愛犬が人間のようにため息をついている場面を見たことはありませんか?犬にも感情があり、さまざまな理由でため息をついています。しかし、中には、注意するべきため息や病気の可能性もあるので、日頃から愛犬を観察しておくことが大切です。今回は、犬のため息の意味や可能性について解説します。
目次
犬がため息をつく理由とその時のしぐさ
注意すべきため息の原因と対処法
ため息をつきやすい犬種
鼻息との違いについて
犬がため息をついていたら
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬がため息をつく理由とその時のしぐさ
犬もため息をつくことがあります。しかし、口から大きく息を吐くような人間のため息とは違って、犬のため息は「フーン」と聞こえるような大きくて長い息を鼻から出します。
犬のため息には理由があったり、感情表現をしていることもあるので、ため息から犬の気持ちを読み取ることができます。しかし、犬は体調不良の時にもため息をつくので、具合が悪いのかを見分けることが必要です。
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
リラックスしているため息
飼い主さんが良く目にするのは、飼い主さんの近くで安らいでいる時、おいしいご飯を食べた後、たくさん遊んで満足を得られた時など、フセの姿勢や横になって幸せそうな顔をしてつく犬のため息ではないでしょうか。その他にもマッサージをしてあげたり、からだを撫でている時に、目を細めて犬がため息をついていたら、気持ち良くてリラックスできているサインです。
満足しているため息
散歩の途中などで、空気を多く吸い込んだ後にため息をつく、窓から入ってくる風に対して鼻をクンクンさせた後に「フーン」とため息をつくという時は、においから情報を得て満足している時が考えられます。また、飼い主さんの体の上に顎を乗せて、ため息をついている時や抱っこをした際のため息も、飼い主さんと一緒にいることができ安心し、満足している瞬間の可能性が高いです。
このような日常でみられるため息は、リラックスしていたり、満足していたり、十分にニオイを嗅ぐための準備として行っているので心配はなく、ため息をつきたいだけつかせてあげましょう。
不満やストレスを感じているため息
犬は、不満やストレスを感じている時にもため息をつくことがあります。これは、自分の思い通りにならなかった時や、知らない環境に対する不安や緊張を切り替えるために行うため息です。ため息と同時に、遠くを見つめていたり一点を見るような目つきで、「ブルブル」と体を同時に震わせることや、足や爪を舐めたり噛んだりしている行動が見られることもあります。
愛犬がこのようなため息と体を使ったボディランゲージを頻繁に行っていたら、普段、散歩や運動、コミュニケーションは十分であるか?犬が安心して休める時間や環境は整っているか?などを振り返ってみてください。お留守番が多い、しっかりお散歩に行けていないなど、愛犬の毎日の生活環境や飼い主さんとの関係が原因となっているのであれば、犬のストレスを減らす努力をしましょう。
犬のからだに不調がある
犬は、疲れている時や体調が悪い時、体がだるい時、ケガなどをしてからだが痛い時にもため息をつくことがあります。ため息以外にも寝てばかりいる、食欲がないといった様子がみられる時は、犬が置かれている状況を一度考えてみましょう。
疲れの原因がわかる時は、犬の体調を優先して静かに休ませてあげることも大切です。犬の体調が良くない場合は、何らかの病気が隠れている可能性もあるので、できるだけ早く動物病院を受診することをおすすめします。
注意すべきため息の原因と対処法
犬のため息の中には、注意が必要なため息や、日常の観察が必要なため息があるので、いつもと違うため息をついている愛犬の様子を見かけたら、原因を探ってみましょう。
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
呼吸しにくいため息
犬のため息は、人間と違い、口を閉じたまま鼻から出てくるため、もし人間の溜息のように口から大きな息が出てくるのであれば、それはため息ではなく「開口呼吸」の可能性があるので注意しなければなりません。犬は呼吸がしにくい時や苦しい時に、口を大きく開けての開口呼吸を行います。
通常は、犬が激しく運動をした時、暑さを感じた時に、開口呼吸を行うことがありますが、熱中症などで体温が上がった時、体のどこかに痛みを感じている時にも開口呼吸をすることがあるので注意が必要です。
また、僧帽弁閉鎖不全症などの心臓の病気や、肺炎、気管虚脱といった呼吸器系の病気が進行すると開口呼吸を行うため、ため息なのか、呼吸に異常があるのか、日頃からよく観察しておくと異変に早く気がつくことができます。
呼吸器の病気や熱中症は、重症化すると命の危険に関わるので、血中の酸素不足で起こるチアノーゼになっていないか、歯茎や舌の色を確認し、もし青色や紫色であった場合は、速やかに獣医師の診察を受けてください。
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ため息ばかりついている
犬種によってはため息をつきやすい犬もいるため、理由があってため息ばかりついているのではなく、犬種特有のため息の場合もありますが、いつもは気にならないのに、犬がため息ばかりついている時は、何らかの理由が考えられます。
犬ががっかりした時や退屈で寂しい思いをしている時、ストレスを感じている時、例えば、散歩の時間であるのに散歩に行けない、期待していたおやつがもらえないといった時に、犬がため息をつくことがあります。
見分けるのは難しいかもしれませんが、リラックスしている時と同じような姿勢でため息をつくことが多く、少し寂しそうな眼をしていること、上目遣いで飼い主さんの顔を見つめていることなどから判断することができます。
もし、犬がストレスなどの感情でため息をついているのであれば、優しく声かけを行ってあげることをおすすめします。その他にも、いつもと違うコースのお散歩に行って新しい刺激を与えたり、おもちゃを使って普段よりも多く遊んであげるなど、飼い主さんが愛犬と積極的なコミュニケーションをとるようにしましょう。
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ため息とともに寝てばかりいる
普段はため息をつかない犬が、ため息をついて寝てばかりいる時は、愛犬が何らかのSOSのサインを出している可能性があります。不安やイライラ、環境変化などのストレスや疲れ、からだが痛い、苦しいといった病気が隠れていることもあるので、犬の様子をしっかり観察してください。
ため息をつきやすい犬種
フレンチブルドッグ、パグ、ボストンテリア、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどの「短頭種」は、興奮や緊張で開口呼吸をすることがあります。短頭種は先天的に鼻孔が狭かったり、軟口蓋が長く垂れ下がっていていることが多いため、呼吸のしづらさから、大きく呼吸をする時に「ため息」が出ることがあります。
また、短頭種は、鼻、のど、気管など、空気の通り道の様々なところに問題が出やすい傾向があり、これらが複雑に絡み合うと、開口呼吸だけではなく、運動を嫌がる、イビキ、チアノーゼ、失神といった様々な呼吸器の症状が出てくることもあります。
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鼻息との違いについて
犬の正常な呼吸は静かな鼻息です。「フーン」と聞こえる大きくて長い息は、ため息であることが多く、それぞれの犬の気持ちが含まれている可能性があります。
犬がため息をついた時にどんな気持ちでいるのか、表情や前後の状況から判断することができるかもしれません。満足やリラックスしているため息なのか、ストレスを感じているため息なのか、具合が悪いのか、ため息をつく理由がわかれば、愛犬との絆も一層強くなるでしょう。
犬がため息をついていたら
犬のため息にはいくつかの理由があります。もし、ストレスや体調不良でため息をしているようであれば、犬に声をかけてあげて安心させてあげましょう。ため息は愛犬からのサインであることも考えられます。日頃から愛犬を観察していると、ため息の理由が見えてくるかもしれません。
監修:いぬのきもち獣医師相談室
文/maki
※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください