cat_oa-rp35774_issue_1d40a192da19 oa-rp35774_0_1d40a192da19_鬱屈と世知辛さが織り込まれた傑作「ゾンビ」ドラマ 1d40a192da19

鬱屈と世知辛さが織り込まれた傑作「ゾンビ」ドラマ

2019年2月24日 05:55 デイリー新潮

 みんな、鬱屈している。

 勢いで東京に出たものの、何かになれたわけでもなく、そもそも目標も執着も薄い主人公が石橋菜津美。結婚もしてみたが、偶然出会った地元の先輩(大東駿介)というお手軽さ。その夫もどこぞの女と浮気して、一方的に離婚を求めてきやがって。夫に、自分に、鬱屈。

 実家に戻ったものの、父(岩松了)の会社は倒産。近所のコンビニで働く父は年下の上司に怒られっぱなし。父の鬱屈。そして田舎を脱出したい妹(片山友希(ゆき))は東京の大学を目指していたが、家計は苦しくなり、断念せざるを得ず。父に猛烈八つ当たり。次女の鬱屈。威厳の欠片もない父を決して責めない母(原日出子)。家族の諍いから逃げるように通販番組を眺める。決して買えないのに。母の鬱屈。

 そんな家では息苦しくて、石橋は友人宅に避難。真面目で堅実、世間体を第一とする女友達(瀧内公美(くみ))の家だ。セクハラ上司をスルーするしかない会社で働く鬱屈、田舎を抜け出せなかった鬱屈から不倫に逃げてしまう。相手はなんと大東だ。

 もちろん、鬱屈した人ばかりではない。「あたしバカだから」と何事も暢気(のんき)にいなしてしまう土村芳(かほ)もいる。勉強はまったくできないが嘘はつかず、時折真理を突く。地元のスナックで働き、前科者だがヤクザではないバツイチ山口祥行(よしゆき)と交際中。山口の小学生の娘(根本真陽(まはる))は母の再婚を機に、父を訪ねてきた。

 で、石橋は無気力無関心を貫き、いつ死んでもいいと思っていたはずなのに、ある状況に晒されて、生きることを俄然切望し始める。

 鬱屈した田舎の人間関係といい、修羅場を迎える展開といい、なかなかに芳(こう)ばしい人間ドラマである。が、問題は「ある状況」だ。どうやら国が極秘裏に行っていた人体実験失敗のせいか、片田舎の町にゾンビがあふれかえっているのだ。タイトルは「ゾンビが来たから人生見つめ直した件」。ホラーもゾンビも苦手な私が食い入るように観て、毎週楽しんでいるドラマである。

 設定もセリフも掛け合いもリアルで中身が濃いから、ゾンビはただの背景、あるいはスパイスにしか見えず。ゾンビに囲まれた異常事態で生死を分ける極限状態にもかかわらず、些末なことで言い争う一座の皆さん。妙なテンションにくすっと笑えるし、心情描写の切なさにぐっとくる場面もある。胡散臭い家族モノでもないし、陳腐な不倫復讐モノでもない。ゾンビにリアルもへったくれもないが、元・人間である生臭さも伝わる。

 若手女優3人もそれぞれがそっけないくらいに自然体。好ましいし、頼もしい。男性の残念な習性とヘタレっぷりを余すところなく体現する岩松と大東も憎いほど適役。早々に噛まれてゾンビになっちゃった渡辺大知もなぜか可愛い。キャスティングのセンスが抜群だ。

 この状況を外側から見せるのがユーチューバーの川島潤哉と、謎のピザ屋・阿部亮平。この構図も新鮮で。

 ただのパニックモノではない。鬱屈と世知辛さを織り込みつつ、人生の分岐点を描く傑作に太鼓判を捺す。苦手を克服した気もする!

吉田潮(よしだ・うしお)

テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビ番組はほぼすべて視聴している。

「週刊新潮」2019年2月21日号 掲載

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cat_oa-rp35774_issue_1d40a192da19 oa-rp35774_0_67d7e98efb54_安田顕×倍賞美津子×宮川サトシ「ぼくいこ」映画化記念鼎談 67d7e98efb54

安田顕×倍賞美津子×宮川サトシ「ぼくいこ」映画化記念鼎談

2019年2月23日 10:15 デイリー新潮

「がん宣告」された母と向き合う日々とその母亡きあとの日常を通じ、息子は何を知ったか。感動のエッセイ漫画が映画化された。公開を前に、息子役の安田顕さんと母親役の倍賞美津子さん、そして原作者が撮影の舞台裏とそれぞれの「家族愛」を語り合った。

 ***

 がん宣告された母親とその家族の日常をせつなくも明るく描く映画「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」が2月22日に公開された。心優しいが頼りない息子・サトシを安田顕さんが、陽気でパワフルな母親・明子を倍賞美津子さんが演じ、父親役の石橋蓮司さん、サトシの恋人役の松下奈緒さんがワキを固める。

 原作は宮川サトシさんの自伝的な同名漫画(新潮社刊)。公開に先立ち、その宮川さんと安田さん、倍賞さんが語り合った。

倍賞 タイトルをうかがってドキッとするものもあったんですけど、私、実際に食べた、という話を聞いたことがあるんですよね。

安田 「食べたいと思った」で、食べたというタイトルではないですけどね(笑)。

倍賞 でも骨をしゃぶった人とかいるんですよ。

宮川 地方によってはそういう習慣がある村もあるらしいですね。読者の方からもお便りをいただきました。確か勝新太郎さんは母親の遺骨を齧ったとか聞いたことがあります。

安田 僕はキスしたって聞きましたよ。映画にも骨にキスするようなシーンがありましたね。実際、お母さまが亡くなられた時、骨ってもらったんですか?

宮川 もらえなかったんですよ。兄が家を代表して常識人として振る舞ってくれて「やめとけ、それはよくない」って(笑)。僕としては、もったいないな、と思ったんですよ。レストランとかでまだソースが残っているのに「お下げします」って持ってっちゃうのがあるじゃないですか。あの感じです。

安田 遺品と言えば遺品ですし、持っていてもおかしくはない。

宮川 原作には、兄と母を偲びながら「倍賞美津子を見ると思い出すよね」というシーンがあるんです。でもロケ現場でお会いしたら、倍賞さんは彫りが深くて、お顔の作りがぜんぜん違うことに気がつきました。ただ古民家での撮影を見た妻が「お義母さんがいる」って言いだして。

倍賞 藤色の服を羽織ってるところです。

宮川 あの藤色はうちの母が大好きな色で、遺影の写真もそうなんですよ。それと、抗がん剤治療の後に髪の毛が抜けて頭巾を被った様子もよく似ていて、妻と一緒に泣いちゃいましたね。

安田 実際、どんなお母さまだったんですか?

宮川 肝っ玉かあちゃんみたいな人です。倍賞さんが「3年B組金八先生」で演じられていた金八先生の奥さんのイメージ。

倍賞 あれは保健室の先生で、子どもたちからアマゾネスってあだ名をつけられたんですよ。

安田 そうそう。

倍賞 私はそういう話はまったく知らなくて台本だけ渡され、読んでみたら、これは温かい話ができるなと思いました。

 母親ってああいう風に一所懸命に子どもを愛するんですよね。たぶん私の母もそうだったと思うし、私も子どもと孫がいて、いまは海外にいますけども、急に電話したら、風邪を引いていたりとか、かつては親知らずを抜いて熱出していたりとか、勘が働くんですよ。子どもは女性の肉体の中から生れてくるということがやっぱりあるのかな。

宮川 予告編に「サトシありがとね」と言うシーンがあって、実際には母から言われてないんですが、母が言葉にしたらそうだろうなというセリフで、しかも倍賞さんのイントネーションが不思議に母と同じ岐阜弁。あそこはブルブルしました。

安田 お話をうかがっていて、自分の母親のことを思い出しました。高校受験の頃、急にお腹が痛くなって夜に救急病院に行ったことがあったんです。看護師さんが浣腸してくれたんですが、出しても出しても痛みがおさまらない。家に戻ってもダメで「どうしても痛い」と深夜12時くらいに母親の部屋に行ったんです。そうしたら「おいで」と言われて、母親が背中に手を当ててくれた。もう15歳なのに(笑)。でもそのまま寝ちゃって、翌日になったら痛みが消えていました。これが手当てかと思った。

宮川 そのことをお母さまは覚えていますか?

