cat_oa-bengo4com_issue_c54afa436e10 oa-bengo4com_0_c54afa436e10_ウイグル人「強制労働」に日本企業も「加担」…国際NGOが「サプライチェーン」の調査求める c54afa436e10 c54afa436e10 ウイグル人「強制労働」に日本企業も「加担」…国際NGOが「サプライチェーン」の調査求める oa-bengo4com

ウイグル人「強制労働」に日本企業も「加担」…国際NGOが「サプライチェーン」の調査求める

中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区でおこなわれているとされる強制労働をめぐり、国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN)は8月28日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開き、サプライチェーン(下請け構造)を通じて、日本企業が間接的に関与している可能性があるとして、企業などに対して、早急な対応をもとめる報告書を発表した。

・【報告書】新疆ウイグル自治区に関連する強制労働と日本企業の関与について
https://hrn.or.jp/activity/18457/



●「強制労働」に日本企業も加担している可能性

新疆ウイグル自治区では、2017年ごろから、少数民族のウイグル人が強制収容されて、中国共産党への忠誠を強制されたり、それに従わなければ拷問がおこなわれていると伝えられている。さらに、強制労働もさせられているといわれている。

オーストラリアのシンクタンクの調査報告書によると、2017年から2019年まで、新疆ウイグル自治区の約8万人が、世界的な有名ブランド83社のサプライチェーンで、深刻な強制労働を強いられており、その中には日本企業も含まれているという。

HRNは「新疆ウイグル自治区の事態を知りつつ、強制収容と一体化した同地区内外での被収容者の強制労働による生産活動がおこなわれているサプライヤーを利用していることは、深刻な人権侵害に対する加担ともいうべき重大な問題をはらんでいる」と指摘している。



●「中国政府に対して、国際人権条約の遵守の徹底をうながすこと」

日本ウイグル協会は、強制労働に関与したと疑われる日本のアパレル・電機メーカー11社に対して、4月30日付けで質問状を送付した。

このうち1社以外は回答したことから、HRNは一定の評価を示しつつも、回答内容は十分ではなかったとして、(1)調査報告書で言及されていることを調査すること、(2)一次だけでなく二次以降のサプライヤーについても調査すること、(3)客観性・実効性が担保される方法によって調査すること――などをもとめている。

日本政府に対しても、(a)サプライチェーン上の強制労働を含む人権リスクに対応することを企業にもとめる法制度について検討をすすめること、(b)国際社会で特に高い人権リスクが指摘されている国・地域に事業場関わっている企業に十分な情報提供をすること、(c)中国政府に対して、国際人権条約の遵守の徹底をうながすこと――を提言している。

NRN事務局長の伊藤和子弁護士は「ウイグル自治区に関わっていて生産されていれば、限りなくグレーなので、取引は停止すべきだと考えにもとづいています。(関連が)わからないということで取引停止にしないと、非常に深刻な人権侵害に結びついているということで、許されないと考えています」と話した。

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cat_oa-bengo4com_issue_c54afa436e10 oa-bengo4com_0_88a41bada902_建設アスベスト、控訴審で「全員勝利」 一人親方救済、新たに1社の責任も…神奈川2陣訴訟 88a41bada902 88a41bada902 建設アスベスト、控訴審で「全員勝利」 一人親方救済、新たに1社の責任も…神奈川2陣訴訟 oa-bengo4com

建設アスベスト、控訴審で「全員勝利」 一人親方救済、新たに1社の責任も…神奈川2陣訴訟

建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんや中皮腫などになったとして、神奈川県の労働者や遺族ら64人が国と建材メーカー43社に約17億円を求めた「首都圏建設アスベスト神奈川第2陣訴訟」の控訴審判決で、東京高裁(村上正敏裁判長)は8月28日、国と3社に一審判決の約3倍となる計9億超の支払いを命じた。

一審判決では認められなかった一人親方らに対する国の責任が先行事件と同じように認められた。国との関係では全員勝訴となった。

建材メーカーとの関係では、一審よりも1社多い計3社の責任が認められ、原告64人中62人に対する賠償が命じられた。また、弁護団によると解体・改修工に対しても企業の責任が認められるのは初めてだという。



●高裁では「一人親方救済」「メーカー責任」増える

アスベストをめぐっては、健康への悪影響が指摘されながら、充分な安全管理が行われてこなかった。

裁判では大きく、(1)一人親方らについて、国の責任が認められるか、(2)建材メーカーの責任がどこまで認められるか、が争点になっていた。

一審判決では、雇用された労働者ではないことから、国の一人親方らに対する責任が認められなかった。これに対し、控訴審判決では、建設業界の「重層下請け構造」の実態などを踏まえ、労働安全衛生法の観点から国の責任が認められた。

