イタリア半島の西、エーゲ海に浮かぶサルデーニャ島は、5000年前に巨石文明が栄えたとされる場所だ。
島には20トンを超える巨石で作られた通称「巨人の墓」が約800基、階段ピラミッド状の構造物、世界遺産になっている「ヌラーゲ」と呼ばれる円錐形の石の塔が7000個以上も点在している。複数の塔と壁と迷路で形成され、1万〜3万トンという巨石がモルタルなしで積み上げられている。
また、サルデーニャ島には巨人伝説が語り継がれており、島民は高度な技術で建築されたこれらの巨石遺構は「古代の先住民たる巨人たちによるものだ」と信じて疑わない。
実は、今年になって、「巨人の墓」から見つかったという「巨大な顎の骨と歯」が話題になっている。2012年に農夫が偶然発見したもので、同島在住のジャーナリストであるマルセロ・ポラスッティという人物が縁あって預かり受けることになったという代物だ。
情報によれば、ポラスッティは知友の歯科医エンリコ・マンカに分析を依頼。その結果、ヒトの親指ほどの高さの1本の歯と、顎の骨に残っていた3本の歯はヒトの臼歯だということが判明した。一般的にはヒトの臼歯の大きさが約2センチなのに対し、分析した歯は一番大きなもので3.5センチもあり、これまで見たこともないものだったという。
約2年後の2014年、イギリスのテレビ番組『Forbidden history』は、マンカが分析中に撮影していた骨と歯の映像を公開した。映像には、ヒトの親指ほどの大きさの歯と、ずっしりとした大きな顎の骨が映しだされており、象牙色に近い乳白色をしていた。
マンカは当初、大型哺乳類の顎の断片と考えたが、手術用顕微鏡で詳しく解析すると、歯の内部構造まですべてヒトの歯と一致していたという。さらに、映像での大きさから、歯の持ち主の身長は2.4〜3メートルはあった可能性が高いと語っている。
一方、ポラスッティが興味深い証言をしている。彼は、マンカに分析を依頼する前に、サルデーニャ島南部の都市カリャリにある某大学へ歯の年代測定を依頼したが、なぜか調査は途中でストップしてしまったという。奇妙なことに、突如、大学側の担当者が音信不通になってしまったのだ。電話やメールで何度もコンタクトを試みたが、まったく返信はなく、彼からの連絡を避けているのは明白だった。
それでも連絡を待ちながら数か月たったある日、大学側からポラスッティに1本の電話がかかってきた。信じがたいことに、「測定依頼を受けていた歯を失くしてしまった」というのだ。
驚いたポラスッティは電話をかけてきた大学関係者に、失くした経緯やその詳細を問い詰めた。ところが、「これ以上お話しできることはない」と、一方的に電話を切られてしまったという。「分析を拒む圧力が大学にかかったとしか思えない」と、ポラスッティは憤然たる口調で語っている。
ちなみに、1979年の考古学発掘調査の際、サルダラという町のサンタ・アナスタシア教会の下から、推定身長2,7〜3,7メートルの巨大な骸骨が数体発掘されたが、いったん教会に運ばれた後、行方不明になっている。2013年にもヌラーゲ遺跡の調査で巨大な人骨が発見されたが、公表されずじまいに終わっている。
人類史を覆してしまう“巨人の証拠”は、闇に葬られてしまう運命なのだろうか。
(ムー2019年5月号より抜粋)
文=並木伸一郎
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