよとまで思う! そしたら、ちょっとは減るのでしょうか──。

 誰にでもある、悩んでいるとき、むしゃくしゃしているとき、誰かに聞いてもらって同意してほしいとき。だけど、家庭のことは親しい友人でもなかなか相談しにくいという女子は多い。そんなときに、何のしがらみもない他人が優しく話を聞いてくれたら、たとえそれが「知らんおじさん」であっても、つい心を開いてしまうことも理解できてしまう。

「家出したい」と、呟く少女。

 この、成長過程で当たり前のように通り過ぎるだけのちょっとした光景に、今は「知らんおじさん」が「よき大人の理解者」として入ってくることが可能になってしまったのです。

 昔も「知らんおじさん」に癒しや助けを求めようと思えば可能でした。昭和の時代なら「テレクラ」というものもあり、街を歩けば未成年であろうとガンガンに広告入りのティッシュを配りまくっていたので、そこに電話して知り合おうと思えばできたでしょうし、男性の手を借りて家出することもできたかもしれません。

 でも、そのハードルって、ものすご〜く高かったはず。携帯電話もない時代に、家の電話や公衆電話からひとりで電話をして「知らないおじさん」と話をする。それは小学生や中学生にとって超・非日常の出来事であり、「知らんおじさん」は顔も見えない気持ち悪い存在で、もっともっと警戒すべき相手でした。

 しかし、今は生まれたときからあるスマホを日常的に使う延長線上に「知らんおじさん」はいくらでもニコニコと優しそうな顔写真を掲げて存在する。そしてこちらがアクセス機能を制限していなければ、いくらでも向こうから距離を詰めることができてしまう。スマホを使うことだけには長(た)け、判断力も想像力も経験も未熟な未成年の女子の弱みにつけ込み、誘い出すことは簡単でしょう。

 だから、絶対に、判断力も想像力も経験も子どもよりはある私たち「親」が、しっかりしないといけないのです。

 スマホやSNSやゲームを取り上げるのは簡単です。すべて解約・退会すればいいだけ。最初からそういったツールを絶対に渡さない、取り上げる、それは最も簡単に、子どもから危険を遠ざけているように思えるかもしれません。

 でも、それがこういった問題の根本的な解決になるとは、私は思いません。親が知らないだけで、家庭用ゲームでも世界中つながろうと思えば可能だし、友達を介して知らない人と繋がったりと、方法はたくさんあるのです。そして、今や大切な友達との交流に欠かせないツールとなっているスマホを極端に制限したり取り上げてしまうと、中には友達との関係を壊されたように思う子もいるでしょう。親子関係に軋轢(あつれき)が生じることにもなりかねません。

 だからといって、もちろん野放しではいけない。たまに「私こういうの苦手でわかんないからさー」と言って、何の制限もかけずに与えっぱなしの親がいますが、あれはあかん!子どもに渡すなら親がまず勉強しないと!親の責任として、しっかりと危険やマナーを教え、必要な制限をかける。どんな機能があり、どんなサービスがあるのか知るためには親も努力が必要でしょうが、それは子どもの命を守るため、面倒がらずにやるしかありません。

 こういったことを、まずは、「スマホ世代ではないのに急にスマホの管理者になってしまった親たち」にしっかりと教えることが今後、少しでもこんな事件を減らすきっかけになるのかもしれません。

 大切なのは、すべてを監視するのは無理でも、親としてしっかりと管理すること。疑って見張るのではなく、信じて見守っていることを、子ども自身に感じさせること。そして毎日、親子で目を見て話し合うこと。結局、いちばん大事なのは親が子どもの言動や行動、小さな変化をなるべく見逃さないことなのではないかと思います。

 時代は変われど、思春期の女子の生態は変わらないのですから、親として子にあるべき姿も、昔と大きくは変わらないのでしょう。


プロフィール

野々村友紀子(ののむら・ゆきこ)                      1974年8月5日生まれ。大阪府出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の芸人、2丁拳銃・修士の嫁。 芸人として活動後、放送作家へ転身。現在はバラエティ番組の企画構成に加え、 吉本総合芸能学院(NSC)の講師、アニメやゲームのシナリオ制作など多方面で活躍中。“主婦から共感の声続出!”211項目を数える家事リストを掲載した新刊『夫が知らない家事リスト』(双葉社)が絶賛発売中!」