同種の高裁判決は今回を含めて6つあるが、そのうち5つで一人親方に対する責任が認められたことになる。

また、建材メーカーにも、アスベストの危険性について、十分な警告表示を行っていなかったという問題があった。どこの建材が健康被害を生じさせたかの立証方法がポイントになっていたが、控訴審判決は、マーケットシェアなどからニチアス、ノザワに加えて新たにA&Aマテリアルの責任を認定した。

6つの高裁判決のうち、メーカーの責任を認めたのは今回で5回目。



●提訴しないでもいい救済制度を

同種の訴訟は、今回も含めて13個の地高裁判決が出ており、対象や期間に幅はあるものの、いずれも国の責任が認められている。

もっとも進んだ事件については、最高裁で10月に弁論が開かれる予定であり、近く統一的な判断が示される見通しだ。

ただ、今回の訴訟の被災者のうち大半が亡くなっているように、アスベストの健康被害は深刻。提訴しないと救済を受けられないとなると、被害者にとって大きな負担といえる。

判決後の会見で、原告団長の望月道子さんは、国に対して「謝罪と責任を果たしていただきたい」としたうえで、「被害者自ら訴訟をしなくても良いよう、(国と建設業者らの共同出資による)基金の創設に向けて頑張っていきたい」と話した。

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cat_oa-bengo4com_issue_c54afa436e10 oa-bengo4com_0_911e1b8b648f_女子ソフト部元監督にセクハラで賠償命令、部員に「女性として見ている」と発言 東京富士大 911e1b8b648f 911e1b8b648f 女子ソフト部元監督にセクハラで賠償命令、部員に「女性として見ている」と発言 東京富士大 oa-bengo4com

女子ソフト部元監督にセクハラで賠償命令、部員に「女性として見ている」と発言 東京富士大

東京富士大学(東京都新宿区)の女子ソフトボール部の70代男性監督(当時)からセクハラを受けたとして、当時部員だった20代女性が、監督と大学側に対し慰謝料など約1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(野村武範裁判長)は8月28日、セクハラ行為を認定し、監督と大学側に約79万円の支払いを命じた。

監督は数々の学校や社会人チームで指導し、東京都大学ソフトボール連盟の会長をつとめるなど日本女子ソフトボール界で実力が高く評価されていた。大学側は女子ソフトボール部を強化クラブとし、積極的に広報活動をおこなっていた。

判決後、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開いた女性は「自分がされていることを理解するのに、何日もかかりました。監督という立場を利用し、絶対的な主従関係を作り上げ、密室でセクハラ行為をおこなう計画的犯行。今でも忘れることはないですし、許すこともできません」と語った。



●「言ったらどうなるのか分かるよな」と口止め

判決によると、女性は2016年5月、監督室に一人呼び出され、膝の上に座らされたり胸や太ももを触られたりした。

その際「俺は女性として見ている」「家には女房がいるけど、グラウンドにはいない。お前がその代わりをやれ」などと言われ、「ふたりのことは、チームメイトの誰にもいうな」「言ったらどうなるのか分かるよな」と口止めされた。

別の日にも監督室で抱きつかれたり、パジャマを着た監督から「一緒に寝ないのか」と言われたりした。

女性はすぐに部活の先輩女性にLINEで一連のセクハラを伝え、6月には大学の教授にも相談。7月には病院でPTSDなどと診断された。9月には大学側に報告し、第三者委員会が設置されセクハラ行為について調査がおこなわれた。

野村武範裁判長は、女性が当時監督を信頼しており虚偽の報告をする動機がないことなどから、女性の供述の信用性を認め、「性的自己決定権を侵害するもの」と判断した。

また、監督は部活動強化のため招へいされており、大学のイメージアップや学生を集める上で重要な役割を果たし事業の一部に位置付けられること、部活動の指導の過程において監督と部員という関係性を利用してセクハラが行われたことなどから、大学側の使用者責任を認めた。



●女性「お金で解決されたくなかった」

女性によると、当時は監督から毎日怒鳴られ、「私はどうしようもない人間」と思うほど追い込まれていた。チームは監督の指示が絶対で、練習や食事、入浴も指示がないとできなかったという。

