cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_43f08422c6c8_揺さぶるイスに匂い装置も、VR体験をよりリアルにする技術の数々 43f08422c6c8 43f08422c6c8 揺さぶるイスに匂い装置も、VR体験をよりリアルにする技術の数々 oa-newswitch

揺さぶるイスに匂い装置も、VR体験をよりリアルにする技術の数々

 広島市立大学の脇田航助教らは、VR(仮想現実)コンテンツ用に搭乗者を揺さぶる駆動いすを開発した。球面と受け皿でいすを支える構造をもち、球面を滑らせることで前後左右に回転する。ジェットコースターやトロッコなどの座席が動く乗り物系VRコンテンツに提案していく。

 半球と受け皿でいすを支え、2本のシリンダーでいすをつり上げるように駆動する。搭乗者といすの重心が低いため、起き上がり小法師のように搭乗者を揺さぶる。身体全体を持ち上げて揺するよりも小さな力で済む。

 いすの回転角度は前後左右いずれも25度で、振れ幅は50度。搭乗者が揺らされると身体がしなるため、頭部の振れ幅は90度近くなる。新たにいすとシリンダーの接続部に回転継ぎ手を採用して、動きの表現を広げた。

 現在は半球を切削加工で製作しているが、金型を用意すれば製造コストを抑えられるという。50万円程度での製品化を目指す。VRアミューズメント施設などに提案。耐久性試験を経て2月を目標に同大発ベンチャーのランバス(広島市中区)で受注生産を始める。
日刊工業新聞2019年1月23日

歩行できる装置も開発
 広島市立大学の脇田航助教は、仮想現実(VR)ゲーム用の360度方向の歩行入力装置を開発した。腰を囲むドーナツ状のクッションの中に荷重センサーを配置し、移動方向を検出する。歩くように脚を上げた動きを計測して歩行や走行としてVRゲームに入力する。直径1メートル程度の装置の中で無限に歩き続けるようなVR体験ができる。

 VRゲームでは全身の動きを狭いスペースで計測し、コンテンツに反映させることが課題になっている。本当に歩いたり走ったりすると広いスペースが必要になり、ヘッドマウントディスプレー(HMD)などの配線の取り扱いが問題になってくる。

 そのため乗馬やサーフィンのような乗り物に乗せて下半身の動きを制限するコンテンツがアミューズメント施設では主流だった。

 今回、脇田助教は、クッションで腰を囲い、脚を動かしても実際には移動しない計測装置を開発した。クッション内部には腰の高さに荷重センサーが配置され、装置に体重をかけるとその力を検出する。さらに膝の上げ下げを、膝の付け根の高さのセンサーで計測する。膝の角度の計測分解能は5―15度程度。膝を上げ下げする速度を移動速度に反映できる。

 検出システムの部品原価2万円で構成できる。研究用試作ではドーナツ状のクッションや架台が高価になっているが、構造自体はシンプルなため量産機ではコストを抑えられると見込んでいる。

 ベンチャーを立ち上げて事業化する計画。まずは施設用のVRアトラクションに提案する。将来は家庭用の歩行入力システムに展開したい考えだ。

日刊工業新聞2019年12月26日
東工大は香りで演出
 東京工業大学の加藤真悟大学院生と中本高道教授らは、消臭機能付き嗅覚提示ヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)を開発した。部屋ににおいが充満しにくく、匂い情報を切り替えやすい。VR(仮想現実)コンテンツに香りを加えてよりリアルな体験を演出できる。

 HMDに後付けする形で、芳香部と消臭部を鼻を挟むように配置した。芳香部では香料を吐出すると弾性表面波素子に液滴がのり、高周波振動で霧状になって漂う。消臭部では霧を吸い込み、活性炭で吸着する。4種の香料をセットできる。

 1度に吐出する液滴は3ナノ―10ナノリットル(ナノは10億分の1)。においの強さは滴下量で調整する。香料1ミリリットルで10万回滴下できる。香料を混ぜることで幅広い香りを表現できる。

