7月22日にスタートした「Go To トラベルキャンペーン」。東京除外により、すでに予約を済ませた利用者のキャンセルが急増するなど、混乱の様相を呈している。複雑でわかりづらいうえに、見切り発車でマイナスイメージがぬぐえないが「仕組みを正確に理解したい」と考えている人も多いはず。高級ホテル・高級旅館専門予約サイト「一休.com」を運営する一休の広報・PR部の宮崎恵一氏に活用法を教えてもらった。
最大で旅行代金の1/2相当額が返ってくる
東京都民のみならず、旅程に東京都内観光が少しでも含まれている場合は支援対象外。つまり、東京都外在住者が東京ディズニーランドに出かけた場合は割引の対象になるが、東京ディズニーランドと東京スカイツリーがセットになったツアーに参加する場合は対象にならない。なんとも複雑で、わかりにくい。
そんな混乱のなか、「Go To トラベルキャンペーン」がスタートした。
「Go To トラベルキャンペーン」とは、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ旅行需要を喚起するために組まれた官民一体型のキャンペーン。キャンペーンに参加する宿泊施設や旅行会社が提供する宿泊プランを利用した際に、旅行代金の1/2相当額が支援される。また、宿泊プランだけでなく、味覚狩りやバーベキューといった日帰りツアーも支援対象。はとバスが実施する「日帰りいちご狩りツアー」のような旅行に参加した場合も割引が適用される。
旅行代金の支援額は「1/2相当」であるが、実はこの点も仕組みが複雑で、わかりにくい。「1/2相当」のうち、7割(35%)相当は旅行代金の割引に、3割(15%)相当は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与される。支援の限度額は合計2万円までと決められているため、旅行代金の最大割引額は7割である1万4000円。残りの3割にあたる6000円分は地域共通クーポンとして受け取ることになる。
このように仕組みが複雑なうえに、開始時期も異なる。支援のうち、旅行代金の割引は7月22日以降の旅行に適用されるが、地域共通クーポンの付与については、いまだ開始時期が決まっていない。
見切り発車ともいえる「Go To トラベルキャンペーン」だが、こうした仕組みを踏まえ、上手に活用するにはどうすればいいのか。高級ホテル・高級旅館専門予約サイト「 一休.com」を運営する一休の広報・PR部、宮崎恵一氏に聞いた。
一休の広報・PR部、宮崎恵一氏「割引額を最大限活用するには、1泊1人4万円の宿泊プランが最も適しています。1万4000円が支援されるため、支払額は2万6000円。旅行の期間中に地域共通クーポンの配布が開始されれば、6000円のクーポンが利用できます。クーポンを食事代や観光施設の入場料などにあてることで、出費を抑えてお得に旅行することが可能です」
とはいえ、「そもそも1泊4万円の宿は高過ぎる」と感じる人も多いだろう。そうした人は、オプション付きのプランを探してみるといい。今回の「Go To トラベルキャンペーン」では、宿泊料金にオプションサービスが含まれていても割引が適用される。
「宿泊プランには、スパ付、夕朝食付、シャンパン付など、さまざまなオプションが付いたプランがあります。オプションの充実度でプランを探すのも賢い活用法といえるでしょう。一休.comでも、宿泊料金に軽食・お酒の代金が含まれたオールインクルーシブの宿が人気を集めています」
コロナ時代に、安全に旅するためには?
旅行に行きたいし、経済の活性化にも貢献したい。そうは思っても、感染防止や周囲への配慮などから旅行に出かけにくいという気持ちもよくわかる。今、求められている旅とはどんな内容なのか?
「最も重要なのは、決められた衛生対策をしっかり守って過ごすことで、安全性を高めることです。そうすることでご旅行中にご自身も周囲も安心感をもって過ごせると思います。できる限り3密にならないよう、人との接点を減らし、距離に配慮しながら旅することが重要ですね。それでいて、ステイホームからの開放感が味わえる。そんなプランを提案していきたいと考えています」
一休・宮崎氏が提案するコロナ時代の“旅のキーワード”は、以下の3つ。東京は除外となったため、関西圏からお薦めホテルもピックアップしてもらった。
①高級シティホテル
「シティホテルはインバウンドのお客様のご利用が減っていることもあり、これまでにないお得なプランを販売しているところも少なくありませんし、広いお部屋で過ごせて解放感も安心感もあるスイートルームが人気のお宿も良いかもしれません。東京は除外されましたが、関西方面ではやはり『ザ・リッツ・カールトン大阪』、『コンラッド大阪』、『セント レジス ホテル』、『インターコンチネンタルホテル大阪』『ホテルニューオータニ大阪』などの王道や、小旅行感を出すなら『アマン京都』、『パーク ハイアット 京都』も狙い目です」
②露付&部屋食
「一休.comでは、“露付、部屋食”の宿の予約が際立って伸びています。露付とは、露天風呂付客室の業界用語。部屋に露天風呂があるため、ほかの宿泊客と一緒になる大浴場を利用する必要がありません。部屋食は、朝食や夕食を自分の客室で味わうプラン。日本旅館ではおなじみのスタイルですが、最近はシティホテルでも部屋食に力を入れているところが増えています。温泉、露付で最高の体験ができるお宿でお薦めは、今年6月にオープンしたばかりの『ふふ 奈良』、カップルやファミリー向けにも使えるリゾートでは『ネスタリゾート神戸 ロイヤルスイート』がお薦めです」
③バケレン
「バケレンとはバケーションレンタルの略語で、貸別荘タイプの宿を指します。元々外国人に人気が高く、日本でも東京オリンピック開催を見込んで、軒数が増えていました。他の旅行者との接触がなく、家族水入らずで過ごせるため、人気急上昇中。一休.comでも高級貸別荘は過去最高の予約数を記録しています。予約時の追加オプションの注文で、冷蔵庫内にバーベキューの材料を揃えておくといったサービスを実施する施設も増え、使い勝手はさらによくなっています。関西圏でいえば、淡路島に素晴らしい施設があります。『Villa Mon Temps Awaji』は、大豪邸でオーシャンビューも最高。『グランシャリオ北斗七星135°』国内有数のグランピングリゾートで、ご家族利用にもぴったり。海、星空、島風で最高の自然を感じられると好評です」
自分自身はもちろん、「コロナ拡大の影響でストレスがたまっている家族や大切な人を旅に連れて行ってあげたい」と思っている人も多いはず。安全・安心に配慮しながら、これからの時代の旅のプランを練り上げてみたい。
Text=川岸 徹 Main Visual=ホテルニューオータニ大阪提供