ふくらはぎの筋肉には、我々の健康にも関わる大切な役割があるのをご存知だろうか?本稿ではふくらはぎが担う役割と筋肉の重要性を解説するとともに、ふくらはぎの筋肉を鍛えるメリットや手軽にできる筋トレメニューなども紹介する。
1. ふくらはぎには2つの筋肉が存在する
ふくらはぎの筋肉は「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」と呼ばれ「腓腹筋(ひふくきん)」と「ヒラメ筋」で構成されている。
腓腹筋
ふくらはぎのもっとも盛りあがった部分が腓腹筋だ。「ふくらはぎ」と聞いて多くの方がまず思い浮かべる筋肉だろう。左右に分かれており、そのままだが外側を「外側腓腹筋」、内側を「内側腓腹筋」という。
ヒラメ筋
もうひとつのヒラメ筋は、腓腹筋の下層にある筋肉のことで、名前の通りヒラメのような形をしている。まずは2つの筋肉で構成されているということを覚えておこう。
2. ふくらはぎが持つ2つの大きな役割と筋肉の重要性
ふくらはぎの役割を知ることで、筋肉を鍛えることの大切さがより伝わるはずだ。ふくらはぎが持つ2つの役割と、そこから見えてくる筋肉の重要性を解説しよう。
歩く・走る・跳ねるなどの動きをサポートする役割
腓腹筋は日常生活ではあまり使われないが、走ったり跳ねたりなど瞬発的な動きをサポートする役割がある。ヒラメ筋は主に立ったり歩いたりなど日常的に使われる筋肉で、身体のバランスをとったり、持久力が必要な動きをサポートしたりする役割がある。
血液を心臓へ送るポンプのような役割
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれているのをご存知だろうか?重力で下に溜まりやすい下半身の血液を心臓まで押し上げる、いわばポンプのような役割を果たすことからそういわれている。
ふくらはぎの筋肉の重要性
ふくらはぎの筋肉が衰えると走ったり跳ねたりする力、あるいは歩く力などが低下する。歩行中などにうまくバランスが取れず転びやすくなることも考えられる。同時にポンプとしての力も弱まることから血流が滞りがちになり、むくみや冷え、代謝のダウン、それに疲れやすくなるなどさまざまな不調を招く要因となる。
ふくらはぎの筋肉の衰えは、日常生活に影響が出るだけでなく全身の健康にも大きな影響を与えかねないため、適度に鍛えておくことが大切だ。
3. ふくらはぎの筋肉を鍛えるメリット
ふくらはぎの筋肉を鍛えることは、上述したような役割を強化・維持することにつながり、それによるさまざまな効果が期待できる。ふくらはぎの筋肉を鍛えることのメリットをまとめたので確認していこう。
血流促進によるむくみ・冷えの改善が期待できる
お伝えしたようにふくらはぎは第二の心臓だ。筋肉を鍛えることでポンプとしての働きも強化され、血流の改善に役立つ。その結果、むくみや冷えの改善といった効果が期待できる。
足が疲れにくくなる
血流の改善は疲れにくい足を手に入れることにもつながる。老廃物が溜まりにくくなったり、疲れやだるさ、肩コリが軽減されたりなど、ふくらはぎの筋肉を鍛えるメリットは実にさまざまだ。
運動能力が向上する
ふくらはぎの筋肉を鍛えることで歩く・走る・跳ねるといった運動能力も高まる。長時間の歩行が可能になる、転倒防止につながる、それまでよりも立ち仕事がしやすくなるなど、日常生活においても鍛えるメリットは多い。
筋肉質で引き締まったカッコいい「脚」になる
腓腹筋やヒラメ筋を鍛えることで、ふくらはぎがボリュームアップしてメリハリのある男らしい「脚」を手にすることができる。短パンやハーフパンツをはいたときに貧弱そうに見えないところも、ふくらはぎの筋肉を鍛えるメリットだ。女性であれば、キュッと引き締まった美しいヒザ下が手に入る。
ダイエット効果は期待できる?
