cat_oa-rp89662_issue_19119cb061cb oa-rp89662_0_19119cb061cb_杏・東出昌大夫妻が別居していた 19119cb061cb 19119cb061cb 杏・東出昌大夫妻が別居していた oa-rp89662

杏・東出昌大夫妻が別居していた

2020年1月22日 14:00 文春オンライン

 俳優の杏(33)と、現在「ケイジとケンジ」(テレ朝系)で主演を務める東出昌大(31)。芸能界きってのおしどり夫婦として知られる2人が現在、別居していることが「週刊文春」の取材で分かった。杏、東出双方の事務所も「週刊文春」の取材に別居の事実を認めた。

【写真】記者の直撃に応じる東出

 2人はNHKの連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013年9月~14年3月)での共演を機に交際をスタートさせ、15年の元日に結婚。翌16年には双子の女児、17年には男児、あわせて3人の子宝に恵まれていた。

 現在、東出は、妻や3人の子供が暮らす自宅ではなく、港区内にある単身用のマンスリーマンションで“単身生活”を余儀なくされている。

「実は東出と杏は離婚危機に直面しています。1月上旬に、夫婦の関係に亀裂が入り、東出はやむなく都内のマンションに部屋を借りた。すでに10日近く別居生活を送り、彼は自宅に帰りたくても帰れない状態が続いている。夫婦関係が修復できるか、その見通しは全く立っていません」(映画関係者)

 杏の事務所は、「別居に関しては事実ですが、夫婦間のことはプライベートな問題ですので事務所としてはお答えする立場にございません」と回答した。

 東出の事務所も別居の事実を認め、次のように答えた。

「東出本人としては家族との関係を修復したいという思いで努力しておりますので、弊社としては見守っていきたいと思っております」

 おしどり夫婦に何があったのか。1月23日(木)発売の「週刊文春」では、別居の原因となった東出の「未成年不倫問題」、その相手の「清純派女優」との2ショットなどを詳報し、杏、東出2人への直撃取材の内容も報じている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年1月30日号)

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cat_oa-rp89662_issue_19119cb061cb oa-rp89662_0_2d38f5c2a9f1_額賀元財務相「ゆで卵ボヤ」と茂木外相「漁夫の利」の行方 2d38f5c2a9f1 2d38f5c2a9f1 額賀元財務相「ゆで卵ボヤ」と茂木外相「漁夫の利」の行方 oa-rp89662

額賀元財務相「ゆで卵ボヤ」と茂木外相「漁夫の利」の行方

2020年7月10日 06:00 文春オンライン

 東京・赤坂の衆院議員宿舎でボヤ騒ぎがあったのは7月2日午後11時のことだった。部屋の主は自民党の額賀福志郎元財務相(76)。ゆで卵を作る途中で眠りこけ、鍋が空だきに。煙を感知し駆けつけた消防に泥酔したまま暴言を吐き、顰蹙を買ったという。

 源流を辿れば田中角栄元首相に行き着く名門派閥・平成研究会(現竹下派)。つい2年前まで領袖だった額賀氏だが、からきし存在感がない。「ポスト安倍」レースに向けて活発に夜会合をこなす年長の二階俊博幹事長(81)や麻生太郎副総理(79)とは大違いだ。

 平成研は、竹下登、橋本龍太郎、小渕恵三という歴代首相を生み、「一致団結、箱弁当」という鉄の結束を誇ったが、もはや遠い過去。前回2018年9月の総裁選の半年前には、領袖の額賀氏を引きずり下ろすクーデターが勃発。竹下亘・元総務会長が領袖になり、「竹下派」が復活した。総裁選で、竹下氏は、兄・登氏の秘書だった青木幹雄元党参院議員会長の意向を受け、石破茂元幹事長で派をまとめようとしたが、安倍晋三首相を推したい衆院側と分裂し、自主投票に追い込まれた。

「岸田がダメなら次は茂木でいい」との声

 次の総裁選で竹下派はどう動くか。意欲を示すのは茂木敏充外相だが、前回、衆院側で安倍首相支持を取りまとめた中心で、参院側からは「今も茂木は許せない」(ベテラン)との怨嗟が渦巻いてきた。しかし、ここにきて茂木氏に追い風が吹き始めている。発生源は「ポスト安倍」に岸田文雄政調会長を推してきた安倍、麻生の両氏だ。安倍首相周辺からは「岸田がダメなら次は茂木でいい」との声が漏れ、茂木氏を一方的に嫌っていた麻生氏との関係も、会食を約束するまでに修復された。

「岸田氏はコロナ対策で失態続き。『岸田首相じゃ選挙に勝てない』との声が広がっている。このままでは安倍、麻生両氏が、どうしても避けたい『石破政権』が誕生しかねず、2人は“次善の策”を考え始めた」(政治部デスク)。党員人気はあるものの、国会議員の支持が広がらない石破氏にとって、竹下派(54人)は、固まった議員票が見込める貴重な存在。安倍、麻生両氏が茂木氏に秋波を送るのは、石破氏を「数の論理」で追い込むためでもある。岸田氏の失速、そして実力者2人の石破嫌い。「漁夫の利とはいえ、派内を固め切れていない茂木氏には渡りに船の展開」(政治部記者)。茂木氏の総裁選出馬に向かって竹下派が久々に「一致団結」できるかもしれない情勢だ。ただし、「最近派内の若手とも会食を重ねたりしているが、元々パワハラ体質で人望はない」(同前)。“箱弁当”の復活は簡単ではなさそうだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年7月16日号)

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cat_oa-rp89662_issue_19119cb061cb oa-rp89662_0_ce27a6a57e73_「うつ病」の原因は誰もが持っている“お馴染み”のウイルスだった《新たな治療薬、予防薬も視野…最新レポート》 ce27a6a57e73 ce27a6a57e73 「うつ病」の原因は誰もが持っている“お馴染み”のウイルスだった《新たな治療薬、予防薬も視野…最新レポート》 oa-rp89662

「うつ病」の原因は誰もが持っている“お馴染み”のウイルスだった《新たな治療薬、予防薬も視野…最新レポート》

2020年7月10日 06:00 文春オンライン

 “コロナうつ”と呼ばれる精神状態の人が増えているという。

【画像】うつ病予防薬が生まれる可能性もある

 馴れないリモート勤務、人と接する機会の減少、外出しないことから来る運動不足、家庭内での軋轢の表面化など、コロナ禍にはうつ症状を引き起こす要因はいくらでもある。たかだか直径100ナノメートルばかりのウイルスが勢力を拡大したあおりを受けて、万物の霊長たる人間が心を病んで倒れてしまうのだ。

 しかし、そうした二次的三次的な発症要因ではなく、ウイルスが直接的に作用して、うつ病を引き起こしている可能性を指摘する研究結果が報告された。

 原因のウイルスは新型コロナではない。「ヒトヘルペス6(HHV-6)」という、昔からある、そして誰もが体内に持っている“お馴染み”にして“旧型”のウイルスなのだ。

誰もが赤ちゃんの時に感染するウイルス

 研究の責任者である東京慈恵会医科大学ウイルス学講座の近藤一博教授に解説してもらう。

「HHV-6は、誰もが赤ちゃんの時に感染するウイルスです。感染すると発熱し、突発性発疹を引き起こしますが、いずれ自然に治癒し、ウイルスはそのまま体内に潜伏感染し続けます。潜伏感染中は特に悪さはしないものの、宿主(ウイルスが棲みついている生物のことで、この場合は“人間”)が疲労すると、唾液の中に出てきます。

 その唾液の中のHHV-6が鼻の奥にある“嗅球”という器官に移動すると、HHV-6は“あるタンパク質”を作り出すことがわかったのです。このタンパク質は嗅球の細胞にカルシウムを流し込み、“アポトーシス”といって細胞が自死していくように誘導する働きを持っている。これによって脳は強いストレス反応を起こしてうつ病を発症していくのです」

 順序立てて説明するとこうなる。

(1)赤ちゃんがHHV-6に感染。突発性発疹を発症するが自然に治癒する
(2)そのウイルスが体内に棲みついたまま宿主(人間)は成長していく
(3)疲労した時、HHV-6が唾液中に出てくる
(4)唾液に混じった一部のHHV-6は嗅球に移動する
(5)嗅球に棲みついたHHV-6は、あるタンパク質を作り出す
(6)そのタンパク質が嗅球の細胞にカルシウムを流入させて嗅球細胞の自死をそそのかす
(7)嗅球の細胞が自死した結果、脳は強いストレス反応を起こして「うつ病」が起きていく

