どうしたら日本人でもきれいなグレイヘアになれるの?素敵なグレイヘアスタイルの女性に、移行期や白髪との付き合い方、ヘアケアの方法を聞きました。今回は、鮮やかなグレイヘアのショートカットスタイルがかっこいい60代の女性、鴨野みゆきさんです。
60代からチャレンジしたグレイヘアのショートヘア
グレイヘアのメッシュが映える、前下がりのショートヘアの鴨野みゆきさん。磨かれたファッションセンスを感じさせる鴨野さんのグレイヘアは、ヘアカラーを施していないそのままの白髪です。
「もともと白髪が生えてこなくて、気になるようになってきたのは50歳を過ぎてからでしたね。地肌が弱く、カラー剤のにおいも苦手。生え際が白く目立つというよりは、毛束で白髪が生えてくるので、あまり白髪が気にならなかったのですね」と鴨野さん。
ヘナ染めからグレイヘアへ!美しいグレイヘアの作り方
とはいえ、白髪が生え始めた10年ほど前はヘナ染めをしていました。ヘナ染めだと白髪部分はオレンジ色の毛束になるため、カラーメッシュをやんちゃな気分で楽しんでいた時期でもあったそう。
ヘナで染めていたとき
「染めない」グレイヘアは、手抜きで老けて見えるからと敬遠されることも多いもの。そのため鴨野さんも、「染めない代わりに、髪形にはこだわっているんです」と言います。そのこだわりは、家から移動時間が往復6時間かかる、東京都・羽村市の美容室に通うほどです。ここに通い始めたのは、60代になってからでした。
「59歳のときに娘とヨーロッパ旅行に出かけました。そのときに自由で大胆な、すてきなマダムをたくさん見かけて、自分もまだまだおしゃれを楽しみたいと思ったんです」
そんな折に、姉からおすすめの美容室を教えてもらったそう。初めてカットしてもらったときに、今までとは違う自分に驚いた鴨野さんは、かねてより挑戦しようと思っていた「グレイヘア」を目指すことに。美容師に相談し、一度ベリーショートにカットして、帽子をかぶることで、グレイヘアへの移行期があまり気にならないように過ごしながら、今の髪形にたどり着きました。
「グレイヘアは、思い切りのいい髪形じゃないとおばちゃんに見えちゃうんですよね。かといって、アシンメトリーのような攻めた髪形も、普段のカジュアルな洋服が似合わないので、今の髪形にしてもらって大満足です」
鴨野さんのカットを担当する、美容室「Zenith」の江川さん。
1か月に1度カットに通っています
カットしたばかりの様子。後頭部のボリュームが美しさを生み出しています
ショートヘアのグレイヘアのケア方法とセットのポイント
ヘアセットも、美容室で教えてもらったこだわりのアイテムを使っています。ナプラの「N.ナチュラルバーム」は、天然由来成分とシアバターが材料の、ハンドクリームにも使えるヘアワックスです。また、ミルボン「ディーセス エルジューダ リンバーセラム」は、オイルのべた付きもなくサラッとしているのに、自然な立ち上がりが生まれるそう。
ヘアケアで使っているアイテムは3点。特にシャンプーにはこだわりがあり、20年近く愛用しています。イオニート「エッセンス V シャンプーモイスト しっとりタイプ」は、リンスインで便利なのに、しっとりとしたサラサラとした仕上がりが気に入っているそう。
またイオニートの全身ローションも併用しており、「化粧水の代わりにもなって、髪にもつけられるので、一石二鳥!」と鴨野さんは言います。
ヘアオイルの、メサイア「ダメージヘアエッセンス 毛髪補修材」は、髪の傷みが気になる部分を中心に使用しています。使い方は簡単。軽くタオルドライした髪に塗り、ドライヤーで乾かすだけ。
「ヘアケアを欠かさず続けるためにも、扱いが簡単なこと、髪に優しいこと、ノンシリコンタイプであることを大事にしています」
グレイヘアのショートヘアに合う、ファッションとは
この日の鴨野さんのファッションは、グレイヘアのトーンに合わせ、ブルー、グレー、ホワイトなどの寒色で統一したコーディネート。ピアスも、シルバーで合わせています。フードのデザインが特徴的なデニムジャケットは「REAC(レアック)」、手編みニットのチュニックは「トクコ プルミエヴォル」のもの。どちらも、ショートのグレイヘアにも合っており、鴨野さんのキュートな大人の魅力を引き出しています。
「いいと思ったものは、ファッションブランドの年齢層を気にせず手に取ります」と、自由なファッションを楽しむ一方で、鴨野さんが大事にしているのは「疲れない」ことだそう。
「髪形もファッションも、いかにもがんばっています! と肩肘張るようなものは、私には無理なんです(笑)。洋服の素材も肌に優しいものがいいですね。おしゃれは無理をしない、がんばりすぎないことが大事だと思います」
グレイヘアにすることで、自然体のおしゃれを楽しんでいる鴨野さん。年を重ねてもずっと黒染めを続けることに違和感があるといいます。
「年を取れば顔にシワが増えるのは当然だし、それなのに髪だけ黒く染めて若作りするのは、無理をしているし、アンバランスだと思います。私も、今の自分を認めてからは、シニアモデルのお仕事を依頼されたり、素敵な世界への新しい扉が開けました。友人に『染めないの?』といわれることはありますし、グレイヘアにした最初は人の目が気になるかもしれません。でも今は第二の人生なんだから、すべて自由だと思います」
グレイヘアは、自由なおしゃれを自分のために楽しんでるという、表現の一つなのかもしれません。
取材・文=竹上久恵(ハルメクWEB編集部)、撮影=中村彰男、ヘアメイク=杉山えみ