cat_oa-forbesjapan_issue_28a4fe8b0174 oa-forbesjapan_0_28a4fe8b0174_ピクサーが大ヒットを生み続けるため、全社員の仕事を止めた「1日」 28a4fe8b0174

ピクサーが大ヒットを生み続けるため、全社員の仕事を止めた「1日」

2019年7月18日 07:00 Forbes JAPAN

『トイ・ストーリー4』が公開中のピクサーが、大ヒットを世に送り出し続けるために全社員1200人の仕事をストップさせた1日、「ノーツデー」とは。トイ・ストーリー3でアートディレクターを務めた堤大介に話を聞いた。

1200人の社員を抱え、大ヒット映画を生み続けるピクサー・アニメーション・スタジオが、1日だけ全員の仕事をストップさせたことがある。

それは「ノーツデー」と名付けられた2013年3月11日のことだ。ノートとは「率直なフィードバック」を意味する言葉であるが、全社員の仕事を1日ストップするだけで、膨大なコストがかかる。

なぜノーツデーが必要だったのか。

『トイ・ストーリー3』のアートディレクターで、14年に独立してピクサー時代の同僚ロバート・コンドウとともにアニメスタジオ「トンコハウス」を運営する堤大介によると、13年当時の社長のエド・キャットムルはヒット作を連発させながらも、将来に危機感を募らせていたという。

それは、「失敗によって得られる、学びの機会を逸している」というものだ。

そこでキャットムルら上層部は丸一日かけてピクサーの課題を議論することを発案した。1カ月前からオンライン上で社員から議題が募られたため、当日だけでなくその日に向けてクリエイター同士の議論が自然と起きていったという。

「ノーツデー」当日。朝礼でチーフ・クリエイティブ・オフィサーのジョン・ラセターは社員全員の前で涙を流した。投書にはジョンへの不満を訴えるものが少なくなかったのだ。ジョンは謝罪し、「この指摘は非常に重要なので、役職に関係なく皆本音で話すように」と促した。トップの人間が心情を生々しく社員に吐露する。本音で話をしていいのだと”皆の心にスイッチが入った瞬間”だったという。

外部委託でない内発的なプロジェクトだったことも大きな意味を持ったようだ。「すぐに組織や企業が変わったわけではない。でもノーツデーによって人が変わったんです。エドが重要視していたのは『この日に向かって社員全員がピクサーの課題や未来について真剣に向き合って1カ月を過ごしたこと。それだけでも大きな価値がある』と」。

ノーツデー後の17年に『リメンバー・ミー』という世界的大ヒットを世に送り出し、今年7月には大ヒット映画の続編『トイ・ストーリー4』の公開も控える。

ピクサーの文化について話すとき、堤は何度も「信頼」という言葉を繰り返す。

「ピクサーの良さは、どれをとっても最終的に上層部が社員を信頼しているというところに帰着します。そうでないとノーツデーのような社員への信頼を前提にした企画は成立しないです。前所属の制作会社では、良いものを求める気持ちが強いことはあまり喜ばれなかったのですが、ピクサーではそれが優遇されました。良い映画を作るために妥協しないという点で、社員もピクサー上層部も目的が一致していました。それは創業メンバーが作ってきた文化で、この会社にいるとトップの顔がはっきりとわかり、責任の所在がわかる。そしてクリエイターが信用されていると感じられるのです」

エド・キャットムルはよくこう言ったという。

「人は失敗から学ぶのだから失敗してもいいじゃないか。だからやらせてみる」

堤が続ける。「託した方が才能ある人たちは伸びるのです。また多くの映画会社は流行りを後追いし安全パイばかり狙いがちですが、それではまるで受験勉強の対策のようになってしまっていて、大ヒットはなかなか出ない。大ヒットを生むのは、成功するかわからないけど、成功したらすごいという期待とドキドキ感があるもの。そのために自分や部下だけでなく、良いものを作り続ければ必ず応えてくれるだろうとお客さんや市場をも信頼するのです」

堤には、このドキドキ感が必要不可欠だと感じた瞬間があるという。堤がピクサーに在籍しながら自主制作映画を作っていた時のことだ。今までのようにアートディレクターとしてではなく、監督として関わり、初めての立場にどうなるかわからない。まさにドキドキである。その小さな作業現場にエドが訪ねてきた。エドはゴミ溜め場のような入り口を見て、創業時の自分の姿と重ね合わせ、羨ましそうに「この瞬間を忘れるなよ」と言ってくれたという。

堤はクリエイターとして、このドキドキから逃れてはいけないと思い、その後独立に至る。 「エドは私にとって理想のリーダー像です。ピクサーの成功の秘密を挙げるとしたら、エドがその秘密ですね」

堤 大介◎東京都出身。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒業。『アイスエイジ』や『ロボッツ』などのコンセプトアートを担当した後、2007年ピクサー入社。14年ピクサーを去り、トンコハウスを設立。

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cat_oa-forbesjapan_issue_28a4fe8b0174 oa-forbesjapan_0_f6c4ecd685e1_フェイスブックのAIが「ポーカー世界王者」に勝利 f6c4ecd685e1

フェイスブックのAIが「ポーカー世界王者」に勝利

2019年7月18日 06:30 Forbes JAPAN

フェイスブックとカーネギーメロン大学が開発したAI(人工知能)を活用したボットが、ポーカーの一種である「テキサスホールデム」で、人間の世界チャンピオンらに勝利した。