スター・ウォーズ「シスの暗黒卿」の名に由来する…

 ここで出てきた“嗅球”とは、脳の最も鼻腔に近い場所にあって、嗅覚をつかさどる器官のこと。動物にとって「臭いをかぐ」という機能は獲物や食べ物、異性、危険の存在を知る上できわめて重要な存在。そのため嗅球は脳に直結しており、口腔や鼻腔に無数にいるウイルスや細菌などを簡単には通さないようにできている。HHV-6はそんな重要器官に感染して、妙なタンパク質を作り出して脳にダメージを与えているのだ。

 近藤教授らはこのタンパク質を「SITH-1」と名付けた。SITHとは映画「スター・ウォーズ」シリーズに登場する「シスの暗黒卿」に由来する。

「マウスを使った実験で、嗅球にSITH-1を発現させたマウスがうつ状態に陥ることが確認されました。しかし、同じ実験を“生きている人間”で行うことはできません。そこで、健康な人とうつ病の人の血液から“SITH-1に対する抗体”を測定し比較したのです。SITH-1の抗体が陽性ということはその人が嗅球でSITH-1を発現していることを示します。結果を解析すると、SITH-1陽性の人は、陰性の人と比較して、うつ病になる割合が12.2倍も高かった。しかも、すでにうつ病になっている人の79.8%がSITH-1陽性だったのです」(近藤教授、以下同)

 この「12.2倍」という数字が持つインパクトはきわめて大きい。

「この数字を“オッズ比”と呼びますが、私たち研究者は通常、『1.2倍のオッズ比が見られれば病気の原因として認定できる』という考え方で研究をしています。それが桁違いの数値となって出てきたのですから驚きました」

体の外に行かずに嗅球に棲みつく

 HHV-6というウイルスは、なぜうつ病を引き起こすのか。

「HHV-6は、別にうつ病を引き起こしたいわけではないんです。なぜなら宿主が苦しみ、もし死んでしまったらウイルスも生きてはいけないから……。彼らは、自分たちの遺伝子を残すことを自らの存在意義としています。だから宿主が弱ってくると、それを感じて外へ出ようとする。その“弱ってきた”というサインが疲労なのです。

 宿主が疲労を感じると、それを察知してHHV-6は唾液に出てくる。そこでくしゃみでもしてもらえれば近くにいる元気な人に感染し、遺伝子を残すことができるのです。ただ、唾液の中のすべてのウイルスが体の外に出られるわけでもなく、一部は体の外に行かずに(行けずに)嗅球に棲みついてしまう。これがSITH-1を作り出しているのです」

 近藤教授によると、完全なうつ病患者でなくても、「軽度のうつ症状を持つ人」は「健康な人」と比べてSITH-1抗体価が高いことも突き止めているという。このことから、SITH-1はうつ病だけでなく、早期のうつ病を診断する際にも重要なマーカーとなり得る、という見方ができるのだ。

「うつ予防薬」が生まれるかも知れない

 この研究により、これまで曖昧模糊としていたうつ病という病気の発症機序が、かなり明確に説明できるようになった。このことは、うつ病という疾患の診断と治療を一変させる可能性を秘めている。

「これまでうつ病治療に使われてきた薬は、うつ病によって沈んでいる気持ちを持ち上げる作用のものだった。それはうつ病ではない元気な人が飲んでも気分がハイになるため“ハッピードラッグ”などと呼ばれています。

 でも、今回うつ病の原因となるウイルスと遺伝子(タンパク質)が特定できたので、この発見をもとにうつ病のメカニズムが解明できれば、その働きを阻害する治療薬を使うことで、安全かつ確実に治療効果が得られることになる。あと数年で“うつと疲労”の関係が解明できるメドが立っている。そこまで行けば治療薬の開発にはそれほど時間はかからないでしょう」

 治療薬ばかりではない。場合によっては「予防薬」の開発もあり得る。

「最初にHHV-6が唾液に出てきた時点でウイルスを始末して、嗅球に行かないようにすることもできるかもしれません。さすがに歯磨きや舌の清掃程度ではウイルスを除去することはできないけれど、ウイルス不活性化作用のあるトローチのようなものが開発されれば、効果が得られるかもしれません」

予防法と治療法が確立された時に起きること

 うつ病のメカニズムが解明され、予防法と治療法が確立されれば、自殺者の数を大幅に減らすことができるのはもちろん、労働力の確保という点でも大きなメリットをもたらす。

「SITH-1抗体価は、実用化すれば血液検査で比較的簡単に調べられるようになるはずです。単にうつ病やうつ症状で苦しんでいる人が救われるだけでなく、『何の病気だかよく分からないから、とりあえずうつ病ということで……』という曖昧な診断を下されていた人の対応も変わってくるはずです」

「うつ病なんて甘ったれているだけだ」とか、「心を鍛えればすぐによくなる」などと精神論で片付けてきた昭和風上司は立場が悪くなるだろう。また、うつ病を自称して会社や学校をサボっていた人も、洗い出されてしまう危険性もある。

 今年は、人間の弱さと脆さ、儚さを、ウイルスによって思い知らされる年なのかもしれない。

(長田 昭二/Webオリジナル(特集班))

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cat_oa-rp89662_issue_19119cb061cb oa-rp89662_0_88d7475df186_【東京の路上で若手警官が拳銃自殺】朝鮮総連担当の巡査長(25)が漏らしていた「辞めたい、死にたい」 88d7475df186 88d7475df186 【東京の路上で若手警官が拳銃自殺】朝鮮総連担当の巡査長(25)が漏らしていた「辞めたい、死にたい」 oa-rp89662

【東京の路上で若手警官が拳銃自殺】朝鮮総連担当の巡査長(25)が漏らしていた「辞めたい、死にたい」

2020年7月9日 17:00 文春オンライン

 7月8日午前3時半頃、東京都千代田区富士見の路上で、警察官が頭から血を流して倒れているのを通行人が発見した。病院に搬送されたが、意識不明の重体。8日午後10時頃には死亡が確認された。

【画像】拳銃自殺した警官が倒れていた現場

「深夜に『おまわりさんが血まみれで倒れている』という通報があった。倒れていたのは警視庁第5機動隊の男性巡査長(25)です。現場に急行すると、警察官のそばには貸与された拳銃が1丁落ちていた。つりひもで腰の帯革につながれた状態で、1発発射されていたことから、拳銃を使い自殺を図ったとみられています。弾は側頭部を貫通していた」(警察関係者)

朝鮮総連中央本部周辺での警戒勤務中に

 現場付近は閑静な高級住宅地で、法政大学や白百合学園中高、暁星中高など複数の学校や病院施設も建ち並ぶ。「パトカーのサイレンを耳にした」という近隣住民が語る。

「朝方だったと思いますが、パトカーや救急車などのサイレンが鳴り響いていました。わざわざ見に出たりはしませんでしたが、かなり大きな音でした。朝になって外出すると、近くにある『ふじみこどもひろば』という広場にある門のあたりで警察官が数人集まっていました。ブルーシートで囲まれていてよくは見えませんでしたが、門右手のポストの後ろ側で掃除のようなことをしていた。

 このあたりは朝や夕方には登下校する学生や通勤するサラリーマンが歩道を埋め尽くすほど歩いていますが、深夜帯は全くと言っていいほど人は通りません。ただ在日本朝鮮人総連合会があるため、周辺には警察官が常駐して警備にあたっています」

 自殺を図った男性巡査長は、7月7日の朝から在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部周辺で警戒勤務中だったという。

軍隊気質な機動隊で勤務

「朝鮮総連の門扉が解放されることはほぼありません。関係者は機動隊が警備する横の小さな入り口から出入りしている。日本には北朝鮮の大使館が存在しませんが、右翼団体等への措置として機動隊が連日警備にあたっています。ただ、挨拶なども少なく異様な空気が流れています」(警察関係者)

 男性巡査が自殺を図ったのは休憩のために別の隊員と交代し、1人で待機場所の車両に戻る途中だったとみられている。

「男性巡査長は高校を卒業したあと警察学校に入学し、配置されてから今年で4年目でした。以前は成田空港の警備のために警視庁から千葉県警に出向していた。現在は警視庁第5機動隊のサッカー小隊(警視庁サッカー部に入部した警察官が所属する小隊)です。機動隊は警察署内とは一風異なった軍隊気質な組織で、機動隊への異動命令を受け退職する人もいます」(別の警察関係者)