そんな中、事件前に監督から「お前を信頼している。私に対する思いを書いてこい」と言われ、女性は「監督を支えたいし、もっと気持ちを分かりたい」などと手紙を書いて渡した。女性が被害を告発したあと、監督は女性の手紙を持ち出し「はめられた」「手紙を書けという指示はしていない」と主張したという。

女性は「その時初めて、自分を擁護するために手紙を書かせたんだと理由がわかりました。私は逆に加害者呼ばわりされ、悔しくてたまりませんでした」と振り返った。

女性の他にも、セクハラ被害を受けた部員がいた。裁判では監督側から示談の申し入れがあったが、女性は「監督は常習者で、被害を受けた他の仲間のこともあった。お金で解決されたくなかったし、隠蔽されたくなかった」と拒否した。

代理人の宮本寛之弁護士は「賠償額は70万だが、慰謝料を求める事案の中では一定の評価を得られたのではないか」と判決を評価した。

大学側は第三者委員会の調査結果を本人に開示していなかったが、訴訟の中で提出を求められ開示した。宮本弁護士は「当初監督が学長からのヒアリングに対し、セクハラ行為を認めており、第三者委員会もセクハラに該当すると判断していた。これが今回の訴訟でのセクハラ認定における重要な柱となった」と話した。

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cat_oa-bengo4com_issue_c54afa436e10 oa-bengo4com_0_36df64d6a1f7_違法薬物の使用、コロナ感染者バッシングに共通する「正解依存症」 元NHK塚本アナらが自身の体験を語る 36df64d6a1f7 36df64d6a1f7 違法薬物の使用、コロナ感染者バッシングに共通する「正解依存症」 元NHK塚本アナらが自身の体験を語る oa-bengo4com

違法薬物の使用、コロナ感染者バッシングに共通する「正解依存症」 元NHK塚本アナらが自身の体験を語る

HIVやエイズをめぐる課題について考える「AIDS文化フォーラムin横浜」が8月7日から9日、オンラインで実施された。

7日は違法薬物を取り巻く「ダメ。ゼッタイ。」について考えるプログラムが開催され、精神科医で薬物依存症に詳しい松本俊彦医師(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長)や元NHKアナウンサーの塚本堅一さん(ASK依存症予防教育アドバイザー)などが登壇した。(編集部・吉田緑)

※取材は配信会場である神奈川県横浜市でおこなった。



●「ダメ。ゼッタイ。」で孤立した人も

プログラムでは、違法とされている薬物の輸入や所持などによって、司法による裁きだけではなく、職を失うなどの社会的な制裁を受けた当事者が体験談を語った。


その1人である元NHKアナウンサーの塚本さんは2016年、規制されている危険ドラッグ「RUSH(ラッシュ)」を製造・所持したとして、医薬品医療機器法違反で罰金50万円の略式命令を受け、懲戒免職処分になった。

現在はASK依存症予防教育アドバイザーとして薬物に関する正しい知識を広めるため、積極的に啓発活動などに取り組んでいる塚本さん。「僕も(逮捕によって)社会的な信用を失い、孤立しました。そういう人たちがたくさんいることを知ってほしい」と訴えた。

逮捕によって医師免許の停止処分を受けた経験を持つピース医師(仮名)は、「なぜ違法薬物を使ったのか」と聞かれることに対し、次のように心境を語った。

「とても不思議な質問だと思うんです。どうしてセクマイ(セクシャルマイノリティ)になったの?という質問と一緒で、説明することが難しい」



●医師が語る「薬物とコロナの共通点」


松本医師は、新型コロナウイルスの感染者などが排除されたり、バッシングされたりしている現状は、違法薬物やその使用者などを取り巻く状況に似ていると指摘。「どういう風に注意しなければいけないのかということよりも、とにかくおそろしいというイメージが先行している」とした。

松本医師はこれまで、行き過ぎた予防啓発や規制により、違法薬物の使用者などを孤立に追い込む風潮を問題視してきた。また、違法薬物の恐怖を必要以上に煽ったり、逮捕・起訴された人をバッシングしたりする報道などに警鐘を鳴らし続けている。

そんな松本医師に「薬物に関するこわい話をしてほしい」と依頼するメディアもあるそうだが、すべて断っているという。

司会を務めた岩室紳也医師(ヘルスプロモーション推進センター代表)も違法薬物と新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況には、当事者を責め立てるなどの共通点があるとし、その背景には「正解依存症になっている人たちがいる」と分析する。そして、次のように持論を述べた。

