写真はレンジアップ調理の成城石井「銘柄豚バラ肉のチゲ鍋セット」(調理したところ)。(Photo/室川イサオ) 現代人の健康を守る最後のとりでともいうべき「ひとり鍋」。その理由を「ひとり鍋が優れている8つの理由」で紹介しました。ここからは実践編。やはり食べないと語れません。
[イオンで購入した商品]「豚肉白菜重ね鍋」/「海鮮もずく鍋(うどん入り)」/ 「玉ノ井部屋監修 醤油魚介だしちゃんこ鍋」/「鍋巡り 赤から鍋」
イオンには「ひとり鍋」にちょい足しできる食材が多い。この点も売場でアピールできる。 アルミ鍋でガスやIHのコンロで加熱する「コンロタイプ」。その強みは、調理しながらアツアツを楽しめること。体温が素早く上がるので寒いときの疲労回復にはとても効果的。リラックスした食事は体も心もよろこぶものなんです。
写真はコンロ調理のイオン「玉ノ井部屋監修 醤油魚介だしちゃんこ鍋」(つくったところ)IMG_0194 鍋らしく、食べながら好きな具材でアレンジする楽しさもあり、好みでスープにご飯などを入れると、立派な一食になります。カット野菜は140〜150g入っていて1日の目標摂取量の半分近い量が取れ、食べ応えも十分でしょう。価格は399円から499円と非常にリーズナブル。さすがイオンです。売場でPB「トップバリュ」のカット野菜と一緒に陳列されていたら、「ちょい足し」で変化が付けられて飽きがきにくいので、ヘビロテメニュー入りすると思います。
イオンの「豚肉白菜重ね鍋」 例えば、「豚肉白菜重ね鍋」にセットされた野菜は、白菜が140g入っており、体の不調を整えるビタミンCや糖尿病、メタボに効果的な食物繊維はカバーできますが、ビタミンA、カリウムといったメタボやがんの予防となる抗酸化物質を多く含む葉物野菜が不足しています。カット野菜の青ネギ、小松菜、豆苗などをプラスすれば簡単に補えるので、店舗の担当者の方は売場でぜひアピールしてください。人気の「豚肉白菜重ね鍋」は、豚肉もピンク色が鮮やかで見るからに新鮮。食べ応えもありました。
イオンの「海鮮もずく鍋(うどん入り)」「海鮮もずく鍋」「醤油魚介だしちゃんこ鍋」は、白菜に対してのエノキなど他の野菜の量が少な過ぎで「添え物」のような印象。摂取量が不足している「魚の切り身」「エビ」など海鮮は血管の補強や免疫アップ、メタボ予防など非常に効果が高く、ぜひ取り入れていただきたい食材ですが、残念ながら食べてみるとそれぞれの味が感じられませんでした。
イオンの「玉ノ井部屋監修 醤油魚介だしちゃんこ鍋」 また、調理をする前には野菜全体に魚介の「生臭さ」が移っていることが気になりました。魚嫌いの人は、この「生臭さ」が苦手。家では特に魚を食べない、生魚を買わない原因になっています。加速する「魚離れ」を防ぐためにも、ぜひ改良していただきたいポイントです。
イオンの「鍋巡り 赤から鍋」 こってりした脂肪分が入ると冷えにくいのも特徴で、寒いときには特においしく感じられます。豚や牛の「モツ」は亜鉛やビタミンBが豊富。免疫アップや代謝アップにとても優れた食材ですが、辛みそが脂質、糖質ともにやや濃過ぎます。濃い味はどうしてもご飯や麺類などを食べたくなり、エネルギーも糖質もオーバー。残念ながらメタボ予防にはお勧めできません。「家庭用薄味バージョン」を期待します。
[成城石井]「牡蠣鍋セット」/「鶏もも肉と5種具材の鍋」/「銘柄豚バラ肉のチゲ鍋セット」/「1日の2/3の野菜が摂れる!国産鶏つくねの有機豆乳スープ鍋」
「電子レンジ調理タイプ」です。コンロタイプに比べると冷めやすい反面、水がなくてもつくれ、調理の場所も選ばず、オフィスの昼食など利用頻度が高くて便利です。
成城石井の「牡蠣鍋セット」
成城石井の「鶏もも肉と5種具材の鍋」
