2017年はハリウッドの大物プロデューサーを筆頭に、セクハラ&性的暴行問題で激震したショービズ界…。実は女性蔑視や男女不平等などについて、ハリウッドの女性たちは何十年も前から声を大きく主張してきたのです。また、セクハラ問題と呼応して、オーディションで容姿について差別を受け、屈辱的な思いをしてきたセレブたちも多く存在していたをご存じですか?
>>>彼女たちはどのように戦い、乗り越えてきたのか…、現在第一線で活躍するトップ女優9人の経験談をご紹介いたします。
メーガン・マークル
まずは2017年、もっとも注目された女優から…。
大人気リーガルドラマ『SUITS/スーツ』のレイチェル役でブレイクした女優であり、慈善家、人道支援家、起業家である彼女、そしてなにより…英国のハリー王子との婚約で世界から注目を集めるメーガン・マークル。そんな彼女も、揺るがないアイデンティティを確立し、理不尽なことに打ち勝てるようになるまで、実に苦悩を重ねたということ。
「20代前半の頃はまだ、たくさんのことを受け止めようとしていて、ありのままの姿ではダメだと否定されてしまう業界のなか、自分の価値を見いだそうと必死にもがいていたわ。細くない、美人ではない、エスニック感が薄い…そんな風に言われたかと思えば、次の日には痩せすぎている、美しすぎる、エスニックすぎると言われるという感じだったの…」とメーガン。
そんな中で、あるキャスティング・ディレクターからオーディション中に言われた言葉をきっかけに、すべての悩みから解放されたといいます。「『そのままのあなたでいい』、ということを知っておくべきよ」と。
ヴィオラ・デイヴィス
映画『フェンス』でオスカー女優に輝いたヴィオラ・デイヴィスは、かつて「ニューヨーク・タイムズ」紙から…「『スキャンダル 託された秘密』のケリー・ワシントンや『エクスタント』のハル・ベリーのようなアフリカ系アメリカ人たちと比べると、いわゆる『古典的な美しさ』が足りない」と評されたことに対して、パワフルな声明を発表しています。
若い頃は自己否定することもあったというヴィオラだそうですが、「私は、美しさとは主観的なものだと思うわ」とABC局のトークショー番組『ザ・ビュー』で語っています。
「そういった批判的な言葉は、今までの人生でずっと聞かされ続けてきたわ。肌の黒い女性は、お母さんのおなかから出てきた瞬間からその言葉を言われ続けるの。『古典的に美しくない』というのは、『醜い』を言い換えてあなたを批判したり、存在を否定する言葉なのよ。若い頃の私は確かにダメージを受けたけど、今はもう平気よ。(中略)だって、最終的に自分のことを認めることができるのはあなただから…」と、ヴィオラは前に進み続けています。
セレーナ・ゴメス
ティーンの頃から絶大な人気を誇り、現在ではインスタグラムで1億3000万人以上のフォロワーを抱えるトップスターのセレーナ・ゴメス。
そんな彼女でも「セクシーさが足りない」、「みんなに受け入れられるために変わらないといけない」などと言われ続けてきたことを、数年前、コンサートに集まったファンに向けて打ち明けました。そんな彼女は、「気品」こそが誰もがもつことができるもっともセクシーなものなのと断言しています。
「みんなに伝えたいの。私は毎日のようにセクシーさが足りないとか、クールさが足りないとか、こうすればもっと認めてもらえるのにと言われてきたの。でも、一つだけ言わせて。何よりもセクシーなもの、それは『気品』よ。あなたはあなたであるために生まれたの。それはとても魅力的で美しいこと。どんなに辛いときでも、どうかそのことを忘れないで!」と、自分を再確認しながらファンを励ましたのでした。
ウィノナ・ライダー
映画『ヘザース/ベロニカの熱い日』のベロニカ役でブレイクし、『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』『若草物語』でオスカーにノミネートされたウィノナ・ライダー。
最近では、Netflixオリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス』でカムバックを果たし、再び注目を集めています。ハリウッドのクール・ガールの代表としてあげられる彼女ですが、若いころには「女優向きのルックスじゃない」、「美人ではない」と言われ、「女優になる夢を諦めたほうがいい」と助言され続けていたことを明かしました。
ウィノナは当時のことについて、ある雑誌の取材でこのように振り返っています。「あのときのことを、とてもよく覚えているわ。オーディションの最中、私がセリフを話しているときにキャスティング・ディレクターが私を止めてこう言ったの。『よく聞いて、お嬢ちゃん。あなたは女優になるべきではない。あなたはそこまで美しくないから。元いた場所に戻って、学校へ行ったほうがいい。あなたには無理よ』とね」。
リース・ウィザースプーン
2006年に映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、2017年は主演ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ ~セレブママたちの憂うつ~』がエミー賞作品賞に輝き、話題を呼んだリース・ウィザースプーン。