 HMD上で芳香・消臭することで部屋全体ににおいがこもりにくくなる。残り香が混ざらず、VRコンテンツ中のシーンの切り替えがしやすくなる。

 VR映画館のように同時に複数の人がVRコンテンツを鑑賞する場合でも、鑑賞者全員でのにおいの時刻同期が要らない。HMDなどの装着から鑑賞終了まで一人ひとり運用できるため、セットアップの人員を抑えられる。鼻の周辺にだけ香料が漂うため、空間全体に香りをまく例に比べて香料を減らせると期待される。HMDのVRコンテンツでは第一人称視点の作品が多く、鑑賞者が目を向けないと状況が伝わらないことがあった。においで視覚を補完することができる。

日刊工業新聞2019年1月16日

【ファシリテーターのコメント】
東映が映画館で公開したVR映画を以前、体験したのですが、音の迫力によって没入感がこんなにも違うのかと感じました。上記紹介した技術によって没入感がどの程度変わるのか、ぜひ体験してみたいです。
葭本 隆太

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_9e4f68627bf5_セイコーの「男女の壁を超える時計」は若者に響くか? 9e4f68627bf5 9e4f68627bf5 セイコーの「男女の壁を超える時計」は若者に響くか? oa-newswitch

セイコーの「男女の壁を超える時計」は若者に響くか?

企業の製品開発で「ジェンダー(社会的性差)」が重要テーマとして浮上してきた。意図的でなくても性差別的な表現や誤ったメッセージを発信すれば、交流サイト(SNS)などを通じて「炎上」し企業ブランドまで毀損しかねない。製品開発にジェンダーの要素を適切に取り入れられるかが問われる。
一方、「ジェンダーレス」、「ジェンダーフリー」など、性別に関係なく利用できる商品やサービスが増えつつある。男女の区分けをなくす、今までにない商品設計で新たな顧客を開拓している。


男女がはっきり分かれた商品展開が当たり前だったものの1つが、腕時計だ。腕のサイズの違いの他に、嗜好や時計に求める役割の差が背景にある。しかし近年、男性が細身の腕時計を付けたり、女性が大振りな時計を好むといった傾向が見られるようになってきた。若い世代をターゲットにし、同社初のジェンダーレスブランドを立ち上げたセイコーウオッチ(東京都中央区)に話を聞いた。(取材・昆梓紗)

時計離れを食い止めたい!
「いまの若者にとって、時計は欲しいものリストの最後尾に位置する存在」と話すのは、同社商品企画二部の渡邊花奈子氏。2019年、同社のカジュアルライン「ALBA」が40周年を迎えるにあたり、“時計離れ”が顕著なZ世代(10代~20代前半)にアピールできるような商品が求められていた。

 調査を進めていくと、レトロファッションの復刻で古着を取り入れたジェンダーレスな装いや、男性がメイクをしたり、女性向けの服を着こなしたりといった若者のトレンドが見えてきた。

 時計業界でも、男性が小さなサイズ、女性が大きなサイズの時計を選ぶといった傾向が見られるようになっていた。「もともと男女で分ける商品展開に疑問を持っていた」という渡邊氏は、男女を分けず、ジェンダーレスなブランド「fusion(フュージョン)」の立ち上げを決めた。



これまでに発売したラインアップ


同社では、企画の段階から、基本的には男女別に商品検討をしている。

その理由としてまず、腕の太さの違いがある。これに合わせ、社内規定で男女別にバンドの長さなどが決められている。

 そして男女の時計に求める機能や役割の違いが、商品企画の違いに表れている。男性は高い機能性を求め、コンサバティブなデザインを好む。高級時計を購入するのも男性が多い。一方、女性は時計をアクセサリーのように捉えている面があり、煌びやかで宝石が付いたものが多い。いろいろなデザインを持ち、ファッションによって付け替えたいというニーズもある。また、使用色も男女で分かれていた。

 「時計は既成概念が強い業界」と同社同部の竹内千恵課長が話す通り、この男女が分かれた状況はほとんど揺るぎないものだった。「ボーイズサイズ」として、女性でも使用できるサイズやデザインで作る事はあったが、色合いやバンドの長さなどは、男性用になっていた。そのため、完全に女性にはフィットしなかった。