「私が考える『正解依存症』とは『自分なりの正解をみつけるとその正解を疑うことができないだけではなく、その正解をほかの人にも押しつける、自分なりの正解以外は受けつけない、考えられない病んだ状態』のことをいいます。

『夜の街』のように、自分なりの正解とは違う人をただ排除するだけではなく、薬物もコロナの問題も自分の身近でも起こり得ることとして考える必要があるのではないでしょうか」



●「ダメ。ゼッタイ。」に裁判で立ち向かった男性

「法律でダメなものは絶対ダメ」。そう考える人が多い中、規制に疑問を抱き、声を出して裁判でたたかうことを決意した男性も登壇した。元地方公務員のヒデさん(仮名・50代)だ。


ヒデさんは、ラッシュを輸入したとして医薬品医療機器法および関税法違反で起訴され、6月に有罪判決(懲役1年2月・執行猶予3年)を言い渡された。警察に家宅捜索されたことなどが職場に知られてしまい、懲戒免職処分になっている。

ラッシュ(亜硝酸イソブチルなどの亜硝酸エステル類)の有害性については科学的な見地から疑問視する見解もある。ヒデさんは森野嘉郎弁護士とともにエビデンス(科学的根拠)を集め、裁判で亜硝酸イソブチルは法律が規制する「指定薬物」にあたらないとして、日本で初めて無罪を争った。判決を受け、現在は控訴に向けて準備中だ。(詳しくはこちら:槇原敬之さんも所持、「RUSH」規制は重すぎる? 輸入した男性が「無罪」を訴える理由(https://www.bengo4.com/c_1009/n_11643/)

ヒデさんは「これまで当事者は『法律で決まっているから仕方ない』と誰も声を上げられませんでした。森野弁護士に出会えたおかげで、声を上げることができました。ひとりでは、たたかうことはできなかった」と森野弁護士をはじめとする支援者に感謝の気持ちを語った。

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cat_oa-bengo4com_issue_c54afa436e10 oa-bengo4com_0_0087612f7eb4_「マスクなし」で来店する客、退店させられる? アパレル店員「布でもいいからつけて」 0087612f7eb4 0087612f7eb4 「マスクなし」で来店する客、退店させられる? アパレル店員「布でもいいからつけて」 oa-bengo4com

「マスクなし」で来店する客、退店させられる? アパレル店員「布でもいいからつけて」

「7月ごろから、マスクをしないお客さんが目立つようになったんです。正直気になります」。こう話すのは、都内のアパレルショップで働く20代女性。徐々に店に客足が戻り始めた矢先、マナー知らずの迷惑客に頭を悩ませているという。

女性によると、マスクをつけずに来店するのは、服が好きそうな若い男性や50代くらいのマダムまでさまざま。2人で来店し、どちらもマスクをしていないケースもある。店の入口には「マスク着用と消毒のご協力をお願いします」と張り紙しているが、目に入っていない人も多いようだ。

マスクなしの客は、スタッフの間でも話題になるという。女性は「人によって気にする度合いは異なりますが、マスクをつけていない人にはあまり接客に行きたくないですね。エチケットとして、店内では布でもいいからつけてほしいです」と話す。

マスクをつけずに来店する客を、退店させることはできないのだろうか。近藤公人弁護士に聞いた。



●張り紙すれば、退店させることも可能

――来店時にマスクをつけてもらうようお願いするのはOKですか

「マスクをつけて下さい」と張り紙をしたり、マスクなしの客に対して「マスクをつけて下さい」とお願いすることは問題がありません。ただし、あくまでも、お願いであり、強制力はありません。

したがって、「マスクをつけていないので、退店して下さい」とまではいえません。張り紙が、お願い形式だからです。

――店員も感染リスクにさらされています。強制力をもたせることはできないのでしょうか

高級飲食店では、「Tシャツ、サンダルの方お断り」という表示があり、実際に断っている高級店もあるようです。一般の店でも同様なことができるか否かです。

本来、店が、商品を誰に売るのか売らないのか、店に誰を入店させるのかも、基本的に自由です。商品を売らないという自由もありますが、それをすると評判が悪くなるため、おこなっていないのが実情ですが、法の世界では、ある人に売らないことも認められています。

そして、毎日のように多数の新型コロナウイルス感染者が確認されるような現状で、かつ無症状の人も多数おり、無症状の人からも感染するという情報がある状況では、お店は、「マスクをつけないお客さんを入店させない」という対応をすることは、合法と思います。

