cat_oa-newspostseven_issue_0b75e2b8e3ca oa-newspostseven_0_0b75e2b8e3ca_田嶋陽子さん、かつての女性論客を批判「みんなズルかった」 0b75e2b8e3ca 0b75e2b8e3ca 田嶋陽子さん、かつての女性論客を批判「みんなズルかった」 oa-newspostseven

田嶋陽子さん、かつての女性論客を批判「みんなズルかった」

2020年4月6日 07:05 NEWSポストセブン

 今、田嶋陽子さん(79才)を再評価”する声が日増しに高まっている。きっかけは2019年秋だった。創刊まもないフェミニスト雑誌『エトセトラ』が「We Love 田嶋陽子!」と銘打って一冊丸ごと田嶋陽子特集を組んだこと。そして1992年に出版された田嶋さんの著書『愛という名の支配』が新潮文庫で復刊されたことを機に、新聞、ラジオ、雑誌などが続々と田嶋さんをフィーチャーするようになったのだ。

 * * *

 イギリスへの留学を経て大学教授として法政大学で英文学と女性学を教えていた田嶋さんが、ブレークするひとつのきっかけとなった『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)に初めて出演したのは1991年。

 当時、女性の社会進出は進みつつあったものの、働く女性は「OL」とひとくくりにされて、結婚や出産で会社を辞めるのが当たり前だった。

 実際、当時の厚労省の調査によれば“女性の”育休取得率は4割。そもそも制度のない会社も多かった。

 1980年代後半は、空前のバブル景気によって着飾ってディスコで踊る強い女も喧伝されたが、会社や家庭では女性はあくまで男性のサポート役とみなされ、強気のバブル女子もその財源は気まぐれにもらえるお金持ちのあぶく銭。自立からはほど遠い時代だった。

 そんな時代にテレビ映えするファッションで登場した田嶋さんは、〈男だってパンツを洗え!〉〈女性はパン(職業)を、男性はパンツ(家事)を〉といったセンセーショナルな発言を連発し、ビートたけしや嵐山光三郎氏、故三宅久之氏ら男性コメンテーターをタジタジにさせた。

 激論の最中に、「もう帰る!」と席を立つ「先の読めなさ」も視聴者の心をつかみ、一躍時代の寵児となった。同番組プロデューサーの皇(すめらぎ)達也さんが振り返る。

「面白い大学教授がいる、ということで出演してもらったら、男性出演者とのバトルが大受けしました。田嶋さんは、いまでいう坂上忍や有吉弘行のように、テレビで本音を口にできる貴重な人。誰にだって本音はあるけれど、テレビでそれを言えるような勇気と度胸を持つ人は少ない。加えて、女性の論客として会ったことのないタイプだった。小池百合子さんのような女性論客は女性であることを意識して話すけど、田嶋さんは女性である前に“田嶋”でした。ベースがしっかりして勇気があるので本音をしゃべれたのでしょう」


 とりわけ白熱したのは、当時東大教授だった舛添要一さん(71才)との激しいバトルだ。時には互いに激高し、「ブス!」と声を荒らげる舛添さんに、田嶋さんが「ハゲ!」と怒鳴り返すこともあった。

「当時はコンビみたいにやりあっていましたが、台本なんてありませんでした」

 そう振り返るのは舛添さん。

「彼女のように声を荒らげて議論する女性はそれまでいませんでした。当時はよく『男はパンツを洗え』と言われたけど、私は家族の洗濯係で女房のパンツまで洗って干していた。家事もやっていたから『すべての男をダメって言うな!』と反論したのを覚えています」

◆うるさい女だ、いい加減にしろ!

 多くの男性の反感を買った〈男はパンツを洗え〉発言で、家庭内がガラリと変わったと語る女性もいる。

「テレビを見た母から『田嶋さんが言うんだから、やってくださいよ』と言われた父がなんと翌日に洗濯機を買ってきて、自ら洗濯するようになったんです。それまで“家事は女がやるもの”という考えだった父は、田嶋さんのおかげで大きく変わり、その後は料理までするようになりました」(40代会社員)

 ほかにも〈男手放しても職手放すな〉や、若い女性の性被害を議論した際に言った〈たとえ鍵がかかっていない家でも勝手に入れば泥棒〉などの名言に救われたと振り返る女性は少なくない。

 電車の中で突然見知らぬ女性が「私が言いたくても言えないことを言ってくれてありがとう」と泣きながら田嶋さんに告げたこともあった。

 だが当時は「女は人前で怒ってはいけない」とされた時代だ。テレビを見た男性からは「生意気」「うるさい女だ」「いい加減にしろ」といった激しい批判が殺到し、女性のファンや味方が大勢いた半面、「あんなに怒って同じ女性として恥ずかしい」という意見も散見された。

 このとき、当の本人は何を考えていたのか。

 田嶋さんは、「賛否両論の否がつらくて、誰の声も届かない山奥に住んでお粥をすすっていた」と振り返る。

「あの頃の女性論客やフェミニストってみんなズルかった。テレビを軽蔑したふりをして私のように表に立って主張しませんでしたから。だから当時は男性視聴者のバッシングだけでなく、アカデミズムの女性学の人からもそっぽを向かれたんです。私だけが死ぬほど叩かれたけど、いちいち反応していたら病気になるから一切耳を傾けなかった」(田嶋さん)

 あまりの悪口に耐えかねて新聞もテレビも見なくなったが、それでも『TVタックル』の出演は辞めなかった。

「本を書いても数千部しか売れないことがほとんどだけれど、テレビに出ると1%の視聴率だったとしても、およそ100万人が視聴します。当時の私は20%を叩き出していたから、2000万人が見ているわけ。もちろん私の意見に賛成の人ばかりじゃないけど、2000万人の中にはわかってくれる人もいるはずだから、嫌な思いをするたびにいつやめようかと迷い、それでも少しでもフェミニズムを広められるなら、ここで頑張ってみるしかないって」(田嶋さん)

