20周年を迎えたwyseが5月8日、シングル「蘇生」をリリースすることに加え、5月11日より全国ツアー<wyse Tour 2019「Period」>をスタートさせる。その一方でwyseは、今年2月に渋谷ストリームホールで行った結成20周年記念公演<20th Anniversary Special Live「Period」>にて、全国ツアー終了後より充電期間に入ることを発表、「未来を見据えての必要な選択」だとアナウンスしている。
◆「蘇生」トレーラー 動画
「バンドとして、意味のある作品を残していくこと。納得のいくライブをすること。バンドを継続していく上で、自分達には不可欠です」とは結成20周年記念公演で語られた彼らの言葉だ。そして、現時点ではラストシングルとなる「蘇生」が完成した。なぜ、彼らはアニバーサリーイヤーのタイミングでバンドの歩みを一旦ストップすることを決意したのか? その背景にある想いとは? シングル「蘇生」では何が描かれたのか? 未来を見据えるからこその葛藤を含めて、TAKUMAの真意に迫ったロングインタビューをお届けする。
■“解散”を選ばなかったのは
■僕たちの想いが一致したから
──wyseは結成20周年記念公演<20th Annversary Special Live「Period」>で、5月から開催される全国ツアーを持って充電期間に入る、とファンの前で直接伝えましたが、いつぐらいから決めたことだったんですか?
TAKUMA:その結論に至るまでのメンバーそれぞれに持つ考えは、きっと違うものでもあったとそう思うんです。新しい音楽を作ったり、wyseをもっと多くの人に知ってもらうチャンスをいただいたり、大切に紡いできた月日だった。個人的には20周年だけではなく、その先のことを考えたのは2018年秋ぐらいなんですね。未来に向かっていく中で、“wyseに今、いちばん必要なことはなんなんだろう?”、“どういう選択をすべきなんだろう?”って。
──この先、wyseを続けていくために必要なことについて考え始めた?
TAKUMA:そうですね。2017年にそれまで所属していた事務所から独立して、新しい道を選んだあのときと気持ちは似ていると思います。2017年2月に吉祥寺のライブハウスCLUB SEATAで独立することを発表して以降、今日までの時間をメンバー全員、本気で戦ってきた。その結果を見直した中で、“このまま進んでいけばきっとこうなるだろうけど、果たしてそれでいいんだろうか?”、“もっと違うアクションを起こすことはできないか?”って思うようになって。MORIとも同時期にそんな話をしてたんですよね。
▲wyse
──口に出すか出さないかは別として、4人それぞれが何かしら感じるようになっていたんですね?
TAKUMA:ええ。もっとアクティヴに動くこともひとつの選択だと思うんですよ。例えば全都道府県ツアーを廻るとか毎月シングルを出すとか。でも、“それが僕たちが今、抱えている疑問への正しい答えなのか?”あるいは、“この数年やってきたことに対するベストな在り方なのか?”と考えたら、そうではないのかもしれないと。思案した結果、充電期間を置くことにたどり着いたんです。そこで“解散”を選ばなかったのは僕たちの想いが一致したからだと思います。誰ひとり、そういう言葉は言わなかったし。
──もっとバンドについて考える時間が必要だったということですか?
