和食の定番「肉じゃが」は、簡単なようで意外と味付けに迷いやすい。そこで覚えておきたいのが調味料の黄金比だ。頭に入れておけば、いつでも簡単に美味しい肉じゃがを作ることができる。また、肉じゃが以外の和食にも使えて便利だ。本記事では、肉じゃがを作る際の調味料の黄金比をはじめ、美味しく作るコツについて紹介する。
1. 肉じゃがの味付けの基本となる黄金比
肉じゃがの美味しい味付けの秘訣は、和食の基本である調味料の黄金比にある。これを覚えておくと、和食を作る際に味が決まるのでぜひ活用しよう。
黄金比の基本は「同量」
肉じゃがなど、少し甘みをプラスして優しい味付けにしたいときは「酒1:醤油1:みりん1」の黄金比を使うとよい。甘めの肉じゃがが好みの場合は、みりんの量を少し増やすか、ハチミツを加えるなどのアレンジをしてもよいだろう。
肉じゃがの味付けの黄金比はほかに煮物にも生かせる
かぼちゃの煮物など、優しい甘さが引き立つ煮物を作る場合は、肉じゃがの黄金比に同量の砂糖をプラスする。「酒1:醤油1:みりん1:砂糖1」の黄金比だ。
食材の量が増えても黄金比は変わらない
食材の量が増えても調味料の比率は変わらないため、多めに作りたい場合にはすべての調味料を同量増やすだけでよい。わざわざ分量を計算し直す必要もないのだ。上記の2つの黄金比を覚えておくと、煮物を作るときの味付けに迷わずに済む。
基本の黄金比で作る肉じゃがのレシピ
- じゃがいもと人参を乱切り、玉ねぎをくし切りにする
- 鍋に油をひき強火にかけ、牛肉か豚肉のこま切れを炒める
- 肉の色が変わったら、1を加え軽く炒める
- 酒、みりん、水、顆粒和風出汁を加える
- 沸騰したらアクを取り、切った白滝を加える
- 醤油を加えて落しぶたをして、中強火で10分ほど煮詰める
- 全体を混ぜ、再度落しぶたをしてさらに10分ほど煮詰める
- 煮汁が1/3量ほどになったら火を止め、落しぶたをしたまま蒸らす
2. 肉じゃがを甘辛味に仕上げたいときの黄金比
基本の肉じゃがよりも甘辛く濃い味付けにしたい場合は、黄金比を変えてみよう。基本の黄金比はすべての調味料を同量ずつ合わせるが、甘辛味の場合は醤油の量を多めにするのがポイントだ。
甘辛く仕上げたいときの黄金比
「酒3:醤油3:みりん2:砂糖1」が甘辛い味付けの黄金比である。甘みを強めに出したい場合は、砂糖2にしてもよい。醤油の割合を増やしみりんと砂糖を両方使用することで、甘みと照りがしっかり出た濃い目の甘辛味に仕上がる。
辛味の肉じゃがのレシピ
- じゃがいもと人参を乱切り、玉ねぎをくし切りにする
- フライパンに油をひき強火にかけ、牛肉か豚肉のこま切れを炒め一旦取り出す
- フライパンに1を入れ2分ほど炒め、肉を戻し入れる
- 酒、みりん、砂糖、水、顆粒和風出汁を加える
- 沸騰したらアクを取り醤油を加える
- 落しぶたをして中強火で10分ほど煮詰める
- 落しぶたを取り、煮崩れしないよう上下を返しながら2~3分ほど煮詰める
- 煮汁がほとんどなくなったら火を止める
甘辛味の肉じゃがを作る際は、フライパンを使用し短時間で水分を飛ばすのがポイントだ。基本の肉じゃがよりも煮汁を少なめに仕上げよう。また、じゃがいもをやや小さめに切ると、濃い目の味がしっかりとしみ込む。
3. 水なしで作る肉じゃがの味付けの黄金比
基本の肉じゃがも甘辛味の肉じゃがも、調味料に水や出汁を加えて煮込む。しかし、水を使用せず肉じゃがを作ることも可能だ。水なしで肉じゃがを作る場合の黄金比や作り方を紹介する。
水なし肉じゃがを濃い目に味付けしたいときの黄金比
水を使わずに素材の水分のみで煮込むことで、コクがあり旨みが凝縮された肉じゃがを作ることができる。その黄金比の味付けは、「砂糖1:酒2:醤油3」だ。
