「○○さんって本当に頭悪い」「○○さんみたいなブスが言っても説得力に欠けるよね」……このような他人の悪口ばかりを言う人がいます。悪口ばかり言う人は精神力をゴリゴリ削っていきますし、付き合い方もなかなか難しいです。他人の悪口ばかり言う人は何を考えているのでしょうか。分析妖怪ぱぷりこが解説します。
■悪口ばかり言う人の特徴と心理
悪口ばかり言う人とは、「他人のことを話すとき、ネガティブな内容ばかり話し、攻撃的な言葉ばかり使う人」のことです。現実の対人関係で悪口ばかり言うタイプが主流ですが、最近では、現実世界では口数が少ないもののオンライン上では攻撃的なコメントばかりを繰り返す「インターネット弁慶」タイプも増えています。
◇悪口ばかり言う人の共通点とは?
悪口ばかり言う人は、「他人のことを話すときは、ネガティブな内容と口調オンリー」という特徴があります。
通常、自分以外の誰かのことを話すときには、「ニュートラル」「ポジティブ」「ネガティブ」な話し方(トーン)があります。
☆1 事実を語る
・ニュートラル:彼は英語を話せる
・ポジティブ:彼は英語を話せて、かっこいい
・ネガティブ:彼は英語を話せるが、ださいジャパニーズイングリッシュだ
☆2 事実かどうかわからないことを語る
・ニュートラル:彼女はもうすぐ結婚するらしい
・ポジティブ:彼女はもうすぐ結婚するらしい、幸せそうな顔をしていてすてき
・ネガティブ:彼女はもうすぐ結婚するらしい、ブスなのによく結婚できたね
☆3 妄想を語る
・ニュートラル:彼はO型の顔つきだ、私にはわかる
・ポジティブ:彼はO型の顔つきだから、私の運命の恋人だ
・ネガティブ:彼はO型の顔つきだから、私に災厄をもたらす悪魔の使徒だ
多くの人は「ニュートラル」「ポジティブ」「ネガティブ」を使い分けます。一方、「悪口ばかり言う人」は、他人のことを話すときはいつもネガティブなトーンで話し、ニュートラル・ポジティブな話し方をしません。事実ベースだろうが噂レベルだろうが関係ありません。達人レベルになると、妄想をベースに悪口を言いまくるようになります。
また、「悪口ばかり言う人」は、「常識的に考えて」「普通は」といった単語をよく使います。「常識から外れているから悪口を言ってもいい」「普通とはちがうから叩いてもいい」という免責をしたいからです。ただ、彼らが言う「常識」「普通」はあくまで個人の思い込みにすぎず、事実や一般見解と異なっている場合も多々あります。
同様の理由で、「伝聞形式」も好んで用います。「そういえばある人から聞いたんだけど」「みんなが言ってたんだけど」など、主語を「自分以外の人」にすることで、「私が言い出しっぺではない」「自分だけが悪く言ってるわけじゃない」という印象を与えようとします。
◇悪口ばかり言う人の心理
悪口ばかり言う人は、「理想」が高く「べき論」が多い傾向があります。「許容範囲がとても狭い」とも言えるでしょう。
彼らは「人間はこうあるべきだ」「こういうシーンではこうすべきだ」という強固な理想があり、自分はもちろんのこと、他人もこの理想に従っているべきだと考えます。
彼らの「べき論」から外れる人は「なってない」「わかってない」「ありえない」と悪口の対象になります。たとえ一部の話題で「べき論」に合致して悪口対象から外れても、別の話題で「べき論」から外れれば、即悪口の対象です。結局、「自分と自分のクローン以外は全員が悪口対象」となります。
また、悪口ばかり言う人は、生活全般への満足度が低く、強い不満を抱えていることが多いです。不満の中身は、「好きな仕事に就けなかった」「友だちが自分より年収が高い」「モテたいのにモテない」など、悪口を言う対象相手とはまったく関係のない不満であることも多々あります。彼らは現状の不満について「自分は被害者だ」「自分以外の他人や社会が悪い」と考えています。「自分が不幸せなのは他人のせいだ」という考えで毎日を生きているのですから、他者全般へのネガティブパワーが日々大量生産されています。
そして、悪口ばかり言う人は、自分に自信がありません。生活全般への満足度が低く、理想と現実がかけ離れていると、自信を失っていきます。自信がない場合、上述した「他責思考」の人は、「他人を自分より低く貶める」ことで相対的に自分の地位を上げようとします。「自分より上だ」と思う相手でも、ケチをつければ「自分より下」ランクに位置づけられると思っているからです。
以上のように、「許容範囲の狭さ=不満を抱える対象が多い」「日常生活で満たされておらず日常的に不満がたまる」「自分に甘く他人のせいにする」「自信がない」という4つの要素が悪魔合体すると、「とにかく他人の悪口を言わずにはいられない人」が誕生します。
彼らは日々の不満や怒りを「他人への怒り」に自動コンバートしています。毎日たまる大量のネガティブパワーの発散先が「他人の悪口」です。