TAKUMA:wyseを再始動させたときもそうですけど、“もう一度やるということは、自分たちだけでなくファンの人や関係者の方全員が動くことでもあるから、遊びじゃないし、止まれないよ”っていう気持ちでスタートしたんですよ。でも、“今、果たしてあのときと同じ、もしくはそれ以上の気持ちでwyseをやれているのか。これまでの活動の延長線上で本当にいいのか?”、“もうワンステップ踏むことが必要なんじゃないか?”と思ったんですよね。それには本当の意味で時間が必要。ただ、音源をじっくり作るから時間が必要なんだっていうのとはわけが違うんですよ。充電期間に旅行に行くというわけでもない。
──“充電=リセット”とは少し意味合いが違うんですね。
TAKUMA:そうそう。いろいろなことを含めて、充電という時間の中で何を考えるのかが僕たちにとって大事なんですよね。言い方は難しいですけど、メンバー、スタッフ、wyseに関わる人たちへの宿題でもあると思っていて、全員がwyseに向き合って進んでいくからこそ、持ち帰るものがあると信じているし、そういうふうに僕は充電を捉えていますね。ひと回りもふた回りも大きくなりたいんですよ。それは動員かもしれないし、売上枚数かもしれないし、認知度かもしれないし、それ以前に僕たち自身がそうなれるバンドに成長することかもしれない。第3者に何かを求める以前にメンバーの覚悟が変わらなければいけない部分もあると思うので、そうなれれば自ずと状況も変わっていくんじゃないかって。独立して以降は出会いにも恵まれたし、環境も劇的に変わって、それ以前とは比べものにならないぐらいwyseを本気でやってきたと思えているので、だったらもっともっと変化できるんじゃないかなと思っていて、そのための時間が欲しいんです。
──なるほど。ちなみにライブで充電することを伝えたときのファンのリアクションはどう受け止めましたか?
TAKUMA:ファンは過去に解散発表を経験している人たちが多いので、僕の喋り方に“何かある”って感じたみたいで、瞬時にその場の空気が変わったように思いました。
──ライブのタイトルにも“Period”って付いていたから、気になった人も多かったのでは?
TAKUMA:それもあったとは思うんですよね。“Period”と付けた意味は別として、“そうかもしれない”と思っていた人たちにとっては“やっぱり”と思わせてしまった瞬間だと思うし。ただ、“解散”と言わなかったことに対しては、信じてくれる気持ちをその眼差しから感じ取れたので。あのときは、充電の理由も含め、あるひとつのことを明確にするような言い方はしなかったけれど、ライブが終わったときには笑顔も見られたので、1本のライブとしてちゃんと成立できたのかなと思っています。大事なことは、今回リリースするシングル「蘇生」を通して、あるいは5月からのツアーをやっていく中でわかってもらえるかどうか。言葉で明確に語るよりも、“だから充電するんだ”、“その時間でこうなるのかな”とか音楽や行動で伝えられるのがベストだと思っていて、足りない部分を言葉で補えればいちばん良いのかなと思っています。
──過去を振り返ると、“最初で最後だと思ってやっている”というTAKUMAさんの発言は少なくなかったですよね。2017年のメジャーデビューの取材時も、“今後のことは未知数”という空気だったと記憶してます。
TAKUMA:なぜ僕がそういう表現をするのかというと、それは解散した経験があるからだと思います。wyseが上り調子だった時代は僕も子供だったし、イケイケだったこともあったと思うんです。不安なんてなかったし、もっと希望に満ちあふれていた。けど、そうじゃなくなる瞬間を体験してからは、悪い方向にいかないための道筋を考えたり、良くないシュミレーションを10個も20個もしてみて、そうならないような方法を探すようになったので。ライブにしても音源にしても、ひとつひとつ、これが最後かもしれないって思うし、裏を返せばそうなりたくないからこそ死ぬ気でやれるっていう。お客さんも常にいてくれるとは思っていないし、いてくれることは本当に有難いけれど、その人たちも一瞬で消えてしまうかもしれないという危うさもいつも感じているんです。だとしたら、1000人のお客さんを1001人にしていこうとか、数字は例えですけど、そういう精神でやっていく、というのが僕の考えなんです。月森は僕とは別の表現で言いますけどね。2月に僕が充電に入ることを伝えたあと、ライブが終わる寸前、曲に入る前に月森はひとこと「きっと大丈夫だから」と言ったんですよ。ファンの心情のことを考えたんだと思うんですよね。
──大丈夫だから待っててね、という意味合いだったんでしょうか?
