ロシアの恐るべき核魚雷は敵国の沿岸都市を葬り去り、しかも、津波を引き起こすために開発された兵器なのです。そして海中でのテストも、現在まで何度も目撃されてきました。
この兵器について、作り話と考えられたこともありました。ですが、インターネット上の研究者たちによれば、「このシステムの開発が始まった時期は、2008年にまで遡る」と言います。この兵器は最近ロシア軍の公募によって、「ポセイドン」と新たに名づけられました。
ポセイドンは以前、「ステータス6」あるいは「カニヨン」といった名で知られていたもので、最近ロシア防衛省のネーミングコンテストで「オーロラ」と「スキフ」という2つの候補を破って、正式に選ばれました。
残念ながら、これに最もふさわしいと思われる「The Worst Weapon(史上最悪の兵器)」という名前は挙がっていませんでした。応募された時点で、即決していたに違いありませんが…。(次ページに続く)
ポセイドン、死の魚雷。
潜水艦研究者で、世界の潜水艦に関する「World Submarines: Covert Shores Recognition Guide」の著者でもあるハイ・サットン氏の解説によれば、「ポセイドン」はこれまで開発された中でも最も大きな魚雷だということです。
全長約20m、幅2mのこの原子力魚雷は大洋を渡り、敵の沿岸都市や海軍基地を熱核弾頭で攻撃するために開発されたものです。この兵器は特殊な潜水艦で運搬され、いざというときには海底につながれたカプセルから発射されます。
当初の報道では、「ポセイドン」は100メガトンの核弾頭を搭載するとされていました。
これは過去に実験が行われた史上最大の水爆「ツァーリ・ボンバ」の2倍の規模で、沿岸都市全体を破壊するだけでなく、放射性降下物でいっぱいの人工の津波を引き起こすことで、内陸部にさらに大きな被害をもたらします。また、それだけではなく、この核弾頭には放射線を放出する「放射性同位元素」が仕込まれており、複数年におよんでその地域を汚染したまま人が住めない場所にしてしまうのです。
ポセイドンの搭載する核弾頭
サットン氏は「ポセイドン」の搭載する核弾頭について、「わずか2メガトン」に見積もりを修正しました。ですが、この「わずかな」搭載量でも大都市圏は破壊され、放射能で汚染された津波を引き起こすには十分な威力なのです。
またロシアは、「この魚雷は敵艦隊の撃破にも利用できる」とアピールしています。搭載される核弾頭は米国の空母戦闘群を破壊するには間違いなく十分な規模ですが、このロシア兵器が移動する敵艦隊の位置をどのように特定するかについては、はっきりしていません。
さらにサットン氏によれば、この兵器の開発が開始されたのは、ロシア海軍が特殊な潜水艦「サロフ」を受け取った2008年にまで遡るそうです。この潜水艦は「ポセイドン」の実験にも利用され、最終的には運搬にも携わる予定です。
ポセイドンの最高速は…
サットン氏のウェブサイト「Covert Shores」によれば、ポセイドンの最高速は以前は56ノットであったものの、現在は70ノット(時速約130km)で進むことができると記載されています。
これは米国の攻撃型原子力潜水艦自体、それにこれらに搭載される「対艦ホーミング魚雷」よりも速く、「ポセイドン」の攻撃に対する防衛オプションは限られることになります。また「ポセイドン」は、水深約1000mの深海を進むことができ、これは米海軍の潜水艦の潜水能力をはるかに上回っているのです。
「ポセイドン」は、「ロシアへの奇襲による核攻撃を実行した国への報復のための兵器」と考えられています。米国の弾道ミサイル防衛システムは空中を飛んでくるミサイルを迎撃できますが、この兵器は水中を進むことによって、この防衛システムを回避できるのです…そう、これを使命に、この「ポセイドン」は開発されたのです。
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By Kyle Mizokami
Jul 25, 2018
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Hikaru SATO, Kaz OGAWA