使用者は、労働者に対して安全配慮義務があり、コロナに感染しないようにそのリスクを少なくする法的義務があり、また、来店する他のお客さんの安全も図る必要があるからです。なお、「体温37.5度以上の方の入店お断り」も、合法になるでしょう。

そして、店舗の入り口の見えるところに、「マスクをつけないと入店できません」と張り紙がある場合には、「マスクをつけていないので、退店して下さい」と言って、退店させることが可能です。

――それでも退店しない客がいたら、どうすれば良いのでしょうか

何度も、「出て行ってくれ」と言っているのにお客さんが退店しない場合、退店しない行為は「不退去罪」に該当します。なお、店員が実力行使でお客さんを店から退店させることは、違法ですのでやめて下さい。すぐに警察を呼びましょう。

状況が異なれば、判断も異なり、入店拒否の基準も変わりますので、注意が必要でしょう。なお、クラスターが発生した「〇〇大学の学生さんはお断り」は、差別で違法となります。

【取材協力弁護士】
近藤 公人(こんどう・きみひと)弁護士
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。
事務所名:滋賀第一法律事務所
事務所URL:http://www.shigadaiichi.com/

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cat_oa-bengo4com_issue_c54afa436e10 oa-bengo4com_0_8bb397410f94_夫が社内不倫、相手は「年上のおばさん」だった 怒りに燃える妻「離婚せず、女にだけ制裁を加えたい」 8bb397410f94 8bb397410f94 夫が社内不倫、相手は「年上のおばさん」だった 怒りに燃える妻「離婚せず、女にだけ制裁を加えたい」 oa-bengo4com

夫が社内不倫、相手は「年上のおばさん」だった 怒りに燃える妻「離婚せず、女にだけ制裁を加えたい」

夫(または妻)の不倫が発覚し、その事実だけでなく、相手の人となりにショックを受ける人もいるようだ。

子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板には「主人の不倫相手がブスだった」という投稿があった。投稿者が興信所に依頼し、夫の不倫が判明。不倫相手は、夫と同じ会社に勤務する独身女性で相談者より年上だったという。

投稿に対しては、同じ経験をしたという女性から「わかる。私より年上のおばさん、ブスだった。もう何年も前だけど、ショックで立ち直れなかった」「私の場合はガリガリの元ヤンBBAでした。酒飲みでヘビースモーカー」などのコメントが寄せられている。

投稿者は夫と話し合う予定だという。子どもがいるため、離婚することは視野に入れていないが、「不倫相手には制裁を加えたい」と考えているようだ。



●夫と話し合う前に「事前準備」を

離婚問題に詳しい河内良弁護士は「夫と離婚せずに不倫相手のみに慰謝料を請求する場合、離婚する場合に比べて慰謝料が低くなるため、満足な金額がもらえない可能性もあります」と指摘する。ほかにも、次のような点で注意が必要だという。

「不倫相手が負担する慰謝料の義務は、夫と連帯して負うものとされています。そのため、夫には請求せず不倫相手にだけ請求した場合、後日、不倫相手から夫に対して、夫が負担すべき部分を返せと請求(『求償』)される可能性はあります」

さらに、河内弁護士は、夫と話し合う前に「事前準備」をしておくことが必要だと語る。

「話し合いの結果、夫が逆ギレのような反応を示し、夫が離婚を希望して譲らないようになる場合もありえます。

そのため、話し合いを持つ(つまり、夫に対して『不倫に気づいた』と告げる)前に、証拠固めとともに、財産分与や婚姻費用の請求ができるように夫の財産を調査しておくとよいでしょう」



●興信所代は請求できる?

夫が不倫しているのでは?そのような疑いを持ったときは、投稿者のように興信所を利用して証拠を固めること、証拠を固めるまでは不貞行為に気づいていることを弁護士以外の誰にも悟られないようにすることが重要だと河内弁護士は話す。

とはいえ、興信所を利用するにも費用がかかる。かかった費用を不倫相手に請求することはできるのだろうか。

「興信所の費用については、不貞行為と興信所費用の支出に因果関係があるかという議論に尽きます。裁判例では請求を認めたもの、認めなかったものと両方あります。

もっとも『請求できる』とした裁判例でも、かかった興信所費用全額を請求できるとはせず、かかった額のごく一部の極めて低い金額しか認めていません。

そのため、興信所費用を回収できるという期待は持たないほうがいいと考えられます」



●「怪しい」と思ったら?