 テレビ出演の前に書き上げた『愛という名の支配』も田嶋さんの背中を押した。

 同書で田嶋さんは、「女らしさ」という規範を押し付ける母親との関係に苦しみながら、その束縛と抑圧を乗り越えるまでの長い歩みを描いた。

「私は母親からいじめられてボロボロになったけど、本を書くことがセラピーになりました。自分なりのフェミニズムの視点を深めて、母の呪縛や支配から自立できました。自分を解放できたから、頭の中が岩のように固い世のオヤジたちから何を言われても怖くなかった。自分の頭で考えて自立することは、自信につながるんです。私はそのことをオヤジたちの向こう側にいる、多くの女性に伝えたかった。テレビの中ではオヤジたちと闘っているように見えたかもしれないけれど、私はつねにブラウン管の向こうに向けて発言していました」(田嶋さん)

 同書に田嶋さんの原点があると語るのは作家の山内マリコさんだ。前述した『エトセトラ』の責任編集を務める山内さんは同書に解説文を寄せている、

「田嶋先生はご自分の体験から、苦しみの根っこにあるものは何だろうと考え抜いて、“構造としての女性差別”という答えにたどりついた。血の通った優しさがあって、そこが好きです。フェミニズムは女性を、いつの間にか背負わされている苦しみから解放してくれるんです」(山内さん)

 2001年、田嶋さんは当時の土井たか子社会民主党党首に誘われて参議院選挙に出馬し、見事に当選した。

『TVタックル』の初出演から10年の時が流れていた。田嶋さんの登場以降、社会は少しずつ女性の自立に寄り添ったかのように見えた。1998年には江角マキコが主演したドラマ『ショムニ』(フジテレビ系)の“闘うOL”がブームに。同年ケアマネジャー試験も開始され、多くの女性が受験した。社会で闘い、働く人が目指すべきモデルとされた。その一方で、働く女性が専業主婦にノーを唱える「専業主婦論争」も勃発している。

 女同士が綱引きをするなかで国会議員となった田嶋さんは児童虐待防止や原発反対を訴えた。しかし北朝鮮による拉致問題の対応などをめぐって社民党との間に亀裂が生じ、わずか1年で離党した。 

 田嶋さんと同じ時期に国会議員となった舛添さんは、「彼女は政治家に向いていなかった」と振り返る。

「政治家は組織人であり、党や支持者の縛りがあるから本音を語れません。田嶋さんのように媚びずに意見を忌憚なく言えるように見える福島瑞穂さんだって、党の公式見解以外のことは一切しゃべりません。田嶋さんは群れをなさない孤高の人で、自分の意見に合わないことには従えないから、きっぱりと政治家を辞めたのでしょう」(舛添さん)

※女性セブン2020年4月16日号

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cat_oa-newspostseven_issue_0b75e2b8e3ca oa-newspostseven_0_bbcbb11c697b_安倍晋太郎、加藤紘一… 総理になれなかった男の“その後” bbcbb11c697b bbcbb11c697b 安倍晋太郎、加藤紘一… 総理になれなかった男の“その後” oa-newspostseven

安倍晋太郎、加藤紘一… 総理になれなかった男の“その後”

2020年9月19日 11:05 NEWSポストセブン

 勝者は勝つべくして勝ち、敗者は負けるべくして負ける──。極真空手の創始者・大山倍達の“勝負の神髄”は政界にも通じるのか。9月16日、菅義偉総理大臣が誕生した陰で、自民党総裁選で敗れた岸田文雄、石破茂はほぞを噛んだ。政治評論家の小林吉弥氏が話す。

「総理の座を掴むには、『天地人』の3要素が必要になる。天の時=運、地の利=立場、人の和=数です。菅氏には全てがあった」

 歴史を紐解けば“総理になれなかった男たち”には、3要素のいずれかが欠けていた。1987年の中曽根裁定で竹下登に総裁の座を譲った安倍晋太郎は、「天の時」を得られなかった。「竹下の次」が確実視されていたが、リクルート事件で竹下が辞任した時、安倍も事件に関与して「謹慎中」だったことから後継総裁の椅子を逃した。その後、膵臓がんに倒れ、2年後に逝去した。

 渡辺美智雄は「地の利」がなかった。1991年の宮沢内閣で副総理として次期総理の最有力候補だったが、膵臓がんを患い、病を押して1993年の総裁選に出馬するも河野洋平に敗れた。

「人の和」が得られなかったのがその河野だ。野党時代の自民党を率いて自社さ連立の村山内閣をつくって副総理に就任。村山が河野への禅譲を提案した時、自民党内の強い反対にあう。自民党総裁選で橋本龍太郎と争うことになったが、同じ宮沢派の加藤紘一が橋本支持を表明、河野は出馬を断念した。

「首相になる人物は権謀術数を使い、票を増やす。自分の考え方と違っても完全な喧嘩はせず、いざという時は手を握れる余地を残しておく。頭を下げられないとダメだが、人が良過ぎても推進力に欠けて天下を取れない」(小林氏)

三木武夫は「何度でも挑戦」の精神で総理の座を得た

 その加藤は1999年の総裁選に出馬。小渕恵三に敗れたものの、次の総理のポジションを得た。ところが、小渕が急死すると、密室の話し合いで森喜朗首相が誕生する。不満を持った加藤は、“加藤の乱”を起こすも、党内の支持を得られず失敗に終わる。

 その後の加藤と河野の政治家人生は対照的だ。加藤の裏切りで「総理になれなかった総裁」となった河野は森内閣で外相に就任、最終的には三権の長である衆院議長にのぼりつめた。一方の加藤は、秘書スキャンダルで議員辞職に追いこまれた。

 今回、総裁選初出馬の岸田、4度目の挑戦で完敗した石破の今後はどうなるか。

「国会議員票を伸ばした岸田氏が次期総裁の有力候補。ただ、もう禅譲の線はない。一人歩きして力を付ける必要がある。石破氏は茨の道になる。しかし、三木武夫は総裁選に3度敗れても『何度でも挑戦する』と意気込み、田中角栄の金脈問題での辞任後、突然首相の座が回ってきた。何が起こるかはわからない」(小林氏)

 以下に総理の座を目指しながら、それが叶わなかった政治家4人のエピソードを紹介する。

●渡辺美智雄(享年72)

