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元アップル幹部が明かす、仕事で成功する方法

2019年8月4日 07:00 REUTERS/Noah Berger

REUTERS/Noah Berger

・アップルの元小売部門責任者、アンジェラ・アーレンツはリンクトインのポッドキャスト番組「Hello Monday」に出演し、仕事で自分の才能を生かすことの重要性について語った。
・自分の子どもたちにも伝えていると同氏は述べた。
・自分の才能を理解して、それを伸ばすことで、最も価値ある貢献ができるようになると同氏は語った。
アップルの元小売部門責任者のアンジェラ・アーレンツ(Angela Ahrendts)は2014年に同社で働き始めてから、とても大切なことを学んだ。とりわけ、最初の100日間で。

「何かを教えられたとしたら、そこにあなたが採用された理由がある」と同氏は2019年5月、リンクトイン(LinkedIn)のポッドキャスト番組「Hello Monday」で語った。

「だから自分の得意領域を生かし、才能を発揮していけばいい」

自分の強みが何かを理解し、これまで経験したことのない分野の仕事でもその強みを生かしていくという教えは、自分の子どもたちにも伝えていることと同氏は述べた。

アーレンツは長くファッション業界で働いてきた。アップルの前はバーバリー(Burberry)のCEO、さらにその前はリズクレイボーン(Liz Claiborne)やダナ・キャラン・インターナショナル(Donna Karan International)の幹部を務めてきた。同氏にとってアップルへの転職は、新たな分野に足を踏み入れることだった。

「子どもたちには、水上スキーのようなものと伝えている」と同氏。

「ここにとどまりたくない、もっと素晴らしい場所に行きたいと思ったら、そのために努力する。すると人生は動き出す」

アーレンツは小売部門の責任者として、アップルストアやオンラインショップでの販売戦略を担当した。バーバリーからアップルへ転職したのは2013年、アップルウォッチが発表される前年のこと。そして2019年4月、アップルによると「新たな個人的、専門的な目標」のために退職。5月にAirbnbの取締役となった。

同氏はアップル在職中、同社で最も報酬の高い幹部だった。2019年1月の株主総会資料によると、2018年の同氏の報酬は2650万ドル(約28億円)。ティム・クックCEOの1570万ドル(約17億円)よりも多かった。

また2018年の資料によると、2017年のアーレンツ氏の報酬は2420万ドル(約26億円)。クックCEOの1280万ドル(約14億円)よりもかなり多く、最高財務責任者のルカ・マエストリ(Luca Maestri)氏やハードウエア・エンジニアリング部門の責任者のダン・リッチオ(Dan Riccio)氏といった他の幹部よりも若干多かった。

アーレンツはまた、仕事での自分の役割に対する不安感にどう対処するかについてもポッドキャストで語った。そのような気持ちはなかなか払拭できないが、自らの強みをしっかりと見極めることで、成功に必要な自信を得ることができると語った。

「あなたはさらに強くなり、自分自身と社会に貢献できる自らの才能に対して、もっと自信が持てるようになる」とアーレンツ。

「そのためには、より専門的な分野を歩むことが大切。そうすれば、生きているうちに果たすべき貢献を成し遂げることができる」

[原文:How to succeed at work, according to Angela Ahrendts, who was one of Apple’s highest-paid executives]

(翻訳:仲田文子 編集:Toshihiko Inoue、増田隆幸)

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cat_oa-businessinsider_issue_dfc4acc6ec54 oa-businessinsider_0_55062db7a163_間一髪! 小惑星が地球とニアミスしていた… 今週読むべき5つのニュース 55062db7a163

間一髪! 小惑星が地球とニアミスしていた… 今週読むべき5つのニュース

2019年8月3日 18:00 Vadim Sadovski/Shutterstock

天文学者も数日前まで気付かず…… 直径約130メートルの小惑星が地球とニアミスしていた

地球に向かう小惑星(シミュレーション)。
Vadim Sadovski/Shutterstock

直径130メートルの小惑星が7月25日、地球の約7万2000キロメートルほどの距離を通過した。

遠く離れた場所の出来事のように思えるかもしれないが、天文学者にとって約7万2000キロは"ニアミス"だ。この距離は地球と月の距離の5分の1以下なのだ。今回の小惑星の接近は、少なくともここ2、3年で最も『アルマゲドン』的なシナリオに近いものだった。

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深センにあるファーウェイ本社敷地内にある建物の1つ。
撮影:伊藤有

中国IT大手ファーウェイ(華為技術)の任正非CEOの名前で、2019年卒新入社員の年俸について記載された社内メールが流出し、中国で大きな話題となっている。ファーウェイは元々、高年収で知られるが、今回のメールでは最も優秀な8人のために、最高額で201万元(約3200万円)の年棒が用意されていることが明らかになったからだ。

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ロンドンでウーバー・ジャンプの自転車に乗ってみた。
Shona Ghosh/Business Insider

ソフトバンクの型破りな創業者、孫正義氏は100万ドルの投資ファンド「ビジョン・ファンド」を設立。旅行、仕事、食べることや寝ることを変える企業を支援している。

筆者は丸1日、ソフトバンクが投資している企業のサービスのみを使って生活し、仕事をし、食事をしてみた。我々の暮らしの未来像を示すこのビジョンについて、何か分かるかどうか調べてみた。

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シェルビー・チャーチのチャンネル登録者は120万人。
Shelby Church

YouTubeで稼ぐことは不安定で、さまざまな要因によって左右される。だが、動画が100万回再生されれば、数千ドルを得ることができる。

チャンネル登録者数120万人のYouTuber、シェルビー・チャーチ(Shelby Church)の場合、約100万回の動画再生で2000~5000ドル(約22万~55万円)稼いでいる。同氏がBusiness Insiderに語った。

ブランドのキャンペーンから動画内広告まで、YouTuberが動画で稼ぐ方法はいくつかある。

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同じ「世帯年収1000万円」でも、夫婦それぞれの収入額の違いによって税や社会保険料の負担は大きく異なる。その実態は?
Shutterstock

年収1000万円。高いハードルだが、共働きが当たり前となった今、「世帯収入なら夢ではない」という人は少なくないかもしれない。

ただし同じ「世帯年収1000万円」でも、夫婦それぞれの収入額の違いによって税や社会保険料の負担は大きく異なる。意外と知られていない実態は……。

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※この記事は編集部で集計した週間PV数及び公開済みの記事の内容に基づき作成しています。

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cat_oa-businessinsider_issue_dfc4acc6ec54 oa-businessinsider_0_c5aac16d3a9c_光のスピードはあまりに遅い、NASAの科学者が作った3つのアニメーション c5aac16d3a9c

光のスピードはあまりに遅い、NASAの科学者が作った3つのアニメーション

2019年8月3日 15:00 istock

istock

・真空中の光の速度は、秒速約29万9792キロメートル。
・NASAの科学者は、光が地球を周る様子を表したアニメーションを作成した。同様に光が地球から月、地球から火星まで行く時間を表したアニメーションを作成した。
・アニメーションは、光のスピードがどれほど速いか(そして、どれほど遅いか)を示している。
NASAの科学者による一連のアニメーションは、光の速度がどれほど速く、そしてまた恐ろしいほど遅いかを示している。

光の速度は、宇宙を移動する物質の中で最も速い。これはもちろん「ワームホール」と呼ばれる、宇宙における理論的な近道の存在(そして、その中を破壊されることなく通過する能力)を否定している。

完全な真空中では、光の粒子「光子」は、秒速29万9792km、つまり時速10億7900万kmで進む。

これは信じられないほど速い。だが、他の惑星、特に我々の太陽系を超えた世界と通信したり、そこを目指そうとした場合、光の速度はイライラするほど遅い。

宇宙でのスピードの限界を誰もが理解できるよう、NASAゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)の惑星科学者ジェームズ・オドノグエ(James O'Donoghue)は自らアニメーションを作成した。

