彼の名はゲント・ウェイクフィールド。ハリウッド顔負けの究極のエンターテイメントのプロレス団体「WWE」に所属する、志あふれるレスラーです。そして彼は2016年に、イギリスの自宅で死亡していたのでした…。
>>>彼の突然死から、インスリン使用の危険性について追究します。
インスリンを使用していた噂
2016年12月、ゲント・ウェイクフィールド氏は英国のタンストールにある自宅で死亡しているのが発見されました。この35歳のボディビルダーは熱意ある「WWE」のレスラーでしたが、死の数年前に上腕二頭筋の怪我により第一線を退いていました。
英タブロイド「ザ・サン」紙によれば、ウェイクフィールド氏は自分の怪我が「適切な治療を受けていれば完治していた」として、英国の国民保険サービスを提訴していたといいます。
その後の専門家による検死では、ウェイクフィールド氏の死因はわかりませんでした。
しかし彼の死後1年経った現在、「ホルモンの一種であるインスリンが、彼の死に一因となったのではないか」という一つの説がもち上がっています。
ウェイクフィールド氏は怪我の後、再び筋肉を鍛え上げるためにステロイドとともに、インスリンを使用していたことが噂されていました。そして、この薬物には危険な副作用のリスクがあるのです。
「ウェイクフィールド氏の死因はわかっていません」と、ノース・スタッフォードシャーの検死官であるイアン・スミス氏は「ザ・サン」に語っています。(次ページにつづく)
インスリンは血糖値を下げるホルモンの一種
「彼が薬物によって亡くなったのか、自然死であったのかは分かりません。どちらかに決めることはできないのです。私はインスリンの乱用の可能性がもっとも高いと思いますが、はっきりとした死因がわかることはないでしょう」とイアン・スミス氏。
2017年8月、散髪中に突然倒れ、その後亡くなった人気ボディビルダーのリッチ・ピアーナ氏の場合と同じように、ウェイクフィールド氏の突然死はボディビルディングにおけるインスリン摂取の危険性を提起するものです。
ピアーナ氏についても、検死官は多数の潜在的要因があったために具体的な死因を突き止めることはできませんでした。しかし、このセレブボディビルダーは常々、目標達成のためにインスリンを使用していることを堂々と公言していました。
「インスリンがウェイクフィールド氏の死因である」と確信をもって言うことはできませんが、一部のボディビルダーは筋肥大のためにインスリンを使用しており、これに極めて大きな健康上のリスクがあることは確かです。
インスリンは、血糖値を下げるホルモンの一種です。これは通常、1型糖尿病に関係するものですが、筋肉の発達も手助けする側面もあります。糖尿病ではない一部のボディビルダーたちが、トレーニングの効果を高めるためにインスリンに頼るのはこのためです。(次ページにつづく)
インスリンは入手が容易な薬物
ハーバードメディカルスクールで精神医学の教授を務めるハリソン・ポープ氏は、ボディビルダーの薬物乱用について大掛かりな研究を行ってきた医師です。そんなポープ氏は、ピアーナ氏の突然死があった後、インスリンについて次のように語ってくれました。
「インスリンは、ステロイドのように筋肉の成長をサポートする同化作用があるために幅広く使用されています。さらにインスリンは体内で吸収されるので、検査の際に発見されないのです」とポープ氏。
また、インスリンは入手が容易な薬物でもありますので…。(次ページにつづく)
インスリンを使用しているボディビルダーのリスク
「インスリンは他のパフォーマンス向上ドラッグとは異なり、規制薬物ではありません。このため、容易に手に入るのです」とハリソン・ポープ氏。
2013年の動画のなかでピアーナ氏が語っているように、インスリンには睾丸の収縮や胸の膨らみのような、他のアナボリックステロイドがもつホルモンの副作用がありません。しかし、インスリンはそれ自体が極めて危険なのです。
インスリンが正常に分泌される人が余分にこれを摂取した場合、血糖値が危険なレベルまで低下する可能性があります。ピアーナ氏をはじめとする一部のボディビルダーたちは、「十分な糖質を摂取する限りこのリスクは低い」と公然と主張してきましたが、ここには落とし穴があります。
インスリンを使用しているボディビルダーは、致命的な状況にいつ直面してもおかしくないようなリスクを犯しているのです。(次ページにつづく)
もっとも一般的なリスクは低血糖症
「メンズヘルス」でも以前にお伝えしたように、インスリンの過剰摂取によるもっとも一般的なリスクは低血糖症です。
これは脳卒中や昏睡状態、脳損傷(のうそんしょう)、そして死をもたらす可能性があります。インスリンの過剰摂取自体はめずらしくはありませんが、研究によれば、特に患者がすぐに治療を受けた場合は、めったに死に至ることはないと言います。
イギリス医師会雑誌『BMJ』に掲載されたある研究では、ボディビルダーの間でのインスリン使用の増加について調査しています。
その結果、この薬物は特に個人的に使用された際に危険性があったと研究結果が出されています。
「潜在的な致死性があるこの薬物は、場合によっては深刻な結果をもたらす可能性もあります。特にインスリンは恋人や家族などにも秘密にされて、使用されることも一般的だからです。この結果から分かることは、使用者は低血糖症を発症するリスクがあり、可能な医療支援を得られないまま長時間この状態が続けば、昏睡状態や死に至る可能性があります」と、研究チームはこの報告のなかで結論づけています。
※最後までお読みいただきましてありがとうございました。Rest in Peace for Ghent Wakefield, From Men's Health Japan.
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From Men's Health
BY JACK CROSBIE
NOVEMBER 21, 2017
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
Courtesy of Instagram@prowrestlerpeterwhite, Facebook @Ghent Wakefield
Edit / Hikaru SATO, Kazu OGAWA