「自分の不満を他人にぶつけている」だけなので、悪口を言う相手は究極を言えば誰でもよく、身内や友人、会社の人といった身近な人から始まり、社会や特定クラスタへの攻撃など、どんどん攻撃対象が広がっていきます。
◇悪口ばかり言う人の末路
悪口ばかり言う人の末路は「孤独になる」「世界を呪うようになる」のコンボです。
当然ですが、悪口の内容が本人にバレたら印象は最悪で、人間関係は破綻します。本人バレしなくても、周囲からも避けられるようになります。いつも誰かの悪口を言っている人のことを、周囲は「この人は別のところで私の悪口を言っているんだろうな」と思って信用しません。それに、ネガティブな気分は伝染するものですから、「この人と話すといつも嫌な気分になる」と気づいた人から去っていきます。
孤独になると、悪口ばかり言う人はさらに不満を募らせ、身近な人への攻撃では飽き足らず、見たことも会ったこともない人にたいしても攻撃するようになります。不満は軽減されず、いきつくところまでいくと「社会が悪い」「世界が悪い」と自分以外すべてを呪うように。
■悪口ばかり言う人の対処法
悪口そのものに同調したり反発するのではなく、背景にある「不満」「自信のなさ」に注意しながら会話を進めることがコツです。
◇うまく付き合っていくコツ
まず、悪口ばかり言う人の悪口に同調しないようにします。面倒くさいと思って「そうだよね」「わかる」などと適当に相槌を打っていると、「この人は自分に賛成してくれる」「仲間だ」と思われて、さらに悪口ばかりを聞かされるようになります。また、こうやって仲間扱いされると、周囲から「悪口ばかり言う人2号」と思われるリスクがあります。「あなたはそう思うんだね」「私はあの人、すてきだと思うよ」など「私はあなたに同調しない」というメッセージを伝えて、会話しつつも同調しないようにすることがいいでしょう。
「悪口ばかり言うと嫌われるよ」など、反論することは危険です。彼らは自信がなく、日々の不満と怒りを吐き出したいのですから、「自分を攻撃してくる敵」は無条件で「最大限の力でタコ殴りにしていい敵」と見なされます。恐ろしい悪口や誹謗中傷をまき散らされる可能性があります。
また、彼らは「自分のつらさをわかってほしい」「自分の自信回復に付き合ってほしい」ために悪口を言うのですから、悪口そのものではなく背景にある「不満」「怒り」にフォーカスし「そんな大変なことがあったんだね」「つらかったね」と共感して、彼らのつらさを認めると、彼らの「認めてほしい」欲が満たされて、元凶である不満が軽減され、悪口も減る可能性があります。
◇直すことはできる?
悪口ばかり言う人は「自信がなく、日々の満足度が低く、慢性的に怒りと不満を抱えている」ために、他人のことを悪く言う癖がついています。そのため、改善するにはこの「不満」「自信のなさ」を解決することが必要です。悪口ばかり言う人が何を不満に思っているか、どうありたいのか、という「現状」「理想」の把握をすることが第一歩です。ここをすっ飛ばすと、問題解決には至りません。
原因がわかってはじめて、問題解決の専門家に助言をあおいだり、周囲と協力して解決したり、といった判断が可能になります。悪口ばかり言う人が抱える不満の原因はひとつだけではなく複数あることが多いため、しっかりとヒアリングしたり書き出したりして、問題の原因を把握することが重要です。
もっとも大事なのは、本人が「悪口ばかり言ってしまう自分をやめたい」と思うことですが、そのためには近くに「自分を認めてくれる理解者」の存在が必要です。ただ、このポジションは一般人には、かなりハードルが高いです。彼らの強烈な怒りや不満と向き合うと、ひきずられて体調やメンタルを崩すリスクがあります。また、話題や怒りがあちこちに飛ぶため、些末な情報に振り回されて、情報の問題と不満を見つけられないことが多々あります。問題解決思考や不条理耐性に自信がない限り、カウンセラーや問題解決の専門家に依頼したほうが無難です。
■悪口は、ネガティブエネルギーに飲まれる人の生存戦略
悪口ばかり言う人に悪口を聞かされるとイライラしたり疲弊したり、「自分が悪いのか」と不安に思ったりしてしまいますが、彼らの悪口の原因は「理想の高さ」「許容範囲の狭さ」「日々の生活の不満」「他責思考」にあります。
彼らは世界と他人すべてをサンドバッグにして、日々の怒りを発散してバランスをとっています。そうしないと、怒りと不満に飲み込まれて生きることがとてつもなく困難で苦しいから、悪口で発散しています。彼らなりの生存戦略なのです。
なので、できることなら光の速さで距離を取り、近くにいざるを得ないなら「彼らの悪口は自分には関係ない」という線引きを徹底し、彼らのネガティブ重力に引きずり込まれないようにしましょう。
(ぱぷりこ)
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