配偶者の不倫を疑った場合は、思わず感情的になってしまったり、冷静に行動できなくなったりすることもある。その結果、実際には配偶者が不倫していたにもかかわらず、裁判で不倫の事実が認められないなど、不利な状況に追い込まれる可能性もありうる。

河内弁護士は、次のようにアドバイスする。

「不倫の場合における慰謝料請求については、証拠をどのくらい掴めるかが重要になります。不倫を怪しんでいることが配偶者やその不倫相手にバレてしまうと、2人が警戒して会わないようになり、証拠集めができなくなって、結果として負けてしまいかねません。

たとえ、怪しいと思ったとしても、その『怪しいな』という思いは心に秘めて、早めに弁護士に相談してください。既に述べた『事前準備』のやり方も、弁護士の指導のもとでおこなった方が良いでしょう。

離婚問題を取り扱う弁護士は、おおむね興信所との繋がりを持っています。そのため、弁護士に興信所の紹介を受けることができる場合も少なくありません。

なお、この『怪しいな』という思いを友達に打ち明けると、その友達が配偶者にバラすこともあるので、情報管理にはくれぐれも注意をしてください」

【取材協力弁護士】
河内 良(かわち・りょう)弁護士
大学時代は新聞奨学生として過ごし、平成18年に旧司法試験に合格。平成28年3月に独立した。趣味はドライブと温泉めぐり。
事務所名:河内良法律事務所
事務所URL:http://www.kawachiryo-law.jp

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コロナ差別や自殺…心が折れた時こそ「絶対にあきらめないで」 全盲の大胡田誠弁護士から届いたメッセージ

長引く新型コロナウイルスの感染拡大。仕事や家族、友人関係、人生…さまざまな不安がある中、この危機とどう向き合うのか。全盲の大胡田誠弁護士がこのたび、『コロナ危機を生き抜くための心のワクチン』(ワニブックス)を上梓した。

目が見えないという障害がありながらも、絶望することなく、司法試験を目指して合格。現在は弁護士として社会的に弱い立場の人たちを支えながら、家庭では父親として2人の子どもを育てる。

そんな大胡田弁護士は、どんなときも絶望に陥らないよう、「苦しくても、あきらめないでほしい」というメッセージをいつも発信している。一体、そのためには何が必要なのだろうか。大胡田弁護士に聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)



●7歳の子どもの「一言」に言葉を失う

この本の特徴は二つある。まず、弁護士の著作らしく、問題に対して法的なアドバイスや相談窓口が紹介されていること。もう一つは、「心に対するワクチン」という役割だ。たとえば、長引くコロナ禍によって不安が高まり、自殺したくなってしまったら…?

大胡田弁護士は、さまざまな相談窓口を紹介するだけでなく、こんなことも書いている。

「心身の健康、経済問題など悩みを抱えていたら、一人で背負わず迷わず相談を!」「精神的に追いつめられたときは、心が温かいと感じるほうを選ぶ」「“もう、だめだ”と思う瞬間が、実は山頂に一番ちかづいている」「あきらめちゃだめだ!」

大胡田弁護士の事務所では、コロナ禍に関する相談が増えているというが、この本を書こうと思ったきっかけは、子どもの何気ない一言だったという。

「僕には9歳の娘と7歳の息子がいますが、3月ごろから学校が休校になり、ステイホームの状態が続いていました。そんなとき、下の子が、義母の隣で座ってご飯を食べるのがいやだと言い出しました。妻がわけをたずねたら、『病気がうつるから』と…」

ショックで、大胡田弁護士は言葉を失った。

「ニュースや周囲の大人たちが『人に近寄ってはいけない』とか言っているのを聞きいているうちに、無邪気でたくましい子どもの世界でも、心の深いところに影響を与えていると思いました。これはまずいと感じました。

コロナで騒がれるようになってから、僕だからできることはないかと考えていました。障害者であり、法律家である私だからこそ、発信できる前向きなメッセージはないか…。その思いがこの本につながりました」

本を書くうえで心がけたのは、「コロナで悩んだら、必ず解決や希望につながることが書いてある」ということだった。DVや虐待、自粛警察、会社でのトラブルなど、さまざまな場面での不安や悩みに対して法律の知識で応じながら、力強く励ましている。

「今は情報があふれていて、うまく探さないと自分に必要な情報を見つけられません。そうした中、コロナで変わってしまった僕たちの生活の中にあるさまざまな場面を網羅したいと思いました」



●死を身近に考えることで、生きることを大切に

この本の中で、特に印象強かったのが、「一人暮らしに万が一の備え」という単身者が感染したときにどうすれば良いか、まとめたアドバイスだ。単身者は社会的に孤立していることが多く、万が一に備えて「最後の希望」を医療従事者に伝えてくれる人を今のうちから探しておくことをすすめている。

一見、過激にも見えるアドバイスだが、大胡田弁護士の真意は?