水なし肉じゃがのレシピ
- じゃがいもと人参を乱切り、玉ねぎをくし切りにする
- 鍋に油をひいて熱し、牛肉か豚肉のこま切れを炒め、砂糖、酒、醤油を加える
- 鍋に1を加え、ふたをして火加減を調整しながら20分ほど煮込む
水なし肉じゃがを上手に仕上げるコツ
少ない水分で煮るので味付けのムラをなくすために全体を混ぜたいが、鍋の中でかき回してしまうと煮崩れの原因となり、食材がドロドロに溶けてしまうことがある。そこで、鍋のなかの食材を一度ボウルに取り出し、食材の上下を入れ替えて鍋に戻すとよい。
肉と野菜の旨みが凝縮された肉じゃがは、素材の甘みを感じられるしっかりとした味付けに仕上がる。水なし肉じゃがの黄金比も、基本の黄金比と併せて覚えておこう。
4. 肉じゃがの味付けはやや薄く感じるくらいがよい
肉じゃがを作りながら味見をすると、薄く感じられることがよくある。しかし、それには理由があるのだ。味付けをしている段階で薄味に感じても、そのまま煮込んでしまってよいケースがほとんどである。肉じゃがの味が薄く感じる理由と対処法について見ていこう。
味は冷める段階でしみ込む
肉じゃがの黄金比で味付けをした際、調味料を入れたあとに味見をして「ちょっと薄いかな?」と感じても、その場で調味料を足すことはしないでほしい。なぜなら煮物は味付けをしたあと、冷める段階で味がしみ込んでいくからである。そのため一度冷ます前の温かい状態で味見をしても、まだ十分に味がしみ込んでいないのだ。調理段階では、「ちょっと薄い」と感じる味付けでよいということも覚えておきたい。
食材の旨みは徐々に出てくる
さらに、食材の旨みは弱火でじっくりと火を入れることで出てくるものだ。味付けをして煮込んでいる最中に味見をしても、やはりその段階ではまだ十分に旨みが引き出されておらず、薄いと感じるかもしれない。味見をするなら、旨みが十分に出たあと、そして食材をしっかり冷まして味をしみ込ませたあとがよいだろう。
5. 肉じゃがは味付けの順番やタイミングも重要
肉じゃがの味付けは、黄金比を覚えておくだけでは美味しく仕上がらない。美味しい肉じゃがを作るためには、調味料を入れるタイミングについても知っておく必要がある。
調味料を入れる順番
調味料は、甘いものから順に入れていくのが基本だ。その理由は、先に醤油などの塩辛いものを投入すると、それを吸い込んだ食材は甘い調味料を受け付けなくなってしまうからである。先に醤油を入れてしまうと、あとからいくら甘みを足してもしょっぱめの味付けになってしまうというわけだ。
調味料を入れるタイミング
味付けで失敗しないタイミングは、まず甘い調味料を入れて煮立たせ、数分後に醤油を入れること。調味料の分量が合っていても、入れるタイミングを間違うと美味しい肉じゃがを作ることができない。肉じゃがの黄金比と一緒に必ず覚えておこう。
6. 肉じゃがを美味しく仕上げるコツは調味料の黄金比にあり
調味料の黄金比を覚えておけば、肉じゃがを簡単に美味しく作ることができる。同量ずつを基本に、甘辛味や水なしバージョンでは比率を調整するとよい。覚えやすい基本の黄金比をおさえておけば、味付けに迷う心配もないだろう。黄金比による味付けをマスターしたら、砂糖や醤油を増やすなど、自分好みにアレンジすることも可能だ。
結論
肉じゃがの味付けは、単純に調味料を同量ずつ使えば決まる。この黄金比は、ほかの煮物などの和食にも応用できる。より美味しく作るためには、調味料を加える順番やタイミング、肉じゃがの味のなじませ方も併せて覚えておくとよい。黄金比とコツをおさえて、簡単で美味しい肉じゃがを作ろう。