cat_oa-newswitch_issue_47b2435c9666 oa-newswitch_0_47b2435c9666_川崎市の知財マッチング、クリエーターが解放特許の活用アイデアを紹介 47b2435c9666

川崎市の知財マッチング、クリエーターが解放特許の活用アイデアを紹介

 川崎市や川崎信用金庫(同市川崎区)などが、地域中小企業に大手企業の開放特許を紹介して製品開発を後押しする「知財マッチング」を加速している。定期開催している交流会で、新たにクリエーターがプレゼンターとして参加。クリエーターが製品化アイデアを紹介し、特許の活用の仕方が浮かばず悩む中小企業を手助けする取り組みだ。今後、市は他の自治体でも交流会を開く予定で、各地域の経済活性化にもつながりそうだ。

 「特許選びの際は、各社の強みを生かせるものにするのが良い」―。川崎市や川崎信用金庫が9月に市内で開いた「かわしん知財マッチング交流会」の冒頭、同市産業振興財団の西谷亨知的財産コーディネータはこう強調した。当日は市内外の中小企業関係者約50人が参加した。

 会では大手企業の富士通、富士通セミコンダクター(横浜市港北区)が特許技術についてプレゼンテーションを実施。書類を挟み、ひとまとまりのタスクとして内容を無線で遠隔管理できる「スマートクリップ」技術などを富士通が紹介したほか、富士通セミコンダクターは電子タグを用いた「迷子検知システム」などを説明した。

 今回は特許紹介に加え、全国8万人のクリエーターが登録するクリーク・アンド・リバー社(C&R社)も主催者側で参加。クリエーター5人が特許の活用アイデアを提案した。このうちエージェントゲート(東京都千代田区)社長室の祖上仁氏は、富士通のスマートクリップ技術を活用した主婦向けの家事管理ツール「タスクリップ」というアイデアを提案した。子どもが学校でもらってきたプリント類などを挟み、スマートフォンで期限を管理しアラームも出せるという案を紹介。「さまざまなタスクを抱えるものの会社と違い、手伝ってくれる同僚がいない主婦の助けになる」と説明した。

 参加した中小企業経営者の反応も良かったようだ。川崎信用金庫の担当者は「終了後のアンケートでは、『特許の製品化に自社も取り組めると思った』など前向きな声が多く寄せられた」と手応えを得た。「事業化を具体的にイメージできるよう工夫したのが良かったのだと思う」と話す。

 今後、川崎市やC&R社による同様の知財交流会を2018年度内に3回行う。同市の取り組みに関心を持つ静岡県富士宮市などで開く予定だ。川崎市イノベーション推進室の木村佳司創業・知財戦略担当課長は「大手企業の特許で中小企業を盛り上げる川崎市の手法を広めることで、各地に特許の活用事例が増え、川崎市内中小企業と市外企業のマッチング機会増加にもつながるだろう」と期待する。
(文=大原翔)

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cat_oa-newswitch_issue_47b2435c9666 oa-newswitch_0_73b165ed6347_イチローさんが明かす引退試合とメジャー挑戦の裏側 73b165ed6347

イチローさんが明かす引退試合とメジャー挑戦の裏側

 NTTの澤田純社長と元プロ野球選手のイチローさんが13日、同社の研究開発イベントで対談した。イチローさんはNTTのR&D特別アドバイザーに就く。フリーアナウンサーの渡辺真理さんを司会に、引退試合で浮かんだ感情などをイチローさんならではの言葉で語った。(取材=編集委員・水嶋真人)

人の思いを背負って立つに近い感覚
澤田 イチローさんの引退試合の打撃練習の際、グラウンドにいた。非常に集中していて声がでなかった。日本刀のようなりんとしたオーラ出していた。

イチ 近寄るなビームを発していた。でも話しかける人もいる。人間性が出る。

イチ 21日に日本に来たとき、引退することを決めていた。言えなくて申し訳ないという気持ちが常にあって。でも瞬間瞬間を刻み込みたいと感じていた。未来の自分にとっても宝物、忘れられない存在になると感じていた。

澤田 すごい特別な雰囲気があった。イチローさんへのリスペクトすごい、すべてがイチローさんのための空間だった。

イチ 何回か、人の思いを背負ってグラウンドに立つことがあった。09年のWBCもそうだった。それに近い感覚、自分も打ちたいけど、この思いになんとしても応えたい。そういうときはなかなか力を発揮できないモノなんですよね。