TAKUMA:そこまでは言わなかったですけどね。僕はそのとき、苦しんだり悲しんだりしても、半年後もしくは1年、2年後に、その時間が救いになるための出発をするべきだと思って伝えたから、支えるような言葉を言うつもりはなく。けど、月森はきっと優しさから、「大丈夫だから」って言ったんだと思う。そう言ったのなら、彼は彼でその言葉を背負って物語を作るべきだし、MORIとHIROは言葉を発するわけではないけれど、同じメッセージを発信する立場の中で、自分たちの考えのもと進んでいくだろうし、音源のリリースやツアーの中で生まれる気持ちもあると思っています。
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■「一発作ろうぜ」って取りかかった作品
■メンバー全員が共通した意識で作った
──さらに踏み込んで訊きたいんですが、各々メンバーはスタンスも違いますよね。具体的に言うとTAKUMAさんやMORIさんはwyseを含む音楽活動がメインですけど、月森さんやHIROさんは音楽以外の仕事と両立させている。物理的にバンドに割く時間も違うのかなとは思うんです。
TAKUMA:僕自身は、“牧田拓磨という個人”はwyseとは関係がないと思っていて、そういう意味では月森やHIROの日常生活も、MORIと僕のwyse以外の音楽生活も切り離して考えてはいます。ただ、この問題は難しくて、SNSが普及している世の中なので見なくてもいいことや知らなくてもいいことも知ってしまうし、僕らサイドもTwitterのアカウントを持っているから、そこに何か書けば見る人には情報が入ってきますよね。個人的には時代と逆行しているかもしれないけれど、そういうのを全て一度ストップするのもひとつなのかなと、そんな考えを持っていたりもします。だから、今の質問に対しては、“メンバーが忙しいからwyseができないんだよ”って思わせてしまっているのであれば、その時点で僕らはダメで。そんなことは本来、聴く人には関係がないことですからね。ただ言えるのは僕やMORIが音楽で生きているからいいのではなく、月森やHIROも今の生活スタイルがあって人間が形成されているわけで、制限することがプラスなのかマイナスなのかはわからないです。
▲シングル「蘇生」フライヤー
──それは確かにそうだと思います。否定しているわけではなく。例えば聴いている人もwyseと一緒に成長しているわけで、お子さんがいらっしゃったりする人もいるし、自然なことだと思います。
TAKUMA:今、お話したようなことをファンの人にも考えさせてしまう余地があること自体がどうなのかなって。例えばTwitterを見て「月森さん、ドイツにいたもんね」とか「HIROさん、平日は仕事があるもんね」とか、そういう情報がない状態でwyseに触れてもらえたら、もっとクリアに見えるものがあるのかもしれない。例えば今の時代、インタビューも生配信できるじゃないですか。Twitterやインスタだってファンは見たいし、知りたい。そしてそれは、ひとつを知れば必ずもうひとつ、さらにもうひとつと、どんどん“知りたい”を消費して次を求めるようになる。その一方で、“本当のこと”を発信してもそれが埋もれてしまうくらいに、情報はいろいろなところで溢れている。便利な反面、どんどん難しくしている側面もあると思うんです。だから僕は、作品やライブ、こういうインタビューはとても大切にしているし、その重要性が増すような方向を考えないといけない、と最近思っています。
──発信する側は葛藤するところですよね。プロモーションとして大事な役割を果たすSNSではあるけれど、幻想は薄れてしまうかもしれない。自分がさっき質問したことも含めてですが。
TAKUMA:いや、それは大事で、読んでくれるほうがいいんです。さっき話したことは、例えば100人いて100人が知りたいことなら僕は全部を伝えるけれど、知りたくないという人が1人でもいるなら、それはトータル的にマイナスになるということで。だったら、ゼロのままのほうが全ての人がハッピーなんじゃないかなって。だってライブに来るときは余計なことは考えずに来るでしょ?っていう。ライブが終わってからの数日間も夢心地でいてほしいと思うから、そこは選んで発信していかなきゃいけないとは思いますね。
──では、これまで話していただいたことともリンクするであろうシングル「蘇生」について訊かせてください。この作品が20周年の区切りというふうに捉えていいんでしょうか?
TAKUMA:そうですね。“wyse20周年のシングルは、これです!”っていう。
──そういう気持ちをメンバー間で共有して制作した曲たちなんですか?