「なぜ北朝鮮を守っているの?」と通行人に聞かれることも

 前出の警察関係者によると、この男性巡査長は周囲に「死にたいと漏らしていた」という。

「巡査長は、少し前から同期らに『辞めたい』とか『死にたい』と話していた。機動隊の厳しい雰囲気もあるだろうし、仕事内容も過酷。朝鮮総連の警備をしていると『なぜ北朝鮮を守っているの?』と通行人に聞かれることもあり、心身ともに辛い現場です」

 男性巡査長は拳銃を使ったことで銃刀法違反に問われる可能性もあるという。警視庁は経緯を調べるとともに「事案が発生したことは誠に遺憾であります。今後再発防止に努めてまいりたい」とコメントしている。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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cat_oa-rp89662_issue_19119cb061cb oa-rp89662_0_2d33aa73b1da_《コロナ医療体制は大丈夫か》東京女子医大で看護師400人が退職希望「ボーナスゼロ、給料減額では最前線で働けない」悲痛告白 2d33aa73b1da 2d33aa73b1da 《コロナ医療体制は大丈夫か》東京女子医大で看護師400人が退職希望「ボーナスゼロ、給料減額では最前線で働けない」悲痛告白 oa-rp89662

《コロナ医療体制は大丈夫か》東京女子医大で看護師400人が退職希望「ボーナスゼロ、給料減額では最前線で働けない」悲痛告白

2020年7月9日 17:00 文春オンライン

「コロナ禍でも看護師たちは毎日出勤し、リスクに怯えながら仕事しています。ところが、私たちの病院では、病院の財政悪化を軽減するためという理由で、医療スタッフの給料も減ったのです。さらに先日、夏季ボーナスが支給されないことが発表され、看護師たちの我慢は限界を越えています。本当に悔しいです」

【画像】東京女子医大が職員に「夏のボーナスゼロ」の伝えた内部文書

 そう悲痛な思いを打ち明けるのは、東京女子医科大学病院(東京都新宿区)の内科系に勤務する入職8年目の20代女性看護師Aさんだ。

 東京では7月9日、新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最高となる224人となり、感染の再拡大が懸念されている。忍び寄る第2波を前に「医療崩壊」を防ぐ方策が検討される中、同病院では「多くの看護師がすぐにでも辞めたいと口にしている」(Aさん)という異常事態が起きている。12月で創立120年となる名門大学病院で、いま何が起きているのか。

「コロナ病棟に行ってもいい人は手を挙げてほしい」

 東京女子医大病院のコロナ患者の受け入れ状況について、Aさんは次のように語る。

 

「当初は感染症指定病院外のためコロナ患者の受け入れは行っていませんでした。もともと経営難が指摘されていましたから、上司からも『コロナ患者を受け入れると更なる経営の圧迫が見込まれるため、病院としては断固として断るつもり』と聞いていました。ところが感染が拡大し、都からの再三の要請を受けた結果、コロナ患者を受け入れることが決まりました」

 そして、実際にコロナ患者の受け入れが始まる直前の5月上旬、A子さんがいつも通り病棟で勤務していると、上司から突然、「全員集まってほしい」と大部屋に招集された。

「そこで師長から『各部署からコロナ患者の病棟で勤務に当たる看護師を出さなければならなくなった。行ってもいいという人は手を挙げてほしい』と言われました。スタッフの表情は曇り、ほとんどの人が下を向いていました。正直、行かなくていいのであれば、誰も行きたくないですよね。即答するには時間が足りなく、その場では手を挙げる人はいませんでした。『もう一回考えてほしい』と言われ、その2日後に師長と1人ずつ面談を行い、最終的に『誰も行かないのなら、私が行きます』と申し出た看護師数名に決まりました。私も名乗り出ることが出来ませんでした」(Aさん)

 コロナ患者の受け入れが始まると、院内の勤務体制が大きく変わり、コロナ病棟に人員が割かれる分、各部署にしわ寄せが生じた。もちろんその中でも、最も負荷がかかったのはコロナ病棟の看護師だ。不慣れな防護服での仕事は負荷が大きく、小まめな休息が必要で、通常の病棟の倍以上の人員が必要となる状態だったという。

「入院する患者は必ずPCR検査を受けて、陰性を確認する規則になっています。ところが、夜間に緊急外来に訪れた患者さんが入院するとなると、すぐにPCR検査ができないので、コロナ疑いのある患者としてコロナ病棟に入院することになる。そうやって実際の感染患者の数以上に、コロナ病棟の入院患者は多くいました。

 コロナ病棟を担当した看護師は、防護服のせいで体温が上がるだけでなく、長時間呼吸をしづらい構造の医療用マスクを着用するため、体力の消耗も激しい。志願してコロナ患者の病棟へ行った看護師の中には子供や家族がいる人もいましたから、心労も大きかったようです」(病院関係者)

人手が足りない中で命じられた「一時帰休」

 そんな医療崩壊の危機と隣り合わせで激務をこなす看護師たちを待っていたのが、コロナを理由にした「減給」だった。

「私たちの病院では全看護師に特別手当や危険手当などは一切ありません。さらに、緊急事態宣言明けの6月に看護師の私たちに、上長から口頭で『一時帰休』が求められました。『月に必ず2日間とってください』と言われ、ほぼ強制的に一時帰休が6月のスケジュール表に組み込まれました。帰休中の賃金は60%に引き下げられた」

「一時帰休」とは、経営の悪化や業績低下に陥った際に会社側の指示で従業員を一時的に休ませること。東京女子医大の理事会は4月17日に職員に対して「一時帰休の実施」を通知。理由として「教職員の方々の生命身体の安全の確保を図りつつ、また他方で支出を抑え法人財政の悪化を少しでも軽減する」ため、としている。

「給与が減る問題以上におかしいと思うのは、現場はコロナ対応で人手が足りないのに休まなくてはいけなかったこと。病院側は現場のことを考えているとは思えません」(Aさん)

 そして、看護師らの苦境に追い打ちをかけたのは、例年6月に振り込まれるはずだった夏季ボーナスの全額カットだった。東京女子医大労働組合の「組合だより」には看護師らの怒りと悲痛な声が寄せられている。

《毎日毎日苦しい思いをしながら必死に働いて、コロナエリアにも駆り出されることになったにも関わらず、ボーナスは1円も支給はなしだと言われました。それに関する説明も紙切れ一枚で済まされ、ボーナス支給がないことが当然であるかのように言われ、到底納得ができません。(20代・女性・看護師)6月15日投稿》

《夏季賞与の件、コロナのことがあるので今までのような額の支給は期待していませんでしたし、それでもしょうがないと思っていましたが、まさか支給なしになるとは思いませんでした。(略)病院や患者さんのためだと思って一生懸命働いてきたつもりです。時間外労働も昨年までに比べて減るよう努力し、(略)一時帰休だって受け入れて、収入は減る一方です。なのに、この仕打ちはひどいと思いました。独身で一人暮らし・就職してからたった数年。これでは生活できないです。(20代・女性・看護師)6月16日投稿》

コロナ真っ只中に理事長室6億円改修を承認?

「文春オンライン」が入手した理事長、学長、病院長の連名による、職員向けの3枚の内部文書(6月12日付)では、Aさんの指摘の通り、「6月の上半期賞与については支給しないと決定しました」と報告。さらに、コロナウイルス感染の影響で大幅な収入減となり、「令和2年4月の収支実績は3医療施設全て赤字となり、法人全体ではマイナス約14億円」に及ぶこと、このままでは「過去最悪であった平成18年度のマイナス約52億円を上回る大幅な赤字となりかねない状況であること」などが記されていた。

 いま新型コロナウイルスの患者を受け入れた病院の多くが赤字に転落したことが全国的に問題となっている。しかし、10年以上勤務する30代男性看護師のBさんは、東京女子医大の経営体制に問題があると指摘する。

「そもそも今年から定期昇給がなくなり、6月12日にあの文書が出て、紙切れ一枚でボーナスは出ませんということでした。その後も詳しい説明はありません。労働組合が理事に再検討してもらうよう要求しましたが、6月25日の交渉で再検討を拒否され、ボーナスカットが確定しました。病院側からは、他の病院もどこも赤字で経営が厳しい状況という説明もありましたが、都内のコロナ患者を受け入れている大学病院でボーナスが支給されてないのは、東京女子医大だけだと聞いています。

 もちろん、病院経営の無駄を削った上で立ち行かないのなら納得できるのですが、最近新しく教育棟が建設され、理事長の部屋を6億円もかけ改修したという話も出ている。その承認は、コロナ真っ只中の4月22日だったと労働組合の報告で知って、言葉を失いました」