「私のアニメーションは、私が伝えようとしていることの全体の文脈を可能な限り早く表すように作られている」と同氏はTwitterを通じてBusiness Insiderに語った。

「昔、テスト勉強をしていた時、複雑な概念を理解するために手でイラストを描いた。今、私が行っていることはまさにそれと同じ」

オドノグエがアニメーションの作り方を学んだのは最近のこと ── 最初のアニメーションは、失われつつある土星の輪に関するNASAのニュースリリースのためのものだった。

その後、惑星の回転速度と大きさを説明する動画など、理解が難しい宇宙の概念をアニメーション化した。動画をツイッターに投稿し、「数百万のビューを獲得した」と同氏は語った。

オドノグエの最新のアニメーションは、光の速さを3つの異なる状況で表し、光がどれほど速く(そして、どれほど遅く)進むかを伝えている。

地球上での光の速さ
オドノグエの最初のアニメーションは、光が地球上でどれほど速く進むかを表している。

地球の赤道の長さは2万4901マイル(約4万km)。大気がなければ(空気は光を屈折させ、光のスピードを少し遅らせる)、光は1秒で地球を約7.5周する。

via Gfycat
このアニメーションでは、光の速度はとても速く見える ── だが、同時に光の速さに限界があることも示している。

地球と月の間での光の速さ
オドノグエの2つめのアニメーションは、地球と月の間を進む光を表現した。

地球と月の間の距離は平均で約23万8855マイル(38万4400km)。

via Gfycat
つまり、我々が見ている月の光は1.255秒前のもので、地球と月の間を光の速さで往復すると約2.51秒かかる。

しかも、月は1年に約1.5インチ(3.8cm)のペースで地球から遠ざかっているため、この時間は毎日大きくなっている(月は絶えず、潮の満ち引きを通して地球の自転エネルギーを奪っており、軌道はますます地球から遠ざかっている)。

地球と火星の間での光の速さ
オドノグエの光の速さについての3つめのアニメーションは、多くの惑星科学者が日々取り組んでいる課題を表している。

NASAが火星探査機「インサイト」のような宇宙船と通信したり、データをダウンロードする時、それは光の速度でしか行うことはできない。リモコンの車のように、宇宙船を「ライブモード」で操作するには光は遅すぎる。

そのため、コマンドは慎重に検討され、あらかじめパッケージ化され、正確な時間に、宇宙空間の正確な場所で実行される。こうして宇宙船は目標地点に到達する。

地球と火星の間で最も速く通信できるのは、地球と火星が最も近い位置にある「最接近」と呼ばれる時、約2年に1回起きる。平均すると、その最接近の時の距離は約3390万マイル(5460万km)。

via Gfycat
オドノグエの6分におよぶYouTubeの動画が示すように、最接近の時でも光が地球と火星の間を移動するには3分2秒、往復には6分4秒かかる。

だが平均すると、火星は地球から約1億5800万マイル離れている。そのため、往復の通信には平均で約28分12秒かかることになる。

光は、あまりに遅い

強力なレーザービームによってアルファケンタウリ星系に向けて発射される画期的なスターショット「ナノクラフト」のイラスト
Breakthrough Foundation

光の速度の限界は今、地球から40億マイル以上離れたところを飛んでいる「ニューホライズン」や、恒星間宇宙に到達したボイジャー1号、2号のような探査機にとってはなおさら問題。太陽系の外の宇宙を考えると、状況はなおさら暗い。

太陽系から最も近い太陽系外惑星「プロキシマ・ケンタウリb」は、地球から約4.2光年離れている(距離にすると約39.7兆km)。しかし、人類史上、最速の宇宙船は、NASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」で時速約21万3200マイル。プロキシマ・ケンタウリbまで、1万3211年かかる。

ロシア系アメリカ人ビリオネアによる「ブレークスルー・スターショット」プロジェクトは、このスピードの問題に挑戦しようとしている。このプロジェクトでは、切手サイズほどの小さな宇宙船に帆を付け、地球から強力なレーザーを照射することで、太陽系外惑星を目指す。理論的には光速の20%の速度を出すことができる。

しかし、コンセプトはまだ理論的なもので、最終的には機能せず、わずかな速度しか出ない可能性もある。

宇宙は信じられないほど広大。宇宙の年齢は約137億7000万年、我々が観測できる宇宙の果ては、半径が約453億4000万光年の球形をしており、膨張を続けているためその距離は増加し続けている。

これはシンプルなアニメーションで表すには、あまりにも大きすぎる。しかし、かなりうまく説明しているイラストがある。

ミュージシャンのPablo Carlos Budassiが作成した画像は、プリンストン大学の宇宙の対数地図と、NASAの画像を組み合わせたものだ。

[原文:The speed of light is torturously slow, and these 3 simple animations by a scientist at NASA prove it]

(翻訳:一柳優心、編集:増田隆幸)

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cat_oa-businessinsider_issue_dfc4acc6ec54 oa-businessinsider_0_3d22c2695f9e_12歳は教師を疑うのに十分な年齢だし、保護者は校門で選挙ビラを配る。ブレイディみかこが語るイギリスの子育て 3d22c2695f9e

12歳は教師を疑うのに十分な年齢だし、保護者は校門で選挙ビラを配る。ブレイディみかこが語るイギリスの子育て

イギリス在住のライター、ブレイディみかこさんの新著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、「底辺託児所」からカトリックの名門小学校、そして再び「元底辺中学校」に舞い戻った息子「ぼく」との1年半を綴ったノンフィクションだ。

人種差別、貧困、LGBTQ……「多様性を獲得できるのは上流階級のみ」という過酷な社会状況にありながらも、理解し合うことを諦めない子どもたち。そんな彼らを見て「今は上の世代が下の世代に学ぶとき」だと著者は言う。

なぜブレグジットが起きたのか。子どもたちの現場を知ることで、その背景が見えてくる。

現場は「底辺保育所」から「元底辺中学校」へ

在米のライター、ブレイディみかこさん。イギリスの労働者たちのリアルを描き続けてきた。
撮影:竹下郁子

ブレイディみかこさんはイギリスに移り住んで23年目。保育士資格を取得し、「最底辺保育所」(ブレイディさん)で働きながら執筆した『子どもたちの階級闘争——ブロークン・ブリテンの無料託児所から』は、グローバル化と共に深刻化する社会の分断を描き出し、新潮ドキュメント賞を受賞するなど(2017年)大きな話題を呼んだ。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、同じく新潮社の月刊誌『波』での連載を単行本化したものだ。

「なりゆきで始めた連載です(笑)。編集者から『今のブレイディさんの現場を書いてください』と言われて、でも保育所は潰れちゃったしなぁと考えたときに、自分の育児の現場があるじゃんと。たまたま息子が入学した中学がユニークだったので、じゃあそのことを書こうと」(ブレイディさん)
「息子」とは、アイルランド人で元銀行員で現在は大型ダンプの運転手をしている「配偶者」と、ブレイディさんとの間に生まれた少年のことだ。

市の学校ランキング1位の公立カトリック小学校で生徒会長を務めるほどの優等生だった彼が、「ホワイト・ウォッシュ(白い屑)」という差別用語で表現される白人労働者階級の子どもたちが通うことで知られていた「元底辺中学校」に進学を決めるところから、エッセイはスタートする。

「多様性」が限られた人だけのものという皮肉

本書によると、イギリスで2016年〜17年度に平均収入の60%以下の所得の家庭で暮らす子どもの数は140万人。これは子どもの総人口の約3分の1だという(写真はイメージです)。
shutterstock/Simon Annable

「ブレグジットの背後にあるもの、イギリスの“地べた”で何が起きているのか。日本にはその情報があまり伝わっていないと感じます」
とブレイディさんは言う。

「ぼく」の中学は学力向上に注力する校長の努力のかいあって、学校ランキングは底辺から真ん中あたりまで浮上している。だから「“元”底辺校」だ。

しかし、アジア人を差別する同級生がいたり、中古の制服を修繕して貧困家庭の子どもたちに50〜100円で販売するボランティアグループがあったり、「ぼく」のインスタグラムには家出か失踪か分からない行方不明になった生徒の情報を求める投稿が流れたりと、課題は多い。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の特設サイト。試し読みや書店員の感想も見ることができる。
出典:『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』新潮社サイト