澤田 WBCのときはセンターに抜けた。

イチ あのときはそうだったけれど、うまくいくことはほとんどない。それを背負ってグラウンドに立つことでしか、前に進めない。平常心でプレーすることができないから、改めてそのことを痛感した。国歌斉唱が終わってレフトにアップのために走りだしたら、日本のファンの方々の「うおーっ」という地鳴りみたいななんとも言えない音がなる、そこで気持ちいいからさっそうとイメージがいくんだけれど、形大事なんで、これで肉離れしたら格好悪いという怖さもあった。ヒットは打ちたいけれど、けがで終わりはないよなと。けがに対するプレッシャーを抱えることはあまりなかったけれど、あの日はすごかった。

渡辺 試合の後は絶対に帰らないという空気がファンの間を覆っていました。

イチ それを聞いて慌てて出て行った。中にいると音が聞こえないので全く分からなかった。一通りシアトルの地元メディアの対応をして、ミーティングして、日本語での記者会見に向かおうと思っていたら、チームメートから「イチ、誰も帰っていないよ」と聞かされた。それはえらいことだとちらっとのぞいたら本当にそうだったので、(グラウンドに)出て行った。

 あの瞬間って・・・僕はヒトより頑張ったって言えないけれど、自分なりに頑張ってよかったなって思った瞬間で・・・日本で最後にプレーして終わる、それだけでも僕にとって大きなギフトだったけれど、あんな大きな贈り物が待っているなんて信じられなかった。あれから約8カ月たつけど、いまだに、「あのときに東京ドームにいました」って言われたら「飯行こうか」と言いたいくらいの気持ち。

渡辺 そこに澤田社長がいらっしゃていた。

澤田 そういう思いを初めてお伺いした。それだけ努力してこられたからこそのギフトだったのでは。

イチ 努力と皆おっしゃっていただけるけれど、僕、努力という感覚がまったくない。18-20歳の頃は寮に入って夜中までマシンを打ち続けて、努力だったと思うけれど、自分なりにしんどいな、でも、重ねないと未来はないなと信じてやっていたけれど、あるときからそれが習慣になってしまって努力という感覚がなくなってきた。そうなるとしめたもの。ヒトは努力だと思うけれど、僕にはその感覚がないから、すごい楽なんですよね。続けていくことで自分の体にしみこませること、習慣づけることがすごく大事なことなんだなと、努力という言葉を聞くとそう感じる。

メジャー挑戦を決めた理由
渡辺 イチローさんの言葉にはストレートだけれども、これはなかなか言えないなという言葉がたくさんあると感じます。イチローさんのメジャー挑戦は2001年からですが、いつごろからメジャー挑戦を考えていたのですか。

イチ 存在は知っていたが、自分がその舞台に立つイメージ(を持ち)、気持ちが少し向き始めたのが1994年。レギュラーとして使ってもらった初めての年で、130試合で210本のヒットを打った。このときに、米国にはジョージ・シスラーが257本を打ったというすごい記録があるんだよと。年俸800万円の選手が210本ヒットを打ったのだから「おめでとう」「頑張ってねこれからも」で良いのに、米国にはこんな記録があるんだよと嫌みみたいに言われて。そのときに、将来はそこを目指したいなと思ったけれど、とてもそこでやろうというイメージは持てなかった。それからオリックスが日本一になった1996年は、僕は首位打者を取っているけれど、感覚的にスランプだった。それが気持ち悪くて。でも日本でやっていると、結果的にはヒトをだませてしまう。米国に行けばそれはないだろうと思った。環境を変えたいなと思った。不純というかまっすぐな理由ではなかった。

澤田 求道者ですよね。道を求めていく。

イチ 1996年に初めて球団にそのことを伝えた。ここで伝えておかないと時間がかかるので。2000年にポスティングシステムで移籍することになったが、このシステムは当時のオリックスの球団代表が僕を米国に行かせるために作ってくれたものだった。

渡辺 それまでメジャー挑戦は投手だけだったので、野手のイチローさんの挑戦には賛否両論があったことを覚えています。

イチ ほとんど「否」だった。多くの人は、「7年続けて首位打者取って何が不満なのか」「できないからやめておけ」って。俺にそれは関係ない。僕は苦しんでいて環境を変えたいから、次の舞台があるならと。おまえらには関係ないと当時は思っていた。何が通用するかしないかなんて、誰も行っていないのだから分からない。(多くの批判には)屈することはできなかった。そういうときの決断は自分でしなければならない。