しかし、Z世代のトレンドを見ていると、このような時計の作り方とは相いれない部分がある。「既成の価値観を超えた商品設計でないと、若者に寄り添った形にならないと感じた」(渡邊氏)。
フュージョンでは、ケースの径を36-38mmに設定。男性のミディアムサイズ、女性では少し大きめのサイズだ。またバンドの長さは調節穴を増やすことで対応した(※)。


一周回って新しい
時計に興味のない若者に立ち止まってもらうため、サイズは揃えながら、デザインにバリエーションを持たせているのがフュージョンの大きな特徴だ。現在、5ラインを販売。ファッションやカルチャーでかつての流行が男女ともに一周回って新しく取り入れられている現象に着目し、それぞれ50~90年代を切り取って新しい要素を加えたデザインになっている。9月に発売した新作では、80年代に流行したようなアメリカ西海岸のネオン風のデザインを取り入れた。



9月に発売した新作


 これに伴い、使用するカラーも男女の垣根を超えている。カラフルな蛍光色をアクセントに使い、蓄光して暗闇で光るなどの遊び心が散りばめられている。また、社内規定ではロゴは白黒で小さく配置すると決まっていたが、フュージョンではロゴTシャツのようにあえて大きく配置したり、色をピンクにするなどの工夫を凝らした。

 また若手クリエイターとのコラボレーションも積極的に行い、大胆な色遣いやディテールを実現した。LGBTのクリエイターも起用し、ここでもジェンダーレスな側面を見せている。

 実用面だけでなく、スーツなど男性の限られた着こなしの中でおしゃれを楽しめるものとしても時計は選ばれてきた。同社では男性向けの商品が多く、「グランドセイコー」をはじめ高価格帯商品にも強みを持つ。しかし若者世代ではファッションに時計を取り入れる文化も薄れつつある。「カラフルなスニーカーをファッションに取り入れるように、時計をアクセントにしてほしい」(渡邊氏)。

出典: Instagram


名前の通り、昔と今のカルチャーの融合、そして男女の融合=ジェンダーレスが表現されている「フュージョン」。しかし、あくまでもファッションに関心の高いZ世代向けに用意した特別なブランドであり、セイコー全体では今後も男女別のブランディングが続いていく。時計を隔てる男女の壁は高い。


(※)メタルバンド以外

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_ac8ed37fd967_大日本印刷初の女性役員、理系出身のキャリアで感じた不本意と喜び ac8ed37fd967 ac8ed37fd967 大日本印刷初の女性役員、理系出身のキャリアで感じた不本意と喜び oa-newswitch

大日本印刷初の女性役員、理系出身のキャリアで感じた不本意と喜び

企業の女性総合職は、1986年の男女雇用機会均等法の施行を機に急増した。第1世代が今、50歳代で役員に続々と就任している。理系の女性役員クラスも、2020年度の日刊工業新聞社のR&Dアンケートで、対象200社超の2割弱で誕生済みと分かった。業種の異なる3事例を通して、その肖像を浮かび上がらせる。初回は大日本印刷初の女性役員、宮間三奈子さんだ。

リポート繰り返し研究職復帰
―大学院修士課程を終えて、均等法施行の年の入社ですね。

「2年目に社内結婚し、やがて出産とイベントが続いた。仕事は研究管理で不本意だったが、育児休業制度がない時代で、結果的に続けやすかったかと思う。研究開発職に戻るために、『はやり始めた感性工学に当社も取り組むべきだ』とリポートを繰り返し提出し、実現させた」


―深掘りした技術テーマは何でしたか。

「住宅のショールームで使う画像イメージシミューレションのシステムだ。キッチンや浴室の機器を組み合わせた時の色や材質、サイズなどのイメージを高精細な映像で示す。1生活者としての自身のニーズがきっかけで、実用化できた」


―手塩にかけた技術を社会に届けるべく、ここでも異動の希望を出しました。

「企画開発部門に移り、後に管理職になった。『こういうのを待っていたよ』とお客さまにいわれ、提案が受注につながる喜びを味わった。機械工学出身だけに、開発した製品を社会に提供できるのは幸せだ。一方で納期や売り上げ目標に迫られたり、部下の育成に迷ったり、密度の濃い時間だった」