「このところ、感染してから自宅療養していた人が急速に症状が悪化してしまい、最期に言いたいことを誰にも伝えられなかったという報道があります。その人がどのような医療やケアを受けたいと思っているのかということですが、裏のメッセージもあります。

死を身近に考えることは、生きることを身近に考えることだと思っています。人生の終わりを意識することによって、自分は今、どう生きるのか。どんな価値観を持って、何を大切にして生きるのか。それが、人生を豊かにすると思っています」

一方で、「自粛警察」や「マスク警察」「県外ナンバー狩り」といった他人を必要以上に攻撃する人たちも目立ち始めた。

「日本人の良いところでもあり、悪いところでもあるのですが、ルールに従おうという国民性があります。しかし、そのルールができた理由や背景が薄れてしまうことがあると思います。

本当は、マスクをしようとか、距離をとろうとかは、相手や自分を大切にするためのもののはずなのに、それが忘れ去られた。厳密に守ることを目的のように思ってしまう。もう一度、このルールはなぜあるのか、丁寧に話をしたいです。あなたが大切だからだよね、と。それを思い出して、自分の生活も大切にしていくことを考えるきっかけになればと思います」




●コロナ差別をなくすためには

「コロナに感染したら、差別を受けた」。大胡田弁護士のところには、こんな電話もかかってきた。

相談者は、ある地方に住む男性で、感染して隔離入院。回復して自宅に戻ったところ、親族から「おまえ、町の人に感染したらどうしてくれるんだ。おまえだけじゃなく、親族一同犯罪者扱いになるんだぞ」と言われたのだ。

こうした感染者に対する差別は今、全国各地で起きている。

「僕には障害があるため、これまで差別を受けたことが何度かあります。ものすごく寂しい気持ちとか、そのつらさはよくわかります」という大胡田弁護士。静岡に生まれ、12歳の時に先天性緑内障で失明した。筑波大学附属盲学校(中学部・高等部)を卒業後、慶應義塾大学法学部に進学し、弁護士を目指して法科大学院まで進んだ。

しかし、その道のりは決して平坦ではなかった。大学に進学するときに東京で部屋を借りようとしたが、「安全が確保できない」という理由で不動産業者に断られ続けた。何社かまわって部屋は見つかったものの、このときに感じた憤りは「弁護士になって社会を変えていかなければ」という原動力につながった。

また、こんなこともあった。大学の講義で、ある教授から「点字」でノートをとるときの打刻音がうるさいと言われた。「教室の隅で受けるように」という教授に対し、一緒に受けていた学生が抗議の声をあげてくれた。「授業以前に差別行為ではないか」。議論になったが、最後は教授が折れて、自由な席で受講を続けられたという。

「こうすれば容易に差別はなくなるという魔法の杖のようなものはありません。ただ、一つ言えることは、今コロナに感染している人は、明日の自分の姿かもしれないということです。もしも自分が感染してしまったときに、そんなふうに差別されてもよいのか。教育の場も含めた議論は必要ですし、想像力を持つことが大事だと思います」



●少年時代に出会った一冊の本

この本では、コロナ禍をきっかけにしながら、その一言一言にこれまで大胡田弁護士が壁にぶち当たりながらも、懸命に生きてきた人生が伝わってくる。前向きで決して諦めないという姿に、読む人は勇気づけられるのだ。

しかし、そんな大胡田弁護士も自暴自棄になったことがあった。中学に入ったころ、失明した大胡田弁護士は、将来に可能性が見出せず、暗闇の中にいた。そうした中で出会った一冊の点字の本が『ぶつかってぶつかって。』(かもがわ出版)だった。

日本で初めて点字を使って司法試験に合格した竹下義樹弁護士が書いた本で、視覚障害がありながらも屈することないその生き様に、大胡田弁護士は憧れたという。

「当時、司法試験は点字での受験が認められていませんでした。しかし、竹下弁護士は自分で法務省と交渉して、点字での受験を認めさせ、自分の人生を自分で変えていきました。

