ホームセンター(HC)「コーナン」が好調だ。同チェーンを運営するコーナン商事株式会社の2018年2月期は店舗数336、営業収益は3160億円、営業利益額は173億円(営業利益率5.5%)営業収益ランキングではカーマ、ホーマックなどを擁するDCMホールディングス(同4366億円、営業利益率4.4%*2018年2月期)を筆頭にカインズ(4142億円、同社HPより)、コメリ(同3419億円、営業利益率4.9%)に続く4位に位置するが、営業利益率ではトップ。前期の既存店伸び率は100.4%。今期も5月を除き、各月とも既存店が伸びを維持している。トップチェーンのDCMホールディングスが16カ月連続(2016年2月~2018年5月)の既存店割れを喫しているだけにコーナンの好調さが際立つ。
1店舗当たり2万5000人のオーバーストア
日本ドゥ・イット・ユアセルフ(DIY)協会によると、HC業界の市場規模は2017年度時点で4760店舗3兆9890億円。前年度に対し、店舗数で50店舗増、売上げで40億円増にとどまる。
同協会のHC店舗数の集計は1973年度がスタートとなっているが、1000店舗到達が82年。9年を要した。以降2000店舗は7年(89年)、3000店舗までは6年(95年)とHC業界の加速度的な成長がうかがえる。しかし、90年代後半から減速、4000店舗到達までに13年(2008年)を要している。
HC1店舗当たりの必要商圏人口は3万~5万人といわれるが、現在の店舗数では1店舗当たり2万5000人強とオーバーストア状態。先のDCMホールディングスの既存店の停滞ぶりはHC全体を象徴しているともいえる。
同業他社に差をつける高い利益率
コーナンが収益性と集客両面で好調さを出す要因は2つ挙げられる。
第1に36.2%という売上総利益率。これはDCM(32.9%)、コメリ(31.8%)に大きく差をつけている。同社ではLIFELEXと称するプライベートブランド(PB)、オリジナル商品を日用品、園芸、作業関連など各部門に幅広く投入、拡大を図っている。例えば、季節性の高いレジャー関連売場でも1万円前後のキャンプ用タープ、1000~2000円の折りたたみチェアなどでオリジナル商品を投入し、コールマン、ロゴスなどの有名ブランドに対し、50~70%の価格帯で割安感を打ち出していることも顧客の支持を得ている理由だろう。
第2に利益率の高いDIY(同社ではホームインプルーブメントと呼称)部門の構成比の高さ。同部門の構成比はこの6年(2012年2月~2018年2月)で34.3%から39.5%へと高まった。建材、作業関連、園芸などを含む同部門は他社HCでも堅調な部類にあるが、コーナンは同部門に特化させた業態である「コーナンプロ」を通常のHC並みに出店させており(前期HC4店、コーナンプロ6店出店)、自社の特徴をさらに際立たせようとしている。