TAKUMA:ツアーの日程が決まっている中、形態としてはミニアルバムなのかシングルなのか配信なのか、いろんな案が出たんです。そこで、「一発作ろうぜ」って取りかかった作品なので、そういう意味では共通した意識で作っていますね。
──タイトル曲は「蘇生」。“蘇生”とは“生き返る”とか“蘇る”という意味を持つ言葉ですが、出だしが“壊れてく”から始まって、このタイミングで聴くと今の形が消えていくようにも捉えられて、聴くほどに沁みてきます。
TAKUMA:wyseを知っている人が聴くと曲の方向性が今の状況に重なるかもしれないし、それはそれで間違いではないんですが、歌詞を書くときはいつも1曲に対して3通りぐらいの物語を考えるので、そこを本筋としては書いていないんです。ただ、今のタイミングで出す曲として書いたことに間違いはないし、そういう意味では繋がっているので、「wyseのことかな?」って頭をよぎったのなら、それはそれで正解なんですよね。
──なるほど。そうでない解釈でいうと?
TAKUMA:眠っている状態、あるいは仮死状態から目を覚ますことが“蘇生”だとしたら、単純にこの世界に戻ってくることだと思うんです。だけど、逆も僕は言えると思っていて、それはこの現実世界から目を覚ますこと。自分自身が新しい世界へ、という意味を込めて“蘇生”という言葉を使っているんです。
──だから“顔が変わっても 僕だと思える?”と歌っているんですね。
TAKUMA:そう。僕がDNAレベルで変わるっていう。前世や来世の話でもいいんですけど、例えば僕もしくはwyseが、それまでとは違うものになって、wyseじゃないものになって、この世界に存在したとしても、あなたは私のことがわかりますか?っていう。でも、きっとわかるぐらいに僕の中に僕が残っているだろうと。そういうことを描きたいと思ったんです。“壊れてく”というのは消滅していくというよりは、始まりであるということ。自分で自分を壊していくことから始まるっていう。失敗を受け入れることもそうだと思うんですね。受け入れがたい自分の過ちだとか、惨めさを受け入れて、取り繕うような虚勢やプライドを壊すこともそうかもしれない。そういうことをふくめた“蘇生”でありたいというか。そういう本筋を描けたらなと思って書きました。
──TAKUMAさん自身の願望でもある。
TAKUMA:そうでもあるし、wyseというものに対してもそう。また少し違った部分で言えば、僕の知り合いに障害を持っている方がいるんですが。この世の中、様々な境遇の人がいる。その人が生きている時間、そのすべては当人以外には分かり得ないのかもしれないけれど、僕も含め、みんな誰もが少しずつでも現実を受け入れて、怖さを抱えながらも本当の自分を知って、その一歩を踏み出す瞬間があったんだと思う。それは今も、またこの先もあるんだと思うし。そうやって現在があり、その積み重ねが現在の自分を作りここに存在させているんだと僕は思っていて。そういう意味での、ひとつひとつ変わることも含んでいるんです。
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■充電期間前に出すシングルで
■未来を見せられたと思う
──「蘇生」の“心を生かせば 脳を超えられる?”という歌詞は?
TAKUMA:自分が考えていることが自分を構築していると思うんですよ。自分の脳、考え方、発想を成長させていっているような感じ。心を育むって言いますけど、心すらも究極的には脳だと思うんです。だけどその心は、いつか脳さえも超えるんじゃないかって。SFファンタジーみたいな世界になるけれど、心臓だけ残ればその人は、その人として存在していくことができるんじゃないかという感覚が僕にあって、脳を残せばその人の記憶を残し、抜き出すようなことも可能になるかもしれないけれど、その人の本当の人格やオーラみたいなものって脳じゃなく心臓なのかなって思ってるところがあるんです。現実には成立しない考えなので、問いかけにしてるんですけど。
──ということは、“壊して超えていきたい”という想いを込めた歌詞?
