cat_oa-rp53865_issue_6203ac51ae43 oa-rp53865_0_6203ac51ae43_「媚びない、錆びない。」女優・真木よう子が大人論を語ったら、その奥深さにぐっときた! 6203ac51ae43 6203ac51ae43 「媚びない、錆びない。」女優・真木よう子が大人論を語ったら、その奥深さにぐっときた! oa-rp53865

「媚びない、錆びない。」女優・真木よう子が大人論を語ったら、その奥深さにぐっときた!

2019年2月2日 05:05 東京カレンダー

“魅力的”といわれる大人の女性たちは、いかにして32歳を迎え、通過していったのか。

女優として、そしてひとりの女として多くの経験を積んできた真木よう子が、自身の32歳を振り返りつつ、赤裸々な“大人論”を語ってくれた。


自由奔放でクール、飾らない、意志が強くて、言いたいことははっきりと言う、美しい、そしてどこかミステリアス……

真木よう子、と聞くと頭に思い浮かぶイメージはこのようなものだろうか。それはどれも、男性に限らず女性にとっても、魅力的なものだ。

それは彼女が演じる役柄ゆえなのか、それとも彼女がこれまで積み重ねてきた、波乱万丈な人生から滲み出てくるものなのか。

現在、36歳。ひとりの大人の女として、ひと通り経験した〝今〞の彼女だから語れる大人像に、迫ってみた。


「笑顔でいても、クールな顔を切り取られることが多いんです」
「若かりし頃は、30代っていうとひとりでバーに行ってシャンパンをいただくような、そういう格好いい女性を思い描いていた気がする。それか、母親として家庭に入っているか」

自身の20代を振り返って、当時イメージしていた大人の女性像を、淡々と語りだしてくれた真木さん。しかし直後に、「実際は反面教師にしていましたけどね」とニヤリと笑う。

「当時、たまにバーで年上の女優さん方と一緒になることとかがあって、『目が覚めたら車の下だった』とか『駐車場で寝てた』とか、20代の頃にそういうエピソードをたくさん聞いて、自分はそうはならないようにしようって思っていました(笑)。酒豪が多いんで、この世界は。楽しい人たちばかりでしたね」

ちょっと皮肉めいたことを言いつつも、その年上の女性たちは真木さんの瞳には、とても魅力的に映ったのだろうと感じる。

「30代でも年齢を感じさせない、よくいえば20代に見える無邪気さがあって、年下の私にもフレンドリーに接してくれるような、可愛らしい方たちばかりで、大人の品格を持ちつつもチャーミングな部分も残っている、素敵な女性が多かったですね」

当時を思い出しながらくしゃっと笑う真木さんを見て、彼女もまた大人のチャーミングさを持ち合わせた女性になっているのだと気付く。

憧れる大人の女性の輪郭がぼんやりと見え始めた20代後半を経て、30代に突入すると、遊び方も徐々に変わっていった。


「30前後は一番遊んでいましたね。ちょうど32歳くらいの頃に、秘密にしておきたい隠れ家のようなお店を知って、ひとりでも行くようになりました。周りにグルメな方も多くて、美味しいお店にたくさん連れてってもらってはそこでまた繋がりができての繰り返しで人脈も広がりました」

ドラマや映画の俳優チームで食事に行くときの店選びは、ほとんど真木さんが担当していたのだとか。

「三宿も行くし中目黒に西麻布に、駒沢も行くし……エリアも店のレパートリーも、おのずと豊富になっていくのが大人なんでしょうか」

そんな側面でいえば、真木さんが大人になって変わったことが、またひとつあるようだ。

「歳を重ねて店のレパートリーは増えつつも、反比例して、最近は以前ほど外へ繰り出さなくなりました。飲みに行く店だって、もはやウーロンハイがあればどこでもいい(笑)。

遊び尽くすとそうなりません?『東京カレンダー』に載っているようなラグジュアリーなお店も制覇したけど、結局は赤提灯が一番落ち着く(笑)。こういうのもきっと、大人になったってことなんでしょう?」


今回のテーマでは、32歳を大人としてのひとつの分岐点と掲げているが、真木よう子なりの32歳は、「教わることが楽しくなる時期」だと話してくれた。

「20代の時より年上と話も合うようになってくるし、徐々に大人の階段をのぼるというか、いろんな場所へ連れてってもらえるようになる年代なのかも。また、それを楽しめる年。

年上と付き合うと、仕事の捉え方も変わってきますよね。先輩の俳優さんにお仕事の相談をしたときに、ぽんっと言われた言葉にハッとさせられたりすることもよくありました」

大人への道が開けていくと同時に、仕事や人生の正解を探し求めて、もがいていたのもこの頃だった。

「実は、プレッシャーに弱かったんです、私。与えられた仕事を最後までやり遂げられるか、周りの期待を裏切らずにちゃんと応えられるか、とかを執拗に考えてしまう時期だった。今はだいぶ変わりましたよ。子どもができてからかな、もう無駄なことは考えなくなったのは」

女、妻、母。若くして三役を担った彼女だから、言えることがあった。


「まだ分からない未来を考える時間なんて、もったいない」
結婚、出産、離婚を経験し、妻、母、女の三役も担った。人生の酸いも甘いも知る真木よう子だが、今は「娘が笑って幸せでいることが一番の幸せ」と柔和な表情で話す。

「子どもは本当に宝物。娘を産んだとき、このために私、頑張って生きてきたんだなって思いました。自分の命より大事な命がそばにあるって、ものすごく大きいこと」

その存在は、母としてはもちろん、ひとりの人間として、そして女としての生き方にも大きな影響を与えた。

「自分のことばっかり考えていられませんから。未来や過去のことについて悩まなくなりました。マイナスなことを考えること自体が時間の無駄、と思えるようになったんです」

結婚と離婚を経験したことで、恋愛観も変わってきたという。

「結婚っていう契約はもうしなくていいかな。するなら事実婚でいい。契約の意味がないと思うんです」

と、バッサリ。そんな真木さんが、ママ友との間で話題なのが〝卒婚〞。

「要は離婚のことなんですけど結婚を卒業するから〝卒婚〞。卒婚する人、籍を入れずにパートナーといる人、シングルママだって多いし、ライフスタイルが多様化していますよね」


とはいえ、「好きな人と結婚するっていうことは素敵なこと」とも話す。

「継続は力なりって言葉があるように、それをクリアできる人間はほんとひと握り。でもダメならダメで、少し柔軟に考えてみてもいいと思うんです。自分の選んだ道こそ正解って」

固定観念に捉われず、周りに媚びず、自分を強く持っている真木さんは恰好いい。その自信は、周りよりもスピーディに経験値を延ばし、36歳にして、女としての三役すべてを担ったからなのだろうか。

「いや、自信を持てるようにと、心がけて生きるんです。自ら意識していないと自信はつかない。自分を信じられなければ他人も信じてあげられないし、何を言っても薄っぺらくなっちゃいますから。

私の尊敬する大人の女性は、みんな強い自尊心を持っていて、でも肩の力は抜けている。大人としてやるべきことをやったうえで、『まぁどうにかなるか』と思えるようになるんです。

それって、もちろん、これまでの経験があったから。なんとかなってきたんだから、なんとかなるでしょうって。過去の積み重ね、こそがそうさせる」

そういうことか、と腑に落ちる。〝経験〞こそ、大人の魅力を形成するのだ。彼女の言葉は、大人にならなくてはと足掻きながら32歳を迎える者たちの肩の荷を、きっと軽くしてくれるに違いない。


■プロフィール
真木よう子 千葉県出身。1982年10月15日生まれ。2001年に映画出演を果たしデビュー。2006年の映画『ベロニカは死ぬことにした』で初めて主演を務める。2013年映画『さよなら渓谷』で日本アカデミー主演女優賞、『そして父になる』で助演女優賞のダブル受賞を果たす。主演を務めるドラマ『よつば銀行原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~』が1/21(月)スタート。

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彼氏の浮気相手は、10歳年下の後輩女…。結婚が絶望的になった、35歳の独身女

2020年2月19日 05:03 東京カレンダー

男性がひとりで外食するのは受け入れられているのに、未だに世間では、女性がひとりで外食するとなると敷居が高い。

しかし最近、女がひとりでも気軽に入れるハイセンスなお店が増えているのをご存知だろうか。

広告代理店に勤務する桜木佳奈(35)も、最初は「女性ひとりでご飯なんて」と躊躇している一人だった。

だが、婚活に奮闘しながら彼女が見つけた楽しみは、だれにも気を使わずひとりで食事をする時間。

そうして“女ひとり飯”をしていくうちに、人生も回り始めていき…。


「ジョエル・ロブション…」

会社のデスクで、彼から来たLINEの文面を何度も読み返した。

明日は、私の35歳の誕生日。待ちに待ったこの日が、遂にやって来たのだ。

同期の恭平と交際して、もう4年になる。お互い良い年齢だし、周囲が続々と結婚していく中、私の焦りは日々募っていた。

だけどそんな毎日にも、ようやく終止符を打てそうだ。

お祝いディナーの場所は、泣く子も黙る、プロポーズレストランの最高峰とも言われる『ジョエル・ロブション』と来た。

「私、遂に結婚します!」

同じ部署で、10歳年下の可愛い後輩・ルミちゃんにスキップで駆け寄り、そう報告すると、彼女は目をまん丸にして驚いている。

「えぇ〜!先輩、結婚ですか?それって…本当ですか?」
「当たり前じゃない。ようやく結婚だぁぁぁ!」

こうして私は誕生日当日、婚約指輪がはまった左手や、プロポーズされた時の反応などの妄想を存分に膨らませながら 、『ジョエル・ロブション』の格式高い店内へと足を踏み入れた。

準備は、完璧だった。

けれども、まさかこの日が人生最悪の日になるなんて、この時の私には想像さえ出来なかったのだ。

まさかそんな事が!?人生最高の日になるはずが、どん底に突き落とされた女

「ご婚約、おめでとうございます!!」

フロアにいたお客さん達全員の、視線が注がれる。

男性の手には大きな(何本あるのか数え切れぬほどの)薔薇が詰まった花束。そして女性の方は、感極まって思わず涙。

もちろんその左手の薬指には、ダイヤモンドの指輪が光り輝いている。

「ありがとうございます。幸せすぎて、どうしよう」

店内が拍手と幸せに包まれている。だがそんな中、私は必死でデザートプレートと向き合っていた。

—ない。どこにも無い…!