看護師の5人に1人が退職意思

 労働組合側の調査によると、約2000人いるという同病院3施設の看護師のうち、400名以上が退職の意思を示しているという。

「今回のボーナスカットが決定打になり、辞めることを決めたという人が大半です。私の周囲でも就職サイトに登録したり、次の病院を探していたりする動きは実際にあります。ところが、6月25日に開かれた団体交渉の場で、病院側の弁護士は『深刻だとは思うが、足りなければ補充するしかない。現在はベッド稼働率が落ちているので、仮に400名が辞めても何とか回るのでは。最終的にベッド数に見合った看護師を補充すればいいこと』と発言したそうです。でも、今ようやく患者さんが戻ってきている状態なので、もし本当に看護師が大量に辞めたら、第2波がきたときに対応できないかもしれません」(Aさん)

 看護師のBさんも憤りと病院への不信感を露わにする。

「国から医療従事者に対しての慰労金が1人当たり最大20万給付されることになりましたが、そのお金は病院に入った後に個人に支払われる。学校側は、8月に何らかの手当の支給を考えているとしていますが、詳細は分からない。職員たちは『国の慰労金を病院からの手当として払うのでは』とか、『病院はその20万円も渡さないのではないか』と疑心暗鬼になっています」

 大学側にボーナスカット、理事長室の6億円改修、400人を超える退職希望者、「足りなければ補充」発言などについて事実関係を問い合わせると、以下のように回答した。

「今回の質問につきましては回答を控えさせていただきます。ご希望に添えず申し訳ございません。ご理解ご了承いただけますよう、お願いいたします」(学校法人東京女子医科大学総務部広報室)

 最前線でコロナウイルスと戦っている看護師たちが報われる日はくるのか。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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「お前が産むの?」 わずか6%……日本のパパの育休取得率はどうすれば上がるのか?

2020年7月9日 11:00 文春オンライン

「どんなパパも“ポンコツ化”する」なぜ日本の子育て世代はこんなにも大変なのか? から続く

 友だちが妊娠した時にアドバイスしたいのは友だち自身ではなく、むしろその隣にいる「友だちの夫」――。

「どうか、これだけは覚えておいてほしい」という先輩ママの血が通った言葉たちを、“これからパパになる夫たち”に届けたいと『VERY』編集部が一冊にまとめた「出産前の友だちよりも心配な友だちの夫に贈る100の言葉」。

 そのなかから「育休を取るって、いいことずくめ」というファザーリング・ジャパン代表理事、安藤哲也さんの言葉を紹介します。

◆◆◆

 2010年の育児・介護休業法改正から10年。

 男性育休100%を目指す企業が増加するなど状況はだいぶ変化してきました。

 とはいえ、2018年の男性の育休取得率6.2%と、国が掲げる2020年で13%、2025年には30%という目標にはまだまだ及ばず。

「制度が整ってきた今、これからは制度より職場のムードと個人の意識を変えていくことが大切」と語る、安藤さんに、そもそも、なんのために育休を取るのか、育休のメリットを教えてもらいました。

◆◆◆

育休取得は自分の幸せにつながる――今こそ「OSを入れ替えよう」

 正直にお話をすると、バリバリ昭和世代の僕は子どもが生まれても自分は育児なんてしなくていいと思っていました。実際に男は働いて稼いでいれば育児も家事もしなくても許される世代でした(つまり、この本を読む現役子育て世代の上司の多くはそんなふうに生きてきたわけです)。35歳で子どもが生まれた時も、当時はまだ珍しい共働きだったので妻と協力して育児や家事をする必要があるのに、「これは俺の仕事じゃない」という思いがあったので夫婦ゲンカは絶えませんでした。とくに40歳でIT企業に転職した頃はひどかった。妻はワンオペに陥り、何度か家出をされました。変わったきっかけは「このまま仕事だけしていたら家族が壊れる」という危機感から。当時4歳だった娘にチック症状が出て、パチパチとまばたきをする娘を見た時に「父親として何をやっていたんだろう」と後悔しました。そこで、まず妻と娘に謝り、仕事を調整しながら育児や家事をやるようになりました。

 今でも、子育てが始まると妻と不和に陥る男性は少なくありません。でも、それはパパの能力や向き不向きの問題ではなく、単にOSの問題。『育児は母親の仕事。外で稼いで家族を養うのが、父親の役割だ』といった古い父親像をアンインストールして、自分の中のOSを入れ替えればいいだけ。家庭をほったらかしにして仕事一筋で生きても、今の時代に家族は幸せになれないし、自分の人生だって楽しめないと思いますよ。

 今、僕は3人の子どもに恵まれ現役でパパを楽しんでいます。これは、あの時OSを入れ替えられた自分へのご褒美だと思っています(笑)。仕事も子育ても自分の人生・自分の時間にして、父親がまず子どものいる暮らしを目いっぱい楽しむ。その姿を見て育った子どもはきっと仕事も子育ても楽しむ親になる。パパが育休を取得することが家族の幸せの第一歩だと思います。

男性の育休取得はボウリングの1番ピン

 勤勉を良しとする日本では、プライベートよりも仕事を優先するという空気が多くの職場にあります。80%の人が育休を取得したいと思っているのに、現状取得しているのはたったの6%。せっかく制度があっても実際には取りにくいのが現状です。なかには、育休を取りたいと上司に言ったら、「お前が産むの?」と言われてしまったなんて話も。そして、子育てを理由に仕事を抜けることを後ろめたいと思ってしまう男性自身の意識も大きいのではないでしょうか。

 男性の育休取得は単なる個人のわがままや贅沢ではありません。男性が育児休暇を取得する=男性の家庭進出は、働き方改革、ジェンダー平等、少子化対策、児童虐待・DVなど、社会が解決しなくてはいけない問題を改善する「ボウリングの1番ピン」です。

男性の育休取得。どのくらい取るのが望ましい?

 多くの企業で配偶者出産休暇(有給)が推奨されるようになり、1週間程度の「パパ産休」は進んできました。これは育休の最初の5日間を有給にすることで、土日を付ければ1週間、収入を減らさずに休めるという仕組み。でも、産後の家族ケアを考えれば最低でも欧州並みに2週間、できれば1〜3カ月ほどパパが育児に関わる時間を増やしたいものです。1週間の産休の場合、本人が前後の残業で調整してしまいますが、長期間の育休となると男性が休むマイナスをどう補塡するか、より真剣に生産性を上げる工夫をするようになり職場でも働き方改革が進むはずです。

 男性が長期間の育休を取得することは会社の経営にとってもメリットがあることが、すでに多くの企業で実証されています。私がアドバイスした積水ハウスグループでは「男性社員の育児休業1カ月以上の取得」を義務付けたことで、取得した男性社員の職場では働きやすさが波及し働き方改革が進むとともに、男性も育児・家事をすることで生活者目線を持つことができて業務でプラス効果も見られました。育児を通じて段取り力が上がったり、視野が広がったりするのは仕事力の向上につながる。さらに、より働きやすい職場の実現が望めます。実際に、育休を取得した男性からは子どもの病気などで急に休んだり早退したりする女性社員にも共感できるようになったという声も多く、子育てや介護に携わる人も働きやすい多様性の高い職場は離職率も下がり、企業イメージも向上するでしょう。

 まだ、男性の育休取得に理解がない管理職がいたら、推進企業の成功事例について話をしてみるのも手ですね。

育休取得のファーストペンギンになろう

 多くの男性が長期育休取得に二の足を踏むのは「職場にまだ前例がない」から。でも、働き方改革が進む今だからこそ先駆者になろう、とマインドを変えてみませんか。あなたが一番手、つまりファーストペンギンとして育休を取得し前例を作ることで、後に続く後輩が育休を取りやすくなります。周囲や上司に忖度することなく自分の家族のことは自分で決める。空気を読まずに、空気を変える人こそ次世代に求められる人材ではないでしょうか。

育児休業中でも所得の7割程度は補償される

「育児休業を取得すると収入がなくなってしまう」と思っているかもしれません。給与が出ないことは男性が育児休業を取得する障壁になっている、と言われていますが、実際は無収入になるわけではありません。

 育児休業は子どもの1歳の誕生日の前日まで、父母ともに取ることができます(誕生日時点で認可保育園に入れなかった場合などは、1歳6カ月まで育児休業を延長することも可能)。育児休業期間中、通常は給与が出ませんが、給与保証として雇用保険から育児休業給付金が支給されます。共働きであれば、賃金の一定割合(67%または50%)分の育児休業給付金が二人とも国から支給されます。さらに、健康保険料や厚生年金保険料は支払いが免除されるので、普段の収入の6〜7割程度は保てるのです。