 1991年の総裁選で宮沢喜一、三塚博と争った。最大派閥・竹下派の会長代行である小沢一郎が3人を面接。金丸信、竹下登、小沢の会談でいったんは「渡辺総理」が決まるが、金丸の変心で宮沢が総理の座を射止めた。渡辺は副総裁に就いたが、翌年膵臓がんが発覚。1993年の総裁選では河野洋平に敗れた。1995年9月に死去。

●河野洋平


 自民党が下野した1993年7月、16代総裁に。翌年、自民党、社会党、さきがけの連立政権誕生に尽力。社会党の村山富市委員長が首班指名を受けて与党に復帰したが、自民初の「総理になれなかった総裁」に。その後、歴代最長の約6年間にわたって衆議院議長を務めた。

●加藤紘一(享年77)


 1999年の総裁選では、小渕恵三に敗れて2位。将来の総理は確実とみられていたが、“加藤の乱”で失脚。田中真紀子は「タイミングが半年遅かったし、半年早すぎるのよ」と加藤の政局観のなさを指摘した。

●安倍晋太郎(享年67)


 1982年、58歳の若さながら総裁予備選で中曽根康弘、河本敏夫に次ぐ3位につけた。中曽根内閣で外相を務め、竹下登、宮沢喜一とともに次世代のリーダーとして期待された。1987年の総裁選は中曽根裁定で竹下に首相の座を譲り、1991年に世を去った。

(文中一部敬称略)

※週刊ポスト2020年10月2日号

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スガノミクスの真実 サラリーマンには賃下げメニュー満載

2020年9月19日 07:05 NEWSポストセブン

 秋田の農家出身で、町工場の従業員から総理に上り詰めた苦労人──菅義偉・新首相の「立身出世物語」は庶民に寄り添うリーダー像を期待させた。だが、そのイメージが虚飾に過ぎないと明らかになるまで、そう時間はかからないはずだ。

 すでに菅新政権は「経済再生」の名のもとに、国民に厳しい鞭を振るうシナリオを作り上げている。サラリーマンには「定昇廃止」「残業代ゼロ」「クビ切り促進」政策が進められることになりそうだ。

 安倍晋三前首相の体調が悪化した今年7月、官房長官だった菅氏が中心になってまとめた経済財政の基本方針「骨太の方針2020」には〈フェーズIIの働き方改革に向けて取組を加速させる〉と盛り込まれた。この「新・働き方改革」は、菅政権の基本方針でもある。

 しかし、同じ「働き方改革」でも、安倍政権が賃上げを掲げたのに対し、菅政権の「フェーズII」は逆に“賃下げ”のメニューが満載だ。

 実は、これは経団連が今年初めに「働き方改革をフェーズIIに深化させる」(中西会長)と提言した報告書(経営労働特別委員会報告2020)に沿った政策だ。内容は、

【1】毎年、社員一律に給料が上がる「定期昇給」(定昇)の廃止→実質賃下げ

【2】定額の職務給となる「ジョブ型雇用」の導入→給料は上がらずクビ切りがしやすい制度

【3】「裁量労働制」の導入→残業代ゼロ制度

 などが柱となっている。


 すでに中西会長の出身企業の日立製作所では「定昇」を廃止し、“成果があれば昇給、なければ昇給なし”の成果型賃金を導入しているが、トヨタ自動車も来年度から一律昇給を廃止して成果型賃金を導入する方針で現在労使協議が行なわれている。

 コロナの感染拡大で世界的に需要が落ち込み、大企業は経営悪化で人件費をできるだけ削減したい。菅政権は「働き方改革フェーズII」で経団連の賃下げを後押しする。

※週刊ポスト2020年10月2日号

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cat_oa-newspostseven_issue_0b75e2b8e3ca oa-newspostseven_0_45685b2ba7e9_停滞の外食業界で独り勝ち「からあげ店」の原価と出店コスト 45685b2ba7e9 45685b2ba7e9 停滞の外食業界で独り勝ち「からあげ店」の原価と出店コスト oa-newspostseven

停滞の外食業界で独り勝ち「からあげ店」の原価と出店コスト

2020年9月19日 07:05 NEWSポストセブン

 最近、からあげ店が街に大増殖している。2018年に全国1408軒だった店舗数は、今や2487軒にまで増えた。コロナ禍で外食産業が軒並み不振に陥る中、からあげが一大トレンドとなったのはなぜなのか。

 からあげは子供も大人も大好きだが、ブームの理由はそれだけでは説明できない。外食ジャーナリストの中村芳平氏が解説する。

「からあげ店はテイクアウトの需要が多く、コロナ禍の巣ごもり消費とマッチしたことが大きい。それに有名チェーンはどこも原材料や人件費などを抑える工夫を凝らしており、それが急速な新規出店を可能にしています」

 からあげ専門店の中でも特にテイクアウトに注力しているのが、国産鶏のみ使用にこだわる店舗数1位(174店)の「鶏笑」だ。本部統括の植元裕太氏が言う。

「テイクアウトを中心に、緊急事態宣言以降、売り上げは1.5割近く伸びています。大分・中津の工場で作ったタレを各店舗で鶏肉に付けて揚げるだけのシンプルな調理で、すべてマニュアル管理。そのためテイクアウト専門店であれば調理から接客まで1人で対応可能です。ピーク時を除き基本的に“ワンオペ”の態勢でコストを抑えています」

 鶏肉の安さも“儲けのタネ”だ。鶏笑は3個・100グラム前後のムネを270円、モモを340円(いずれも税込み)で販売(地域により値段が異なる場合がある)しているが、その原価を教えてくれた。

「仕入れ値はモモがキロ700円、ムネがキロ350円ほどです。外国産ならモモでキロ400~500円くらい、ムネでキロ300円くらいが相場ですね。

 当店の人気商品はジューシーな味わいのムネ肉。外国産とほぼ変わらない値段のムネに高い商品価値があるので、国産でもやっていける」(前出・植元氏)


 店舗の立地にも工夫が凝らされている。

「出店は、繁華街や駅近ではなく住宅街やスーパー近くを狙う。地域の方の目に留まる場所に出店することで、広告費をかけなくてもご来店いただける。味に自信があるので、リピーターに支えていただきたい。だからこそ繁華街より地域密着型の店舗が重要なんです。

 必要な設備は、冷蔵庫と鶏肉を揚げるフライヤーのみ。6~10坪ほどあれば出店できるので家賃を抑えられ、店舗によっては出店時の初期投資は300万円ほどで済みます」(前出・植元氏)

※週刊ポスト2020年10月2日号



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cat_oa-newspostseven_issue_0b75e2b8e3ca oa-newspostseven_0_639cbc1ece65_ノビチョク暗殺事件が「日本」で起こる可能性はあるのか? 639cbc1ece65 639cbc1ece65 ノビチョク暗殺事件が「日本」で起こる可能性はあるのか? oa-newspostseven

ノビチョク暗殺事件が「日本」で起こる可能性はあるのか?

