スマートスピーカーなどのIoT機器が普及し始めるにつれて、従来のケーブルを使った充電方式はネックになっていくことが予想される。そんな中、「電源ケーブルを使わずにすべての機器を充電する」というSFのような技術を実現したのが「Wi-Charge」だ。
イスラエルの企業である「Wi-Charge」は、赤外線を使って広範囲に安全かつ電力供給を行なうことを可能にした。次世代の給電システム「Wi-Charge」は、どんなテクノロジーで実現したのだろうか?
単一のトランスミッターで複数端末に接続可能
「Wi-Charge」では「トランスミッター」と「レシーバー」の2つのユニットを使用する。
トランスミッターは従来のAC・DC電源やUSBに接続することで、赤外線でレシーバーに電力を供給する装置だ。部屋の天井などに取り付けると、23平方メートル(約14畳)の範囲をカバーできるという。
レシーバーは充電する機器に取り付ける装置で、Androidスマホに多く使われているMicro-USBや、iPhoneのLightningなどに接続するもの、レシーバー内蔵のスマホケースなどが想定されている。
レシーバーを装着したデバイスがトランスミッターの範囲内に入ると、トランスミッターは自動的にレシーバーを判別して赤外線を放射する。レシーバーは赤外線を電力に変換する太陽電池を搭載しており、ケーブルなしで充電が行われるという仕組みだ。
トランスミッターが自動的にレシーバーを見つけて局所的に赤外線を放出するため、電力のロスは発生しないという。機器のバッテリーが満タンになると自動的に給電を停止するため、過充電が起こることもないだろう。複数の機器を同時に充電することも可能だ。
国際規格に準拠した安全なワイヤレス充電
「電波を使って充電する」と聞くと、人体への影響を考えてしまうかもしれない。「Wi-Charge」は、レーザー製品の国際安全規格「IEC 60825-1」のClass 1に準拠している。日本のJIS規格も、このIEC規格と同じ水準で制定されている。
「Wi-Charge」はレシーバーを手で覆うと充電がストップするが、これは人体に安全な国際規格に準拠していることを意味している。「Wi-Charge」によると、赤外線は太陽光の50%を占める自然光の一種であり、高周波の500倍、超音波の3000倍安全だと説明している。
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広範囲で使用可能かつ安全なワイヤレス給電装置「Wi-Charge」は、電力供給の次世代の形だ。家に帰って机の上にスマホを置くだけで充電される。これまでの電力供給の常識は、がらりと姿を変えるかもしれない。
Wi-Charge
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