初出場の瀬戸内を圧倒、前半3ゴールで勝負決める
第97回全国高校サッカー選手権準決勝が12日に埼玉スタジアムで行われ、第2試合では流通経済大柏(千葉)が瀬戸内(広島)に5-0で快勝。2007年度以来、11大会ぶり2度目の優勝に向けて、青森山田(青森)が待つ決勝の舞台へとたどり着いた。
気温4.8度の曇り空で、小雪もちらつくコンディションとなった一戦。初出場ながら埼スタへとたどり着いた瀬戸内と、昨年度準優勝校で鹿島アントラーズ入団内定のDF関川郁万らを擁する流通経済大柏が激突した。試合はキックオフ直後から後方からビルドアップする瀬戸内と、激しいプレッシングからの攻守転換を狙う流通経済大柏という構図となった。
試合は前半4分にいきなり動く。カウンターからボールをペナルティーエリア手前まで持ち運んだMF熊澤和希が切り返してマーカーをいなし、斜め前方にスルーパス。これに走り込んだMF岡本竜が冷静に相手GKを見極めて右足でゴールに流し込む。両チームを通じてのファーストシュートで流通経済大柏が1-0と先制に成功した。
流通経済大柏の勢いは止まらない。同10分、MF西尾颯大が右サイドを縦に突破してゴール中央へラストパス。そのスペースにタイミング良く走り込んだ1年生MF藤井海和が右足で流し込んで追加点。序盤でいきなり瀬戸内の出鼻をくじいた。
反撃したい瀬戸内はリードを許してもつなぐスタイルを変えず、同32分にはDF松崎聖人がシュートに持ち込む。しかし関川らを中心とした流通経済大柏の守備陣が落ち着いて対応。そして同42分にはショートコーナーからのクロスをファーサイドで待ち受けた関川が、滞空時間の長いヘディングシュートを突き刺して3-0。地力を見せつける戦いぶりで流通経済大柏が優位に立った。
1点ずつ返していきたい瀬戸内は、後半に入って相手陣内でボールが回るようになり、ペナルティーエリアに入り込む場面も増えてくる。しかし同9分、流通経済大柏の10番を背負うMF熊澤がジャンピングトラップで相手をかわし、繊細なボールタッチからシュート。これがゴール右隅に突き刺さり、決定的な4点目を奪った。
18年プレミアリーグEASTでは青森山田に1分1敗 “横綱同士”の決勝で雪辱なるか
流通経済大柏の本田裕一郎監督は残り時間が30分以上ある段階で熊澤、累積警告が1枚ある関川をベンチに下げ、決勝を見据えたと見られる交代策を敢行。しかし、その後も流通経済大柏の集中力は途切れることなく、同34分に左CKの流れから、関川に代わって出場したMF渡會武蔵がゴール。その直後にJ2のFC琉球入団内定が決まっていながら、控えのGK猪瀬康介がピッチに送り出されるなど、選手層の分厚さを見せつけた。
ともに近年の優勝経験があり、高円宮杯プレミアリーグEASTに所属する両校。2018年のプレミアリーグでは流通経済大柏は青森山田に1分1敗で、9月9日の第12節では0-4の大敗を喫している。そのリベンジなるのか、それとも2大会ぶりの選手権王者を目指す青森山田が再び上回るのか――。14日の埼玉スタジアムは“横綱同士”の頂点を懸けた一戦となる。
(Football ZONE web編集部)
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