安田 どうでしょう? 僕の目の前でカレーこぼして「わたしじゃない」って言う母親なんですけど(笑)。

倍賞 ハハハハ。

実際の場面そっくり

 映画の山場の一つに、もはや満足に話ができなくなった母親が病室のベッドで体を起し、ものを書き出すシーンがある。字は乱れに乱れ、意味も不明な箇所もあったが、それはサトシと恋人に結婚を促すものだった――。

安田 その時の実物の書付を見ましたが、肉筆って遺されたパワーがすごいですね。こんなにぐっとくるものなんだな、と思った。

倍賞 あのシーン、実は、私は左手で書いたんです。本当は左利きなんだけど、右で字を書くよう直されてもう左で字を書くことを忘れているわけ。実際のお母さまが左利きだったのでわざと左手で書きました。

宮川 最終的には実物を使っていただけたんですか?

安田 実物をもとに倍賞さんが書かれた。

倍賞 書いた覚えがあるような。あれ、夢かな。どっちを使ったかわかんない。

安田 夢じゃないですよ。倍賞さんのを使ったと思いますよ。

宮川 そのシーンもそうですが、僕はこの映画、脳ミソにうっすら残っている記憶と、映画の場面が混同して、頭の中で混じってしまっていますね。そもそも初めて見た時、この映画見たことあるな、という気持ちになったんです。あのシーンも、見てきたんですか、というくらいにそっくりで驚きました。

安田 僕の好きなシーンは二つあるんですが、一つは中学生のサトシが保健室の先生から病気の疑いがあるという手紙をもらって、それを母親が縁側で読んでいるところですね。そしてただ息子の方を振り返るんですけど、そこに心のひだがいっぱい見える気がした。

 もう一つは琵琶湖のシーンで、石橋蓮司さん演じるお父さんのシャツを倍賞さんが脱がせて「泳いでらっしゃい」と言うところ。それだけで夫婦の関係がわかる。シャツ脱がす仕草なんて、監督が指導できない。それは俳優さんの中から出てくるもので、そこが素晴らしかったですね。

倍賞 私は幼い頃のサトシと畑で走るシーンかな。すっごい暑い日で頭がクラクラしてくるんですよ。しかも道に石が散らばっていて痛くて。初日からこれかぁ、と思った。

安田 あの畦道を「わーっ」と行くところですね。

倍賞 そう。道がギザギザ。「大丈夫ですか」って言われて「ダメよ」とは言えないじゃない。

安田 あれ、裸足で走っているじゃないですか。

倍賞 フフフ。うまく履いてるのよ、あれ。

安田 えーっ。僕も同じ所走ったんですよ、その時、「お母さんはどうしたの?」と聞いたら「裸足でしたね」って。そう言われたら裸足で走るしかない。

倍賞 ハハハハ。やっぱりスピード出さなきゃと思うわけですよ。

病気になって気づくこと

宮川 原作にはないシーンですが、倍賞さんが車から身を乗り出して楽しそうに笑うシーンがありますね。ああ、うちの母もこういう風に花が咲いたように笑う人だったな、と思い、そしてそういうことすら忘れてたな、とも思って、あそこはまた見ると、たぶん泣いちゃいます。

安田 この映画はやっぱり倍賞さんで、僕も共演できたことが財産になった。倍賞さん、普段のお話もとっても面白いんですけど、視点っていうか、何気なく見ているものがぜんぜん違う。琵琶湖のシーンで石橋さんと2人で立っていらして、木に鳥のつがいがいるのを見て、「チュッチュッチュッチュッしているよ」とか、あるいはロケバスから道端を指して「ちょっと見て、曼珠沙華、曼珠沙華」とか、そういうものがいつも目に入っている。

倍賞 割と2人で待っている時間が多かったから、いろんな話をしましたね。

安田 琵琶湖に入る時は「あなた泳げる? わかった。あなた平泳ぎでしょ。そういうタイプ」って。

倍賞 ハハハハ。

安田 どこ見たらわかるんですか。

倍賞 あるんですよ。クロールじゃないとか、バックじゃないとか、感じるものが。

宮川 ちなみに僕は何泳ぎですか?

倍賞 やめてくださいよ。

安田 平泳ぎ。

宮川 そうです。

安田 一致しましたね。

倍賞 撮影した大垣はよかったですね。好きになりました。あそこ、病院がいっぱいあるのね。ロケ現場の病院も有名な所なんでしょ。

安田 僕、お母さんとのお別れのシーンを病院で撮った翌日、朝イチで走ったんですよ。その後、楽屋に戻ったら近くで電信柱の抜き替え作業をやっていたんですね。珍しいからじっと見ていた。そしたら突然気を失って、倒れて頭を打ったらしい。

宮川 ええっ。

安田 それで病院まで運ばれたんですが、そこで「あれ、オレ、昨日ここに来ましたよね」と聞いたら「はい、そうです」って。脳波を調べてもらいました。それで僕もあの町が好きになっちゃった。

倍賞 おかしいなぁ(笑)。

安田 続きがありまして、東京に戻ってペットショップに行ったら、トイプードルがいたんですよ。そこに大垣出身って書いてあって――買っちゃいました。

倍賞 買っちゃったの? 大垣出身の犬。

宮川 ご縁ですねぇ。

安田 いろいろありましたね。今日、ここでロケ現場のことを思い出しながら、ぼんやり思うのは、ありふれた家族のありふれた日常の中に、特別なことが本当にいっぱいあるってことですね。それを普段は見落としている。僕は曼珠沙華に気がつかないし、あんまりアンテナ張ってないな、と思ったけど、この作品は、そうした見落としそうなものを積み重ねていくと、温かい気持ちになれたり優しい気持ちになれたりすることを、説教臭くなく投げかけてくれるんですね。

倍賞 そうね。ニュースってすごい勢いで流れていくじゃない。スピードが速くて、遅い人がどんどん置いていかれる。でもそうじゃない、その中には自分の心を動かされるものや幸せを感じるものがあるよ、ということだよね。体を壊したり死と向かい合ったりした時、ふっと立ち止まって考えるとわかる。この作品はそれを感じさせてくれます。

宮川 もう全てお二人に語っていただいた感じです。僕にはこう見てほしいというのは全然なくて、親孝行してほしいわけでもない。ただこの映画も原作も、死の明るい部分をすごく描いている。悲しみのすぐそばにバカな部分があったり雑念があったりする。そこもとても大事だと思っていて、見ていただきたい所ですね。

「週刊新潮」2019年2月28日号 掲載

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cat_oa-rp35774_issue_1d40a192da19 oa-rp35774_0_1622169a7e2a_すき家、くら寿司、バーミヤン… 中国を笑えない「バカ店員動画」なぜ蔓延? 1622169a7e2a

すき家、くら寿司、バーミヤン… 中国を笑えない「バカ店員動画」なぜ蔓延?