プロポーズされているのは、隣の席のカップルである。

そんな彼らを横目に、デザートプレートの中にでも婚約指輪が隠されているのかと必死に探してみるものの、どこにも見当たらない。

「あのさ、恭へ…」
「ごめん佳奈。別れてほしいんだ…」

フォークが、思わず手から滑り落ちた。

「佳奈のことは心から大切に思っていたし、尊敬している。でも実は、他に好きな人ができてしまって…。

今日は、ずっと僕の方が背中を追いかけてばかりだった佳奈との最後の食事だからこそ、最高のお店で終わらせたかったんだ」


相手は、10歳年下の後輩・ルミちゃんだった。



翌日は土曜日のため、幸い仕事は休みだった。

どれくらい、眠っていたのだろうか。枕元に置いたままで充電をし忘れていたスマホの電源を入れると、もうとっくにお昼は過ぎている。

恭平から、LINEは入っていない。

その代わり、ぼんやりした頭でInstagramを開くと、真っ先にルミちゃんの投稿が出てきた。

『今晩のために、ラザニアを焼きました♡焦げちゃったけど、彼は美味しいって言ってくれるかな?♡』

思わずスマホを投げ捨てたくなる。

満面の笑顔と共に焦げたラザニアを見せているルミちゃん。これを食べるのは、恭平なのだろう。

どうして、こうなってしまったのだろうか。

頑張って勉強して一流大学へ入り、大手広告代理店に就職。仕事も恋愛も一生懸命しているうちに、気がつけば35歳になっていた。

“普通の幸せ”が欲しいだけなのに、神様はそんなものさえ私にはくれないのだろうか…

しかしそんな悲しみの淵にいるはずなのに、生理的な欲求というのは本能に忠実だ。夕方になると、しっかりお腹が空いてきた。

「私だって、ラザニアくらい作れるし!!!」

もう、負けているのは分かっている。けれども対抗心は捨てられず、近くのスーパーに買い出しに行こうと家の近所を歩いていた時だった。

不意に、美味しそうなトマトソースの香りにフワッと包まれた。

思わず足を止めると、半地下の窓から暖かな灯りが漏れている。


—『aniko』….

天窓から店内を覗いてみると、そこにはカウンター席とテーブル席があり、まるで南イタリアを彷彿とさせるような内装が目に入った。

「でも、さすがに一人で入るのはちょっとなぁ…」

今まで外食する時は、友人や恭平がいた。ランチは一人で済ませることも多いが、ディナータイムとなると話は別だ。

「うん。やっぱり、やめておこう」

本音を言えば、こんな日は飲まないとやっていられず、一杯飲みたい気分だった。だが、さすがに行きつけでもないイタリアンレストランに一人で入る勇気はない。

諦めてそのまま歩き出そうとした瞬間に、店内から二人組のお客さんが出てきた。

「あぁ〜美味しかった!“幸せ♡”」

自分でも、どうしてそこに入ったのかは分からない。

ただただ、“幸せ”という言葉に誘われるかのように、自然と石畳の階段を降りていた。

人生初の女ひとりイタリアン。彼氏に振られた直後の女を癒してくれた、意外なものとは…?

赤坂のアットホームなイタリアン『aniko』

「あの、一人なのですが…」
「いらっしゃいませ。もちろん、大歓迎ですよ」

おそるおそる店内に入った私を、人の良さそうな店員さんが笑顔で迎え入れてくれた。

センスの良いアンティーク家具が揃えられた店内は、イタリアの古き良き邸宅のダイニングにお邪魔したような明るさと、アットホーム感があった。

奥の方に広がる洞窟のような半個室に、オープンテーブル。そして美しい木目が印象的なカウンター席の、6席のうち1席には、私のように女性一人で来ているお客さんもいて、ほっと胸を撫で下ろす。

ー初めての、ひとりイタリアン。

高鳴る胸の鼓動を抑え、早速オススメのワインを聞き、グラスでいただくことにする。

「当店は、マルケ地方の料理のお店なんですよ」

ワインを注ぎながら店員さんがそう教えてくれたのだが、正直、馴染みのない地名だった。

イタリアの中部にあるマルケ地方は、アドリア海沿岸に位置し、豊富な魚介類を誇る。さらに内陸部にはジビエが堪能できる街があり、美食家たちの間で注目されている地域らしい。

そんな豆知識を聞きながらいただくイタリア土着品種の赤ワインは、いつも以上にすっと身体に染み渡っていく。

そういえば、朝から何も食べていなかったことに今更気がついた。私は空腹を満たすかの如く、すぐに出てくる料理を注文した。

そして、まもなくして出てきた「オリーブの肉詰めフリット」を一口食べた途端、笑顔がこぼれたのだった。


サクッとした薄い衣に包まれた、みずみずしい「ラ・ロッカ」のグリーンオリーブ。ふっくらとしたオリーブの中に詰まっているジューシーな肉の旨味と、ほのかに感じる、香味野菜や複数のスパイスの味。

程よい塩っ気と肉汁のコンビネーションは癖になる美味しさで、気づけば2、3個立て続けに口に運んでしまった。

「これ、美味しい…!」
「そうですか?良かったです。うちの人気メニューなんですよ」

シェフの笑顔に救われて、オリーブを堪能していたら、ワイングラスがいつのまにか空になっている。

その時までは、少しテンションが上がっていた。だが、メニューを見ていた私は思わず手を止めてしまった。

なぜならそこには、“ラザニア”があったからだ。

佳奈の人生を変えた夜。失恋に効く“癒しのラザニア”とは!?

失恋の傷に効く、癒しの「ラザニア」

さっきInstagramで見たルミちゃんの、焦げついたラザニアの画像が脳裏に浮かぶ。

このままだと、“ラザニアトラウマ”になってしまいそうだが、料理に罪はない。

「なんでよりによって、ルミちゃんなのよ…」

嫌な記憶を上書きすべく、戸惑いながらもオーダーすることにした。

そうして運ばれてきたのが、「ヴィンチスグラッシ」通称“マルケ風のラザニア”だった。

こんがりと焼き目がついている表面のチーズの上には、さらに数種類のチーズがまぶしてある。まるでミルフィーユのようにも見える、美しい重なり。

ゆっくりとフォークを入れると、極薄ながらもモチッとした弾力を残した手打ちパスタの間から、熱いミートソースがこぼれ落ちる。

そして口に入れた瞬間、ずっと心の奥にしまっていたはずの感情がとめどなく溢れ出してきた。


「美味しい…。見た目も味も、完璧」

それは、牛肉・豚肉・鴨肉の3種類の肉の旨味が詰まった、ミートソースだった。

そこにアクセントとなるのは、口当たりの良いチーズのコンビネーション。全ての食材が、主張し過ぎていないのに主役級の役割を果たしていて、絶妙なバランスだ。

ゆっくりと温かいラザニアを味わっているうちに、気がつけば、私はポロポロと大粒の涙をこぼしていた。

年齢が上がるにつれてできることが増え、仕事が楽しくて仕方なくなっていた。同期である恭平は恋人でありながらもどこかライバルで、お互いデート中でも仕事の話になって、ヒートアップすることも多かった。

そして、何もかもを全て自分一人で完璧にこなそうとしていた。

でもきっと、ルミちゃんは違う。

“うんうん”と静かに話を聞いてくれ、自らの失敗を隠すこともなく堂々と披露して、そこを愛嬌に変えられる強みもある。

私だったら、あんなにも焦げたラザニアを恭平に出すことはできない。一から作り直しをしないと、自分のプライドが許さないと思うから。

でも、そもそも無理をして作る必要なんてない。

ーだってお店に行けば、こんなにも美味しくて、感動するラザニアに出会えるんだから…。

週明けにルミちゃんに会ったら、どんな顔をすれば良いのだろう。

周囲からはどんな目で見られるのだろうか。35歳独身で、“イタイ女”のレッテルでも貼られるのだろうか。

だけど私はそのとき不意に、さっき店先でカップルが言っていた“幸せ”という言葉を思い出した。

明日からまた、ひとりで過ごす寂しい毎日が待っているのかもしれない。それでもきっと、ひとりの時間の中で、小さな幸せを見つけていければいいと思う。

例えば、今日、ラザニアを食べて感動したみたいに。

「ご馳走様でした!」

美味しくて温かみのあるマルケ料理を食べ終わると、私の心はすっかり落ち着いて穏やかな気持ちになっていた。

—私は大丈夫。頑張れ、私。

またこみ上げてきそうになった涙をぐっと堪え、店を後にして赤坂の夜空を見上げた。


【今週の婚活ひとり飯】
店名:『aniko』
料理:オリーブの肉詰めフリット /ヴィンチスグラッシ(マルケ風のラザニア )


▶NEXT:2月24日 月曜更新予定
出会いの香りがする恵比寿ジントニック

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cat_oa-rp53865_issue_6203ac51ae43 oa-rp53865_0_204c229e31e8_銀座の寿司の名店なのにとってもアットホームな居心地!『すし家』の握りを堪能しよう 204c229e31e8 204c229e31e8 銀座の寿司の名店なのにとってもアットホームな居心地!『すし家』の握りを堪能しよう oa-rp53865

銀座の寿司の名店なのにとってもアットホームな居心地!『すし家』の握りを堪能しよう

2020年2月19日 05:02 東京カレンダー


“銀座でカウンター鮨を味わう”という少々高く感じるハードルを、グッと下げてくれるのが今回紹介する『すし家』。

気さくな大将が握る端正な握りと、軽妙なトークを楽しめる同店の魅力をお伝えしよう。

大将・橋本守氏
初めて銀座で鮨を味わうならココに決まり!
「銀座でカウンター鮨を食べてみたい」。そんな想いを抱きつつも、なかなか第一歩が踏み出せない人も多いのではないだろうか。そんな人に訪れて欲しいのが銀座『すし家』だ。

数々の食通を唸らせてきた銀座の名店『鮨かねさか』の分店として2012年にオープンして以来、本店仕込みの洗練された握りとつまみで多くのファンを獲得し続ける人気店である。

2018年より橋本守氏が3代目店主に就任し、大将の人柄と握りの技によってさらに人気を博している。

写真左)「鯛の酒盗と白海老」写真右)塩で味わう「天然バフンウニ」
緊張とは無縁!若き大将が作り出す和やかな雰囲気が魅力
大将の橋本氏は、人気店『すし家』をなごやかに取り仕切る。店内の雰囲気を明るく笑顔溢れる空間にしているのは、彼が繰り出す軽妙なトークのおかげ。

緊張する“銀座で鮨”というシュチエーションを、一気に緊張とは無縁の楽しさに溢れたものにしてくれるのだ。

だからこそ『すし家』は、銀座鮨デビューに選ぶには最適の場所なのだ。

「毛蟹」
食材の美味しさ際立つ絶品つまみにお酒も進む
『すし家』で供されるのは「おまかせ」(1人前22,000円)のみ。

日により多少の変更はあるが、最初はつまみ10品が供され、続いて握り10貫が登場するという構成だ。

「のどぐろ」
身を丁寧にほぐし蟹味噌と共にあえた「毛蟹」や、良質な脂がたっぷりのった「のどぐろ」など、お酒の進むつまみを味わい尽くしたらお待ちかねの握りが供される。