減量するには、大きな筋肉から鍛えていくほうが効率がよい。単体の筋肉で見れば大臀筋などのほうが大きいが、腓腹筋とヒラメ筋を合わせればかなり大きな筋肉になる。またポンプとしての機能が強化され全身の血流がよくなれば、代謝のアップも望める。つまり太りにくい体を手にすることにもつながるというわけだ。
こうしたことからも、ダイエット目的で筋トレを始めようとしている方は、ふくらはぎの筋肉を鍛えることをおすすめする。
4. ふくらはぎの筋肉を鍛えるおすすめの筋トレメニュー
ご家庭で簡単にできる、ふくらはぎの筋肉を鍛えるメニューを紹介しよう。空いた時間にぜひ試してみてほしい。
カーフレイズ
- 足を肩幅に広げて立つ
- 背筋を伸ばしてつま先立ちをする
- かかとをなるべく高く浮かせてから、ゆっくり元に戻す
- かかとを床スレスレまで下ろし、再び上げる
- 30回×3セットを目標に繰り返す
下腿三頭筋の筋トレとして王道なのが、かかとを上げ下げするカーフレイズだ。主に腓腹筋を鍛えることができる。かかとの上げ下げに合わせ、下腿三頭筋をしっかり伸縮させることがポイントになるので意識して取り組もう。キツい場合は回数を減らし、負荷を上げたい場合は回数を増やすなど調整してほしい。バランスがとりにくい方は、壁に手をついておこなってもOKだ。
シーテッドカーフレイズ
- 椅子に腰かけ、膝を直角に曲げる
- 背筋を伸ばしたままかかとを浮かす
- かかとをなるべく高く浮かせてから、ゆっくり元に戻す
- かかとを床スレスレまで下ろし、再び上げる
- 30回×3セットを目標に繰り返す
カーフレイズを座っておこなうのがシーテッドカーフレイズである。こちらはヒラメ筋に効くトレーニングなので両方取り入れるとバランスよく鍛えられるだろう。同じように、下腿三頭筋の伸縮を意識することが大切だ。負荷を上げたい場合は、膝にダンベルなどをのせてもよい。
アンクルホップ
- 足を肩幅に広げて立つ
- かかとを浮かせたまま連続でジャンプする
- 30回×3セットを目標に繰り返す
アンクルホップは、軽いジャンプで下腿三頭筋を刺激する筋トレである。できるだけ膝を曲げず、ふくらはぎの筋肉を使ってジャンプするのがポイントだ。縄跳びをイメージしたり、腕を振ってリズムをとったりするとやりやすいだろう。
ジャンピングスクワット
- 足を肩幅に広げ、背筋をピンと伸ばして立つ
- 膝と床が平行になるまで腰を落とす
- 膝と床が平行になったところでジャンプする
- 着地したら再び腰を落とす→膝と床が平行になったらジャンプする、を繰り返す
- 15回×3セットを目標におこなう
ふくらはぎのみならず、下半身全体の筋肉も同時に鍛えることができる。ただし慣れないとかなりキツく感じる方も多いため、まずは10回程度から初めてみてもよいだろう。しっかり腰を落とすこと、足裏全体で床を蹴りできる限り高くジャンプすることがポイントだ。ブレてしまう方は腹筋に力を入れて軸を安定させよう。
5. ふくらはぎの筋肉におすすめのストレッチメニュー
ふくらはぎの筋肉を鍛えると同時に、ストレッチをして血行をよくすること、筋肉をほぐすこと、筋肉が固まって血行を悪化させないようにすることなども大切だ。簡単にできるストレッチを紹介するので、ぜひ筋トレとセットでおこなおう。
アキレス腱伸ばし
- 仰向けに寝て両足を浮かせ、左右にゆすり10〜20秒ほど「脱力」する
- 足を伸ばした状態のまま起き上がる(座る)
- ふくらはぎの下にストレッチポールまたはテニスボールを置く
- 左右各1〜2分ずつマッサージをする
- 立ち上がって壁に手を付き、20秒ほどアキレス腱を伸ばす
ふくらはぎの筋肉のほぐしと、アキレス腱伸ばしを同時におこなう方法だ。ストレッチポールやテニスボールなどがなければ、シンプルに立ったままアキレス腱伸ばしだけでもよい。
ふくらはぎマッサージ
- 片膝を立てて座り、手の指を足の指の間に入れて開いたらそのまま足首を軽く回す
- 足の指を1本ずつまみ、前後に軽く倒すようにしながらほぐしていく
- すべての足の指が終わったら、足全体を両手でつつむ
- 足の指の付け根から、足の甲に向かって押し上げるように手をすべらせる
- 膝裏を指で強めに押し、リンパ節を刺激する
- ふくらはぎを両手でつつみ、筋肉を下から上にほぐすように揉み上げる
- 老廃物を足裏のリンパ節に流し込むイメージで、足首から膝裏に向かってこすり上げる
余裕があればこちらもぜひ試してみてほしい。血行促進・血流改善に効果のあるマッサージで、指先から丁寧にやることでより高い効果が期待できる。
6. ふくらはぎの筋肉の強化は全身の健康につながる
ふくらはぎは走る・跳ねるなどの瞬発的な運動、歩く・立つなどの日常的な運動、そして血液を心臓へ送るポンプなどさまざまな役割を担っており、そのいずれも重要なものである。ふくらはぎの筋肉は鍛えやすい部位なので、ぜひこれを機に筋トレを始めてみてはいかがだろうか?
結論
ふくらはぎの筋肉を鍛えることで血流が促進されると、さまざまな健康効果が期待できる。ご家庭で手軽にできるトレーニングが多いので、毎日の健康のためはもちろん、男らしくカッコいいふくらはぎを手に入れるためにも、できるところからチャレンジしてみよう。