2019年2月23日 08:01 デイリー新潮

日本人が道徳を失った「バカ店員動画」への溜息(1/2)

 確かに、無軌道な若者の暴走は数多の小説や映画で重要なモチーフになってきた。だが、ネット上に跋扈する「バカ店員動画」は、若気の至りと呼ぶには程度が低すぎやしないか。これが日本人から道徳が失われた末の流行病だとすれば、もはや溜息しか出てこない。

 ***

 たとえば、カラオケチェーン「ビッグエコー」のバックヤードでは、男性店員が両手に掴んだ鶏肉をグリグリと床に擦りつけ、そのままフライヤーに放り込んで唐揚げを作り始める。

 牛丼の「すき家」では、店員同士がお冷に入れる氷を投げつけ合い、おたまを股間にあてがう素振り。

「くら寿司」の場合は、板前が捌いたばかりの魚をゴミ箱へポイッと投げ捨てたかと思えば、まもなくゴミ箱を漁って魚を取り出し、素知らぬ顔で再びまな板に載せてみせた。

 さらに、2月10日に謝罪へと追い込まれた「バーミヤン」のケースでは、エプロン姿の店員が燃え盛る中華鍋に頭を突っ込み、口に咥えたタバコに火をつける。そして、鍋を振りながらプカーッと紫煙を吐き出すのであった。

 いずれの動画も10秒ほどの短い内容で前後の経緯は不明だ。しかし、動画を目にした誰もが抱く感想は、「あんな店員が働いている店で絶対に食事などしたくない!」だろう。

 食中毒が続発した「毒餃子事件」や、便器を擦ったブラシでコップを洗う五つ星ホテルなど、職業倫理や衛生観念を無視したふるまいと聞いて頭を過るのは中国だったはず……。しかし、当の日本人が冒頭に示した有り様では、まさに目クソ鼻クソ。とても中国を笑えたものではない。

4年周期説

 まもなく平成が幕を閉じようとする折も折、なぜか氾濫し続ける「バカ店員動画」。そもそも、ネット上での悪ふざけ投稿が最初に取り沙汰されたのは2013年のことだった。

 ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が振り返る。

「この年の夏は記録的な猛暑でした。そのせいで外出を控えていた学生たちが“どうだ、面白いだろ?”とツイッターに悪ノリ写真を載せて楽しむようになった。これが“バカッター”騒動の始まりです。彼らはツイッターを携帯メールと同じコミュニケーションの道具と考えていて、バカなツイートを投稿するのはあくまでも仲間内のウケ狙い。それがネット上に拡散して大炎上するとは思いもしなかったはずです」

 スーパーに置かれたアイスクリーム用の大型冷凍庫に学生が寝そべったり、宅配ピザ店のアルバイトがピザ生地を自分の顔面にベッタリと張りつけたり――。

 と聞けば、当時の騒ぎを思い出されるだろうか。

 巻き添えを喰った企業は謝罪に追い込まれ、当の学生たちには「退学」処分が下されることもあった。

 結果、ひとまず沈静化したバカッター騒動だが、

「17年に入って再びブームに。その時、私は“バカッター4年周期説”を唱えました。身元がバレた学生に厳しい処分が下り、また、学校から厳しく注意されたことで、その世代はひとまずおとなしくなる。しかし、4年が経つと、騒動を知らない世代が入れ替わりにスマホを持つようになって再燃するというわけです。ただ、結果的にこの予想はハズれ、17年から2年後の今年“バカ動画”騒動が巻き起こりました」(同)

「ゆとり世代」と重なる

 では、マトモな大人ならば誰もが眉を顰めるような「バカ動画」が、なぜこれほど蔓延しているのか。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏によれば、

「今回の騒動で炎上しているのは“動画”ばかりです。その意味で、ここ数年の間にインスタやTikTokといった動画アプリが流行し、誰もが手軽に動画を編集・投稿できるようになった影響は大きい。また、かつては高価だったスマホも、10代の若者でも手が届く廉価な中古品が出回るようになりましたからね」

 加えて、下品かつ過激な動画を「積極的に探して晒すことで、リツイートやフォロワーの獲得を目論む連中もいる」(中川氏)という。

 かくして、バカ動画が猛威を振るう土壌は整ったワケだが、それに興じる若者にはある共通点があった。

 そう、彼らの多くは「ゆとり世代」なのだ。実は、ゆとり世代の成長過程と、バカッター・バカ動画の流行は奇妙に符合する。

 13年のバカッター騒動は、ゆとり教育が導入された02年に小学生だった生徒が高校、大学に進学したタイミングと一致。そして今年、バカ動画を生み出した15歳以上の若者は、ゆとり教育を受けたことのある最後の世代に重なる。悪名高きゆとり教育は、子どもたちの学力だけでなく、道徳心までも奪い去っていたことになろう。さらに、井上氏が続けるには、

「バカ動画を投稿したのは、最初に買い与えられた携帯電話が“スマホ”だった世代でもあります。幼い頃からSNSを通じて人間関係を築いてきた彼らは、何よりも“ノリの良さ”を重視する。過激な動画を投稿する友人を諫めれば、“ノリの悪い奴”“陰キャ”と認定され、コミュニティから村八分にされてしまう」

 SNSと現実世界が直結している彼らは、学校での悪ふざけと同じ感覚でバカ動画を量産してしまう。その行為が招く当然の結果すら予見できないほどのバカが増えたということだ。

(2)につづく

「週刊新潮」2019年2月21日号 掲載

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cat_oa-rp35774_issue_1d40a192da19 oa-rp35774_0_e207903592df_「大坂なおみ」も知らないファミリー・ヒストリー 母方のルーツに北方領土 e207903592df

「大坂なおみ」も知らないファミリー・ヒストリー 母方のルーツに北方領土

2019年2月23日 08:00 デイリー新潮

「大坂なおみ」も知らないファミリー・ヒストリー 曾祖母が自伝に綴ったソ連兵「北方領土」収奪の日(1/2)

「黒」なのに勝手に「白」にされる騒動に見舞われた大坂なおみ(21)。言うまでもなく、彼女の父親はハイチ系であり、母親は日本人。そして母方のルーツを辿ると、日本外交最大の懸案のひとつである北方領土問題に行き着くのだった。意外な大坂家の歴史を繙(ひもと)く。

 ***

 山口瞳は自身のルーツに徹底的にこだわり、シドニィ・シェルダンは身内でかためた企業の裏切りの内幕を題材に、同名の小説をものした。

『血族』

 良くも悪くも人は「血の呪縛」から逃れられず、自らの来し方に思いを馳せる。そして、よその家との彼我の差を気にしてみたりする。

 大坂なおみ。言わずと知れた、日本が誇るスポーツ界最大のスターだ。彼女は一体どんな家系のもとで育(はぐく)まれてきたのか。以下は世界一の女性を生み出した大坂家の、「拳銃」と「妾(めかけ)」の悪夢をくぐり抜けてきた壮絶なファミリー・ヒストリーである――。

「北方領土の日」だった2月7日、東京の国立劇場では北方領土返還要求全国大会が開かれていた。安倍晋三総理も出席した同大会では、ひとつの「異変」が起きていた。それは安倍総理の挨拶の言葉に表れていた。

「領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針のもと、交渉を進めていく」

 昨年まで強調されていた「4島の帰属の問題を解決」という言葉が、慎重に避けられていたのだ。国会答弁でも安倍総理は「我が国固有の領土」「不法占拠」という表現を使わなくなっている。北方領土問題の解決を焦り、プーチン大統領に足元を見られた安倍総理がロシア側に「配慮」しているためだという……。

 ソ連(当時)によって文字通り不法占拠された我が国固有の領土を取り戻すのに、なぜ「配慮」しなければならないのか理不尽さが募る。その上、いわゆる2島“先行”返還論が跋扈(ばっこ)し、4島返還は「高嶺の花」となりつつある。それどころか、結局、プーチンに騙され一島も返ってこないのではないかとの憶測も飛び交う。日本国民の思いはまたしても踏みにじられるのではないか、元島民の切実な思いはいつ結実するのか。

