「Tech Launcher」の工場
オープンイノベーションの場として活用
長岡工業高等専門学校発のベンチャー企業、拾壱・ビッグストーン株式会社(長岡市)は、新たな開発・製造拠点である「Tech Launcher」を今年7月に開設した。
同社の主軸事業は、ロボットの関節部分などに使われている減速機の開発・製造。減速機は歯車でモーターの回転速度を下げて出力を強める装置で、独自技術により低コストで小型化を可能にしている。
新たな拠点「Tech Launcher」は、現在は使われていない株式会社広井工機の旧社屋(長岡市川崎町)を活用して開設。加工する金属を回転させながら削る「旋盤」、面をならしたり正確な穴を開けたりするのに適す「フライス盤」、プログラムを読み込ませ自動的に歯車の形状加工を行う「マシニングセンター」の3台を設置した。これまで減速機1台を試作するのに4〜5日かかっていた時間を半日に短縮し、効率性が格段にアップしたという。
また、(マシニングは購入したものの、)旋盤・フライス盤は協力会社から譲り受けるなどして、改装費や機械導入費などの初期投資コストを約600万円に抑えた。加えて、そのほとんどを補助金で賄ったという。
一方、大石克輝代表取締役は、長岡高専に在学中、学校の機械工場は使える時間に制限があり、思うように開発ができず苦しんだ経験がある。こうした経験から、工場は製品開発のオープンイノベーションの拠点として、ベンチャー企業や研究者、学生などが、ものづくりを目的とした試作・実験に使用できる場として開放していくという。「学生たちにはアイディアを形にするための場所として使ってもらいたい」(大石代表)。また安全を考慮し、製品の企画や設計図などを持ち込めば、試作品を作る支援も行うという。
自社製品の販売を目標に掲げるが、現在は企業から依頼を受けての受注生産がメイン。大石代表は、「今ある技術を確実なものにして、データを蓄積したのち製品化していきたい。目標は新潟県の誰もが知る歯車メーカーになることです」と話した。
拾壱・ビッグストーン株式会社の大石克輝代表取締役
拾壱・ビッグストーン株式会社のメンバーと、中央は施設オーナーの廣井晃氏(株式会社広井工機代表取締役)