 僕のこれまでの人生、そんなことの繰り返しだった。中学から高校に進むときもそうだった。野球の名門校に進むとき、「こんな細い体でできるはずがない」と。中途半端に勉強ができるから、先生は勉学の方に進ませたかった。僕は自分の意志も、自信もあったので、大人の思惑には関係なく、ギャンブルだったけれど、(愛工大名電に)行った。プロに入るときもそうだった。

渡辺 イチローさんの自分への挑戦が、企業経営だけでなく、一人一人が日常の決断をするときに直に響いてくる言葉だと感じました。NTTもグローバル事業の競争力強化に注力しています。この挑戦もものすごく大きなモノですよね。

澤田 「まっすぐ自分のやりたいことを決める」イチローさんが持つインテグリティーは、グローバルの中で大事な意志だ。一人一人がきちんと決断していかないとグローバル競争力が生まれない。頑張る。

イチ 頑張ることしかできない。頑張るしか道はない。

伝説のレーザービームにあった怒り
渡辺 NTTの技術は消費者からも見える技術なので、今後、(NTTの技術で)どんな世界になるか非常に楽しみです。

澤田 スタジアムの臨場感を伝える映像を提供する「ウルトラ・リアリティー・ビューイング」を実施した。スポーツファンの経験値をどんどん広げたい。

渡辺 その技術を映像でお見せします。

イチ これはだめなやつですよね。本物よりきれいだもん。球場行かなくなりますよ。この技術はどうですかね? 実物を上回るのはどうでしょうか? この技術でダイオウイカを見てみたい。実物大サイズでダイオウイカが見られる。家でダイオウイカの映像を見ても大きさが伝わらない。

澤田 (ダイオウイカの映像配信を)トライしてみる。

渡辺 (2001年4月のアスレチックス戦でライト前ヒットを捕球したイチローさんが伝説のレーザービーム送球したシーンなど)イチローさんの名シーンも見ることができますね。

イチ あのときは、先発を外れ、代打で凡退して怒りに燃えていた。それで(ライト前ヒットが来たから)成立した。あらゆる条件が整ってあの送球があった。あれは怒りだった。怒りがなかったらあの球はなかった。でも、球場全体を見渡せるウルトラ・リアリティー・ビューイングが活用されれば、選手はサボれなくなる。選手側はつらいけれど、見る側はたまらない。

渡辺 試合中、イチローさんだけを見続けることも可能になります。リアルタイム中継もできますよね?

澤田 そのまま見られる。

渡辺 体が不自由で球場に行けない人も楽しめるなど、可能性が広がりますね。

イチ 可能性はものすごい。ただ、どうしても選手側の視点で見てしまう。そういう意味でもとてもうれしい。

渡辺 MLBとNTTのパートーナーシップにも期待するところが大きいと感じていますか?

イチ プレーオフを見ていて、NTTのロゴと(一緒に)出てきたから「えっ?」と思った。後で知ることになるけれど、びっくりした。

澤田 来年はウルトラ・リアリティー・ビューイングを活用した中継を増やしていこうとMLBと協議している。(実証実験では)ものすごく盛り上がった。

渡辺 メッセージをお願いします。

イチ 今はシアトルマリナーズのインストラクターだけれども、NTTとMLBのパートナーシップで夢が広がったから、自分で何ができるか模索しながらNTTの取り組みを盛り上げるために頑張っていきたい。

渡辺 今後について教えてください。

イチ 今度草野球をやるけれど、草の根はばかにならない。そういう人たちをふれあうことでまた違う野球が見えてくる。アマチュアとの壁を取っ払えたら大きな前進と言える。

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ナチュラルローソンで紙製容器の弁当販売

 ローソンはプラスチック使用量を削減するため、ナチュラルローソン店舗(142店)で、紙製容器を使用した弁お当の販売を始めた。常温保存で電子レンジで温めなくてもそのまま食べられる「玉子焼と山椒香る牛肉のお弁当」(消費税込み599円)限定。外側には汚れがつきにくい材質を使用した。プラスチック製弁当容器に比べて、プラスチック使用量を約7割(約18グラム)削減できる。

 紙製容器は耐水・耐油性が低く、これまで常温弁当では使用していなかった。店内でいれるコーヒー「マチカフェ」のアイスコーヒー容器を紙製に切り替えるなど、2030年には17年比で食品を中心に容器包装プラスチック使用量を3割低減する目標を掲げている。

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cat_oa-newswitch_issue_47b2435c9666 oa-newswitch_0_59779079269a_工作機械受注、10月は今年の最低更新。どこまで落ち込む? 59779079269a

工作機械受注、10月は今年の最低更新。どこまで落ち込む?

