cat_oa-rp95854_issue_203cd77c9ebb oa-rp95854_0_203cd77c9ebb_台風被害の後手後手対応と避難所の劣悪環境が国会で議論も…安倍首相は“自治体任せ”で知らんぷり、「十分機能を果たした」 203cd77c9ebb 203cd77c9ebb 台風被害の後手後手対応と避難所の劣悪環境が国会で議論も…安倍首相は“自治体任せ”で知らんぷり、「十分機能を果たした」 oa-rp95854

台風被害の後手後手対応と避難所の劣悪環境が国会で議論も…安倍首相は“自治体任せ”で知らんぷり、「十分機能を果たした」

2019年10月16日 22:00 LITERA

 全国で55河川・79カ所で堤防が決壊し(本日午前5時の情報)、少なくとも1万4000棟以上の住宅が浸水被害を受けた台風19号。朝日新聞デジタル本日付記事によると、13都県で計約4500人が避難生活を強いられているというが、今回の災害でも対応の遅れが目立っている。


 というのも、上陸から4日が経過した本日、政府は2019年度予算の予備費約7億1000万円の支出を決定。予算は「プッシュ型」支援の強化に充てられ、〈被災各地の避難所に水や食料、段ボールベッド、仮設トイレなどを送る〉という(共同通信)。


 繰り返すが、すでに被害に遭った被災者が避難しはじめて約4日も経っているというのに、この決定は、いまだに段ボールベッドや仮設トイレなどが行き渡っていないということを示している。


 実際、前述した朝日新聞デジタルの記事によれば、千曲川の堤防が決壊した長野県長野市の避難所では、両ひざに人工関節を入れている障害をもつ人が〈マットに敷いた布団で寝ている〉といい、さらに長野県では〈夜間の冷え込みが厳しくなり、毛布を何枚も体に巻き付けたり、暖房をかけた車の中で寝る被災者が出始めている〉という。記事は、長野県の災害対策本部が〈被災者の健康管理に留意するほか、段ボールベッドの配備やプライバシー確保策などを検討している〉とまとめられている。


 避難所におけるプライバシー確保の問題は、阪神・淡路大震災のころから課題としてあがってきたが、東日本大震災を経てもなお、熊本地震や昨年の西日本豪雨でも万全の体制はとられなかった。つまり、豪雨や強大な台風による災害が起こる頻度は高まっているというのに、避難生活を支援する体制づくりがまったく進んでいないのである。


 安倍政権による災害対応の杜撰さ──。それは、昨日15日におこなわれた参院予算委員会における安倍首相および武田良太防災担当相の答弁からもはっきりとした。


 たとえば、質問に立った国民民主党の森裕子議員が、東京都台東区の避難所からのホームレス締め出し問題に言及し、安倍首相も武田防災担当相も事実確認さえおこなっていないことが判明。また森議員は「まったくなっていない」と厳しく指摘し、その上で、「スフィア基準についての政府の見解は」と問いただした。


 スフィア基準(「人道憲章と人道対応に関する最低基準」)は災害の際や紛争時の避難所の国際基準であり、「世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する」「1人あたり3.5平方メートルの広さで、覆いのある空間を確保する」「最適な快適温度、換気と保護を提供する」「トイレは20人に1つ以上。男女別で使えること」といったことが最低基準とされている(大前治「自然災害大国の避難が「体育館生活」であることへの大きな違和感」/「現代ビジネス」2018年7月10日付)。いずれをとっても、日本の避難所における実態とはかけ離れたものであり、日本の避難所が国際基準より明らかに下回るものなのだということがよくわかるが、この基準に対する「政府の見解」を問われた武田防災担当相は、こう述べたのだ。


「ご指摘のスフィア基準は、災害や紛争の影響を受けた人びとへの人道支援の基準を表しているものと承知しております。避難所の生活環境を考えるときにたいへん参考となるものでありまして、平時から避難所を開設する自治体に対してもそのことは周知をしております。……はい」


 なんと、武田防災担当相は「自治体には周知している」と言うだけで、答弁を終わらせてしまったのである。ようするに、安倍政権の姿勢は「基準は知ってるけど自治体に任せている」というものなのだ。


●2日間でテント、ベッド、エアコン、トイレを避難所に行き渡らせたイタリアとの差


 昨日の質疑では森議員も言及したが、じつは国会では、スフィア基準のほか、イタリアの避難者支援についてたびたび取り上げられてきた。


 イタリアは約3000人が死亡した1980年のイルピニア地震を教訓として災害対応を見直した“災害対応先進国”であり、朝日新聞2018年8月5日付記事によると、2016年のアマトリーチェ地震では発生から数時間以内には国や地方に登録しているボランティアが約1000人が被災地に入り、地震発生から約半日後にはボランティア団体が避難所に5000人に食事を提供できるキッチンカーを配備。このボランティア団体では、会社員が災害でボランティアとして出動した際、その間の賃金は国が会社に補償するという。さらに、〈家族単位で避難できる大型のテント、ベッド、エアコン、トイレなども各地に備蓄があり、2日間でおおむね行き渡った〉というから驚きだ。


 一方、日本人は体育館でお風呂も入れず、プライバシーもなく雑魚寝状態で寝泊まりすることを当たり前のように受け入れている。何度も大きな災害を経験しながら、避難所の様子は一向に変わることはない。とくに東日本大震災では、避難生活で体調を崩して死亡した「災害関連死」と認定された人は3700人にものぼり、熊本地震でも200人を超えた。東日本大震災の教訓が活かされていない証拠だ。


 そのため、国会でもイタリアのような対応がとれないかとたびたび言及され、たとえば今年2月15日の衆院本会議でも、イタリアを視察したという立憲民主党の高井崇志議員が、安倍首相に対して、こんな提言をおこなっていた。


「イタリアでは、災害発生から24時間以内に、被災を免れた近隣の自治体が、備蓄されたテント、ベッド、簡易トイレを大型トレーラーに積んで100人体制で被災地へ向かい、避難所の設営から運営まですべてを担います。日本とイタリアの最大の違いは、イタリアは、日本の人口の半分にもかかわらず、700名の専任職員からなる市民保護省があり、さらに、22の州ごとに地方支分部局があることです。

我が国の防災組織は、内閣府に100名ほどの組織があるのみで、その職員の多くは兼務であり、頻繁に人事異動で入れかわります。与党のなかにも防災省を提唱する方はたくさんいらっしゃいますが、イタリアのように専任職員による防災省を創設する考えはないか、総理に伺います」


●イタリアと同じような組織づくりを提案されても安倍首相は「必要性は低い」と一蹴


 日本の災害避難者が国際基準を明らかに下回る劣悪な環境に置かれる現状を考えれば、イタリアのように防災組織の抜本的見直しが必要なのはあきらかだ。しかし、この提言に対し、安倍首相の答弁は、まったく危機感のないものだった。


「行政府の防災や危機管理への対応に関しては、内閣総理大臣の指揮のもと、内閣官房や内閣府が中心となって、省庁横断的な取り組みをおこなってきております。現在の枠組み自体については、最近の大規模災害に際しても十分な機能を果たしたものと認識しており、新たに統一的な組織を設置する必要性は低いと考えております」


 前述したように災害関連死は熊本地震でも200人を超えている。西日本豪雨でもプッシュ型支援でミスマッチが起こったり、深刻な浸水被害を受けた岡山県倉敷市真備町のある避難所では簡単な間仕切りさえ設置されたのは避難所の開設から約1週間後だ。それでも、安倍首相は「現在の枠組みで十分な機能を果たした」と言い、抜本的な見直しはおこなわないと明言したのである。


 安倍首相がこうした姿勢をとりつづけるかぎり、災害大国・日本では、「雑魚寝が当たり前」の劣悪な避難環境の姿は変わることはない。昨年の西日本豪雨と同様、初動が完全に遅れた台風15号を含め、安倍政権による災害対応の問題には、もっと徹底した追及が必要だ。

(編集部)

外部リンク

cat_oa-rp95854_issue_203cd77c9ebb oa-rp95854_0_72ffed8b6716_安倍応援団が台風19号で「安倍政権が八ッ場ダムを復活させ氾濫防いだ」と失笑デマ! 安倍政権は治水予算を大幅減額 72ffed8b6716 72ffed8b6716 安倍応援団が台風19号で「安倍政権が八ッ場ダムを復活させ氾濫防いだ」と失笑デマ! 安倍政権は治水予算を大幅減額 oa-rp95854

安倍応援団が台風19号で「安倍政権が八ッ場ダムを復活させ氾濫防いだ」と失笑デマ! 安倍政権は治水予算を大幅減額

2019年10月16日 14:00 LITERA

 各地で大規模な水害をもたらしている台風19号。その混乱に乗じて、今回もネット上ではフェイクが飛び交っている。そのひとつが、群馬県長野原町の八ッ場ダムをめぐる「安倍首相が建設を再開してくれたから利根川氾濫を防げた」なるデマだ。


 どういうことか。八ッ場ダムは来春の運用に向けて10月1日から試験湛水を行っていたのだが、3〜4カ月で水位を最高まで上昇させる予定が、台風の記録的豪雨によって13日にはほぼ満水となった。その満水の画像がTwitterで拡散され、「下流の利根川が氾濫しなかったのは八ッ場ダムのおかげ」なる称賛の声が相次いでいるわけだが、そのなかでまたぞろ、民主党をバッシングし安倍政権を礼賛するこんな言説が巻き起こっているのである。


〈八ッ場ダム、一晩でこれだけ溜まったのか。 民主党が差し止めてなかったらすでに試験湛水は終わってた。今回の台風前になんとか間に合ったのは、安倍内閣がちゃんと予算をつけたおかげだ。〉

〈民主党が反対してた八ツ場ダムがなかったらもう利根川は氾濫してたやろなぁ〉

〈八ツ場ダムって民主党が潰そうとしてたやつかヌゥ…… あの時中止にしてたら、民主党の望み通り東京が壊滅してたかも知れんとか怖……〉

〈民主党政権が崩壊し、安倍政権で自民が政権を奪還してなければ、八ツ場ダムが今回の降雨を受け止めることはできなかったわけだ。ほんと、民主党のおかげで、また災害を増やすところだった。〉


 今回、八ッ場ダムの試験湛水が河川の氾濫防止にどれだけ寄与したかについては、専門家による科学的な分析と検証を待たなければならないが、いずれにしても、「民主党が無くそうとした八ツ場ダムを復活させた安倍政権のおかげ」なる言説は事実無根のデマである。


 そもそも、八ッ場ダムは旧民主党政権時代に建設中止になっていない。たしかに八ッ場ダム建設をめぐっては、計画により水没する地域から大きな反対の声があがっており、民主党は2009年の総選挙で「時代に合わない国の大型直轄事業は全面的に見直す」と宣言、そのひとつとして「八ッ場ダム中止」を掲げていた。実際、当時の八ッ場ダムは計画が50年以上経ってもなお未完成であり、“超高額の無駄遣い公共事業”の代名詞となっていた。しかし、その後、民主党政権下での再検証を経て、野田内閣が2011年12月に建設再開を決めた。つまり、「安倍自民党の政権交代によって八ッ場ダムは復活した」というのは、明確に事実と異なるのである。


