八村塁の所属するワシントン・ウィザーズは、ウエスタン・カンファレンスのチームとのアウェー4連戦の真っただ中。ここまでデンバー・ナゲッツとフェニックス・サンズの2戦を終えて、1勝1敗と健闘している。
11月28日(日本時間29日)はサンクスギビングデー(感謝祭)のため、NBAは試合がないのだが、翌29日(同30日)から、ウィザーズはロサンゼルスを本拠地に置く2チームとの対戦が組まれている。
特に29日のレイカーズ戦は、6勝10敗でイースタン・カンファレンス9位のウィザーズにとって大きなチャレンジであり、勝敗に関わらず貴重な経験を積むことができる場になるはずだ。
レイカーズは現在9連勝と絶好調で、リーグトップの16勝2敗。勝率5割未満のチーム相手には13戦負けなしと、安定した強さを誇っている。
オフェンシブ・レーティング(100回のポゼッションにおける得点)でリーグ2位の113.5を記録するウィザーズは、持ち前のオフェンス力を駆使して勝利を狙いたいところだが、レイカーズはまさに難攻不落。
戦力充実のレイカーズは、ここまでオフェンシブ・レーティングでリーグ6位の111.2、ディフェンシブ・レーティングではリーグ8位の103.3という好成績を残しており、攻守両面で相手チームを圧倒している。
ウィザーズのエース、ブラッドリー・ビール(平均28.9点)のマークを担当するのは、ダニー・グリーン、あるいはケンテイビアス・コールドウェル・ポープというディフェンスに秀でた選手たち。
タフなディフェンダーとして知られるエイブリー・ブラッドリーは右足のケガで離脱中で、ウィザーズ戦も欠場することになりそうだが、大幅な戦力ダウンにはならないだろう。
そして先発パワーフォワードとして出場することが濃厚な八村塁は、アンソニー・デイビスと対峙することとなる。レブロン・ジェームズとはスイッチした際にマッチアップする時間帯もあるだろうが、基本的にはデイビスやシックスマンのカイル・クーズマと対決することが予想される。
デイビスは攻守で高いスキルを誇るリーグ屈指の2ウェイプレーヤー。今季は平均26.1点、9.0リバウンド、3.6アシスト、1.6スティール、2.8ブロックを記録しており、208cm・114kgのサイズを誇るオールスタービッグマンは、あらゆる面で八村を上回っているというのが現状だ。
シュートレンジが広く、ポストプレーからドライブ、プルアップジャンパーに3ポイントまで決めてくるデイビスだが、特に注意したいのが1対1で正対した時の対応である。今季、ドリブルなしで放つショットの成功率は52.9%と高水準だからだ。
その中でもゴール下では75.9%と確実に得点を重ねており、八村としてはポジショニングの場面から身体をぶつけ、極力リング下から遠ざけた位置でデイビスにボール持たせたい。
今季のデイビスはボールを受けて2秒以内にショットを放つケースが最も多く、成功率も55.2%を誇る。八村としては腕をしっかり伸ばしたうえで、できるだけファウルを回避したいところ。
だがレイカーズはレブロンとデイビスによるピック&ロールを多用するため、八村とフォワードコンビを組むトロイ・ブラウンJr.は、互いにコミュニケーションをしっかり取り、ローテーションミスからイージーショットを許さないようにしなければならない。
ではレブロンとマッチアップした際にはどう対処するべきか?今の八村とレブロンでは経験値に大きな差があり、フィジカル面でも圧倒的不利な状況にある。先日、レブロンとのコンタクトでコート外まで飛ばされてしまったマイヤーズ・レナード(マイアミ・ヒート)のように、八村も当たり負けするシーンが多く見られそうだ。
強靭なフィジカルを駆使したドライブに加え、パスやプルアップジャンパーという多彩なオフェンススキルを持つ“キング”をルーキーが抑えることは不可能に近い。
八村としては、なるべくレブロンがドライブではなくプルアップジャンパーやパスを選択するような状況に持ち込みたいところ。ペリメーターではある程度の距離を空けて、ショットやパスを繰り出す際にはしっかりと手を伸ばし、少しでもその成功率を下げ、25点以下に抑えられれば、上出来と言えるだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
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