32歳という若さで『すし家』を任された確かな技術が光る
名店『鮨かねさか』仕込みの技術も光る
端正な握りをじっくり堪能
幼い頃に食べた鮨の美味しさに感動して以来、ひたむきに鮨職人を目指し続けた彼が手がける握りは、どれも端正で心に染みる美味しさ。

最初の一貫には旬の白身魚が供され、続いてまぐろ、車海老、小肌、貝類、穴子とリズミカルに客の食べるペースに合わせて握られていく。

お客の満腹具合も考慮してシャリの大きさを調整し、臨機応変な対応をしてくれるのも鮨ビギナーには嬉しい限りだ。

ほれぼれするほど端正な握りの数々

「中トロ」
さすが名店育ち!握りの美味しさは間違いない
厳選した米を使用し赤酢と塩のみで作り上げるシャリは、キリッとしつつもまろやかで優しい味わい。

口の中でハラリとほどけ、ネタと一瞬で一体となる食感は職人技を感じさせてくれる。

「車海老」

「小肌」

「鯖棒寿司」
『すし家』を訪れたならぜひ味わいたいのが「鯖棒寿司」。

1㎏ほどある大ぶりの青森県産鯖を使用して作られる棒寿司は、見とれてしまうほどの美しさ。

実際には海苔で挟んだ状態で大将から手渡しで供される
佐賀県有明産の海苔で挟んで、パクリと頬張れば肉厚な鯖の旨みが口いっぱいに広がっていく。

「鯵」
銀座の鮨店は、常連客も多くカウンターで疎外感を感じてしまうこともあるが『すし家』では、その心配は一切無用だ。

カウンターの隅々まで、大将やスタッフが気を配り食事が終わる頃には誰もが「楽しかった」と笑顔になれる場所なのだ。

「自分が海外に行った際も言葉が通じた方が嬉しい」という想いから、供するつまみや握りの説明だけでもできるようにと、大将・橋本氏は広東語、北京語、タイ、韓国語、英語の5カ国語を習得。海外の人からも絶大な支持を得ているのだ。

たっぷりと軍艦で供される「うに」

ふわりと柔らかな食感の「穴子」

銀座6丁目にある花椿ビル2階に位置
大将の粋なトークが
銀座鮨デビューを“笑顔”で飾ってくれる
若き大将・橋本氏が作り出す柔らかな空気の中で、肩肘張らず楽しく味わう鮨は、必ず“初めての銀座で鮨”を笑顔いっぱいのひと時にしてくれるはずだ!

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cat_oa-rp53865_issue_6203ac51ae43 oa-rp53865_0_11bfacbd93a4_「夫へのときめきが、再び蘇って…」夫を男として見られなかった妻が、恋心を取り戻せたワケ 11bfacbd93a4 11bfacbd93a4 「夫へのときめきが、再び蘇って…」夫を男として見られなかった妻が、恋心を取り戻せたワケ oa-rp53865

「夫へのときめきが、再び蘇って…」夫を男として見られなかった妻が、恋心を取り戻せたワケ

2020年2月19日 05:01 東京カレンダー

いつまで経っても、女は女でいたいー。

それは、何歳になっても、子どもができてママになっても、ほとんどの女性の中に眠る願望なのではないだろうか。

いつまでも若々しくいたいという願いや、おしゃれへの欲求、それに少しのときめき。自由やキャリアへの未練。

そんな想いを心の奥底に秘めながら、ママとなった女たちは、「母親はこうあるべき」という世間からの理想や抑圧と闘っているのだ。


◆これまでのあらすじ

専業主婦の翔子は、同僚たちとの再会をきっかけに仕事をスタートする。

なんとか不倫の誤解は解けたものの「家族を犠牲にしてまで仕事するべき?」と自問自答を始める翔子だったが…。


―私、仕事を続ける?それとも、専業主婦に戻る?

夜遅く、リビングルームで夫と向き合ったまま沈黙が続いていた。翔子は自分に問いかける。

―私が仕事さえ辞めれば、全てが解決するの?

そもそも、これまでの生活に不満があったわけではない。専業主婦として家事や育児に奮闘するのは幸せな日々だった。

でも、正直物足りないと思ったことだってある。それに、「子供がもっと大きくなったら?」「いつか独立したら?」という疑問は、いつだって頭の片隅にあった。

翔子は意を決して、口を開いた。

「パパ。私、これからのこと、一緒に考えたい。仕事のことは、私一人で先走ってしまったけど、私の望みはそうじゃない。もっと家族で話し合って、理解し合いたい」

圭一は「俺もそう思う」と言って、頷いた。

「だって私たち、きっとあと50年以上も一緒に過ごすのよ。いつか孫だって、ひ孫だってできるかも。今、食い違ってる場合じゃないわ」

「そうだな。先は長いな」

翔子と圭一は、50年後の未来に思いを巡らす。夫婦は80代で、あの小さな航太が60歳間近。うまく想像することすら難しいほど、人生は長く続いていくのだ。

「仕事のこと、よく考えてみたの。人生100年って言われている時代よ。小学校から大学卒業するまで16年も勉強して、社会に出てたったの4年で仕事から引退って…もったいない気がするの」

翔子は噛みしめるようにそう言った。

圭一は、あまりにもスケールの大きな話に驚いたのか、少し笑ったように見えた。そして、ぽつりとこう呟く。

「たしかにそうだ。単純なことだな。色々思うことはあったけど、俺も複雑に考えすぎた。ただただ、もったいないよ。答えはシンプルだ」

こうして少しだけでも二人の時間をとることで、同じ風景が見えるのだ。どうしてもっと早くこうしなかったのだろうと、翔子は今更後悔した。

圭一は言葉を続ける。

「この先、航太だって反抗期を迎えたらきっと手に負えなくなるだろ。そういうときこそ、母親は仕事を持っていた方がいいよ。適度な距離感と、家庭以外の居場所は必要だ」

心を開くことで、圭一も自分なりの思いを語り出したのだった。

ようやく向かい合う夫婦。二人が最終的に導き出した答えとは…?

圭一は少し俯いて、低い声で言った。

「それと…母さんのことは本当に申し訳なかった。自分が世話を焼かなきゃって思い込んで、完全に暴走したんだと思う」

「そうね…私、お義母さんとうまくやるには、しばらく時間が掛かりそう。さすがにショックが大きくて」

不倫の捏造や、会社まで押しかけてきての嫌がらせ。いくら圭一の親とはいえ、許せることと許せないことがある。

「時間も大切だけど、まず必要なのは向こうからの謝罪だよ。俺からも強く言っとくし、翔子はしばらく相手にしなくて良いから」

「わかったわ」

ずっとモヤモヤしていた義母の問題。だがそれを圭一の方から切り出して、こうして謝ってくれたことで、翔子は少しすっきりした気持ちになれた。

人生はまだまだ、先が長いのだ。病めるときも健やかなるときも共に過ごすと神様の前で誓った日のことを、思い出す。あの瞬間のように、初心に戻って全てに向き合うことが大切なのかもしれない。

「伝えなくてもわかってくれるはず」という過信をせずに、悩みも迷いも、当然喜びも家族でシェアしよう。

翔子はそう心に誓い、二人の話は今後の仕事の展望に至った。

「俺はこの先定年まで研究者一筋だ。でも、この一つのことを突き詰めていくことが、俺には合っているとつくづく思うよ。この道のプロフェッショナルを目指す。翔子はどこを目指しているんだ?」

「やっぱり、語学を活かしたい。今は翻訳や通訳も真似事レベルだけど、もっとしっかり勉強してスキルを積みたいと思ってる。それとね…。英語が話せることで世界がもっと広がるってことを、次の世代に伝えたい。私、専業主婦も楽しくやってたでしょう?子供好きっていうのは間違いないの」

すると圭一は、笑顔を見せた。

「子供に英語を教えたいってことか。翔子なら、良い先生になりそうだ」

「まだまだ先の話だけど。いつか叶えられるように、頑張るわ」

好意的な反応に翔子は胸をなで下ろし、思わず笑顔になる。

ようやく、夫婦の間にリラックスした空気が流れる。そして静かに夜は更けていった。




数日後、翔子は『希須林 青山』で千尋とランチをしていた。

これまでのお詫びと、これからも仕事を頑張りたいという旨をあらためて伝えたいと思ったのだ。

モチモチの食感が絶品の担々麺を食べながら、千尋はにっこりと微笑んだ。

「翔子、本当に色々と大変だったわよね。でも、ここを乗り越えようと思ってくれてよかった。年齢を重ねる中で、きっと仕事もプライベートもどんどん充実していくわ。困難はあると思うけど、また一緒に乗り越えましょうね」

「はい。最近は航太と一緒に過ごす時間も増えていて、関係もよくなってきたって思います。毎晩一緒に英会話のオンラインレッスンを受けているんです。

すごいですよね。子供の吸収力って。どんどん上達して、私も驚いています。私やっぱり、英語に携わっているときが一番幸せを感じるんです。ずっと関わっていければいいなって…」

翔子の言葉を聞いて、待っていましたと言わんばかりに千尋は切り出した。

「実は…。会社も事業として前から考えていたことがあるの。オンライン英会話と同じように、自由に英語を使って学べる環境が、実際のサロンや教室でできればいいなって…。うちの外国人クライアントさんたちともよく話していたのよ」

「英会話サロンを、事業として経営するということですか?」

千尋は頷いて「あなたと再会する前から温めていたことが、ようやく実現できそう」と言った。

「すぐに動き出しましょう。先生としても、コーディネーターとしてもあなたは適任」

翔子はその展開の早さに唖然としたが、敏腕経営者というのはこんな風にタイミングと感覚を何より信じているのだろう。



それからしばらくすると、英会話サロンの展開の話は業務としてあっという間に進み、デザイナーの明彦がサロンの内装を手がけながら、どんどん準備が進んでいった。

「翔子ちゃん大活躍だって?すごいなあ、俺にも英会話教えてくれよ。あ。娘の玲も通いたいって。高校入ったら留学するって張り切ってるんだよ」

「玲ちゃんが?もちろんです。喜んで!」

いつか自宅で英会話サロンを開きたいと思ってはいたが、こんな風に会社の事業として動き出すとは考えてもいなかった。

そして、もうひとつ驚くべきことがあった。

翔子のパートナーとして、舞花が任命されたのだ。

千尋にその事実を知らされたとき、翔子は思わず驚きの声を上げた。

一歩踏み出して、扉を開けて見えた未来は?