 だいたい、八ッ場ダムを持ち出すこと自体、旧民主党叩きが目的の“為にする批判”としか言いようがない。繰り返すが、八ッ場ダム建設計画をめぐって国がダム調査を開始したのは1950年代のこと。そこから、中曽根内閣の1986年にやっと基本計画(約2110億円、2000年度完成予定)がつくられたが遅々として進まず、何度も計画を変更してきたという経緯がある。福田康夫内閣の2008年にも2015年度完成予定に変更しており、最終的な事業費は当初の2倍以上にも膨らんだ。


 ようするに、八ッ場ダム計画は、自民党を中心とする歴代政権下でずっと難航していた案件だったのだ。それを“旧民主党ディス”のために、さも安倍政権が建設再開を決定したかのような虚偽を垂れ流すのは、どう考えても悪質なネトウヨデマと断じざるを得ないだろう。


 しかも、今回の水害をめぐる“旧民主党ディス”のデマは八ッ場ダムだけではない。またぞろ「民主党がスーパー堤防を事業仕分けしなければ災害は防げた」なるネトウヨ定番のデマが流布しているのだ。


●「民主党政権がスーパー堤防を廃止したから氾濫が起きた」のネトウヨ定番デマも


 この件については本サイトでも以前、とりあげたことがある(過去記事参照https://lite-ra.com/2015/09/post-1473.html)。2015年9月の関東・東北豪雨で茨城県鬼怒川の堤防が決壊したことがあったが、このときもネトウヨたちは「民主党が事業仕分けでスーパー堤防を却下したからだ」なる主張をSNSで拡散していた。今回もまったく同じ流れだ。


 たしかに、民主党政権が2010年の事業仕分けでスーパー堤防を「廃止」と判定したことは事実だが、そもそもの話、スーパー堤防は完成までに400年以上の長大な年月と10兆円を超える莫大な金額がかかる試算された超巨大事業だ。仮に民主党が仕分けをおこなっていなくても、2019年現在までにスーパー堤防が機能していた可能性はゼロと言っていい。


 さらに、ネトウヨたちはあたかも「安倍政権は民主党政権がおざなりにした治水対策を徹底している」というふうに嘯くが、これもデータを見れば事実でないことはすぐにわかる。


 たしかに、民主党政権時代に治水関係の予算は減少した。だが、それは民主党政権になる前の自民党政権時代もそうだったのだ。約30年間のスパンで見ると、国交相の河川関係事業費のうち「治水事業等」にかかる年度予算は、1998年の32.5億円をピークに右肩下がりを続け、第一次安倍政権の2007年には15.3億円と半分以下にまで落ち込んでいる。


 そして、民主党政権から再び自民党政権に変わったことで治水予算が大きく増えたかというと、そうではない。実際、民主党政権下の最終年2012年に11.2億だったものが第二次安倍政権の2013年では8.9億円と前年比減。その後も、第二次安倍政権下では8億から9億程度で推移しており、これは民主党政権だった2010〜11年とたいして変わらないのである。


 もっとも、やみくもに金だけをかければよいというわけではないが、安倍首相の災害対策の意識低さを目の当たりにしてもなお、「民主党から安倍政権になってよかった!」と快哉を叫ぶ連中は、はっきり言って“頭の中がお花畑”だ。


 本サイトで連続追及しているように、先の台風15号の際、緊急閣僚会議も開かず、総理指示も出さず、国民から批判を浴びたにもかかわらず、今回の台風19号でも「やってる感」のポーズをとるだけ。実際には、台風が列島を直撃して甚大な被害が出ていた12日には私邸で“のんびり休養”状態で、なおも被害が拡大し救助を待っている人も大勢いた13日夜には“ラグビー日本代表おめでとう”のツイートをして大顰蹙を買った。


 しかも、人命救助の分岐点である発災後72時間以内に安倍首相が発したこのツイートは〈台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる〉などと、台風被害をすっかり収まった過去のこと扱いするもの。現実には、多くの地域で孤立状態で救助を待っていたり避難生活を強いられていたり、自宅の浸水や停電にみまわれている人々が多くいるにもかかわらず、だ。国の予算をかけた治水事業も検証せねばならないのはもちろんだが、なにより、この国の行政の長である安倍首相の“意識の低さ”こそ、致命的と言わざるを得ない。


 ネトウヨや安倍応援団はいま、安倍首相のおざなりな災害対策や意識の低さを無視して、デマでもはや10年も前の民主党政権を攻撃することで悦に入っているが、それがいかに愚かなことか自覚すべきだろう。今回の台風19号のような大規模災害は、またいつやってくるかわからない。本当に、安倍首相にこの国の災害対策を任せていていいのか。批判的に徹底検証しなければ、今回と同じ、いや、もっと甚大な被害を招く可能性は極めて高いのだ。

(編集部)

外部リンク

cat_oa-rp95854_issue_203cd77c9ebb oa-rp95854_0_21ec7da350d6_安倍自民党が台風被害対拡大の状況で予算委員会を強行! 二階幹事長の「まずまずに収まった」発言にシラを切る安倍首相 21ec7da350d6 21ec7da350d6 安倍自民党が台風被害対拡大の状況で予算委員会を強行! 二階幹事長の「まずまずに収まった」発言にシラを切る安倍首相 oa-rp95854

安倍自民党が台風被害対拡大の状況で予算委員会を強行! 二階幹事長の「まずまずに収まった」発言にシラを切る安倍首相

2019年10月16日 06:00 LITERA

 広範囲の地域で深い爪痕を残した台風19号は、発生から3日経ってもその被害の全容さえ掴めていない状態にある。しかも、今晩には人命救助の分岐点となる発災後72時間を迎える地域も多く、緊迫した状況だ。


 しかし、そんななかで、「そんなバカな」と言わずにはいられない事態が起こった。本日、国会で参院予算委員会が予定どおり開催されたのである。


 じつは、野党からは早い段階からきょうの参院予算委の開催を延期すべきという声があがっていた。たとえば、共産党は13日の会見で「政府は救命・救急活動、被災者の安全確保と復旧に全力をあげるべき局面」として与党に開催延期を要望。立憲民主党も同様に予算委延期を申し入れ、今朝おこなわれた与野党国対委員長会談でもあらためて申し入れがおこなわれたが、これを自民党が拒否。安倍首相はじめ全閣僚が出席して参院予算委が開催されたのだ。


 繰り返すが、発災から今晩で72時間を迎えるなかで、野党が主張するように、いま閣僚は国会審議よりも被災地の実態把握と被災者救援のための陣頭指揮をとるべきだ。にもかかわらず、それを与党自民党が拒否したのである。


 だいたい、9月9日に首都圏を直撃した台風15号のときは、9月中旬に野党が台風被害の対応を検証する閉会中審査の開催を求めたものの与党が先送りにし、開催されたのは10月1日になってのことだった。立憲民主党の蓮舫議員のツイートによると、与党が先送りにした理由は「(9月)27日で千葉県は停電解消見通し、1つの区切りを終わらせてから開会でいいのでは」というものだったというが、これは初動対応が完全に遅れ、その上、千葉県が大規模停電に見舞われている最中に内閣改造まで実施したことを非難されるのを恐れ、国民から批判の声が小さくなるまで時間稼ぎをしたのは明々白々だ。


 しかも、安倍自民党が今回、野党の開催延期を拒否したのも、結局は自分たちの私利私欲のためだ。いま召集されている臨時国会では、安倍自民党は憲法改正のための国民投票法改正案を強行的に成立させようとしている。ここで災害対応を理由に国会日程をずらせば、会期末までの成立が危うくなる可能性もあるため、予定どおりに参院予算委を開催したかったことは見え透いている。つまり、憲法改正に道筋をつけるために災害対応を後回しにしたのである。


 その上、予定どおり参院予算委が開催されれば、野党側は発災前に質問通告した内容も質問することになる。自民党がこの予算委の開催を強行したことを知らなければ、「なぜこんなときに被災地置き去りの審議をおこなっているのか」と野党に批判の矛先が向く。一方、安倍首相は答弁で「全力をあげている」とさえ言えばそれがニュースで映像として流れるのだから、何かと都合がいいのだ。


 いつもは開催を求められても拒否してばかりなのに、よりにもよって災害対応に集中すべきときに被災地よりも自分たちの都合を優先させ、国会を開く──。だが、そんな“棄民政権”ぶりは隠しきれず、安倍首相のきょうの答弁からもそれは滲み出ていた。


●野党が災害対応のために開催延期を求めた予算委員会を強行した安倍自民党


 たとえば、立憲民主党・福山哲郎議員は、質疑で“野党が開催延期を求めたのになぜ予算委開会を判断されたのか”と安倍首相に詰め寄ったのだが、安倍首相の答弁はこんなものだった。


「われわれは現在も懸命の救助活動をおこなっておりますし、政府をあげてまさに災害対策をおこなっております。一方、この委員会の開催については委員会がお決めになることであり、われわれは求められれば憲法の規定によって政府として答弁を申し上げている」


 開催延期を拒否したのは自民党なのだから、安倍首相の鶴の一声があれば委員会の延期はなされたはずだ。それを「自分は委員会の判断に従っているだけ」と、とぼけて責任転嫁。しかも、安倍首相はその後も、こんなことを言い出した。


「きょうは1時間、さらに災害についての審議が加わったわけですが、もちろん、これは職員にとってはですね、災害に対応しなければならない諸君がさらに答弁に対応するわけですが、たいへんでありますが、しかし、要求されれば誠実に対応しなければならないというのが私どもの立場であります」


 ようするに、きょう予算委を開いたことによって、本来なら災害対応に当たる職員たちが国会答弁の対応に当たらざるを得なくなったことを安倍首相は認めているのだ。つまり、それをわかっていながら、安倍首相は予算委開催を強行させたのである。


 しかも、耳を疑ったのは、13日、自民党の役員会で二階俊博幹事長が「いろいろ言われていたことからすると、まずまずには収まったと感じている」と述べた問題について追及を受けたときの発言だ。立憲民主党の杉尾秀哉議員が「この発言内容を聞かれて総理はどう思ったか」と言及すると、安倍首相はこう言い放ったのである。


「あの、私は、内容において……発言の中身について詳細について承知をしておりませんので、コメントは控えたいと思います」


 死傷者が多数出て、さらには甚大な被害が拡大中だというのに、「まずまずには収まった」などと述べることは被災地を蔑ろにする発言であり、無論、二階幹事長の発言はニュースとして伝えられ、問題視されてきた。なのに、安倍首相は「中身は知らないからコメントしない」と答弁拒否したのである。


