80年代カルチャーにオマージュを捧げたジェレミー流スペースワールド。現実逃避させてくれるような突き抜けた個性が、2020年春夏コレクションを印象づけた。
※JEREMY SCOTTの2020年SSを全て見る。
毎シーズン、既成概念を吹き飛ばすコレクションを発表し、NYコレのエンターテイナー的立ち位置を確立するジェレミースコット(JEREMY SCOTT)。2020年春夏コレクションは、昨シーズンのモノクロの世界とは一変。カルトを誇るアメリカのSF映画『リキッド・スカイ』(82)を彷彿とさせるカラフルで創造的なアイテムを押し出し、20年以上続くブランドの真髄を表現した。
今回もショーを彩る豪華なベテランモデル陣が勢揃い。ネオンカラーのウィッグを被り、アップテンポなミュージックに合わせてランウェイを闊歩した。ファーストルックは、シルバーの管で縁取られた構築的なドレス。80年代風のサイケデリックな柄を用いて、いびつなフォルムが際立つ新たなる宇宙服へと昇華した。
これを筆頭に、パーティーシーンを盛り上げるルックが次々にお目見え。単なる派手なデザインではなく、緻密に計算されたディテールやシルエットなど、真のクラフツマンシップを感じることができる。
ジェレミーが今季のコレクションを「ネオン ロック オペラ」と表現するように、さまざまな要素が融合され、もはやひとつのジャンルに定義することは不可能だ。レザーフリンジやスパンコール、ビジューなどの装飾に、セブラやトロピカル柄などさまざまなが用いられていた。中にはレース紐のパンティーをパッチワークしたアイテムが混ざり、思わずくすっと笑みがこぼれるユーモアと奇抜さにあふれていた。そして、どれもとびきりミニ丈のドレススタイルで、セクシーな要素は健在。
「ファッションは自由であり、楽しむもの!」という彼のメッセージをダイレクトに表現したコレクションは、熱心なファンを多いに惹きつけたに違いない。
Photos: GORUNWAY Text: Maki Saijo