2020年9月19日 07:05 NEWSポストセブン

 恐るべき毒物を用いた事件が、またしても現実に起こってしまった──。8月20日、ロシアの反体制活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏がモスクワに向かう機中で突然意識を失い、家族の強い意向で、ドイツのベルリンの病院に移送され、毒物検査を受けた結果、猛毒の神経剤ノビチョクが使われた明白な事実が判明した。

 ドイツのメルケル首相はじめ、スウェーデンやフランス政府はこの事実を受け、ロシア政府に対して激しく抗議する声明を出した。ネット上で公開された機内でナワリヌイ氏がうめき声をあげている映像はあまりにも衝撃的だ。ただ幸いなことに現在ナワリヌイ氏はやっと自力で呼吸ができるまでに回復し、コメントを発表するに至った。

 神経剤ノビチョクは、英国で2018年、元ロシア情報員で英国の二重スパイだったセルゲイ・スクリパリ氏とその娘が襲われた事件でも使われている。英政府はロシア当局が親子を襲撃したと非難したが、ロシア政府は関与を否定した。

 平和な日本では馴染みの薄いノビチョクだが、国際社会での注目度は高い。そのノビチョク事件を予見していたかのような描写が、小説の中にも登場している。

〈「では、正体は」

 ──神経剤です。

 「確かですか」

 ──ええ、これはバイオ兵器の一種とみなしてよいと思います。

 「その殺傷能力について、たとえばVXガスと比較するとどうなりますか」

 ──致死性については、約五倍、ソマンと比べた場合は十倍です。おそらくこれは、通称ノビチョクといわれているものの改良版でしょう。

 ノビチョクという言葉を聞いて、吉良の口から、

 「ロシアですか」とひとことこぼれた。

 ──ご存知でしたか。

 「北大西洋条約機構が使っている検出装置にはひっかからないように作られた神経剤ですよね」[中略]

 なるほど。これで、刑事部と科捜研で起きていた事態は明確になった。何度やっても不可解な答えがでるので、科捜研はなかばパニックになり、それを水野が頑張れと叱咤激励して、時間ばかりがいたずらに過ぎた。〉(小説『DASPA 吉良大介』より)

 これは奇しくも7月に刊行されたばかりの榎本憲男氏の小説『DASPA 吉良大介』(小学館文庫)の一節で、東京・中目黒のマンションに住む白人男性が突然意識を失い死亡した事件が、ノビチョクによるものだと判明した場面である。

 そもそもノビチョクとは旧ソ連で開発された化学兵器であり、当時のNATO(北大西洋条約機構)の化学物質検出装置で検出されないように作られたと言われ、原因の特定が難しい。上記のシーンでは、毒物の解析をめぐって、警視庁刑事部と公安部の「縦割り」の弊害についても描写されている。

『エアー2.0』や『巡査長 真行寺弘道』と言った話題作を発表し続けている榎本氏の最新書き下ろし小説『DASPA 吉良大介』は、テロをはじめとした国家の非常事態に的確に対応するため内閣府に設置された各省庁からの選抜精鋭チームDASPA(国家防衛安全保障会議)の一員に選ばれた警察キャリア官僚・吉良大介が、日本国内で発生したノビチョクによる暗殺事件をめぐって、「縦割り」を打破し、真相を暴き、国家の危機に立ち向かうというストーリーだ。

〈「まずこの事件で、我が国の安全保障の危険水域が上がったことをアピールするんです。ロシアのGRUが国外で殺人を犯すという事件はありました。ただこの手の殺しはすべてヨーロッパ圏内でおこなわれています。日本にとってはこれが初のケースです」

「それでこの事件をDASPAの案件にしろってか。それは結構ハードルが高いぞ」

「けれど、事件の端緒をつけたのは紛れもなくDASPAですよね。DASPAの科学兵器開発班がノビチョクだと見破ったんです」〉(小説『DASPA 吉良大介』より)

 はたして今の日本で同様な事件が起きてしまったら、迅速かつ的確に対応できるのだろうか? 榎本氏はこう分析する。

「できないでしょう。極東の島国である日本は、距離によって安全が保たれていた部分は確かにあったと思います。そして、それは日本人に安心感を与えてきた。けれど、こういう密かな暗殺計画には、距離による安全はほとんど機能しません。さらにインターネットによる攻撃はこの距離を一気につぶしてしまいます」

 榎本氏といえば、2015年に『エアー2.0』によってオリンピックに向けて建設中の新国立競技場の爆破事件をテーマに近未来社会を描き、大藪春彦賞候補になるなど、時事的なテーマを先見的な視点で描いた斬新な作品を発表し続けている。

 そして今回も、ノビチョク事件を予見するかのようなタイミングでの新作刊行となった。いずれにしても事件が起きないに越したことはないが……。

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cat_oa-newspostseven_issue_0b75e2b8e3ca oa-newspostseven_0_519057d7b6a3_窪田&水川、蒼井&山里ら4組のコロナ禍での夫婦お出かけ姿 519057d7b6a3 519057d7b6a3 窪田&水川、蒼井&山里ら4組のコロナ禍での夫婦お出かけ姿 oa-newspostseven

窪田&水川、蒼井&山里ら4組のコロナ禍での夫婦お出かけ姿

2020年9月19日 07:05 NEWSポストセブン

 今年の春以降、新型コロナウイルスの感染拡大によっておウチ時間が増えたことで「コロナ離婚」なんて言葉も飛び交ったが、逆に絆が深まった夫婦もいるようだ。コロナ禍で、マスクをしながら外出する芸能人夫婦4組のそれぞれの“夫婦のカタチ”を紹介しよう。