育休が2度使える!「パパ・ママ育休プラス」を利用しよう

 妻の産後休暇中に、夫が育児休業を取った場合には、特別にもう一回育児休業を取れることを知っていますか? さらに、パパもママも育児休業を取得した場合は「パパ・ママ育休プラス」と言って、通常は1歳の前日までの育児休業が、子どもが1歳2カ月になるまでは延長されるのです。

 この制度を利用すると、産後8週間以内に一度育休を取得し産後のママをサポート、次にママが職場復帰する際にもう一度パパが育休を取ってママが生活のペースに慣れ、慣らし保育期間にサポートするということも可能に。

パパが育休を1カ月取れれば「マイタウン出産」がメリットに。

 今後、状況によっては里帰り出産をせずに「マイタウン出産」をする人も多くなると思います。里帰り出産は実母もしくは義母の手助けもあり、ママは助かることも多いですが、里帰りから戻った後にお世話に慣れないパパの手際の悪さにイライラしてしまったり、子どもの世話をする役割がママに固定しやすくなってしまうこともしばしば。夫婦のパートナーシップを強化して父親の家事・育児スキルを向上させるにはパパが育休を取ってマイタウン出産し、夫婦で一緒に子育てをスタートすることをお勧めします。欧米では産後1カ月は祖父母の手を借りずに夫婦で育児と向き合うことで親として成長する、という考えが一般的。この期間に父親が育児に携わることで父親としての自覚と子どもへの愛着形成もされ、その後の子育てもコミットしやすくなると思います。

(【前回】「どんなパパも“ポンコツ化”する」なぜ日本の子育て世代はこんなにも大変なのか? を読む)

安藤哲也 ファザーリング・ジャパン代表理事
1962年生まれ。2006年NPO法人ファザーリング・ジャパンを設立。
「笑っている父親を増やしたい」という思いから、講演や管理職養成事業「イクボス」の企業研修など積極的に活動。厚生労働省「イクメンプロジェクト推進チーム」顧問、「にっぽん子ども・子育て応援団」共同代表も務める。1女2男の父親。

(「VERY」編集部)

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乙坂、濱口、佐野……ベイスターズの一軍マネージャー“のぶマネ”が明かす「彼らの素顔」

2020年7月9日 11:00 文春オンライン

 西﨑伸洋です。僕は元ベイスターズの選手で、現在球団のチーム運営部一軍運営グループのグループリーダー、兼任で一軍マネージャーをしています。あと、球団公式モバイルサイトで『のぶマネブログ』というのを長く書かせてもらってもいます(読んでくださっている皆様、ありがとうございます)。おかげさまで現在横浜DeNAベイスターズは2位、まだシーズン始まったばかりですがいいスタートを切れたと思っています。今年は初めてのことが多すぎて、何が正解か不正解か分からないまま仕事をしている感じです。まだチームから感染者は出ていないので、とにかくこれを続けていくことかなぁと思いながら日々業務に励んでいます。

 僕はいつも選手と一緒にいます。グラウンド以外でも、彼らと誰よりも話をしていると思う。ブログが毎日書けるのもそういうことです。「若手選手はのぶマネに叱られて育つ」みたいに言われたりしますが、楽しい時間も辛い時間も一緒に過ごすことで、僕の方が彼らにたくさんのことを教わっています。今日は普段のブログではあまり書かない、裏方である僕と選手たちのちょっと真面目なお話を書かせてもらおうと思います。

入団当時、特に手を焼いた選手

 今は球団の人間ですが僕は元選手なので、選手たちが今まで言えなかったことをなるべく言いやすくなるような環境づくりを心がけています。僕は今38歳ですけど、18でプロの世界に入ったときは30歳の人のことをすごくおじさんだなって思ってたんですよね。だからこそなるべく選手と距離を取らずに接して、球団と選手とのパイプ役を担えればいいかなって。

 当たり前ですけど、プロ野球選手も一社会人。野球が他の人より少しうまいだけの、社会人です。僕もそうでしたが、高校卒業して何も分からない状態でプロになって、新幹線のチケットの買い方すらわからない、そういう子がたくさんいます。だから社会人としてのモラル、人間としてのモラルを指導するのも、僕の役目です。野球を辞めてからの方が、人生は長いですから。

 入団当時、特に手を焼いたというか、個性が強かったのが乙坂(智)選手でした。ニコ(乙坂)には僕らとても勉強させられました。彼はすごく自分を持ってる。指示されたり上から物を言われたりするとすぐ表情に出て、よく言い返してきました。今はニコも大人になって、ちゃんと目を見て話して、納得いかない点については話し合えるようになりましたが、最初の頃は衝突が多かった。

 聞く耳を持たない限り人間は変われませんし、自分の意見ばっかりだと孤立してしまう。チームでやっている限りはチームの輪の中に入ってないといけない。その辺りをニコとは根気強く話しましたし、時々は筒香(嘉智)に助けてもらいました。筒香は乙坂の高校の先輩なので、僕らが言うと「球団の人間に言われてる」と素直に聞いてもらえないことを、「選手に言われた方が響くはず」と筒香にお願いしました。

ベイスターズは選手で作り上げるチーム

 僕が選手を叱っている姿がテレビに抜かれて、ファンの間で話題になってしまったこともありました。あれは濵口(遥大)がルーキーの時。ジャイアンツ戦、試合が終わって、僕ら裏方がドリンクのゴミを片付けている時です。濵口はその日先発で、負けてしまって、ベンチに座ってペットボトルを持っててくれたんですけど、持ちきれないボトルが足元にあったんですね。それを彼が蹴飛ばしてたんです。ドームってベンチのすぐ隣にカメラがあって、ちょうどそのレンズがベンチに向いていたので、ちょっとそこへのアピールもあったのかもしれない。悔しがる姿っていう。だけど「見られる立場」「憧れられる立場」として、それはやっちゃいけないこと。僕、それでついその場で叱ってしまったんです。「学生の時とプロは違う、今これをやったらお前は『あいつ何やってんだ』としか思われないぞ」「こんなところで損をするな」と。百歩譲って裏で悔しがるならまだしも、全国ネットのテレビの前でああいうことをやるのは完璧にマイナスでしかない。

 だけどそれは僕も同じなんです。あそこで完全に肩を揺らして、怒ってる僕の姿もカメラに映っていたわけですから。僕のミスなので、後で濵口を呼んで謝りました。注意するなら裏に連れて行くべきだった。あの後、あまり良くなかった結果の時でも、裏でちゃんとペットボトルを捨ててるハマちゃんを見て、ちょっとホッとしたのを覚えています。

新キャプテン・佐野恵太への思い

 筒香がいなくなって、今季から佐野恵太選手が新キャプテンと同時に4番という役割も担っています。正直、誰も筒香の後にキャプテンをやりたいとは思わないでしょう。なぜなら筒香は「成績が伴っているキャプテン」だったから。この世界は成績ってすごく大きいので。筒香が言えば、みんながその方向を向いていた。

 佐野自身は、いろんなものを飛び越えてのキャプテン指名だったと思います。左の代打要員として成績は残しましたけど、レギュラーではない。その辺の戸惑いややりづらさは絶対にあると思う。でも今は選手会長の(石田)健大がサポートしてくれる。かつての筒香一人に引っ張られるチームではありません。今は佐野をサポートしながら、みんなでいいチームにしていこう、新しいチームを作り上げようという感じですね。僕からは「何か困ったことがあったら一緒に考えよう」くらいしか言ってません。それは筒香の時も一緒。「ノブさん、こういうこと考えてるんですけどどうですかね?」と言われたら動きますけど、こちらから何かキャプテンに対して動くことはない。あくまでもベイスターズは選手で作り上げるチームだと思っているので。

 コロナ感染下で様々な規制がかかる中で、どうしても選手に強くストレスがかかってくる今、佐野キャプテンの呼びかけで『心をひとつに』というTシャツができあがりました。選手たちがホワイトボードを囲んで、自発的に言葉を募って、そんな景色、昔だったら考えられないですよ。佐野って前から僕のブログに頻繁に登場するくらい、完全ないじられキャラ、いいキャラなんです。サノスっていうあだ名もたぶん僕のブログ発祥だと思います。プーさん(宮﨑敏郎)は「(握力だけで)リンゴ潰せる」っていうので、「ほぼクマじゃん」からの「プーさん」でしたが、サノスは打順をテキトーに書いてて、ロペスの次だったから「サノス」。ロペス、ソトス、サノス、みたいな。