成城石井の「1日の2/3の野菜が摂れる!国産鶏つくねの有機豆乳スープ鍋」 例えば、「牡蠣鍋セット」「鶏もも肉と5種具材の鍋」はともに、野菜は170~200g以上で1日の摂取量の半分から2/3をカバー。白菜に加えて、カリウム豊富な水菜、カロテンのニンジン、大豆タンパクの油揚げと、栄養的にも彩りもバランスよく工夫されていました。野菜自体も新鮮で、加熱してもシャキシャキした歯ごたえをしっかり感じました。具材も大きめにカットされ、食べ応え、満足度も十分でした。特に、鶏肉はしっかりとした歯応えと鶏肉の甘さがあり、ワンランク上を目指すこだわりを感じました。鶏肉は肉類の中で中性脂肪になりにくい不飽和脂肪酸が多い食材。動物性脂肪を控えたい、がん予防世代にも安心してお勧めできます。食べ応えがあるので食べ過ぎを防ぎ、メタボ予防にも効果的なメニューです。豆乳メニューはコクがあり、筋力を保つタンパク質摂取ができます。
成城石井の「銘柄豚バラ肉のチゲ鍋セット」 また、「牡蠣鍋セット」に使われているカキは、日本人が慢性的に不足しがちま亜鉛やマグネシウムなどを含み、体全体の若返りに効果絶大。肌や髪の発育を助け、免疫改善など、発育世代、メタボ、シニア全世代に薦めたい食材ですが、「食あたりが不安だし、調理が難しい」という声が多いので、こうした手軽にとれる鍋メニューはとても貴重です。
「銘柄豚バラ肉のチゲ鍋セット」の銘柄豚肉も厚切りで食べる前は期待をしていましたが、電子レンジの「加熱ムラ」で、所々で肉が縮んでしまい、せっかくの素材のおいしさが半減してしまったのは残念でした。
成城石井の「銘柄豚の胡麻ジュレ温しゃぶ」 精肉売場にあった「銘柄豚の胡麻ジュレ温しゃぶ」は、千切りキャベツとニンジンという抗酸化や消化酵素を多く含む野菜が摂取できる優秀なメニューです。胡麻ダレは免疫アップに効果的ですが、甘さがやや強いのが気になりました。
成城石井の「ブロッコリーとチェダーチーズのボストンクラムチャウダー」 価格は599円が中心とイオンに比べて100円程度割高なので、ランチ利用では予算的に一食一品になるでしょう。スープは店舗や通販で販売中の「こだわりの和風だし」ストレートタイプを使用。化学調味料不使用とありましたが、実際に試食した結果、後味に残る「甘さ」が気になりました。近年、アゴだし人気で「甘めだし」傾向ですが、甘いだしはバランスを取るために総じて塩分も高い傾向にあります。「甘さ」は、糖尿病やダイエットが気になる人にとって「買わない」不安要素。そんな不安を解消するためにも、実際の塩分、糖分の記載があれば、安心して食べることができるでしょう。
<総評> ◎成城石井 4:3 イオン
【評価の内訳】「価格」「鍋らしさ」「アレンジの自由度」…イオン◎/「調理の手軽さ」「野菜の量と質」「肉・魚など具材」「食べた満足度」…成城石井◎/「スープの味」…いずれも△
イオンの「豚肉白菜重ね鍋」はシンプルながらコスパも優秀、人気も納得でした。成城石井は高めですが、水菜を使うなど野菜に種類の豊富さと新鮮さがあり、「徳島県産すだち鶏」や「こだわりの豚 下田さん家の豚」といった銘柄肉、旬の牡蠣など、こだわりを感じる大きめにカットした素材をしっかり味わえたことで、“ちょっといい鍋”という総合的な満足度が上回りました。
両チェーンに共通する課題は「スープの味の濃さ」。締めに豆腐を入れて食べても濃いと感じるものもあった。 また、両チェーンに共通する課題としては「スープの味の濃さ」があります。塩分に敏感な時代ですが、汁物は野菜摂取や免疫アップにもとても優れた料理。高齢者や子供なども食べやすい貴重なメニューです。だしを利かせることで、使用する塩分量を減らしましょう。塩分や糖質の量を見やすく記載することも重要で、お客さまの不安を払拭し、安心して購入してもらえるようになるでしょう。
成城石井の「海鮮5種と葱の辛味噌温野菜」
成城石井「海鮮5種と葱の辛味噌温野菜」をレンジ調理したところ