●二階幹事長の「まずまずには収まった」発言を追及された安倍首相は


 その上、この無責任な態度に「何か一言あってしかるべきでは」とさらなる追及を受けると、安倍首相はダラダラとこんな話をはじめた。


「現在、政府としてはですね、政府としては、ひとりでも多くの命を救うために、夜を徹して、全力の対応をしているところでございます。私も、夜を徹して、昼夜を分かたず、作業をつづけるよう指示をしているわけでございまして、私たち政府としては、それに全力をあげているところでございます。そのなかでの、二階幹事長の発言について、ただいま杉尾委員が引用されたところでございますが、私自身はそれを確かめてもいないわけでございますし、それよりもですね、いま、私たちはとにかくですね、一日も早く不安のない生活を取り戻すことができるように、全力を尽くす。これが私たちの使命であろうと、こう思っているところでございます」

「まさにですね、えー、われわれ、この幹事長の発言については詳細について承知をしておりませんからコメントはできませんが、私たちはですね、とにかく“この程度であればよかった”ということはまったくないわけでございまして、いずれにせよですね、全力をあげて、いま、この瞬間もですね、対応しているわけでございますし、昨日、みなさまから質問通告をいただいたなかにおいてもですね、災害の責任者はですね、それに対応すると同時に、この災害にも全力で当たっているということでございます」


 幹事長の被災者蔑ろ発言について訊かれているのに、「確かめてもない」と言い張り、「それよりも」と話をそらす。しかも、「全力をあげている」「全力を尽くすのが私たちの使命」と言いながら、その中身は「夜を徹して、昼夜を分かたず、作業をつづけるよう指示」しているだけ。さらには、国会で答弁することさえも「災害対応」のひとつにあげて「全力でやっている」と言い張ったのである。


 まったく詭弁にも程があるだろう。つまり、安倍首相が言う「全力を尽くす」というのはこの程度のことでしかないのだ。実際、きょうの質疑の答弁によって、問題になっていた東京都台東区の避難所からのホームレス締め出し問題について、安倍首相も武田良太防災担当相も報道を見ただけで確認作業をいまだおこなっていないことが判明。情報集約をおこなう内閣府防災担当の人員が足りていないのではないかという野党の指摘によって、今回の台風19号で内閣府防災に増員されたのはたったの4人であることもわかった。


 ともかく、きょう参院予算委を強行したことによって、安倍首相の「全力を尽くす」という言葉がいかに空っぽなものであるかがはっきりした。救助を待つ人びとの存在を無視してラグビーの日本代表勝利に大はしゃぎする、あの姿こそが、やはりこの男の本性なのである。

(編集部)

外部リンク

cat_oa-rp95854_issue_203cd77c9ebb oa-rp95854_0_e49fe1108186_台東区“避難所ホームレス排除”に賛同する差別的主張が…ウーマン村本は「納税での選別」思想を真っ向批判 e49fe1108186 e49fe1108186 台東区“避難所ホームレス排除”に賛同する差別的主張が…ウーマン村本は「納税での選別」思想を真っ向批判 oa-rp95854

台東区“避難所ホームレス排除”に賛同する差別的主張が…ウーマン村本は「納税での選別」思想を真っ向批判

2019年10月15日 17:00 LITERA

 台風19号により全国各地で避難指示・避難勧告が出されたが、そんななか東京都台東区が、避難所でホームレスの受け入れを拒否するという信じがたい対応をとり、問題になっている。


 これは、路上生活者支援などをおこなう団体「あじいる」が、10月12日にツイッター、ホームページなどで報告し明らかになったものだ。「あじいる」のホームページによれば、上野駅や東京文化会館周辺で野宿者たちに食料やタオルを提供するとともに、台東区が設けていた自主避難所への避難を呼びかけていたところ、ひとりの男性が「その小学校に行ったけど、自分は●●に住民票があるから断られた」と消沈した様子で話したのだという。


 区の告知には住民票のことなど書かれておらず、驚いた「あじいる」スタッフが避難所に行き確認したところ、現場にいた区の職員は「住所の無い人は利用させないようにという命令」を受けていた。さらにその場で、台東区長が本部長となる台東区災害対策本部にも問い合わせたところ、「台東区として、ホームレスの避難所利用は断るという決定がなされている」という返答があったという。


「あじいる」スタッフは、ツイッターでも、こうした台東区の対応について〈事実上、台東区の災害対策は、ホームレスを排除しています。〉と批判した。


 実際、台東区の対応はまさに指摘の通りだった。避難所では名前・住所の記入を求め区内に住民票がないと答えたホームレスに対し「区民が対象」とし、受け入れを拒否。「区民が対象だから」とする一方で台東区は、区民ではない帰宅困難者や外国人旅行者向けの一時滞在施設も複数設けていたが、ホームレスの人たちをそちらへ案内することもしなかったという。


 しかも受け入れを拒否された79歳の男性が、「Buzz Feed」の取材に明かしたところによれば、一時滞在施設となっていた東京文化会館の入り口付近の壁に囲まれた場所に避難していると「ここは避難場所の入り口なのでここにはいないで下さい」と、施設付近から強制的に排除されたのだという。


 台東区は「差別ではなく、住所不定者をどうするかとの観点が抜けていた」などと釈明しているが、旅行者や帰宅困難者との対応の差を見れば「区の住民票の有無」など建前にすぎない。そもそも台東区には山谷もあり、ホームレスの存在が抜け落ちていたなどという言い訳は明らかにごまかしだ。


 台東区は、明らかにホームレスを差別し、排除したのだ。命の危険に関わる緊急事態のさなかに、ホームレスであることを理由に避難所から排除するというのは憲法25条で保障されている生存権の侵害であり、命の選別という究極の差別だ。到底許されるものではない。


 しかもこの差別方針は、混乱した現場担当者の偶発的不手際などではなく、区としてあらかじめ正式に決定していたもので、確信犯だ。「あじいる」スタッフの告発を受け、台風がまさに接近中だった12日に多くの人が抗議の声をあげたが、台東区がそのホームレス排除の方針を変更することはなかった。


●台東区へのグロテスクな賛同であふれかえったヤフコメ欄


 すべての人命を守るべき行政により公然と命が選別された。それだけでも深刻な事態だが、さらに暗澹とさせられるのは、この台東区の対応を擁護・支持する声がネットにあふれていることだ。


 たとえば、この経緯を報じたニュースのヤフコメ欄にはこんなコメントが並んでいる。


〈もし自分が避難所に避難して、狭か限られたスペースの中、横に路上生活者の人が来たらすごく嫌だし、安心して眠れない。〉

〈現実問題として避難所内でも事故や事件が発生します。偏見や差別ではないと思っていますが、身元が不確かな方がいると、やはりハイリスクと考えざるをえません。〉

〈なんだかんだ言っても、周りに路上生活者の人がいると安全面、衛生面、精神面で不安が生じると思います。

役所の人は避難している住民の方の気持ちを代弁してくれた、というように感じました。

普段は国民の3大義務を放棄しているのに、有事には権利を主張することに違和感を覚えます。よって私は区役所の方の行為に賛成します。〉

〈受け入れのキャパシティの問題があるのなら義務(就労、納税)を果たしている人を優先するのは仕方ないのでは?

税金を払ってるのに払ってない人のせいで行政の支援を受けれない方が問題だと思う〉

〈実際は身元もはっきりしない浮浪者を地域住民と一緒に収容するのは防犯上も問題があると思う。衛生面においても。〉

〈非情な意見だが住民登録があり、きちんと税金を払っている人が優先的に避難所を利用できる様にすべきであり、権利があると思う。

人命も大事だと思うが、人命という大義名分がまかり通るならホームレスで避難があふれる。

ちゃんと税金も納め、頑張っている人が利用出来ずにバカを見る世の中にはなって欲しくない。〉


 念のために言っておくが、これはひどい意見をわざわざ選んでいるわけではない。台東区の対応を批判する声はほとんどなく、「受け入れ拒否は当然」と、むしろホームレスの人や支援団体のほうを非難する声ばかり。


 ここは本当に近代民主主義国家なのだろうか。「ホームレスの人がいると衛生や防犯が心配」などという剥き出しの差別心を公の場で発露することになんの躊躇もない人間がこんなにたくさんいるとは、近代民主主義国家どころか差別大国としか言いようがない。


●ウーマン村本「税金は払える人が払えばいい。誰であっても見捨ててはいけない」


 こうした差別心を正当化しているのが、「税金を払っていないから当然」というトンデモ論理だ。


 基本的人権というのは、税金を納めた人にだけ与えられる特権などではなく、納めている税金の多寡や就労の如何にかかわらず、すべての人に保障されているものである。公共サービスを受けることは納税の対価ではない。ましてや、今回は史上最大級の台風が直撃し人命に関わる事態だ。税金の多寡つまりは収入の多寡によって、命の選別がなされていいわけがない。たとえば、避難所のキャパシティに限りがあるからといって、納税額や収入の高い者から順番に受け入れ、収入の低い者は切り捨てられると言われて、納得できる人などいるのだろうか。


 税金を払っていないホームレスに避難所を使わせる必要はないというこうした意見に対して、ウーマンラッシューアワーの村本大輔がこんな正論をツイートしていた。


〈ホームレスを区が受け入れないのは税金を払ってないからというツイートをみた。おれは高い税金を払ってる。それは税金を払えない人の分も負担させてもらってる。だから社会ってのは税金を払ってない人もいていい場所。税金は払える人が払えばいい。社会は誰であっても1人も見捨ててはいけない。〉


〈税金を払えない人たち、その身内が心苦しくなるような空気を作るな。アホ。〉


〈このツイートでおれのことを偽善者というやつがいる。偽善綺麗事は余裕あるやつが言えばいい。言えないやつは余裕ができてからでいい。お金、心、余裕があるやつが配ればいい。ないやつは出来た時に配ればいい。誰も悪くない〉


〈生まれたときから障害を持って親に捨てられてホームレスになった人もいる。彼は死んでいいのか?おまえもおれもいま稼いで税金払ってるのはたまたまな。明日交通事故にあって動けなくなって社会が見放したときに何を思う。色んな人がいる。もちろんおまえみたいな考えも。それはそれでいい。〉


●排除はホームレスだけじゃない! 日本の避難所は海外に比べあまりに劣悪


 国民の命と安全を守ることは近代国家の最低限の責務だ。税金を納めた者だけが享受できる特権ではない。しかし、現実にはこうした正論は全く届かず、税金を払っていないというだけで攻撃され、被災したホームレスや貧困者が行政から見殺しにされても自業自得、そんな差別思想がまかり通るようになった。


 いや、排除されているのは、ホームレスだけではない。この国では、被災者全体が十分な保護や保障を受けられられず、放置されている。


 たとえば、ホームレスが排除されたその避難所一つとってもそうだ。日本人は体育館でお風呂も入れずプライバシーもなく雑魚寝状態で寝泊まりすることを当たり前のように受け入れているが、国際基準で考えれば、こんな避難所しか用意されていないということ自体、ありえない。


 弁護士の大前治氏は「現代ビジネス」で、日本の避難所の生活環境が、海外の避難所にくらべて、かなり劣悪であることを指摘している。


〈日本と同じ地震国であるイタリアでは、国の官庁である「市民保護局」が避難所の設営や生活支援を主導する。2009年4月のイタリア中部ラクイラ地震では、約63,000人が家を失った。これに対し、初動48時間以内に6人用のテント約3000張(18,000人分)が設置され、最終的には同テント約6000張(36,000人分)が行きわたった。

