17歳の人気インスタグラマー殺害事件、容疑者が無罪主張
17歳のビアンカ・デヴィンズさんを殺害し、遺体の写真をDiscordやInstagramに投稿したとの疑いがかけられているブランドン・クラーク容疑者が、第2級殺人罪で無罪を主張した。彼は25年の禁固刑が求刑されている。
21歳のクラーク容疑者は、7月14日未明デヴィンズさんを殺害した罪に問われている。米ニューヨーク州オナイダ郡のスコット・マクナマラ地方検事によると、クラーク容疑者は2カ月ほど前にデヴィンズさんとInstagramで知り合い、交際を始めた(ただし、デヴィンズさんの友人はローリングストーン誌の取材で、デヴィンズさんがクラーク容疑者を友人としか見ていなかったとして、交際という表現に異議を唱えた)。
いまだ動機については特定できていないものの、マクナマラ検事はクラーク容疑者とデヴィンズさんが殺害前夜、ニューヨーク州ユーティカから車に乗ってブルックリンのNicole Dollengangerのコンサート会場へ向かったと述べた。2人は一緒に車で戻る予定だったが、マクナマラ検事がユーティカの地元TV局WKTVに語ったところでは、デヴィンズさんがコンサート会場で別の男性とキスしているのを見たクラーク容疑者が激怒したという。このことは、Discordのチャットルームに残っていたデヴィンズさんと友人のやりとりからも確認された。ローリングストーン誌が入手したところ、チャットは殺害の数時間前に行われていた。
「別の誰かとキスしていたからという理由で若者の命を奪ったことをどう正当化するつもりなのか。なんとも理解しがたいです」と、マクナマラ検事はWKTVに語った。
7月14日朝6時ごろ、クラーク容疑者は首に傷を負ったデヴィンズさんとみられる極めて生々しい写真をDiscordのサーバーに投稿した。写真には女性蔑視的なメッセージが添えられていた。また彼はInstagramのストーリーにも画像を投稿し、これから自分も死ぬつもりだとほのめかした。懸念したDiscordのユーザーがユーティカ警察に通報。クラーク容疑者自らも警察に電話をかけ、自分が彼女の死に関わったという旨の「犯行声明」をしたとみられる。警察が発見した時には、デヴィンズさんはすでに死亡しており、クラーク容疑者も自分でつけた首の傷で危篤状態だった。
クラーク容疑者の父親も過去に犯罪歴が
デヴィンズさんの事件はソーシャルメディア上で大きな波紋を呼んだ。理由のひとつは、デヴィンズさんをつけ回していた匿名の男性が、むげにあしらわれた腹いせに殺したのではないかという憶測が飛び交ったからだ。デヴィンズさんの遺体の写真はInstagram上で拡散し、大勢の人々がいいねやフォロワーの数を増やして「人気」を得たいがために、偽のアカウントを作成して画像をシェアしていた。中には#pinkcloudsforbiancaというハッシュタグをつけて、ピンク色の雲の画像でInstagramを埋め尽くそうとしたユーザーもいたが、Instagramは画像の拡散阻止に十分な対応をしなかったとして非難を受けた。
気味の悪い偶然だが、ニュースサイトSyracuse.comの記事によると、クラーク容疑者の父ジェイソン・クラーク氏も2010年、妻にナイフを向けて10時間自宅に立てこもり、逮捕されている(息子ブランドンは現場にはおらず、事件は目撃していない)。裁判資料によると、妻が浮気したと思い込んだ同氏は妻を人質に立てこもり、警察が突入するまで妻を殴っては、喉を切り裂くと脅していた。「殺されると思いました」と当時妻はコメントした。クラーク氏はその後銃暴行および武器所有などの罪で起訴された。最終的に懲役4年が言い渡されたが、2年で刑期を終えた。
ローリングストーン誌に送られた声明の中で、デヴィンズさんの遺族は17歳のビアンカさんを才能あふれるアーティストと称し、高校を卒業したばかりで秋から地元の大学に通うのを楽しみにしていたと語った。「ビアンカの笑顔は私たちの生活を明るく照らしてくれました。私たちの記憶の中では、ずっと大事なプリンセスです」
ブランドン・クラーク容疑者は現在、保釈なしで勾留されている。次の出廷は9月16日の予定。