映画史の中では、記憶に残る数々のクルマが登場してきました。その中でも、それぞれの世代やカーカルチャーに影響を与え、子どもたちが夢想するような存在となったクルマこそが、映画史に残る真のスターカーと言えるでしょう。
これまで大変好評いただきました『映画史に名を刻む名車5選「俳優以上に記憶に残るマシーン…」【Part1】』、【Part2】に続く第3弾として、再び名車を5選ご紹介します。シリーズとして『映画史に残る名車』は、まだまだ続きます。なので、ぜひ楽しみにしていてください。
【1】『ワイルド・スピード SKY MISSION』の1970年型「ダッジ・チャージャー」
「ダッジ・チャージャー」など、自動車満載の映画「ワイルド・スピード」シリーズが再びリスト入りしたことには、もっともな理由があります。
シリーズ第7作の中で、製作陣はドミニク・トレット(ヴィン・ディーゼル)の黒の「チャージャー」を、さらに手に負えないマシンへとつくり直しました。
熱心なオフロードレースファンのデニス・マッカーシーの手で改造された特製「チャージャー」。
究極のオフロードモデルとも言うべき1台です。
ホイールトラベルが大きく、最低地上高の高いデザインで、ビードロックホイールに巨大なオフロードタイヤを装着可能になっています。
また、大きなホイールをカバーするため、フェンダー部分は巧みに広げられています。このような改造により、目覚ましく印象的な1台となっています。
【動画】1970 Dodge Charger, Furious 7
この映画で最も印象的なシーンは、上空約9000mを飛行する輸送機の後方から、トレットが「チャージャー」ごと地上にスカイダイビングするシーンでしょう。
このクルマはパラシュートを切り離して道路に着地し、サスペンションが衝撃を吸収します。かなり現実離れしていることは間違いありませんが、この「チャージャー」の出来があまりにいいこともあり、一瞬でも「ありえるのでは」と思ってしまいます。
【2】『ジョン・ウィック』の1969年型「マスタング」
キアヌ・リーブスの映画の中で最も印象深いクルマといえば、ロサンゼルスのシティバス(『スピード』)かもしれません。ですが、最もクールなクルマは20年後の『ジョン・ウィック』に登場しました。
この「マスタング」は映画の中では、「Boss 429」というモデルとされていますが実は本物ではありません。
【動画】「Boss 429」
本物の「Boss 429」は希少で収集価値の高いクルマですから、2015年にはオークションで55万ドル(約6100万円)の価格がついたほど。
おそらく製作スタッフが1969年型の「マスタング・マッハ1」をベースに、「390 V8」エンジンあるいは「428」エンジンを積んだものでしょう。どちらのエンジンも映画映えが良く、間違いなくパワフルに見えます。
【動画】1969 Mustang, John Wick
この映画の素晴らしい点は、CGなしで本物のクルマを運転しているのが明白にわかることです。また、リーブスは特別なドライビングスクールに通った後、ほとんどのカースタントを自らこなしたそうです。
ベストシーンを1つ選ぶなら、リーブスが路面が濡れた空港の駐車場でフィッシュテイル走行を見せるシーンでしょう。「マスタング」でドリフトを繰り返しながら、ダンプカーの列に少しずつ近づいていきます。
ちなみにこのクルマは、『ジョン・ウィック:チャプター2』にも登場しています。
【3】『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の「ギガホース」
「マッドマックス」の熱狂的なファンたちは、このシリーズの再開を首を長くして待っていました。2015年の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の公開までには、前作から30年が経っていましたので…。
しかし、この映画にこれほど多くのワイルドで革新的なクルマが登場することを予想していたファンは少ないのではないでしょう。多くの面白いクルマやトラックが登場するという意味では、この最新作はこれまでのどの「マッドマックス」にも勝ると言えるかもしれません。
そんな中でも最もワイルドな1台が、この「ギガホース」です。
【動画①】The Gigahorse, Mad Max: Fury Road
このパワフルなクルマは一見、完全なCGのようにも見えます。ですが、実在するものです。
このクルマは、1959年型のキャデラックのボディを二重にして大型トラックのシャーシに乗せ、シボレーのスーパーチャージャー付きビッグブロックV8エンジンを積んでいます。
そのパワーは巨大なトラクタータイヤを動かし、このタイヤが1970年代の奇抜なドラッグレース車のような傾斜を生み出しています。
【動画②】The Gigahorse, Mad Max: Fury Road