現役引退を決めてからマネージャーになるまで

 僕の現役生活は8年、引退を決めた時、未練は全くありませんでした。僕は糸島高校で元ヤクルトの西﨑(聡)とバッテリーを組んでいたんですけど、彼は130キロちょっとのスリークォーターのピッチャーでした。プロにきて、140キロのキレのあるボールを初めて見て、捕れなかったんです。全然いい音が鳴らせなかった。正直3年目くらいで辞めたいなと思ってました。プロのレベルの差を思い知って、父親の跡をついで漁師になろうと。そんな時に今ソフトバンクでスカウトをしてる岩井(隆之)さんに「外野手になってみないか」と提案を受け、多少足も速かったので、外野手に転向して、5年。

 ただやっぱり、限界は見えていました。時々冗談で「おまえ、マネージャー向いてるんじゃない?」「ちょっと、やめてくださいよ!」みたいな会話が、少しずつ心に引っかかるようにもなっていた。俺はこれからどう生きるべきなんだろうと。2008年、石井琢朗さんが抜けることが決まり、今度は大矢(明彦)監督から「ショートをやってみないか」という話をいただきました。僕は、何となくその先の未来を考えながらも、2008年をショートとして過ごしました。そこへキャンプで思い知った、ショートの大変さ。筋肉痛が1ヶ月治らないことなんて、今までなかった。本当に気持ちの決着がついたように感じました。

 2008年が終わり、球団からのオファーを受けて僕はマネージャーになりました。

「プレッシャーのない中堅が一番怖い」ってよく言われます。思えば僕の現役最終年もそうだったかもしれない。自分の限界がわかったから、ただただ野球を楽しめたんじゃないかと。だからこそキャリアハイの成績を残せたんじゃないかと今はそう思います。後悔も何もなくて、結婚して子供もいたし、今まで野球しかしてこなくて世間のことは何も知らないし、だから喜んでマネージャー職に就きました。ここまでくるのに何十年とかかっていますが、選手に色々教わりながら、やってきた結果が今にあるのかなぁと。2000年ドラフトの仲間って、結構まだ球界に残っていて、DeNA広報の渡邊(雅弘)とか、スカウトの吉見(祐治)さん、稲嶺(茂夫)さんとか、内川(聖一)もソフトバンクで頑張ってる。励みになりますよね。

 のぶマネブログは、選手に一切許可をとっていないので、よく「母親から(のぶマネブログで見たと)連絡がきました。あの写真載せたんですね!」と驚かれ(怒られ)ます。どうしても野手に偏りがちなんですけど、時々寂しがりやのピッチャーたちが、ほぼほぼヤスアキ(山﨑康晃)と齋藤(俊介)ですが、わざわざやって来ます。喜んでいただけるファンの方がいる限り、続けたいです。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2020」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト https://bunshun.jp/articles/38704 でHITボタンを押してください。

(西﨑 伸洋)

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2016年6月、広島カープの鈴木誠也が起こした奇跡と、私の1万3000円の行方

2020年7月9日 11:00 文春オンライン

 私の所属するバンド、トリプルファイヤーのドラム担当、大垣くんは熱狂的な阪神ファンである。彼は現地観戦のためにちょくちょく甲子園まで遠征しているし、私が怖くて行けないような、ファンが集う酒場にも度々顔を出すという。

 先日、友人と酒を飲んでいた際、スマホで楽しそうに野球速報を見ていたと思ったら終盤で阪神が逆転負けし、大垣くんは泣きながら泥酔し周りの客に絡んで迷惑をかけたらしい。そう彼の友人から聞かされた時、やべえ奴だな、と思うと同時に、そこまで野球の結果に熱狂できる彼を少し羨ましくも感じた。私は広島が負けて泣いたことはない。一番最近泣いたのは数年前、『ザ!世界仰天ニュース』の再現VTRを見た時だっただろうか。

 自分にとって広島の勝ち負けがどの程度メンタルに影響するのか考えてしまった。その時思い出したのが、2016年6月、鈴木誠也が現在の主砲の位置に収まる片鱗を見せた、オリックスとの交流戦2日目の出来事である。

夜行バスか、新幹線か、それとも飛行機か

 その当時の私は、香川の実家に帰って家業の手伝いをしていた。私の父は神社の宮司なのだが、お祭りなどが立て込む時期は人手が足りなくなるので、私も父に付き添って1~2週間お祓いなどを手伝う。

 ようやく忙しい時期が終わり、ライブの予定のために東京に戻ろうとしていた日のことだった。

 香川から東京に戻るには夜行バス、新幹線、飛行機の3つの手段がある。夜行バスはできるだけ避けたい。眠れないまま夜を明かして疲労が蓄積し、次の日に丸々寝てしまって1日を棒に振ったことが何度もあったからだ。

 一番楽なのは新幹線だ。自由席なら時間を気にせずに乗れるし、一旦乗ってしまえばそのまま家から近い品川や東京駅に着く。しかし値段が高いのがネックである。

 地元と成田を繋ぐLCCができてからは、飛行機を利用することが増えた。値段は時期によって変動するが、安い時期なら新幹線の半額以下、夜行バスより安いことも多い。しかし、実家から空港までは電車やバスを乗り継がねばならず、成田から高田馬場の自宅まで戻るのも時間がかかる。搭乗手続きも面倒だし、時間に遅れると乗れなくなるリスクもある。

 お金に比較的余裕がある時は新幹線に乗り、金欠気味の時は飛行機を使うことが多い。その時はあまりお金がなかったので事前に夕方の飛行機を予約しておいた。予約したはいいが、当日ダラダラ準備をしていたら家を出るのが遅くなってしまった。

 とりあえず最寄駅まで歩いて電車に乗った後、飛行機に乗るためのタイムスケジュールを調べてみたら、状況は思った以上に逼迫していた。高松駅に着いたら空港行きのバスに乗るのが最もオーソドックスで安い手段なのだが、バスに乗っていては全然間に合わない時間にいつの間にかなっていた。

 タクシーに乗っても間に合うかどうかギリギリのラインだ。タクシー代もけっこうかかるだろう。これはもう飛行機を諦めて新幹線で帰った方がいいのかもしれない。既に予約している飛行機のチケット代7000円を無駄にするのは辛いが、もし駅から空港までタクシーに乗って間に合わなかった場合、タクシー代までも失うことになる。

急いで空港に向かうタクシーの中で見た「奇跡」

 どうするべきか決めかねたまま、電車は高松に近づいていた。気は焦りつつも特にできることもないのでスポナビをチェックすることにした。

 その日は広島とオリックスのデーゲームが行われていた。前日、鈴木誠也のホームランによって逆転勝ちを収めたカープだが、その日は終盤になっても2対1で負けている状況。9回表に1点を追加され、高松駅に着いた頃には点差は2点に広がっていた。プロ野球において9回裏に2点差を追いつく確率はおそらく1割か2割程度だろう。これは多分負けちゃうな、と思いながらも今は野球どころではない。

 電車を降りるや否やタクシー乗り場までダッシュし、運転手に搭乗時間を伝え「間に合いますかね?」と聞いた。運転手は、道の混み方にもよるが急げば間に合うかもしれない、という反応だった。一瞬迷ったが、覚悟を決めた。やらない後悔よりやる後悔だという中学の部活の顧問の言葉を思い出した。

 運転手に「できるだけ急ぎ目でお願いします」と伝え乗り込むと、私の気迫が伝わったのか、運転手は「わかりました」というが早いかアクセルを踏み、急ハンドルを切って空港に向け出発した。信号手前でスピードを落とすような料金稼ぎもせず、道交法に違反しないギリギリで急いでくれているのがわかった。

 信頼のおける運転手だ。とりあえず間に合うかどうかは彼に命運を託すことにして、再びスポナビを開いた。9回裏、ノーアウトから菊池と丸が連続出塁していた。良い流れだ。しかし4番のルナは凡退。1アウト1、3塁という場面で、前日決勝ホームランを打った鈴木誠也に打順が回ってきた。

 つい偶然とは思えない巡り合わせに前日の再現を期待してしまうが、野球というのはそううまくいくものではない。その日の鈴木はノーヒット。何とか四球ででも出塁してくれれば、次にはチャンスに強い新井が控えている。

 その時、一球速報の更新が止まった。更新ボタンを何度押しても全然反映されない。

 何かが起こっている。このような場合、考えられるケースは何パターンかある。「盗塁の判定をめぐり審判と揉めている」「ダブルプレーによって試合が終了」「危険球を受け治療中」など。しかし、鈴木が長打を放ち走者二人が生還、土壇場で同点に追いついたパターンも十分に期待できた。