ポーカーはこれまで、AIの活用が難しい領域とみなされてきた。チェスや囲碁はルールが明確なボードゲームだが、ポーカーでは相手の手が分からず、ブラフのような戦術を用いて感情を操る必要があるためだ。

フェイスブックのAIサイエンティストのNoam Brownと、カーネギーメロン大学教授のTuomas Sandholmは、ポーカー専用のAIボット「Pluribus」を開発し、その成果を7月11日、学術誌Scienceに掲載した。

Pluribusは複数人で対戦するテキサスホールデムを、自己学習メソッドを用いてマスターした。ここでいう自己学習とは、人間がデータのインプットを行わないAIのトレーニング方法を意味する。

BrownとSandholmによると「Pluribusはランダムにプレイを行うことで、どのような手が良い結果をもたらすかを、ゼロから時間をかけて学んでいった」と論文で述べた。この手法はかつて、グーグル傘下のDeepMindが「AlphaGo」に囲碁を学ばせたメソッドと同様のものだ。

AIの研究者らはゲームを実験空間として用い、人工知能の精度の向上に努めている。この分野では近年、コンピューティングパワーの向上やデータセットの整備により、より洗練されたAIテクニックが生まれてきた。テック業界の大手は、AI分野のブレークスルーを、ヘルスケアやサイエンス、エネルギー分野の革新につなげようとしている。

「Pluribusが複数人の対戦ゲームで成果を収められたことは、偉大な前進だ。ゲームにおいては1対1の対戦ゲームが主流だが、現実世界では複数のインプットの処理が重要になる。オンラインオークションや、交通ナビゲーションがその例にあげられる」と研究者らはブログで述べた。

Pluribusは今回、ポーカーの世界チャンピオンのChris Fergusonや、World Poker Tourで最多優勝記録を保持する米国のプロポーカー選手のDarren Eliasらを打ち破った。

カーネギーメロン大学は2017年に開発したポーカー用AIボット「Libratus」で、プロ選手に勝利していた。今回のPluribusはLibratusの進化版で、試合中にオンライン検索により数手先を読む機能や、自己学習アルゴリズムを追加していた。

プロ選手が仕事を奪われる可能性は?

PluribusはLibratusよりも小さなコンピューティング容量で運用可能で、今回はわずか150ドルのクラウドのシステムを用いたという。「AI分野では効率化が進み、AIのトレーニングにかかるリソースの費用を劇的に軽減できている」と研究チームは述べた。

ここで気になるのはPluribusのようなAIボットの普及により、プロのポーカー選手の生活が脅かされてしまうことだ。しかし、その心配はなさそうだ。

「フェイスブックは、このAIをオープンソース化するつもりはない。ポーカーは商業的にプレイされているゲームであり、オープンソース化はコミュニティにネガティブな影響を与える危険があるからだ」とフェイスブックの広報担当のAri Entinはフォーブスの取材に述べた。

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cat_oa-forbesjapan_issue_28a4fe8b0174 oa-forbesjapan_0_03509d5cb683_フォーエバー21創業者の資産が激減、無謀な拡大戦略のツケか 03509d5cb683

フォーエバー21創業者の資産が激減、無謀な拡大戦略のツケか

2019年7月18日 06:00 Forbes JAPAN

店舗数を積極的に増やしてきた米ファストファッションのフォーエバー21が、販売不振に悩まされている。ショッピングモールの来店客数が減少していることに加え、10代の若者たちは競合他社に目を向けるようになっている。

一時は高い人気を誇った同社は現在、ザラやH&Mをはじめとするその他のファストファッション・ブランドや、エイソス(Asos)やファッション・ノバ(Fashion Nova)といったオンライン販売だけを行う各社に顧客を奪われている。

非公開企業のフォーエバー21は業績を発表しないが、ある業界アナリストによれば、昨年の売上高は前年比で20~25%減少したとみられる。また、米ブルームバーグとウォール・ストリート・ジャーナルは6月、同社は破産保護の申請を検討している可能性もあると報じた。企業再構築が専門の顧問を指名したほか、各店舗の賃貸契約の条件に関する再交渉も検討中だとされる。

「ビリオネア」の地位から脱落

こうした状況を受け、フォーエバー21の共同創業者であるドン・チャン最高経営責任者(CEO)と妻ジン・スク・チャンの資産は大幅に減少。それぞれ「ビリオネア(保有資産10億ドル以上)」の地位を失った。

夫妻の保有資産は、2人合わせて約16億ドル(約1730億円)となっている。フォーブスが今年3月に発表した「世界長者番付」ではおよそ30億ドル、最も多かった2015年には約59億ドルとされていた。

夫妻は追加融資による事業のテコ入れを目指しているとされる。また、今年2月には地方紙ロサンゼルス・ビジネス・ジャーナルが、同社は1億6600万ドルで本社ビルを売却したと報じた。同社は2017年にも、JPモルガンチェースから5億ドルの融資を受けている。

店舗網拡大は増益に直結?

