cat_oa-newswitch_issue_aaf0625f77e7 oa-newswitch_0_aaf0625f77e7_VRゲームを進化させる、直径1m内で無限に歩け続けられる装置 aaf0625f77e7 aaf0625f77e7 VRゲームを進化させる、直径1m内で無限に歩け続けられる装置 oa-newswitch

VRゲームを進化させる、直径1m内で無限に歩け続けられる装置

 広島市立大学の脇田航助教は、仮想現実(VR)ゲーム用の360度方向の歩行入力装置を開発した。腰を囲むドーナツ状のクッションの中に荷重センサーを配置し、移動方向を検出する。歩くように脚を上げた動きを計測して歩行や走行としてVRゲームに入力する。直径1メートル程度の装置の中で無限に歩き続けるようなVR体験ができる。

 VRゲームでは全身の動きを狭いスペースで計測し、コンテンツに反映させることが課題になっている。本当に歩いたり走ったりすると広いスペースが必要になり、ヘッドマウントディスプレー(HMD)などの配線の取り扱いが問題になってくる。

 そのため乗馬やサーフィンのような乗り物に乗せて下半身の動きを制限するコンテンツがアミューズメント施設では主流だった。

 今回、脇田助教は、クッションで腰を囲い、脚を動かしても実際には移動しない計測装置を開発した。クッション内部には腰の高さに荷重センサーが配置され、装置に体重をかけるとその力を検出する。さらに膝の上げ下げを、膝の付け根の高さのセンサーで計測する。膝の角度の計測分解能は5―15度程度。膝を上げ下げする速度を移動速度に反映できる。

 検出システムの部品原価2万円で構成できる。研究用試作ではドーナツ状のクッションや架台が高価になっているが、構造自体はシンプルなため量産機ではコストを抑えられると見込んでいる。

 ベンチャーを立ち上げて事業化する計画。まずは施設用のVRアトラクションに提案する。将来は家庭用の歩行入力システムに展開したい考えだ。

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cat_oa-newswitch_issue_aaf0625f77e7 oa-newswitch_0_2ae3221a89d9_フェイクニュースを信じて拡散する人、しない人。「情報の免疫力」が試される 2ae3221a89d9 2ae3221a89d9 フェイクニュースを信じて拡散する人、しない人。「情報の免疫力」が試される oa-newswitch

フェイクニュースを信じて拡散する人、しない人。「情報の免疫力」が試される

新型コロナウイルス感染症に関する間違った情報や誤解を招く情報を見聞きした人のうち、「正しい情報である」等と信じて共有・拡散したことがある人は35.5%―総務省の調査(※)でこんな事実が明らかになった。コロナ禍におけるデマの拡散や炎上が問題になったが、実は気づかないうちに拡散に加担しているかもしれない。

 SNS時代の情報の「伝え方」、それと対になる「受け取り方」を国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授に聞いた。(取材・昆梓紗)


フェイクニュース拡散するのはどんな人?
―欧米ではフェイクニュースの研究や対策が進んでいますが、日本の動きは。

 2016年のアメリカ大統領選で大きな問題となったフェイクニュースですが、総務省では2018年10月に「プラットフォームサービスに関する研究会」を立ち上げ調査を進めています。今年6月には「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査」を行いました。

 私の研究チームでは、昨年よりフェイクニュースに関する研究を進めています。


―フェイクニュースを信じてしまう人は多いのでしょうか。

 ジャンルを分けた実際のフェイクニュース9本を使って調査を行いました。その結果、10代の25%が1つ以上を信じて拡散していたことがわかりました。全体年代では14.3%でした。

 ただし、10代はSNSを使っている時間が長いのでフェイクニュース接触機会が多く、拡散しているということも。その理由として、フェイクニュースを見抜く力に年齢はあまり関係ありませんでした。

 調査で使用したフェイクニュースに関しては、75%の人が嘘だと見抜けていませんでした。ここで重要なのが、事例に上げた9本はすべてファクトチェック機関がチェック済のものだということです。



出典:「Innovation Nippon 調査研究報告書 日本における フェイクニュースの実態と対処策」


―信じるだけでなく、「拡散」してしまうのは大きな問題です。

 「拡散」で一番多かった行動が「友人・家族に直接話す」で16.3%でした。拡散を防止するにはSNSでの行動を見ればいい、という簡単なものではないことが明らかになりました。

 フェイクニュースを拡散しやすい傾向を調査したところ、自己評価が高い人、政治的に極端な人は拡散してしまう傾向がありました。ほかにメールマガジンやメッセージアプリの利用時間が長いと拡散する傾向が高い。これは両者が閉鎖的な環境なため、エコーチェンバー(自分の見たい情報のみを選ぶことで思考が強化されること)が起こって情報の真偽が検証できなくなっていると想定されます。



出典:「Innovation Nippon 調査研究報告書 日本における フェイクニュースの実態と対処策」


 逆に、ネット歴が長い人、情報リテラシーが高い人はフェイクニュースを拡散しにくい。情報が無数にある状態に慣れているので、学習効果でフェイクニュース判断が適切にできていることがうかがえます。しかし、ITリテラシーが高いからといって騙されにくいわけではありませんでした。


―ネット上には情報が多数あるにもかかわらず、エコーチェンバーになってしまう背景は。

 情報が無数にあるネット上だからこそ、エコーチェンバーになってしまうともいえます。自分で情報をピックアップする過程で、知りたい情報のみを選択するだけでなく、検索アルゴリズムやレコメンド機能がその人にあった情報を上げてくる。そうなると嗜好と異なる情報を得るというのはかなり難しくなってきている。「フィルターバブル」などと呼ばれる現象です。