 5月中旬、神奈川県内の高速道路のサービスエリアにいたのは、昨年9月に結婚した窪田正孝(32才)と、妻である水川あさみ(37才)。

 ベージュの開襟シャツに黒のワイドパンツ姿の窪田と、ビッグサイズのプルオーバーを着た水川。足元は黒いスニーカーで揃えられていた。2人は売店で買ったホットコーヒー飲みながら楽しそうに話していた。

 この日は、東京はいまだ緊急事態宣言下で、都県をまたぐ不要不急の移動については、自粛を求められている最中。そのため、細心の注意を払ってのドライブデートだった。とにかく、人と会わないように気をつけて、外食もせずテイクアウトで済ませたという。


 8月17日、「紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA」で行われた毎年恒例のトークライブ「山里亮太の140」。このライブが終わると、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」山里亮太(43才)と、妻の蒼井優(35才が並んで姿を見せた。

 蒼井も山里のライブを見ていたのだ。実はこの日は蒼井の35才の誕生日。ライブ初日と重なったことから「山ちゃんが愛する蒼井優さんの誕生日に合わせたのでは」との声も出ていたという。

 色違いのおそろいリュックを持ったふたりは、蒼井の運転する車で帰途についた。


 いろいろあったこの夫婦も、仲睦まじい様子を見せた。8月上旬、都内の高級住宅地に、小さな子供の手をとって歩いていたのは、アンジャッシュ・渡部建(47才)と、妻の佐々木希(32才)だった。

 

 男性の手は子供の右手と、女性の手は子供の左手とギュッとつながれており、時折、子供は両足を浮かせ、ブランコのように体が揺れるのを楽しんでいた。

 今年6月に渡部が複数の女性と不倫関係にあったことが発覚。「多目的トイレでの行為」などの詳細が報じられ、大バッシングを浴びて仕事はゼロに。

 佐々木は《この度は、主人の無自覚な行動により多くの方々を不快な気持ちにさせてしまい、大変申し訳ございません》と謝罪コメントを出し、「離婚しない」道を選択した。さらに、騒動後も間を置くことなくレギュラー番組に出演し続けている。


 同じく子供連れだったのは、お笑いコンビ・さまぁ~ずの大竹一樹(52才)とフリーアナウンサー・中村仁美(41才)だ。

 5月のある日、東京都内の繁華街。ベビーカーを押しながら先頭を歩く中村は、遠くまで通る声で話し続け、3歩うしろで子供ふたりの手を引く大竹はそれを聞きながら少し肩を落として妻についていった。

 

 大竹は「結婚して初めてこんなに家にいる。俺史上初」とラジオで語っており、ステイホーム期間は家族で過ごす時間が増えたようだ。この夫婦、テレビやラジオで「鬼嫁」「ダメ亭主」の“ネタ合戦”を繰り広げているが、結婚から9年が経った夫婦には、暗黙のうちに通じ合う部分もある様子。実際は夫婦円満だという。


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進化する高速道路のSA・PA コロナ禍でもリニューアル着々

2020年9月19日 07:05 NEWSポストセブン

 コロナ感染拡大に伴う人の移動制限が徐々に解除され、9月19日から始まる4連休は久々にクルマで遠出を予定している人も多いだろう。いま、高速道路にあるSA(サービスエリア)とPA(パーキングエリア)は、単なる休憩ポイントではなく、敢えて立ち寄りたい人気スポットになっている。そんなSA/PAの進化の歴史と新潮流について、モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。

 * * *

 高速道路にあるSAとPAには、レストランやフードコートが用意されています。最近では、どこのSAやPAにも、独自の凝った料理が用意されていますが、20年も時代をさかのぼれば、まったく状況が変わります。

 その昔の高速道路のSA/PAの料理は、どこに行ってもメニューと価格は同じで、さらに味までも同じだったのです。なんとなく同じではありません。定期的に検査が入り、厳格に味が統一されていたのです。これは、当時のSA/PAは日本道路公団という公的機関、つまりお役所が運営していたのが理由です。

 彼らとしてみれば、「全国、どこで利用しても均一。平等なサービスを提供する」という考えがあったのです。確かに、まだまだ自家用車が珍しい存在で、高速道路の利用もスタートしたばかりの時代には、そうした均一なサービスが求められていたのでしょう。しかし、バブルの好景気時代を経て、人々の舌が肥えてくればニーズも変化します。

 そんな日本道路公団に一大転機が訪れたのは、2005年の民営化です。ここで方針は一転。民間らしく、SAやPAごとに個性を出して競争しようとなったのです。ここから、徐々に食事の質は高まってゆきます。毎年のようにSAとPAの料理コンテストが開催され、料理人やスタッフのモチベーションも高まります。さらには、有名チェーン店やコンビニなどの参入も相次ぎ、気が付けば今のような大盛り上がりのSA/PAができあがってきたのです。


 そして競争が激しくなれば、当然のように個々のSAに個性を持たせるような傾向が強まるもの。その代表格と言えるのが、ほぼテーマパークと言える「鬼平江戸処(東北道・羽生PA上り)」と「寄居 星の王子さまPA(関越道・寄居PA上り)」でしょう。

 それぞれ「鬼平犯科帳」と「星の王子さま」という大人気小説をテーマにしており、凝った建物やグルメが用意されています。あまりの人気の高さに、常に混雑しているのが玉に瑕ですが、一度は覗いてみることをお勧めします。なんていっても無料ですからね。

 そこまで尖っていなくても地域の特性を生かしたSA/PAもあります。NEXCO中日本エリアの「NEOPASA(ネオパーサ)」やNEXCO東日本エリアの「ドラマチックエリア」などの呼び名で作られている施設です。

 また、駅ナカ施設のように、人気店を数多く揃えたSA/PAは、NEXCO中日本の「EXPASA(エクスパーサ)」やNEXCO東日本の「Pasar(パサール)」、NEXCO西日本の「PAVARIE(パヴェリエ)」の名称が与えられています。どこも、その施設だけのオリジナルや限定品となるグルメやお土産が数多く用意されているのが特徴です。観光やドライブなどで、どの施設に立ち寄ろうかと迷ったときは、こうした名称のあるSA/PAを選べば間違いないでしょう。