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成績に苦しんだ少女が『グリーンスクール』で個性を伸ばす

2019年12月8日 11:00 週刊女性PRIME

ワークショップで参加者たちに肌にも環境にもやさしい口紅作りを教える志奈さん。

 インドネシアのバリ島に「グリーンスクール」という学校がある。竹でできた美しい校舎はジャングルの中にあり、“環境に配慮し、持続可能な世界のリーダーを育てる”というビジョンを掲げる。前編では発達障害でつまずいた男性が、同校で教育改革を志すまでの経緯を紹介した。後編では、テスト成績主義につまずいた少女が、同校で自らの道を切り開くまでを追った。前編『発達障害にも感謝、元不良少年が「否定しない学校」で学んだ “新しい教育” のカタチ』

中学校の成績は、体育とか美術は5段階評価で『5』。それ以外は『2』か『3』、英語は『1』でした(笑)。私、授業態度めっちゃいいんですよ。提出物も必ず出したし、勉強も頑張った。人の10倍勉強しても、なぜかテストが全然できなかったんです

 露木志奈さん(18)は、横浜中華街で生まれ育った。家は街中だが、幼稚園は野外活動を大切にする横浜市の『トトロ幼稚舎』に通い、野山を駆け回り元気に育った。そこを選んだのは母の由美さんだ。

「志奈は4人きょうだいの2番目。1人目の兄がかなりやんちゃで、公園に行っても居場所がなかったんです。その幼稚園は、そんな彼を否定せずに肯定してくれました。いいところを認めてのびのびと伸ばしてくれた。そこにきょうだい全員を通わせました」

 昼食を子どもたちが飯ごうで炊き、卒園遠足では箱根を30キロ歩いた。自分で考え人と協力し、工夫してやり遂げる楽しさを生活の中で身につけたと志奈さんは振り返る。

 活発で明るく、友達も多かった。地元の公立小学校に通ったが、4〜5年生の2年間、長野県泰阜村の『暮らしの学校 だいだらぼっち』に山村留学をした。そこに至ったのは家庭の事情もあったという。

「シングルマザーで、仕事があって休みの日にもあまりいろいろな体験をさせてあげられなかったんです。3年生の夏休みに『だいだらぼっち』を主催するNPO法人グリーンウッドのキャンプに参加したら気に入って、山村留学に申し込みました」(由美さん)

 6年生からは地元に戻り、公立の中学校へ進学。勉強も自分なりに頑張った。

「中学に入ると受験のために知識を詰め込む勉強が嫌いになったけど、ガンジーが“明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びなさい”って言ってたから頑張ったの。

 それでも、大好きな英語はどんなに勉強しても文法がわからなくて『1』。学校ってテストで成績をつけるところだからしかたないと思ってたけど、今は、単にテストだけで人の評価を下げたり、下に見たりするのはおかしいと思います」(志奈さん)

プレゼンで資金を調達できる「学校」


 頑張っても評価されない。興味もあって好きな教科がどうしてできないのかわからない。志奈さんは日本の教育システムを飛び出す決意をした。

「英語だけが目的の留学は認めない」という母の言葉を受け、まずは日本の公立高校を受験し、合格。

 高校入学前、バリ島のグリーンスクールに、家族で短期の体験キャンプに出かけた。

「ジャングルの中にある竹でできた校舎を見て、ここは私の学校だ。ここに行きたい!ってすぐに思った」という志奈さん。英語は全く話せなかったが、入ればなんとかなる自信があったという。

「私はずっと、この子が力を出せるのはなんだろうって考えていました。日本の学校ではこの子の力を十分に発揮できないなとも思っていた。でも、志奈はコミュニケーション能力は抜群なんです。言葉が通じなくてもいつの間にか仲よくなる能力がある。だから大丈夫だろうと思っていました」(由美さん)

 日本の公立高校に夏休み前まで通い、その年の8月から単身でグリーンスクールへ。ひとりだけほぼ英語ができないところからのスタートで、「私にはやっぱり英語を習得するのは無理なのか」と思ったこともあったと言うが、寮で同室の子と仲よくなり、つきっきりで英語を教えてもらえるように。3か月で日常会話をマスターした。