このテントは約10畳の広さで、電化されてエアコン付きである。各地にテント村が形成され、バス・トイレのコンテナも設置される。

ただし、テントに避難したのは約28,000人であり、それより多い約34,000人がホテルでの避難を指示された。もちろん公費による宿泊である。

(「現代ビジネス」2018年7月10日)


 これはイタリアだけが特別被災者にやさしいというわけではなく、日本の避難所が国際基準以下、難民キャンプ以下なのだという。


〈災害や紛争時の避難所について国際赤十字が提唱する最低基準(スフィア基準)は、次のように定めている。

・世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する

・1人あたり3.5平方メートルの広さで、覆いのある空間を確保する

・最適な快適温度、換気と保護を提供する

・トイレは20人に1つ以上。男女別で使えること

これは貧困地域や紛争地域にも適用される最低基準である。経済力の豊かな日本で、この基準を遵守できないとは思われないが、実際には程遠い。〉(「現代ビジネス」2018年7月10日)


●小泉政権で始まった自己責任論は安倍政権で自然災害被害者にまで広がった


 なぜ、日本ではこのような劣悪な環境が当たり前のように放置されているのか。そして、その劣悪な避難所にすら、「税金を納めている人間以外入れるな」というグロテスクな考え方が広がっているのか。


 背景にあるのは、明らかに小泉首相から始まり、安倍政権で拍車がかかっている新自由主義政策、そしてその政策が生み出した弱肉強食的な価値観と自己責任論だ。


 自由競争を野放しにして格差、貧困を広げる一方で社会保障を「自己責任」として切り捨てるこの方針は十数年で、様々な制度に反映され、国家が公的責任を逃れ、個人にすべての責任を押しつける傾向を助長させてきた。


 しかも、安倍政権はさらにそれをエスカレートさせ、生活保護受給者やホームレスだけでなく、自然災害の被災者にまで、自己責任を押し付けるようになっている。


 たとえば、昨年3月に内閣府防災担当が出した「避難勧告等に関するガイドライン改定」の冒頭に〈「自らの命は自らが守る」意識の徹底〉が謳われている。警報を出すが、出したあとは、自己責任でやってくれ、ということだ。


 また先月、福島県議会が、東日本大震災・福島原発事故での自主避難者に無償提供していた国家公務員宿舎からの退去を求め提訴する議案を可決したが、被災者をまるで“不法占拠者”のように扱うこの措置の背景にも政府・財務省の意向があったことがわかっている。


 これはおそらく、安倍首相の思想、体質がもろに反映されたものだろう。本サイトでも繰り返し指摘しているが、安倍首相は、大災害が起きても、平気でお友達と会食をしたり、ネトウヨネット番組に出演したりという、被災者をないがしろにする行動を繰り返してきた。そして、先の台風15号では関係閣僚会議も開かず、総理指示も出さず被害を拡大させ、今回の台風19号でも、13日夕方、まだ被害が拡大し、救出作業が続いているのに、とっとと私邸に帰り、ラグビー観戦。日本代表の勝利に大はしゃぎして、〈台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる〉などと、台風被害を過去のもの扱いするツイートを投稿した。


 何度批判されても迅速な災害対応がとれず、相変わらずこういう態度を続けているというのは、安倍首相自身が「自然災害も自己責任なのになんで国が面倒を見なきゃいけないのか」と考えているからだ。


●政権に乗せられた被災者、ホームレスへの攻撃は国民自身に返ってくる


 そして、こうした安倍首相の姿勢はその支持者に広く行きわたっている。今回の台風についても、安倍首相の支持者たちは、おそらく心の中でこう考えているはずだ。災害に耐えうる建物に住まないのが悪い。災害インフラの弱い地方に住んでいるのが悪い。ハザードマップを見れば危ないところだってわかるのにそんなことも調べずに住むのが悪い。引っ越さないのが悪い。


 誰もが都心の安全な場所の頑丈な建物に住むお金があるわけではない、ということも理解せず、「そのお金がないのは、本人の自己責任」「被災して生活が立ちゆかなくなるような資産形成しかしてこなかったバカや怠け者のために、なぜ税金を使わなければいけないのか」。それが彼らの本音なのだ


 だからこそ、台東区の避難所からのホームレス排除を「税金を納めていないのだから当然」などという声があんなに大量に湧き上がってくるのである。連中にとって、自助で生活を再建することのできない被災者は、“たかり”でしかないのだ。


 これはもちろん、安倍首相自身もそうだろう。安倍首相は今日の国会でホームレス排除についても問われたが、「各避難所では、避難した全ての被災者を適切に受け入れることが望ましい」などと建前的なことを、しかも「望ましい」という他人事な表現で口にしただけだった。


 こうした思想を持つ総理大臣が支配している以上、今後も「税金を納めていない人間」の排除はどんどん進むだろうし、避難所の生活環境が改善されることもありえない。それどころか、もし避難所の改善を訴えようものなら、「何を贅沢を言っているのか」と炎上し、避難生活を送る人たちに「普段の生活よりいい生活しやがって」「焼け太り」「税金泥棒」などの罵詈雑言が浴びせられることになるだろう。


 しかし、政権や富裕層にとって都合がいいだけのこんな詐術に乗せられて、弱者に刃を向け続けた結果、いったい何が起きるのか、国民はわかっているのだろうか。有名なニーメラーの警句ではないが、ホームレスを「自己責任」と断罪し「くさい」だの「怖い」だの差別心丸出しで攻撃している者も、次に災害が起きたときに切り捨てられるのは自分かもしれないことを肝に銘じておいたほうがいい。

(編集部)

外部リンク

cat_oa-rp95854_issue_203cd77c9ebb oa-rp95854_0_e2e7bd06cd16_安倍首相が台風被害拡大の中「ラグビー」勝利に大はしゃぎツイート! 「夜を徹して救助」命じながら自分は私邸に帰り試合観戦 e2e7bd06cd16 e2e7bd06cd16 安倍首相が台風被害拡大の中「ラグビー」勝利に大はしゃぎツイート! 「夜を徹して救助」命じながら自分は私邸に帰り試合観戦 oa-rp95854

安倍首相が台風被害拡大の中「ラグビー」勝利に大はしゃぎツイート! 「夜を徹して救助」命じながら自分は私邸に帰り試合観戦

2019年10月15日 06:00 LITERA

 東海、関東・甲信越、東北をはじめとして広範囲にわたって大きな爪痕を残した台風19号の被害が拡大しつづけている。NHKの本日20時台の情報では、全国で58人が死亡、14人が行方不明。さらに、関東甲信越や東北といった被災地では今晩、雨が降っており、さらなる川の増水や土砂災害に心配の声が集まっている。


 いまだに被害の全容さえはっきり見通せていない台風19号だが、しかし、そんななかで、安倍首相から思わず目を疑うようなツイートが投稿された。


 いまよりもっと深刻な状況だった昨晩21時56分、安倍首相はこんなツイートをおこなったのだ。


〈東日本大震災でもスポーツの力を実感しましたが、世界の強豪を相手に最後まで自らの力を信じ、勝利を諦めないラグビー日本代表の皆さんの勇姿は台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれるものだと思います。日本代表初の決勝トーナメントでのご活躍を期待しています。〉


 そう、安倍首相は人命救助の分岐点である発災後72時間以内という一刻を争うなかにあって、ラグビー日本代表のスコットランド戦勝利に大はしゃぎ。〈台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる〉などと、台風被害をすっかり過去の扱いにして、上から目線で被災者を説教したのである。


 当然、このツイートに国民からこんな批判が殺到した。


〈おかしいよ。。。被災地の人はラグビーどころじゃない。自分の家が浸かってるのに。絶対配慮ない。〉

〈亡くなったり怪我をされた方々、家や車が流されたり水浸しになった方々が多数いる。避難所で同じ事を言えますか?〉

〈被災された方々は、正直それどころではないと思います。そういう想像力をもたないあなたは、総理の資格はありません。即刻お辞めになるべきです。〉

〈年月を経過した時に言う言葉だよ。被災直後に一国の首相が口にする言葉じゃない。〉

〈被災者はラグビーを見ている余裕などありません。ましてや家族を亡くしたり、家族の行方がわからない人の不安や悲しみが癒されるはずもありません。言葉が軽すぎます。〉


 まさに指摘のとおりだろう。安倍首相のツイートが問題なのは発災から時間が経っていないというだけではない。昨晩のこの時間帯、利根川では氾濫危険水位に到達したことから、千葉県成田市や千葉県香取市、千葉県銚子市といった地域で警戒レベル4の避難勧告が出されていた。また、宮城県丸森町や長野県長野市をはじめとして多くの地域で孤立状態に陥いっていた人びとも数多く存在し、たとえば長野市の介護医療院で取り残されていた人びとは〈停電が続いて食べ物が足りず、患者たちはゼリーなどでしのいだ〉(朝日新聞デジタル14日付)という。さらに、経産省の14日7時発表の情報でも停電戸数は約9万戸に達している。


 つまり、多くの人びとが危険と隣り合わせで救助をひたすら待ち、避難所で不安な夜を過ごし、あらためて言及するまでもなく大事な人を災害によって失ったり安否が確認できない、そんな状態のなかにある人がいた。そうでなくとも、多くの人びとが被災している真っ最中にあり、停電でスポーツ観戦しているような環境にはなかった。


 ようするに、この国の総理大臣はそうした被災者の存在を一顧だにしていなかったのだ。無神経、無責任にもほどがあるだろう。


●冷酷は安倍だけじゃない 自民党・二階幹事長は台風被害を「まずまずには収まった」


 いや、問題はツイートの内容だけではない。安倍首相はこの日、総理大臣の行動としても、本当に被災者を見捨て、ラグビーに夢中になっていた。


 16時44分からおこなわれた非常災害対策本部会議で「とにかく人命第一だ。浸水により孤立した住宅などからの救助や、安否不明者の捜索に全力で当たってもらいたい」「夜を徹して作業に当たってほしい」などと指示しておきながら、安倍首相自身はなんと、17時34分に首相官邸を後にし、富ヶ谷の私邸に帰宅してしまっていたのだ。そして、ラグビーの試合が終わったわずか約10分後に、くだんのツイートが投稿された。


 18時過ぎに安倍首相の帰宅を首相動静で知って、ツイッター上では、「ラグビーを見るために帰ったんじゃ」「まさか今頃、私邸でラグビーを観戦しているんじゃ」という疑念の声が広がっていたが、本当に安倍首相は、夜を徹して救助作業に当たっているスタッフをよそに私邸に戻り、テレビで呑気にラグビーワールドカップの日本戦を観戦していたのである。そして、台風上陸時には一切何も発さなかったというのに、日本代表が勝利するとすぐさまツイートを更新し、〈被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれるもの〉などと無神経の極みである投稿をおこなったのだ。