―キャリアを確立する40歳代の悩みはいかがでしたか。

「漠とした不安があった。同世代の男性は多数の兼務を持つのに、私の任務は一つだけといった気がかりだ。人材育成の部門に異動した頃、社外機関の研修に参加。他業種の女性部長らと接し、視野を全社に広げるなどリーダーシップのポイントを身に付けた」




宮間三奈子さん

―執行役員28人中の紅一点ですが、気後れはなさそうですね。

「どこにでも行って成長したい、と好奇心旺盛なのが強みだ。ダイバーシティーは多様な価値創造のためにも重要だ。事業部のナンバー2などを推進リーダーに据えて、社内変革を進めている」


【略歴】みやま・みなこ 86年(昭61)上智大院理工学研究科修士修了、同年大日本印刷入社。05年C&I企画開発センターVR企画開発室長。14年人材開発部長。18年執行役員。東京都出身、58歳。


【記者の目/“同志”の夫と困難乗り越え】

宮間さんの夫は入社同期で互いの職場も理解がしやすい。思春期の子どもを抱えつつ夫が単身赴任するなど、困難を乗り越える同志でもあった。一方で宮間さんの仕事の愚痴には、厳しい意見を返す時もあったとか。残念ながら宮間さんの役員就任前に逝去されたが、今なら果たしてどんな言葉をかけてくれるだろうか。(編集委員・山本佳世子)

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_0a8e92e1db3b_作成時間が7分の1に!コロナ禍で活躍、海外拠点“見える化”ツールの威力 0a8e92e1db3b 0a8e92e1db3b 作成時間が7分の1に!コロナ禍で活躍、海外拠点“見える化”ツールの威力 oa-newswitch

作成時間が7分の1に!コロナ禍で活躍、海外拠点“見える化”ツールの威力

海外拠点の見える化実現【海外渡航が困難な中でのOBM活用事例】

TKCが提供する「海外ビジネスモニター(OBM)」は、海外拠点の財務状況を“見える化”することで、海外展開を図る企業を支えるクラウドサービスだ。海外子会社の現地会計システムから仕訳明細を取り込み、親会社の勘定科目体系に組み替えて会計データを表示する。会計データは日本語や英語に自動翻訳され、親会社は海外子会社の業績を適時かつ正確に把握できる。海外展開に伴い経営・財務に関する業務が複雑化するなか、OBMは多くの導入企業で管理部門の業務効率化と海外子会社のモニタリングやガバナンス強化に貢献している。



OBMの詳細はこちらから

三木プーリ/勘定科目組み替え自動化 業務報告書作成時間を大幅短縮

【グローバル展開】


OBMを活用し、財務管理の強化に向けた取り組みを進めているのが、伝動・制御機器の総合メーカー、三木プーリ(川崎市中原区)だ。同社は変速機、カップリング、電磁クラッチ・ブレーキを中心に、機械・装置の伝達制御に欠かせない製品を手がける。国内に加え、アジア、北米、欧州地域で製造・販売拠点を持ち、代理店や技術提携先など独自のネットワークを構築している。


同社はこれまで海外子会社の財務情報は、現地の会計システムを通じてデータファイルを送り、本社でエクセルシートに集約し管理していた。だが、欧州で持ち株会社を設立するなど海外事業を強化していた2010年代前半から「海外子会社の財務データを個別に取りまとめ、統合・管理する業務のやり方に限界を感じていた」(笹健一執行役員)と明かす。





三木プーリ・本社テクニカルセンター


現地から送られる会計データは形式が統一されておらず、個別のデータを内容確認した上で、レイアウトを統一するなどの業務が発生。さらに、現地の勘定科目を日本の科目に手作業で組み替える必要があった。期限内にデータが届かないこともあり、課題解決の糸口を探していた。