ドン・チャンは2014年、3年後までに店舗数を倍増させ、およそ1200にするという計画を明らかにした。店の数を増やせば必然的に、売上高も利益も増えると考えたのだという。

また、夫妻はフォーエバー21の店舗を家族全員で一緒に買い物ができる新しいデパートにすることを目指していた。だが、顧客層の拡大は容易ではなかった。小売業界の情報を提供する「ロビン・リポート(The Robin Report)」の創業者ロビン・ルイスは、「全ての人のために全てのものを提供しようとすれば、結局は誰にも何も提供できなくなる」と指摘している。

元従業員の1人によれば、フォーエバー21では新店舗の開設による固定間接費(賃料や光熱費)の増加と同時に、既存店とのカニバリゼーション(共食い)も起きていた。米コンサルタンティング会社、カスタマー・グロース・パートナーズは、フォーエバー21は売上高の30%を賃料に費やしている可能性もあると指摘している。

収拾がつかない状態に

口コミサイトのイェルプ(Yelp)などへの投稿では、フォーエバー21の多くの店舗に関する苦情が相次いでいる。これは、同社が現在の店舗数を管理し切れていないことを示唆するものだ。

顧客たちは、店内に十分な従業員がいない、更衣室が閉鎖されている、レジに従業員がいないといった不満を漏らしている。商品が床に放り投げられていたり、別のアイテムの棚に置かれたままになっていたりする店舗もあるという。

さらに、乱雑な状態どころではなく、床にほこりの塊やごみが散乱している店や、こぼれたものが拭き取られていなかった店もあったと書き込まれている。

一方、フォーエバー21は、海外事業も縮小し始めている。2008年に進出した中国市場からは、今年4月に撤退。英国でも店舗数を8から3に減らした。同国の会社登記所に提出された書類によると、2017年の同社の損失額は、6100万ポンド(約81億9700万円)だった。

破産を申請するかどうかは、フォーエバー21が店舗にかかる賃貸コストをどれだけ圧縮できるかにかかっているのかもしれない。

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1日に100回スマホをチェックするのをやめる方法

2019年7月17日 20:00 Forbes JAPAN

スマートフォンに生活を乗っ取られていると感じることはあるだろうか? あなたが夜寝る前、最後にすること、そして朝起きて最初にすることは? そう、スマホのチェックだ。

私たちは車の運転中(願わくば信号待ち中)も、スターバックスで列に並んでいる時も、美容院、空港、バス停、会議、列車でも、さらには旅行中もスマホをチェックしている。アシュリオン(Asurion)のアンケート調査では、回答者の4分の1近く(23%)がトイレにいても仕事関係の電話に出ると答え、63%がスマホを持たずにトイレへ行くことは滅多にないと認めている。

別の新たな調査によれば、2019年に米国の成人が1日でモバイル端末に費やす平均時間は3時間43分で、史上初めてテレビの視聴時間を超えた。

あなたは、長時間スマホと離れると不安になるだろうか? 以下に、健全なスマホ使用習慣を身に着け、本来もっと大切にすべきことに注力するためのヒントを紹介する。

・毒をもって毒を制す

スマホの使用時間を制限したいと思う人のために役立つアプリもたくさんある。例えば、代表的なスマホ依存症解決アプリの「Space」では、スマホから解放という最終目標に向け、小さな目標を設定し、日々の進捗状況を記録できる。

また別のアプリ「QualityTime」では、楽しくかつ簡単な操作で自分のスマホ使用履歴を確認できる。ダッシュボードには、使用時間の長いアプリや、頻繁にアクセスする依存性のあるアプリ、個別アプリの使用状況が表示される。その上で、デバイスの使用時間を制限したり、ウェブベースの無料サービス「If This Then That(IFTTT、イフト)」を利用してスマホの使いすぎに警告を発したりできる。

・寝室にスマホを持ち込まない

寝室にスマホを持ち込まない方が良い理由はたくさんある。そのひとつとして、就寝の1時間前にスマホを使用すると、睡眠の質低下と不眠症につながる可能性がある。夜間に目を覚ます度にスマホをチェックすると、睡眠にさらに悪影響が生じる。そして翌朝に目覚めてスマホをチェックすることで、この悪癖が一日中続いてしまう。目覚まし時計を買って、スマホは寝室の外で充電しよう。

・スケジュールを設定する

デジタルスケジュールを組み、一日のうち一定の時間をスマホを使わない時間に割り当てる。会議と同じようにカレンダーに組み込み、スケジュールを守る。職場では一日のうち数時間でもスマホの電源を切る(または機内モードにする)ことで、気を散らされることなく仕事ができる。夜はスマホを別の部屋(あいは棚や引き出し)に置いて、家族と充実した時間を過ごそう。

・通知をオフにする

緊急性のない通知は全てオフにすること。例えばフェイスブックやツイッターなど、「フォロー」機能のある全てのアプリや、メールの着信通知も同様だ。あなたは既に必要以上にスマホをチェックしているのだから!

新しいアプリをダウンロードしたら、通知をオフにする(またはオンに設定しない)。重要な通知でも、音やバイブレーターを切り、ロック画面に表示させないようにする。スマホを開いた時に気付くかもしれないが、少なくとも一連のチェックを始めようという気にはならないはずだ。最終的には、必要のないアプリや生産性を下げるアプリを削除してスマホを大掃除すると良い。

・デトックスする

人はスマホに依存しやすい。デジタルデトックスによってストレスを軽減し、人との交流や自然との触れ合いに時間を割くことを検討しよう。

書籍『Off: Your Digital Detox for a Better Life(オフ 生活向上のためのデジタルデトックス)』の著者ターニャ・グディンは「人は電話から離れた際の気分の変化に驚き、それを続けたいという気になる」と指摘する。グディンは、スマホから離れて活力を取り戻すための7日間のデジタルデトックス法を考案した。

1日目:夜は寝室にスマホを置かない。翌朝起きるためには目覚まし時計を使うか、別の部屋に置いたスマホのボリュームを上げておき、アラームが聞こえるようにする。これは1週間続けること。