 本サイトでは安倍首相が今回の台風19号で見せた「やってる感ポーズ」について、台風15号のときの対応を批判されたためアリバイ的にやっているだけで、実際はなんの中身もなかったことを指摘。首相自らが国民に最大級の警戒を呼びかけるべき状況だった12日、会見どころか、避難を呼びかけるツイートひとつしなかったことについて、国民から「首相の声が聞こえてこない」「安倍首相には国民に寄り添う姿勢がない」という声が上がっていることを伝えた。そして、〈安倍首相の災害への無関心の根底には、おそらく、自然災害による被害も国民の自己責任という残酷な思想がある。だからこそ、何度批判されても迅速な災害対応がとれないばかりか、被災地を蔑ろにするような言動を平気でとるのだ〉と批判した。


 今回、被災地を引き合いに出してまでラグビー日本代表の勝利に小躍りしてみせた行動を見れば、その指摘の正しさがわかってもらえるはずだ。


 しかも、この被災者への冷酷と無責任は安倍首相にかぎった話ではない。13日、自民党の役員会では、二階俊博幹事長が「いろいろ言われていたことからすると、まずまずには収まったと感じている」と発言した。死傷者が多数出て、さらには甚大な被害がおよんでいるというのに、「まずまずには収まった」などと述べることは被災地を冒涜する発言であり、責任問題に発展する暴言だが、この無責任さこそが安倍政権の姿勢なのである。


 災害が多発するこの国で、このまま安倍首相とその一味に災害対応を任せていいのか。対応の検証とともに、国民ひとりひとりがよく考えてみるべきだ。

(編集部)

外部リンク

cat_oa-rp95854_issue_203cd77c9ebb oa-rp95854_0_6108d0cdd00c_「表現の不自由展」再開で立川志らくと竹田恒泰がそっくりな“小学生以下”妄言!「だったら殺人も核戦争も『表現の自由』か」 6108d0cdd00c 6108d0cdd00c 「表現の不自由展」再開で立川志らくと竹田恒泰がそっくりな“小学生以下”妄言!「だったら殺人も核戦争も『表現の自由』か」 oa-rp95854

「表現の不自由展」再開で立川志らくと竹田恒泰がそっくりな“小学生以下”妄言!「だったら殺人も核戦争も『表現の自由』か」

2019年10月14日 16:00 LITERA

 8日に展示を再開したあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」。しかし、文化庁があいトリへの助成金交付を中止し、河村たかし市長が座り込みをするなど、政治の圧力は相変わらずだ。しかも、この再開にいきりたった安倍応援団や極右文化人からは、信じられないくらい幼稚で頭の悪いいちゃもんが噴き出ている。


 その筆頭が、自称“明治天皇の玄孫”の竹田恒泰氏。11日、昭和天皇の肖像が焼かれる映像を含んだ大浦信行氏の作品「遠近を抱えて PartⅡ」をやり玉に挙げる形でこうツイートした。


〈津田大介氏は、昭和天皇の写真を焼く動画について、芸術性があるというが、ではヘイト性は無いのか?仮に一握りの人にとって芸術であっても大多数にとってヘイトなら、公共施設に展示するのは反社会的行為。氏の言うことが正しければ虐待やポルノ、殺人映像も表現の自由なのか?〉

〈昭和天皇は私の親戚である。その昭和天皇を侮蔑し名誉を毀損する展示に対して私は深く傷ついた。皇族方の多くも同じように傷ついたに違いない。一般人なら間違いなく遺族が訴訟する。皇室が起訴しないことを良いことにあの展示をしたのだろう。津田大介氏は卑怯の極み。彼は加害者である。〉


 さんざん在日韓国人をヘイト攻撃している輩が、何を言っているのかと呆れるが、それ以前に、この人、相変わらずヘイトの意味をまったくわかっていないのである。ヘイトスピーチというのは、人種、性別、民族、性的指向などの属性を一括りにして「犯罪を犯す」だの「病気」だのとレッテル貼りをし、差別を扇動する竹田のような言説を指すのだ。単なる罵倒や暴言のことではないし、国の権力や権威の象徴の写真を焼くというのは、政治的表現であって、ヘイトでもなんでもない。


 さらには〈虐待やポルノ、殺人映像も表現の自由なのか?〉って、虐待や殺人は刑法違反じゃないか。法学部出身のくせに、表現と犯罪行為の区別もつかないのか。ていうか、この反論、注意されてムキになった小学生と同じレベルだろう。

 

 しかも、噴飯ものなのが〈昭和天皇は私の親戚である〉〈その昭和天皇を侮蔑し名誉を毀損する展示に対して私は深く傷ついた〉なる発言だ。今更だが、昭和天皇は公人中の公人であり、しかも、数百万人の日本人を死なせ、周辺諸国に数千万人の犠牲を出した先の戦争の責任を問われている人物なのだ。それをまるでただの“親戚のおじいちゃん”みたいな扱いで、「名誉毀損」とか「侮辱」って、いったい天皇をなんだと思っているのか。


 だいたい、あんたみたいな無知無教養な人間が「昭和天皇の親戚」「明治天皇の玄孫」などという謳い文句を使っていることのほうがずっと皇室に対する名誉毀損だろう。しかも、竹田氏はある時期まで、“旧皇族”などというまったく虚偽の肩書で自己宣伝していた。そんな人物に、「私は深く傷ついた」などと、被害者ヅラする資格があるのか。


●韓国人ヘイト常習の百田尚樹は「人種差別やヘイトも可能になります」 どの口で言う?


 だが、こんな妄言を吐いているのは竹田氏だけではない。たとえば、すっかり“安倍応援団ジャーナリスト”となってしまった門田隆将氏も〈人を傷つけたり、尊厳を踏みにじったり、嘲笑ったりするものが芸術として税金で展示されるなら、日本は幼児ポルノでもカニバリズム作品でも何でも認められる事になる〉(10月11日)とツイート。


 こういう時には必ずツッコミどころ満載の暴言を吐く百田尚樹氏もやはり、〈芸術という看板を掲げれば、何を表現してもいいわけではありません。そんなことが「表現の自由」として認められるなら、アート作品と銘打って、人種差別や民族ヘイトなど、なんでも可能になります〉(8月9日)などと投稿してきた。


「人種差別やヘイトも可能になります」って、中国、韓国への人種差差別を口にし、犯罪が起こるたびに「在日の仕業」などとヘイト発言をしてきたのは百田自身ではないか。


 しかも、百田氏と門田氏は、9月3日の『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)で、「週刊ポスト」(小学館)が韓国人ヘイトの特集を組んで炎上した件について、「読みました。全然ヘイトでもなんでもないですね」(百田)、「日本では韓国への批判はヘイト(と言われる)。日本批判、日本を貶めるのは表現の自由という二重基準があります」(門田)などと意気投合していた。


 つまり、彼らに言わせれば、「韓国人への差別を扇動する言説」はヘイトスピーチではなく「表現の自由」であり、逆に「日本の権力や権威への批判」がヘイトスピーチになるらしい。


 なんという倒錯。こいつらは、表現の自由が民主主義を成立させる基盤として生まれた権利であり、自国の権力や権威に対して自由に批判できることこそが本質であることをまったく理解していないのだ。いや、理解していないのでなく、わざと混同させて、権力や為政者に対する批判を「不敬」「権威を傷つける」という理由で取り締まることのできる、戦前のような国家に戻したいのだろう。


 まったくタチが悪いとしか言いようがないが、それでもヘイト雑誌『WiLL』(ワック)や『Hanada』(飛鳥新社)常連の極右論客がほざいているだけなら、まだ「こいつらバカか」と呆れるだけですむ。問題は、地上波の情報番組MCを務める人間までが、この連中とそっくりな幼稚な妄言を口にしていたことだ。


●立川志らくは自分が批判されると「私の意見だって表現の自由」と被害者ヅラ


 他でもない、落語家の立川志らくのことだ。本サイトでは先日、志らくがあいちトリエンナーレを巡って、『グッとラック!』(TBS)で津田大介氏と討論し、そのなかで“子どもの虐待映像を見せるのも表現の自由なのか!”などと食ってかかったうえで、「政府がまだ認めていないものを芸術だって言い張っちゃう(のはダメだ)」と“独裁国家の検閲官なみの芸術観”をひけらかしたことを伝えた(https://lite-ra.com/2019/10/post-5018.html)。


 この志らくの発言には、SNSでも多くの批判が集まったが、志らくはその後も懲りることなく、自身のTwitterでこんな反論をしたのだ。


〈演劇でもなんでも国からお金をもらうというのは大変なこと。連中は都合が悪くなると表現の自由だと騒ぎだす。〉

〈表現の不自由展なんか認めない!という私の意見だって表現の自由だろうに。なんで自分たちは非難されるとそれを攻撃してくるんだ?トンチンカンも大概にしろ。税金使わず勝手にやりゃあいい。文句があるなら仲間だけで愚痴り合えばいい。〉(11日)


 もちろん、志らくが「表現の不自由展なんか認めない」と発言するだけなら表現の自由だ。しかし繰り返すが、志らくは政府が認めていないものを芸術というな、などと、権力の表現への介入や圧力を正当化する、まるで独裁国家の検閲官みたいなことを言い出したのである。だから、多くの良識ある視聴者がやはり表現の自由に基づき、「こんな発言はありえない」と批判した。それだけのことじゃないか。


 自分が表現の自由への圧力を正当化しておいて、自分が批判されると被害者ヅラ。こんなことで文句を言うなら、それこそ情報番組のMCなんてやめて、安倍応援団仲間と愚痴ってろって話だ。


 あげく、志らくはこんなツイートまで繰り出している。


〈煽り運転の運転手が煽るのが俺の表現だ!路上で下半身をさらけ出すのも表現だ!激辛カレーを教師に食べさせるのも表現だ!殺人も表現だ!戦争も核兵器投下も表現だ!と言い始めたら?世の中めちゃくちゃになります。〉(11日)


 先に〈虐待やポルノ、殺人映像も表現の自由なのか?〉とツイートした竹田恒泰のことを「小学生の屁理屈」レベルと言ったが、志らくも見事に同じ発想(笑)。と言うか、志らくの場合は、〈戦争も核兵器投下も表現だ!と言い始めたら?〉などと、個人でなく国家の行為まで持ち出しているから、「小学生以下」と言ってもいいかもしれない。


 しかし、問題は、連中の頭の悪さや悪質なすり替えそれ自体ではない。少し前なら、一笑に付されたようなこんな妄言が堂々と地上波で流され、一定程度の支持を得ていることだ。


 歴史が証明しているように、公権力は、一足飛びに人々の自由を弾圧しようとはしない。まずは大衆の“自主規制”を誘導し、自分たちの意思で自由を制限しているように錯覚させる。そうして与しやすくしたうえで立法権や行政権を濫用し、政府に批判的とみなした人々をじわじわと締め上げていくのだ。


 だからこそ、わたしたちは鋭敏に反応し、その都度、反論の声をあげなければならない。まちがっても、表現の自由を抑圧する言説を歓迎してはいけないのである。本サイトは今後も、竹田恒泰や立川志らくのような人たちが拡散する言説の誤りを徹底的に追及してゆくつもりだ。