 数分後、やっと更新された画面は私の予想を超えていた。「HOME RUN!!」という文字とともに無機質な放物線が描かれ、花吹雪のようなものが舞っていた。

ドラマチックな展開で勝利した裏側で私は……

「うわ、まじか」と思わず声が出た。鈴木誠也の逆転サヨナラ3ランホームランによって、広島は2試合連続でドラマチックな勝利をおさめたのだ。こんなことってあるのか。

 後から考えればそのオリックスとの3連戦は、「神ってる」の流行語のきっかけともなった、鈴木誠也大躍進の3試合だった。序盤で強くても途中で失速することが多かった広島だが、多くの広島ファンはこの神ってる3連戦で、25年ぶりの優勝にリアリティを感じたと思う。

 一方その頃タクシーは、搭乗手続きの時間になっても空港へ着く様子がなかった。運転手の背中が若干気まずそうに見えた。信号ギリギリを突っ切るような攻めの運転は、いつの間にか安全運転に切り替わっていた。

 結局タクシーは搭乗手続き締め切り時間を10分以上過ぎて空港に到着した。運転手の「急げばまだ間に合うかもしれません」との言葉を聞き流しながらカウンターへと走った。

 本来の搭乗時間はもう過ぎているが、離陸まではまだ少し時間がある。息を切らせてカウンターへ駆け込み、「ふう、何とか間に合った」という顔をして搭乗手続きを進めようとしたが、職員は「あ、もう終わりました」と冷たく言い放つのみで交渉の余地はなかった。

 私は己の無力を噛みしめながら、飛び立つ飛行機を見送るしかなかった。全く東京に近づいていないにもかかわらず、飛行機のチケット代7000円とタクシー代6000円の計1万3000円を失った。

 時間とお金の問題で、結局そのまま夜行バスに乗って帰るしかなくなった。既に失ったお金と夜行バス代の合計は、新幹線の料金を大きく上回っていた。

 本当に俺は何をしているんだろう。衝動的に何かを叫んでしまいそうになり、心のバランスを保つためポジティブな要因を探した。そうだ。広島は今日、奇跡的な勝ちを収めたじゃないか。それでよしとしよう。そう自分を納得させようとしたが、「いや、それじゃ全然足りねえ」という心の声を払拭することはできなかった。

 鈴木誠也も今では広島東洋カープ不動の4番バッターである。今年は例年以上のペースでホームランを量産し、「神ってる」の数日間がただの偶然ではなかったことを証明し続けている。あの日彼の逆転サヨナラホームランで私の心の穴は埋まらなかったが、その後数年の活躍であの1万3000円はチャラになったと思いたい。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2020」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト https://bunshun.jp/articles/38703 でHITボタンを押してください。

(吉田 靖直)

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「どんなパパも“ポンコツ化”する」なぜ日本の子育て世代はこんなにも大変なのか?

2020年7月9日 11:00 文春オンライン

 友だちが妊娠した時にアドバイスしたいのは友だち自身ではなく、むしろその隣にいる「友だちの夫」――。

「どうか、これだけは覚えておいてほしい」という先輩ママの血が通った言葉たちを、“これからパパになる夫たち”に届けたいと「VERY」編集部が一冊にまとめた「出産前の友だちよりも心配な友だちの夫に贈る100の言葉」。

 そのなかから「どんなパパもポンコツ化する」という大正大学心理社会学部田中俊之先生の言葉を紹介します。

◆◆◆

パパもママも。日本での子育てが大変なのはどうして?

 育児や家事に積極的なパパが増えつつありますが、それでも母親の育児負担はまだ多くママからは不満の声も漏れ聞こえる一方、男性からは大黒柱として働いて家族を養いながら、さらに家事や育児を求められることに疲弊する姿も。

 ふたを開けてみればハッピーなだけではない、日本の子育て世代の辛さとは。

 男性学を研究している田中俊之先生にお話をうかがいました。

◆◆◆

 我が家は妻がフルタイムで働く共働きです。2016年1月に長男、2019年7月に次男が生まれて2児の父親になりました。子どもが生まれるタイミングで、「収入が減っても仕事をセーブして、自分が家事と育児をする時間を増やす」か「今まで通り働いて収入を保つ」か話し合って、我が家では仕事とお金を追い求めない選択をしました。

 僕は執筆や講演を減らし、夫婦で家事や育児をする時間を優先。これは今まで女性が味わった苦しみですが、この数年、僕が育児や家事に時間をかけてきたところで当たり前だけど何も起きませんでした。オムツを替えても誰にも褒められないし、子どもをあやしても社会的な地位が上がったり、収入が増えることなんてない。

 でも、訳も分からず夜泣きをする子どもを抱き上げて、目が合った子どもが笑った時に感じる幸福は他と比べようがないものです。お金というのはいちばん分かりやすい利益だけど、夫婦や家族はそれだけで幸せになるものではない。長男も次男も、ちょうど大学が長期休みに入る前に生まれたので、結果的に2カ月間家事・育児に専念できましたが、産褥期の妻に家事と育児をさせることがいかに大変な状況かも実感しました。

 子どもがいることは男性にとっても職業上の達成や収入とは違う価値や幸せがあることだと僕は思っています。その価値や幸せがこれからの時代に必要になってくること、今からご説明しますね。

問題は、日本社会全体の「マインド」と「働き方」にある!?

 男女の賃金格差があって男性が大黒柱として働くという価値観が根強い今の日本。

 どうして今の子育て世代のパパママが大変なのかを3つの理由から読み解きます。

理由(1) 子育て世代の男性の多くは専業主婦に育てられているから

 第1子出産までに退職する女性は、1985〜89年で70%以上、2000年代を通じても60%台の後半(注1)。働く、といってもパートの割合が多く家事・育児は母親が担っていて、男性はまだ日々の生活がどう成り立っているのか理解が少なく、そもそもの家事能力も低い人が少なくないだろう(反省しているけれど僕も料理のレパートリーは少なかった)。

理由(2) 男性が定年まで働くという価値観があるから

 今は過渡期ともいえますが、これまでは男性が転勤も残業もいとわず働き、会社に人生のすべてを注ぎ込むことで成功するという一元的な働き方しか認められていませんでした。日本の場合は男女の賃金格差もあり、今、賃金格差は男性が100に対して女性は70(注2)。男性が30万円もらえるところ女性は約20万円という計算になります。男が家庭にいるよりも外で働いたほうがいいという考えにつながってしまう部分も。

理由(3) ここ数年でフルタイムの共働きが増えたから

 男性の働き方は変えないまま、主婦からパート、フルタイムと女性の働き方だけを変えてきた現状があります。これでは、働く母親の負担が増えるばかり。ここ数年でフルタイムの共働きが増加。男性の意識も社会の仕組みも変わりつつあるものの、まだ追いついていないのが現状です。

「夫が妻を扶養する」イメージだった日本の結婚制度が変わりつつあり、夫婦2人で協力して生きる時代になった以上、価値観や思っていることの違いをどう埋めるか。夫婦はこれまで以上に真剣に話し合わないといけないと思います。収入が下がるのを許容して男性が育休を取って育児・家事をするとか、奥さんのほうが年収が高いなら夫が時短勤務をして育児・家事をするという選択があってもいい。自分たち家族の最適解についてぜひ話し合ってみてください。

注1:平成30年11月内閣府男女共同参画局「第1子出産前後の女性の継続就業率」及び出産・育児と女性の就業状況について
注2:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より

これからパパになるあなたへ、突然の「ポンコツ化」を恐れずに

 これから父親になるあなたと、母親になる女性に僕がアドバイスできることはひとつだけ。男は父親になる過程で一時的にポンコツ化する。でも、その姿は「情けない」ことではないということです。

 今まで男性は自分で状況をコントロールすることで受験や仕事で成果をあげてきました。それが、これまでの男性の仕事だった。でも、妊娠・出産・育児はどう足搔いてもコントロールできません。泣きわめく赤子を前になす術もなく、状況を制御できない自分に男性は無力を感じる。それまで男性を支えてきた「俺はできる」という有能感が目減りしていきます。

 僕の話をすれば、出産前はかなり調べて知識をつけていたと思います。でも、実際には理論武装して、どうにかなるような甘いものではなかった。初めての子の時は「産褥の6〜8週間を空けておけばいいんだな」と産後2カ月後から仕事量を戻していましたが、妻の回復に時間がかかり計画は破綻。仕事を減らしたにもかかわらず全く時間が足りず、仕事で何かを成し遂げたいという思いがそこまで強くない僕でさえ「こんなに仕事ができなくなるなんて」とショックを受けました。

 でも、このポンコツ化は不可避なプロセスで、男性が自分にコントロールできないものがある、ということをしっかり受け止めないと、子育てにコミットする父親にはなれないと思います。この事実を知らずに子どもを支配・コントロールしようとする父親になってしまうほうが最悪なんじゃないでしょうか(最近、受験などにおいて子どもの成績を仕事同様に管理しようとするパパを“エクセルパパ”と呼ぶことを知りました。子どもや子どもの成績をコントロールできると思っている、なんて教育虐待にもつながる危険な価値観だと思います)。

 正直、子育ては楽しいことばかりではなくてイライラすることも多い。でも、物事を思い通りに進めて、より良い成果を出すこととは違う価値があることを知るはず。解決策は自分が変わることです。育児は長期戦なので、その挫折は早ければ早いほうがいい。もし、あなたが仕事ができる男性ならなおさら、その落差は大きいかもしれない。でも、取り乱し慌てる余裕のないあなたは父親になろうと進化している姿だと思うのです。

 さらに一言!