2日目:帰宅後はスマホを中心的な場所へ置いておく。スマホをチェックする必要があったら、(スマホを持ち歩くのでなく)置いてある場所へ移動する。

3日目:スマホで仕事のメールをチェックできないようにする(関係者には事前にその旨を伝えておくこと)。

4日目:ディナー、ランチ、夜のイベント、ジムなどへ出掛ける際にスマホは持ち歩かない。

5日目:スマホを終日機内モードにしておき、必要な場合にのみオフにする。

6日目と7日目:デジタルデトックスの仕上げとして、金曜の午後7時から月曜の午前8時まではスマホの電源を切り、使用しない。

テクノロジーは捨てることはできないため、それをどう管理するかはあなた次第だ。タップ、スワイプ、クリックの数を減らすことができれば、もっと人とつながり、コミュニケーションを取り、いろいろな経験ができるようになる。

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cat_oa-forbesjapan_issue_28a4fe8b0174 oa-forbesjapan_0_b762a7476c6b_驚きのアイデアでジェンダーの固定観念をくつがえす、世界が認めた3つの作品 b762a7476c6b

驚きのアイデアでジェンダーの固定観念をくつがえす、世界が認めた3つの作品

2019年7月17日 17:00 Forbes JAPAN

毎年フランスのカンヌで開催される「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)」は、広告やPR分野のクリエイティブな作品が世界中から集まり、コンペティションが行われる。広告業界のオリンピックと表現しても良いかも知れない。

広告業界とは縁のない私とカンヌライオンズとの付き合いは浅いが、自分が立ち上げた事業で2017年のカンヌライオンズに応募し、幸運にもモバイル部門のグランプリを受賞することができた。

その時は残念なことに会場へは足を運ぶことができなかったが、今年はようやく現地を訪れることができたので、事業開発者、そして過去のグランプリ受賞者としての視点で気になった受賞作品を紹介したい。

ジェンダーをテーマにした作品を選んだ理由

私は株式会社リクルートライフスタイルで『Seem(シーム)』という事業の責任者を務めている。『Seem』はスマートフォンと専用キットで精子の状態を測定・数値化できるサービスで、男性のための妊活エントリーツールだ。


私がリクルートで精子チェックサービスを立ち上げたのは前職での経験が大きく影響している。新卒で入社したその会社では『ルナルナ』という生理日管理サービスの部署に配属された。当時、部署のメンバーは10人ほどだったが男性は私1人。女性たちに囲まれながら女性の身体のことや健康について考え続けていた。

現在は男性向けのサービスを運営しているが、もちろん妊活は女性に関わる部分が大きい。そのため今も引き続き女性のウェルビーイングについても考える機会は多い。

前置きが長くなってしまったが、そのようなバックグラウンドを持つ私が、注目した作品をいくつか紹介したいと思う。

1. The Last Ever Issue



1つ目はポーランドのポルノ雑誌をニュースサイトの「GAZETA.PL」とメガバンクの「BNP PARIBAS」、そして「MASTER CARD」によるチームが買収した案件だ。

買収された雑誌は「Twój Weekend(あなたの週末)」。ポーランドで最も歴史のあるポルノ雑誌で、誌面は女性のヌードグラビアで溢れている。ただ、この雑誌を通じて男性がイメージする女性像はファンタジーにすぎない。しかし、ポーランドでは公的な性教育が満足になされておらず、多くの男性が長年このポルノ雑誌から女性のことを学んできた。

結果としてポーランドでは女性は弱く、気に留める必要がなく、聡明ではない存在として扱われてしまっていた。この悪習に終止符を打つために、前出のチームがとった手段がTwój Weekendの買収だった。

2019年の国際女性デーに「The Last Ever Issue」と銘打った最終号を発売。雑誌の構成をそのまま残しつつ、内容を完璧に作り変えることで、これまでの女性差別と女性蔑視に対して戦いを挑んだのだ。

すべてのグラビアは女性写真家による女性の多様性を表現する美しい写真で埋め尽くされ、コラムやインタビュー記事ではジェンダー・イコーリティーに関する正しい知識を提供した。

The Last Ever Issueはポーランドの国中で話題になり、過去10年間で最も売れた号となり、カンヌライオンズではグラス部門(ジェンダーの課題をクリエイティブに解決しようとした作品部門)のグランプリを勝ち取った。

2.VIVA LA VULVA



次は「Libresse」というデンマークの生理用ナプキンのキャンペーン用に作られたミュージックビデオのような動画だ。『VIVA LA VULVA(外陰部バンザイ!)』という衝撃的なタイトルの動画は女性が自分の性器に自信を持つように勇気づけている。

女性の半数は自分の性器に自信がなく、なかには美容整形をして「完璧な形」を目指す人もいると言われている。しかし性器の「完璧な形」など存在するのだろうか。

身体のパーツの色や形は十人十色でそこに正解はないはずだ。「完璧な形」があるとすれば、1人1人が自分の身体の特徴を知り、他のものと比べることをやめられたときに見つかるものだと思う。

動画の中で繰り返される「Im so glad youre mine(あなたが私のもので本当に嬉しい)」とうフレーズは、女性が自分の身体に贈るラブソングにも聞こえる。