(編集部)

外部リンク

cat_oa-rp95854_issue_203cd77c9ebb oa-rp95854_0_af1bf5e6b434_安倍首相が今日になって「やってる感」アピールも、台風襲来最中の「休養」に批判殺到! 立川談四楼は「寄り添う気がない」 af1bf5e6b434 af1bf5e6b434 安倍首相が今日になって「やってる感」アピールも、台風襲来最中の「休養」に批判殺到! 立川談四楼は「寄り添う気がない」 oa-rp95854

安倍首相が今日になって「やってる感」アピールも、台風襲来最中の「休養」に批判殺到! 立川談四楼は「寄り添う気がない」

2019年10月13日 23:00 LITERA

 記録的な豪雨と暴風をもたらした台風19号。一度の災害では過去最多となる13都県に大雨特別警報が発表されたように広範囲で被害をおよぼし、千曲川をはじめ多くの河川で堤防が決壊。長野県や福島県、栃木県、埼玉県、東京都などで氾濫による冠水被害が報告され、NHKの報道では死者数は24人、17人が行方不明(18時09分現在)。いまも孤立状態となった人びとの救助活動がおこなわれている。


 先の台風15号のときは、緊急閣僚会議も開かず、総理指示も出さずに、国民から批判を浴びた安倍首相だったが、今回はさすがに11日に関係閣僚会議を開き、今日の9時すぎから台風19号にかんする関係閣僚会議を開催。本日の会議では非常災害対策本部を設置することを発表し、「一刻も早い回復に向けて関係機関、事業者による復旧活動に政府も全力で協力する」と述べた。


だが、ネット上では「いまごろかよ」「昨日は何をしてたんだ」という怒りの声が上がっている。というのも、安倍首相が「災害対策やってる感」を出し始めたのは今日からで、台風19号が列島を直撃して被害が次々と発生していた12日は“のんびり休養”状態だったからだ。例えば、12日の首相動静を見ると、こんな感じだ。


〈午前8時現在、公邸。朝の来客なし。

午前中は来客なく、公邸で過ごす。

午後も来客なく、公邸で過ごす。

午後10時現在、公邸。来客なし。〉(時事通信)


 こもっていたのが私邸と公邸という違いはあるが、15号のときと同じく災害対策で会議を開いたり、専門家やスタッフなどと相談をした形跡は見えてこない。15時30分に一応、総理指示を出したが、それも7月20日の台風5号のときとほとんど同じ文面にすぎなかった。


 さらに、批判を浴びているのは安倍首相のTwitter発信だ。安倍首相は9日、吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞した際にすばやく〈吉野博士、ノーベル化学賞受賞、誠におめでとうございます〉と投稿したきりで、きょうまでツイートはゼロ。関係閣僚会議を開いた今朝になって〈台風19号により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されたすべての皆様にお見舞いを申し上げます〉〈先ほど関係閣僚会議を開催したところであり、今後も、機動的に体制を強化します〉などと台風関連のツイートを連投しはじめた。


 言っておくが、今回の台風19号は上陸前から気象庁が臨時会見を開き、1200人を超える犠牲者を出した狩野川台風に匹敵するとして最大級の警戒を呼びかけ、昨日も「特別警報が発表されてからでは避難が困難」として、「避難勧告等(警戒レベル4)に直ちに従い緊急に避難して」とアナウンスしていた。この危機感を認識しているのであれば、本来なら、こういうときこそ、総理大臣は会見を開き、テレビに出て、国民に呼びかけるべきだろう。


 ところが、安倍首相は会見どころか、ツイートさえしなかった。ラグビーワールドカップでの日本勝利や日本人のノーベル賞受賞の際にはすばやくお祝いツイートをしているのに、だ。


●12日に沈黙した安倍、菅に「顔が見えない」「国民に寄り添う気ない」の非難ツイート


 こうした安倍首相の姿勢に、台風が直撃した12日、Twitter上ではこんな批判の声が上がっていた。


〈こんなに凄まじい被害なのに安倍も菅も今井もニュースに顔を一切現さない。よくわからないけど、これが普通なのでしょうか??〉

〈安倍晋三の防災嫌いはちょっと異常なんじゃない?〉

〈これだけ大きな災害に直面しても何の声明も出さない安倍晋三。余計な発言して失点するくらいなら何もしないほうがよい、って考えなんだろうな。ほんとにこんな人が国家元首でいいわけ?〉

〈安倍首相のツイッター、なぜ台風のことを何も呟かないんだ?ラグビーで日本代表が勝った時はすぐツイートしてたのに。千葉の台風被害に関しても言及なかったよね。未だに政府は災害対策本部を設置してないらしいし、理解できないんだが。〉

〈今、安倍晋三のツィッター見に行ったらラグビーとノーベル賞のことしか呟いてなかった。この人の職業ってなんなんだろう。〉

〈安倍首相は「悪夢の民主党政権」とよく揶揄するが、311 の対応で色々な問題はあったにせよ、少なくとも当時の枝野官房長官や菅首相は繰り返し会見を開き、国民に語りかけてはいた 現政権は普段は「先頭に立つ」や「責任を果たす」など、威勢の良いことを言うが、この危機の中、彼らの顔が全く見えない〉


 さらに、正鵠を射る批判をしたのが、落語家の立川談四楼だ。同じ立川一門でも、政権たいこもちの立川志らくと違って、反骨的なツイートで知られる談四楼だが、本日、こんなツイートをした。


〈被害が進む中、安倍さんは公邸で休養していたという。菅官房長官ともどもなぜ表に出てこないのか。テレビやラジオを通じて「国がついてますよ、もう少し頑張ってください」と言えばどれだけ励まされるか。それどころでなくても後日にそれを知ることの価値は大きいのだ。やはり寄り添う気はないんだね。〉


●安倍首相「災害ないがしろ」の歴史 国民が被災してもオトモダチとの会食優先


 実際、安倍首相が災害になんの関心もないことは以前から指摘されており、大災害のたびに被災者をないがしろにしているとしか思えない行動を繰り返してきた。たとえば、2014年2月に起こった山梨県の豪雪では、その最中に支援者らと赤坂で天ぷら料理に舌鼓を打っていたし、同年8月の広島土砂災害では「災害応急対策に全力で取り組む」と宣言したあと、富士桜カントリー倶楽部で日枝久・フジテレビ会長(当時)や笹川陽平・日本財団会長らとゴルフを楽しみつづけた。


 さらに2015年の関東・東北豪雨では、孤立して救助を待つ人びとや不明者も多数いたというのに、インターネットテレビ「言論テレビ」に生出演して櫻井よしこや田久保忠衛・日本会議会長とともに安保法制の必要性をアピール。


 2017年も、G20首脳会談出席のための外遊中に九州北部豪雨が発生したが、G20閉会後も外遊を続行。緊急性もない外遊から帰国しなかったのは、加計問題追及の閉会中審査に出席したくないからなのは見え見えだった。


 さらに赤坂自民亭への批判もさめやらぬ昨年9月、関空など西日本を直撃した台風。台風直撃の翌日、平成最大規模の約50万軒で停電がつづき、関空にも多くの人が取り残されているなか、安倍首相はなんと総裁選の票固めのため新潟県に。ホテルの宴会場で開催された「安倍総裁の3選を実現する新潟県民の集い」に出席したのだった。


 そして、今年9月の台風15号。安倍首相は事前に関係閣僚会議も開かず、総理指示も出さず、非常災害対策本部を設置することもせず、そのことで停電復旧が長引き、10日には熱中症による新たな犠牲者まで出す事態となっているにもかかわらず、上陸2日後の11日内閣改造を強行。ところが、安倍首相は初動対応の遅れを批判されても、相変わらず関係閣僚会議の開催を拒否し、ついには自身のTwitterアカウントでも台風15号に一切言及することなく現在にいたっている。ようするに、途中で態度を変えると、初動対応の遅れを認めることになるため、保身のために台風15号を「たいした災害でない」ことにして押し切ってしまったのだ。


●安倍首相の根底にある「自然災害による被害も国民の自己責任」という残酷な思想


 もう何度も指摘してきたことだが、安倍首相が大事にしているのは、自分の権力維持と極右思想実現、お友だちとの付き合いだけであって、国民の生命のことなんて微塵も考えていない。だからこそ、台風15号の際には甚大な被害があきらかになっているのにもかかわらず内閣改造を延期することなく予定通りに押し進めたのだ。


 しかも、この安倍首相の災害への無関心の根底には、おそらく、自然災害による被害も国民の自己責任という残酷な思想がある。だからこそ、何度批判されても迅速な災害対応がとれないばかりか、被災地を蔑ろにするような言動を平気でとるのだ。


 もっとも今回は、台風15号で批判を浴びたために、さすがに災害発生の前日と翌日に関係閣僚会議を開き、非常災害対策本部設置を発表せざるを得なかった。しかし、だとしても、安倍首相のこと。反省して、本気で国民の生命や財産を守ろうと姿勢を変えたとは思えない。明日以降も、安倍首相による「やってる」アピールはつづくだろうが、災害が頻発する国のトップとしてほんとうにやるべきことをやっているのか。台風15号の問題とあわせ、徹底した検証が必要だ。

(編集部)

外部リンク

cat_oa-rp95854_issue_203cd77c9ebb oa-rp95854_0_8ee6928851f5_NHKが台風19号接近のさなか台風情報に安倍政権PR紛れ込ませ! 高市早苗総務相の無内容な災害対策会議を強引に報道 8ee6928851f5 8ee6928851f5 NHKが台風19号接近のさなか台風情報に安倍政権PR紛れ込ませ! 高市早苗総務相の無内容な災害対策会議を強引に報道 oa-rp95854

NHKが台風19号接近のさなか台風情報に安倍政権PR紛れ込ませ! 高市早苗総務相の無内容な災害対策会議を強引に報道

2019年10月13日 07:00 LITERA

 観測史上最大級と言われる台風19号。被害の拡大が心配されるが、そんな中、この台風報道で災害情報周知の要として存在感を発揮しているNHK。とくに12日午後からは全国各地の災害状況や避難情報について、民放とは一線を画すきめ細かい災害報道をしていた。しかし一方で、気になる報道があった。


 台風が東海、関東に迫ろうとしていた12日、NHKは朝から通常番組を中止して台風情報を放送していた。各地の中継や今後の被害予測、ライフライン情報などを知ろうと、チャンネルを合わせた視聴者も多かったはずだ。


 ところが、12日午前中から昼にかけ、NHKが台風情報と同じくらい繰り返し放送していたのが安倍政権のPRだったのだ。


 台風15号の際、関係閣僚会議を開かず、初動対応の遅れが被害の拡大を招いたことを批判された安倍政権は今回、11日に関係閣僚会議を開き、その後、安倍首相や菅義偉官房長官、関係省庁の閣僚が相次いでメッセージを出すなど、「台風対策やってる」ポーズをやたら強調していた。