どうしたら防げるか
―情報真偽の判断スキルを養うには。

 情報の免疫力をつけることが重要です。

 具体的には、以下に気を付けるとよいでしょう。

1.拡散したいと思った情報は他の情報源もあたること

2.発信元やいつ書かれたかを意識する

3.データの加工が恣意的かどうか自分で考える

4.感情的になったときにすぐに拡散しない(SNS上で多く拡散されるのは怒りの感情が伴ったもの。許せないと思ったときこそ、立ち止まる)


 そして、情報を拡散する際には、自分が自信を持っている時ほど注意すること。

 さらに、社会心理学では、交流の多い家族や友人の意見ほど信じやすいといわれています。メッセージアプリやリアルな会話であっても、その内容をさらに他の人に伝えたいと思ったときこそ真偽を気にするようにするだけで、デマの拡散防止効果は高いと思います。


―リテラシーを高めるための教育とはどういったものでしょうか。

 どういった教育内容にすべきかといった研究を進めています。情報の発信に関しての教育だけでなく、「受信」の教育がきわめて重要。情報の偏りやエコーチェンバーについて、認知しているだけでも行動は大きく変わってくるので、この啓発活動が必要です。

 フェイクニュースを拡散しにくい傾向に影響を与えたリテラシーを下の4つの中から調査したところ、「情報リテラシー」のみが拡散しにくくする影響を与えていることがわかりました。



出典:「Innovation Nippon 調査研究報告書 日本における フェイクニュースの実態と対処策」


 また、普段から多様な情報源から多様な情報を接し、自分で考える癖をつけること。特に中高年では得た情報を鵜呑みにしている事例が多いです。いままでマスメディアに接していたマインドのままネットの情報に接するのは注意が必要。また最近ではマスメディアでも視聴者を煽ったりすることも散見されます。

 最も重要なのは、真偽不明な情報を拡散しないこと。調べたり、自分で考えても真偽がわからない情報はたくさんありますが、それを拡散しなければネガティブな影響は起きません。


―学校教育などではリテラシー教育はされていると思います。

 ネットを介した犯罪への対策や、最近では誹謗中傷に関しての教育などが行われていますが、情報の選択的接触やデマに関する教育があまりなされていないように感じます。

 また大人に対する教育は不十分です。最近「高齢者のネトウヨ化」が問題視されています。定年退職後に時間ができて、はじめてネットをよく使うようになると情報をそのまま信じてヘイト的な行動をしてしまうことが起こるようです。

 また携帯キャリア各社も講座などを開いていますが、募集型の啓発活動には限界があります。そこにアクセスしていない人の方が問題なので。

 1つ有効だと思うのが、マスメディアを使う方法。特にテレビは60~70代がメインターゲットとなってきているので、情報リテラシーやファクトチェックに関する番組を作るというのも手です。韓国では実際にファクトチェック番組を制作していて、人気を博しています。総務省で最近出したレポート(※)でも、啓発活動に何が重要かという質問で2番目に多かった回答が「テレビで報じてほしい」というものでした。ニーズはあると思います。


気づかず拡散に注意を
―情報の「拡散」というとネット上で発信するイメージが強く、リアルでの会話やメッセージアプリが「拡散」に含まれると思っていない方も多そうです。

 海外ではメッセージアプリでのデマのやりとりから、殺人にまで発展するという事件が起こっています。日本では「4月1日に東京がロックダウンする」というデマがLINEで流れました。

 フォロワー数百人、数千人にツイートするより数は少ないかもしれないですが、リアルの会話やメッセージアプリは情報が浸透しやすく、拡散行動としては影響力が大きくなります。これが重なると社会的な影響が起きるかもしれないということを皆が知るべきだし、政府が何か行う際も留意する必要があると感じます。


―ここ数年でデマや炎上が変化してきたと思われることは。

 LINEグループなどで、かつてのチェーンメール的なものが増えてきました。利用者やグループの数が増加したことが背景にあります。

 また、マスメディアとソーシャルメディアの「共振」現象が増加していると、法政大学の藤代裕之准教授は指摘しています。最近テレビなどで、ネットで話題になったものを持ってくるというケースが増加しています。すると今度はマスメディアで報じられたものを見た人がネットに書き込む。この繰り返しで共振するように情報が広がっていきます。

 帝京大学の吉野ヒロ子准教授がネット炎上について調査した際、炎上認知経路はツイッター23%、テレビ57%でした。ようするに、ネット情報はツイッターだけで広がっているときはそれほど影響がなく、もっとも影響を持つのはマスメディア、とりわけテレビが報じたときだといえます。

 コロナ禍でのトイレットペーパー不足はこの典型的な例だと考えています。「トイレットペーパーがなくなる」と発信した元ツイートは拡散されておらず、テレビで報じた後に社会的影響が広がりました。特にトイレットペーパー買い占めはネットをあまり利用しない中高年以上が中心だったといわれているので、マスメディアの報道の影響が大きかったといえます。この現象への対処方法はかなり難しく、品切れになったという報道ではなく豊富に生産しているという映像を主として報道する、そもそも報道しないという選択肢もあるでしょう。


―拡散におけるマスメディアの力は依然大きいですね。

 総務省の調査で、若者であってもマスメディアを「信用できる情報」と回答する人が多いことが明らかになりました。共振現象は今後も続くと考えています。


(※)「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査」(2020年6月総務省)


山口真一 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授

慶大院経済学研究科修了。専門は計量経済学。研究分野はネットメディア論、データ利活用戦略など。主な著作に『炎上とクチコミの経済学』(朝日新聞出版)などがある。経済学博士。

