近年は字を上手く書けるようになりたいと、仕事の後に書道教室に通う社会人が増えている。「書道の段位ってどうなっているのか」「段位をとったら資格になるの?」と、お考えの方もいるだろう。そこで今回は、書道の級位や段位、書道の最高段位「特待生」や「師範」について、段位の基準、履歴書に段位は記入できるのかについて紹介する。
1. 書道の段位とは?
書道の世界には、技量の度合いを表す「級位」と「段位」がある。基本的には10級から1級の全級位に合格した方が、昇段試験に挑戦し初段から1つずつ段位を上げていくことができる。級位や段位を取得するためには、まずどこかの書道団体に所属するか、書道教室に通わなければならない。
所属する協会や団体がそれぞれ行なっている昇段試験を受けて合格すれば、段位が1つ上がる。昇級試験の場合は、「飛び級」といって評価次第で1度に何級も上がる可能性もある。それに対し昇段試験は飛び級制度がないので、1段ずつ段位を上げていかなければならない。
2. 書道の段位一覧
10級から始まり1級で終わる級位とは逆に、段位は初段から始まり昇段していく。書道の最高級位は1級だと分かったが「最高段位は何段?」と疑問に感じる方もいるだろう。実は、所属する書道協会や団体によって最高段位が異なるのだ。例えば、最高段位を10段としているところもあれば、「師範」を最高位としているところもある。
そこで今回は、一般的に多くの協会や団体が採用している段位を紹介する。まず、技量審査は学童の部(小学生と中学生)と成人の部(高校生以上)に分けていることが多く、それぞれ10級から1級までの級位と、初段から10段(学童の部は8段)までの段位がある。
学童の部において8段まで合格すると「特待生」と呼ばれる最高段位になり、中学生以下でありながら成人の部と同じ練習ができるようになるのだ。そんな特待生を指導する立場にあるのが「師範」で、10段の上つまり成人の部の最高段位を指す。
3. 書道の段位の基準
英検や漢検は基準が明確なので「◯級持ってるよ」と耳にすると、その方がどのくらいのレベルに達しているのかが分かりやすいだろう。では、書道の段位にも同じように共通した基準があるのだろうか?実は、書道協会や団体にはそれぞれ流派があり、独自の認定基準を設けているため、書道の級位や段位には共通の基準がない。例えば、AさんとBさんが同じ書道3段を持っていたとしても、Aさんの方が上手ということもあり得るのだ。
また、純粋に技能面のみで昇級昇段を行う協会・団体もあるが、書道を習う真剣な姿勢や継続年数を評価するところもある。つまり、書道は字を綺麗に書けるようになるだけではなく、静かに真面目に自分の課題に向き合う「心」の成長も重視しているのだ。書道を始めようと思う方は、とにかく技能を高めたいのか、精神的な面でも成長したいのかによって所属する団体や書道教室を選ぶのも一つの方法だろう。
4. 履歴書に書ける書道の段位
コツコツと努力を重ねて取得した書道の段位。「履歴書に資格として記入していいのでは?」とお考えの方もいるだろう。しかし、書道の段位は各協会・団体によって認定基準が異なるため、残念ながら履歴書の「免許」や「資格欄」に書くことはできない。ただし「特技欄」には書くことができるので、書道の段位取得をアピールしたい方はぜひこちらに書いておこう。
上記の通り通常、書道の段位は履歴書の資格欄には記入できない。しかし、日本書写技能検定協会が行っている「硬筆・毛筆書写技能検定試験」で取得した資格だけは、履歴書の資格欄に明記することができるという。これは日本で唯一の文部科学省後援の硬筆・毛筆の書写技能検定試験だからである。「硬筆・毛筆書写技能検定試験」で段位に合格すると大学・専門学校等の入試での優遇や単位認定が認められる学校もあるので、書道を始めたいとお考えの方は㏋をチェックしてみてはいかがだろうか。
結論
デジタルの時代になり、毛筆どころか硬筆でも字を書く機会が少なくなった。しかし、書道で美しい文字の形を学んでいれば、さりげなく書いた字でも「あ、綺麗な字を書く人だな」と好印象を与えることができる。また、静かな空間で精神を集中し自分の字と向き合う時間は、心を穏やかにもしてくれるだろう。他人に左右されることなく、自分のペースで書道を楽しみ、段位を目指してみてはどうだろう?