【効率化に貢献】


役員会でも後押しを受け、第一段階として19年度から香港・台湾などの子会社にOBMを導入。初年度からその効果は発揮された。勘定科目の組み替えが自動化され、本社の会計システムには勘定科目が統一されたデータが転送される。内容確認や報告資料への転記作業などの諸業務も効率化し、これまで7日ほど要していた業績報告書の作成時間を1―2日ほどに短縮できた。さらに、即時に海外拠点の業績把握が可能になり、経営状況の可視化を実現した。


導入時は現地会計システムの変更が必要なく「現地スタッフの業務負担の増加や、心理的な不安の抑制につながった」(同)と評価する。また、新型コロナ禍で出張できない状況の中、海外拠点の状況把握に貢献。導入途中だった子会社では「各国の会計システムに即したマニュアルを用意するなどTKCの細やかなサポートを受け、現地に訪問する必要も無く導入作業を完遂できた」と財務管理部の西牧久美子氏は振り返る。





三木プーリ・天津工場

20年中に米国拠点、その後はインドやドイツの子会社などにOBM導入を広げ、海外子会社と本社会計システムの連携を強化する計画だ。


使い方は“無限大”

【情報を一元管理】


三木プーリの財務管理部では、さらに先を見据えた「あらゆる企業情報を一元管理できる体制づくり」を目指している。それには会計・経営管理システムの各種データの連携に加え、海外拠点からより多様な情報を集約できる仕組みづくりが必要になる。OBM導入は構想の実現に向けた第一歩となった。西牧氏は「社長、副社長はじめ役員への説明当初、実現性は不透明であったにもかかわらず、その可能性にかけてくれた」と振り返る。


さらに「OBMに仕訳をCSV形式で出力する機能が備わっているが、シンプルであるがゆえに『使い方』は無限大だ」と期待を寄せる。笹執行役員は将来の管理部門の戦略について「1カ所の専門部署だけで、世界中の拠点を管理できることが理想」と語る。これからの時代にふさわしい管理体制の構築に向け、同社の挑戦は続く。

cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_583bdf685f2f_中国新車販売、トヨタとホンダが単月過去最高のワケ 583bdf685f2f 583bdf685f2f 中国新車販売、トヨタとホンダが単月過去最高のワケ oa-newswitch

中国新車販売、トヨタとホンダが単月過去最高のワケ

日系自動車メーカー6社合計の8月の中国新車販売台数は、前年同月比12%増の約46万台と、4カ月連続で増加した。トヨタ自動車とホンダは8月単月として過去最高を更新した。中国市場全体では同12%増の約219万台と、5カ月連続でプラスとなった。地方政府の需要刺激策などもあり、コロナ禍による落ち込みからの回復基調を維持したようだ。(取材=西沢亮)


メーカー別ではトヨタが同27・2%増、ホンダが同19・7%増と2社が増加。4カ月連続で2ケタ増となったトヨタは「地方モーターショーが開かれた地域を中心に伸びている」(同社広報担当者)としている。


一方、日産自動車は同2・4%減、マツダは同2・3%減、三菱自動車は同48・3%減、SUBARU(スバル)は同8・8%減と4社が減少した。日産は8月は例年需要が落ち込む時期であり、中国事業は「引き続き堅実な実績を達成しており、市場全体の成長率を上回っている」(現地法人幹部の山崎庄平日産専務執行役員)との見方を示す。


中国市場全体では中国汽車工業協会によると、8月の販売は同11・6%増の218万6000台だった。うち乗用車は同6・0%増の175万5000台、商用車は同41・6%増の43万1000台と全体を押し上げた。







調査会社のマークラインズでは、乗用車は政府の支援策などで消費意欲が高まり、トラックがけん引する商用車は政策や投資の影響で好調を維持していると見る。電気自動車(EV)などの新エネルギー車の販売は同25・8%増の10万9000台と、8月単月として過去最高を記録。普及キャンペーンや地方政府の消費支援により、販売は安定的に拡大しているとしている。


SMBC日興証券の木下寿英シニアアナリストは15日付のリポートで、2020年の世界の自動車需要予想を従来の前年比20・9%減から同17・1%減に上方修正した。その要因の一つとして中国市場の動向を織り込んだ。同市場について「政府の積極的な関与もあり最も回復が早い。年末にかけてもグローバル主要市場の中ではベストパフォーマーであり続ける」との考えを示した。