 日本工作機械工業会(日工会)が12日発表した10月の工作機械受注実績(速報値)は、前年同月比37・4%減の874億5500万円で、13カ月連続で減少した。夏期休暇のために営業日が少なかった8月を下回り、今年の最低額となった。900億円割れは2カ月ぶり。

 10月は半期末商戦翌月のため、例年水準が低くなる傾向にある。ただ、10月に健全水準とされる1000億円を下回るのは3年ぶりで、同様に900億円割れは年間受注額が1兆円を切った2010年以来のことだ。

 内需は同42・0%減の334億3700万円で11カ月連続の減少となった。外需は同34・1%減の540億1800万円で13カ月連続の減少。前月比では2カ月連続で増加した。

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世界2位の超硬切削工具メーカーが日本市場に切り込む

国内外とも落ち込み大きく
 日刊工業新聞社が12日まとめた工作機械主要7社の10月の工作機械受注額は、前年同月比43・7%減の238億1400万円だった。米中貿易摩擦の抜本的な解決の兆しが見えない中、国内は設備投資に慎重さが増した様子だ。外需も振るわず、国内外ともに同40%台の減少と落ち込みは大きい。ただ、外需は「低位横ばいで下方には向かっておらず、悲観はしていない」(オークママーケティング室)との指摘もある。

 内需は同45・6%減の101億7300万円だった。牧野フライス製作所の国内受注は2013年9月以来の20億円割れ。三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)は「(中小企業向けが多い)大型機の案件そのものはあるが、多くで決着に時間がかかっている」と言い、オークマは「先行きの様子見が多くなっている」(マーケティング室)と、投資判断がもう一段慎重になっている。

 外需は同42・1%減の136億4100万円だった。OKKは同96・8%減と大幅に減った。外需の動向は各社で濃淡があり、東芝機械は産業機械向けの工作機械や精密加工機の受注などで減少幅を1割台にとどめた。一方、ツガミは微増だった。

 ユーザーが新規投資に動きにくい状況にある中、工作機械各社は老朽設備の更新を促す取り組みを強化するなどして、受注に結び付けたい考えだ。

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cat_oa-newswitch_issue_47b2435c9666 oa-newswitch_0_99dbaeb36720_普通のデータサイエンティストと世界トップクラスのデータサイエンティストの違い 99dbaeb36720

普通のデータサイエンティストと世界トップクラスのデータサイエンティストの違い

 「データサイエンティストと名乗るのは厚かましいというか、自分はむしろ外れ値です」そう切り出した小野寺和樹さんは現在、DeNAのAI本部データサイエンス第一グループに所属している。

 確かにデータサイエンティストには数学や物理学の修士や博士といった理系のバックグラウンドを有する人が多い中、小野寺さんは経済学部出身で数学の知識も「二次関数の頂点がわかるくらい」だという。

 そんな小野寺さんだがKaggle Grandmaster(カグル グランドマスター)という称号を持っている。世界では163人、日本では10人程度しかいない(2019年11月現在)。

【補足説明】Kaggle(カグル)とは、データサイエンティストや機械学習エンジニアが集まる世界最大のコミュニティ。大きな特徴は、誰でも参加可能なコンペティションがあることだ。世界中の企業や研究機関などが提供したビッグデータと課題に対し、モデルの精度を競い合う。各コンペには、数百から数千のチームや個人が参加する。Kaggle Grandmasterになるには、コンペでゴールドメダルを5回獲らなければならない(少なくとも1回はソロ参加)。(*ゴールドメダルは1位を意味するものではなく、10位以内というイメージ)
 「周囲の人みたいに物理学などはやっていないし、高度な数学もわからない。それでも、データをちゃんと見る力さえあればなんとかなると実感している」と小野寺さん。