イギリスでは公立でも子どもや保護者が学校を選べる。移民の多いロンドンなどの大都市では話は別だが、地方では奇妙な現象が起きているという。「チャヴ」(これも差別用語)と呼ばれる白人労働者の若者が多い地区の学校は、「人種差別がひどく荒れている」という噂が立ち、ミドルクラスのイギリス人や移民はそうした学校を避けるという。結果として、一部の上流階級や意識の高い人しか多様性を享受できないという「多様性格差」社会になっているそうだ。

小学校時代はランキングの上位校で多様性を享受できる環境に育った息子の「ぼく」は、「元底辺中学校」でさまざまな壁にぶつかる。家族でどうその壁に向き合ってきたかを、切実に、かつユーモアたっぷりに描いた本書には、「自分の子どもに読ませたい」という読者からの反応も多いという。

12歳は大人や教育を疑うには十分な年齢だ

ブレイディさんは読者層は特に想定せずに書いたそう。刊行後、親世代から「子どもに読ませたい」と言われ、意外だったと振り返る(写真はイメージです)。
shutterstock/Monkey Business Images

「ぼく」が得意な科目に「ライフスキル教育」がある。「シティズンシップ・エデュケーション」、日本でいう「市民教育」のことだ。イギリスの公立学校ではこの「シティズンシップ・エデュケーション」の導入が義務づけられ、中学生には「議会制民主主義や自由の概念、政党の役割、法の本質や司法制度、市民活動、予算の重要性」などがカリキュラムされている。

「ぼく」の期末試験の最初の問題は「エンパシーとは何か」。彼は「自分で誰かの靴を履いてみること」と回答したそうだ。エンパシーは「他人の感情や経験などを理解する能力」のこと。「ぼく」はエンパシーについて授業中に教師が語った話を、こう振り返っている。

「EU離脱や、テロリズムの問題や、世界中で起きているいろんな困難を僕らが乗り越えていくには、自分とは違う立場の人々や、自分と違う意見を持つ人々の気持ちを想像してみることが大事なんだって」(『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』より)

ライフスキル教育の試験では、他にも「子どもの権利」を述べさせる問題などが出たという(写真はイメージです)。
shutterstock/Ahmet Misirligul

最近のライフスキル教育の試験では、架空の「知識人の大学教授」を登場させ、「ある教授が『最近の学校はレイシズム(人種差別)について教えすぎている』と言っています。あなたはこの考えに賛成ですか反対ですか。またその理由を述べなさい」という問題があったそうだ。

ブレイディさんは言う。

「この問題がすごいのは、学校で先生が教えていること、つまり学校教育すらも疑えと12歳の子どもに突きつけているところです。大人は正しいか?と。イギリスは子どもの権利について小学校から繰り返し教えますが、シティズンシップ・エデュケーションはここまでやるのかと、正直驚きました。そりゃ考える力もつきますよね。
息子や息子が語る学校の子どもたちの話を聞いていると、たとえブレグジットのような大変なことが起きたとしても、長い目で見ればイギリスは大丈夫だろうと思えるんです。
あの子たちの世代が自分たちで考えて、また世の中を変えていくだろうと」(ブレイディさん)
これは私が息子から学んで成長する本

ブレイディさんたち家族が暮らすのは、イギリスの南東部に位置する都市ブライトン。観光地としても有名だ。
Reuters/Peter Nicholls

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で繰り返し描かれるのは、何度ぶつかっても理解し合うことを諦めない子どもたちの姿だ。

生徒たちが「貧乏人」と「ファッキン・ハンキー(中欧・東欧出身者への蔑称)」の言い合いで取っ組み合いの喧嘩を始めれば、「ぼく」は貧乏人発言をした少年の罰の方が軽かったことを考え込む。

ある生徒は自らのジェンダーを「クエスチョニング」とさらりと話すし、貧困家庭の子どもにリサイクルの制服を渡すときに「ぼく」がかけた言葉は、「君はぼくの友だちだから」とシンプルだ。

「これからは上の世代が下の世代に学ばないとダメですよ。この本だってそう、私が息子から学んで成長してるんです。私たちの常識ではどうにもならない時代になってるんですから。まずは若い世代に何が起きているのか、何に困っているのか話を聞くこと。
そこで私たちが『文句言うな』『我慢しろ』なんて言ってたら既成概念を壊せない子どもしか育ちません。国としてはゆっくり自殺してるようなもの。だって既成概念が正しい保証なんてどこにもないんですから」(ブレイディさん)
ブレア、メイ元首相らが残した教育

テリーザ・メイ(左)、トニー・ブレア(右)元首相ら。2019年6月20日撮影。
Reuters/Henry Nicholls

ブレイディさんはイギリスの若者でもギャップがあると感じている。大学生や大卒の階級ではそうでもないが、疲弊した労働者階級は「体制に反抗するのはダサい」ととらえ、「決められた枠組みの中でうまくやるしかない」と信じる20代が多い一方、「枠組み自体を疑う」ようになっているのが「ぼく」の世代だという。

「世代対立を煽るのは嫌なんですが、世代で人をくくれる何かがあるとすれば、それはどんな教育を受けてきたかだと思います。
息子世代はトニー・ブレア元首相の教育改革の成果が現れてるんです。彼は『多様性』と『社会包摂』を2大柱に掲げて保育所と小中学校の大変革を行った。
ブレアって今は嫌われているし悪いこともいっぱいしたけど、これは心から評価できます」(ブレイディさん)
波風を立てても子どもを守るのがイギリスの教育

FGMや強制結婚を防ぐことをテーマにしたガールサミット。2014年ロンドンで。
GettyImages/Oli Scarff ・スタッフ

同じように教育に成果を残した部分もあるとブレイディさんが考えているのが、ブレグジットの混迷で退任に追い込まれたテリーザ・メイ元首相だ。女性器の一部を切除、または切開する「FGM」の取り締まりを進めてきたのが彼女だという。

FGMはアフリカや中東、アジアの一部で今も続く習慣で、幼児期から15歳までの少女たちに施術されることが多く、出血や感染症で命を落とす危険もある。イギリスでは1980年代から違法になっているが、一部の移民コミュニティでは今もまだ行われているという。

そのためライフスキルの授業で「人権侵害」として教え、「FGMを受けさせられた人や、受けさせられそうな人を知っていたら先生に報告するように」促すのだ。

しかしその授業の後で「ぼく」のクラスでは、あるアフリカ系移民の女子生徒が「心配という名の偏見」にさらされるようになってしまう。ブレイディさんは「予防と偏見は紙一重のところがある」としながらも、言う。

「教えなければ波風は立たない。が、この国の教育はあえて波風を立ててでも少数の少女たちを保護することを選ぶ。
こうやって波風が立ってしまった日常を体験することも、様々な文化や慣習を持つ人々が存在する国で生きていくための訓練の1つなのかもしれない」(『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』より)
書籍刊行後も本作の連載は続いている。少女と生徒たち、そして学校が迎えた1つの結末が『波』2019年6月号の連載にあるので、こちらもぜひ読んで欲しい。

大人が変わらないと子どもも変わらない

誰もが気軽に社会問題や政治を語る空気が、イギリスにはある(写真はイメージです)。
GettyImages/SolStock

『ぼくはイエローで〜』を読んで驚くのは、11〜12歳の「ぼく」と「母ちゃん父ちゃん」の間に会話の「タブー」がないことだ。政治の話などは日本では家族の間ですら、いや家族だからこそ話すのは難しいという人が少なくない。

