『GHC NATIONAL CHAMPIONSHIP SUGIURA vs NAKAJIMA』ノア特設アリーナ(2020年5月9日配信※TVマッチ)
GHCナショナル選手権試合 ○中嶋勝彦vs杉浦貴×
中嶋が杉浦との激闘を制して、GHCナショナル王座奪取に成功。相棒のGHCヘビー級王者・潮崎豪とともに、“AXIZ"がノアのシングル2大王座に就いた。
無観客の3・29後楽園大会で中嶋が挑戦を表明し、初代王者の杉浦も即諾。杉浦5度目の防衛戦も無観客のTVマッチが舞台となった。
あらゆるシチュエーションで死闘を展開してきた両雄。この日も例外ではなかった。中嶋が急角度バックドロップで先制したものの、コーナーで得意の“顔面踏みつけ式写真撮影タイム"に入ると、杉浦は足を強引に絡め取って強制終了、同時にアンクルホールドで絞め上げ、そのまま左足に集中砲火を浴びせていった。
中嶋も痛む足をものともせずに各種キックで反攻すると、杉浦のお株を奪うように、馬乗りになってエルボーを叩き込む。ならばと杉浦も“逆ヴァーティカルスパイク"ともいうべき垂直落下式ブレーンバスターで逆襲し、本家“コーナーでの鬼エルボー"を乱射だ。再び徹底的にアンクルホールドでギブアップを迫る。ロープをつかむので精一杯の中嶋を、追撃の猛烈エルボーでメッタ打ちにするや「終わりだ!」と予選スラムでぶん投げた。
中嶋はギリギリで肩を上げると、2発目の予選スラムは間一髪で不時着して右ハイキックを発射。崩れ落ちた杉浦に、トラースキックやサッカーボールキックを容赦なく乱射するや、不敵な表情でヴァーティカルスパイクを予告だ。杉浦はフロントネックロックで切り返そうとしたものの、ヒザをつかなかった中嶋は一気に抱え上げ、急角度でマットに突き刺した。
杉浦も沈まない。サッカーPK戦のように顔面を蹴り飛ばす中嶋の“人でなし"顔面蹴りをキャッチすると、死力を振り絞ってのアンクルホールドへ。
だが、足を掴まれた状態で立ち上がった中嶋がビンタを叩き込んで払いのける。そのまま壮絶なビンタ合戦に発展したものの、競り負けたのは杉浦。がくっと崩れたところで、杉浦の顔面をヒザ蹴りでカチ上げた中嶋は、今度こその“人でなし"顔面蹴りをズバリ。まともに浴びた初代王者を引きずり起こすや、滞空時間を十二分に取ってからの完璧なヴァーティカルスパイクで突き刺し、完璧な3カウントが数えられた。
初代王者として価値を高めてきた杉浦を下して、中嶋が“赤いベルト"の第2代王者に。無観客でも痛々しい破裂音が何度も響く激闘だった。疲れた…とばかりにリング中央であぐらをかき、その前に赤いベルトを置いた中嶋はテレビカメラを呼び寄せて、まずはAXIZファンの呼称である“HOMIES"(ホーミーズ)に向かって喜びのメッセージ。そのうえで「ベルトを獲ったら終わりじゃないよね? 俺がGHCナショナル…この赤いベルトを獲った。始まりだよ。もちろんGHCナショナルって誰でもいいんだよね? だから、誰でも挑戦を受けるよ。今日が俺の新しい1ページ目。これからどんな2ページ目があるのか楽しみだね」と胸を高鳴らせた。
昨年11月に誕生したばかりの“GHCナショナル王座"は、いわゆるドメスティックタイトル(国内開催限定王座)だが、階級は無差別。バックステージで中嶋は「獲った時から俺の一部だから。一緒に変化していくよ。むしろ、俺と一緒に変化するのが(ベルトも)楽しみなんじゃない?」と俺色の防衛ロードを見据えた。
何より相棒のGHCヘビー級王者・潮崎豪に続いて、中嶋がナショナル王座を獲得。中心軸を意味する「AXIS」に由来して名付けられた“AXIZ"が、シングル2大王座に就いて完全にノアの中心軸となった。
中嶋は「HOMIESにはリング上から『獲ったよ』って言ったけど、一番言いたいのはね……(※カメラに向かって)豪さん! 獲ったよ」と急性虫垂炎(盲腸)手術で急きょ欠場となった相棒に報告。そして「今、こんな世の中だけど、ノアはTVマッチとしてまだ届けられるし、観てもらえる。この出会いと奇跡は当たり前じゃないし。でもこれを続けていくのが、やり続けていくのが俺たちプロレスラーでしょ。……ちょっと、らしくないこと言っちゃったじゃん!(笑) まぁTVマッチがノアにはあるからね! 見たいヤツは見てくれ。そして後悔はさせない。そのために俺たちはリングで命を張る。今日は新たなスタート」と所信表明した。
ここ数年、自由に振る舞うことで一気に幅を広げた中嶋が手にした自由な赤ベルト。潮崎が織りなすGHCヘビーとのコントラストも含めて、まずは“2ページ目"に注目となる。
【試合後の中嶋】
――まず杉浦戦を振り返って?
▼中嶋「振り返りたくもないねえ。なんでいつも俺たちの…というか、毎回いつも俺の前に大きな壁として現れるよね。まぁ、ありがたいですよ」
――今まで以上の壁の高さ、厚さを感じた?
▼中嶋「そうね。毎回死ぬかと思うけど、想像以上に。死ぬかと…いや、死んだかと思ったよ、今回もね」
――変化の幅が広そうなベルトを手にしたが、どう王者として振る舞っていく?
▼中嶋「獲った時から俺の一部だから。一緒に変化していくよ。むしろ、俺と一緒に変化するのが(ベルトも)楽しみなんじゃない? 想像つかないよね! どんな風になっていくのか。だから楽しいじゃん、ねえ!?」
――AXIZとしては潮崎がGHCヘビー、そして中嶋選手がGHCナショナル…と、揃ってシングルのチャンピオンになった
▼中嶋「HOMIESにはリング上から『獲ったよ』って言ったけど、一番言いたいのはね……(※TVカメラに向かって)豪さん! 獲ったよ」
――これから潮崎とはAXIZとして組んで盛り上げていく部分と、それぞれGHCヘビー級王者、GHCナショナル王者として存在感で競い合っていく部分とが生まれそうだが?
▼中嶋「いいよ。どんな見方でもいい。楽しいじゃん。想像は、可能性は広いほうが。だって俺たち、ノアの選手もスタッフも、HOMIESたちも一緒に走ってるから。今、こんな世の中だけど、ノアはTVマッチとしてまだ届けられるし、観てもらえる。この出会いと奇跡は当たり前じゃないし。でもこれを続けていくのが、やり続けていくのが俺たちプロレスラーでしょ。……ちょっと、らしくないこと言っちゃったじゃん!(笑) まぁTVマッチがノアにはあるからね! 見たいヤツは見てくれ。そして後悔はさせない。そのために俺たちはリングで命を張る。今日は新たなスタート。GHCナショナルが俺の手元にある。これが一番、今日大事なことじゃない?」
――自分自身でもどんなベルトか想像がつかない?
▼中嶋「つかないよ。だってまだ出来たばっかじゃん。これから創り上げていくんでしょ? 誰が?………俺が!」