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_eb0d4a997e5c_日産が全面改良する「QX60」、ルーミーで力強くエレガントさも eb0d4a997e5c eb0d4a997e5c 日産が全面改良する「QX60」、ルーミーで力強くエレガントさも oa-newswitch

日産が全面改良する「QX60」、ルーミーで力強くエレガントさも

日産自動車は高級車ブランド「インフィニティ」のスポーツ多目的車(SUV)「QX60」を8年ぶりに全面改良する。2021年の発売を前に、外観デザインの方向性を示した量産前の試作車「モノグラフ=写真」を横浜市西区の本社で世界初公開した。


QX60は3列シート。従来から広々とした「ルーミー」な車内空間が特徴で、ファミリー層の人気が高い。全面改良にあたり、インフィニティの中村泰介シニア・デザイン・ダイレクターは「ルーミーで力強いSUVだが、エレガントな部分がある」とデザインの特徴を強調する。モノグラフではフロントグリルに折り紙から着想を得たデザインを採用するなど日本らしさも表現した。


インフィニティは米国を中心に日本を除く23カ国で展開。調査会社のマークラインズによると、2019年の販売台数は約18万台だった。日産は5月に23年度までの中期経営計画を策定。インフィニティも含め1年半に12の新型車を積極投入するなどして業績回復を目指す。


アシュワニ・グプタ日産最高執行責任者(COO)は25日に公開したQX60モノグラフのオンラインイベントで「現在のインフィニティ製品には京都のテイストをわずかなりとも感じられるだろう」とアピール。日本の伝統や文化も取り入れながらブランド価値を高める考えを示した。

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_2eb980aef87d_菅政権が促す中小企業の再編や生産性向上、淘汰で地域経済に悪影響も 2eb980aef87d 2eb980aef87d 菅政権が促す中小企業の再編や生産性向上、淘汰で地域経済に悪影響も oa-newswitch

菅政権が促す中小企業の再編や生産性向上、淘汰で地域経済に悪影響も

菅義偉政権が中小企業の生産性向上や再編を促す構えを見せている。10月からは2021年度税制改正について、与党内での議論が本格化する。政府は新型コロナウイルス感染症緊急経済対策に基づき銀行や信用金庫など民間金融機関による実質無利子・無担保融資などで企業の資金繰りを支えてきた。新型コロナの収束が見通せない中で企業の淘汰(とうた)が進めば、地域経済や雇用への影響は無視できない。(宮里秀司)


地域・雇用の影響考慮 税制改正の議論本格化

第2次安倍晋三政権において、中小企業向け設備投資促進税制の拡充や、非上場株式の事業承継税制に関する適用要件の緩和などが実施された。10月1日には事業承継時に経営者保証を解除する枠組みを定めた中小企業成長促進法が施行する。


事業承継をめぐっては会社を譲り受けた親族などが、旧オーナーの負債を個人で背負わされる問題点もあり、経営者保証の解除は大きな前進となる。ただ、中小企業の多くは資金調達が金融機関からの借り入れが中心で、財務基盤が弱いという課題もある。








承継▶経営者保証解除に注目 欠損金▶繰越控除拡充へ期待

森下正明治大学政治経済学部教授は「土地や建物、機械設備といった資産を持つ製造業などであれば会社を売れるが、負債が多く資産が少ない会社は買い手がつかない」と指摘する。事業承継に注目が集まる中で「4、5年前から廃業支援が言われ始めたが、廃業については経営者の家族や残された従業員を含めた支援策が乏しい」と、政策が行き届かない部分もある。


中小企業関係者からは新型コロナによる急激な業績悪化を受け、欠損金の繰越控除制度の拡充を求める声もある。同制度は、ある事業年度で益金(収益)よりも損金(費用)が多い場合、益金を超える部分の「欠損金」を翌年度以降に繰り越し、将来の所得から差し引ける制度。期限は10年で、欠損金の繰り越し控除について、中小法人は所得の100%を損金算入できる。