ブレイディさんに子どもとどうやったら今の関係が築けたのか尋ねると、「社会がそうだから」と一言。

「パブで近所の人たちと私や配偶者が政治の話をするのを見て、彼は育ってるんですよね。だから自然と『じゃあ自分も話そう』となっただけで。
日本に帰省するたびに驚くのが、飲みに行ったりしても政治の話をする大人がいないことです。不思議に思います。大人が変わらないと子どもは変わらないと思います」(ブレイディさん)
教員も保護者も「反緊縮」運動

総選挙の2カ月後、次の選挙に向けて全国を回る労働党党首のジェレミー・コービン(2017年8月撮影)。
GettyImages/Matt Cardy・特派員

子どもたちにそうした背中を見せているのは、教員たちも同じだ。

「ぼく」が通う「元底辺校」では教員がソーシャルワーカーのような役割を務めざるを得ない状況が続いている。制服のリサイクル、女子生徒への生理用品の提供、時にはお昼ごはんを買ってあげることも。

教員たちは子どもの貧困の原因は、2010年から続く保守党政権による「緊縮財政」だと考え、デモ活動など反緊縮運動を展開している。

ブレイディさんが住む地域では、ほとんどの公立小中学校に「この市(町)は生徒1人あたり年間◯◯ポンド削られています」という垂れ幕が掲げてあるという。

2017年の総選挙で労働党が「反緊縮」を唱えた際には、保護者が「教員が◯人減らされています」「1クラスあたりの生徒数が◯人増えています」などと書かれたビラを配っていたそうだ。子どもの送迎時の校門前で、「だから労働党に投票してね」と言いながら。

『波』7月号は本書の刊行記念特集。高橋源一郎、三浦しをんらが感想を寄せている。
撮影:竹下郁子

選挙では保守党は第1党にとどまるものの過半数の議席を維持できない一方で、労働党は議席を増やした。

「まさに草の根ですよ。イギリスは何十年も前からこんなことをやってきたから、おかしいと思う人はいません。日本も始めなきゃいけないんじゃないですか?」
とブレイディさんは問いかける。

6月21日に投開票があった参議院選挙の投票率は48.80%と、衆院選を含め全国規模の国政選挙としては戦後2番目の低さだった。

「政治に関心がなかったり、何か困っているときにその原因が社会にあるかもしれないと思えないのは、そもそもそういう教育しかされてないから。
日本に帰省するたびに生きづらい社会になってると感じるんですが、これを変えるにはやっぱり教育を変えていくことですよ。
教育って学校でのことはもちろん、家庭や社会でもそうです。
私も、息子だけ私だけの考えではダメかもしれない、でも2人で一緒に考えることでベストな答えが導き出せるはずだと思って、毎日息子と接しています。
大人が子どもの話を聞く態度、子どもに向けて発信する言葉1つ1つがが本当に大切だと思います」(ブレイディさん)
(文・竹下郁子)


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cat_oa-businessinsider_issue_dfc4acc6ec54 oa-businessinsider_0_9791e1667719_グーグルも注目の「デジタル心理的安全」がチームの結果を左右する 9791e1667719

グーグルも注目の「デジタル心理的安全」がチームの結果を左右する

Googleによる社内調査以降、多くの組織で「心理的安全性」が重視されるようになりました。心理的安全とは、他者の反応に怯えたり羞恥心を感じることなく、自然体の自分をさらけ出すことのできる環境や雰囲気のこと。

ですが、複業やリモートワークの浸透などビジネス環境が日々刻々と変化する中、「心理的安全性」という概念自体もアップデートさせていく必要があるはず。特にチャットやオンライン会議といったメンバー同士が対面しない「デジタル空間」における心理的安全の構築は、組織のパフォーマンスに責任を負うマネジャーにとって重要な課題ではないでしょうか。

機械学習などの分野で企業を支援するかたわら、チームに雑談を生み出すソーシャルブックマークサービス「Vein」を開発する株式会社NextInt代表・中山ところてんさんは、私たちの仕事がデジタル化したことで「心理的安全」の担保は難しくなったと指摘します。

今回は、そんな中山さんとの対話を通して、「デジタル心理的安全性」を向上させるためのヒントを探ります。




PROFILE
中山ところてん:株式会社NextInt 代表
通信会社の研究所にて情報セキュリティやビッグデータ基盤の研究開発に従事。その後、ソーシャルゲームの分析や企画、機械学習を利用したECの販促支援ツールの開発を経て、株式会社NextIntを起業。現在は機械学習のコンサルティングや、新規事業企画サポート、ゲームディレクターを行いつつ、「Vein」の開発を行っている。


聞き手には、仕事柄、世界中を旅しながら、リモートでチームを運営する中で、デジタル心理的安全性の構築に取り組んでいる、ガイアックス社の管大輔さんをお迎えしました。

インテリのためのデジタルツールが心理的安全を難しくする
—— 中山さんが考える「心理的安全」とはどのような状況を指すのでしょうか。

「この間柄だったらこれを話しても大丈夫だ」と、本人が理解している状態のことではないでしょうか。暗黙的なことも多いので一概には言えませんが、例えば、上司と部下の関係であれば、部下が「この後、飲みに行きますか?」と上司を誘える間柄かどうかですね。

—— これまで心理的安全性は「対面する機会」について語られることが多かったように思います。中山さんがチャットなど「デジタル空間」での心理的安全に課題を感じたきっかけはなんでしょう。

デジタル空間において、「コミュニケーションのかたち」が変わってきたことが大きいですね。時代をさかのぼると、一般消費者側では、情報発信におけるハードルがどんどん緩和されてきたんですよ。しかし、それがビジネス側では追いついていない。

—— どういうことでしょうか。

今、SNSでは必ずしも文章が書けなくてもいいじゃないですか。写真や動画の投稿、シェアやリツイートだけで情報を発信できるし、Snapchat人気で投稿が一定時間で消える機能まで浸透して、ますます気軽になっていますよね。

一方、ビジネス側、組織の中ではどうでしょうか。いまだに、テキストが主流ですよね。Slackのアイコンがあるとはいえ、90年代と変わらず、頑張って文章を入力しないといけない。Slackでも文章を考えながら、書ける人が声が大きく、すぐに適当な言葉で反応できない人は、会話の流れに置いていかれてしまう。

つまり、今主流となっているデジタルツールは「インテリ」を軸にした思想で作られていると思うんですよ。



——ここで言う「インテリ」とは、どのような人を指すのでしょうか。

「言語能力が高い人たち」のことです。自分が考えていること、やっていることを他人に言葉で説明できる、そして、他人に説明されたことをロジックで理解できる人のことです。

そうでない人は、「感情的に」好きか嫌いかで判断してしまいます。内容以上に伝え方の影響を受けることも多い。言語能力が高ければ、「あいつはムカつくけど、言っていることは正しい」と受け入れることができるのですが。

けれども、職場における人の言語能力は、どうしてもグラデーションにならざるを得ない。言語能力が高い人も低い人もいる。だから、文章によって情報発信できない人たちもたくさん存在するわけです。そんな人たちも組織で活躍できるようになるにはどうすべきか————これが僕が抱いてきた課題感です。

この10年、ずっと引っかかっているんですよ。一般消費者にとっては緩和されてきた情報発信のハードルに、組織人としては今もなお苦しめられているこの状況が。どうして会社にはこの流れがきていないのか、疑問なのです。



デジタル心理的安全ゼロがもたらす負のサイクル
——デジタル空間上の心理的安全を難しくする要因の1つは言語能力ということですが、言語能力に差があると、具体的にはどのような問題が生まれますか。

Googleのように上司と部下全員が言語能力が高く、「論理的に正しいことは許容される」と分かっていれば、心理的安全はつくられやすいんです。年齢など関係なく、論理でぶつかり合い、正しいほうが勝つ。間違っていれば正される、だけですから。

ですが、多くの会社では「どうして上司に逆らうんだ!」と怒られてしまう。社風もあるとは思いますが、言語能力の高低によってはそんなシチュエーションが発生してしまいます。論理的な正しさではなく、立場的判断、感情的判断が下されてしまうんです。