 ちなみに、高速道路のSA/PAを利用するのは、観光客だけではありません。流通のトラックや営業マンの運転手など、日々、働く人たちも高速道路のSA/PAを利用します。そういう人たちの目線に立てば、欲しいのは珍しいモノではなく、リーズナブルな定番の料理や商品です。


 そのため、上記のような、どちらかと観光客向けのSA/PAが増える一方で、逆にデイリーユース向けにしたPAも増えており、NEXCO東日本は、そうしたPAに「YASMOCCA(ヤスモッカ)」の名が与えられています。また、サービス施設は小さいけれど駐車場が広大というところはトラッカーの人気PAになっています。リーズナブルに食事を済ませたい人には、そうしたPAがお勧めです。


 今年は、あいにくのコロナ禍で、この春から夏にかけて高速道路の利用者が激減しました。その対策として、すべてのSA/PAでは、テーブルに飛沫防止のアクリル板を設置するなど、衛生面の対応を実施。グルメ系でいえば、テイクアウト・メニューの充実化にも努めています。春頃には、営業時間が短縮されるところも多かったのですが、夏以降、徐々に解除され、最近では通常営業に近い状態に戻ってきています。

 また、元公団なだけに、運営のスタンスは非常にロングスパン。コロナ禍での景気低迷があったといえども、定期的なリニューアルはしっかりと実施されています。


 直近でいえば東名・海老名SA(下り)、東北道・佐野SA(上り)、名神大津SA(下り)がリニューアルされており、設備がきれいになっているだけでなく、新たな店舗やサービスが追加されています。

 特に海老名SA(下り)は、利用者の多い全国屈指のSAですが、今年7月のリニューアルでお土産などを販売する店舗エリアが大幅に拡大。販売されるお土産類も、非常に力の入ったものとなっています。

 また、昨年にはNEXCO東日本最大級を誇る東北道・蓮田SA(上り)もリニューアルオープン。NEXCO中日本エリアとNEXCO東日本エリアの誇る巨大SAが2つ揃って新しくなっています。連休などでドライブすることがあれば、こうしたSA/PAに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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大学ミスコンに異変 SNS&ネット投票が抱える“闇”とは

2020年9月19日 07:05 NEWSポストセブン

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各大学の学園祭の中止が発表されている一方で、“オンライン学園祭”という新たな試みに乗り出す大学も多く、最大限できる楽しみを作ろうとする学生たちのポジティブなエネルギーを感じさせる。毎年恒例のミスコンも盛り上がる中、Twitter上を中心に「ミスコンマニアが感じ悪い」という批判が巻き起こっている。

 近年のミスコンでは、候補者たちはSNSを通して自己アピールを行ない、ファンと活発にリプライ(SNS上で返信すること)を交わす。そんな状況が「素人女子大生が無料で相手をしてくれる」と目をつけられてしまったのだろう。候補者に対して、いわゆる“クソリプ(セクハラまがいのリプライや、上から目線のリプライなど、「クソみたいなリプライ」を意味するネットスラング)”を送り付ける一部の人々が問題視されている。

 たとえば、Twitterで自分への投票を呼びかけるミスコン候補者に「結婚してくれ」というリプライを送りつけ、相手が戸惑いを示すと、「かわす技術が足りない」と説教を始めたり、深夜にもかかわらずコメント返信がないと「礼儀がなっていない」と怒り出したり……。どの候補者がどれだけリプライを返してくれたか集計しているマニアも存在する。候補者にとって、こういった“熱心なファン”の存在がプレッシャーになっていることは間違いないだろう。

 まるで“SNSキャバクラ”とでも言える状況も生まれてしまったミスコンの現状を「滅ぶべき文化だ」「大学名を冠してやるべきイベントではない」「父親が同じことをしていたら絶対に嫌だ」と厳しく批判する声はSNS上に多い。とはいえ、候補者自身は票欲しさにクソリプにもある程度対応せざるをえない。そんな候補者の苦しい事情につけ込んで、厄介なミスコンマニアたちは、「リプライを返してくれないと他の子に投票するぞ」というのを脅し文句にしている。

 アイドル文化への造詣が深く、オーディション「ミスiD」(講談社主催)の審査員も務めるプロインタビュアーの吉田豪氏は、大学ミスコンなどのオンライン投票イベントが抱える難しさをこのように解説する。

「アイドルやグラドル業界でも、ここ数年で、ファンが課金した金額を競うオーディションイベントが広がり、『お金を払ったんだから、自分の要求に応えてくれ』という態度のファンが問題視されています。これはミスコンのような無課金の投票イベントにも言えることです。ひとりで何度でも投票できるルールなら『俺がこんなに頑張ってるんだから』というファンが出てきてしまうし、ひとり1票にしたところで、複数のアカウントを作って、『生意気言うと投票してやらないぞ! 俺は別のアカウントからも投票できるんだ!』などと言い出す人がやはり出てくるはずです。ファンの頑張りによって勝敗が左右されるシステムの中では、どうしてもファンの発言力が強くなり、女の子との力関係が逆転してしまうんです」

 熱心なファンによる頑張りは、イベント全体の盛り上がりにつながる一方で、「女の子へのハラスメント」につながる危険性をはらんでいる。トラブル防止の方法はないのだろうか?