日本商工会議所は「21年度税制改正に関する意見」で、資本金1億円超―10億円以下のいわゆる中堅企業も、繰越控除限度額を現状の50%から引き上げるべきだとしている。併せて、08年9月のリーマン・ショック時に生じた欠損金が一部期限切れとなった例があることから、繰越期間の延長も求めている。


国税庁の会社標本調査では、資本金1億円以下の法人による法人税額は、18年度が4兆6000億円と全体の38・05%に過ぎない。背景として中小法人の約6割が赤字で、法人税を納めていないことがある。財務状況を見ても、中小企業全体では、負債が純資産を大きく上回っている。








黒字法人の増加カギ 実態に即した政策不可欠

国はこれまでも中小企業の生産性向上や規模の拡大により、黒字法人を増やし法人税を納める企業を増やそうと施策を講じてきた。毎年、政策的経費が税収を上回る国の財政状況を考えれば、中小企業の収益力向上は歳入増につながるという論理だ。


日銀がまとめた資金循環統計によると、20年6月末の金融機関の貸出残高は前年同月末比7・6%増の942兆円となった。金融機関を除く企業の金融資産残高は同4・8%増の1185兆円。新型コロナの影響で手元資金を積み増す動きが広がり、現預金残高は同16・3%増の308兆円。金融機関の貸し出しが増えた背景には国の政策的支援がある。これがいつまで続くかは新型コロナの収束や需要の回復次第と言えそうだ。


こうした中、菅首相は地銀の再編・統合に言及している。中小企業に対するさまざまな優遇制度や補助金・助成金が見直される可能性も出てきた。山口義行立教大学名誉教授は「銀行が統合したところで、資金の供給量は変わらない。支店や行員の数を減らすと企業の面倒見が悪くなる」と、金融仲介機能の低下に懸念を示す。


中小企業の生産性向上や規模の拡大についても「生産性が低い理由の一つに下請け問題がある。企業規模を大きくして大量生産するようになると(生産量維持のため)逆に下請けに入らざるを得ない」と矛盾をつく。コロナ禍で需要構造が変化している。「低成長下で市場が細分化している中で、小さな“こだわり消費”に対応できるのが中小企業だ」と話す。


中小企業の生産性を高め雇用拡大を目指す施策が打たれてきたが、大きな成果が出たと言える状況ではない。国内の需給構造の変化に応じた支援策も必要になる。出資規制緩和などにより金融機関の稼ぐ力を向上させ、中小企業の“脱下請け”を後押しする方策が求められる。

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東京ディズニーランド、「新常態+新エリア」で復活の魔法をかける

新型コロナウイルス感染拡大で、観光業は壊滅的打撃を受けた。先行き不透明感が漂う中、オリエンタルランド(OLC)が運営する東京ディズニーランド(TDL)が過去最大規模の開発を完了し、大きな変貌を遂げた。ゲストの安全確保のためのソーシャルディスタンス確保や入園者数の制限などニューノーマル(新常態)を運営に取り入れ、“夢の国”が復活に向け新しい魔法をかける。(千葉・前田健斗)


三つのエリアにまたがるTDL史上、最大規模の開発は2017年4月に着工。総額約750億円を投じた“バージョンアップ”で明るい未来が描かれていたが、コロナ禍の影響で今年2月からは臨時休園に追い込まれた。OLCでは19年度の来園者数を開園以来過去2番目に多い3150万人以上と予想(1月時点)。だが、結果は前年度比10・9%減と大幅減となった。4月に予定していた「美女と野獣」などのエリアの開業も延期。JR東日本によると玄関口である舞浜駅の19年度の1日平均の乗車人員は7万8811人(前年度比5・2%減)と落ち込んだ。


こうした中での新エリア開業に、OLCも万全の体制で臨む。現在、入園には事前にオンラインで日付指定のある入場券の購入が必要だが、新設の「美女と野獣“魔法のものがたり”」「ベイマックスのハッピーライド」のアトラクションなどは混雑を想定し、入園後にスマートフォンのアプリケーションで事前エントリーする新たな方式を取り入れた。OLCの早川清敬執行役員は「パークは永遠に完成しないという考えのもと、引き続き魅力を高めていきたい」と強調する。