「とにかくそれまで通った日本の学校と全然違う。中3から高3まで4学年が学年関係なく自分に合う授業を選択します。テストもほとんどないし、自分で授業を作ることもできる。授業の計画書を作って学校にオファーするんです。F(落第)がついても、先生は“みんな何か長けていることがあるから大丈夫。ほかに好きなことあるんじゃない?”って聞いてくれる。ネガティブなことは言いません

 グリーンスクールには、生徒のやりたい研究や事業を実現するために学校や教師がサポートしてくれるシステムもある。自らプレゼンし、通過すれば資金を調達できる。生徒の役割は自ら考え、やりたいことを実行すること。そして、そのための環境づくりが学校や教師の役割だった。

「みんな同じ教科書で同じスタイルで教えていたら、個性は伸ばせない。グリーンスクールでは先生たちが心から教えたいことを経験に基づいて真剣に教えてくれる。だから、学びたいという気持ちが生まれるんだと思います」

 同年代の生徒からも影響を受けた。洋服のブランドを立ち上げて売り上げをインドの子どもたちに寄付した生徒や、環境活動を起こしてバリの法律を変えた同級生もいた。

 志奈さんは、妹が化粧品で肌荒れを起こしたという身近な問題をきっかけに、化粧品の成分の勉強を始め、肌の健康に影響のない化粧品を開発。調べれば調べるほど、知識も視野も広がる。最後には環境問題にたどり着いた

 グリーンスクール在学中からオーガニックコスメブランドDARI BARIを立ち上げ、肌にやさしい手作りの化粧品を作りながら、ワークショップを開催。「自然化粧品」という名称のものの多くにも化学物質が使用されており、動物実験が行われていることや、地球上で起こっている環境問題を伝え、持続可能な世界を維持するための知識を共有してきた。卒業後も、日本で定期的にワークショップを開催し、人気を集めている。

環境に対する負荷を減らす考え方はグリーンスクールでは普通だった。でも、日本に戻ってきて、みんながあまり環境について考えていないことに衝撃を受けました。日本の大学に入ったのは、化粧品を通じて環境問題を広めたいと思ったから。大学で学びながら、会社設立に向けて活動を続けたいと思っています」

 9月、志奈さんは慶應義塾大学環境情報学部に入学した。

 ワークショップでは、参加者にこんな言葉を届けている。「消費者の選択が地球を変える」─私たちの行動が地球の未来につながっていることを、志奈さんは化粧品を通してしっかりと届けている。その瞳に迷いはない。

「個性」を伸ばす! オルターナティブ教育 汐見稔幸(東京大学名誉教授 教育学)


 グリーンスクールが優れている点は、SDGs(持続可能な開発目標)を先駆的に取り入れたところにあります。「君たちこそこれからの社会の担い手だから、持続可能な社会をつくるために考え、行動しよう」としっかりと教育しています。これからの社会を担う子どもたちには、「答えが見つかっていない問い」について自ら考え答えを生み出す力が必要なのです。

 日本の学校は、これまでほとんど全員が机に向かってじっと座っていなければならないスタイルでしたが、中には動きながら考えたほうが集中できる子もいます。リーダーシップを取ることが好きな子もいれば、ついていくことが好きな子もいます。

 さまざまなタイプの子がそれぞれの個性を伸ばすことこそが教育だということに、日本はこれまで気づきませんでした。しかし、最近では、日本でもようやく、子どもが主体性を発揮し、個性や思考様式、行動様式を大切にして表現することが大事であり、そのほうがより能力を発揮できると考える学校が作られつつあります。本来の教育の姿に近づいているのです。

 例えば、「子ども主体の生活」を重要視するフランスのフレネ教育を取り入れた埼玉県のけやの森学園幼稚舎・保育園や都内のジャパンフレネというフリースクール、イギリスの教育家ニイルが設立したサマーヒルを参考にして「自己決定、個性化、体験学習」を基本方針とした福井県のきのくに子どもの村学園など、オルターナティブ教育は注目を浴びています。2020年には軽井沢風越学園が開講しますし、広島県では'22年度から公立イエナプラン教育校をスタートさせることが決まっています。これからの日本の学校教育は、こうしたオルターナティブ教育に先導されて大きく変わっていくことが求められています。