 データを見るとはどういうことか? 例えば、何万とあるユーザーID同士を一件ずつ比較しているのだという。

誰も手を出さない泥臭い領域に重要なヒント
 「何万件というデータを一つずつ確認する作業は、普通あまりしないと思う。でも、こういった泥臭い作業はアルゴリズムが進化した今の時代でも必要」と語る。なぜそこまでの作業が必要なのか? 後でも触れるが、数学の専門知識がない代わりの人海戦術というわけでもない。2622人中2位になったコンペの事例を交えながら語ってもらった。

 コンペ内容は、食料品をネット注文すると配達してくれるサービス「Instacart」の保有データをもとに、どのユーザーがどのアイテムをいつ購入するかを予測するためのモデルの精度を競い合うものだった。例えば、毎朝ヨーグルトを買っている人がいたとすると、次の日の朝もヨーグルト買うだろう、夜にはきっと買わないだろう、といった予測モデルを作らなければならない。

 Kaggleのオフィシャルブログに掲載された小野寺さんのインタビュー記事には、具体的なある局面が示されている。ユーザーID54035の8回目までの購買データをもとに、9回目に何を買うのかの考察だ。

出典:http://blog.Kaggle.com/2017/09/21/instacart-market-basket-analysis-winners-interview-2nd-place-kazuki-onodera/
 「この人の購買履歴を見ると、コーラをよく買っていることがわかる。でも、8回目の注文時にはコーラを買っていない。これがどういうことなのかが気になった。データをよく見てみると、フリッジパックコーラという12本セットのバルク品を購入していた。これを買っているのでコーラを買っていないと推察した。ためしに他のユーザーの購入動向を見てみたところ同じような傾向があった。フリッジパックコーラはコーラの代わりになっている、逆もまた然りと結論づけた」

この分析のすごさのポイント
 この表を見れば、コーラを買う頻度が非常に高いことやコーラとフリッジパックコーラがカテゴリー的に似ていることがわかり、それをもとに何かしらの推察をすることは比較的容易ではないだろうか。なぜオフィシャルサイトに掲載されたのか? どういった点が注目されたのか?

 取材に同席した小野寺さんの上司の原田慧さんは次のように語る。原田さんは数理学の博士号を持つKaggle Masterだ。「実はフリッジパックコーラはコーラの代わりだということをコンピュータが理解することはかなり難しい。文字列を読み込んで、二つの商品が似ていることまでは気づくかもしれないが、ここまでの断言はできない。関連に確信を持って気がつけたのは小野寺さんがデータを目で見たからに他ならない。

 私自身、結構なKaggler(Kaggleに取り組む人)だが、そもそも個別のデータからこの表を作ること自体がすごい。普通ここまでやらない。

 多分、彼は思いつくことを全部やって、それでもまだ気になることがあって、個別のユーザーIDを見はじめたのだと思う。そこで、『1』が続いた後の『0』を見つけた。この表を見せられたらみんなその点が気になるだろうが、そもそも個別のデータをユーザーの気持ちを理解するために見に行こうという発想ができる人はあまりいない」

理論的アプローチだけでは見落としてしまうもの
 コンペで支給されるデータは、膨大な行数のCSVファイルだ。上の表はそのデータから小野寺さんが作ったものだ。このユーザーのIDは5万台の番号だが、小野寺さんは片っ端からユーザーの購買データを見たのだという。

 この発見の知見を取り入れたモデルの改善によって、順位が3位から2位に上がった(*コンペ期間中、何度でもモデルを改善し再提出してよい)。さらに現在、Instacartのサービスの一部に小野寺さんが作ったアルゴリズムが実装されている。

 ユーザーの個別的なパターンや商品の関連性などを考慮できていない従来的なモデルでは予測の精度が落ちる。

 小野寺さんは、「通常、9番目の情報を予測するために一番重要なのは直近の情報。明日その人は何を買うのか予想する時には1年前の情報よりも今日の情報が参考になりやすい。多くの人は直近の情報をめちゃくちゃ重要視するので、8番目のコーラを買わなかったというデータのインパクトが大きくなる。1、1、1、0と来ているので、『この人はもうコーラを買わないのかな』と考え、次に来るスコアは0〜0.5くらいだという判断になる。

 しかし、自分のモデルでは『コーラの代わりにフリッジパックコーラを買っていて、コーラとフリッジパックコーラはほぼ同じ。また、フリッジパックコーラは新しい商品というわけではなく、連続で購入される傾向も低いこともわかっている。だから次はコーラを買う』という根拠で、1に近づけることができた」と説明する。

 小野寺さんが取り組んだ手法は数学的な理論で代替できるのだろうか?