 そんな不安が渦巻く平成最後の年の冬。実はその不安と「大坂家」は無縁ではない。いや、一家は北方領土問題の「当事者」とさえ言えるのだ。

「母の大坂みつよは生前、『勇留(ゆり)島へ帰れたら、こぢんまりとした家を建てて、海を眺めながらゆっくりしたいもんだ』と言っていました」

 こう語る河野(かわの)良子さん(71)は大坂なおみの祖父の妹、つまりなおみの大叔母にあたる。

「4島返還を主張し続けるべきなのか、2島先行返還に切り替えるべきなのか、母が生きていたら意見を聞いてみたかったですね」

 今をときめく大坂なおみの「ルーツ」は北方領土の歯舞群島のひとつである勇留島にあったというのだ。ここで大坂家について、改めて振り返ってみることにする。

曾祖母の自伝

 なおみが活躍する度(たび)にワイドショーに出演し、好々爺然とコメントする祖父の大坂鉄夫さん(74)の姿はお馴染(なじ)みになっているが、彼は北海道の根室漁協の組合長を務めている。その娘の環(たまき)さん(48)と、ハイチ系米国人のレオナルド・フランソワ氏(52)との間の次女がなおみだ。ここまでは広く知られた話である。

 今回さらに大坂家のファミリー・ヒストリーを掘り下げるわけだが、前出の良子さん(六女)、そして鉄夫さん(次男)の母親が、勇留島に帰りたがっていたという大坂みつよさんだ。なおみの曾祖母にあたる。

 2004年に94歳で亡くなったみつよさんは11人の子供を出産し、漁業関係者の間では「大坂のかあさん」と呼ばれ、その豪傑ぶりで鳴らした。それもそのはず、彼女は苛烈な体験を経(へ)て生き延びた、北方領土の元島民だったのである。

 みつよさんが残した自伝『勇留島に萱草(かんぞう)の花が咲く頃』(以下、自伝)によると、彼女の実家はもともと根室で雑貨店を営んでいたが倒産し、家財道具に赤い紙を貼られて差し押さえられ、一家は逃げるように勇留島に移住する。1921年のことだった。

〈もちろん電気もないランプの生活。/入り口には戸がない〉

〈火の気のない夜は、息が凍って布団の襟に霜がガチガチになっている〉(いずれも自伝より)

 といった具合に、一家は極寒での貧しい生活を強いられた。

「セーターの糸をほどいてそれを湯気にあてて、また他のものを編み直したと母から聞きました。島では毛糸が貴重品だったから、何度も再利用していたんでしょうね」(良子さん)

“海に入って死のう”

 こうした苦しい暮らしをしながらも、

〈あの赤紙事件(注・差し押さえのこと)以来私の気持の中には「今に見ておれ、きっと仇をとってやる」というきもちがずーっとあった〉(自伝より)

 というみつよさんは、一家の生計を支えるために、

〈私が櫓を押して海に出るんです。/(中略)海老とかカレイとかコマイなどの小魚類を刺し網を使ったりして獲りました。19歳くらいまで毎日毎日そんな生活の繰り返し〉(同)

 みつよさんの長女の三浦幸子さん(88)が振り返る。

「病院に行くにも、根室から来る定期船を待たなければならず、それも冬になると海が凍って途絶える。雪と氷に閉ざされる11月から2月までは、家に籠(こ)もりっきりの生活でした」

 そんな厳しい日々を送りながら、「今に見ておれ」精神で、みつよさんたちは勇留島でも島唯一の雑貨店を開業。どうにか軌道に乗ったところで終戦を迎える。

「島にはラジオのある家がほとんどなく、母(みつよさん)は玉音放送を聞きに行き、帰ってきて戦争に負けたと教えてくれました。続けて母は、『殺されるかもしれないから、その前に皆で数珠つなぎになって海に入って死のう』と言いました。ソ連兵に殺されるくらいなら、その前に自分たちで……そう思っていたんだと思います」(同)

 一家心中まで考えたというみつよさん。実際、戦後に待ち受けていたのは、ソ連兵による恐怖だった。

(2)につづく

「週刊新潮」2019年2月21日号 掲載

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cat_oa-rp35774_issue_1d40a192da19 oa-rp35774_0_78ac4497334c_「べッキー」結婚公表の吉凶 日テレ2番組出演のウラで起きた意外な出来事 78ac4497334c

「べッキー」結婚公表の吉凶 日テレ2番組出演のウラで起きた意外な出来事

2019年2月23日 07:31 デイリー新潮

ネット上では非難囂々

 ベッキー(34)の結婚を伝える新聞記事に、漠然とした疑問を覚えた方はおられるだろうか?

 ***

 例えば日刊スポーツは2月14日、「ベッキーが巨人片岡コーチと結婚」の記事を掲載した。書き出しは以下のような具合だ。

《タレントのベッキー(34)が13日、巨人片岡治大(やすゆき)2軍内野守備走塁コーチ(35)と結婚したことを自身のSNSで発表した。関係者によると、キャンプイン前の今年1月に婚姻届を提出し、すでに新居も構えているという》

 記事には「自身のSNSで発表」とある。ここがピンポイントで気になった方は、よほどの芸能通かもしれない。民放キー局の関係者が打ち明ける。

「正月など、確かにSNSで結婚を発表する芸能人も増えてきましたが、今でも所属事務所が発表するのが基本です。ネット時代とはいえ、夫婦連名のコメントをFAXで流すことも珍しくありません。ところがベッキーさんの場合、自身のインスタグラムなどに『先日、読売巨人軍内野守備走塁コーチの片岡治大さんと結婚いたしました』と書き込んだのです。ベッキーさんは、自分で結婚を公表したことになります」

 このキー局関係者によると、ベッキーの所属事務所であるサンミュージックも、夫の勤務先である読売巨人軍も、SNSでの発表は“寝耳に水”だったという。

「芸能事務所であるサンミュージックが結婚発表をコントロールしたいのは当然ですが、巨人軍も原辰徳監督の新体制がスタートしましたので、やはり発表の時期は、しっかり把握したい意向だったそうです。実際、1月に結婚してから、2月までは伏せられていたわけです。ところが最終的にベッキーさんは、彼女の独断でSNSによる発表に踏み切った。彼女は“大勝負”に出たわけで、これには、やはり理由があります」(同・関係者)

 2016年に不倫スキャンダルが報道されてからの3年間、ベッキーは常に“完全復活”を目標としてきた。例えば不倫報道から約3か月が経過した16年5月、「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBS系列)に出演したことは記憶に新しい。

「中居正広さん(46)が復活を応援し、番組プロデューサーを動かして出演が実現しました。ところが、世論は彼女の謝罪を受け入れず、逆に猛烈なバッシングが起きてしまいました」(同・関係者)

 次の大きなチャレンジは翌17年の大晦日。ベッキーは「絶対に笑ってはいけない アメリカンポリス24時!」(日本テレビ系列)に出演した。不倫騒動を起こした“禊ぎ”として、タイ式キックボクサーに蹴られる内容が放送されると、こちらも反響だけなら極めて大きかった。

 ベッキーの“プロ根性”が称賛されるというより、女性を蹴るという演出を「あまりにも暴力的」と反発する視聴者も少なくなかった。ネット上では「復活のためには、ベッキーはこれほどの屈辱を甘受しなければならないのか」という同情論さえ飛び出す始末。

「復活を狙った番組出演は、いずれも失敗に終わりました。それでもベッキーさんは地道な活動を続け、地方局も含めて、徐々にテレビ出演が増えてきています。そして彼女のもとに、再び復活を狙える機会が訪れました。1月30日と2月6日の『ヒルナンデス!』と、2月10日の『行列のできる法律相談所』に出演を果たしたのです。いずれも視聴率トップを走る日テレ系列。ベッキーさんにとっては、またとないチャンスが到来したのです」(同・関係者)

日テレで猛威を振るった抗議電話

 蓋を開けてみると、3番組はいずれも視聴率が好評だった。ビデオリサーチが調べた関東地区の視聴率は、1月30日の「ヒルナンデス!」が6.0%、2月6日の「ヒルナンデス!」が7.2%。「行列のできる法律相談所」に至っては17.0%を記録した。

