「体脂肪率を測定してみたら肥満だった…」と現実に悲しんでいる方もいるだろう。肥満は病気のリスクが高くなるといわれているため、できれば上手に体脂肪率をコントロールして健康的な数値の範囲内にしておくほうが望ましい。今回は、理想の体脂肪率がどのくらいか、さらに、理想の体脂肪率に近づくためのポイントなども紹介する。
1. 理想の体脂肪率の目安はどれくらいか
人間の身体は内臓、脂肪、筋肉、骨などでできており、体脂肪率とはこれらすべての重さ(体重)に占める脂肪の割合のことをいう。すなわち、体脂肪率が上がる仕組みは脂肪の増加または筋肉や骨の減少であり、体脂肪率が下がる仕組みは脂肪の減少または筋肉や骨の増加である。これは体脂肪率を理解するうえでの基本になるので覚えておくとよいだろう。
それでは理想の体脂肪率はいくつくらいなのだろうか。一般的には成人男性の理想値は10~19%といわれている。しかし、アスリートやスポーツ選手であれば一桁代の方も少なくないため、目指すべき体型によって個々の理想値は変わってくるといえそうだ。
一方、体脂肪率が20%以上になると軽度肥満とみなされて、25%以上で中等度肥満、30%以上で重度肥満となる。数値が高いのはあまり好ましくない。もしも体脂肪率の高さが気になるのであれば、筋力トレーニングやダイエットなどに取り組むのもいいかもしれない。
2. 理想の体脂肪率になることのメリット
体脂肪率を標準範囲(10~19%程度)にすることにはさまざまなメリットがある。その中でも代表的なメリットを3つ紹介しよう。
メリット1.病気のリスクを下げることができる
脂肪は身体のエネルギー源になるほか、代謝を助けるなどの重要な役割を担っている。しかし、脂肪が多すぎるのは身体にとってよくない。たとえば、内臓脂肪が増えることで、生活習慣病や動脈硬化などの発症リスクが高くなる。また、皮下脂肪が増えると、関節痛や睡眠時無呼吸症候群などのリスクがでてくる。体脂肪率の数値が高いからといって必ずしもこれらの病気になるわけではないが、標準範囲であるほうが健康でいられる可能性は高くなる。
メリット2.無駄な脂肪がなくなり見た目がよくなる
体脂肪率の数値が高い場合は、お腹周りが太く見える「りんご型肥満」や下半身が太って見える「洋ナシ型肥満」と呼ばれるような体型に見えてしまう。中には「隠れ肥満」といって見た目的には肥満だとわからない方もいるのだが、それでも多くの場合はふくよかな体型をしていて、周りから肥満だと思われていしまうことが少なくない。
体脂肪率を標準範囲にすることで、こうした体型からスリムでカッコいい見た目へと変身することができる。見た目がよくなることで、周りからの評価が高くなったり、異性からモテやすくなったりするなどのメリットも期待できる。
メリット3.基礎代謝が高くなり理想の体型に近づきやすくなる
体脂肪率を標準範囲まで下げれば、相対的に筋肉量が増えて基礎代謝が高くなる。基礎代謝とは人間が生きていくために必要な最低限のエネルギー量のことで、これは年齢や体型などによってそれぞれ異なる。
筋肉量が増えれば基礎代謝は高くなり痩せやすくなるのだが、運動不足の方は筋肉量が少ないため痩せにくい傾向にある。標準範囲の体脂肪率を目指すことで徐々に脂肪が燃焼しやすくなり、理想の体型を手に入れやすくなるのだ。
3. 理想の体脂肪率に近づけるための方法
目標としている体脂肪率に近づくにはどのようなことに取り組めばいいのだろうか。食事、運動、そのほかに気を付けるべきことの3つの観点からそれぞれアドバイスする。
1.食事「バランスのよい食事を1日3食しっかり食べる」
食事は、朝食を抜いたりせず1日3食しっかりと摂るのがよい。朝食を抜いてしまうと、昼食時にエネルギーを補充しようとするため脂肪を蓄えやすくなる。「腹8分目」を守るようにしつつ、朝ごはんと昼ごはんを多めに摂り、夜ご飯は少なめにするとよいだろう。物足りないと感じるなら、よく噛んで食べると満腹中枢が刺激されるのでおすすめだ。
また、バランスのよい食事を心がけるのも重要だ。一つの料理をたくさん食べるよりも、たくさんの料理を少しずつ食べるほうが栄養バランスはよくなる。米や小麦、肉類、魚類だけでなく、野菜、果物、海藻、キノコ類なども取り入れよう。食べる順番は野菜類からにすると、血糖値が上がりにくく、腹持ちがよくなるので意識するとよい。
2.運動「有酸素運動と筋力トレーニングの両方を取り組む」
脂肪燃焼にはウォーキング、ジョギング、スイミングなどの有酸素運動がおすすめだ。これらの運動を20分以上継続して取り組むことで、身体の中の脂肪がエネルギーとして消費され始める。朝の時間帯や昼の休憩時間などを使って、積極的に身体を動かすとよい。なお、あまり時間が取れないなら、通勤時間などの隙間時間を使って身体を動かすようにしよう。
また、筋力がアップすると基礎代謝が高くなるため、ぜひ筋トレにも取り組んでほしい。運動不足の方におすすめの筋トレメニューには、腕立て伏せ(プッシュアップ)、上体起こし(クランチ)、スクワットなどがある。最初は負荷の軽い方法でもいいので継続的に取り組むことを重視するとよい。慣れてきたら1日の回数を増やしたり、より負荷がかかる方法に変えたりするのがおすすめだ。
3.その他「体脂肪率を毎日測って記録を付ける」
食事や運動以外に取り組んでほしいことは、毎日の体脂肪率を記録することだ。体脂肪率は1日で大幅に変化するものではないが、記録を続けることでモチベーションにつながる。そのため、ぜひ日々の体脂肪率をノートやスマホアプリなどに記録しておいてほしい。
なお、体組成計や体脂肪計で体脂肪率を測るときは、同じ条件で測定することが重要だ。たとえば、毎朝測ると決めたら、その後も朝の体脂肪率を記録したほうがよい。体内の水分量で体脂肪率は変わるため、できるだけ測るときの条件は同じにしたほうが正確に比較できる。
結論
理想の体脂肪率は人それぞれで異なる。今よりも体脂肪率を減らしたいのなら、食事や運動などに気を付けるとよい。体脂肪率の変化はすぐにあらわれるものではないが、継続して生活習慣の改善に取り組むことできっと変化が見られるはずだ。