「え?舞花さんが?」

「あの子が言い出したの。新しい事業の責任者として立候補するって」

「すごいバイタリティーですね。すてき」

「翔子に影響を受けたのよ。あなたの何があってもめげずに仕事するところも、家族や周りの人たちを大切にする気持ちも、あの子に伝わったの。舞花、すっかり改心したわ。とはいえやっぱり素直じゃないし、ああいう性格だからご迷惑かけると思うけど」

慌ただしく準備が進み、あっという間にプレオープンの日を迎えた。

会社と目と鼻の先にあるテナントの前には、オープン記念の花がいくつも届き、華やかに彩られている。

翔子は、明るいベージュのスーツを着て、背筋を伸ばしレセプションに立つ。外国人講師の対応で朝から目まぐるしく時間が過ぎていった。

生徒となる子供達が集まりはじめ、その対応をするのは舞花だ。走り回って大騒ぎする男の子を、小さな女の子を抱きかかえながら追いかけ回す舞花の姿は微笑ましかった。

「走っちゃだめ!危ないよ!」

舞花はタジタジだが、やはり笑顔だ。駆けつけた明彦も一緒になって手を焼いている。

―よかった。舞花さん、楽しそう。

感慨深そうにその光景を見ているのは、千尋も一緒だった。翔子の隣にすっと立ち、しみじみと言う。

「あなたが奮闘している様子を見て、私も視野が広がったの。挑戦させてくれてありがとう」

「そんな…こちらこそありがとうございます。私はこれからもずーっと憧れの千尋さんについていきますよ」

翔子はそう答えて、二人で微笑み合った。


「ママ!」

そのとき、ドアが勢いよく開いた。

レセプションに飛び込んできたのは航太と…そして、花束を抱えた圭一だ。

圭一は、翔子と千尋がいるレセプションに近づくと、「おめでとうございます」と言って千尋にピンクのバラの花束を差し出した。

「あら。渡す相手はこちらでしょ」

千尋は笑って、翔子の方へ促した。圭一は、照れながらもそれに従う。

「ここまで大変だったな。ひとまず、おめでとう。まだまだこれからだと思うけど」

「ありがとう。ようやくスタートラインに立てたわ。いろいろあなたにも迷惑かけると思うけど、私、頑張るから」

「もちろん、力になるよ」

二人は微笑みながら見つめ合う。すると航太が、何かを思い出したように急に真面目な顔をする。

「今日、パパが音羽のおばあちゃんも誘ったんだよ。でもおばあちゃん、“ママに合わせる顔がない”だって。どういう意味?」

「そう…ありがとう」

わだかまりが完全に溶けるには、まだ時間がかかるかもしれない。

それでも、全て素直な気持ちで受け入れること。思いを分かち合うこと。翔子は、それらの決意を自分なりに実行するだけだ。

「翔子さん、時間ですよ」

舞花の声に、はっと我に返る。

子供向けクラスの一つを、翔子は講師として担当することになっていた。大きな一歩が今始まるのだ。

翔子は、圭一から受け取った花束を愛おしそうに見つめた。

じわじわと嬉しさがこみ上げてきて、胸が温かくなった。母になってからは忘れていたときめきが、今蘇ろうとしている。

「翔子、頑張って」

圭一はそっと翔子の肩に手を置いた。

いつの間にか呼び方も、「ママ」から「翔子」になっていることには気付いていたけれど、あえて触れないでいようと思った。

シャイな性格の圭一のことだから、恥ずかしがって呼び方を戻してしまうのが想像できるのだ。

だから自分だけの大切なときめきとして、心の中でそっと呟く。

―圭一、ありがとう…。

「じゃあ、行ってくるね」

“家族に、仕事に、眼に映る全てに恋をし続ける私”であるために。翔子は新しい部屋の扉を開けた。

Fin.

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「もしかして、俺のこと誘ってる?」男を惑わした、人妻からのメッセージ

2020年2月19日 05:00 東京カレンダー

幸せな夫・妻を演じる結婚生活は、まるで“ままごと”のようだ。

確かに、幸せなのだけれども…。

満たされぬ思いを誤魔化すために、人は自分にも愛する人にも嘘をつく。

嘘で人生を固めた先にまっているのは、破滅か、それとも…?

満たされない女と男の、4話完結のショートストーリー集。

1話~4話は、『片想い』をお送りした。5話~8話は、『運命の人』

今回は、大手商社に勤める塁(35)と史帆(34)の物語。


―昔はよかった。

これは僕が一番嫌いな言葉だ。そんなの、過ぎ去ったことに執着し、現実を直視しない人間が口にする戯言にすぎない。

僕は早稲田大学を卒業後、大手商社に入社した。2年のニューヨーク駐在を経験し、出世ルートも外れず、年収は右肩上がり。31歳で、美人CAと仲間内でも名高かった友香と結婚し、すぐに娘の愛莉が生まれた。

「お前って、何かツイているよな」

同僚にそんなことを言われたことがあった。似たようなセリフは、過去に何度も掛けられてきているのだが。まあ、はっきり言って、みんな僕の人生を羨ましいのだと思う。

でも僕の人生は、自分自身で掴み取ってきたものなのだ。

ルックスと頭脳に恵まれたというアドバンテージはあるものの、いつだって、適切なタイミングで最大限の努力をしてきた。

後悔したことなんて一度もない。

―だけど…。半年前のあの日。

数年振りに、“shiho”というIDからメッセージが着信したとき、妙な胸のざわつきを感じた。

―それから…

僕の人生の矛先が少しずつ、あらぬ方向へと進んでいる気がするのは、気のせいだろうか?

自分では完璧だと思っていた男の人生。とある出来事をきっかけに、歯車が狂いだす…?

「パパ、これみてー」

2歳になる娘が、最近はまっているという塗り絵の最新作を、自慢げに見せてきた。

「おう、よくできてるな~、愛莉」

そう言って頭を撫でると、褒められたのが嬉しかったのか、愛莉は満面の笑顔で飛び跳ねる。そんな彼女は、親のひいき目抜きにも、妻に似た美人だ。

「愛莉、今日はパパが遊んでくれてよかったわね~」

そう言って娘を見つめる友香も、すっかり母の顔をしている。

そんな光景を愛おしく思いながら、穏やかな時間が流れる。友香と娘の幸せは絶対に守り貫く、そう誓ったことに嘘はない。

この幸せは、何があっても壊さない、と。

―だけど…。

ジーンズのポケットのスマホが、ブブっと震える。直感で着信相手を察すると、無意識に胸が高鳴る。

そして、どこか冷静なもう一人の僕が、この状況に、時限爆弾にも似た脅威を感じる。


―水谷史帆

メッセージの着信相手である彼女は会社の同期で、言わば“元カノ”だ。

しかし、彼女をそんな風に称するのは、何故だか憚られる。史帆ももう、人妻となってしまったからだろうか。

―shiho:この前は、楽しかったね。今度、ランチでもいこー。

バスルームに行ったついでに、その端的なメッセージを確認する。

「あら、なんかいい事でもあったの?」

知らぬ間に、表情が緩んでいたのだろうか。リビングに戻ると、友香が僕の顔を覗き込んできた。

「いや、別に」

冷静に、そして手短に答える。

動揺する必要はないのだ。史帆とは何でもないんだから。

今はただの会社の同期にすぎない。会ったのだって、この半年で2回。メッセージもたまにしかやりとりしない。

この前だって、久々に開催された同期会に、史帆が何年かぶりに突然顔を出したから。会社の同期としてみんなで会っただけ。

―…ただ。

半年前、結婚してから初めて、史帆から「久しぶり」と短いメッセージを受け取ったとき、僕の中に封印していた感情が呼び戻されたような気がした。

普段はクールなビジネスマンを装っている僕だが、なんというか、その皮を一気に剥がされそうな、不思議な、そして危うい感覚がしたのだ。

塁が無意識に執着してしまっている“史帆“。その正体とは?

ーランチいいね。来週の水曜あたり、どう?

打ち込んでは消し、打ち込んでは消し、ようやく完成したこの一行。

こんなにも短いメッセージを書くのに、どれだけの時間を要しただろう。いや、短いからこそ、熟考が必要なのかもしれない。

自然に、さりげなく、しかし具体的に。

ふと、初めて史帆をデートに誘ったときも、こんな風に文章を考えあぐねていたなと、懐かしい感情が甦る。

「なに、ニヤニヤしてるのよ。パパなんか変だね~」

そう言って友香が愛莉に語り掛け、愛莉が嬉しそうに、パパ変だよと言って走り回っている。どうやら、どんなに気を付けても、史帆のことを考えると無意識に顔が緩んでしまうらしい。

「いや、同期が結婚することになってね。全然モテなかったやつだからさ、LINEからも舞い上がってる様子が伝わってきて面白くてさ」

ニヤけていることを隠せないのなら、理由を偽ればいい。どこで習得したのか、それっぽい嘘がスラスラと飛び出る。

「あらそう?」

納得はしていなけど深くは突っ込まないでおくわ、とでも言うかのように、友香は僕を一瞥だけして、愛莉に視線を戻した。


もう10年以上前だが今でも鮮明に蘇る。

あれは入社式のときのことだった。

「隣いいですか?」

そう言って横に座ってきたのが史帆だった。

ふと、横に座った彼女の姿を見たとき、その華奢で、しかし凛とした佇まいに、釘付けになった。

多分、この瞬間、僕は史帆に恋をしたんだと思う。

あの時の不思議な感覚は、今でもよく覚えている。頭では、これが俗に言う一目惚れというやつか?なんて冷静に考えながらも、どうにも視線が外せない。

「どうかしました?」

史帆は他人行儀に、いや、この時はまだ他人なのだが、事務的な話をするように声を掛けてきた。

「あ、いや、別に」

これが、僕が初めて史帆と交わした言葉だった。

それから、すぐに僕からアプローチをして、付き合い始めたわけなのだが、そういう意味で、史帆は確かに特別な存在だということだけは、認めざるをえない。

この僕が、あそこまで熱烈にアタックしたのは、後にも先にも史帆だけなのだから。

そして、僕のプロポーズを断ったのも…。


▶Next:2月26日 水曜更新予定
史帆が語る、塁への想い。プロポーズを断った本当の理由とは…?

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cat_oa-rp53865_issue_6203ac51ae43 oa-rp53865_0_034a6d74d188_「都合のいい女でいるのは、もう嫌…」男に従順だった女が、彼から夜誘われて取った行動とは 034a6d74d188 034a6d74d188 「都合のいい女でいるのは、もう嫌…」男に従順だった女が、彼から夜誘われて取った行動とは oa-rp53865

「都合のいい女でいるのは、もう嫌…」男に従順だった女が、彼から夜誘われて取った行動とは

2020年2月18日 05:03 東京カレンダー

食事会より効率的で、紹介よりも気軽な出会いの手段。それは、「マッチングアプリ」だ。

インスタントな出会いと割り切るか、運命の人に出会える可能性を信じるか。全ては、使う人次第。

今日もこの東京のどこかで、出会いと別れが繰り返されているのだ。

お送りするのは、『東カレデート』を通じて知り合った男女のラブストーリー。一体どんな結末が待っているのか…?