中山さんは「Vein」を通じて、人びとの言語能力の差を補完しようとしている

言語能力の差に加えて、コミュニケーションの「前提」の違いも問題を生みます。論理的に正しいことを理解し合える「インテリ」も2種類に分かれるんです。

あまり世代間論争にはしたくないのですが、40代以上の世代には「コミュニケーション=利害調整」と捉える人が多いですね。情報の流れをコントロールして、組織を円滑に回そうとする。その結果、意図的に情報を隠したり、情報格差をつくったりします。つまりコミュニケーションは人心掌握、説得、コントロールの術であって、正しい情報を伝えることがゴールではないのです。

ですが、それ以下の若い世代では「コミュニケーション=課題解決」と捉えている人が多い。今は、一人では解決できない、複雑で、答えのない問題を解かないといけない場面が多くあります。課題解決につながる正しい情報が何かは誰にも分からなくて、全部が重要だし、全部が重要じゃないかもしれない。だからこそ、「課題解決のためには情報を共有すべき」という感覚を、彼らは持っているように思います。



デジタルツールでは「ログが残る」ことも、実はいいことばかりではありません。共有したいけれど、残したくはない。自信が持てなかったり、恥ずかしいと感じたりする話もあるじゃないですか。たとえ、マネジャーが性善説に立っていたとしても、ログが残るかぎり、一方的に攻撃されるリスクは生まれるわけです。会社が大きくなると、悪意のある人も出てくるでしょう。そうなると、情報発信のハードルは上がってしまいますよね。

SnapchatやInstagramのStories機能が流行ったのも「消える」からだと思うんです。私もコミュニティの友人と50人でSlackを使っているのですが、Slackのフリープランだと1万メッセージまでしか残らないので、約3日間でログがすべて流れるんです。そういう環境でコミュニケーションをしていると感じるんですが、「3日で消える」と分かっているからこそ、好き勝手言い合えるところもあると。そういう環境なら、デジタル空間であっても雑談しやすいんですけどね。

——心理的安全がつくられないとデジタル空間で「情報発信者側に回れない」人も出てきます。すると、どんな弊害が生まれるでしょうか。

実際にあったケースですが、情報発信を嫌がる人は、Slackのパブリックチャンネルのように誰でも見られる場所ではなく、DM(ダイレクトメッセージ)機能を使いたがるし、使うようになります。

パブリックチャンネルで誰かに仕事の依頼をしても、言語能力が低いために、他の人から「依頼の仕方がよくない」とボロクソに言われてしまうんじゃないかと不安になる。そうすると、能力を低く見られたくないから、DM機能を使うしかない。そうして上司の目が届かないところで、他のメンバーに仕事の依頼をたくさん飛ばして、業務過多でパンクさせてしまう。こうしたケースは頻繁に起こりますね。



あるいは、情報発信をしていないメンバーが、情報発信をするメンバーに対して攻撃を始めるケースもあります。言語能力の高い人たちは、パブリックチャンネルで頻繁に、玉石混交の情報を発信します。すると、あまり発信していない人が、その一部を取り上げて、「仕事で不真面目な話はするな」と指摘するんです。

指摘する人たちは、デジタル空間も「社長がいる会議室」だと思っているんですよ。でも、発信している人からすると「タバコ部屋」でしかない。雑談ですから、当然、前提が抜けたり失礼な言葉づかいもたまにはしてしまったりするわけじゃないですか。だけど、そのせいで「あの人たちは失礼極まりない、不健全だ」と攻撃が始まるのです。

そうなると、それまでせっかく情報発信をしていた人たちも、会社のパブリックチャンネルで気軽にコミュニケーションが取れなくなってしまいます。結果、社外のツールで、かぎられたメンバーだけで雑談するようになる。そうして、情報漏洩につながるリスクも出てきてしまう。心理的安全がつくられた、円滑にコミュニケーションできる場を用意することは、情報管理と一体だと思いますね。

相談が減り、雑談がなくなってもまわるチーム運営を
——デジタル空間における心理的安全性を向上させる手立てはありますか。

まず、パブリックチャンネルでのコミュニケーションの量・割合が、その組織の心理的安全性を測る指標になるでしょう。

中山さんの会社のSlackにおけるパブリックチャンネルとプライベートチャンネルの使用割合(採用の相談をしていたある時だけ、プライベートチャンネルを使っていた)

ただし、プライベートチャンネルでのコミュニケーションを禁止したからといって、全員がパブリックチャンネルで話せるようになるわけではありません。言語能力、コミュニケーション能力とは別に、コンテンツ生成能力にもグラデーションはあるからです。

新入社員にかぎらず、他人からの評価に値する情報を発信するって簡単じゃない。無理矢理アウトプットさせようとする会社もありますが、心理的安全がつくられていない環境では、かえって「無知」や「無能」を指摘されることへの恐怖心を助長してしまいます。アウトプットができない人は、いかにインプットしたかで評価してあげてもいいんじゃないでしょうか。

それに、現実的な話、例えば、営業の人がどれだけアウトプットできる人であったとしても、お客さまとFacebookでやり取りした内容をチームで完全に共有するのは難しい話。別のチャンネル、ツールに逃げ込む人はどうしても出てきます。どれだけチーム内の会話をパブリックチャンネルに誘導しようにも限界はあるのです。

ですから、マネジャーの人たちは、たとえログが残らないやりとりが発生したとしても、チームの業務がまわるようにすることを考えるべき。マネジャーの目が完全には行き届かなくても、メンバーが自分自身で意思決定して仕事が進められるよう、業務をきれいに整理しておくことは最低限、必要です。

そうした人の能力、コミュニケーションの限界を補完するために僕もツールを開発していますが、心理的安全とはずっと模索し続けていかなくてはならない課題なのでしょうね。



(取材・文、管大輔、水玉綾、企画・編集、岡徳之、撮影・伊藤圭 )

"未来を変える"プロジェクトから転載(2019年6月5日公開の記事)

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cat_oa-businessinsider_issue_dfc4acc6ec54 oa-businessinsider_0_960116b5bc47_ビジネス、歴史、アート…… 日々の学びに役立つ20のポッドキャスト 960116b5bc47

ビジネス、歴史、アート…… 日々の学びに役立つ20のポッドキャスト

NPRの『This American Life』のパーソナリティ、アイラ・グラス氏。
Evan Agostini/Invision/AP

アメリカでは、ポッドキャストはここ10年あまりで"ニッチなメディア"から"メインストリームのメディア"になった。

ピュー・リサーチ・センターによると、2019年現在、12歳以上のアメリカ人の32%が毎月少なくとも1エピソードをポッドキャストで聞いている。2014年から15%増えた。このトレンドは衰える気配がなく、2021年には10億ドルの売り上げが見込まれている。

あらゆるテーマに関する素晴らしいポッドキャストは数多くあるが、Business Insiderでは、ビジネス、歴史、アートなど、常に新しい何かを学びたい人にぴったりのオススメをまとめた。

いずれも英語だが、通勤・通学中に試してみよう。


NPR

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お気に入りのライター、セレブ、ジャーナリストについてもっと知りたいなら…… 『Fresh Air』

NPR

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無関係のように見える物事の意外なつながりを知りたいなら…… 『Freakonomics Radio』

NPR

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世界の最新ビジネスニュースを理解したいなら…… 『Marketplace』

American Public Media

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世界の複雑かつ重要な経済問題を基礎から学びたいなら…… 『Planet Money』

NPR

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アメリカの金融街で働く優秀なビジネスマンの思考を知りたいなら…… 『Masters in Business』

Bloomberg

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成功に関する意外な事実を知りたいなら…… 『WTF』

WTF

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科学がいかに謎に満ちているか、理解したいなら…… 『Radiolab』

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最先端の心理学を学びたいなら…… 『Invisibilia』

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成功のメカニズムを知りたいなら…… 『The Tim Ferriss Show』

Tim Ferriss

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宇宙に思いをはせたいなら…… 『Startalk Radio』

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政治の話題に詳しくなりたいなら…… 『The New Yorker: Politics and More』

WNYC

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起業にまつわる挑戦の道のりを知りたいなら…… 『StartUp』

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インターネットの不思議な世界に浸りたいなら…… 『Reply All』

Gimlet

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世界で最もクールなデザインに関するポッドキャストかも? 『99% Invisible』

Radiotopia

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学校では教えてくれない、歴史に関する最も興味深い話を聴きたいなら…… 『Hardcore History』

Hardcore History

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歴史上最悪の人間について知りたいなら…… 『Behind the Bastards』

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元コメディアンのホスト役とともに、美術史や芸術家について気軽に学びたいなら…… 『ArtHoles』

ArtHoles

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コメディアンと映画評論家によるヒット映画の分析を楽しみたいなら…… 『Unspooled』

Earwolf

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哲学を学びたいなら…… 『Philosophize This! 』

Philosophize This!