この動画は500万回以上再生され、動画の効果もあってLibresseは2カ月間で市場シェアを0%から33%に拡大した。

生理用ナプキンはブランドごとの機能差が少なく、コモディティ化が進んでいる。そのなかにあって、動画VIVA LA VULVAが発信したメッセージとそれによってもたらされたLibresseに対する好意的なイメージがブランドロイヤルティという形で競合商品との差別化に貢献した。

3. The Tampon Book


最後は、PR部門のグランプリを獲得した「THE TAMPON BOOK」だ。

ドイツの消費税率は一律19%となっている。しかし、生活必需品に限っては7%の税率に下げている。しかし、その生活必需品の中に生理用品は含まれていない。

そこで消費税率が7%である「本」に目を付け、本の中にタンポンを入れることで少ない税金で買えるようにするアイデアだ。タンポンを入れた本の内容はカジュアルなイラストとテキストで現状のジェンダーギャップや税制度についての疑問を投げかけている。


THE TAMPON BOOKでは「生理用品は贅沢品ではない」=「生理は日常的なことである」というメッセージを伝えようとしている。それと同時にこの作品でもジェンダーギャップがもう1つのテーマとなっている。

多くの社会で法律を作ってきたのは男性である。ドイツも同様で、1963年にタンポンが最も高い19%の税率に決まった時、連邦議会の議員は全員男性だった。

「タンポンの税率が19%なのはおかしい」という問題提起には戦うべき敵が必要となる。ここではその敵は議会だが、当時は男性議員しかいなかったという事実を「蒸し返す」ことでジェンダーギャップの問題も付加しているのだ。

THE TAMPON BOOKはタンポンを本にしてしまうことで高い税率を逃れるという、法律の裏をかくアイデア自体が非常に優れている。本をくり抜いてタンポンを隠すようなプロダクトはまさに「脱税」を連想させる。


そしてプロダクトそのものはもちろん、ムービーに至るまで丁寧にアートディレクションがなされ、圧倒的な完成度を誇っている。エントリームービーは白黒を基調にした中で象徴的な「赤」を効果的に使っていて、伝えたいことがとてもわかりやすい。生理のPERIODと終わりのPERIODをかけた「PERIOD.」で動画を締めるセンスには鳥肌が立った。

巧みな課題設定とクリエイティブの完成度の高さは、まさにグランプリにふさわしい作品だった。

固定観念を変えるには衝撃が必要

女性差別や女性蔑視などのジェンダーに関する課題は昔から身の周りに溢れていたが、タブー視されがちで、オープンな議論が進んで来なかった。まだまだ男性の力が強い社会では、社会全体としてこの問題に「向き合う気が起きない」と表現するのが合っているように思う。

みんなが気付いていない、気にかけていない課題に注目を集めるためにはハッとさせる「驚き」が必要だ。そのためにクリエイティビティが大きな力を発揮できる。

先に紹介した3つの作品を見ればクリエイティビティの効果を実感できるはずだ。多くの男性にとって、ポルノや女性の身体の悩み、そして生理用品に関する課題は他人事だが、これらの作品を見れば、それが重要な課題であることに気が付き、自分の意識と行動を変えたいと感じるのではないだろうか。

これこそがクリエイティビティの可能性である。興味のない話を真正面から説明されても人は聞く耳を持てない。固定観念を変えるには、それ以上の衝撃が必要なのだ。

ジェンダーの課題をもっと「世の中ごと」に押し上げ、みんなで前向きな議論ができるようにするために、クリエイティビティの果たす役割は大きい。

おまけ:Dream Crazier



最後にNikeの「Dream Crazy」というキャンペーンの中で制作された「Dream Crazier」という動画を紹介したい。とても素晴らしい動画ではあるがあくまで動画を制作しただけであるため、上記の3作品とは分けさせてもらった。

この作品も先に紹介した「The Last Ever Issue」と同じく女性差別に強く反対している。スポーツの世界において、女性が感情をむき出しにしたり超人的な結果を残したりした時、男性の場合とは異なる反応が起こることがある。ときに「ヒステリック」だと言われたり、「クレイジー」だと言われてしまう。

ボクシングで相手と激しく打ち合う女性はクレイジーなのだろうか。バスケットボールで豪快なダンクシュートを決める女性はどうだろう。テニスでグランドスラム4大大会を23回も優勝し、出産した後に復帰した女性は?

男性と同じかそれ以上の活躍をしても、女性は「クレイジー」と心ない言葉を浴びせられてしまうことがある。でも言わせたいやつには言わせてやれば良い。クレイジーな女性が道を切り開き、世の中の常識を変えていくのだ。

Dream Crazierは本当に素敵な動画で、何度観ても目頭が熱くなる。

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cat_oa-forbesjapan_issue_28a4fe8b0174 oa-forbesjapan_0_a3d767c6735a_「プライムデー」は米小売各社に恩恵、アマゾンには懸念材料も a3d767c6735a

「プライムデー」は米小売各社に恩恵、アマゾンには懸念材料も

2019年7月17日 16:30 Forbes JAPAN

有料会員向けセール「プライムデー」を始めたのは、確かに米アマゾン・ドット・コムかもしれない。だが、同社と最も激しい競争を繰り広げる小売大手各社もまた、消費者を自社に引き戻す方法を考え続けている。

実際のところ、アマゾンがこのセールを始めてから5年間、各社はその規模に関わらず、それぞれの形でアマゾンに勝利してきたのかもしれない。

検索リターゲティング・サービスの英キャプティファイ(Captify)のデータによると、アマゾンの検索トラフィック(インデックス)はプライムデー初日の7月15日、2日前から184%増加した。一方、小売大手の米ウォルマートは130%増、ベストバイは競合各社の中で最も高い255%の増加を記録している。