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cat_oa-newswitch_issue_aaf0625f77e7 oa-newswitch_0_e12ffab12ab9_【独自アンケート】コロナ禍で変わる企業の研究開発。投資額・働き方・女性採用… e12ffab12ab9 e12ffab12ab9 【独自アンケート】コロナ禍で変わる企業の研究開発。投資額・働き方・女性採用… oa-newswitch

【独自アンケート】コロナ禍で変わる企業の研究開発。投資額・働き方・女性採用…

日刊工業新聞社が実施した研究開発(R&D)アンケート(有効回答238社)によると、2020年度の研究開発費計画額を回答した102社の合計は、19年度実績比1.9%増となり、微増ながら11年連続増加となった。新型コロナウイルス感染症拡大の状況下でも投資意欲は堅調だ。ただ、コロナの影響で本年度業績見通しを公表しない企業も多く、6割の企業が研究開発費計画を「未定」「非公表」などとして金額を示さなかった。一方、新型コロナ対策として研究開発部門にテレワーク(在宅勤務)を今回導入した企業は223社中約4割の89社。「以前から導入している」と回答した124社を含めると、95%以上の企業が研究開発部門でテレワークを活用したことが分かった。


製薬系、持続的成長へ積極投資

研究開発費の企業別順位では、トヨタ自動車が1兆1000億円と19年連続の首位。「08年のリーマン・ショック時にすべての活動を止めた結果、復活に時間がかかったことが反省点。構造改革を進めることで前年並みの研究開発費を維持する計画」(トヨタ)とした。 


4位はアステラス製薬、5位の第一三共、6位の大塚ホールディングス(HD)、8位のエーザイと上位10社の約半数が、新薬開発に多くの費用と期間がかかる製薬企業で占められた。売上高比率もそろって2ケタを記録した。「買収に伴う研究開発費を通年で計上することなどが増加原因」(アステラス製薬)、「持続的成長を実現すべく積極的な投資を行う」(小野薬品工業)と業界の環境を反映した。


しかし、19年度6位だった製薬最大手の武田薬品工業は「今期計画は非開示」と回答。そのほか19年度10位以内だったホンダ、日産自動車、デンソー、ソニー、パナソニックのいずれも20年度の計画数値を調査時点で公表しなかった。


全体で今期計画額を回答しなかった企業は、19年度の56社から136社と2・4倍に増えた。コロナ禍で研究開発環境を見通せない企業が多い状況を今回の回答社数は浮き彫りにした。 


研究開発部門のテレワーク導入は「今回導入した」が4割で「以前から導入している」の5割が上回った。「導入を検討・計画している」「現在は検討・計画はない」との回答は合わせて4・4%にとどまっており、在宅勤務が研究開発部門でも浸透している。


研究開発人材の向こう数年を見通した研究開発人員数を「増やす」と回答した企業は19年度比13・9ポイント減の28・6%となり、企業の採用意欲が落ちている現状を浮き彫りにした。


また研究職の女性活躍推進について聞いたところ、64%の企業が女性採用増を「意識している」と答えた。だが現状では研究職の女性比率が「1割以下」(57・7%)にとどまっていることが明らかになった。


アンケートは1988年度から実施し、今年は33回目。6月中旬から7月上旬にかけて調査した。






女性の活躍 研究職「1割以下」57%


研究職における女性の活躍推進を今回、初めて尋ねた。人材の多様性を高める上で、理系女性という切り口をどうとらえているかみるのが目的だ。まず「研究職の女性比率」がおよそどの程度か聞いた。有効回答208社のうち「1割以下」を選んだのが57・7%と過半数だった。「約3割」は38%、「約5割」が4・3%で、「6割以上」はなかった。「約5割」を選んだ企業は「医薬・トイレタリー」に集中し、この業種では23社中8社がそうだった。


次に研究職の女性採用増を意識しているかを聞いたところ、有効回答216社のうち「意識している」が63・9%。「意識していない」26・9%。「その他」9・3%だった。






二つの設問を合わせて、現状は「1割以下」だが、採用増を「意識している」と回答した企業が多い業種は、「家電・部品」「産業機械・造船・車両」「工作機械、その他機械」「自動車・部品」「鉄鋼・非鉄金属」などだった。


さらに全体の傾向に対して女性リーダーの存在を把握するため、「研究職または技術職から実現した最も高い女性の上級職のクラスは何か」と問いかけた。その結果、有効回答217社のうちクラスの高い順に「役員クラス」が18・4%で、「部長級」が45・6%。「課長級」は25・8%、「主任級」は6%となり、「上級職はいない」も4・2%であった。


女性の少ない理系でありながら、2割弱の企業に役員クラスがいるという結果は予想以上といえる。かなり意識して登用を進めているようだ。部長級も約半分の企業に存在する。部下を大勢抱えて組織を動かす立場でなくとも、具体的モデルがいることは、理系女子学生の入社志望にプラスに働きそうだ。


業種別で役員クラスが多いのは「総合電機・重電」で7社中3社、「精密機器、事務機」で12社中5社。機械系はいまだ女子学生比率が低い分野だが、総合電機は男女雇用機会均等法前からの研究者採用実績などが強みだ。「化学」は25社中4社、「医薬・トイレタリー」が24社中8社。「ビール・食品」になると6社中3社で半数だ。全社的にも理系でも比較的、女性が多い業種で、エグゼクティブが育ってきているようだ。






自由筆記の「活躍推進の工夫」は、全体として文系理系を問わない後押し策が多かった。その中で採用時の策は「技術系中心の女性社員からなる採用プロジェクト」「技術系女性特化の採用セミナー」などで、インターンシップ(就業体験)や育成基金もあった。社員に対しては「女性エンジニア限定交流会」「研究開発女性管理職のメンタリング」で応援し、「外部表彰の応募積極化」「社外の女性研究者支援」と自社の広報戦略と重ねる例もみられた。