 「数学的なアプローチは可能だろうが、よくわからないパターンがあるということがわかって終わりでしょう。コーラの代わりになる商品があることがあらかじめわかっていればモデルを作れるだろうが、そもそも代わりがあるんじゃないかという発想に至ることが重要だった。私みたいな数学屋だと、『まあ、一回だけたまたま買わない、なんてこともあるのかな。終わり』という思考になる」(原田さん)

データだけではわからないから使う人の気持ちになる
 精度を向上させるために小野寺さんがしたことがもう一つあった。自身がInstacartのユーザーになることだった。コンペで支給されるデータはCSVファイルのみ。小野寺さんは「これだけではわからないことがある。例えば商品の売られ方や使い勝手はウェブサイトを実際に見てみないとわからない。サービスを使う人の気持ちになりたかった」と語る。ウェブサービスを触ってみたことで、品物の配置と売れ行きの関係性や、商品のピックアップのしやすさといったUX(顧客体験)との関連性にまで考えが及んだ。

 膨大なデータを見る、ユーザーの行動を想像する、ユーザーとしてサービスを利用する、こういったことの積み重ねで予測精度は少しずつ改善する。

 「データは納得するまで見る。コンペは期間中に自分の順位が世界で何番目なのかわかる。1位じゃないということは何か見落としていることがあるということ。そしてひたすら考える」(小野寺さん)

 最後に、データサイエンティストとして仕事をするには、プログラミングのスキルはどの程度必要かと質問すると意外な答えが返ってきた。

 「データサイエンスをやる上で、プログラミングの勉強は二の次、三の次で構わない。今回のコーラのような傾向を見つけてアルゴリズムをプログラムでどう書くかという部分では、確かにプログラミングのスキルによる差が出るかもしれないが、そもそもその特徴を見つけられるかが勝負の肝。if文のような初歩的な構文ができれば基本的には大丈夫だと思う」

取材後記~DeNAのユニークな制度~
 DeNAにはデータサイエンスチームのメンバーに対して、業務時間を使ったKaggleへの参加を認める制度がある。小野寺さんは業務時間の30%をKaggleに充てている。データサイエンティストは、ビジネス上の問題をデータサイエンスとして解くべき問題に落とし込むことが重要だ。小野寺さんは、仕事で出てきた問題をKaggleに近い考え方で解くだけでなく、Kaggleでいうところの課題を作る、つまり解くべきに値する問題を作るところまでを担っている。Kaggleで得られた知見は、DeNAのゲームやヘルスケア、スポーツ事業等の各サービスの向上につながっている。(取材・平川 透)

小野寺和樹(おのでら・かずき)
AI本部AIシステム部データサイエンス第一グループ、データサイエンティスト。Kaggle Grandmaster。Kaggle世界最高ランク37位。大学卒業後、銀行系基幹システム開発に従事。金融コンサルとして金融機関の審査モデル構築に携わりつつ、2015年にACM/KDD 主催のデータマイニングコンテスト KDD Cup 2015 にて準優勝。2017年、KaggleのInstacart Market Basket Analysisにて準優勝。現在はDeNAにて各種サービスの機械学習活用に向けた開発を行っている。

原田 慧(はらだ・けい)
AI本部AIシステム部データサイエンス第一グループマネジャー。数理学博士、Kaggle Master。前職ではコンサルタントとして金融機関向けのデータ分析に従事する傍ら、数学力とデータ分析コンペティションで鍛えた技術力を活かし新規分野開拓、社内外の分析技術者育成に従事。2018年2月にデータサイエンスチームの立ち上げメンバーとして入社、現在はマネージャーとして多くのプロジェクトに関わりながら、個性的なメンバーを率いる。

ニュースイッチオリジナル

【ファシリテーターのコメント】
Kaggleを覗いてみると、開催中のコンペの情報を見れます。コンペに参加しなくても、様々な組織がどんなデータと課題を持っているのかがわかるので、データサイエンスとは具体的にどういうことなのか多少感じることができるでしょう。小野寺さんは「データを見る」とさらりと言っておられましたが、Kaggleから適当に落としたパブリックデータはものすごい量で、一個ずつ見るなんて生半可な気持ちではとても無理だと思いました。
平川 透

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cat_oa-newswitch_issue_47b2435c9666 oa-newswitch_0_4a35ae2ed894_経営危機脱却の切り札?JDIがスマホ指紋センサー量産へ 4a35ae2ed894