(取材・文/太田美由紀)

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cat_oa-shujoprime_issue_1ee94c817d1f oa-shujoprime_0_5299bcbe02d4_<撮影秘話>木村拓哉『ギフト』で忌野清志郎さんと歌った名曲 5299bcbe02d4

<撮影秘話>木村拓哉『ギフト』で忌野清志郎さんと歌った名曲

2019年12月7日 21:00 週刊女性PRIME

木村拓哉。ドラマ『ギフト』のころは肩につくほどの長髪がトレードマークだった

「このドラマで“国民的アイドル”という殻を破りたかったんだと思うよ」

 そう話すのは、木村拓哉が主演を務めた'97年放送の伝説的ドラマ『ギフト』(フジテレビ系)の脚本を担当した飯田譲治氏。木村は、自分の名前はおろか記憶のすべてをなくしているのだが、なぜか“届けること”へ異常なほど執着する運び屋という難しい役どころを演じた。

「'96年に拓哉主演のフジテレビ系のドラマ『ロングバケーション』が大ヒット。あれで恋愛モノの極めつきをやっちゃったから、次は恋愛モノじゃないドラマを作ろうというのがコンセプトにありました」(飯田氏、以下同)

憧れていた忌野清志郎さんと初共演


 本作で、木村は憧れのロックシンガー・忌野清志郎さんとの初共演を果たす。清志郎さんは、木村演じる運び屋の情報屋であり、犯罪マニアの怪しい男を演じた。

「拓哉は、もともと清志郎さんのファンで、特に『君が僕を知ってる』という曲が好きだった。僕なりの解釈だけど、この曲は“ひとつの過ちですべてを否定されてしまうのはおかしいよね”ってことを歌っていて。アイドルの頂点まで上りつめていた彼にとって、プライベートでのしくじりは命取りになるじゃない? だから清志郎さんのメッセージが心に沁みたんじゃないかな」

 木村が演じた主人公も、この曲を体現するかのようなキャラクターだった。

「過去にとんでもない失敗をしてしまって、そこから逃れたいために記憶喪失になっているという設定でした。物語が進んでいくと、どんどん過去の傷を思い出しながら、それをひとつひとつ清算していく。そして蘇生して、新しい人生を生きていくというストーリーでした」

 ドラマの冒頭でクローゼットから全裸の木村がゴロンと出てくるが、

「あれは世間が持つ“アイドル・木村拓哉”から生まれ変わるというイメージだった」

『雨あがりの夜空に』を現場でセッション


 撮影現場で、木村と清志郎さんはすぐに意気投合したという。

「撮影の空き時間に木村さんはよくギターを触っていましたが、清志郎さんもギターを現場に持ってきていました。木村さんがポロロ〜ンと弾くと、清志郎さんが笑顔で近づいてきて“いい感じだねぇ”と褒めていましたよ」(制作会社スタッフ)

 現場でひっそりとセッションを重ねていたことも。

「清志郎さんがリーダーを務めるバンド『RCサクセション』の名曲『雨あがりの夜空に』をふたりで弾いている姿も見ましたよ。いま思うと、あれは豪華なコンビでしたよね」(同・制作会社スタッフ)

 木村の自宅に清志郎さんが突然、訪問するなどプライベートでも交流を深めていた。

「ドラマの打ち上げでは、ふたりでギターを弾きながら、エリック・クラプトンの名曲『ティアーズ・イン・ヘヴン』を歌ってくれた。いいモノ見せてくれたなって感じがしたよ」(飯田氏)

 '09年に清志郎さんがこの世を去ったとき、木村はこんなコメントを残している。

「お付き合いさせていただいて、お亡くなりになった後でも、曲という形で僕の中にいてくれる友達だと思っています」

 ふたりのセッションは永遠に続く──。

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橋本環奈と片寄涼太、仲よくAB型あるあるを披露

2019年12月7日 19:00 週刊女性PRIME

橋本環奈、片寄涼太 撮影/吉岡竜紀

片寄「すごく自然で直球のラブストーリー。すがすがしくて好きだな、というのが完成した作品を見た感想です」

 国民的スーパースターの楓と、ごく普通の女子高校生の日奈々。住む世界のまったく違うふたりの“格差恋愛”を描いた映画『午前0時、キスしに来てよ』

“AB型あるある”で盛り上がったふたり


 ダブル主演の片寄涼太と橋本環奈は今作で初共演。今年を振り返り「いろいろなところに出させていただいた」(片寄)、「さまざまな役に出会えた」(橋本)と語るふたりは多忙のため、撮影初日まで顔を合わせることができなかったそう。