アマゾンと競合する各社は、プライムセールをまねて安売りをするだけでなく、独自のイベントを行っている。そして、それらの取り組みは効果を上げている。前述の各社に加えて電子商取引大手の米イーベイもまた、プライムセール開始からの24時間に検索インデックスが大幅に増加した。

プライムデー初日に関するアドビ・アナリティクスのデータもまた、アマゾンが唯一の勝者ではないことを示唆している。同日、小売業者のサイトへの訪問数は全体的に増加。流通総額の増加分の66%に貢献した。その他27%はコンバージョンの増加、7%は平均注文額の増加によるものだった。

年間売上高が10億ドル(約1080億円)以上の大手の売上高は同日、月曜日の平均売上高と比べて64%増加した(昨年は54%増)。さらに、年間売上高が500万ドル未満の各社もまた、30%の増加を記録した。

プライムデーの売上高は、第4四半期のホリデーシーズン以外では3回しか達したことがない20億ドル以上に達した。

今回の目立った傾向

アドビのデータが示すのは、実店舗を持つ小売業者の優位性だ。特に、オンラインで注文した商品を店舗で受け取る「BOPIS(Buy Online Pickup In Store、ボピス)」の人気が高まっており、セール期間中にはこの形態を選択する利用者がさらに多くなっている。

通常は安価な商品を購入する際にBOPISを選択する利用者が多いものの、プライムデーにはこの購入方法での平均注文額は、その他の時期より12%上昇。115ドルから131ドルとなった。

また、プライムデーに最も大幅な値引きが行われたのは電子製品(-9%)だった。中でもスマートデバイスの値下げが目立った(スマートウォッチが12%、スマートテレビが10%、スマートホーム関連製品が9%値下げされた)。

一方、キャプティファイが音声検索された商品について分析したところ、それぞれの検索において最も多く利用されていたのはアマゾン「エコー」だった。

アマゾンにとっての不安要素

キャプティファイによれば、世界中で行われた約22億件の検索について調査した結果、プライムデー初日には「Canceling Amazon Prime(アマゾン・プライム解約)」の検索数が前日の18倍に増加していたことが分かった(データはPC、音声検索、スマホアプリなど利用された全てのチャネルを通じた検索が対象。グーグルのデータは含めていない)。

キャプティファイ幹部は、「アマゾンがプライムデーを通じたプライム会員の新規登録と維持を目指すのであれば、計画を再考する必要があるかもしれない」と指摘している。「検索結果から見れば、消費者はプライム会員に登録して安い値段で消費を購入し、そのすぐ後に解約している」という。

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cat_oa-forbesjapan_issue_28a4fe8b0174 oa-forbesjapan_0_a39dfe60c348_本物のブランドをつくるために必要な「四方よし」の考え|ライフスタイルアクセント山田敏夫 a39dfe60c348

本物のブランドをつくるために必要な「四方よし」の考え|ライフスタイルアクセント山田敏夫

2019年7月17日 16:00 Forbes JAPAN

「日本の工場から、世界一流のブランドを作る」というビジョンに基づき、山田氏自らが直接足を運んで厳選した工場と顧客とを直接繋ぐファッションブランド「ファクトリエ」。同ブランドを生み出し、ものづくりのあり方を変えようとするライフスタイルアクセント代表取締役・山田敏夫氏に、社会的価値を生み出す起業についてドリームインキュベータの小縣拓馬が聞いた。(全6話)

フランスで知った「本物のブランド」のあり方

──改めまして、御社の事業概要と、なぜその事業を起業されたかを教えていただいてもよいでしょうか。

我々の事業は、アパレル流通で本来なら6つも7つも存在している中間流通を介さず、アパレル工場とお客様をネットを通して直接繋いでいる「工場直結型ファッションブランド」です。商品はすべてメイドインジャパンで、工場直販でやっています。そのために、約700の国内工場に直接出向いて交渉し、なかでも一流ブランドの名に恥じない、厳選した55工場と提携しています。

私自身は、もともと熊本の婦人服店で生まれ育ちました。子供の頃は店で手伝いをよくしていたのですが、日本製の高品質の商品を、たとえ高価でも喜んでお客様が買い、長く使ってくださるような光景を日々見ることができる環境で育ちました。

※幼少期の山田CEO(写真左)。実家の婦人服店にて。

この事業をやろうと思ったきっかけは、大学時代にフランスに留学して、グッチのパリ店で働いていたときに「なぜ日本には本物のブランドがないの?」と言われたことです。私はそのときいくつか日本のブランド名を挙げたんですが、「それは全部日本製なのか」と聞かれて困ったんですね。


例えばエルメスは3000人以上の職人がフランス国内にいて、1人の職人がバッグ1個作るのに20時間かかる。週に2個しか作ることが出来ない。それこそが「本物のブランド」だと。

私が学校で学んだような「ブランド」、例えば有名な選手とコラボレーション商品を作ったり、ロゴを中心にデザインを統一してイマジネーションを刷り込む、これは「アメリカ型のブランド」だと彼らは言うんです。

ヨーロッパにはブランドという言葉は元々無くて、ブランドのことをフランス語では「marque(マーク)」と言います。要は「アメリカ型のブランド」に対する痛烈な揶揄なんですね。「マークでしかない」と。

「アメリカはヨーロッパに比べて歴史がない国だから、そのようなやり方しか出来ない。だけど日本には100年も200年も織りや染めの歴史があるのに、何故アメリカのようにやるのか」

そういった言葉を聞いた時に、「本物のブランド」というのは、現地の素晴らしい技術を使ったものづくりからしか生まれない。日本のアパレルブランドの多くが生産国を人件費が安い国に移す中で、1つくらい、日本の本質的なものづくりから生まれるブランドがあっても良いのではないか。そう思い、この事業を始めました。


「四方よし」の考えを持ち続ける

──御社ならではのブランドを作るにあたって、これだけは大事にしているという心構えはありますか?