経営危機脱却の切り札?JDIがスマホ指紋センサー量産へ

 ジャパンディスプレイ(JDI)は2019年度内に東浦工場(愛知県東浦町)でスマートフォン向け指紋センサーの量産を始める。既存のディスプレー技術を応用し、モバイル機器による電子決済の普及で高まるセキュリティー対策需要に応える。スマホ用液晶パネルへの依存を軽減するため、有機ELパネルと並ぶ新規事業と位置付ける。経営危機脱却の切り札となるかが注目される。

 JDIが東浦工場で生産を立ち上げるのは、スマホやタブレット端末向けの静電容量式ガラス指紋センサー。ガラス基板を用いることで、従来のシリコン基板では難しい大面積化を実現し、指全体を検出可能なセンサーサイズを低コストで確保できるという。ガラスの高い透明性も特徴で、ディスプレーとの組み合わせで端末の意匠性を向上させる。 

 これまでの指紋センサー事業は、同じ指紋認証用途で住宅などのドアロック向けで供給実績がある。ただドアロックは市場が限られ、より大きな需要を見込めるモバイル向けに狙いを定めて海外スマホメーカーなどと共同開発を進めてきた。

 今後、指紋センサーの受注が順調に増えていけば、東浦工場だけで賄えない可能性がある。20年度以降に、スマホ用液晶パネルの主力拠点・茂原工場(千葉県茂原市)を候補に増産投資を検討する。

 同じく新規事業と期待する有機ELパネルは米アップルの腕時計型端末「アップルウオッチ」の新モデルに採用され、11月中にも茂原工場で量産を始める見通し。こちらも有機ELパネルの増産対応として、現在操業休止中の白山工場(石川県白山市)の活用に向けた検討に入っている。

 経営危機のJDIは現在の債務超過を解消する資金調達計画を優先せざるを得ない。ただ危機を脱した後の成長戦略も同時に実行しなければ“日の丸ディスプレー”の真の復活はかなわず、指紋センサーなど新規事業の育成が急務と判断した。

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cat_oa-newswitch_issue_47b2435c9666 oa-newswitch_0_aa11106c79b6_腕時計の販売は好調でも、業績で明暗が分かれたのはなぜ? aa11106c79b6

腕時計の販売は好調でも、業績で明暗が分かれたのはなぜ?

 時計3社の2019年4―9月期連結決算が12日出そろい、セイコーホールディングス(HD)とカシオ計算機が増収営業増益、シチズン時計が減収営業減益だった。ただ、腕時計の完成品販売は、高級価格帯や人気ブランドを中心に各社とも好調を維持している。

 シチズン時計は時計事業の営業利益が前年同期比37・4%減。アナログクオーツムーブメント(駆動装置)の販売が厳しく「回復が見通せない」(佐藤敏彦社長)。工作機械事業も反動減や設備投資の先送りで営業利益が同33・3%減。20年3月期業績予想は据え置いた。

 カシオ計算機はコンシューマ部門が増収営業増益。「G―SHOCK」など中国市場の電子商取引(EC)向けが伸長。為替影響で20年3月期業績予想の売上高を下方修正したが「それ以外は予想通り」(樫尾和宏社長)としている。

 セイコーHDは時計事業の営業利益が同42・8%増。ムーブメント販売は苦しい状況が続くが、国内外で完成品の販売が好調。20年3月期業績予想の営業利益も上方修正した。

 完成品販売について、上期は消費増税前の若干の駆け込み需要があった。下期への影響について、シチズン時計の古川敏之取締役は「反動減の懸念は少ない」と見る。セイコーHDの中村吉伸社長は「年末商戦までに販売が回復するよう進めている」とした。

日刊工業新聞2019年11月12日

【ファシリテーターのコメント】
ムーブメント販売の苦戦はファッションウオッチなど普及価格帯市場の落ち込みが要因。生産合理化など各社どのような施策を展開するのか気になります。
国広 伽奈子

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cat_oa-newswitch_issue_47b2435c9666 oa-newswitch_0_86688310ae84_景観を損なわない「透ける二次電池」? NTTが開発 86688310ae84

景観を損なわない「透ける二次電池」? NTTが開発

 NTTは、従来比で電力量を約50倍に高めた「透ける二次電池=写真」を開発した。大きさを縦約29センチ×横21センチメートルと同10倍にし、性能を同5倍の0・25ミリワット時に高めた。従来はサングラス程度だった平均透過率を同3倍の69%と窓ガラス並みに高めた。市販のデジタル時計に接続した結果、2時間の動作を確認した。