国内最高の人気を誇るTDLの新エリア開業は、経済再生に加えて感染拡大防止と顧客満足度の向上を目指すウィズコロナへの挑戦に大きな意味を持つ。

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cat_oa-newswitch_issue_43f08422c6c8 oa-newswitch_0_5b45258b194e_次世代電池技術で世界をリード、特許出願上位10社中7社が日本企業! 5b45258b194e 5b45258b194e 次世代電池技術で世界をリード、特許出願上位10社中7社が日本企業! oa-newswitch

次世代電池技術で世界をリード、特許出願上位10社中7社が日本企業!

欧州特許庁(EPO)と国際エネルギー機関(IEA)は、2000―18年の電池技術の特許出願件数の世界上位10社のうち7社をパナソニックやトヨタ自動車などの日本企業が占めるとする調査結果をまとめた。さらに14―18年にリチウムイオン電池関連の特許発明者数で日本は世界全体の4割にのぼることを明らかにした。日本が次世代電池技術の開発競争で世界をリードしていることが分かった。


00―18年の電池技術の特許出願件数の1位は韓国のサムスン。日本企業は上位10社のうち7社を占め、さらに上位25社のうちの13社が日本を拠点としている企業であることが分かった。


IEAのシナリオによると、気候変動と持続可能なエネルギーの目標達成には40年までに世界で現在の市場規模の50倍に相当する1万ギガワット時(ギガは10億)の電池やエネルギー貯蔵量が必要になるとされている。


報告書では、05―18年で電池や蓄電技術の特許出願の平均年間成長率が、全技術分野の4倍となる14%に到達。さらに18年の蓄電に関する新規の「国際特許ファミリー(複数国への特許出願のまとまり)」は00年の7倍以上となる7000件以上にのぼった。

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スペース半分で十分!コロナで都内ベンチャーのオフィス戦略が変わる

新型コロナウイルス感染防止で導入が加速する在宅勤務が、東京都に本社を置くベンチャー企業のオフィス計画に影響を及ぼしている。キュービットロボティクスは9月末をめどに、本社を千代田区から中野区東中野へ移転する。クリップラインは港区から品川区西五反田へ本社を移した。在宅勤務で出社人数が減ったためオフィス面積は縮小する一方、来客向けや社員同士の交流促進のためのスペースは確保する点が共通する。コロナ禍はベンチャーのオフィス戦略にも変化を迫る。


キュービットロボティクスは外食産業向けカフェロボットや搬送ロボットの開発を手がける。東中野の新本社は面積が100平方メートルと、現在のほぼ半分で賃料も下がるという。


一方、顧客向けに操作デモができるスペースは確保した。「動画だけではリアル感が伝わらない。アピールにはロボットを実際に動かして体感してもらう現場が不可欠」と中野浩也社長。単なる本社移転なら面積はもっと狭くできたという。


クリップラインも新本社の面積は、234平方メートルと従来の半分以下に抑えた。家賃は月100万円と従来の5分の1で、年間で約5000万円の節約が可能になった。浮いた資金は従業員採用や商品開発に活用する予定。「リモートワークの導入は、感染症対策というだけでなく、通勤や身支度の省略による時間の節約に結びつく。生産性向上も期待できる」と高橋勇人社長は語る。


一方、在宅勤務でコミュニケーションの場が減り孤独感を感じやすくなったり、チームワークを醸成しにくかったりするとの不安の声に応え、新本社は雑談の場となるラウンジ席や、固定席のないワークスペースを用意するなど工夫した。


飛行ロボット(ドローン)関連事業のブルーイノベーションは、業容拡張で2021年にも東京都文京区の本社を移転・拡張する計画だったが、在宅勤務の拡大を受け、計画を取り止めた。在宅勤務者が増えたことで生まれたオフィスの空きスペースは「各種ドローンの展示や飛行デモに活用する」(熊田貴之社長)方針だ。


在宅勤務で出社人数が減ったことを受け、オフィスを縮小して家賃を抑えるといった取り組みだけでなく、それを契機にオフィス機能を高められるよう各社が知恵を絞る。

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