「女性研究者と技術系役員の懇談会」といったポジティブアクションは限定的で、「性別にかかわらず」「男女の区別なく」との記述も目立つ。どこまで積極的に動くかは一律ではないようだ。

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cat_oa-newswitch_issue_aaf0625f77e7 oa-newswitch_0_5fb0112f1bef_52歳でピアノに挑んだヤクザ専門ライター、講師との二人三脚で憧れの舞台に立つ 5fb0112f1bef 5fb0112f1bef 52歳でピアノに挑んだヤクザ専門ライター、講師との二人三脚で憧れの舞台に立つ oa-newswitch

52歳でピアノに挑んだヤクザ専門ライター、講師との二人三脚で憧れの舞台に立つ

―52歳で始めたピアノの挑戦記です。

「50歳を過ぎてから自分の人生をたたみ始めた。これから『できること』『できないこと』を峻別(しゅんべつ)した上で、漠然と憧れていたピアノ演奏はぎりぎり可能だと思っていた。死ぬまでに5曲から10曲のレパートリーがあれば良いという楽しみ方だ。単なる“音楽の本”になると手に取ってもらえないこともあり、日々取材を重ねてきた“アウトロー”の視点を意図的に取り入れた」


―初めての経験に基づく執筆で大変なこともあったのでは。

「まず言葉を知らないと書けない。表現や言い方が分からず、ピアニストのインタビュー40人分をひたすら読んで言葉を補充した。素人ならバッドに当たって『ガーンと鳴る』というように音を音で表現する。しかし、音を蜜の味にたとえるように発想をすれば良いんだとヒントになった」


―ピアノ教室の門をたたくきっかけはABBAの曲『ダンシング・クイーン』なんだとか。

「潜入ルポ『サカナとヤクザ』の校了明けの躁状態で見た映画にこの曲が流れ、自然に涙がこみ上げてきた。本では必要以上に“けなす”こともあるが、青春賛歌の歌詞にグッときた。齢を重ねたせいもあるのだろうか。曲冒頭のピアノのグリッサンド(鍵盤上で急速に指を滑らせて音階を区切らずに弾く奏法)がとても印象に残り、ピアノを弾きたくなった」


―「練習すれば、弾けない曲などありません」など、著書に出てくるピアノ講師のレイコ先生の言葉が印象的です。

「先生は虎の穴のような音楽大学を卒業しているので、若いのに硬質で毅然(きぜん)とし、迫力がある。こちらが心酔するほど教え方もとても上手だ。ピアノはエレガントなものだと思っていたが、実際は“スポ根モノ”のように学んでいくものだった」


―ピアノ習得の過程は。

「練習するうちに“回路”のように両手別々に動かす神経が生まれ、突然ある日、弾ける喜びがある。ロールプレーイングゲームの冒険に似ている。『クリアするためにこうしよう』と考えながら成長していく。そこからすれば、先生はパーティーを組む仲間だ」


―本書では「学習」も重要なテーマです。

「こうしたら論理的に学べるということを書きたかった。『学ぶことのハウツー』と言える。歳を重ねて経験を積み、その経験があって学び方を体得してきた。ただ、年を取ってから挑戦した方が良いという話でもない。『学習は尊い』という精神的な自己啓発本にはしたくなかった」


―いつの間にか学習自体が目的になることがありますね。

「曲を弾きたいというゴールに向かう必要がある。その上で、予習と復習。レッスンの効果を引き出してくれる。我々は普段の仕事でも同じことをしている。目標をクリアするために各人が学習している。あくまで予習・復習は目的を達成するための手段だ」


-今後考えている執筆テーマは。
「料理の本も出したい。料理は火と包丁という二つの危険物を扱う。だから没頭せざるを得ず、強制的に悩み事も忘れることができる。その点はピアノの演奏と同じと言えるだろう」
(聞き手・日下宗大)





フリーライター・鈴木智彦氏


◇鈴木智彦(すずき・ともひこ)氏 ジャーナリスト
日大芸術除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、専門誌『実話時代』編集部入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。著書に『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)など多数。北海道出身、54歳。『ヤクザときどきピアノ』(CCCメディアハウス 03・5436・5721)

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cat_oa-newswitch_issue_aaf0625f77e7 oa-newswitch_0_830f2a0b0a4b_コロナ禍からの技術革新、NEDOが発した二つのキーメッセージ 830f2a0b0a4b 830f2a0b0a4b コロナ禍からの技術革新、NEDOが発した二つのキーメッセージ oa-newswitch

コロナ禍からの技術革新、NEDOが発した二つのキーメッセージ

新エネルギー・産業技術総合開発機構技術戦略研究センター(NEDO―TSC)は、コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像をまとめた。コロナ禍の影響はサービス産業から製造業、エネルギー分野などと幅広い。5回連載で内容に迫る。初回は岸本喜久雄センター長に背景と狙いを聞く。


―コロナ禍は状況が刻々と変化します。いつから制作に入ったのでしょうか。

「4月に特別チームを立ち上げて4―5月で情報を集め、6月にリポートをまとめた。120人の識者のコメントを集めて基礎を作り、学術界や産業界、政策当局と意見交換しながら将来像をまとめている。現場を意識し、社会実装を見据えたリポートだと自負している。ここで描いたイノベーション像は政策当局と関係機関が一致団結して実現に向かうことを期待したい」


―具体的には。

「キーメッセージは二つ。デジタル変革(DX)とレジリエント(強靱(きょうじん)だ。デジタルシフトは、世界の誰もが重要性を認識するようになった。一部の識者や経営者の認識ではなく、教育も医療も製造業も幅広い分野でリモート化やオンライン化、自動化が求められるようになった」