ここから聴いてみよう。


[原文:20 podcasts about history, business, and Hollywood that will make you smarter]

(翻訳、編集:山口佳美)

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cat_oa-businessinsider_issue_dfc4acc6ec54 oa-businessinsider_0_43228debf6a1_「転職面接で企業体質を見抜く」3つのポイント。“言葉”より雄弁に語るもの 43228debf6a1

「転職面接で企業体質を見抜く」3つのポイント。“言葉”より雄弁に語るもの

今村拓馬

言うまでもありませんが、面接は「相互評価」の場です。

たまに勘違いした人事や経営者が「こちらが選ぶ側」という態度で来たりしますが、優秀な人であればあるほど引く手数多(あまた)なわけですから、そんな会社は選ばれることなく辞退の憂き目に遭うことでしょう。

逆に転職者の側から言えば、受かろうとすることばかりに必死になるのではなく、相手の企業が自分の人生を賭けるに足るのかを「見抜く場」としても活用しなければなりません。

転職では最も避けるべきことは「間違って合わない会社に入ってしまうこと」なのですから。

面接の「最後の質問」で見抜こうとしてませんか?

Pormezz/Shutterstock

さて、それでは企業の体質を見抜くためにどこを見ればよいのでしょうか? 面接には質疑応答の時間があります。一般的にはそこで聞けばよいと思うはずです。

しかし、企業側は候補者からの質問に対して「どのように回答するか」訓練をしてますから、本音かどうかはわかりません。ありのまま良いことも悪いことも候補者に事前に伝えることによって、ミスマッチを防ごうとするRJP(Realistic Job Preview)の考え方も普及して久しいですが、とは言え、この採用難時代においてはどうしても企業側もアピールしたくなるのが人情です。

「無意識に現れるモノ」こそが本質

OPOLJA/Shutterstock

むしろ、企業側が気を抜いているところ、あまり意識していないところにこそ、その企業の本質、体質が現れます。

大きな傾向で言えば、「言葉よりも行動」、「表情よりも身体の動き」、「内容よりも形式」、「意味よりも声の高低やスピード」などなど。どれも前者よりも後者の方が意識しにくい、つまりコントロールしにくいものです。

コントロールしにくいところだからこそ、普段からの「素」が出てしまうということです。では、具体的に注目すべきポイントを3つ挙げてみたいと思います。

ポイント1:社員同士の会話の内容

Kento35/Shutterstock

企業担当者は現時点では社外の人である候補者に対しては当然ながら細心の注意を払って対応をします。礼儀正しい丁寧な言葉遣いをするでしょうし、親切にいろいろ情報提供してくれることでしょう(してくれないなら論外ですが)。

しかし、それは社内で担当者達が普段交わしている会話ではありません。候補者が知りたいのは「職場での会話」ですから、面接における会話は参考になりません。

職場を垣間見ることができるのは、社員同士の会話です。面接官と受付との会話、複数面接官がいた場合、面接官同士の会話、出迎えやお見送りの最中に出くわした上司や同僚や会話や対応……などです。

ものすごく丁重な人が、後輩にはぞんざいだったり、すれ違った社長にはやたらペコペコしていたなら、それがおそらく本質です。

ポイント2:面接官の時間の使い方

Liderina/Shutterstock

面接ギリギリに登場したり、遅刻したりしていないか。自己紹介やアイスブレイク(候補者の緊張緩和のために行う何気ない会話)をきちんとしているか。

質問に対して回答するまでにどの程度待ってくれるのか、それともせっかちにせかすのか。

最後の質問の時間は十分に取ってくれているか。これらの時間の使い方は、質問内容よりは意識していない場合が多く、体質の情報源です。

どの会社も「うちは人を大切にしている」と言いますが、本当にそうしているかは時間の使い方で分かります。人生とは時間であり、人を大切にするとは相手のことを考えて時間を使うということです。

自己中心的に時間を使う面接官がいる会社は、社内でも人を利用する対象としか見ていない可能性もあります。

ポイント3:企業特有の「方言」

Shutterstock

最後の注目点は、その企業特有の「方言」です。

文化の強い企業であればあるほど、ジャーゴン(その集団の中だけで通用する特殊な言葉。いわば企業内の方言)をたくさん持っています。そして、中にいる人はそれがジャーゴンであることに気づきません。

まず「ジャーゴンが多いかどうか」で、文化の強い会社かどうかがわかります。ジャーゴンが多いと、一枚岩的な一体感がある一方で、やや排他的で自己中心的なところがある、などです。

また、ジャーゴンにまでなるものは、その企業で重要視されていて繰り返し使われていることですから、その企業の価値観がわかります。

以前、勤めていたリクルートでは「ハイ達成」という言葉がありました。目標よりも大幅に達成するということですが、社外に出るまでそれがジャーゴンだとは気づきませんでした。例えばこれは、リクルートの目標達成意欲の高さを示していたわけです。

言葉でないものほど、よく語る

写真はイメージです
Shutterstock

以上、注意すべき重要な3つのポイントについて述べてみましたが、他にも挙げるとすれば、すべて「言葉ではないもの」です。

会議室の壁に貼ってあるその会社の理念が、そのまま実際に浸透している理念とは限りません。そうではなく、服装、歩き方、表情、声の大きさ、高さなどの社員個々人の様子や行動、オフィスの使い方(オフィス自体をどうするかはプロが「意図的に」どうにでも構成できるので、あくまでも使い方。きれいに使っているのか、雑なのか等)などです。

言葉に惑わされずに、少し引き気味になって、受けている企業を冷静に「見る」ことが大切なのではないでしょうか。



詳しくはこちらから
(文・曽和利光)


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cat_oa-businessinsider_issue_dfc4acc6ec54 oa-businessinsider_0_a010044a2e55_アスクル問題に揺れるヤフー、第1四半期決算は増収減益。通期業績への影響は…… a010044a2e55

アスクル問題に揺れるヤフー、第1四半期決算は増収減益。通期業績への影響は……

ヤフーは8月2日、2019年度第1四半期決算を発表した。
撮影:伊藤有

子会社のオフィス用品大手アスクルの経営権問題で揺れるヤフーが、2019年度第1四半期決算を発表した。

・売上収益は前年同期比プラス2.9%の2386億円
・営業利益は同マイナス24%の361億円
・四半期利益は同マイナス14.7%の278億円
渦中のアスクル(21億円)と広告(18億円)の売上増が貢献し、売上収益は前年同期比67億円のプラスとなったものの、減価償却費と販売促進費、エンジニアを中心とした新卒採用による人件費の増加を受け、営業減益となった。

ヤフーは「第1四半期の減益は、前年同期の特殊要因(=IDCフロンティアの売却益79億円が計上されたことを指す)の反動があるため、想定済み」と説明している。

ヤフーが8月2日に発表した、2019年度第1四半期決算。
出典:ヤフー決算発表資料より編集部キャプチャ

ヤフー2019年度第1四半期決算のうち、営業利益の増減理由。
出典:ヤフー決算発表資料より編集部キャプチャ

また、ヤフーが事業譲渡を求め、アスクル経営権問題の引き金になったとされる個人向け通販サイト「LOHACO(ロハコ)」については、取扱高が前年同期比マイナス6%だった。