片寄「当日も“本当にいらっしゃるのかな?”と思っていました」

橋本「お会いしたときに、そう言われました(笑)。初日は、共演シーンが少ししかなくて。わりと仲よくなったのは、次の日ですね。遊園地で1日中、撮影をして。“AB型あるある”で盛り上がった記憶があります

 楓を演じる片寄と日奈々役の橋本はともにAB型。どんな“あるある”を話したのか聞くと、

片寄「それを明かすと、すっごく恥ずかしいんですけど……。それに言い始めるとキリがないくらい出てくるんですよ」

橋本「そうそう(笑)」

片寄「AB型っていうのは、基本、AB型である自分を好きなんです

橋本「確かに」

片寄「それと、AB型ってあまりテレないんです

橋本「わかる!! あと、意外に協調性がある

片寄「そう。AB型って、変わっている人が多いと思われるみたいで」

橋本でも、変わっている自分も嫌いじゃないんです(笑)

片寄「そうなんですよね~。こんな話をしてました(笑)」

芸能人という設定ならではの“マスク越しのキス”


 息ぴったりに“あるある”を披露してくれたふたり。ということは、ラブシーンでもテレない?

片寄・橋本「テレないですね」

片寄映画の予告編にも出ていた“鼻かじキス”の撮影は、橋本さんに内緒でやったんです。AB型って、予定外のことがそんなに得意じゃないんですよ。なので、さすがに驚かれていましたね」

橋本めっちゃ、ビックリしました。台本には“鼻にキスをする”って書いてあって、リハーサルまでそうだったんですけど、本番で突然。原作のコミックにある“鼻かじキス”、実写ではやらないんだなと思っていたんです。

 だから、できあがった作品を見たときに自分がすごくいい反応をしていて。驚くお芝居と、純粋に初めて鼻をかじられて“どうした?”っていう動揺が出ていて

片寄「僕もこの作品以外で人の鼻をかじることはないんじゃないかと思います(笑)。でも、原作の再現性が高い、すごく印象的なシーンになりました。

 漫画ってとてもキレイに描かれているので、実写にしたときにどういう見え方になるのかがわからなくて。今回、挑戦させていただけてありがたかったと思いますし、このシーンにたどり着く流れも見てほしいですね」


 “鼻かじキス”のほかにも、たくさんのドキドキや胸が締めつけられる瞬間が閉じ込められている作品。その中でもふたりが印象に残っているというのが“マスク越しのキス”。

片寄「マスクは、芸能人という設定のこの作品ならでは。女性はドキドキすると思いますよ。(同じ芸能人である)こっち側からするとヒヤヒヤしてしかたないほうのドキドキもあって」

橋本「この作品で描かれている芸能界って、本当にリアルなんです。“マスク越しのキス”も人通りのあるところで引きの画で撮影をしていて、すっごくリアリティーがある。芸能人っていう設定じゃなかったら“なんでマスクしてるの? 取りなさいよ”ってなりますよね(笑)」

◆  ◆  ◆

《国民的スターの楓と、GENERATIONSの片寄涼太》

「グループで音楽活動を経験し、そこから俳優になった楓は自分に近い環境ですごく共感できました。周りの人から“たぶん、見た人は楓と片寄くんを重ねるよ”って言われたんですけど、そうやって作品を楽しんでほしいという気持ちもあります。映画のような恋愛を自分がするかは、どうですかね……


《優等生だけど夢見がちな高校生の日奈々と、“1000年にひとりの逸材”橋本環奈》

「私自身は日奈々と似ているところがなくて。楓のような王子様に憧れた経験もないですし。高校生って2〜3年前のことなんですけど、もうこの仕事をしていたので、日奈々とは違う生活をしていました。当時は、友達に“誰々に会った?”ってよく聞かれました。みんな芸能界に憧れがあるので」

