「高須さんは被害者だと、私は思っております。それに、河村さんも被害者なんですわ」
「 “黒幕” は、事務局長を務める田中孝博氏です。今回の件は、彼の “独り舞台” なんです」
「田中氏はまず、受任者の数から、ねつ造していたんです。リコールの成否は、実際に署名を集める受任者の人数によって決まります。彼は、受任者は『7万人いる』と称していましたが、7万人おれば1人が5人の署名を集めれば、35万人の署名が集まるでしょう?
「夜の11時半でした。このとき、選管に提出する署名簿のなかから、偽造されたものを見つけたんです。現場では全然集まってなかったので、『いったいどうするんかな』とは思っていたけど、まさか署名簿の偽造に手を染めるとは、思いもよりませんでしたわ」
「高須さんは、田中氏の虚言を信じきってますので、そうなりますわ。11月4日に名古屋市内のホテルで集計したとき、署名は『70万筆ある』と事務局は言っとった。でも実際には偽造署名を含めても、43万5000筆しか集まっていなかったわけです(その8割超が不正署名とされる)。
「田中氏は、最初から大村知事をリコールするつもりはなかったんでしょう。もともと彼は “大村派” なんです。
取材に応じた水野氏。一貫して、高須氏や河村市長を擁護する(写真・花井知之)
「彼は、愛知5区での日本維新の会の公認候補として、次の衆院選に出るはずでした。そして、“高須マネー” と河村市長の人気を借りて当選したい、という思いもあったんでしょう。
「私は、彼とは5〜6年前からつき合っておったんです。2年前の県議選では、河村市長を紹介しました。彼は、県議を務めていた2001年に、産廃業で失敗して破産し、議員報酬の差し押さえまでされとる。人間は一度過ちを犯しても、発奮して頑張ればいいと思っとったけど、彼はダメでした。
「今回のケースは悪質な印象を受けるので、偽造の首謀者が逮捕される可能性は高い。資金提供や指示など、具体的な証拠や供述があれば、共謀が認められた関係者が逮捕されることもあり得ます」
「いまは、強制捜査が始まっていますので、この事案については、軽々な発言はできません。捜査当局に迷惑のかからない状況になれば、お答えさせていただくつもりでおります。ご質問があれば、私の顧問弁護士にご連絡ください」
「偽造には、まったく関与しておりません。署名簿を盗んでマスコミに売った人(水野氏)の言うことは、信用できません」
「万が一、そのようなことになれば、あらゆる活動について私が責任者ですから、あらゆる責任を取ります」
「高須さんがもし逮捕されたとしても、事実が究明されれば、『(逮捕は)気の毒だった』という評価で収まってしまうと思います。あの人、自分は大将のつもりで、『部下のやったことは自分の責任』と思うとる感じがしますが、間違った大将意識が強いんですよ。
(週刊FLASH 2021年3月23日号)