「まだ業界全体で対応策が見つけられていないのが現状です。運営がSNSをチェックすることは全く無意味なわけではありませんが、候補者全員のアカウントを24時間ずっと監視することは不可能でしょう。また、SNSアカウントのフォロワー数が人気のバロメータとして機能し、チャンスが回ってくる現実もあります。それで女の子たちが『じゃあフォロワー数を増やそう』と考えた結果、一部の変なリプライやDMを拒否しきれず病んでしまう。

 大々的に投票イベントをやる以上、どうしてもファンをヒートアップさせて盛り上げないといけませんが、ヒートアップした競争の中では、ファンも『これだけやったのだから見返りがあるべきだ』的な図々しさを持ちやすくなりますよね」(吉田氏)

 あくまで大学生主導のイベントであるミスコンだが、広告代理店や芸能事務所とのつながりがある場合も多く、「学生が主催するイベントとしては規模が大きすぎるのではないか」と指摘する声も上がっている。ネット投票によるイベントの盛り上がりが生み出す暗部とでも言うべきクソリプ問題への対処は、学生たちの手に余るのではないだろうか。

●取材・文/原田イチボ(HEW)

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内モンゴルでモンゴル語教育中止 取材の米人記者が拘束

2020年9月19日 07:05 NEWSポストセブン

 中国内モンゴル自治区において、9月の新学期から「これまでモンゴル語で教えていた小中学校や高校、大学でのモンゴルの歴史・社会、国語(文学)などの授業を中国語を使って教える」という指示がなされ、地元のモンゴル族の市民が内モンゴル政府に強く反発している。2000人以上のモンゴル族の教師と30万人の小中学生が授業をボイコットし、デモや集会を開くなどの抗議行動が拡大しており、一部が警官隊と衝突し、数千人が逮捕されるという深刻な事態を招いている。

 人権擁護団体の南モンゴル人権情報センター(米ニューヨーク)によると、中国政府は全国統一の学習要項を導入し、内モンゴル自治区では、モンゴル独自の歴史や文学などの科目を段階的に廃止していくことを決定。9月1日の新学期から、教育機関での授業はすべて漢語(中国語)で行うことになった。

 内モンゴル自治区は人口2500万人のうち、約17%に当たる425万人がモンゴル族住民。同自治区政府のモンゴル語授業中止政策が今年7月に発表されると、モンゴル族を中心に「モンゴル族独自の文化を消滅させる暴挙だ」として当局に反発する声が強まっており、9月に入って連日、住民や学生ら数万人が街頭に飛び出して、激しいデモが行われているという。

 とくに、同自治区の区都であるフフホト市内の「内モンゴル師範大学」の学生とその保護者らは大学の正門前で抗議デモを行ったほか、モンゴル語教育中止に反対する署名活動を展開したため、警官隊がこん棒などで殴り掛かるなど鎮圧活動を行った。

 同市内では1000人以上の市民が当局に拘束されたり、自宅軟禁状態におかれたり、市政府は外出禁止令が出すなど、フフホト市は事実上の戒厳令下にあるようだ。

 このようななか、米紙「ロサンゼルス・タイムズ」の女性特派員がフフホト市で抗議活動を取材中、突然、私服警官数人に囲まれて、首を両手で羽交い絞めにされるなどの暴行を受けたあと、警察署内で身柄を拘束され、4時間も尋問されるなどしたという。

 米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」によると、身柄を拘束された特派員は同紙北京支局のアリス・スー支局長で、スー支局長は同自治区から厳重警告を受けた後、釈放され、警官同伴でフフホト駅から北京行の列車に乗せられたとのことだ。

 中国では少数民族政策として、小中高大学などの授業では中国語で教えるようになっている。とくに、反中機運が強いチベット自治区や新疆ウイグル自治区では数年前から、民族独自の言語から中国語による教育に代わっている。今回の内モンゴル自治区でのモンゴル語使用中止措置もその一環だ。

 ネット上では「チベット語やウイグル語、モンゴル語は民族の歴史と同じだ。民族が独自の言語を失えば、民族自体が滅びるのは必然だ。習近平政権は、少数民族を浄化しようとしているのだ」などとの中国政府批判の声が上がっている。

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室井滋と千葉公慈が対談「現代人は無駄な時間を過ごすべき」

2020年9月19日 07:05 NEWSポストセブン

 混沌とする今の時代。新型コロナウイルスや異常気象、政治、経済……さまざまな不安や悩みを抱えながら、生きていかなければならない。どんな心持ちでこの先の人生を、前向きに歩いていけばいいのか。女優・室井滋さんが“ぶっちゃけ寺メイト”の宝林寺住職・千葉公慈さんに訊いた。話は、室井さんの友人のエピソードから始まり、“無駄な時間”の大切さに及んだ。

室井:昔、ちょっと変わった友達がいて、彼女は文字を書くのも食べるのも右利きだったんですが、あるときから左手でペンやスプーンを持つようになったんです。どうしたのと尋ねたら、右手ばかり使っているのはおかしいなと思ったからって。

千葉:世阿弥の言うところの「離見の見」で、これは仏教に由来する言葉なのですが、客観的に離れて見ることで己が何なのか真理に近づくという極意に通じますね。

 お友達の例でいうと、右手ばかりでは意のままですが自己を省みることはないでしょう。ところが利き手ではない左手で食事をして不器用に食べ物をこぼせば、途端に「手って何なのだろう」と意識するはず。

 思い通りの生き方をしているときには人生は何かと見ようともしないし、見えないもの。思い通りにならないときにようやく客観視することができると、お釈迦様も説いています。

 ですから、コロナ禍で世の中から隔離されて、周囲と自分の意識が違うかもしれないと疎外感や孤独感を味わうことは、人間が生きる意味を考える絶好の機会とも捉えられます。

室井:当時の私は友達が左手を使う意味がわからなくて、他にも好物ではなく自分の嫌いな物を選んで食べるとか、嫌いな人にどんどん話しかけるとか、そういう行動を見ても変わっているとしか思わなかったんです。

 だけど彼女とけんかをしたときに「室井はすごくはっきりした自分の個性があるから、そういうことが必要だと思わないんじゃないの」と言われてしまって。自分を探している人は不便なことをしたり、苦手な人とつきあったりしてみたいものなんだと言われて、ハッとしました。

 その頃、ちょうど仕事で忙しくなりかけていて、効率のよさを求めて無駄なことをだんだんしなくなっていたんです。本当に無駄かどうかは別として、自分が無駄だと思う時間をうっとうしく感じるようになってしまった。

 でもね、振り返るとその時間を排除したことで、私は自分をちょっと“殺した”んだなって。自分にとって悪いことをしてしまったんだなと、いまになってわかるんです。


「猫が好き」になった理由

千葉:仕事をしていれば踏ん張りどきも確かにありますが、無駄なことってすごく大事なんですよね。

室井:そう、大事なんですよ。

千葉:心を亡くすと書いて「忙しい」だと、よく師匠に言われました。

室井:本当に。忙しいというのはその人の心を殺しちゃうんですね。

千葉:なおのこと、現代人は己を知り、世の中を知るためにもっともっと無駄な時間を過ごすべきですね。

室井:ウチの事務所の社長はフグママって愛称で、動物が大好きな愛護の塊みたいな人なんです。野良猫とか鳥とかにいっぱい餌をやっているようなおばちゃんタイプ。でね、私があるとき猫を拾って、すごく忙しい時期だったから自分では飼えないと思って人に譲るという話をフグママにしたんです。