「いつか中年になる僕たちが今すべきは仕事より子育て!?」

 ところで、僕は今年45歳になります。この本を読むあなたが30代と仮定してちょっと先輩風を吹かすと、きっとあなたにも「中年の危機」はやってきます。元気なうちはピンとこないと思いますが体力も露骨に落ちます。身体的変化もさることながら頭の回転がどう考えても遅くなってくる。この衰えた肉体と頭脳であと20年どうやって働いていこうかと考える、あぁ、これが「中年の危機」なのか、と思い知る。僕の場合、救いになったのはすでに妻と2人で育児・家事をしていくために働き方を見直していたことでした。出産は、今後の働き方を見直す絶好のチャンスなんです!

(【続き】「お前が産むの?」 わずか6%……日本のパパの育休取得率はどうすれば上がるのか? を読む)

田中俊之さん 大正大学心理社会学部准教授
1975年生まれ。2008年博士号(社会学)取得。
男性学の第一人者として、新聞、雑誌、ラジオ、ネットメディア等で活躍している。2人の男の子のパパでもある。

「お前が産むの?」 わずか6%……日本のパパの育休取得率はどうすれば上がるのか? へ続く

(「VERY」編集部)

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タクシー運転手からタメ口とセクハラの数々「家に行っていい?」「結婚適齢期なのに」

2020年7月9日 11:00 文春オンライン

タクシー運転手の横柄な態度に、女性客が一度だけ苦情を伝えて「わかったこと」 から続く

【画像】乗車中に「愛人になって」と言われた小島さん

  タクシーの車内で男性ドライバーと女性客がふたりきり。タクシードライバーとのトラブルで、思い出すのも嫌なほど苦い体験をした人は少なくない。ドライバーの出方次第で、女性客は気を張らなければならない瞬間がある。(全2回の2回目/#1から続く)

◆ ◆ ◆

「チューしてくれたらタダにするよ」

 北川はるかさん(仮名・28歳)は、学生時代の経験がトラウマになっているという。

「その日は終電を逃してしまい、自宅よりも近くにある彼氏の家までタクシーで帰ることにしました。それでも、片道8000円なので大学生には痛い出費でしたが、駅前のタクシー乗り場に停まっていたタクシーに乗り込みました。後部座席に乗ろうとすると『後ろは汚れてるから、よかったら前に乗りませんか?』と、提案されたんです」

 後部座席を見ても汚れている様子はなかったが「車酔いもするし、時間も長いから前でいいかな」と、軽い気持ちで助手席に座ったという。ドライバーは中年の男性で「隣に座ったので、顔や表情がよく見えた」と北川さんは話す。

「初めは、世間話程度で特に問題はありませんでした。でも、徐々に『かわいいですね。ぶっちゃけ好みのタイプだから前に座ってもらったんですよ』と、隣でニヤニヤ笑いはじめたんです。その後も『彼氏いるんですか?』『結構胸が大きいね~。Fカップ?』『実家住み? 一人暮らし?』といった質問が続きました。相手がハンドルを握っていると思うと逆ギレされたら怖いので、適当にあしらうしかなかったんです」

 愛想笑いで切り抜けようとするも、相手はどんどんヒートアップ。しまいには「今日はもう仕事が終わるから、君の家に行ってもいい?」「チューしてくれたらタダにするよ」などという発言を繰り返したという。

「1時間近くかけて、やっと目的地についたのですが『お小遣いあげてもダメ? ほんとにタイプなの』と、なかなか運賃を受け取ってもらえませんでした。そこに彼氏が助けに来てくれて『彼女、下ろしてもらっていいですか?』と彼が窓を叩くと、かなり慌てた様子で会計できました。走行中に彼氏にメールで連絡して、下車する場所に来てほしいとお願いしておいたんです。1人だったら家についてきそうな勢いで、本当に気持ち悪かった」

 そのドライバーは、8000円を5000円に割り引き、北川さんを解放したという。取材を進めると、彼女のように、ドライバーから性的なからかいや嫌がらせを受けた経験のある女性も少なくないことが分かった。

「あなた、結婚適齢期なのに遊んでて大丈夫なの?」

「風俗店の近くを通ったときに、『このへんは歓楽街なんですよ』という言葉を皮切りに、延々と風俗のシステムや自分が通っている風俗の話をされた。困っている私の反応を見て楽しんでいるようだった」(25歳・会社員)

「合コン帰りにタクシーに乗りながら、友だちにその日のことを電話で話していた。その後電話を切るとドライバーに嫌味を言われた。最後は『あなた、結婚適齢期なのに遊んでて大丈夫なの?』とまで言われて、不愉快だった」(27歳・看護師)

「『六本木から歌舞伎町まで』と伝えて女性3人でタクシーに乗車。私たちが話に夢中になっているうちに、かなり遠回りされていた。途中で『ナビ入れてます?』と確認したら、入れていないと言われて、結局倍の料金がかかった。歌舞伎町に到着して、料金が高すぎることを伝えたら『ねえちゃんたち、どうせ水商売とかパパ活とかしてカネがあんだろ? いいじゃねえか払ってくれても』と言われた。結局、全額お金を払った」(24歳・会社員)

乗車中に「愛人になって」と言われた

 歌舞伎町のガールズバーに勤務している小島菜々さん(仮名・24歳)は、ドライバーから驚きの提案を受けたことがあるという。

「乗車中に『愛人になってほしい』と言われたんです。仕事帰り、男性のお客さんと途中まで一緒にタクシーに乗ることになって、先に男性が降りました。運転手さんは車内に私だけになると『あの人は彼氏?』と話しかけてきたんです。知人だと答えると『実は今、お金を払って愛人契約を結んでいる女がいるんだけど、そろそろ手を切りたい』という身の上話をはじめました」

 最初は「一体、何の話を聞かされているんだ……?」と、不思議に思っていた小島さん。しかし、そのうち彼女の仕事内容や彼氏の有無など、プライベートな話題に踏み込んできたという。

「ブスのくせに!」と罵声を

「適当にかわしていたら『お金を払うから、新しい愛人にならない?』と、愛人契約の交渉してきたんです。ふたりきりになってほんの10分くらいで、愛人契約を迫られるなんて誰も思わないですよね。驚いてすぐに断ったら『ブスのくせに!』と罵声を浴びせられました」(小島さん)

 自宅を知られるのは危険だと感じ、かなり手前でタクシーを降りたという。

「悪態をつかれたうえに運賃を払って、結局歩いて家まで帰るなんて、あまりにもバカバカしいですよね。こんな思いをするくらいならタクシーに乗りたくないと思って、職場の近くに引っ越しました」

歌舞伎町界隈の独特な「タクシー事情」

 仮に最初に乗っていた男性を「彼氏」と伝えれば、事態は回避できたのだろうか。

「歌舞伎町界隈のタクシー事情は独特で、歌舞伎町を専門に流しているタクシーも多いんです。なかには『〇〇で働いている△△さんはここに住んでる』とか『この前、××さんが彼氏と一緒に乗ってきた』とか、歌舞伎町で有名な嬢やホストの情報を客に吹聴するドライバーが多いんですよね。あの時は、噂が広まる可能性を考えてしまってうかつなことは言えなかったんです」

 引越し後、タクシーにほとんど乗らなくなった小島さんは「タクシーに乗るときのストレスがなくなって、今は快適ですね」と話していた。

 当然ながら、すべてのタクシードライバーが女性に横柄な態度を取り、性的な嫌がらせをするわけではもちろんない。しかし、こうした体験談の多くは“タクシーあるある”で済まされ、表沙汰になりにくいこともまた事実だろう。直接タクシー会社へ連絡を入れるという方法だけではなく、国や各自治体が運営する相談窓口や、苦情や要望を伝えることができる公益財団法人「タクシーセンター」なども存在する。

取材・文=真島加代/清談社

(清談社)

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