4月25日に発表した2018年度通期決算と基調は変わらず、アスクルの売上収益と広告関連の売上収益が伸びたものの、販売促進費や減価償却費、人件費がかさみ、増収減益という結果となった。

アスクルの「V字回復」
一方、7月3日に発表されたアスクルの2018年度(2019年5月期)通期決算は、物流施設の火災や新規立ち上げにかかわる減損、宅配クライシス(EC荷受量増加と人手不足を受けた配送費の値上げなど)に苦しんだものの、営業利益は前期比プラス7.8%の45億2000万円、当期利益は前期比マイナス90.7%ながら4億3400万円の黒字を確保。

アスクルが7月3日に発表した、2018年度(2019年5月期)連結決算の概要。
出典:アスクル決算発表資料より編集部キャプチャ

さらに、2019年度(2020年5月期)の業績は、営業利益で前期のほぼ2倍となる88億円、当期利益が54億円と、火災発生以前の水準を上回る躍進が見込まれている。

アスクルが7月3日に発表した、2019年度(2020年5月期)連結業績の見通し。
出典:アスクル決算発表資料より編集部キャプチャ

ヤフーは2019年度通期の業績について、前年度比で増収増益の見通しを明らかにしているが、上記のように大幅な増収増益を見込むアスクルとの関係を今以上にこじらせると、目算が狂うおそれもあるのではないか。

ヤフーの2019年度通期業績見通し。
出典:ヤフー決算発表資料より編集部キャプチャ

なお、決算発表会でヤフーは、アスクルについて「十分な数の社外取締役を迎え、新体制による早急な業績の回復を望む」と言及。決算会見と同日に都内で開かれた、アスクルの定時株主総会での、岩田彰一郎社長の退任を受けた発言とみられる。複数報道によると、アスクルの筆頭株主であるヤフーは、業績低迷を理由に、岩田社長と独立社外取締役3人の再任に反対、再任案は否決されている。

(文:川村力)

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cat_oa-businessinsider_issue_dfc4acc6ec54 oa-businessinsider_0_d55d325ea69c_同じ野菜を食べ続ける、断食をする ── スティーブ・ジョブズ、こだわりの食生活 d55d325ea69c

同じ野菜を食べ続ける、断食をする ── スティーブ・ジョブズ、こだわりの食生活

2019年8月2日 15:30 Seth Wenig / Reuters

Seth Wenig / Reuters

・アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズの食生活は変わっていた。
・10代の頃から果物と野菜しか食べず、数日間の断食も行っていた。
・すい臓がんが見つかった時も、医師たちの望みに反して、極端な菜食主義を追求することで治そうとした。
スティーブ・ジョブズは情熱的な人だった。彼の性格の有名な一面は、鋭い目つきと、ときおり見せる魅力的な近寄りがたさを別にすると、果物と野菜だけを食べたいという衝動だった。

伝記によると、ジョブズは幼い頃から、長時間食べないことが高揚感をもたらすことを知っていた。人生の大半をベジタリアンとして生き、ときにはビーガンにさえなったが、彼は常に小食で粗食だった。

また、好き嫌いが多かった —— 口に合わないと、給仕、シェフ、レストランのマネージャーにさえ、何かにつけ、極めて厳しく当たった。

ジョブズは一体、何を食べていたのだろう? 我々はウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)が書いた伝記をくまなく調べ、ジョブズの食べ物との興味深い関係に注目した(さらに興味のある方は、アイザックソン著『スティーブ・ジョブズ』の購入をお勧めする)。

リード大学(Reed College)の1年生の時、ジョブズはフランシス・ムア・ラッペ(Frances Moore Lappé)著の『小さな惑星の緑の食卓(Diet for a Small Planet)』という本に出合った。「それが永遠に肉を断つと誓った時だった」とジョブズは伝記作家のウォルター・アイザックソンに語った。

Amazon


菜食主義を支持するラッペの本を読んだ後、ジョブズは極端な食生活を行うようになった。断食をしたり、数週間に1つか2つの食べ物、例えばリンゴやニンジンしか食べなかったりした。

Flickr/swong95765


1年生の間、ジョブズはローマンミール(Roman Meal)のシリアルに「頼って」いた。また、ナツメヤシ、アーモンド、そして大量のニンジンを買った。チャンピオン(Champion)製のジューサーを買い、ニンジンジュースやニンジンサラダを作った。

Northwest Adventures/Don and Peggy Doman


その後、アーノルド・エーレット(Arnold Ehret)著の『Mucusless Diet Healing System』という本を読み、さらに厳格な食事を取るようになった。肉とタンパク質に加え、パン、穀物、そして牛乳もやめた(エーレットもジョブズと同じ56歳で亡くなっている)。

Amazon


ジョブズはこの頃、断食にのめり込んでおり、丸2日、ときには最長1週間、食事を取らないこともあった。断食中には、葉物野菜と水を取った。




ジョブズは時々、オール・ワン・ファーム(All One Farm)のコミューンで週末を楽しく過ごした。クリシュナ教団(Hare Krishna)の寺院から僧が訪れ、「クミンとコリアンダー、ターメリック」でベジタリアンのごちそうを作った。ジョブズはそれが楽しみだった。

Reuters


長年のパートナーだったクリスアン・ブレナン(Chrisann Brennan)もベジタリアンだったが、娘のリサは違った。彼らは一緒にプンタレッラ、キヌア、セロリアック、キャロブでコーティングしたナッツといった食料品を買った。だが時々、クリスアンとリサはロティサリー・チキンを買い、車の中で分けあって食べた。

Wikimedia


ジョブズは自分の食事にはなおさら厳しかった。娘のリサは、ある日、ジョブズがスープにバターが入っていると知って、口から吐き出したことを覚えている。

リサ・ブレナン-ジョブズ。
Wikimedia Commons


1991年、ジョブズは、ビーガンのローレン・パウエル(Laurene Powell)と結婚した。ウェディングケーキは、卵も牛乳も一切使っていないビーガンケーキだった。 「ゲストの多くが、食べられないと思った」とアイザックソンは語った。

Diana Walker / Contour by Getty Images


ジョブズとパウエルには自然食品好きという共通点があった。パウエルはジュース会社のオドワラ(Odwalla)で働いていた。彼女は後に、テラベラ(Terravera)を設立、オーガニック食品を作ってカリフォルニア州北部の店舗に納めていた。

Steve Jennings/Getty Images


成人後も、ジョブズは10代や大学生の頃と同じ食生活を続けた。何週間も、リンゴやレモンをかけたニンジンサラダなど同じ物だけを食べ続け、それから食べることをやめ、断食を始めた。

Getty Images


2003年、定期検査で珍しいタイプの膵臓がんが見つかった。医師たちは手術を勧めた(医師たちは早期発見を喜んだ)。だが、ジョブズが選んだのは手術ではなかった。ジョブズは厳格なビーガンになることで自身を治そうとし、大量のフルーツ・ジュースとニンジンを摂取した。

Flickr / Breville USA


その後、ジョブズがすい臓の一部を切除する手術を受けてから、パウエルは食事に魚や他のタンパク質を取り入れ始めた。だが、ジョブズの健康状態は芳しくなく、体重は激減した。彼はそれでもなお、専属シェフのブライヤー・ブラウン(Bryar Brown)にニンジンサラダやレモングラスのスープ、シンプルなバジルパスタを頼んでいた。

Jim Wilson/The New York Times


2010年2月、ジョブズはニューヨークへ行き、ニューヨーク・タイムズの幹部50人と会食した。プランナ(Pranna)というアジアン・レストラン(現在は閉店)でジョブズがオーダーしたのはマンゴー・スムージーとプレーンなビーガン・パスタ。どちらもメニューにはなかった。