 中身は「国民の皆様への迅速かつ分かりやすい情報発信を徹底する」とか「自治体や関係機関・事業者と緊密に連携しながら対策を講じる」といったなんの具体性もないものだったが、NHKはその安倍首相の談話発表の映像、菅官房長官の会見の模様をかなり長い時間をかけて紹介。さらに、なぜか高市早苗総務相が総務省の幹部を集め、災害関係局長級会議を開いたことを報じたのだ。しかも、高市総務相の談話まで映像つきで流す始末だった。


 まあ、それでも、安倍首相と菅官房長官については、台風対策の責任者である行政のナンバー1とナンバー2だから放送時間を割くのは当たり前、という反論もあるだろう(台風情報を少しでも知りたいときに、あんな中身のない談話や会見を本人の映像付きで繰り返し長々と報道する必要があったかどうかは疑問も残るが)。


 しかし、総務省の動きと高市総務相のメッセージを大きく取り上げたのは、明らかに異常だ。総務省は台風対策のメインの役所ではないし、会議の中身も「各地で発生する被害状況の把握や自治体からの支援要請などに対応する」などというだけで、ほとんど実体はなかった。高市総務相の挨拶も「情報を収集し、迅速に分かりやすい情報発信に努めてほしい」と、何が趣旨なのかさっぱりわからないものだった。実際、11日、この総務省の災害関係局長級会議について報じたメディアは安倍政権御用新聞の産経だけだった。


 にもかかわらず、NHKは台風が接近する12日になって、貴重な台風報道の最中に、こんな高市総務相のPRとしか思えない情報を流したのである。その裏側について、全国紙政治部記者が語る。


「高市さんは台風対策を自分のPRに利用しようとやたら入れ込んでいて、担当の役所でもないのに自分を長として災害関係局長を設置。総務省は高市さんの命令なのか、その存在をメディアに報道させようと躍起になっていた。でも、取り上げたのは産経くらい。それで、総務省が所管のNHKにねじ込んだのではないでしょうか。NHKはかんぽ生命保険の不正販売追及報道で、総務省事務次官出身の日本郵政幹部に“暴力団”呼ばわりされたばかりで、睨まれてますからね」




 NHKの政治報道については、以前から、安倍政権への露骨な忖度が指摘されていた。国会報道では野党の追及や安倍首相の醜態については映像を流さず、安倍首相の政府答弁で終わらせるなどの“大本営編集”も行なっている。


 また、災害報道では、西日本豪雨の真っ只中に「赤坂自民亭」で酒盛りに興じ大きな批判を浴びたあと、安倍首相の災害対応アピールを積極的にバックアップしまくっていた。


 たとえば、昨年9月の北海道地震や台風21号の後、NHKはこんな見出しのニュースを連発した。


〈“関西空港の復旧に全力 無電柱化進める考え”首相〉

〈安倍首相 北海道の停電 8日中にほぼ解消の見込み〉

〈首相 被災自治体からの要請待たず国が水や食糧など支援〉

〈北海道で地震 首相「応急的な住まいの確保早急に」〉

〈近畿地方で停電続く 首相「復旧作業を一層加速」〉

〈首相 地震の被害状況を視察 札幌〉

〈首相 土砂崩れ現場視察 北海道 厚真町〉

〈首相「死者42人 被災者支援に5億4000万円」〉


 しかし、史上最強と言われる台風が迫っているこんな緊急時にまで、安倍政権に言われるがままPRに勤しむとは……。“安倍サマの犬HK”という揶揄が決してオーバーな表現でないことがよくわかるというものだ。


 ただ、もっと問題なのは、まともに国民の命を守ろうともせず“やってるアピール”だけしようとしている安倍政権のほうだ。12日も安倍首相は公邸にこもりきりで災害対策本部すら設置していないが、週明けには安倍首相の中身のない“やってるアピール”が量産されるのだろう。


(編集部)

外部リンク

cat_oa-rp95854_issue_203cd77c9ebb oa-rp95854_0_d074803c715a_「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収 d074803c715a d074803c715a 「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収 oa-rp95854

「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収

2019年10月12日 19:00 LITERA

 吉野彰氏のノーベル化学賞受賞に国内メディアは大はしゃぎしているが、ノーベル賞をめぐりなんともお粗末な騒動があった。


 10日、ノーベル文学賞の受賞者が発表され、2018年受賞者にポーランドのオルガ・トカルチュク、2019年受賞者にオーストリアのペーター・ハントケが選ばれた。昨年は選考委員のスキャンダルで発表が見送られ、今回は2年分の受賞者発表となった。


 トカルチュクは邦訳作品こそ少ないが、2018年には『逃亡派』(邦訳:小椋彩/白水社)で英国のブッカー賞を受賞するなど国際的に評価の高い小説家。ペーター・ハントケは、ヴィム・ヴェンダース『ベルリン・天使の詩』の脚本でも知られる作家だ。


 前回2017年の受賞者が村上春樹とルーツや作風の近いカズオ・イシグロだったこともあり例年ほどではなかったが、今年も国内のマスコミは「村上春樹の受賞なるか」とから騒ぎ。やっぱり受賞ならず「残念でした」という毎度の“秋の風物詩”を繰り返していた。


 だが、今回のノーベル文学賞をめぐって、SNSで最も話題になっているのは、共同通信の報道だろう。共同通信が10日20時3分、〈ノーベル文学賞は外国人に〉なるタイトルの速報記事を配信したことが波紋を広げているのだ。しかも、その短い記事本文はこうである。


〈スウェーデン・アカデミーが10日発表した2018年、19年のノーベル文学賞受賞者は、いずれも日本人ではなかった。〉


 この共同の速報記事に対し、Twitterではあきれ返る声が次々とあがった。


〈本気なのか。この見出しと記事内容〉

〈日本人ではなかったってお前…〉

〈この見出し、すげえな。日本人(外国籍含む)か外国人かの尺度しか持ってないのか。〉

〈日本スゴイ式報道が行き着いた雑すぎ見出し〉

〈どういう感覚でこのタイトルなのか。ちょっと絶句してしまった〉

〈過去最高に何も伝えてないニュース流れてきて笑っちゃった〉

〈これが速報される国…〉

〈日本スゴイの材料にならないと分かるやいなや興味なくすの露骨過ぎでしょ〉


 無理もないだろう。たしかに、共同の見出しと本文は、文字通り“受賞者は日本人か?”のみに焦点をあてたもの。まさに「日本スゴイ言説に有用かどうかだけが報道の価値基準なのか」と思われても仕方があるまい。


 念のため付記しておくと、共同通信は前述の〈ノーベル文学賞は外国人に〉なる速報記事から9分後、〈ポーランドの女性作家らにノーベル文学賞〉と題した記事を配信し、トカルチュクとハントケの受賞を伝えた。それでも、いくら速報性が重要とはいえ〈ノーベル文学賞は外国人に〉なる報じ方はあんまりだろう。端的に恥ずかしいと言わざるをえないし、国際感覚の欠如と捉えられて当然だ。


 実際、当の「外国人」の報道関係者からも失笑されている。ロイター通信日本支局長のウィリアム・マラード氏は10日、自身のTwitterで〈共同通信の年間最優秀見出し〉(Kyodo headline of the year: #NOBEL PRIZE FOR LITERATURE GOES TO FOREIGNER)と投稿。このマラード氏の皮肉に、米国の有力政治系ウェブメディア「Politico」のベン・ルフェーヴル記者がこんなリプライを送っている。


〈日本にいる外国人の何人が「受賞したの私かな?」って思ってメールの受信ボックスをチェックしてるんだろうね〉(How many foreigners in Japan are now checking their inboxes, wondering "Is it me?")


 そして、ポリティコ記者のユーモラスなからかいに対し、ロイター日本支局長が返した言葉がこうだ。


〈私が英語を教えていたとき、ある男の子からこんな質問をされたことを思い出したよ。「“ガイコク”は今何時なの?」ってね〉(Reminds me of when I was teaching English and made a kid ask me a question. He nailed it: “What time is it in Gaikoku?”)


 こうしたやりとりを紹介すると、またぞろネット右翼が血眼になって「反日の外国人記者だ!」などと絡みそうなので、念のため釘を刺しておくと、二人の会話はそうした文脈では全くない。単純に〈ノーベル文学賞は外国人に〉なる報道は「外国人」の報道関係者からも見ても失笑モノ、ということなのである。


●個人に与えられるノーベル賞を“日本スゴイ”で消費する国内マスコミの異常


 ただ、別に共同通信の肩を持つ気はないが、今回の件は共同に限った問題ではないだろう。周知の通り、例年、ノーベル賞の受賞者発表が近づくと、日本のテレビや新聞は「日本人受賞者の可能性は?」「これまでの日本人受賞者は?」といった特集をこぞって組む。そして、受賞者が出れば「日本中が喜びの声」などと報じるとともに、総理大臣の「お祝いの言葉」をスポーツの実況中継さながらに伝え、世の中の“万歳ムード”を作りあげる。ようするに、国内マスコミの報道姿勢はもっぱら「日本人」にだけ注目しているのだ。


 しかし、あらためて考えてもみれば、個人の功績を称える経済学賞、物理学賞、化学賞、生理学・医学賞といったノーベル賞に、本来、「日本人」か「外国人」かなんて、いったいなんの意味があるのだろう。例外的に文学賞はその性質から「ルーツ」の部分にスポットが当たるかもしれないが、その分を差し引いて考えても、日本のマスコミが「外国人受賞者」作品の普遍的な文学性、世界文学における立ち位置などを深く掘りし、視聴者たちが喧々囂々の文学論議をSNSで始める、なんて様は滅多にお目にかかれない。ようは、この国ではノーベル賞ですらも、もっぱら「日本スゴイ」になるかどうかでのみ、消費されているのである。


 こうした「日本スゴイ」の背景にあるのは、あらゆる物事に対して「国家への貢献」を求め、意にそぐわないものを「反日」として排斥する安倍政権下の風潮だろう。「日本人」と「外国人」で二分し、前者にのみ賞賛を注ぎ、後者は「日本と縁があるか」「日本のことが好きか」と日本との関係を血眼になって探しその1点に焦点を当てそれがなければスルー。そんなふうにして、いまやすべてが“内向き”になっている。


 文化や芸術の領域でもそうだ。出版界では翻訳文学の点数がどんどん減少し、洋画離れも洋楽離れも叫ばれて久しい。こういう“ガラパゴス現象”を目の当たりにすると、外からの新しい知識を欲し、国際感覚に鋭敏であることをよしとする風潮は、もはや過去のものになってしまったように感じる(その意味で、若い世代がK-POPや韓国文学などに親しんでいることは数少ない希望のひとつである)。


 一方で、書店には、ひたすら日本を賞賛する「日本スゴイ本」が平積みにされ、中国・韓国を貶すヘイトまがいのタイトルが並んでいる。テレビをつければ「外国人」に「日本美術」や「日本製品」を賞賛させる番組が目立つが、慰安婦問題を象徴する「平和の少女像」が脅迫やテロ予告の標的となって美術展が中止に追い込まれた。あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」中止問題をめぐっては、海外で美術関係者が連名で抗議したり署名運動が行われたが、日本の政治家やネトウヨはハナから無視しているし、一般の人々のほとんども国際的な目線を気にかけない。また、世界的な「#MeToo」ムーブメントが日本ではいまだ局所的であるように、国際的なソーシャルイシューに対する姿勢も完全に遅れている。