「キー局の地上波番組、それも人気の高い『ヒルナンデス』や『行列のできる法律相談所』にゲスト出演を果たし、なおかつ視聴率も好調でした。ベッキーさんは、今こそが結婚を発表すべきタイミングと見たのでしょう。ご存知の通り、女性芸能人にとって結婚は、新しい仕事を切り開く、重要なターニングポイントの1つですからね」(同・関係者)

 芸能界は浮き沈みが激しい。たとえスキャンダルが皆無でも、グラビアアイドルや女性芸人が一過性のブームで消えていくことは珍しくない。だが、結婚が報道されると再び脚光を浴びるケースも非常に多い。“良妻”というイメージが、仕事の後押しになるわけだ。ベッキーが狙うのも、その戦略だという。

「日テレで視聴率の“実績”を出したわけです。ベッキーさんは『これなら他局からも出演オファーは来る』と判断したに違いありません。その上での結婚発表、というわけです」(同・関係者)

 2月13日の水曜に発表したのも、視聴率と関係があるそうだ。

「2月9日の土曜から、11日月曜までは3連休でした。そのため12日の火曜に『行列のできる法律相談所』の視聴率が発表されたのです。ベッキーさんは17.0%の数字をしっかり把握して、結婚の発表に踏み切った可能性があります」(同・関係者)

 これほど冷静でなければ、芸能界では生き残れないのだろう。しかしながら、まさかの“策士策に溺れる”という結果だったようだ。日テレ側は、ベッキーが稼いだ視聴率を評価していないという。

「実は、ベッキーが日テレに出演すると、相当な抗議電話が殺到したそうです。件数は数百件レベルと聞いています。大半が『なぜベッキーを出演させるんですか!? もう日テレは見ません!』という苦情でした。報告を受けた日テレ上層部は『まだしばらくは、ベッキーを出演させないほうがいい』と判断したようですよ」(同・関係者)

 それでは最後にツイッターで「ベッキー 結婚」と検索した結果をご紹介し、この記事を終えることにしよう。引用文のうち改行は省略した。

《巨人片岡、よく平気で不倫できる女と結婚するし、ベッキーもよく他人の家庭ぶっ壊しといて幸せですとか言えるよな。マジでクソ。この世から消えてくれ》

《ベッキーの結婚を祝えないヤツは精神の状態がどーたら、器の大きさがこーたら…って善人ぶってるヤツらは、どうせ全員自分が、絵音の奥さんの立場ではなかったヤツら。痛みを味わってない奴らが偉そうに知ったかぶるな。分からないなら、せめて黙れよ》

《ベッキーの結婚って、みんな祝福してるんだ。1人の女性の人生めちゃくちゃにしたくせに、おめでとうって言えるんだ。幸せになる権利云々言ってる人もいるけど私はそうは思わない。メディアもあんなに批判してたのに、おめでとうございますってなんなの。不倫された側の気持ち考えて》

 これが世論において、相当数を占めている“本音”らしい。確かに、ベッキーの完全復活を阻むハードルは、依然として高そうだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月23日 掲載

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cat_oa-rp35774_issue_1d40a192da19 oa-rp35774_0_71042818a566_3年連続赤字「AbemaTV」の帯番組が“消滅”? ネットテレビはいまだ暗中模索 71042818a566

3年連続赤字「AbemaTV」の帯番組が“消滅”? ネットテレビはいまだ暗中模索

2019年2月23日 07:00 デイリー新潮

「新しいマスメディアを作る」との掛け声のもと、サイバーエージェントとテレビ朝日がネットテレビ局「AbemaTV」が開局したのは2016年4月のことだった。サイバーエージェントの藤田晋社長の肝煎りとされるこの事業については、長らく不振が伝えられてきた。そして3年が経とうという今、とうとう開局当初からの帯番組が減ってしまうというのだ。

 ***

「72時間ホンネテレビ」で元SMAP3人が登場したり、テレ朝の小川彩佳アナが「報道ステーション」から“移籍”したりなど、配信するコンテンツが注目されていないワケではない。にもかかわらず、AbemaTVは開局以来“先行投資”のターンが続き、3年連続の赤字を計上している。

「テレビが見たければテレビを観るし、ネットならSNSやYouTubeなど“暇つぶし”のライバルが多い。結局、ネットでAbemaTVを見るという習慣がなかなか根付いてくれないんでしょう。コストの面でも指摘がありますね」(芸能記者)

 2年ほど前に藤田社長が明かしたところでは、サーバー代だけで月数千万円。これで“全体コストに対する比率は3%程度”とのことだったから、いかに金喰い虫かがうかがえるといえる。

 とはいえ、「東洋経済」(19年2月9日号)のインタビューに登場した藤田社長は、「1千億円くらい赤字を出すことを想定しています」「(平均視聴者数)700万人も見ているなら、高収益の事業にすることはできる」とあくまで強気だった。その一方、サイバーエージェントの18年9~12月期の通年利益予想を300億円から200億円に下方修正した際には、ブログを更新し、

〈先行投資中のAbemaTVだけでなく、広告事業もゲーム事業も、さらなる成長の好機とみて、新規事業を立ち上げ、どんどん人を採用し、広告費を増やしと先行投資を膨らませていました〉(1月30日付投稿)

 と真っ先に「AbemaTV」の名を挙げているのだ。

 だが、社長の熱意とは裏腹に、現場からはこんな嘆息が聞こえてくる。

「16年4月の開局翌日から放送している『The NIGHT』という番組があります。これは月曜から土曜の深夜帯に配信される帯番組なのですが、近々、帯じゃなくなるんです。当初局内で流れたのは“土曜日の放送が消滅する”という噂でした」(AbemaTV関係者)

降板になるのは

「The NIGHT」は、曜日替わりでMCが代わる生番組で、月曜はスピードワゴン、火曜は矢口真理、水曜はライムスターの宇多丸、木曜はプロレス団体のDDT、金曜日はどぶろっく、そして土曜日はカンニングの竹山だ。土曜の放送がなくなるということは、竹山が番組消滅の憂き目にあうのかと思いきや、さにあらず。

「土曜日を金曜日に移す、つまりどぶろっくさんが降板し、竹山さんが金曜回を担当するという計画です。どぶろっくさん、今年1月に、元SKE48の柴田阿弥とMC交代したばかりだったんですけれどね……。もっとも、そのあと事情が変わったのか、土曜日はそのまま竹山さん、金曜日が『The NIGHT』じゃない番組になるみたいです。どちらにせよどぶろっくさんはMC降板のようですが」

 つまり“月火水木土”の形になるというのだ。さらには、現在23あるチャンネルの“異変”についても触れる。

「3月いっぱいで、ゲームチャンネルの『ウルトラゲームス』がなくなります。これはゲーム実況などを配信する番組なのですが、ストリートファイターの世界大会のため海外に赴くなど、制作コストがネックとされてきました。これまでも“鉄道”チャンネルや“ペット”チャンネルなど、スタートしては消えたチャンネルは珍しくありません。とはいいつつ、『ウルトラゲームス』は、昨年1月に始まったばかり。昨今はe-sportsがブームのはずなのですが、それにも乗れなかったワケで、迷走していますよ」

 この関係者曰く「視聴者が多いのは麻雀チャンネルと恋愛リアリティーの番組ばかり」なんだとか。AbemaTVに聞いてみると、まず『TheNIGHT』については、

「『どぶろっくの金曜TheNIGHT』につきましては、どぶろっくさんが出演した『シモネタGP2018』にて、優勝し獲得したAbemaTVの番組MC権をもって期間限定で担当されていたため、開始時期から予定していた通り、3月末で終了予定です」

 という答え。金曜日はどうなるのか、『ウルトラゲームス』については、

「4月以降の編成については、4月クールから始まる新番組や、3周年の特別番組を含めて現在検討中となります。新編成に関する情報は3月より順次発表させていただく予定です」

 AbemaTVの手探りはしばらくつづくか――。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月23日 掲載

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cat_oa-rp35774_issue_1d40a192da19 oa-rp35774_0_5946b639bac1_内山理名が「フルーツ宅配便」で“薄幸のデリヘル嬢”を好演 事務所の看板女優復活? 5946b639bac1

内山理名が「フルーツ宅配便」で“薄幸のデリヘル嬢”を好演 事務所の看板女優復活?