 そうしたら自分で飼いなさいって、ものすごく叱られたんですよ。だってそんなことしたら女優をやめなきゃいけないと反発したら、「じゃあ、女優をやめてちょうだい」とクビになりかけちゃって。

千葉:あらまぁ、そんなことが……。

室井:フグママが何でそんなことを言うのか、そのときは不思議でした。よそに行くまで3日ほど手元に置いたらかわいくなってしまって、あげられなくなっちゃったの。それを知ったフグママが泣きながら電話をくれて「ありがとう、ありがとう」とメッセージが残されていました。

 その後、私が女優としてお母さん役をやるようになったときに、「子育てを経験していないから母親の気持ちをうまく表現できるか心配もあったけれど、猫を飼うようになって包容力がついたわね」と、とても喜んでくれたものです。

千葉:1匹の猫との出会いで、思いがけない変化が訪れたのですね。

室井:その頃には6匹に増えていました(笑い)。最初の猫はチビと名付けて。チビと出会ったときは忙しいことを理由に猫を飼うことを無駄だと思っちゃったけど、飼うことで性格や気持ちがすごく変わったのは事実です。

千葉:役に立つ、役に立たない。忙しくする、暇である。私たちはそういった効率重視の行動基準をいったんすべて取り払うべき時期に来ているような気がします。

 ライフスタイルを転換させるAIやコロナの出現を逆手にとって、無駄であること、意味のないことこそ絶対的な価値のあることだと生き方を新たにするチャンスにするべきですし、そもそも、これまでが異常な時代だったのかもしれないとも思うんです。

室井:私たちは無駄を嫌い、意味を求めすぎているということですね。

千葉:生きるというのは無意味だからこそ無限の意味があると、仏教では説いています。人が人である理由は無意味だからこそあるわけで。暇をつくって、雲が流れるのを一日眺めているような日も大切ですよ。

室井:役に立つとか、立たないとかを考えることなく、ただ雲を眺める。

千葉:意味を求めなくていいし、勇気が要ることですが、何もしない時間があってもいい。人はメリットや重要性を求めたときに人間性を失っていくものなのです。初恋の人がそばにいるだけでドキドキしてやるべきことが手につかず、何の役にも立たない時間を過ごしたものですが、だからこそ心がときめいて輝いていたし、初恋に意味など求めなかった。そうでしたよね(笑い)?

室井:そうでした(笑い)。年を重ねると若い人の面倒になるのは嫌だからと高齢者の施設に入ろうとして、「私は何の役にも立たないから」みたいなことをご自身でおっしゃるかたも多いですよね。

 でも、私は何の役にも立ってなくても本当は構わないと思うんです。ただ一緒にいるだけでいい。ウチも呆けたばあちゃんと暮らしましたが、頭がシャッキリしているときに「私は何の役にも立たない」と言っていたんですよ。自宅で面倒を見るのはそりゃあ大変なこともありましたけど、それでも私は祖母がずっとそばにいてくれてありがたかった。

千葉:誰もが老いますし、大事な人を迷惑だなんて思いません。生まれるとか死ぬとか、年老いるということにもっと正直になっていいと思いますし、それこそ剝き出しに、心を裸にしていただきたい。人は誰しも存在そのものが揺るぎない現実であって尊いのです。

 現代人は先の見えない時代に不安もあるでしょう。でもどうかそれだけに心を奪われず、剝き出しになった自分がこうして生きていることに喜び、わくわくも感じてもらいたいなと願っています。

自己満足を追求してみる

室井:役に立つか、立たないかの話で思い出したんですが、90才近いけど足腰がとても丈夫で毎日家の裏山を登っているというおばあちゃんをテレビで見たんです。その山に何かがあるわけではなく、頂上でボーッとして帰ってくるのが日課だそうだけど、午前中も登って、午後も登っているの。山に登ることで誰かの役に立つわけではないし、体力的にはきついこともあると思うけれど、山があるから登るんですって。

千葉:繰り返しの中で折れない心を持って挫けることのない、ニーチェの言う“超人”ですね。夢中になって同じ遊びを繰り返した子供時代のような純粋な気持ちを、私たちも忘れずに持っていたいものです。そのおばあちゃまの感性がきっと山を呼んでいるんでしょうね。

室井:そうですね。山じゃなくても、1つでも、自分のために何かをするのはいいことだなって思いました。私は「やりたいことは全部やる」をポリシーにしているんですが、明日はこれをしてみようかなと思うことが1つでもあると気持ちに張りが出ると思う。くだらないかもしれないけれど、銭湯までの道をいつもと変えてみるだけで見たことのない道端の花や、個性的な家を見つけて意外に面白かったりもしますし。

千葉:誰の役に立たなくても、いい意味での自己満足を追求してみる。

室井:それでいいんですよね。

千葉:いまは1億総ツッコミの時代でちょっと個性のある生き方をするとすぐに“おいおい”と茶々が入りますが、人にツッコんでいるうちは半人前。私は自分の生き方を大切にする、ツッコまれる側の人間に魅力を感じます。自分のやるべき生き方が見つかれば、どんな困難にもめげずに生きていけるはずですから。

【プロフィール】

室井滋/むろい・しげる。富山県生まれ。女優。エッセイ、絵本も数多く出版し、本誌で「ああ越中ヒザ傷だらけ」を隔週連載中。本連載をまとめたエッセイ集『ヤットコスットコ女旅』は現在6刷を数えるベストセラーになっている。

千葉公慈/ちば・こうじ。1964年生まれ。曹洞宗宝林寺住職、東北福祉大学学長。『お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺』などに出演。『うつが逃げだす禅の知恵』『眠れなくなるほど面白い 図解日本のしきたり』(監修)など著書多数。

撮影/政川慎治

※女性セブン2020年9月24日

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