「コロナ禍ではマスクや医療資源の供給不足だけでなく、電機や自動車などのサプライチェーンに影響が出た。国内でも古紙や古着などのリサイクル網が滞った。都市のあり方も、大都市一極集中から分散型の小規模都市が志向されている。すでにテレワークの普及で自宅での電力需要が急増し、電力需給のパターンが変化している。感染症や災害が発生しても、経済社会活動が停滞しないレジリエントな社会が求められている」


―民間はこのリポートをどう使えますか。

「新ビジネスを生み出すヒントにしてほしい。価値観と社会が変容し、次にどんなイノベーションが求められるか網羅した。だが、すべての課題に対して解決策がそろっているわけではない。言い換えると、そこにはコロナ禍の変化をリードするチャンスがある」(聞き手・小寺貴之)

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cat_oa-newswitch_issue_aaf0625f77e7 oa-newswitch_0_6f13586329f6_「めがねの街・鯖江」で希有な成功モデルを築くフレームメーカー、終わらない挑戦 6f13586329f6 6f13586329f6 「めがねの街・鯖江」で希有な成功モデルを築くフレームメーカー、終わらない挑戦 oa-newswitch

「めがねの街・鯖江」で希有な成功モデルを築くフレームメーカー、終わらない挑戦

「めがねのまち」で知られる福井県鯖江市。この眼鏡枠の一大産地に本社工場を構えるシャルマン。中国に展開する2工場と合わせ、高付加価値の眼鏡フレームを自社ブランドで製造販売し、世界の約100カ国に供給する。独自のチタン合金の素材と加工技術による差別化戦略で、高付加価値フレームという新たな市場を創造するとともに、メディカル分野にも進出した。2020年、新たな成長戦略をスタートする矢先で新型コロナウイルス禍に直面したものの、汎用フェースシールドなど社会が求める商品をいち早く投入する機動力と攻めの経営で果敢に挑む。


発売11年、ヒット商品を支える技術

「ほら、小さく震えているでしょう。指が震えているのではありません。これぐらい弾性があるということなんです」。本庄正享社長は自らの眼鏡をするっと外しながらこう語る。テンプルと呼ばれる眼鏡の弦(つる)の部分が振動するさまは、しばらく続いた。


これは同社の主力ブランド「Line Art CHARMANT(ラインアート・シャルマン)」。フレーム全体がチタン製だが、テンプルにはエクセレンスチタンと称する、弾性に優れた独自のチタン合金を使っている。実際にかけて見ると非常に軽く、顔の輪郭に柔らかくフィットし、優しさに包まれているようなかけ心地がある。レーザー微細接合技術が織りなす、美しく繊細なフォルムも特徴的だ。ラインアートの商品化をテコに同社は、国内で小売価格が4万円以上の眼鏡フレームでシェア5割超(同社推定)の座を築いている。


ラインアートの素材、加工技術は産学連携の賜(たまもの)だ。チタン合金の開発は東北大学金属材料研究所と、レーザー微細接合技術は大阪大学接合科学研究所と共同研究を重ねた。眼鏡フレームメーカーで材料そのものを開発するケースは珍しい。2009年のラインアートの発売はデフレに見舞われた当時の小売り市場で、高付加価値という商品特性をあえて訴求し、潜在需要を呼び起こした。


200から300もの工程数がある眼鏡づくり。産地は伝統的な分業制があり、シャルマンも1956年創業当時は一部品を作る小規模工場だったが業容拡大に挑み、70年代には一貫生産体制を構築。問屋を通さない直接卸売りも展開し、80年代には世界市場にも打って出た。


世界ブランドの一角に、後発のシャルマンが参入できた秘訣について本庄社長はこう語る。「眼鏡は顔の中心に来るもの。消費者の志向を調べると、一番は自分に似合うかどうか。有名ブランドかどうかは選択順位は4、5番目。低価格化の進む市場の中で、あえて付加価値の高い商品づくりで市場開拓し、差別化したポジションを切り拓いてきた」。


実は眼鏡フレームメーカーでは自社ブランドだけで収益を上げる企業は少なく、実際はOEM(相手先ブランドによる生産)を中心とする例が多い。こうした技術力や戦略が眼鏡の一大産地において、同社がいまなお希有な成功モデルとして輝き続ける背景にある。




フレームの仕上げ工程



新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、眼鏡も他のビジネス同様に打撃を受け、日本、欧米主要国の小売市場は4~5月にほぼ全面停止した。ただ眼鏡は、ファッションの要素と、視力矯正の生活必需品の両面性を兼ね備えていることから、「ウィズコロナ」のもと日常生活が再開すると、店頭の客の戻りが比較的早かった。同社の販売は4~5月がほぼゼロに落ち込んだ後、6月は前年の6~7割に戻り、以後さらに回復傾向にある。「揺り戻しは意外に早かった。元の水準に戻るのはまだまだ先だが、ありがたい」と本庄社長。


一方、眼鏡ビジネスが止まっていた間に、新たな商材の取り組みが動きだしている。代表例がコロナ感染対策の汎用フェースシールドだ。額にベルトで止めるタイプの商品が多く出回る中で、同社商品「シャルマンシールド」はバネ性のあるプラスチックのフレームで、眼鏡の感覚でかけ外しが簡単で、蒸れが少ない。


もともとメディカル事業で手術医が使う高機能フェースシールドを商品化しており、その知見と、眼鏡づくりで研究した日本人の頭部サイズのデータに基づく設計だ。テンプルのR曲線と、前面部は頭のおでこ部分をM字形状にしてシールドフィルムを支える。ウェブ上に設けた受注フォームで効率よく一般注文に対応し、また営業マンが小売店、各種の接客・サービス業へ提案。関東エリアの大手コンビニエンス店の採用も決まった。