◆これまでのあらすじ

同期の男に「ハイスぺ男はやめておけ」と忠告されるも、意中の拓巳に連絡してしまう沙也香。ある日突然拓巳に呼び出され、会いに行くことに…


「沙也香ちゃん!ここだよ」

店に到着した私を見つけて、拓巳が軽く手を挙げた。

カーテンで仕切られたソファ席で、拓巳の隣に座ると、石鹸とムスクが混ざったような香りがふわりと漂う。

その香りはずるいほどセクシーで、まるでダイエット中でも誘惑に負けてしまうであろう甘美なスイーツみたいだ。

「連絡くれて、嬉しかったです」

できるだけ可憐に上品に微笑んでみせたら、拓巳は満足げに微笑んだ。

ジントニックを注文し、拓巳の飲んでいたラフロイグのソーダ割りと乾杯する。

そのときなぜか不意に、かつて聞いたある言葉を思い出した。

『忙しい人は夜中の1、2時間だって貴重。だから呼んでくれるだけでも価値があるのよ』

そう言っていたのは、会社を何個も経営する年上男性を好きになった友人だ。

面倒な駆け引きをするプライドが高い女よりも、素直に二つ返事で来てくれる女。そういう子の方が、モテるけれど忙しいハイスペ男子の“一番”をキープし続けていられる。

つまり「都合のいい女」であり続けることが何よりも大事だ、と彼女は言っていた。

確かに、私みたいな“普通の女”がそういう人に気に入られる方法は、それしかないだろう。

向こうが会いたい時にだけ会って、求められたら拒まず、文句を言わずひたすら尽くし、他の女の影があったとしても気にせず騒がず、癒しだけを提供する。

その代わりに彼の一番の座を虎視眈々と狙い、彼が子供が欲しくなったタイミングで結婚へと自然にもっていく。

ただこれは、“条件のいい男との結婚が目的なのであれば”の話だ。

だけど今日私がここに来たのは、彼にあることを告げるためだった。

沙也香が拓巳に会いに来た、本当の理由とは…?

そんな私の本心も知らず、拓巳は、モデルとの食事会の話をしている。なんでもつい先ほどまで、モデルの女性たちと飲んでいたらしい。

私は適当に相づちを打ちながら、言い出すタイミングを計っていた。

「ね、拓巳さん。私がどうして会いにきたか、わかりますか?」
「え…?」

告白でもされると思ったのか拓巳はわかりやすく動揺し、目を泳がせた。

「もう一度会って自分の気持ちを確かめたかったんです。拓巳さんのことが好きかどうか」

「沙也香ちゃん...僕は君のこと、今日改めていい子だなって思ったよ。だからこうやって時々会えたらすごく嬉しい。自力では行けないようなレストランにも連れてってあげられるし、会員制の鮨屋や紹介制のバーとかも…」

そして私の耳元に顔を寄せ、低い声でそっと囁く。

「だからさ、今日は一緒にいようか」


拓巳は私の頭に手を置き、髪を優しく撫でる。だけど私は、その手を持ち上げ、拓巳の膝の上に戻した。

「...やめてください。私、拓巳さんが望むような都合のいい女にはなりたくないです」

美人じゃなくて普通でいいから、素直で従順な女に癒されたい。そう言われている気がした。いや、実際拓巳はそう思っているだろう。

「会うのは、これで最後。さよなら、拓巳さん」

私はきっぱりと告げると、店の出口へ向かってまっすぐ歩き出す。背後から焦ったように私を呼ぶ声が聞こえたけれど、振り向くことはしなかった。

もし拓巳が真剣に付き合うつもりがあれば、私はここに留まったかもしれない。そのくらい、さっきまで気持ちは揺れていた。

家に上げたことも、その後のことも後悔はしていない。弱った時に優しくされたのが、自分が付き合ったことのない美容外科医という肩書のイケメンで、舞い上がっていたのも事実だ。

だけど、拓巳が求めているポジションでそばにいる気はなかった。



外へ出てスマホを見たタイミングで、ちょうどLINEが入る。

『大丈夫?話、終わりそう?』
『うん、今から戻るね』

素早く返信を打ち、タクシーに飛び乗った。

私はなんのために、自ら出会いを求めてマッチングアプリを始めたのか。それは、結婚を見据えた真剣な付き合いのできる彼氏を作りたいからだ。誰かにとって都合のいい女で終わりたいわけじゃない。

「ごめんね!急に抜けて」

「全然。ちゃんと戻ってきてくれたからいいんだよ。終わらせてきてくれて、ありがとう」

そう言って微笑んだ彼は、カメラメーカー勤務で、私と同い年の男性。名前はマサキという。

マサキとは『東カレデート』で出会った。彼とのデート中にたまたま拓巳から連絡があって、思い切って相談したら、「待ってるから行ってきて欲しい」と言われたのだ。

今日は2回目のデート。赤提灯系の焼き鳥屋さんに連れてきてくれた。

今までなら、もっとオシャレな店が良かったと肩を落としていたかもしれない。だけど、そんなことを思う暇もない程、マサキと過ごす時間はどこにいても楽しく有意義だった。

マサキは頬をほんのり赤く染め、熱燗を飲んでいる。その隣にいる自分がやけにしっくりくる気がした。

「お店の人が消臭スプレー貸してくれてよかったね。焼き鳥食べてたのバレなかった?」

「わかんない。美味しそうな匂いさせてるなって思ってたかも。最後くらいいい女だったと思わせたかったんだけどね~!」

笑い合いながら飲む熱燗は、最高においしかった。

恋の始まりってこんな感じだった。そして…

「なんか不思議。知り合ったばかりなのにずっと前から知ってるみたいな感じがするなー。好きなアニメが同じとか、映画で食べるポップコーンは絶対塩とかさ」

「ね。そのアニメ、今度ハリウッドで実写化されるって知ってる?」
「え!!そうなの?絶対行かなきゃじゃん!いつ?一緒に行こうよ」

「いいけど、これから制作だからいつになるか...」
「そうか。でも一緒に行こうね。で、来週はいつ空いてる?」

マサキは自然に誘ってくれ、「どこ連れて行こうかな~」とスマホ画面を嬉しそうにスクロールしている。

私は、忘れかけていたことを思い出した。

恋の始まりはこんな感じだったということを。

そしてこれが、私にとってマッチングアプリでの“最後の出会い”となったのだ。




「沙也香、今日早番だよね?雨だからタクシー呼ぼうか」
「うん!助かるよ~!マサキ、ありがとう」

あれから1年が経過し、私の人生は、大きく変わっていた。

付き合っていたマサキとは、最近になって同棲を始めた。時々喧嘩はするものの、穏やかで明るい彼との生活は順調だ。

私に訪れた変化は、恋愛面だけではない。

仕事を続けながら通ったネイルスクールの課程が終了し、晴れてジュニアスタイリストとして表参道のサロンで働き始めたのだ。そして今日は初めて、ブライダルネイルの予約が入っている。

「わぁ、可愛い...!式までの期間限定なのが悔しいくらい可愛いです」

出来上がったネイルを喜んでもらえると、OLを辞めてこの仕事を選んでよかったと心底思う。

そして、初めてのブライダルネイルのお客様は、あの夏織さんだ。

「夏織さん、ご主人とお待ち合わせでしたっけ?サロンに来られます?」
「はい、そろそろ着くと思います」

そう会話をしたすぐ後で、サロンに入ってきた男性を見て心臓が止まりかけた。

―え!!翔吾さん!

私は髪色を暗くしショートカットにしたので、あの頃から見た目が変わったはずだが、翔吾は出会った時とほとんど変わっていない。

そして幸いなことに、私のことを覚えていないようだった。

「意外と早かったね。ほら見て、すごく可愛くしてもらったの」

夏織さんは優しく翔吾に微笑みかけ、その肩を抱く翔吾は彼女と並ぶと、更にかっこよく見えた。

ーこの二人が結婚するなんて…。

広いはずの東京は、時に狭すぎる。

だが二人の幸せそうな顔を見ていると、心が温かくなって、妬みの感情が出てくることもなかった。

「東カレデート」を始めたばかりの頃をふと思い出して、苦笑する。

食事会より効率的で、紹介よりも気軽な出会いの手段。そう思って、軽い気持ちで始めたマッチングアプリ。

あの頃は、条件のいい男性と結婚することが全てで、手当たり次第にデートをしては、自分を大事にできず迷走し続けていた。

だけど今は、自分にとって何が大切なのかがわかる。

背伸びすることなく、等身大で自分らしく笑顔でいられること。そんな私を愛しいと言ってくれる誰かと過ごす、平凡でも温かい時間。

散々もがいたけれど、ようやくそれらを手に入れることができた。

アプリをインスタントな出会いと割り切るか、運命の人に出会える可能性を信じるか。全ては、使う人次第なのだ。

夏織さんの爪に丁寧に塗ったオイルからは、幸せな香りがする。途端に、家で待つマサキがたまらなく恋しくなった。

―今日は塩味のポップコーンを買って、家で一緒にアニメを見よう。

そんなことを思いながら、肩を並べて店を出て行く2人に、深々と頭を下げた。

Fin.

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ちょっと贅沢ランチを!サクサクの絶品天ぷらが楽しめる都内の人気店5選

2020年2月18日 05:02 東京カレンダー


自分へのご褒美やデートなど、ちょっと贅沢にランチを楽しみたい時、天ぷらランチはいかがだろうか?

目の前で揚げたてを食べられるカウンターや蕎麦と一緒に味わう天ぷらなど、優雅に楽しめる天ぷらランチをご紹介。

天ぷらそば切り
太めの蕎麦とサクサク天ぷらで食べ応え満点『板蕎麦 香り家』
JR恵比寿駅から徒歩2分。お昼時には行列ができるほどの人気店『板蕎麦 香り家』。

こちらでは、山形の蕎麦粉を使った田舎蕎麦が味わえる。板蕎麦といわれる板の箱に入って提供されるのが特徴だ。

ランチタイムの人気メニュー、「天ぷらそば切り」。

サクサクの衣の天ぷらは、海老やカボチャ、蕪など野菜もたっぷりで食べ応えもある。

さらに、ランチタイムでは炊き込みご飯がセットになるのも嬉しい。昼のラストオーダーは15:00。遅めのランチに知っておくと重宝する。

噛めば噛むほどに味が増す田舎蕎麦

日替わりの炊き込みご飯

揚げたてのメニューが次々と提供されるのも、カウンター席の魅力だ
目の前で揚がる天ぷらをカウンターで『博多天麩羅 きんのたかお 南青山店』
通りから奥まった場所にある『博多天麩羅 きんのたかお 南青山店』は、まさに隠れ家。

昼なら明るい光が差し込み、気持ちのいい空間。また「和モダン」を基調とした店内は、デートや女子会などにも使いやすい、気軽な雰囲気だ。

天ぷらの定番、えび、穴子を始めとした魚介は四種。野菜は今の時期の旬モノを味わえる
広いカウンター席を設けた天ぷら店だが「おまかせ天麩羅10品(小鉢2品)」でもお得に味わえる。

旬の野菜や魚介はもちろん。明太子を挟んだレンコンや、島豚など変わりネタも。

優雅なランチタイムを過ごしたくなったら、訪れてみていただきたい。

週の前半、贅沢天ぷらランチで力をつけよう!