●安倍政権が牽引する偏狭な愛国主義の空気のなか、“精神的鎖国”が進む日本


 英国在住のコラムニストであるブレイディみかこ氏は、最近、ウェブサイト「Wezzy」のインタビューで、日本社会と国際社会との“ズレ”をこう語っていた。


「昔、イギリスの新聞社の駐在員事務所でアシスタントをしていたとき、同僚に日本好きでしょっちゅう日本に旅行しているような男性がいたんです。彼とはいまもつきあいがあって、数年前に話したとき、『日本に行ったら空港に中国や韓国のことを悪く書いたタイトルの本が置いてあった』と言ってたのであまりにシュールで不謹慎ながらつい笑ってしまったことがあります。『日本はまた鎖国すんのか!?』って」(10月8日「日本が直面する排外主義、格差社会。絶望せず未来へ進むためのヒント/ブレイディみかこさんインタビュー」)


 インタビュアーが「音楽・映画・文学などの海外の文化がどんどん受容されなくなっている傾向も感じます」と言うと、ブレイディみかこ氏も「それは私もすごい感じます」と同調する。


「海外から入ってくるものを聴いたり、見たり、読んだりして影響を受けることって大事じゃないですか。それは、海外にかぶれろって意味ではなく。『ここじゃない世界がある』っていうことは、すごくいろんな人を勇気づける。特に、いまがつらい人。生きていると、ここじゃない世界がどこかにあると思うからやっていける瞬間ってありますよね」

「そのためにも外からの情報って大事だと思うんです。でも、外からの情報がなくなったり、興味がない人が増えたりすると、そもそも翻訳がなかなか出なくなったりする。1980年代とかだと海外の本もすぐ翻訳されましたよね。でも、いまは違う。多分、『貧困化する』ってそういうことなんですよ。いまの日本を見ていると、国が衰退していっているのを見ている気がします」(同上)


 安倍政権が牽引する偏狭な愛国主義の空気のなかで“精神的鎖国”が進行し、メディアは「日本スゴイ!バンザイ!」と自己暗示をかけるばかりで、外でなにが起きているかを伝えず、受け手も見ようとしなくなった。その結果、差別や排外主義が勢いを増しただけでなく、「文化後進国」であることを恥じる感覚が麻痺し、科学技術やハイテク分野で遅れをとっている事実すら直視しなくなってしまった。


 今回の〈ノーベル文学賞は外国人に〉という共同通信の速報は、まさに自らの慰撫にふけって、世界から完全に取り残されていることの象徴的出来事だったように思えてならない。せめてもの救いは、こういった見出しや報じ方に少なからぬ人々が拒絶反応を見せたことだが、かたやネトウヨたちはこの時期になると、何かと「日本人」と「韓国人」「中国人」の受賞者数を比べて悦に入る。別に自分が受賞したわけでもないのに、だ。


 メディアは大衆の欲望を反映させる。だからこそ、その欲望がいかに爛れているか、自覚を促さねばならない。ノーベル賞ですら「日本スゴイ」の文脈でのみ消費することの、いったい何が「スゴイ」のだろう。側から見れば「キモイ」だけだ。


(編集部)

外部リンク

cat_oa-rp95854_issue_203cd77c9ebb oa-rp95854_0_663078dee84f_安倍首相が「桜を見る会」で税金使って地元後援者を大量招待! 公的イベントを支援者接待と政治資金集めに利用 663078dee84f 663078dee84f 安倍首相が「桜を見る会」で税金使って地元後援者を大量招待! 公的イベントを支援者接待と政治資金集めに利用 oa-rp95854

安倍首相が「桜を見る会」で税金使って地元後援者を大量招待! 公的イベントを支援者接待と政治資金集めに利用

2019年10月12日 06:00 LITERA

 森友・加計学園問題で露呈した安倍首相による「政治の私物化」だが、またしても信じがたい事実が発覚した。毎年おこなわれている首相主催の「桜を見る会」で、安倍事務所が地元・山口から後援会員を大量に招待し、“おもてなしツアー”として利用していたことがわかったからだ。


 そもそも、「桜を見る会」というのは各界の功労者を総理大臣がねぎらうイベントだが、第二次安倍政権下では安倍首相の私物化が目に余るとして問題になってきた。たとえば、毎年のように多くの芸能人やアスリートらが招待され、そうした人気者たちと仲よさげに写真におさまることで安倍首相は自分のPRの場として活用してきたが、今年4月に開かれた会では、なんとあのネトウヨ番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)の出演陣である百田尚樹や有本香、ケント・ギルバート、竹田恒泰、上念司などといったネトウヨ安倍応援団をこぞって招待したのだった。


 しかも、問題はその「おもてなし」の費用だ。会の予算額は、2014年度以降は約1767万円で固定されていたのだが、同年度の支出は予算を大きく上回る3005万円に。支出は年々増えていき、今年2019年度は5519万円にものぼった。


 なぜ予算を3倍も超えるほどの金がかかっているのか。その原因のひとつと考えられているのが、第二次安倍政権下での招待客の増加だ。招待者の人数の目安は1万人とされているのに対し、今年招待された人は1万5400人、参加者は1万8200人にもなっている。


 しかし、「どうして招待客が増えたのか」という国会での追及に対して、政府は「各府省庁からの意見を踏まえ幅広く招待」と述べるばかり。「どこの省が増えたのか」と訊いても、「資料は破棄した」の一点張りだった。


 ところが、ここにきて、冒頭でもふれたように、「桜を見る会」が安倍首相の支持者のための“おもてなしツアー”にも使われていたことがわかったのだ。


 この問題をスクープしたのは、「しんぶん赤旗日曜版」10月13日号。その記事では、安倍首相の地元・山口の後援会関係者や後援会員らが、こんな証言をおこなっているのだ。


「桜を見る会には毎年参加している。地元の後援会員が数百人規模で上京し、みんなで首相と記念写真をとっている。安倍事務所の恒例行事だよ」

「下関の安倍事務所から参加確認があり、希望すれば、内閣府から招待状が送られてくる」


 つまり、本来は「各界の功労者をねぎらう」会であるはずなのに、安倍首相はそこに自分の支持者を大量に招待していたというのである。


 証言者によると、「旅費は自分持ち」だと言うが、飛行機や宿泊先のホテル、貸し切りバスなどはすべて安倍事務所が手配。しかも、都内観光もセットになっているほか、「桜を見る会」では安倍首相との写真撮影にくわえ、芸能人やスポーツ選手に会え、無料で飲み食いでき、お土産までついてくる。その上、「桜を見る会」の一般招待客は手荷物検査を受けるが、後援会員の場合はそれもなく、「バスの駐車場がある“裏口”から入るのが恒例」だという。まさに至れり尽くせりの接待ツアーではないか。


●安倍首相後援会の「桜を見る会」ツアー参加人数は数百人規模!「昭恵氏」枠まで


 さらに驚かされるのが、その参加人数だ。この「桜を見る会」ツアーに参加した山口県在住の女性はこう話している。


「集合場所のホテルニューオータニから大型バスで会場の新宿御苑に行きました。私が乗ったのは十数台目。号車や時間は安倍事務所の指定でした。バスは17台と聞きました」


単純計算で、もしこのバスが定員40人として満員だった場合、参加者人数は680人にものぼることになるのだ。


しかも、記事ではこうした「安倍首相の地元後援会」枠だけでなく、“「昭恵」枠”も存在するのではないかと示唆。というのも、昭恵氏が名誉会会長を務めたスキーイベントの実行委員や、昭恵氏の農業仲間、昭恵氏と日本酒をつくる女性のグループなどが「桜を見る会」に招待されているからだ。実際、ある男性は、とあるイベントで昭恵氏と名刺交換して以降、「会の招待状が届くようになった」と言い、「僕は政治家の知り合いがいないし、自民党支持者でもない。“昭恵夫人枠”としか考えられない」と証言している。


ようするに、安倍首相は「各界の功労者」をねぎらうための公的イベントに、数百人規模にもなる自分の後援会員や、自分の妻のお友だちたちを招待し、税金で手厚くもてなしているというのである。


 これらの事実だけでも、いかに安倍首相と昭恵氏によってこの国が食い物にされているかがよくわかるが、「しんぶん赤旗日曜版」の記事では、さらに重大な問題が取り上げられている。


 じつは、「桜を見る会」の前日の夜には、「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」なる催しが開催されており、ここに安倍首相も参加している。現に、今年は「桜を見る会」は4月13日におこなわれたが、前日12日の首相動静を確認すると、〈午後6時33分、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ着。同ホテル内の宴会場「鶴の間」で昭恵夫人とともに「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」に出席〉とある。


●「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」に政治資金規正法違反の疑いも!


 そして、この「前夜祭」参加者によると、会は立食式のパーティで、安倍首相や昭恵氏と記念写真をおこなったり、歌手が登場するなどの盛大なものであるらしい。実際、今年、出演した歌手はブログで〈シャンソン、ラテンに交えてオリジナル新曲も歌わせていただきました〉〈1000人程のお客様〉〈ハードスケジュールの中お一人おひとりに笑顔で丁寧に握手をされる安倍首相と昭恵夫人のお姿に感動致しました〉と、安倍首相と昭恵氏とのスリーショット写真付きで報告している。


 だが、問題なのは、この「前夜祭」では複数の参加者が「5000円の会費を払った」と証言していることだ。政治資金規正法では「対価を徴収して行われる催物」は政治資金パーティーと規定されており、その収入や経費などは収支報告書に記載しなければならない。だが、〈安倍首相が代表の政党支部や関係する政治団体の収支報告書には、前夜祭の収支の記載がありません〉というのである。つまり、政治資金規正法違反の疑いがあるのだ。


「桜を見る会」という公的イベントを私物化し、税金を使って自分や妻の支持者やお友だちを接待する一方、「桜を見る会」を利用するかたちで開催した政治資金パーティーには違法の疑いまで──。まったく腐りきっているとしか言いようがない。


 しかも、信じられないことに、2020年度予算の概算要求では、内閣府は安倍首相が私物化するこの「桜を見る会」の関連経費として、本年2019年度の3倍を超える5729万円を計上。前述したように、これまで会の予算額が1767万円なのに対し2019年度は5519万円もかかったが、それが問題になったことで無駄遣いを見直すのではなく、逆に予算額を増やしてきたのだ。完全に国民を舐めているとしか思えない態度ではないか。


 国民が汗水垂らしておさめた税金が、安倍首相の応援団や後援会員、昭恵氏のお友だちたちを接待するために浪費されてゆく……。はっきり言って、そんな「桜を見る会」など廃止するべきだが、そのためにも、この安倍首相の公的イベントの私物化、税金の無駄遣いについて徹底的した追及がおこなわれることに期待したい。

(編集部)

外部リンク