作り手、作り手の後継者、使い手、伝え手である自分達。この四者みんなが幸せである=「四方よし」でなくてはいけないということが大前提にあります。

その上で、「ファクトリエを好きでいてくれるロイヤルユーザーが、それをやった時に喜ぶのか?」ということを常に行動のジャッジポイントに置いています。我々はマーケットイン型ではなくてプロダクトアウト型の事業なので、商品を愛好してくれている真のお客様が引き続き喜んでくれるか、というのを凄く大切にしています。

表面上の色使いやデザインといったことよりも、我々が大切にしている根本的な事を守り続けることが重要だと思っています。


──顧客が喜ぶか、「四方よし」かというのを確認する方法はあるんでしょうか?「よかれと思ってやっていたのに、顧客との間に物凄い認識のズレが生じていた」というケースはよく見られるかと思うのですが。

社内にブランドチームというものをつくって、彼らが確認の役割を果たしてくれています。月に1回、コンシェルジュやMD、カスタマー担当も含めて全社員を集めて、朝8時から「それはファクトリエらしいのか」というのを議論するようにしているんです。(編注:現在は別の形になっている)

たとえば「『ファクトリエ』らしい接客は何か?」とか「『ファクトリエ』5周年にあたって何をやるべきか?」とか。その中で目線が合っていきますし、ちゃんと社員が原点に立ち戻る場所として機能しています。

一番悲しいのは「パッケージやキャッチフレーズはかっこいいけど中身が伴ってない」というパターンですよね。それは本質的ではないのでお客様はついてきてくれません。根本的で本質的なこと、我々で言うと「四方よし」から常に考えていくことで、本物のブランドは作られていくと思います。

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宇宙空間で求められる「リーダーシップ」とは 元NASA宇宙飛行士に聞く

2019年7月17日 15:00 Forbes JAPAN

一瞬の状況変化が命取りになるなかで、宇宙飛行士たちはいかに「リーダーシップ」を発揮し宇宙空間でのミッションを成功させるのか。元NASA宇宙飛行士のダニエル・ミチオ・タニに話を聞いた。

NASAの宇宙飛行士として2001年と07年の2回宇宙に飛び、延べ132日間にも及ぶ長期滞在を経験したダニエル・M・タニ。

彼はNASAの「リーダーシップ」の定義を、「リーダーとは指示を出す存在ではなく、瞬間ごとに最大限チームに貢献する存在です」と言う。その力を養うのが、地上で行われるNASAのチームワーク訓練だ。「アラスカをチームでカヤック移動する訓練では、リーダーの役割を全員でローテーションして担当しました。NASAでは全員がリーダーであるべきだと教えられています」と言う。

では、そのNASA流の「リーダー」の役割とは何だろうか。日本人宇宙飛行士・若田光一は、「優れたリーダーは、状況に応じて、リーダーにもフォロワーにもなれる人物だ」と言っている。

タニはこう話す。

「優れたリーダーは、一瞬ごとに自分が何をすべきかを感じ取り行動します。そして全員がそんなリーダーであるべきです。リードするという概念は、とても些細な行動にも表れます。例えば、自分のいることによって視界を遮ってしまうとき、相手にとって対象物が見えやすくなるように少し自分が動いたりする。大きな決断ではないかもしれないですが、小さい決断の連続がチームに貢献してリーダーシップになっています。相手がよく見えるように明かりをつけるとか、その瞬間瞬間、全員がリーダーなんです。だから時には何もしない、黙っていることもリーダーシップになり得ます」

では、全員がリーダーだとすると、宇宙での緊急事態では誰が迅速な決定を下すのか。

タニは「それはコマンダーの役割」と言う。

「コマンダーは独裁者ではなくコラボレーター、そしてコーディネーターです。コマンダーはクルーの安全に全責任があります。トレーニングなどを通して、年功・経験値・技術などを基準にNASAが船長であるコマンダーを一人選びます」

リーダーシップは全員に求められるが、迅速に最終決定を下すのはコマンダーの役割であり、「リーダーシップ」と「コマンド(司令)する」ことは、概念として明確に分けられている。

実際に宇宙空間でリーダーシップを最大限に発揮できたと思うのはどんなときか。タニにそう問うと、彼は重視するのは「5秒で言える言葉」と言う。

「全員の仕事や意見が大切なのだと実感してもらえるような言葉。例えばスペースシャトルの滞在中に実験を行う際、『実験終了。次は?』と言うだけでなく、『この実験は素晴らしい。かかわることができて、本当に幸せだ。これは教授のおかげだ。素晴らしい結果を得られることを期待する』といった言葉を付け加えること。宇宙飛行士は、多くの人が関わるプロジェクトを遂行し、大勢の注目を集めます。大切なのは言い方を少し変えたり、一言付け加えたりすること。その都度、言葉を選ぶ。これはたった5秒でできることです。これがチームに最大限に貢献できることだと思っています」