2019年2月23日 06:50 デイリー新潮

 開き直ったテレ東ほど怖いものはない――と誰が言ったか知らないが、今クールの深夜ドラマで最もオススメなのが、金曜深夜の「ドラマ24」枠で放送されている「フルーツ宅配便」だ。派遣型風俗、いわゆるデリバリーヘルス(デリヘル)で働かざるを得ない男女を描く異色作で、初回(1月12日放送)のゲストが内山理名(37)。借金まみれでDV被害者のシングルマザーと、これぞ内山と呼べる演技で、ドラマ自体も勢いづいた。そして彼女自身も所属事務所の看板女優として復活の兆し、なんて声も聞こえてきて――。

 ***

 ドラマ「フルーツ宅配便」は、「ビッグコミックオリジナル」で連載中の同名マンガが原作。東京で就職したものの、会社が倒産して故郷に帰ってきた咲田(濱田岳)が、知り合いのミスジ(松尾スズキ)とたまたま再会したことから、彼の経営するデリヘル「フルーツ宅配便」で店長見習いとして働くことに。そこには、ミカンやイチゴ、レモンといった、フルーツの源氏名を持つ女性達がいた。

 深夜ドラマとはいえ、風俗の世界を実写化するのはなかなか難しい。しかも、その監督には、“怒りの映画監督”こと若松孝二に師事し、「凶悪」(2013年)や「日本で一番悪い奴ら」(16年)、「孤狼の血」(18年)、「止められるか、俺たちを」(18年)といったワイルドな作品で定評がある白石和彌も名を連ねている。

 これを「孤独のグルメ」や「バイプレーヤーズ」などの枠である「ドラマ24」で流しているのだ。

「テレ東も相変わらず冒険してますね。けれど、これが面白いと業界でも評判なんです」(他局ディレクター)

 その初回のゲストが内山。夫からのDVで、就寝中に熱したアイロンを顔面に当てられて顔の半分を大ヤケド。おかげで離婚はできたが、まだ小さい娘を抱えながら、夫の借金まで背負い込むハメに。そこでデリヘル嬢として働く決心をして「フルーツ宅配便」にやって来る。“ゆず”なる源氏名で働き始めるも、いくらワンレンのロングヘアでヤケドを隠したところで、すぐにバレてチェンジの繰り返し。稼がねばならない彼女は、禁じられている“本番”サービスで客を食い止める――という役柄なのである。

「あの内山理名ですよ。最近は連ドラ主演も滅多になく、17年にNHKの『マチ工場のオンナ』は地上波で10年ぶりの主演を務めたくらいです。とはいえ、2000年代初頭まではドラマでバリバリの清純派として活躍していましたからね。それが、よりによってテレ東でデリヘル嬢役なんて……と思って見てみたら、いいんですよこれが。シングルマザーのデリヘル嬢という役どころに、リアリティがあるんです。以前から、元カノ役とか、嫉妬に狂う女とか、心に闇を持ったちょっと重い役が多かったですからね。彼女には薄幸な女性が似合う……」(同・他局ディレクター)

 内山にしてみたら、褒められているのか貶されているのか戸惑うような評価だが、そこは彼女自身にも思い当たるところがあるようなのだ。

事務所の看板として復活

 17年の主演映画「ゆらり」で演じたのもシングルマザー役だったのだが、公開前のイベントに出た際、こう語っていたのだ。

「なぜか普段からシングルマザー役が多い。幸せな役をあまり演じたことがない……」

 ドラマや映画のプロデューサーも似合うと思っているからこそ、彼女をキャスティングするのだろう。

「顔も綺麗で、アラフォーにしては劣化していません。ただし、今風ではないですからね。主役でなく、お岩さんのように哀愁を漂わせつつ、脇から出て来るのがハマる。そして全てをさらっていく、今回のデリヘル嬢のような役が最も彼女の演技力が活かされるところかもしれません。肌の露出はそれほどでもなかったのですが、デリヘル嬢もできるとなれば、映画などのオファーも増えるかもしれません。そうなれば、所属事務所の看板女優としても復活するかもしれません」(同・他局ディレクター)

 所属事務所は、名物女社長が自らスカウトに出かけることでも有名な会社だ。

「その社長に思い切り目をかけられたのが内山で、事務所の公式HPの所属タレント欄には今も彼女がトップで紹介されています。その後、堀北真希や黒木メイサ、桐谷美玲などが売れたことで、内山が看板といわれることはなくなりましたが、堀北は山本耕史と結婚して引退、黒木も赤西仁と結婚・出産で半ば休業状態、桐谷も昨年夏に三浦翔平と結婚してからドラマや映画の仕事は入れていません。これを機に、看板女優としてまた仕事が舞い込むかもしれません」(同・他局ディレクター)

 所属事務所の売れっ子女優が俳優と結婚するパターンが多いようだが、内田も吉田栄作との交際が持て囃されている真っ最中だ。

「現在、業界では“吉田のアゲ○○説”もありますからね。彼女も結婚を意識する年頃でしょうし、実生活では幸せになりたいでしょう。ただ、社長への恩義も忘れていないと聞きます。それもあって、デリヘル嬢役も演じきったのかもしれません」(同・他局ディレクター)

 話題のデリヘルドラマ、第2話のゲスト・デリヘル嬢は“モモ”こと成海璃子(26)で、これまた評判が良かった。どれも見逃したという方、全11話中、まだ5話が残っている。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月23日 掲載

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cat_oa-rp35774_issue_1d40a192da19 oa-rp35774_0_1e0758fb874b_「いきなり!ステーキ」米国進出大苦戦で囁かれる“国内拡大路線”の赤信号 1e0758fb874b

「いきなり!ステーキ」米国進出大苦戦で囁かれる“国内拡大路線”の赤信号

2019年2月23日 06:31 デイリー新潮

NYで11店のうち7店を閉店

 共同通信は2月15日(電子版)、「『いきなり!ステーキ』米で苦戦 本場で厚い壁、6割を閉店」との記事を配信し、大きな注目を集めた。

 ***

 記事では《ニューヨークにある11店のうち6割超に当たる7店を閉店すると発表した。残る4店のうち2店を業態転換する》と報道。

 原因として、《米国ではステーキは特別な日に食べるというイメージが強く、同社が提案した「ステーキを手軽に楽しむ」という文化は広がらなかった》と指摘した。

 朝日新聞(電子版)も同日に「NYで『いきなり』閉店 ステーキ本場で苦戦」と報じ、記事では《価格や立ち食いの手軽さといった特徴も日本ほどは浸透しなかった》と結論づけた。

 つまり、どちらの記事も「低価格帯がニューヨークの消費者に評価されなかった」と解説したわけだが、本当にそうなのだろうか。

「いきなり!ステーキ」がアメリカから撤退する可能性さえ出てきたからこそ、さらに興味深い過去記事がある。「DIAMOND online」が昨年9月3日に掲載した「『いきなり!ステーキ』の米国進出、快進撃の裏に透ける悪戦苦闘」だ。

 タイトルには「快進撃」とあるが、記事自体は、かなり厳しいトーンで書かれている。最も重要な部分を引用させていただく。

《4月に米国でチェーンに対する評価を調査した。味やサービスに問題はなかったが、客が最も不満に感じていたのが価格であった。

 肉を注文しに自分でカウンターに行く「オーダーカット」のシステムなどがあり、客にとって同店はファストフードの位置付け。それに対して価格が高いというのだ。

 6月に実施した値下げキャンペーンが大好評だったこともあり、7月からは恒状的な値下げを断行した》

 共同も朝日も「低価格帯が評価されなかった」と報じた。確かに「DIAMOND online」の記事も「客が不満を感じていたのは価格」と記載されている。確かに似ているが、意味することは全く違う。