『天麩羅 おばた』外観
絶品天ぷらを堪能できる銀座の隠れ家『天麩羅 おばた』
ワイワイと賑わうコリドー街から少し路地へと入ったところに佇むビル。

階段を下りると木目調のドアが現れ、インターフォンを押し店内へ。さらに2つのドアを開けて進むと、ようやく『天麩羅 おばた』の全貌が現れる。

揚げたての天ぷらをベストなタイミングで提供してくれるのは、カウンターならでは
落ち着いた上質感のある内装でありながらも、カウンター5席、個室1部屋のみとこぢんまりとしているからこそ、居心地の良さを感じることができる。

いくらでも食べられるほどさっぱり! すべてが絶妙な天ぷら
毎日、料理長が築地へ足を運び仕入れる旬の魚介と野菜。

仕入れ状況によって食材の内容は変わるが、今の時期(冬~春)だと長崎県対馬の車海老、北海道産アワビ、福井県の原木椎茸、千葉県産の菜花、熊本県の赤茄子などを取り揃えているという。

体にやさしい油で、さらりと揚げる
素材本来の甘み、苦み、酸味、風味を閉じこめる、絶妙な割合の衣。

太白、太香の2種類の胡麻油と天然圧縮大豆油をブレンドした体にやさしい油で、さらりと揚がった天ぷら。

低温でじっくりと結晶化させた奥能登海水塩につけて食べるのも良いが、素材の美味しさを生かした作り方をしているからこそ、そのまま頂き素材の味を楽しむのもおすすめだ。

『天麩羅 おばた』内観
ディナーだけでなく、ランチも営業しているので、休日には贅沢にお昼からお酒と一緒にこだわりの天ぷらを堪能するのも良さそう。

エントランスを抜けると広がるコの字のメインカウンター。目の前で揚がっていくてんぷらを楽しみながら、2人の会話も弾みそう
喧騒から離れた空間で、職人の技が光る絶品のてんぷらを『天ぷら天翔』
料理長自らが築地に足を運んで厳選するという食材を使い、熟練の技に裏打ちされた“江戸の粋”を味わうことができる『てんぷら 天翔』。

その洗練された空間とサービスは、まさにラグジュアリーホテルのダイニングにふさわしい品格を備えている。

店内は、臨場感たっぷりな先述のコの字カウンターに加え、テーブル席や個室、さらに別途個室カウンターも用意され、デートから接待、会食まで様々なシーンで使い勝手抜群。

また唎酒師も常駐しており、料理や好みに合わせたマリアージュを楽しめるのも魅力だ。

サクサクっと心地よい食感の衣に包まれた具材はふっくら仕上がっている
使用する油は、香りを抑えた旨味のある純白ごま油と、豊かな風味とまろやかなコクの綿実油をブレンド。

そんな油で揚げる天ぷらは、薄すぎず厚すぎない衣で、外はサクッ、具材はふっくらな食感は食す価値あり。

鰹だしの風味を存分に引き出した関東風の天つゆ
追い鰹をして鰹だしの風味を存分に引き出した関東風の天つゆは、主役のてんぷらを引き立てる絶妙な味つけだ。

見栄え内容ともに大満足な、昼のイチオシメニュー「てんぷら御膳」
ランチの一押しは、えび2本、魚介2点、野菜3点(茄子、しし唐、舞茸)、御飯、お味噌汁、香の物という構成の「てんぷら御膳」。

さらに食事の中盤には、アツアツの小海老のかき揚げも。

ワンランク上のてんぷらランチを愉しむならコース「琴」
車海老のてんぷらや選べる食事など、ワンランク上のてんぷらランチを愉しむならコース「琴」もおススメ。こちらのペースに合わせて、揚げたてのてんぷらを提供してくれる。


デートから接待まで。趣きのある空間で特別なひと時を。伝統とモダンが融合した粋な作りの店内が、美食を引き立てながら、大人なひと時を上品に演出。シーンに合わせて使い分けられる多彩な席のバリエーションも嬉しい限り。

青山のど真ん中とは思えない落ち着いた空間で、思い思いのてんぷらランチを堪能してみて。

サックサクに揚がった天ぷら、美味しいですよね~!

「天まぶし」
3度楽しめる!こだわりの天ぷら『天吉屋』
『天吉屋』の名物のひとつとなっているのが「天まぶし」というメニューである。

その名の通り「ひつまぶし」からヒントを得て作られたメニューで、天ぷら、天丼、天茶漬けと3つの食べ方で、『天吉屋』こだわりの天ぷらを楽しむことができる品である。

まずは天ぷら定食として、天ぷら本来の美味しさを堪能。同店で使用している海老などの魚介は、魚河岸から直送される新鮮なもの。

海老は2本の海老を並べて揚げる「いかだ揚げ」が2本付く。合計で4本もの海老が入っているのは、嬉しい。

天ぷらでは、海老、海苔、キスなどを食べるのがお店のおすすめ。天つゆに、大根おろしや生姜を入れていただこう。

ご飯は櫃で提供され、おかわりも自由!
ごま油をベースに、香りと油ぎれの良さにこだわって独自にブレンドされた油で、サクッと揚げられる天ぷらの美味しさを存分に楽しんだら、お待ちかねの「天丼」へと変化させよう。

天丼には海老、タラ、インゲンなどをのせるのがおすすめ。もちろん好みで具材は変更してもOKだ。鰹出汁と昆布出汁などの旨みがつまった秘伝のたれをかけて召し上がれ。

天丼の香りに負けないものを厳選した国産米と、オリジナルの粉が生み出すサクッとしたこうばしい香り、そしてタレ。その全てが一体となって、美味しさを演出してくれている。

お腹がいっぱいだったことも忘れさせてくれる、あっさり度
ここまでくると少しお腹がいっぱいかなと思い始める頃だろう。そこで最後はあっさりと「天茶漬け」にして締めよう。

天ぷらや天丼は、好みで食べる品を変えてもいいが、お茶漬けだけは、ぜひ「かき揚げ」で食べて欲しい。

プリプリとしたイカと、甘みたっぷりの玉ねぎのかき揚げをご飯の上にのせたら、刻み海苔とわさびを加えてその上から出汁をかけよう。

優しい味に仕上げられた特製の鰹出汁が、だんだんとかき揚げにしみ込んでいき、食べる度に食感が変化していくのが、また楽しい。

天丼を食べた後に残りがちな「しばらく天丼はいいかな……」という想いがみじんも残らない「天まぶし」は、革命的とも言える品だ。

カウンター席の他、テーブル席を備える

外部リンク

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「私が苦しんでいた時にあんな女と…」知ってしまった夫の不貞。妻が下した、夫への罰

2020年2月18日 05:01 東京カレンダー

夫は外で働き、女は家庭を守るべき。

自分は、共働き賛成、バリバリ働く妻・大歓迎。

しかし、自分よりも圧倒的に稼ぐ妻を持ってしまったら…?

すれ違っていく、金銭感覚、価値観、ライフスタイル。

超ハイスペ妻と結婚した夫は、一体どうなる…?

◆これまでのあらすじ

同じ会社の美女・麻里亜との甘い一時を楽しんでいた康太。予想外に高くついた会計に驚きながらも帰宅する。すると、ひどく顔色の悪い玲がリビングでぐったりしていた。声をかけると玲は倒れてしまい…?


−まだこんな時間か…。

サイドテーブルに置かれた時計に目をやると、時刻は朝4時を回ったところだった。

普段、不眠などとは無縁の康太だが、今日ばかりは眠りが訪れることはなさそうだ。

昨夜のお酒と疲れで、身体がひどく重い。本当は一刻も早く寝て体を休めたいが、目を閉じると、どんどん不安や恐怖が渦を巻いて出てきて、頭が冴えてしまう。

玲が「ぐっすり眠れるように」と言って買った、質の良い枕もベッドも、今日は何の役にも立たなかった。

1人で眠るには広すぎるベッドで、康太はぼんやりと天井を見つめながら、あれこれ思いを巡らせた。

−もし玲が深刻な病気だったらどうしよう…。

康太の脳裏に、良からぬ想像が広がっていく。

搬送された病院では、明日にならないと精密検査は出来ないが、命に別状はないと告げられた。

生死をさまよう事態には至らなかったものの、病名がはっきりしたわけではないし、原因もよく分かっていない。

これから、病気との闘いが待っているかもしれないのだ。

明日の朝、もう一度面会に行くことになっているが、康太は不安で押しつぶされそうだった。

朝、玲の面会に病院に出向く康太。そこで待ち受けていたのは…?

夫としての後悔

「私、今日は会社に行かないといけないんです!」

朝9時。

急遽、1日休みをもらった康太が面会にやってくると、病室の中から興奮気味に話している女性の声が聞こえた。

−まさか…。

病室に入ると、そこには、出かける準備をしている玲の姿があった。

「玲、何やってるんだよ!」

康太は、“おはよう”や“大丈夫?”を言うのも忘れて、思わず声を荒げてしまった。

すると玲は、いつも通りのテンションでこう答えたのだ。

「私、今日の午後、大事なミーティングがあるの。休んでなんかいられないのよ」

その様子から、普段の玲に戻ったことが分かり、ひとまずホッと胸をなでおろす。

が、しかし。昨夜倒れて救急車で運び込まれたというのに、今日仕事に行こうというのは、狂っているとしか言いようがない。

それに、まだ精密検査は受けていないはず。病名や原因も分からぬまま勝手に退院してもらっては困る。

ベッドに駆け寄った康太は、玲の肩を抱いた。

「頼む。今は仕事のことなんか忘れて、体調のことを考えてほしい」

「今日のミーティ…」

それでも食い下がる玲の言葉を遮って、康太は声のボリュームを一気に上げた。

「いいかげんにしてくれ!自分の身体の方が大事だろう?そんな状態で行っても仕事にならないよ」

玲の病室には他に3人の患者がいたが、皆、何が始まったんだという顔でこちらをチラチラ見てくる。看護師も、呆れ顔だ。

すると玲は、他人の目も気になったのか、「分かったから…」と小さな声で答えて康太から離れた。


「精密検査の結果は、特に異常ありませんでした。おそらく、過労かと思われます。このまま退院して問題ありませんが、まずは、ゆっくり休んでください」

昼過ぎ。

診察室に呼ばれた2人は、医師から説明を受けた。

「過労ですか…」

深刻な病気ではなかったことに安堵はしたものの、“過労”という言葉は、康太の胸にグサリと刺さった。

超仕事人間の玲は、毎晩帰宅も遅いし、土日も仕事をしていることが多い。

康太も、その生活に慣れてしまっていたが、超オーバーワークなのだ。

一般的に、残業80時間を超えると健康障害のリスクが高くなると言われている。正確に計算したことはないが、玲の場合、おそらく100時間は超えているし、多忙な時には150時間くらいの可能性もある。

−なんで止められなかったんだろう…。

過労で倒れるほど妻を働かせてしまった自分、注意することもしなかった自分が情けなくて仕方なかった。夫として何をしていたのだろう。

康太がガックリと肩を落としている隣で、玲は嬉しそうに「今日はゆっくり休みます!」と、声を弾ませていた。

診察室を出た玲は、「良かったー」と伸びをしてから続けた。

「ただの過労で良かった。長期間仕事休むことになったらどうしようかと思ったもん」

「病気じゃなかったのは良いけど。ただの過労って、それは…」

康太が反論すると、玲はその言葉を遮った。

「会社に連絡しなくちゃ。こうちゃん、スマホ借りても良い?