ふたりがこれから挑戦してみたいこと


片寄「バレエをやってみたいと思っています。甲が高くて、足の形がバレエ向きだってよく言われるんです。あまりやっている方の話を聞かないのもありますし、挑戦してみたら楽しそうだなと思って。いつかやってみたいです」

橋本趣味を増やしていきたいです。好奇心旺盛で、いろいろ手を出しちゃうタイプなんですけど、今後ももっと。次は、キャンプに挑戦してみたくて。キャンプ好きな友達もいるので。あと、釣りとか、アウトドアな趣味を作りたいです」


映画『午前0時、キスしに来てよ』12月6日(金)全国公開

 まじめな高校生の花澤日奈々(橋本)は、ある日、映画の撮影で学校にやってきた国民的スーパースター・綾瀬楓(片寄)と運命的な出会いをする。気取らない楓に思いを募らせていく日奈々。楓もまた、日奈々を特別な存在だと思うように。絶対にバレてはいけない国民的スターと女子高生の秘密の恋愛の行方は……。

出演:片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、橋本環奈、眞栄田郷敦ほか

配給:松竹 

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フィフィ、神田沙也加の離婚にエール「“子どもを産まない”を選択をできる時代の象徴」

2019年12月7日 18:30 週刊女性PRIME

神田沙也加

 '17年4月に結婚を発表して以来、仲睦まじい姿をメディアの前に見せていた神田沙也加さんと村田充さんが、離婚していたことを4日に発表。離婚に際して、互いにブログを綴った。その内容を読んだフィフィは、あることに気付いたという。


* * *


 夫婦にはさまざまな形があって、必ずしも良いか悪いかで判断できるものでもないんだけど、今回の件は離婚と同時に神田さんの不倫という報道も出てしまっていた。そして私も、それが原因で離婚されたのかなと否定的に受けとっていました。

 だけど、ふたりのブログを読んだとき、離婚の原因は単に不倫でこじれたからではないんだなと、“いまの時代ならではの離婚の理由があったんだな”と、深いものを感じたんです。

 実際に村田さんのブログを読むと、彼女の不倫を否定していますし、“円満離婚”を示す表現を用いて離婚の説明をしていますよね。実際のところ、彼がどのような心情を抱いているのかはわからないけど、極力穏便に済ませようとするその姿勢には好感を持ちました。いろんな原因があるにしろ、公のところではいがみ合っていない姿勢を見せているのは大人だなと。

子どもをもたないという選択


 そして同時に、どんなに愛し合って一緒になっても、お互いに譲り合えない意思や価値観といったものがあるのだろうということも、彼のブログから伝わってきました。

 そうしたお互いの考え方の違いを尊重しようとした結果、離婚という形になったのだとしたら、その別れ方はアリなんだなと思ったんです。今回の二人の場合、それが“子ども”を巡る考え方の違いだったわけですよね。

 村田さんは子どもを持ちたかった、だけど神田さんは子どもを持たないという選択をした。昔だったら女性が子どもを持たないという選択をすることは、なかなか理解されなかったわけだけど、今回世間の反応を見ていると、“良く言った!”と肯定的にとらえている方も多くて。いまの時代は理解されるんだなと興味深く感じました。

 そういう生き方をしたい女性が後ろめたさを持たなくて済むような時代になってきているのかなと。

 ちなみに、村田さんが“子どもが欲しかった私と、前向きになれなかった彼女とで折り合いがつかず”とブログで表現していたことから、子どもを産まない=前向きではないと捉えた方もいたようですが、彼が言いたかったのは、子どもを産まないことが前向きか後ろ向きかということではなく、子どもを持つことに前向きになれなかった彼女の意思を尊重したいと言いたかっただけだと思いますよ。

 いずれにしても、村田さんの対応にも好感を持ちましたし、神田さんの生き方にも世の女性たちは好感と共感を持ったようです。神田さんについては、自らの生き方を勇気を持って公にしたことで、新しい女性の生き方の象徴として今後より一層注目されていくんじゃないかな。

〈構成・文/岸沙織〉

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