かつてニューヨーク市にあったレストラン、プランナ。
Google Maps


2011年2月、ジョブズはシリコンバレーにオバマ大統領を招いたささやかな夕食会の企画に一役買った。彼は、エビ、タラ、レンズマメのサラダなど、ケータリング業者が提案したメニューのいくつかに「豪華すぎる」と異議を唱えた。デザートのクリーム・パイのチョコレート・トリュフ添えにも。だが、これは却下された。ホワイトハウスのスタッフが、クリーム・パイはオバマ大統領の好物と言ったためだ。

Flickr/White House


2011年7月まで、ジョブズは固形物をほとんど食べていなかった。この頃までに、がんは骨と体の他の部分に広がっていた。スティーブ・ジョブズは2011年10月5日、家族に見守られて亡くなった。

Justin Sullivan / Staff / Getty Images


※敬称略

[原文:Steve Jobs had an extreme diet that included fasting for days and eating the same vegetables over and over again — here's what Apple's visionary cofounder liked to eat (AAPL)]

(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue、増田隆幸)

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cat_oa-businessinsider_issue_dfc4acc6ec54 oa-businessinsider_0_a0286b6bc740_「数千万回の攻撃受けた」セブンペイ終了会見が判然としない理由 a0286b6bc740

「数千万回の攻撃受けた」セブンペイ終了会見が判然としない理由

緊急会見冒頭、不正アクセスの舞台となったことを陳謝する登壇者。
撮影:伊藤有

セブン&アイ・ホールディングス(以下セブン&アイHD)は、9月30日24時00分をもって7payのサービスを廃止する。8月1日午後、都内で開いた緊急会見で、セブン&アイ・ホールディングスの後藤克弘副社長が明らかにした。廃止の決定は、同日開催したセブン&アイHD取締役会で決定した。

緊急会見は2時間に及び、さまざまなメディア関係者から、脆弱性のチェック体制の不備や被害の状況、配布資料と取材過程で見聞きした被害状況のズレを問う鋭い質問が飛び交った。

セブンが明かした「数千万回の攻撃」、残る違和感

左から、グループ各社のデジタル戦略を支援するセブン&アイ・ネットメディア田口広人社長、セブン&アイ・ホールディングス後藤克弘副社長、同執行役員デジタル戦略推進本部デジタル戦略部シニアオフィサー清水健氏、セブン・ペイ社 取締役 営業部長 奥田裕康氏。

被害規模と金額については、おおよそ確定に近くなってきた。最新の取りまとめによると、7月31日17時時点で808人、金額にして3861万5473円が被害総額だ。

一方、肝心の「7payに実際にどんな脆弱性があり」「どんな手口で攻撃をされたのか」は、不明確な部分が残る。報道されている被害例のすべてを理路整然と説明できていない、というのが会見に参加した率直な印象だ。

セブン側の認識では、7payへの攻撃は、いわゆる「リスト型攻撃」だったというのが、現時点の「結論」だとする。

これは、不正入手したIDとパスワード等の組み合わせリストを使ってアタックする、比較的古典的な攻撃手法だ。7payでは、7iDのパスワードとチャージパスワードに同じ文字列が設定できたことが、リスト型攻撃の成功率を結果的にあげてしまった。

撮影:Business Insider Japan編集部

質疑の回答によると、攻撃が検知された7月2日未明以降、ログインサーバーには数千万回という大量の不正アクセスがあった。侵入状況を記録したアクセスログには、攻撃に伴う複数回(おそらく大量)のIDのエラー、それに続き頻発するパスワードのエラーが記録されていた。これらはリスト型攻撃に伴うものと想定できる。

リスト型攻撃の被害が808人の大半だというセブン側の発表は、確かにそうなのだろう。しかし、7iDのパスワード、チャージ用パスワードともにランダムな文字列だったのに被害にあったという人の事例は、「リスト型攻撃」では説明できない。

会見で配布された資料より。セブン側が認識したのは7月2日。4日は新規登録を停止。新規会員は、実質4日も集められなかった。
撮影:伊藤有

この点について複数回、報道陣から念を押すような質問が出たが、「個別のそうではない(リスト攻撃ではない)事例については、個別に相談いただく形をとっている」という趣旨の回答を繰り返した。

結果として、リスト型攻撃以外の被害については、セブン側はその存在を、否定も肯定もしていない。

ITジャーナリストがリスト型以外の攻撃事例にこだわったのは理由がある。

ITのセキュリティーというものは、「偶然侵入」できたり、「何かのタイミングでたまたま実行」できる、といったことはありえない。ある事象が発生するのには必ず理由がある。

説明しきれない被害事例が残ったままの幕引きは、セブン&アイHDのデジタル戦略の要である「7iD」や「オムニ7」そのものに、セキュリティー不信を残し続けることになりかねない。

不正使用とは「直接関係ない脆弱性」があった

7payにまつわる一連の経緯について、経営側責任者としてマイクを取るセブン&アイ・ホールディングス後藤克弘副社長。左はオムニ7の開発にかかわったセブン&アイ・ネットメディア田口広人社長。

会見で明かされたセブン側の認識には新たな情報もあった。

まず、Business Insider JapanがスクープしたGitHub上のソースコード流出だ。流出については認めたものの、

「2015年の秋に開発環境用につくったソースコード。ご心配いただいているようなインターフェイスの形式、ログインの形式については、(最終段階の仕様でないことを)確認している。
(ソースコードが公開状態にあったという)管理不行届きについては、ご心配をおかけいたしましたことをお詫びいたします」(田口氏)
とし、実際の環境への影響はなかった、と弁明した。

また、複数のメディアで報じられた「外部ID連携の不備」や「パスワードリセット実装の不備」の存在は報道どおりの脆弱性を認める一方、「7payの不正使用には直接的に関係していない」と報告した。

外部ID連携の脆弱性が悪用されなかったのは幸いだが、一方で攻撃に使われなかった脆弱性を事前に発見できず、開発管理体制もずさんだったという事実は残る。

7月4日の会見では事前に問題はなかったとした脆弱性診断についても、セブン側は「(当初のセキュリティー)テストの範囲と深さが、適切でなかった」と認識を改めるコメントをしている。

失墜したネットの「セブン」ブランド、回復できるのか

撮影:Business Insider Japan

気になるのは、セブン&アイHDのデジタル戦略にまつわる脆弱性懸念が、本当にこれで終わるのか、ということだ。

7payが動作していたセブン-イレブンアプリは、その通信の解析から、セブンの総合ECサービス「オムニ7」のサーバーに接続していたと見られる。

脆弱性の懸念がオムニ7にまで及ぶことはないのか。

筆者の質問にセブン側は、

「オムニ7と接続する箇所はあるが、ご指摘のような危険性は、現時点のサービス内容であれば、問題がない」(田口氏)

7payに類似した決済サービスを新たに開始するならセキュリティー水準を上げなければならないという認識かとの質問には、

「当初の認識ではないが、今回報告を受けている調査を受けている中では、そういうことだったと考えている」(同)

と答えている。

撮影:Business Insider Japan

事件の発生を受け、セブン&アイHDのセキュリティー対策プロジェクトでは、攻撃手法と被害実態の全容把握に向けて調査チームを設けた。しかし、あくまでセブン&アイHD取締役会に報告するための「社内向け」のもので、第三者委員会などではないことが新たにわかった。

また、どのセキュリティー会社がチェックしているのかは非公開。調査確定まで1〜2カ月かかるのではとの目安は示したが、事実上、期限も区切られていない。

調査結果についても、現時点でレポートを公表する予定はないとする。

本件の経営側責任者である後藤克弘セブン&アイHD副社長は、現時点で辞任の意向はない。デジタル戦略の点で、まさに信頼失墜した「セブン」ブランドは、この会見で復活できるのだろうか?

セブンの透明性と調査能力を外部に示す絶好の機会である「7pay事案の調査レポート」の公表はなく、経営陣が責任をとることもないとすれば、セブン&アイHDにとって7payとは一体なんだったのか?

2時間の長丁場の会見のあとには、ただ判然としない印象だけが残った。

(文、写真・伊藤有)

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