私、今なにひとつ持ってないのよ。あと、会計もお願い出来る?」

病室に戻った玲は、康太のスマホ片手に、病院の電話が出来るスペースにさっさと出て行ってしまった。

「はいはい」

何も考えずにスマホを玲に渡した康太だが、このことが大惨事を招くことになるとは想像もしていなかった。

タイミング悪く、康太のスマホに届いた禁断のメッセージ。それを見た玲は…?

全部、演技だったのね

「ご心配をおかけしてすいませんでした。明日から出社いたします」

一通り報告を終えた玲が電話を切ると、同じタイミングでメッセージの新着を知らせるポップアップが表示された。

メッセージを開くつもりは全くなかったのだが、使い慣れていないスマホということもあり、画面をうっかりいじってしまったらしい。

メッセーンジャーが起動し、新着のメッセージが表示された。

“康太さん

昨日はありがとうございました!康太さんと2人で飲めて楽しかったです。

マンダリン、夜景も綺麗でとっても素敵でしたね!美味しいシャンパンをご馳走になり、ありがとうございますー!

あと、ハレクラニのお土産もありがとうございました♡ また飲みに行きたいです♪”

鈍器で頭を殴られたような衝撃を受けた玲は、その場で固まってしまった。さらに、夫の不貞を証拠づけるようなメッセージから目を離すことが出来なかった。

プロフィール画像には、ピンクのマカロンを幸せそうに食べる、可愛らしい女。名前は、水野麻里亜というらしい。

玲の頭の中から血がサーっと引いていく。

夫は、一緒に行った沖縄で他の女にお土産を買い、昨夜はその女と高級ホテルでイチャついていた。

−康太のこと信じてたのに…。

玲は、スマホを壊してやりたい気持ちをグッと堪えて、病室へと戻った。


「お会計済ませておいたよ。タクシーも10分後に来るって」

「ありがとう」

病室に戻った玲は、今にも爆発しそうな感情を押し殺しながら、康太にスマホを返した。

−若い女と遊んでいたくせに、よくもあんな大袈裟な“妻のこと心配してますアピール”が出来たわね。意外と、演技派なのね。

玲は、康太が病室で、人目もはばからず自分のことを抱きしめて心配していたことを冷ややかに思い出していた。

あの時、「こんなに心配してくれるなんて…」などと感動した自分がバカバカしい。ただの素敵な旦那アピールだったと思うと、腸が煮えくり返りそうだ。

−そういえば、不倫で世間を賑わせていた俳優も、イクメン扱いされていたっけ。

康太にそんな狡猾さがあったとは予想もしていなかった。家庭的で誠実な人などと勘違いしていた、自分の見る目のなさにもがっかりする。

そんなことを考えていると、康太が「そろそろタクシー来るよ」と声をかけてきた。



「心配かけちゃってごめんね。ありがとう」

帰宅した玲は、まずは丁重にお礼を述べた。

すると、康太が「こっちこそごめんな。俺も、玲のことフォロー出来てなかったって反省したよ。これからは…」と言って、玲を抱きしめようとしてきた。

−今だ。

そう思った玲は、康太の腕を思い切りはねのけた。

「そういうの、止めて欲しい」

「え…?どうしたの?玲、え…?」

康太は、何が何だか分からないといった表情で困惑している。そんな姿も演技なのかと思うと、腹立たしくて仕方なかった。

そして玲は、康太の瞳をキツく見つめながらこう言った。

「水野麻里亜さんのところに行ったらどう?私は、この家を出ますから」


▶︎Next:2月25日 火曜更新予定
家出を決意した玲に、「誤解だ」と謝罪する康太。しかし、玲の怒りは収まらず…?

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cat_oa-rp53865_issue_6203ac51ae43 oa-rp53865_0_86d57abf604e_「何歳になっても女でいたいの」妻となり、母となった女の願望の行く末は?「恋するマザー」全話総集編 86d57abf604e 86d57abf604e 「何歳になっても女でいたいの」妻となり、母となった女の願望の行く末は?「恋するマザー」全話総集編 oa-rp53865

「何歳になっても女でいたいの」妻となり、母となった女の願望の行く末は?「恋するマザー」全話総集編

2020年2月18日 05:00 東京カレンダー

いつまで経っても、女は女でいたいー。

それは、何歳になっても、子どもができてママになっても、ほとんどの女性の中に眠る願望なのではないだろうか。

いつまでも若々しくいたいという願いや、おしゃれへの欲求、それに少しのときめき。自由やキャリアへの未練。

そんな想いを心の奥底に秘めながら、ママとなった女たちは、「母親はこうあるべき」という世間からの理想や抑圧と闘っているのだ。

専業主婦の川上翔子(34)は、幸せな毎日を送っていたはずだったが、ある日を境に彼女の人生が再び動き始めるー。

「恋するマザー」一挙に全話おさらい!

第1話:「子どもができても、女でいたい」。34歳・主婦の人生が、再び動き始めた日
―明日の里香の結婚式、ドレス入るかな…。

そっと脇腹の肉をつまんでみる。妊娠を機会に退職して、もう7年が経とうとしているが、明日は元同僚の結婚式に招待されているのだ。

―明日皆に会えるの楽しみだな…。皆、元気かなあ。

翔子は、新婦やゲストたちとの久々の再会に胸を高鳴らせた。

第1話の続きはこちら

第2話:20代の結婚出産は、勝ち組じゃなかった?ハイヒールが履けなくなった34歳主婦の葛藤
翔子が圧倒されていると、今度は同じテーブルの玲奈が話に入ってきた。

「私も出産したら、なるべくすぐ職場に復帰する。もちろん家事も育児も、夫と分担よ。生活費も折半。家事もシェア」

まるで異世界のような会話にたじろいでしまう。

同世代の二人は、翔子が引退してからの7年もの間、キャリアを積み続けていたのだ。「仕事を手放すなんて、考えたこともない」という様子は一目瞭然だった。

第2話の続きはこちら

第3話:“妻”でも“ママ”でもない居場所が、私を待っている…。34歳の妻が夫に告げた言葉とは?
「ねえ、翔子。単刀直入に言うわ」

翔子は驚いて、千尋の言葉を待つ。

「え?なんでしょう…」

「うちの会社の業務は少し話した通り。大きく言うと、訪日外国人向けのコンシェルジュサービス。要は駐在するための生活基盤から観光までアテンドする何でも屋さんってところなんだけど…あなたの力が必要だわ。うちの会社に来ない?」

第3話の続きはこちら

第4話:「今の生活に不満があるのか?」7年間尽くした妻からの、突然の提案。夫がとった態度とは
「あの…実は千尋さんの会社で仕事を手伝ってほしいって声をかけてもらって…。私、突然のことでびっくりしちゃった。でも、そんな、急に返事しなきゃってわけじゃなくて、旦那さんに相談してみてって言われたの…」

翔子は、弁解めいたことを繰り返す。なぜ罪悪感のようなものを感じて言葉を選びながら話しているのか、自分でもよくわからなかった。翔子は、圭一のことを直視できずに、視線を落としたままだ。

しかし、じっと翔子のことを見据えていた圭一の答えは、意外なものだった。

第4話の続きはこちら

第5話:「子持ちの女はやりたい放題ね」と20代の若い女子から言われてしまった、34歳の女
初日から、息子・航太の発熱というまさかの事態に直面してしまった。

幸い、航太の熱はその日のうちに下がり、翌日には元気に登校した。それでも万が一学校から連絡があったらすぐに対処しようと、社長の千尋にあらかじめ伝えてある。

まずは入社が遅れてしまったことを、千尋に詫びるところから始まる。千尋は「こっちのことは気にしないで。それより航太くんは大丈夫なの?」と温かい言葉を掛けてくれた。

会社は完全フレックス制を導入している。子持ちのスタッフが多いので、出社や退社時間に融通をきかせたいという千尋の思いを実現させていた。

第5話の続きはこちら

第6話:「あなた、ちょっと雰囲気変わった…?」女の変化に気づいた義母の一言に、ギクリとした妻
働き始めてしばらくすると、「もう少し勤務時間を増やした方が良いかも…」と思うようになってきた。

それは自らの希望でもあるが、一方で、ことあるごとに「もう帰るんですか?」と露骨にため息をつく舞花の態度に疲弊してきたということもある。

「…というわけで、ご迷惑でなければひとまず、勤務時間を延長させていただけませんか?」

翔子が千尋にそう持ちかけると「それは、こちらとしてはとてもありがたいのだけど…」と言った上で、ハッとして、眉を釣り上げ厳しい顔をした。

第6話の続きはこちら

第7話:突然、分厚い封筒を差し出され…。お金に困っていると思われ、同情された妻
「翔子さんが、仕事を始めた…?」

義母の雅代は、ダイニングテーブルにお茶を並べながら、悲痛な声でそう呟いていた。夫・圭一の実家は、音羽にあるそこそこ大きな一戸建てで、お坊ちゃま育ちと言えるだろう。

仕事人間だった義父を支える一方で、義母は趣味人。生け花から声楽、和裁に洋裁と、日々いそしんでいる。翔子は、義母手作りのレース編みのコースターに目を落としながら、小さくため息を吐いた。

「あの、お義母さん。私の職場なんですが…」

第7話の続きはこちら

第8話:妻が職場でときめいて、何が悪い?夫に本音を言えない女の、ささやかな喜びとは
「完璧だなんて…。私不器用だからいっぱいいっぱいだよ」
「そんなことないよ。仕事も家事もここまで完璧にこなしてくれるなんて、ママはスーパーウーマンだ」