TAKUMA:“これ良くないな”と頭で思うより先に、心は気づいていると思うんですよ。“危ないぞ”って脳が自覚する前に心や身体は感じている。脳で感じる部分と心が感じる部分は別な気がしていて、“頭ではわかっていても”っていう表現があるように、行動に移せないこと、あるいは止められないことも脳を制御できればそのどちらにも動けるんじゃないか、という。気持ちで動く、気持ちが動くのような。“こうしてあげられたらいいのに、なかなかできない”と思うことって、心じゃなくて脳のような気がしてね。あくまで僕の考えですけど。
▲シングル「蘇生」A-TYPE
▲シングル「蘇生」B-TYPE
──そして「Calling…」は新しいwyseが感じられる曲ですね。洗練されたダンスロックというか。
TAKUMA:僕がwyseを始めたのが18歳だったんですけど、メンバーがその頃にいいと思ったものにもう1回立ち返るというか、“あの時期の僕らがwyseとしてカッコいいと思っていたサウンドってどんなだろう?”って振り返って、経験の中で構築して引き上げていった曲が「蘇生」なんです。それに対して「Calling…」は自由に作りましたね。「Calling…」は「蘇生」とは逆で、自分たちの今や未来。いろんなものを吸収して音楽を楽しんで、最先端なものにアンテナを張ってwyseとして昇華するっていう。そういう意味では「新しい」って言ってくださったように、そう感じてくれたとしたら、充電期間に入る前に出すシングルで未来を見せられたと思うんです。サウンド面で“まだ成長したいし、止まらないよ”っていう意思表示になればと思って作った曲でもありますね。
──「Calling…」のボーカルのメインはTAKUMAさんですか?
TAKUMA:メインもとってますし、月森と割り振っているところもあります。月森がメインで僕がコーラスっていうのがwyseの主流ではあるんですけど、カップリングでこういう耳障りの曲も面白いかなと。出だしは僕がメインをとってますけど、4本とか5本、声を重ねているんですよ。歌の聴かせ方としては、これまでとはまた違うことをやったりもしていて。Bメロでは月森と一緒に歌っていたり、ライブでは盛り上がる1曲になってほしいなと、そう思っています。
──【A-TYPE】に収録されている「Breaking down」は最もファストな激しいナンバーで、ロックンロールなギターソロから察するにMORIさんが作曲したのかなと。
TAKUMA:その通りです。
──タイトルは“壊す”という意味ですか?
TAKUMA:僕もそう捉えています。意味合いは違うかもしれないけれど「蘇生」と連動しているのが面白いなと思いましたね。曲作りのときはどういう形態になるかわからなかったので、今回、MORIは数曲書いてくれたんです、いわゆる良い曲を。
──もっとメロディアスな曲を?
TAKUMA:そうそう。でも、そういう曲ばかりだと今作としては違うなと。今の僕には書けない方向性のMORIらしい曲を書いてくれって。MORIらしさは僕らが思っている以上に幅広いと思うんですけど、これまでwyseで果たしてくれた役割というとアッパーな曲なんじゃないかなって。「Breaking down」を新たに作って持ってきてくれたときには完璧だと思ったので「これでいこうよ!」って。
──今回のシングルでいちばん暴れられて、叫べる曲ですものね。
TAKUMA:ね。どうなるんでしょうね。新曲をやるときは楽しみでもあるし、不安もあるから今もドキドキなんですよ。ライブの中でフックになる曲じゃないかな。
──“満たされない”と歌う曲で、今なお尖っているwyseを感じさせてくれるナンバーでもあります。
TAKUMA:衝動的なね。どんどん丸くなっている僕に対してMORIはどんどん尖っていく(笑)。
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■儚い道を選んだと思われるかもしれない
■先を見据え、ベストなライブをするだけ
──【B-TYPE】に収録されている「オリオンの空」はいちばんトーンが明るくて銀テープが飛びそうな曲調ですね。
TAKUMA:おっ。飛ばしましょうか(笑)。
──5月からのツアーはそういう噂もあるようですが。
TAKUMA:この曲で飛ぶかはわからないですけどね。HIROはハードな曲を書く印象が強いので自由に好き勝手やったハードロックな曲が来るかな?と思ったら、たまに書くポップな曲が来ましたね。そんな中にもちょいちょいHIROらしいフレーズが盛り込まれてますが。
▲全国ツアー<wyse Tour 2019「Period」>フライヤー
──サウンドの質感がいちばんキラキラしています。
TAKUMA:そうですね。そういう意味でいちばん光が見えるような曲かもしれないですね。「Breaking down」でMORIのギターが際立っているなら、「オリオンの空」はHIROのギタリストとしての個性をいちばん感じられる曲なのかもしれないですね。
──TAKUMAさんのベースもフレージングとサウンドメイクが相当練られてますが。
TAKUMA:いやいや。僕は楽器も歌も全部録り終わったあとにベースを入れるんです。構成が見えてる段階でここはこう弾こうとか。
──隙間にこのフレーズを入れようとか?