8月上旬から商品を拡充。医療用の高機能シールドフィルムと同レベルの低反射性と防曇性があるフィルム(2枚組み)を一般向けに投入し、また髪の毛を止める『カチューシャ』風の新型フレームとフィルムのセット品も発売した。


汎用フェースシールドは当初は中国工場で生産を計画したが、国内で新たな連携先を見つけ、ジャパン品質での生産・供給に変更した。安価な製品を試しに使った顧客が、かけ心地の良さや品質の信頼で、シャルマンシールドに切り替える例が少なくないという。海外販売も順次進める予定で、売れ行きしだいで日本と中国の2拠点体制で需要に応えていく計画だ。


医療現場からの要求に応える

メディカル事業は眼鏡フレームに続く新ビジネスとして、8年前にチタン材料と精密加工の知見で進出した。眼科、脳外科、心臓外科の医師らが手術で使うはさみ、ピンセットなどの鋼製小物に挑戦し、一つの手術具で部位ごとに適材適所のチタン材を使い、「神の手」を持つと称される医師の繊細な要求と向き合った。医師の間で横展開するための改良、医療機関の購買部との接点づくりなど、商品展開における試行錯誤もあった。




高度な機械加工をした後、慎重に医療器具のハサミの刃先をチェックする



そして現在は「開腹、開頭手術用のはさみ、ピンセット」「手術ロボット用のアタッチメント」「内視鏡を使う低侵襲の手術具」の3分野でシャルマン製品の地歩を築いた。眼鏡で部品の精密加工の腕を持つ地元企業とも連携して、アイテム数は400点まで拡充した。この1、2年が事業拡大の基盤を固める時期と位置づける。


企業価値はまだまだ伸ばせる

本庄社長は20年3月に社長就任。商品企画部門をアジア・欧州で長く担当し、直前は米国で販売法人の社長を務めた国際派だ。コロナ禍の暗雲が広がる中で、攻めの経営、研究開発の強化、明るい職場の3点を基本方針に、「この会社の企業価値はまだまだ伸ばしていける」と社内を鼓舞する。経営の成果を出して社員に手厚く還元し、それをベースに地域を活性化させる姿を描く。策定した新たな経営戦略のもと、「当社のビッグバンと位置づけ、仕事の改革を進め、変化適応力を高める」と精力的に動く。目玉の商品開発でも「市場に衝撃を与えるラインアートのような眼鏡フレームを3年以内に市場投入する。もちろんラインアートはさらに強化する」と展望を語る。


折しも、眼鏡産地・鯖江はイタリアの大手メーカーが大型生産拠点を建設中で、20年末にも稼働する見込み。コロナ禍と相まって産地には大きな変化の波が押し寄せるなかシャルマンの挑戦は、眼鏡産地のさらなる活性化をも占う動きとなる。



本庄正享社長、厳しい経済情勢下にも果敢に挑む


【企業概要】

▽所在地=福井県鯖江市川去町6の1▽社長=本庄正享氏▽創業=1956年▽売上高=177億円(2019年12月期)

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間取りの工夫で夢を実現、自分だけのスペースの作り方

在宅勤務が増えるなかで、「自分の書斎が欲しい!」という思いを強くされている方も多いのではないでしょうか。小さなスペースでその夢を実現する方法をご紹介します。


男性の中には、「自分の家を建てる際には絶対に書斎をつくりたい」と密かに思っている方も多いと思います。何歳になっても少年気分が抜けない“オトナの男子”が多いのではないでしょうか。何やら書斎とは秘密基地のような響きがあり、そこにこもって読書や音楽鑑賞をしたいというわけではなく、何となく隠れ家的な空間が欲しいというのがオトコの性(さが)だと思います。

 しかしいざ書斎をつくろうと意気込んで奥様や子供たちに告白してもバッサリと否定され、夢破れて落ち込むことになります。頭を冷やして冷静に考えると、確かによほど敷地と予算に余裕があればともかく、書斎よりもっと必要なスペースがたくさんあることに気づかされるでしょう。


<書斎コーナーで男の夢を実現>

しかし世のオトコたちよ、落胆する必要はありません。書斎という独立部屋こそ実現できなくても、書斎コーナーならば家族も仕方ないと思うはずです。では、そのようなスペースはどうやってつくれば良いかを今から解説します。

 まずは家族の逆風を避ける意味でも、書斎という言葉をやめて「ワークコーナー」や「スタディカウンター」などと格好良く名付けてみましょう。もちろん書斎と同じ意味ですが、チョットおしゃれな空間の響きになりませんか。








独立部屋の書斎は諦めなくてはなりませんが、上手く陣地を取れば案外落ち着いたスペースをつくることができます。ポイントは、家族の気配は感じるけれど直接見えない、あるいはチラッと見える場所に設けることです。廊下を上手く活用する方法などがあります。

 2 階廊下の片隅に、邪魔にならないようにカウンターをつくり付けてしまえば出来上がりです。

(「住みたい間取り」より一部抜粋)







<書籍紹介>


間取りは、家の設計図のベースである。その間取りは、どんな考えやルールのもとにつくられているのか、どんな工夫が可能なのかを、ハウスメーカー出身の設計者が建て主に向けて解説する。この本を読めば、住みたい家の間取りを自分で描けるようになる。



書名:住みたい間取り -自分でつくる快適空間-

著者名:木村文雄

判型:A5判

総頁数:144頁

税込み価格:1,760円


<著者>

木村 文雄(きむら ふみお)