タニは日系3世であり、宇宙飛行士を引退した後は2年間ほど東京のアメリカンスクールで科学技術の教師をしていた、日本とはゆかりの深い人物でもある。彼は、 「日本人はまさにNASAが好むリーダーシップに向いている」と言う。

「日本人は謙虚です。自分のやり方を押し切るのではなく、自分以上に周りの方が賢いと思い、様々なメンバーから意見を得ようとする部分は、NASAがリーダーの資質としてとても大切にしているところです。日本人は”静かで控えめ”というイメージがあるかもしれませんが、私は日本人宇宙飛行士がそうだと思ったことはありません。率直に話しますし、意見を持っている」

極限でのリーダーシップ。それは意外だが、周りを思いやることなのだ。

ダニエル・ミチオ・タニ◎米・シカゴ出身の日系アメリカ人3世。マサチューセッツ工科大学を卒業し、機械工学学士および修士号を取得。NASAで16年間勤める。2018年、米日財団のグラントディレクターに就任。

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ダイソン創業者がシンガポールに移住へ、EV開発を本格化

2019年7月17日 14:30 Forbes JAPAN

英国の真空掃除機メーカー「ダイソン」創業者のジェームズ・ダイソンが、シンガポールで最も高額なペントハウスを約5400万ドル(約58億円)で購入した。これは、ダイソンが今後の事業活動を英国外で活性化させることの予兆だ。

現地メディアの報道によるとダイソンと彼の妻は、シンガポールで最も高いビルのGuoco Towerのスーパーペントハウスを購入したという。シンガポールで最も巨大な居住物件の一つにあげられるこのペントハウスは、広さ約2000平方メートルで、62階から64階を専有している。また、ベッドルームは5部屋で水泳プールやジャグジー、プライベートバーも備えている。

ダイソンの広報担当はフォーブスの取材に、ジェームズ・ダイソンが物件を購入した事実を認め、「当社は今後、本社をシンガポールに置き、現地でのビジネスを活発化させる」と述べた。

2018年10月にダイソンはシンガポールでEV(電気自動車)の開発を開始すると宣言していた。同社は2021年にEVの製造を開始する計画で、現地での人材獲得と、中国市場へのアクセスの良さからシンガポールを拠点に選んだと述べていた。

しかし、英国のEU離脱が迫るなか、ジェームズ・ダイソンはEU離脱支持派として知られており、その動向に関心が高まっていた。2017年のBBCの取材に、ダイソンはブレグジットで悪影響を被るのは、英国ではなく他の欧州諸国だと述べていた。

EU離脱後の英国経済には、不確実性が指摘されている。しかし、ダイソンによると「不確実性こそがチャンスであり、欧州以外の国々は急速な経済発展を遂げていることを直視すべきだ」という。ダイソンは欧州以外の国での成長ポテンシャルを探っている。

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キスシーン識別AIが登場、「行動検知」は動画業界にどう役立つ?

2019年7月17日 12:45 Forbes JAPAN

ネットフリックスのデータサイエンティスト、Amir Ziai氏が、映画に登場するキスシーンを学習する人工知能(AI)を開発中だという。Ziai氏はスタンフォード大学のAI専攻課程で学位を取得するため同研究(ネットフリックス側は研究に対して経済的支援をしてない)を進めており、その成果を論文共有サイト「ArXiv.org」に掲載している。

Ziai氏が、キスシーンを識別するAIを開発する理由は何か。これまで、人間の顔を判断したり、物体を認識する人工知能の研究は世界各地で盛んに行われてきた。しかしながら、今回の研究のように人間同士の関係性・親密度、特定のアクションを認識するAIの研究はあまり進んでこなかった。

Ziai氏は、いわゆる動画内の俳優の行動、もしくはイベントを解析する技術を確立しようとしているというわけだ。

仮にディープラーニングを使ってキスシーンを自動で判断できるようになれば、動画の編集、評価、動画配信サービスにおけるユーザーへのレコメンドなど、あらゆるシーンで利用できるはずである。もちろん、同研究に一定の成果がでれば、戦争や暴力のシーンや、友情を表すシーン、絶叫シーンなど、他の特定のシーンの識別も可能になっていくだろう。動画配信サービス側からすれば、より正確なビデオの分類やサービス提供にも繋がる。

Ziai氏は、100編のハリウッド映画に登場するスターたちのキスシーンおよび関連オーディオをラベリングする作業を進め、そのデータを使ってディープラーニングアルゴリズムを学習させた。ラベリングの処理は「キスシーン」と「非キスシーン」のふたつ。また、AIが特定の性愛シーンと扇情的なキスシーンの混同することを防止するために、過度な性的シーンはデータから除外している。

なお、今回の研究時には、キスをする際の音や効果音まで研究対象に含むことで、認識システムの精度を高めることができたという。また、研究に際しては画像解析のためのディープランニングモデル「レスネット(ResNet)-18」、音声分析ディープラーニングアルゴリズム「VGGish」が活用されている。結果、非常に高い精度でキスシーンを判別できるようになったという。

動画内の行動を解析する技術は、SNSなどでも活用していけるはずだ。近年、SNSを通じてテロ予告や殺人など犯罪の生中継を行う犯罪者が後を絶たないが、彼らの歪んだ”主張”が伝播するのを防ぐことに一役買うことができるだろう。Ziai氏が発表した研究成果は、人間の行動やアクションを理解・判断するAIの開発にさらに拍車をかけていきそうだ。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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