TAKUMA:そうですね。間を埋めるために弾くこともあるし、MORIもHIROも自由に弾くけど、僕のポジションも考えてくれるので。「オリオンの空」はルートで弾くとちょっと違うな、と思って何パターンか試してみた結果、こういうベースになったっていう。
──月森さんの甘い声を活かす曲でもありますよね。
TAKUMA:合っていますね。デモの段階でアイツが歌っている姿が全員見えた曲だと思います。
──4曲、カラーが全く違いますがファンに向けたメッセージなのかな?と思ったのが「オリオンの空」でした。
TAKUMA:そこは原曲を作ったHIROに聞いてみないと実際のところはわからないですけれど、僕もそういうメッセージも込められているように受け取っています。もしかしたら僕が書いた「蘇生」と同じように、そうじゃない捉え方のほうがいいと思っているかもしれないし。そのほうが夢もあるし、ロマンもありますからね。このインタビューもそうですけど、読んでみないとわからない、読んでみてそれはどういう意味なのだろうと、さらに考えてみてもらえると嬉しいですね。
──“こういうことかもしれない”、“ああいうことかもしれない”って想像しながらね。
TAKUMA:それがとても大事。“こうあってほしい”とか“こうじゃなかったらいいのにな”とかね。“こういう意味だよ”って言うのは簡単ですけど。
──意味を限定してしまいますからね。
TAKUMA:そう。曲を聴いてメロディとか色味とか瞬間的に感じたことから何かを受け取って、ライブに行ってみたら違う印象を受けたとか、ツアーが終わってから聴いたらまた感じ方が変わったとか、そのほうが素敵だなと思うんですよ。
──そうですね。では最後に、間近に迫っている全国10ヵ所14公演のツアー<wyse Tour 2019「Period」>について予告してください。すでにソールドアウトの公演も出てきていますが。
TAKUMA:いろんな想いがありますが。今までで最高でベストなライブをして“wyseっていいでしょ?”って伝えられるチャンスであり、僕らがすべきことは明確なので、ソールドアウトしてようがしてなかろうがそれは一緒だし、行こうか悩んでいる人がいるならぜひ見に来てほしいですね。
──楽曲、ライブを通して、なぜ充電するのかが言葉にしなくても伝わるツアーになるということでもあるんだろうし。
TAKUMA:個人的に思うのは、“充電したくない”って思えたらいいですね。もちろん発言した重みは忘れないし、なかったことにはしない。その上で、ツアーを廻る中で応援してくれる人たちに“すまん!”という気持ちになったり、絶対にもっと良くなって帰ってくると思ったり、止めたくないという気持ちに自分たちが自然となれたのなら、それだけ内容のある時間を共に過ごせたということだと思うので。全員がレベルアップしてお客さんに“wyse、帰ってこいよ!”って思ってもらえる僕たちにならないといけないし、それが使命だと思ってます。楽しむことは当然ですから。
──ちなみに充電を発表したときの「最高の状態で、最高な作品と共にwyseの25周年へ向かいたい」というのは25周年に復活するという意味ですか?