近畿大学 建築学部建築学科 教授

1976年3月芝浦工業大学工学部建築学科 卒業。 同年4月積水ハウスに入社。住宅設計、CAD開発、商品企画、研究開発などに携わり同社総合住宅研究所長を経て2013年4月より現職。サステナブル社会に求められる住まいについて研究。山形大学特任教授、一級建築士。(書籍発行当時)


<販売サイト>


Amazon

Rakutenブックス

Yahoo!ショッピング

日刊工業新聞ブックストア


<目次(一部抜粋)>


第1章 間取りとは何か

100点満点の家はない!?/夫婦戦争勃発!/建てられる住宅の広さを知る/敷地を計算してみよう



第2章 部屋はこうして考える ~間取りを構成するもの

間取りの全体像/外周り/玄関・ホール/廊下/階段/リビング/ダイニング/キッチン/和室と畳コーナー/主寝室/子供室/書斎コーナー/水周り/ロフト/バルコニー/屋根/収納/ファサードデザイン/照明計画とスイッチ、コンセントの位置



第3章 理想の住まいを考える ~間取りをつくるために必要なこと

自分で間取りをつくる意味/必要な部屋をリストアップする/ウェルバランス・ビーング・マップ/方位と接道/動線計画を考える



第4章 間取りのコツ ~ワンランク上の考え方

玄関の位置のベストポジションを考える/お隣さんへの配慮を忘れずに/パブリックゾーンとプライベートゾーン/窓の位置と大きさ、型を決める/借景を考える/中間領域を考える



第5章 実際に間取りを描いてみる

住宅の寸法を知る―モジュールについて/場所を決める―ゾーニング/間取りの下書き/立体的に考える/図面として完成させる



第6章 プロが考慮している必須事項 ~住宅建築基礎知識

方位と季節/太陽高度と日射遮蔽/パッシブデザイン/換気/法律(建築基準法、民法ほか)

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5年ぶりの基本計画改定、日本は「宇宙利用大国」になれるのか

今後20年を見据えた10年間の国の宇宙政策の基本方針「宇宙基本計画」が5年ぶりに改定された。宇宙安全保障の確保や災害対策、国際宇宙探査、民間企業の参画などを目標に、具体的に取り組む内容が盛り込まれた。基幹ロケットや人工衛星などの開発や利用を増やし、同計画のキャッチフレーズである「自立した宇宙利用大国」を目指す。(飯田真美子)


人工衛星の役割拡大 AI活用、新たな産業創出
宇宙基本計画によると、人工衛星を使った測位や通信・放送、観測など、経済社会における宇宙システムの役割は大きくなり、依存度は年々増加している。宇宙が“独立”していた時代は終わり、人々の生活に欠かせない存在になっている。安全保障などの重要性が高まる中、人工衛星で情報収集や通信ができる環境が備わるなど、宇宙は重要な役割を果たしている。


日本の宇宙産業は、政府を中心に大学や研究機関、大企業などで研究開発が行われてきた。だが近年では、海外のように日本国内の宇宙ベンチャーの活動も活発化している。


ロケットの打ち上げや人工衛星の活用などに加え、これからは所定の軌道に入った衛星に対して行うサービス(軌道上サービス)や月面の資源開発、高度100キロメートル程度まで上昇して帰還するサブオービタル飛行(弾道飛行)などに宇宙開発が広がると考えられる。


世界の宇宙市場は2040年に約120兆円以上になると予想。その中に参入できることは新しい産業の創出にもつながる。


海外の宇宙開発に目を向けると競争が激化しており、特に中国が急激に発展している。19年には月の裏側に着陸し、22年にも宇宙ステーション「天宮」が完成予定だ。ロケットの打ち上げ回数は18年に世界1位となり、測位衛星の数は50機以上で米国を上回る。内閣府の吉田健一郎参事官は「今の宇宙産業は中国なしでは考えられない。中国の存在を考えつつ、日本の立場や位置付けを考える必要がある」と語る。




開発を進めている大型基幹ロケット「H3=イメージ」(JAXA提供)



技術面では、米国でゲームチェンジが起きると指摘されている。人工衛星の小型化や、複数の人工衛星を打ち上げ連携して運用する「衛星コンステレーション」によって、観測の高頻度化や衛星通信網の構築などが期待される。これらの技術に人工知能(AI)を活用することで、新たなビジネスの創出や発展につながる。


さらに、人工衛星の低コスト化や大量生産の進展など、製造方法が変わる可能性がある。実証実験の機会が増加することで技術が急速に向上し、人工衛星だけでなくロケットなどの製造にも応用されると期待される。


技術面「自立化」重要に 安全保障最優先課題
日本の宇宙関連の技術は世界でトップレベルを誇っている。だが世界の技術発展は早く、そのレベルを維持するには危機的な状況に追い込まれつつある。同計画では、日本が培ってきた宇宙技術の基盤を維持して強化する「自立」を改めて強調している。内閣府宇宙政策委員会の葛西敬之委員長(JR東海名誉会長)は、「宇宙活動を自立化する能力を強化・維持し、安全保障や経済成長、技術革新への貢献を目指す」と意気込みを語る。




先進光学衛星「だいち3号=イメージ」(JAXA提供)



測位、通信、情報収集のための宇宙システムの活用や海洋状況把握の重要性が高まる中、システムの整備と能力を向上させ、宇宙安全保障の確保を目指す。特に、位置情報の認識や時刻同期の能力を確保する「準天頂衛星システム」は、持続測位ができる7機体制にするために23年度をめどに3機追加する。能力維持や向上のために後継機の開発に着手する。


災害対策や地球規模の課題解決に向け、気象衛星や温室効果ガス観測技術衛星、地球観測衛星などの打ち上げや後継機の開発などを進める。大規模災害で通信手段が途絶しても、人工衛星経由で災害情報を発信するサービスや被災者情報を収集する安否確認サービスを整備し運用する。