圭一は満足げな笑顔でそう言った。

―そこまで言われると、言い出しにくいな。

翔子は口をつぐんでしまった。本当は、夫に相談したいことがあったのだ。

第8話の続きはこちら

第9話:「私さっきまで、男の人と二人で…」。妻が罪悪感を抱いた、夫と子どもに起こった想定外の事態
「翔子さん、なんかソワソワしてるけど大丈夫?何か気になることでもあった?」
「いえ…。実は私、結婚して以来、男性と二人きりで食事するの初めてなんですよ…」

明彦は驚いて、目を丸くする。

「デートってわけじゃないんだから。仕事していれば異性同士だってランチミーティングもあるし、打ち合わせついでに軽く酒飲むこともあるさ。だからそんな警戒されても…」

第9話の続きはこちら

第10話:「あなたって悪い母親ね」と子どもの前で罵られ…。妻のところに突然押しかけてきた、招かれざる客
姑の雅代が病室にやってきたのは、手術から2日が経った頃だった。

「航ちゃん!!もう大丈夫なの?」

ものすごい剣幕で現れた雅代は、翔子を押しのけ、航太に抱きついた。「おばあちゃん、痛い」と航太が言っても聞く耳を持たず、しつこく頬ずりをしている。

「航ちゃん、辛かったわね。救急車で運ばれたとき、おばあちゃんもう胸が張り裂けるように辛かったわ。でも、おばあちゃんたちと一緒のときでよかった。うちにいなかったらどうなっていたことか」

第10話の続きはこちら

第11話:「家に男を連れ込むなんて!」深夜1時半、帰宅した夫からあらぬ疑いをかけられてしまった妻
「ごめんなさい。電話、全然気づかなくて。あの…」
「そうだよな。お休みのところ、本当に申し訳ない。…航太くん、おじさんはお母さんと一緒に仕事しているんだ。廣山明彦と言います。お腹はもう大丈夫?」

明彦の言葉を受けて、航太は「うん。大丈夫」と小さく言った。

「あの、明彦さん、どうして…」

そのとき、明彦に促されて後ろから現れたのは、舞花だった。気まずそうにうつむいている。

第11話の続きはこちら

第12話:妻の不貞をでっち上げた真犯人が明らかに…!真に受けてしまった夫が告白した、本音とは
「いつもだったら、軽はずみな行動を…ってこの人を責めるような状況だけど、これ、先にお店を出た私の責任だわ。まさかこんなことになるなんて…。ごめんなさい、翔子」

翔子は慌てて首を横に振った。

「お二人に責任は何もないんです。ただ、ご迷惑をかけてはいけないと思って、先に弁明にきました」

いち早く千尋と明彦に状況を伝えるために、翌日、翔子は会社へ出向いていた。

第12話の続きはこちら

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「男性とは初めてで…」一目惚れした女が、初デートで告げてきた衝撃の事実とは

2020年2月17日 05:05 東京カレンダー

人との、別れ―。

それは、誰しも一度は経験したことがあるもの。

けれど、別れた後に待っているのは辛いことだけじゃない。これは、そんな「別れ」にまつわるオムニバス・ストーリー。

◆これまでのあらすじ

今回の主人公は、朔と芙美子の恋のきっかけを作った樹(たつき)。樹が恋をしてしまった女性とは…?今回は、全4回でお届け。


―どうした。なんだ、この胸騒ぎは。

友人の結婚式に参加していた鈴木樹は、ステージの上に立つ女性から目が離せなくなっていた。

派手過ぎず、でも気品漂う黒のワンピースに身を包み、バイオリンを奏でている女性。

淡い茶色に染められた髪はハーフアップにされている。

―これは、一目惚れ…か?

新婦の友人だというその女性。先ほどまでステージなど気にも留めず、テーブルでお酒を楽しんでいたため名前は聞いていなかった。

好きな曲が流れたのでチラリと目をやったステージに、釘付けになってしまったのだ。

「なぁ、あの人、誰か知ってる?」

小声で隣に座る朔に聞いてみた。

「なんで俺が知ってるんだよ」

朔は興味なさげに答える。そういえば、朔がスーツを着て小綺麗な格好をしているのは初めて見たかもしれない。髪型もすっきりしている。

朔とは青山通りで再会して以来頻繁に会うようになり、大学の友人の結婚式にもこうして一緒に出席する仲になっていた。

朔は、芙美子と別れてから明らかに雰囲気が変わった。別れた直後は荒れて大変だったな…とほんの半年ほど前のことを思い返していると、演奏が終わった。

「新婦のご友人の若槻琴音(わかつきことね)さまの演奏でした。ありがとうございました」

司会が終わりを告げると、拍手が起こった。ペコリとお辞儀をする琴音が顔をあげた瞬間、目が合った…気がした。

―俺はアイドルのファンかよ…。

琴音との出会いに相当浮かれているのか、思わずひとりツッコミを入れてしまう。

「それではこれよりしばらくの間、ご歓談とお食事を…」

司会が言い終えるよりも早く、樹は立ち上がる。

「ちょっと俺、行ってくるわ」

「おう。え?どこに?」

樹は朔の言葉には返事せず、琴音の席へと向かった。

“友人の結婚式は出会いの場”という言葉を地で行く樹。琴音に話しかけることはできるのか…?

「あの、琴音さん…」

樹は思い切って声をかけた。

「え?」

琴音はびっくりして振り返る。直後「誰?」という表情を顔に浮かべた。当然だ。

ここまで完全にノープランで来てしまっていた樹は、なんと言って良いか分からず、思いつきのまま話した。

「さっきの演奏素敵でした。俺…僕、バッハの中でも“G線上のアリア”が一番好きなんですよね。もうすっかり琴音さんのファンです」

一気に話すと、琴音の表情がパッと明るくなった。

「本当ですか、ありがとうございます。少し、私のアレンジも入れてみたのでそう言っていただけて嬉しいです」

琴音も樹も、笑顔で頷く。

その後たっぷり3秒間、気まずい空気が流れた。

「そ、それが言いたくて。お邪魔してすみませんでした」

樹はそそくさと自席へ戻る。

初めは琴音と話すことができたと満足げだったが、冷静になるとさっきの会話からは何一つ得るものがなかったことに気づき、落ち込んだ。

披露宴はあっという間に終わり、樹は朔と共に二次会の会場へと向かっていた。琴音さんは来るのだろうか…。そう思った直後、後ろから声が聞こえた。

「じゃあ、私はこれで」

振り返ると、バイオリンケースを持った琴音が友人たちに別れを告げ、立ち去ろうとしているところだった。

「ちょっと俺、行ってくるわ」

「おう。え?また?」

朔を放置し、琴音の元へ向かった。


「琴音さん、二次会には行かないんですか?」

突然話しかけられた琴音は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに樹だと認識して笑顔になった。

「ええ、今日は少し用事があって。そういえばごめんなさい、私、まだお名前を聞いてなかったですよね」

「あ、そうでした。鈴木です。名乗りもせず話しかけちゃってすみません」

「いえいえ嬉しかったですよ」と微笑む琴音を見ると、樹はようやく、いつもの調子を取り戻してきた。

「もし迷惑じゃなかったら、今度食事でも行きません?連絡先伝えておくので、気が向いたら連絡ください」

鬱陶しがられないように、怪しまれないように。樹は細心の注意をはらいながら、連絡先を渡すことに成功した。

そして二次会が終わる頃には、琴音からメッセージが来ていた。樹の予想通り、悪い印象は抱かれていないようだ。

―このまま、一気に距離を縮めたい…!

そう考えた樹は、次の土曜日にデートの約束を取り付けた。場所は音楽の生演奏を楽しめる、ブルーノート東京。琴音にぴったりだと思ったのだ。

その時はまだ、琴音がとんでもないことを隠していたなんて、知る由もなかった。

初めての食事の場所として選んだ、ブルーノート東京で知った琴音の正体とは?

待ち合わせより少し早く、ブルーノート東京に到着した樹は、琴音が来るのをソワソワと待っていた。

―バイオリンを演奏する琴音との初デートにはピッタリだな。

ブルーのネオンライトに照らされたステージを眺めながら、樹は誇らしげな気持ちになる。

「鈴木さん、お待たせしました」

数分後、琴音がやって来た。

その姿を見て、樹は目を見開く。現れた琴音は、先週の結婚式の時と同じような、品のあるワンピースを着ていたからだ。

―琴音さんにとっては、ちょっと敷居の高い店だったか?気を遣わせてしまったかもしれない…。

樹は申し訳ない気持ちを抱える。

しかし食事が進むにつれて、それは無駄な心配だったことがわかった。    


「ここのお店、よく私の父が演奏させていただいてるんです。小さい頃から来ていたけど、男性と来るのは初めてで…」

「え、お父さん…?が、ここで演奏しているの?」

唐突な琴音の発言に、樹の理解はなかなか追いつかない。

「ええ。私の父はジャズピアニストのHaruo Wakatsukiなんです。母もバイオリニストで。音楽一家に生まれたので、私も音大を卒業して、今はバイオリンでお仕事をしています」

「へ、へぇ」

Haruo Wakatsukiの名は樹でも耳にしたことがあるほど、世界的に有名なジャズピアニストだ。

「そのご令嬢が、琴音さん…」

樹は、放心した口調でつぶやく。

話を聞けば、南麻布に豪邸を構え、物心がついた時からお手伝いさんがいたらしい。恋人はいないが、25歳の琴音には毎日のように縁談が持ちかけられているという。

しかもそんな夢のような話をしているのに、全く気取っておらず、嫌味たらしくない。多分、本当のお金持ちなのだろう。

まるで映画の世界から飛び出して来たような、お嬢様の琴音。よく見るとお金持ちオーラが全開だ。

普段来ることがないような店をチョイスして、気を遣わせてしまった…と勘違いしていた自分が、急に恥ずかしくなってくる。琴音にとってこのお店は、日常の光景だったのだ。

樹の恋心は驚くほどみるみるうちに冷めていく。

―すごく良い子なのに、住む世界が違いすぎる…。

樹自身も大手の会社で働いていて、同年代に比べると収入もあり、良い暮らしをしているはずだ。が、琴音が生きている世界は桁違いだった。

付き合って結婚して…と二人の将来のことを想像しようとするが、二人の人生が重なるようには思えない。

それに、話を聞いていると恋愛というものをロクにしたことがないらしい。

ま、こんなこともあるよと気持ちを切り替え、樹は今日は早々に切り上げようとしていた。

しかし、話は意外な展開を見せることになる。

琴音の方が、樹のことをえらく気に入ってしまったのだ。

「私、男性に対してこんな気持ちになったのは初めてなんです。恋愛なんて、私には無縁なものだと思っていたけど…。鈴木さんと、もっと一緒にいたいです」

―これはまずい展開になってしまったぞ…。

樹は、純粋すぎる瞳で見つめてくる琴音を横目に、内心頭を抱えていた。


▶︎NEXT:2月24日 月曜更新予定
琴音からの猛アタックに、樹が下す決断とは…?エリートサラリーマンと世間知らずなVIP令嬢が織りなす、恋の行方。

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