 ニューヨークの消費者は「『いきなり!ステーキ』は安いはずなのに、割高感がある」と判断したのだ。安値が忌避されたのではなく、日本風に言えば「コスパが悪い」と不評を買ったのだろう。

 こうなると、「いきなり!ステーキ」のアメリカにおける“大苦戦”は、対岸の火事とは言えなくなってくる。国内の店舗でも値上げにより、誕生当時の“コスパ抜群”な価格設定ではなくなっている。

「いきなり!ステーキ」のオープンを伝えた記事の1つに、共同通信が13年11月に報じた「ペッパー、銀座に立食ステーキ 1グラム5円の量り売り」がある。書き出しは以下の通りだ。

《外食大手のペッパーフードサービスは25日、立食形式の新たなステーキ専門店「いきなり!ステーキ」を、12月5日に東京・銀座4丁目に出店すると発表した》

 この記事で重要なのは価格だ。まず《リブロースステーキを1グラム5円(税別)で量り売りする。ただし、当初の注文は300グラム以上で受ける》と書かれている。

 次に《ランチは300グラムのステーキセット、ハンバーグセットを各千円(同)で提供する》と紹介されている。

 要するにオープン当初、「いきなり!ステーキ」はリブロースステーキ300グラムを税抜き1500円(税別。以下同)で販売していた。だが、現在の公式サイトを見ると、1グラムは6.9円だ。300グラムは2070円。最初の価格と比較すると、値上げ率は3割を超える。

 ランチのメニューで、創業時に近い価格はハンバーグだ。共同の記事には1000円とあるが、ライス、サラダ、スープ付きで現在も1100円という価格設定になっている。

 一方、共同が書いた「ステーキセット」だが、正式名称は「CABワイルドステーキ」という。やはり、ライス、サラダ、スープが付いて300グラム1390円。記事の1000円と比較すれば、やはり値上げ率は3割を超える。経済担当記者が言う。

「『いきなり!ステーキ』は2月の13日から15日までの3日間、『出店通算400号店達成記念』とする『ワイルド祭り』を開催しました。CABワイルドステーキの300グラムを1000円で販売したんですね。ネット上では“久しぶりに『いきなり!ステーキ』で行列が復活していた”との書き込みも見受けられました。ネットに伝えられた光景が事実だとしたら、やはり『いきなり!ステーキ』が値上げで人気を落としていったことは間違いないとみていいでしょう」

ペッパーフードも赤字に転落

 2月14日には「ペッパーフードが8年ぶり赤字」(共同通信)とも報じられた。記事によると《2018年12月期連結決算は、純損益が8年ぶりの赤字》だったのだ。

 一方、ニューヨークの日本語新聞「週刊NY生活」(電子版)は同日に「7店舗閉店決定のいきなりステーキ米国川野社長本紙に語る」の記事を掲載した。

 この記事によると、「いきなり!ステーキ」側は「第1ラウンドは破れたが、第2ラウンドでまた闘う」と表明。アメリカからは撤退しないとし、ニューヨークに「ペッパーランチ」を出店するほか、ラスベガスに新店舗をオープンさせるなどの計画を発表している。

 まだまだペッパーフード側は強気というわけだが、この経営判断を専門家はどう見ているか、フードサービス・ジャーナリストの千葉哲幸氏に訊いた。

「発表された『いきなり!ステーキ』の1月上期の客数は“全店”で前年同期比164.3%です。一見すると好調に見えますが、オープンして15か月が経過した“既存店”では81.4%にとどまりました。出店当初は人気を呼んでも、1年が過ぎると売上・客数・客単価が下落するという問題点は改善されていません」

 ペッパーフードサービスを経営するのは一瀬邦夫社長だ。一瀬社長はニューヨークに進出した際、「全米1000店舗展開を目指す」と高らかに宣言していた。

「一瀬社長は“情熱”を前面に出す経営者です。かつて、『「ペッパーランチ」と「いきなり!ステーキ」で全国1000店舗まで広げていくのが夢』と発言しておられます。スケールの大きな発言に魅了される人も少なくないでしょう」

 とはいえ、現実は厳しいと言わざるを得ない。

「今回の縮小で全米1000店舗の実現性が疑問視されるようになり、更に国内での1000店舗も黄信号が点ったのではないでしょうか。今の『いきなり!ステーキ』は客単価が2000円を超えます。これほど高額な客単価で1000店舗を展開できた企業は、外食産業では居酒屋チェーン以外例を見ません。居酒屋は時間消費型の側面がありますが、『いきなり!ステーキ』はおしゃべりを楽しむという店ではありません」

 千葉氏は「新規出店の速度を見直す必要があるか、検討に入るべきでしょう」と分析する。

「立ち上がりの『ステーキが1500円で腹一杯食べられる』というコンセプトの素晴らしさが、今の苦境で余計に浮かび上がるようになってきました。その点から個人的に気になるのは、都内でも店舗によって客数にばらつきがある点です」

 千葉氏によると、例えば新宿区の店舗は現在でも行列ができているが、台東区の店舗は来客数が少ないという。

 これと共通するのが、ネット上で、“アンチ・「いきなり!ステーキ」派”の書き込みが目立つことだ。多い感想は「ランチのステーキは肉が固く、これで1390円は高い」だ。

「『CABワイルドステーキ』が2月13日から15日までの『ワイルド祭り』で1000円に値下げされると客が戻った、とネットに書かれているそうですが、リアリティのある話だと思います。『いきなり!ステーキ』が誕生した際、その価格設定は『庶民の味方』でした。ところがオープンから丸5年が経過し、ランチなら1000円札1枚で足りていたはずが、いつの間にか1000円札と500円玉を出さなければならなくなった。ディナーなら2500円です。こうなると誰もが簡単に出せる額ではありません。気がつくと『いきなり!ステーキ』は、客を選ぶ店になっていた。“裏切られた”と感じたファンも少なくないのではないでしょうか」(同・千葉氏)

 一瀬社長は14年、専門誌「飲食店経営」のインタビューに応じ、店の魅力を以下のように解説している。

《300gを食べても1500円(税別。以下同)。500gでも2500円という圧倒的な価格破壊の値付けだけに、お客さまの感動もひとしおです》

 やはり消費者は正直だ。現在の価格なら、500グラムのリブロースステーキは3450円だ。圧倒的な価格破壊がセールスポイントだったはずなのに、950円の値上げとなっている。

 一瀬社長は“原点”に戻る必要があるようだ。店舗拡大ではない“次の一手”は何か、多くの関係者が注視している。

註:「飲食店経営」の記事名は《特別企画 「肉メニュー」の繁盛する仕組み その(1)「俺の~」シリーズバージョンのステーキハウス誕生 20坪で1日客数380人(東京・中央区)「いきなり!ステーキ」はこうして生まれた》

週刊新潮WEB取材班

2019年2月23日 掲載

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cat_oa-rp35774_issue_1d40a192da19 oa-rp35774_0_e6aa6b197332_日本共産党が「天皇陛下在位30年記念式典」を欠席する本当の理由 e6aa6b197332

日本共産党が「天皇陛下在位30年記念式典」を欠席する本当の理由

2019年2月23日 06:20 デイリー新潮

陛下を政治利用した?