制作会社の経営も行う彼女は、男性優位のハリウッドにおいて業界の体質を変えるべく、多くの女性をサポートするための制作会社も経営しています。
2011年に『You magazine』のインタビューで、ハリウッドで女優の道を歩み始めたときに、「拒絶」された経験について明かしました。
「自分をしっかりもって、タフにならないといけないわ。最初にLAに来たばかりのころ、私は『ダメ、背は低いし、そこまで美人ではないし、賢くもない』と言われ続けたの。でも、彼らの言葉はあまり気にしなかったわ。私は負けん気が強いのよ」と、ウィザースプーンは話しています。
ジェシカ・チャスティン
2011年の映画『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』、2012年の『ゼロ・ダーク・サーティ』で、2年連続アカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、最新作『モリーズ・ゲーム』もアカデミー賞候補作と目されている人気女優ジェシカ・チャスティン。
しかし彼女もまた、「つい最近まで、私は外見が低い評価を受け続けていた」と告白しました。
およそ3年前の「テレグラフ」紙のインタビューで、「みんなが私のことを『魅了的だ』と言ってくれるようになったのは、ここ5年のことなの。それまでは『美人でない』と言われ続けて、役がもらえなかったの」と明かしています。
ミンディ・カリング
人気シットコム『ザ・ミンディ・プロジェクト』で主演のほか、脚本、監督も務めたコメディー女優ミンディ・カリング。
そんな彼女も以前あるテレビ局からコント番組のオファーを受けた際に、自分自身の役を演じるのに、「魅力も面白さも足りない」という理由で屈辱的な経験をしたことを「ガーディアン」紙で明らかにしています。
「その局はもうないし、私が出演した『ザ・オフィス』は、ここ数年においてNBC局で最もヒットした番組の一つになったわ。『ざまぁ見ろ』と思って、自分の価値を証明することができた気分よ。でも、そのときは最悪な気分だったけど…」とカリングは語っています。
メリル・ストリープ
言わずと知れたオスカー女優、メリル・ストリープ。ハリウッド女優のトップの座に立つと言っても過言ではありません。が、その地位にたどり着くまでに何度も、彼女自身の魅力を否定されたそうです。そして、「自分のやる気を奪おうとしてきた人々と、ずっと闘ってこなくてはいけなかったわ」と言います。
メリルは26歳のとき、伝説的な映画プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスによる映画『キングコング』のリメイク版のオーディションに呼ばれて参加。そのときの屈辱的な体験について、2015年にトーク番組『ザ・グラハム・ノートン・ ショー』で告白しました。
「私が部屋に入っていくと、彼(ディノ)の息子が座っていて…。すると、ディノがイタリア語で息子に話しかけたの。『どうしてこんな醜い女を連れてきたんだ?』ってね。私はイタリア語が分かるから、すぐに聞き取れたわ。若い女の子にとっては、一瞬で目が覚めるような言葉だったわ」とメリル。
大物プロデューサーからひどい言葉をささやかれたメリルですが、その屈辱をバネに、現在までにアカデミー賞のノミネートは20回を記録。さらに最新作『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』でも、アカデミー賞の前哨戦とも言われる2018年ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされています。
ケイト・ウィンスレット
映画『愛を読むひと』で主演女優賞に輝いたオスカーの常連ケイト・ウィンスレットは、自分の体型に自信をもつことや、ハリウッドにはびこるサイズ・ゼロ(米国における洋服サイズの1つであり、バスト80、ウエスト60、ヒップ86の体型に相当)のプレッシャーに屈しないことを度々発言してきました。
そんな彼女は、2016年の映画『スティーブ・ジョブズ』で英国アカデミー賞(BAFTA)助演女優賞を受賞。その受賞スピーチで、かつてこの業界でまともな役を演じるには体型が大きすぎる、と彼女に言い続けてきた人々に対して苦言を呈しています。
「私が若かったとき、14歳のころでした。演技の先生から『太った女の子の役でも良いのならいいんじゃない?』と言われたわ。そういうときに私が思うのは、若い女性は先生や友人、あるいは自分の親であっても、そんな言葉には耳を傾けないでほしい、ということ。私はそうしてきたから。そして自分の夢へ進んで、恐れを克服し、不安を乗り越えることができたの」と、女性たちへ力強いメッセージを送っています。
From ELLE UK
PhotoGraph / Getty Images
Translation / Ai Ono