「烏龍茶、そして肉じゃがをいただけますか」
「こちらのお店はお友達からのご紹介。お料理が充実していて、とっても美味しい。こぢんまりとしたアットホームな雰囲気も気に入っています。お酒を飲まずに、一人でご飯だけを食べに来ても、『どうぞどうぞ』と迎えてくれるのが、なにより嬉しいんです」
「5歳で『女踊り』を勉強したので、男である僕が、舞台の上で女の人の踊りを踊っても大丈夫だと植えつけられているんです。舞台の上では、女役のほうが喜びも大きいし、上手にできるような気がしていたように思います」
「中学、高校では、丸刈りで着物を着てお稽古をしているのが恥ずかしかったんでしょう。舞踊のお稽古はおサボり気味でした(笑)」
日大藝術学部に在学した頃
「生活感がないとよくいわれるのですが(笑)、東京でお家賃を払って生活をしていくとなると、アルバイトは辞められませんでしたね。貧乏で、いろいろなバイトをしました。僕は力仕事が苦手で、ウエイターなどが多かったです。珍しいところでは、開店して間もない、渋谷のパルコのエレベーターボーイをしばらくやっていました」
「当時は、現代演劇のなかで、男性が女性の役をやることは、あり得ませんでした。たいへん苦労しました。僕は、今でも自分の基本は女形の役者だと思っています。女役をいただければ、腕によりをかけて勉強してきたこと、修業してきたことを発揮します。嬉しいですし、張り切りますし、頑張ろうと思いますね」
「世界中で上演されてきましたが、それまでブランチを演じたのはすべて女性。男性では、初めて僕が演じました。ブランチを演じたいという執念があったからこそ、必死に勉強をしてきましたし、その執念がいまの僕に繋がっていると思います。神様が、何か一本だけやらせてあげますと言ったら、やっぱりブランチを選びます」
「演じるときは、どこかに女形である僕がいて、その僕を一回殺して、まったく虚構の人を作り上げているんです。だから、ちょっと人間離れしていて、生活感がない悪役が僕に合うんだと思います。
「バラエティ番組に出演したときは、素のままです。舞台では、共演者次第で演じ方を変えますが、バラエティでは、どんな芸人さんでも、美人のタレントさんがいようと、変わりません(笑)」
「ただ、どんな場でも、お行儀だけはよくしていようと思っています」
ささいえいすけ
1958年12月15日生まれ 石川県出身 日本大学藝術学部演劇学科卒業。1984年に「花組芝居」を旗揚げ。女形として活躍し、1990年に退団。1992年にゴールデンアロー賞演劇新人賞を受賞。舞台『毛皮のマリー』(J.A.シーザー演出、1998年)、『欲望という名の電車』(鈴木勝秀演出、2001年、2003年、2007年)などのほか、テレビ、映画でも出演作多数
神場 KANVA
(住)東京都新宿区新宿3-8-5 中川ビルB1
(営)18:00~24:00(LO23:00)
(休)日曜
(週刊FLASH 2019年12月3日号)