 電解質をゲル化したことで、平均電圧を1・7ボルトから2・5ボルトに高め、透過率の向上につながった。より広い面積での成膜化が可能となり、電池の大型化も実現。新型電池6枚でボタン電池1個分の性能を持つ。

 観光地で景観を損なわずに情報を掲載する透明看板のほか、太陽光発電で得た電力を蓄電できる窓ガラス、スマートグラス用レンズなどへの利用を見込む。今後は折り曲げ可能なフレキシブル性能の付与を目指す。

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cat_oa-newswitch_issue_47b2435c9666 oa-newswitch_0_f09f2474f1b4_さりげなくプリンセスを身に付ける腕時計、「アナ雪2」とコラボ f09f2474f1b4

さりげなくプリンセスを身に付ける腕時計、「アナ雪2」とコラボ

 シチズン時計は女性向け腕時計ブランド「シチズン エル」からディズニーアニメと協業した5機種を11月下旬に発売する。22日公開の「アナと雪の女王2」の登場人物をイメージした2機種(写真)と3人のプリンセスをイメージした3機種を大人の女性向けに展開。価格は5万2000―8万8000円(消費税抜き)。

 キャラクターを前面に出さないシンプルなデザインが特徴。文字板とバンドの色でキャラクターを表現する。ダイヤモンドを使用し、意匠性を高めた。裏ぶたにはキャラクターのイメージを表す言葉を刻印した。

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導入広がる「信用スコア」、期待と軽視できない懸念

 「信用スコア」の導入を決めたり検討したりする企業が増えつつある。契約を確実に守るか、道徳的に正しいとされる行いをするかなどの“信用力”を点数化し、高得点の人に特典を与えるような展開が想定されている。従来は金融分野での活用がみられたが、飲食やITといった領域でも利用が広がる可能性が高まってきた。一方でスコア算出方法の妥当性確保や、消費者の理解促進など、課題は多い。各事業者には丁寧な対応が求められる。(斎藤弘和)

 「顧客(消費者)とお店の関係性をフェアにしていく」―。飲食店のインターネット予約サービスを手がけるテーブルチェック(東京都中央区)の谷口優社長は、2020年に参入を目指す信用スコア事業の意図についてこう説明する。

 近年、消費者が飲食店のコース料理を予約した後に無断キャンセルをする事例が問題視されている。谷口社長は店側が信用スコアを活用し、点数の低い人には予約時にクレジットカード情報の登録を必須としたり、来店予定日が近づいたら電話確認をしたりすることでリスクが低減できるとみる。逆に高得点の人へは優待を提供することなどでマナーを守る動機づけを図る。

 信用スコアに関する議論は国も進めてきた。総務省と経済産業省は「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会」を17年11月から開催。19年3月の第10回検討会では、海外における信用スコアの状況を示している。大量の決済データと人工知能(AI)を組み合わせて与信コストを下げ、従来は融資が困難と判断されてきた個人や中小企業への資金供給を行う例があるという。

 日本では、みずほ銀行とソフトバンクが出資するジェイスコア(東京都港区)が17年9月から「AIスコア」を提供。点数が高い人は好条件での借り入れができる。従来の融資では年収や勤務先が重視されがちだが「我々は性格とか、お金に対する価値観なども聞く。若い人ほど将来の可能性に期待をしてスコアを上げる仕組みも入れている」(大森隆一郎社長)。19年にはLINEやNTTドコモも信用スコア関連事業を始めた。

 ただ、信用スコアがもたらす懸念は軽視できない。総務省と経産省の検討会の資料では「就職や結婚などに信用スコアが使われると人間そのものの選別につながる恐れがある」と指摘された。そこまで行かずとも、不当にスコアが低いと判断されてしまった人が不利益を被るような事態は避ける必要がある。

 慶応義塾大学法学部の大屋雄裕教授は「例えば個人の自発的な行動に基づいて競争をして、格差が生じることは正当だ。だが一度スコアが下がったら社会的に排除されてしまうような“悪い格差”を避けるには、やり直しの機会が求められる。下がったスコアを上げる方法みたいなものが重要だ」と分析する。信用スコアに関わる企業には、消費者の理解や同意をどう得るかという点も含めた入念な取り組みが問われる。

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