月周回有人拠点「ゲートウェー」により月面へのアクセスが効率的に行える(イメージ=JAXA提供)



また、19年に打ち上げられ国際宇宙ステーション(ISS)に搭載した資源探査センサー「HISUI(ヒスイ)」の定常運転を始める。資源探査に加えて、農業や森林など幅広い分野で活用する。


アルテミス計画参加 30年市場規模2.4兆円
惑星探査については、探査技術の向上や地上技術へ派生に向けて取り組むとした。政府は月・火星に有人着陸を目指す米国の国際宇宙探査(アルテミス計画)への参加を表明。


これまで宇宙基本計画は3回改定されてきたが、惑星探査に関する項目が目標として初めて独立した。アルテミス計画では持続的な月面探査の実現を目指しており、参画の機会を活用して日本人宇宙飛行士の活躍の機会の確保を進める。ISSでの有人滞在技術や物資補給などの経験を生かし、月周回有人拠点「ゲートウェー」の建設や運用、実証実験に取り組む。


宇宙での経済成長と技術革新のために宇宙産業の市場規模を30年代早期にも約2兆4000億円に倍増することを目指す。衛星データの利用を拡大し、自動運転やスマート農業などの普及を加速させる。さらに、ベンチャーを含む民間企業での小型ロケットや小型衛星の開発などの取り組みを促進させる。東京大学の中須賀真一教授は「民間が積極的に参入でき、官民が協力できる体制を確立したい」と話す。


宇宙活動を支える産業・科学技術の基盤強化として、人工衛星の輸送手段の確立や宇宙産業の基盤技術の開発などが進められる。大型基幹ロケット「H2A」と「H2B」の後継機「H3」や固体燃料ロケット「イプシロン」の開発が進められている。


また、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の観測や除去技術を獲得し、新たなデブリなどを発生させないための取り組みを行う。さらに、宇宙で太陽光発電を行う「宇宙太陽光発電」の研究や、電離圏や太陽活動などの宇宙環境の観測や分析、シミュレーション技術の高精度化を進める。米国や中国などに引けを取らない宇宙大国となることを目指す。

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個人データ自ら就活に生かせ。慶応大などが学生と企業つなぐ新システム開発

慶応義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンターとInstitution for a Global Society(IGS、東京都渋谷区)は11日、学生自ら学業の成績やゼミの活動記録などの個人データを管理し、就職活動などに生かせるシステムを共同開発すると発表した。学生は教員による評価や学内外での活動履歴などのデータについて、自ら選択した企業だけに限定して開示できる。学生が個人データを主体的に活用してキャリアを形成できる環境を整える。約2万人の学生と三菱UFJ銀行などが参加する実証研究を経て、2023年度の実用化を目指す。


共同開発するシステムはブロックチェーン(BC)や暗号技術を活用して個人データを安全に管理し、改ざんや企業の目的外利用を抑制する。学生がスマートフォンなどで学業の成績や授業・サークル活動の記録を登録すると、暗号化されてBCに格納される。また、教員や友人など第三者による評価も記録できる。第三者にメールなどで依頼して、第三者が評価を登録する機能を構築する予定。これにより、個人データの信頼性や客観性が高まる。




学生や第三者が情報を入力するイメージ

学生はこうした個人データについて提供依頼を受けた複数の企業の中から、開示先を自由に選択できる。企業ごとに開示する情報の範囲や開示期限を決め、特殊な暗号方式を使って開示する。開示不要になったデータは消去できる。


企業は同システムの活用により、これまで学生から得られにくかった学内外からの評価などを把握し、学生を深く理解した上で、人材の獲得が図れる。新システムにより、個人データの秘匿性を確保しつつ、その利活用により学生と企業のよりよいマッチングにつなげる。




企業が学生のデータを閲覧するイメージ

就活に関わる個人データの利活用をめぐっては、2019年に就活サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが学生の了承を十分に取らずに内定辞退率を予測したデータを企業に販売していた事案が発覚した。同日会見した慶大FinTEKセンターの中妻照雄センター長はそうした事案を念頭に「学生の個人情報を学生自身の手に戻すことが(システム開発の)目的だ」と力を込めた。


実証研究には、三菱UFJ銀行のほか、SOMPOホールディングス、住友生命の参画が決定しており、今後20者以上の参画を目指す。まずは慶大の学生を中心にシステムの利用を始め、実証3年目には他大学10校以上を含む学生2万人が利用するシステムとして実証する。


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グルテン使わずに膨らむ、「米粉パン」の新製法ができた!

サタケ(広島県東広島市、佐竹利子代表、082・420・0001)は、小麦由来のグルテンなどアレルギー特定原材料など28品目を使用しない、独自の米粉パン製造法を開発した。グルテンに代わり増粘剤(増粘多糖類)を用いることで、小麦粉パンと同程度の膨らみが得られる。


今後、製パン業者などへ配合などの技術提供を通じ、学校給食、非常食、地元産米を活用した6次産業などの分野に向けて新製造法による米粉パンの普及を図る。


開発した製造法で作った米粉パンは、焼き上がりが小麦粉パンと同程度まで膨らみ、ふんわりと軽い食感のパンになる。米粉パンは生地が柔らかく短時間の発酵で膨らむため、製パン時間は小麦粉パンの約半分の120分になる。アレルギー特定原材料など28品目を使用しないため小麦など食物アレルギーを持つ人でも食べられる。


米粉のみで製造したパンは、小麦粉パンに比べ生地の粘性が低いため膨らみが小さく、十分に膨らませるためには小麦由来のグルテンを配合する必要があった。

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