「ベント監督が僕を呼び、アジアカップに出場できない理由を説明してくれた。その瞬間、新しい挑戦をしなければと決心した」
ロシアW杯メンバーに選ばれ、12月に行われた国内組中心の韓国代表合宿にも参加しつつ、アジアカップ最終エントリーに漏れた仁川ユナイテッドのムン・ソンミンが、『スポーツソウル』との単独インタビューでその心境を明らかにした。
ムン・ソンミンのメンバー落ちは意外だった。ロシアW杯の最終メンバーに抜擢されて以降、上り調子にあったし、パウロ・ベント監督が韓国代表監督に就任してからも常に代表に選ばれ、継続的に出場機会を得てきた。
ベント監督が落選選手にかけた言葉とは?
11月のオーストリア遠征・対ウズベキスタン戦では絵に描いたような左足ボレーでゴールも決めていただけに、ムン・ソンミンの落選は予想外だった。
ムン・ソンミン
(参考記事:アジアカップ韓国代表から勢いあるロシアW杯組や欧州組が外されたワケ)
ムン・ソンミンは本紙とのインタビューでも、「正直、(アジアカップに行くことができず)当惑した。ただ、エントリー発表前にベント監督が僕を呼ばれた。監督の話を聞いたことで受け止めることができた」とその胸中を明かした。
ならば、ベント監督はムン・ソンミンに何を語ったのか。監督が強調したのは2つ。スペースをも自ら創出すること、マルチなポジションを消化することだったという。
「監督は“スペースが多いときは君の活用度が高く、君の長所も出る。ただ、狭いスペースを切り崩すことを苦手にしている。マルチ能力でも競争相手に押され気味で、(アジアカップに)一緒に行くことはできない”と説明してくれた」
そのうえで、「監督本人も選手時代に僕と似たような理由で(代表から脱落した)経験があると言っていた。ムカつくこともあるだろうと僕の気持ちも察してくれた。監督が僕の短所を明確に指摘してくれたので、むしろ心が落ち着いた」という。
ムン・ソンミンは今季、Kリーグで14得点6アシストを記録。守備に重きを置きながらカウンターアタックに依存する仁川において、彼の存在感は絶対的だ。
ムン・ソンミンの競争力は、強い相手と競わなければならないW杯でも光った。ただ、アジアカップでは韓国より戦力的に弱い相手が多い。つまり、密集守備を繰り広げる相手をいかに克服するかが核心となる。 その状況で、ベント監督は狭いスペースを克服することに難があるムン・ソンミンの短所を指摘したというわけだ。
海外リーグのクラブからもオファー
ムン・ソンミンは告白する。
今より良い選手となり、韓国代表の動力に生まれ変わるためには、新しい環境でプレーしなければならないと、彼は思っているという。
さらに大きなチームに移って受け身ではない“支配するサッカー”に慣れ、相手の守備戦術を切り崩すアタッカーに成長することを誓っている。
「挑戦があってこそ成功も失敗でもできるのではないかと思う。僕を育ててくれた仁川はありがたいチームだが、今は攻撃的なスタイルのチームでプレーしながら、密集守備に打ち勝つ経験が必要だ」
ムン・ソンミンには、Kリーグのビッククラブはもちろん、海外リーグのクラブからも移籍の提案が相次いでいる。
ただ、彼は来年、兵役問題を解決しなければならない。わずか6カ月のレンタル移籍であっても、新しい環境を経験しながら代表に復帰したい気持ちだという。
「兵役問題を解決した後は、欧州など海外で挑戦したい。先月、代表チームを一緒にしたイ・チョンヨン先輩は、子どもの頃からの憧れだ。韓国に戻ってくることもできたが、それでも欧州で挑戦し続ける姿勢は、僕に新しい動機を与えてくれた。僕も一つのスタイルにとどまらず、違った環境の中で成長を夢見たい」