 日本共産党の穀田恵二国対委員長は、24日に予定されている政府主催の天皇陛下在位30年記念式典に党として出席しないことを記者会見の場で明らかにした。現政権が天皇陛下を政治利用している点を問題視してのことだという。

 しかし、もともと共産党は皇室に対して独自の立場を取り続けていたのだから、今回の欠席は“彼ら”としては通常運転。現政権うんぬんというのは、別の意味での政治利用に見えなくもない。

 実際のところ、共産党は皇室をどう位置付けてきたのか。同党の綱領を丁寧に読み解いた『日本共産党の正体』(福冨健一・著)をもとに見てみよう(以下、特に出典を記していない引用は同書より)。

 現在の日本共産党の基本方針を定めたものは「2004年綱領」である。

 この綱領では、戦前の日本について、こう書いてある。

「当時の日本は、世界の主要な独占資本主義国の一つになってはいたが、国を統治する全権限を天皇が握る専制政治(絶対主義的天皇制)がしかれ、国民から権利と自由を奪うとともに、農村では重い小作料で耕作農民をしめつける半封建的な地主制度が支配し、独占資本主義も労働者の無権利と過酷な搾取を特徴としていた(略)

 日本帝国主義は、1931年、中国の東北部への侵略戦争を、1937年には中国への全面侵略戦争を開始して、第2次世界大戦に道を開く最初の侵略国家となった」

この歴史観を福冨氏はこう解説する。

「戦前の日本を天皇の専制政治で国民の権利や自由はなく、農村は半封建社会、労働者は無権利で過酷な搾取を受けていた時代と見ます。司馬遼太郎の『坂の上の雲』が描いた日本、議会制民主主義や政党政治を打ち立て、若者が欧米列強に追い付こうと目を輝かせている国と全く違います」

 ともあれ、戦前、そうした暗黒の大日本帝国から、人民を解放するために闘ったのが我々だ、というのが日本共産党の歴史観である。

「このことを04年綱領の大会報告ではこうも表現しています。

『世界の資本主義諸国のなかでも、もっとも野蛮な抑圧のもとにあった戦前の日本社会で、いかなる搾取も抑圧もない未来社会の建設をめざし、天皇制国家の専制支配と侵略戦争に反対して、平和と民主主義のために勇敢にたたかいぬいた不屈の記録であります』

 つまり、戦前、日本共産党が闘ったことについて、共産党は『平和と民主主義のためのたたかい』だと捉えているわけです。ただし、第三者の目は異なります。立花隆は『この時代の共産党は“武装共産党”と呼ばれるようになった』(『日本共産党の研究』)と記しています」

 歴史をどう捉えるかは、政党でも学者でも個人でも差があるところだろう。別に共産党員ではなくても、戦前を暗黒の時代として、皇室にも責任があると考える人はいるだろう。

 それでは、戦後、現在の天皇制についてはどうか。

「天皇の制度のない……」

 2004年綱領を定めたのは当時の委員長、不破哲三だ。不破の著書『時代の証言』によれば、苦労した点の一つは、天皇制の問題であったといい、「『天皇』という制度の是非は、将来の国民の選択に委ねることにしました」と述べている。

 ちょっと分かりづらいので、天皇制について不破自身の『新・日本共産党綱領を読む』から解説にあたるところを紹介しよう。

「綱領でも述べているように、私たちは、日本の将来の発展の方向としては、天皇の制度のない、民主共和制を目標とする立場に立っています」

「私たちも、当然、天皇の制度と共存してゆくことになります。その共存の基準は、憲法の条項であって、なかでも『国政に関する権能を有しない』という条項を厳格に守ることが、とくに重要な意味をもっています」

 要するに、即時撤廃までは求めないが、最終的には天皇制のない国を目ざしているわけだ。この立場からすれば、在位30年を素直に祝えるはずもない。福冨氏は、次のように警鐘を鳴らす。

「共産党綱領の掲げる天皇制の廃止、自衛隊の解消、資本主義の否定などは、日本の歴史や文化、価値観などと断絶しています。アメリカのトランプ大統領はよく『国家を分断しようとしている』と批判されますが、仮に共産主義を容認する民主連合政府が誕生すれば、アメリカよりはるかに酷い『国家の分断』を招き、多くの国民が戸惑うことになるのではないでしょうか」

 ともあれ無理に、お祝いの席に出てもらわないほうがよいのは間違いなさそうだ。

デイリー新潮編集部

2019年2月23日 掲載

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cat_oa-rp35774_issue_1d40a192da19 oa-rp35774_0_4dd8bcf562fc_「池江璃花子」選手の急性白血病、復帰までの道のりは 祖母は“生きて” 4dd8bcf562fc

「池江璃花子」選手の急性白血病、復帰までの道のりは 祖母は“生きて”

2019年2月23日 05:59 デイリー新潮

〈この度、(略)「白血病」という診断が出ました〉

 競泳の池江璃花子(18)が12日、ツイッターで白血病であることを公表した。

〈私自身、未だに信じられず、混乱している状況です〉

 と綴っている。

 同日、日本水泳連盟が緊急会見を開き、詳しい病状については「お話しできるのは白血病ということだけ」と述べるに止まった。

「白血病には、慢性と急性、リンパ性と骨髄性など、いくつかの種類があります。慢性を患うのはほとんどが年配の人で、若い人に多いのは急性です」

 と語るのは、血液・腫瘍内科を専門とする医師で医療ガバナンス研究所の上(かみ)昌広理事長である。

 白血病といえば、夏目雅子や本田美奈子のような痛ましいケースを連想するが、彼女たちは急性骨髄性白血病だった。だが、池江は、

「年齢を考えれば、急性リンパ性白血病である可能性が高いでしょう。白血病は若いほど治りやすく、逆に年を取っていると治りにくくなる病気です。子どもなら完治が見込まれても、40代から50代だと命を落とす場合も多いのです」(同)

 池江の18歳という年齢を考えると、回復の見込みは十分あるという。

 ただ、会見で出た「早期の発見ができた」「トレーニング中に肩で息をしていた」という点については、

「そもそも発見が初期であるかどうかはさして回復には影響しません。また、“トレーニング中に肩で息をしていた”のは、恐らく貧血症状なので、決して早期発見とは言えません」(同)

復帰まで2年

 上理事長によると、白血病の治療は点滴による抗がん剤治療が主になる。強い薬が大量に投与されるため、脱毛などの副作用もある。さらに、一時的に造血機能が低下するので、身体の免疫機能が極端に低下し、感染症などのリスクが高まる。そのため、衛生環境が保たれた無菌室での生活を余儀なくされる。こうした抗がん剤治療を1カ月おきに4~5回行い、都合、治療は約半年間に及ぶ。

「普通のサラリーマンなら、だいたい1年ほどで元通り回復するともいわれています。しかし、池江さんの場合はアスリート。特に競泳は水の中のスポーツであり、黴菌(ばいきん)に触れる機会も多いので、抗がん剤治療で免疫力が低下した池江さんが競技に復帰するには、かなりの時間がかかるはずです。普通に考えれば復帰まで2年はかかるでしょう」(上理事長)

 残念ながら、2020年東京五輪どころではないのである。しかし、

「24年の五輪であれば完全復帰して競技に挑むことも十分考えられます。ただ、白血病の治療では体力が極端に落ちてしまうため、再び世界的アスリートとして伍していくにはかなりの苦労があるでしょう。簡単に言ってしまえば、白血病治療というのは体を急速に老けさせるようなものなのです。筋力が落ちる、腎臓機能や肝臓機能が低下するなどの後遺症が残る場合もあります」(同)

 池江の祖母が語る。

「水泳なんてやんなくていいから、とにかく長生きして。私より先にいっちゃうなんて、いやだから。いつも“おばあちゃん長生きしてね”って言ってくれるんですよ。東京オリンピック、もうすぐチケットが発売されるでしょ? 当たらなきゃいけないから、100枚くらい買おうかなって思ってた。見たいって友達は連れていってやろうかなって思って。でも、オリンピックなんてもう出なくていい。生きてくれさえすれば」

 願いは誰も同じである。

「週刊新潮」2019年2月21日号 掲載

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