台風15号の影響で「ヒッチハイク」をする人が出現 違法性は?
2019年9月8日から9日にかけて、関東地方を襲った台風15号。とくに千葉県や神奈川県では停電や断水などが起こり、首都圏では公共交通機関のダイヤが乱れるなど、大きなパニックとなりました。
混乱に見舞われたなか、「ヒッチハイクで家へ帰った/目的地へ行った」という投稿がSNSで見られましたが、ヒッチハイクをおこなうことは違法ではないのでしょうか。
ヒッチハイクはトラブルの元となるのか
千葉県成田市にある「成田国際空港(以下、成田空港)」は、日本の空の玄関口として国内外問わず多くの人々が訪れます。それは台風の被害があった9日も同様でした。
多くの人が世界各国から訪れるなか、電車や高速バスなどは台風の影響により運休。そのため、到着した人々が成田空港から出ることができなくなり、「陸の孤島」と化したのです。
タクシーやレンタカーの乗り場には多くの列ができ、なかには京成成田駅まで2時間近くかけて歩く人も。夜になっても混雑は解消されず、1万人以上の人が成田空港で一夜を明かすこととなりました。
成田空港から出られずに困る人もいれば、成田空港へ行けずに困る人も多くいました。公共交通機関が麻痺したため成田空港へアクセスできず、タクシーも台風の影響により利用者が多く混雑し、なかなか乗車できないという状態だったのです。
成田空港へ行きたい人、成田空港から帰りたい人のなかには、目的地まで「ヒッチハイク」をするという人も現れました。
ツイッターでは、「成田空港へヒッチハイクで行った」、「成田空港からヒッチハイクで帰ってきた」、「ヒッチハイクしている人を送った」という投稿を多数確認できました。
今回のようなイレギュラーな事態でないと、普段あまりおこなう機会がない「ヒッチハイク」。ですが、ヒッチハイクを指南するサイトや書籍、また「ヒッチハイクをしてみた」という動画などもアップロードされ、気軽にヒッチハイクへ挑戦できる環境となりました。
最近では「人脈を広げたい」「普段はできない経験をしたい」といった理由から、学生や若者がヒッチハイクをしSNSなどでその姿を発信しています。
身近なものへと感じられつつあるヒッチハイクですが、国内における適法性という観点から見ると、ヒッチハイクを禁止する法律は日本にはありません。
しかし、海外ではヒッチハイクを装った強盗事件などの犯罪が多いため、国や州によってはヒッチハイクを禁止しているところもあります。
安全といわれる日本でも、犯罪に巻き込まれるリスクがゼロとはいえないため、ヒッチハイクをするにはある程度のリスクがあるということを考えておきたいところです。
ヒッチハイクで違法性が出る場合とは?
ヒッチハイクをする側は法律上問題はありませんが、ヒッチハイクされる側には問題が起きることがあります。それはヒッチハイクにより金銭の授受があった場合です。
ヒッチハイクをおこなう際に気をつけたいこととは
道路運送法の第四条では、「一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない」となっており、人を送迎して金銭の授受をする場合には国土交通大臣の許可が必要となるのです。
これに違反した場合、同法第九十六条では「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処す」と記載されていることから、ヒッチハイクした人を送り届けて、謝礼に金銭を渡された場合には、受け取ってはいけません。
逆にいえば、ヒッチハイクをして金銭を要求された際には、拒否をすることができるのです。
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ヒッチハイクをするときには、基本的なルールは守らなければいけません。それは「歩行者進入禁止のエリアに入らない」や、「駐停車禁止の場所に駐車させない」などです。
自分が注意されるだけならまだしも、協力してくれる相手がいて成り立つ行為なので、基本的な交通ルール等を把握することが必要です。
また、マナーとして相手が運転しているときには寝ないことや、相手の迷惑になる行為はしないといった配慮もするべきでしょう。
映画やドラマなどでは、ヒッチハイクをすると心優しいトラックが止まってくれるというシーンがよく見られますが、実際はそうとはいえません。
運送会社によっては同乗禁止という規則があったり、もし事故を起こした場合の責任が取れないためです。
また、複数でヒッチハイクをしている場合、乗車定員の関係で断られることもあります。
ヒッチハイクをおこなわなければならない場合は、これらの最低限のルールとマナーを守り、相手に迷惑をかけないようにしましょう。
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