TAKUMA:そういうことではないです。言ってみれば、21周年も22周年も存在するわけで、ただ、次の大きな区切りは25周年だと思うのでそう言っただけで。なので特に決めてはいないんです。いずれにせよ、充電した意味がなかったらダメですよね。意味を持たすことが出来たり、個々のメンバーがどう考えるか見えたときでしょうね、充電の先は。今は未来の話もするけれど、まずは7月までのツアーに全力で向かうことがいちばんです。
──ファイナルの7月28日まで全力で駆け抜けると。
TAKUMA:はい。これが僕らが選んだ20周年の形だと思っているので。儚い道を選んだと思われるかもしれないですけど、最高の作品が届けられて最高のツアーができたら、振り返ったときに大きなものが残ると思うんですよ。そうなるために進んでいくので、今は複雑な気持ちを抱えるかもしれないけれど、先を見据えたいし、ベストなライブをするだけ。その結果、「20周年。最高だったね。充電には入ったけどその決断も素晴らしかったね」ってみんなが思ってくれるよう、今はそこを目指すだけですね。
取材・文◎山本弘子
■ニューシングル「蘇生」
2019年5月8日発売
【A-TYPE】QAFJ-10013 1,800円
「蘇生」
「Calling…」
「Breaking down」
【B-TYPE】QAFJ-10014 1,800円
「蘇生」
「Calling…」
「オリオンの空」
▼購入者特典
以下のCDショップ各店でご購入された方に、先着でライブDVD(各ショップ毎にそれぞれ3~4曲ずつ5種類。全19曲予定)を、対象商品1枚ご購入につき1枚プレゼント。
【対象店舗】
・HMV全店(HMV&BOOKS online含む) ※一部店舗除く
収録予定曲:「Double」「MORAL」「Secret Lip」「Distance」
・タワーレコード各店(タワーレコードオンラインを含む) ※一部店舗除く
収録予定曲:「イイんじゃない」「紺色の森」「evil news」「キミグラデーション」
・新星堂全店 ※オンラインを含む
収録予定曲目:「slow time」「心の隙間」「終わらない夜のマーメイド」「Glorious Story」
・amazon
収録予定曲目:「Miss T×××」「L.A.S.P.U.P.」「あの日の白い鳥」「ヒカリ」
・Like an Edison 全店
収録予定曲目:「ビー玉」「Air」「My name is Japanese Breaker」
■全国ツアー<wyse Tour 2019「Period」>
▼Prologue (※wyse祭)
5月11日(土) 東京・TSUTAYA O-WEST
open15:30 / start16:00
※Guest:LEVIN、石月努、you、RYO、Junichiro
▼Chapter 01 (※FC会員限定)
5月11日(土) 東京・TSUTAYA O-WEST
open19:00 / start19:30
▼Chapter 02
5月12日(日) 埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心
open15:30 / start16:00
▼Chapter 03
5月18日(土) 広島・セカンドクラッチ
open17:00 / start17:30
▼Chapter 04
5月19日(日) 大阪・OSAKA MUSE
open15:30 / start16:00
▼Chapter 05
5月25日(土) 新潟・GOLDEN PIGS BLACK
open17:30 / start18:00
▼Chapter 06
5月26日(日) 新潟・GOLDEN PIGS BLACK
open15:30 / start16:00
▼Chapter 07
6月08日(土) 北海道・札幌COLONY
open16:00 / start16:30
▼Chapter 08
6月09日(日) 北海道・札幌COLONY
open15:00 / start15:30
▼Chapter 09
6月22日(土) 宮城・仙台 HOOK
open16:00 / start16:30
▼Chapter 10
6月23日(日) 宮城・仙台 HOOK
open15:00 / start15:30
▼Chapter 11
6月30日(日) 福岡・INSA FUKUOKA
open15:30 / start16:00
▼Chapter 12
7月14日(日) 愛知・名古屋SPADE BOX
open16:30 / start17:00
▼the Final Chapter
7月28日(日) 東京・渋谷ストリームホール
open15:30 / start16:00
【チケット】※各種先行受付
前売5,000- 当日5,500-
一般販売:4月20日(土)10:00~
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