「ギガホース」は普通のムービーカーのようにカースタントをこなせるわけではありません。が、このクルマが砂漠を走る様子を見ているだけでも、目が離せなくなってしまうものです。
このクルマの最も印象的なシーンと言えば、映画最後のカーチェイスシーンでしょう。一団が渓谷の間に入り、マックス(トム・ハーディ)とフュリオサ大隊長(シャーリーズ・セロン)、クルーたちが、ついにギガホースを運転する悪役のイモータン・ジョーをやっつけるわかです。
【4】『ブルース・ブラザース』の1974年型「ダッジ・モナコ」(ブルースモービル)
ブルースモービルは、バットモービルのようなハイテクカーではないかもしれません。しかし、ジェイクとエルウッドのブルース兄弟のファッションのように、このイリノイ州マウント・プロスペクトの元パトカーにもひと目でそれとわかる個性があります。
このシリーズはもともと、『サタデー・ナイト・ライブ』のベテランであるダン・エイクロイドとジョン・ベルーシによる短編コントから生まれたものです。
この「ダッジ・モナコ」が使用されたのはシリーズ1作目で、続編では1990年型のフォード「LTD クラウン ヴィクトリア」がブルースモービルに使われました。
【動画①】Bluesmobile, 1974 Dodge Monaco, The Blues Brothers
この映画では、13台の異なるクルマがブルースモービルとして使用され、いずれもカリフォルニア・ハイウェイ・パトロールの元パトカーをマウント・プロスペクトのパトカーに似せたものでした。このうちの一部はスピードに特化して改造されましたが、シーンごとにジャンプや複雑なスタントができるよう改造されたものもありました。
この映画では、多くのカーチェイスシーンのために60台以上の警察車両が購入・使用され、撮影現場には必要に応じて24時間体勢で修理を行う自動車修理工場も設けられました。
ちなみにこの映画で破壊されたクルマの数は、当時の世界記録である103台に上ったということです。
【動画②】Bluesmobile, 1974 Dodge Monaco, The Blues Brothers
『ブルース・ブラザーズ』には、伝説的なカスタム車デザイナー・製作者(モンキーモービルの製作者としても知られています)で、スタントマンやスタントコーディネーターの顔も持つディーン・ジェフリーズも携わっています。
ですが、彼は「モータートレンド」誌に「『ブルース・ブラザーズ』の仕事をしたけど、数百台のクルマをぶっ壊したはずだ」と語っています。
==== ちなみに続編の『ブルース・ブラザーズ2000』で壊された車両の数が何台かは、ご存知でしょうか?
答えは104台、前作の記録を自ら超えたというわけです。
[[image:https://scdn.line-apps.com/stf/linenews-issue-1293/rssitem-5343704/7217b75d5fef981c5490d321b3f173bd9685c1f3.jpg|Columbia Pictures]]==【5】『クリスティーン』の1958年型「プリムス・フューリー」== このジョン・カーペンター監督のホラー映画は、1958年型の「プリムス・フューリー」をストーリーの中心に据えており、リストから外すわけにはいきません。
当時のスティーブン・キングはとても人気があり、大きな影響力を持っていたため、この映画は原作が出版される前から製作が開始されました。
==【動画①】1958 Plymouth Fury, Christine== 情報源によって異なるものの、この映画では23〜28台のクルマが使用されたといい、このすべてが「フューリー」だったわけではなかったと言います。
コロンビア・ピクチャーズは米国全土に広告を出し、同じプリムスの「ベルヴェデア」や「サヴォイ」についても購入しようとしました。これらのクルマの大部分は映画の中で使われ、残りはスペアパーツのために使用されました。
==【動画②】1958 Plymouth Fury, Christine== 「クリスティーン」と名づけられた「プリムス・フューリー」が魔法のように元通りに戻るシーンでは、水圧ポンプを使ってプラスチックパネルの替え玉車を破壊するところを撮影し、これを逆再生するという手法が使われました。
1983年としてはトリッキーな特殊効果です。
==1970年型マスタングの「428スーパーコブラジェット」エンジン== ちなみに、「クリスティーン」のエンジンから聞こえる音は、「プリムス・フューリー」のエンジン音ではありません。
製作陣は、1970年型マスタングの「428スーパーコブラジェット」エンジンの音を使っているんです。
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From POPULAR MECHANICSTranslation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。