僕も全盲になっていろいろな可能性がなくなってしまったような思いを抱きましたが、可能性は自分でつくっていくのだと教わりました」

そのとき、大胡田弁護士は弁護士になることが夢になった。「目が見えなくても、どんな暗闇の中にも希望はある。壁にぶつかっても、あきらめなければ道は開けるんだ」という大胡田弁護士の本のメッセージは、大胡田弁護士が自身に言ってきたことだ。



●刑務所からの届いた手紙

今は、弁護士として多忙な日々を送るが、うれしかったことも多い。2010年夏、ある地方の刑務所に大胡田弁護士が国選弁護人として担当した男性が収監された。ドラッグストアで万引きした罪に問われたのだ。それ以前にも有罪判決を受けて執行猶予中のことだったので、実刑は免れなかった。

ある一方からみれば「悪質な犯罪者」かもしれないが、大胡田弁護士は面会を重ねるうちに、男性が病気をきっかけに仕事を失い、自暴自棄になって万引きを繰り返していたことがわかった。痛みを抱え、生活保護を申請する気力もないまで追い詰められていたという。

その後、獄中の男性から手紙が届いた。最後まで寄り添い、懸命に弁護した大胡田弁護士への感謝と社会復帰への希望がつづられていた。

「手紙には、彼が刑務所で点字翻訳を勉強したいと書いてありました。僕は彼との出会いを通じて、目が見えない自分だからこそできる仕事があるはずだと思うようになりました。僕が竹下弁護士にもらった希望のバトンみたいなものを、僕も誰かに手渡せたらと思っています」

コロナ禍によって裁判が延期になるなど、仕事にも影響は出ているが、その間はキャリアコンサルタントの資格の勉強をしているという。

「転職や再就職に悩んだときに、相談に乗る仕事です。弁護士はその人の人生のスポットでしか関われないので、もっと相手の人生にどっぷり関われるようになりたいと思っています」

コロナ禍にあっても、大胡田弁護士らしい前向きな言葉だった。


【大胡田誠弁護士略歴】
「おおごだ法律事務所」代表。1977年、静岡県生まれ。12歳の時に先天性緑内障による失明。筑波大学附属盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)の中学部・高等部)を卒業後、慶應義塾大学法学部を経て、同大大学院法務研究科に進学した。8年間かけて司法試験に挑み、2006年、5回目のチャレンジで合格。全盲で司法試験に合格した弁護士としては3人目となる。一般民事や企業法務、家事事件、刑事事件など幅広く手がけるほか、障害者の人権問題についても精力的に活動している。半生をつづった著書『全盲の僕が弁護士になった理由』(日経BP)は、松坂桃李さん主演ドラマの原案にもなった。妻で全盲の音楽家・大石亜矢子さんとの共著『決断。全盲のふたりが、家族をつくるとき』(中央公論新社)では、2人の出会いから家庭で一男一女を育てる様子が描かれている。趣味はギターとランニング。愛読書は村上春樹。日弁連「障がいのある人に対する差別を禁止する法律に関する特別部会」委員、社会福祉法人「日本視覚障害者団体連合」評議員、公益社団法人「日本盲導犬協会」評議員、「東京都障害を理由とする差別解消のための調整委員会」委員なども務めている。

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何かと批判されがちな「ワーケーション」、労働者にプラスの制度にするためには?

新型コロナウイルスの影響で大企業を中心にテレワークが普及するなど、働き方が変わる中、政府は「ワーケーション」の推進に取り組み始めている。

「ワーケーション」とは、仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた造語で、休暇中に旅先などで仕事をするという働き方だ。

2020年7月に開催された観光戦略実行推進会議でも、「ワーケーションの推進」が議事となった。政府としては、アフターコロナの地域経済活性化も見据え、感染リスクの低減に資する休暇の分散化、ワーケーションなどの新しい旅行スタイルの普及を図りたいようだ。

とはいえ、ワーケーションは要するに旅行先でのテレワークであり、仕事している限りでは紛れもなく「労働」だ。ワーケーションの利点や課題などを労働問題に詳しい山田長正弁護士に聞いた。



●休暇に関する選択肢も増え、より働きやすくなる

ーー「労働」の観点において、ワーケーションの利点は何でしょうか

「会議など1週間のうち1日だけは休めない日があるような場合でも、この制度を使えばその日以外は休むことができます。その結果、長期の休暇を取得しやすくなり、休暇に関する選択肢も増える以上、働きやすさが向上するでしょう。

また、仮に従業員がワーケーション制度を利用しなくても、会社がそのような制度を導入したこと自体、休暇の取得を促進している姿勢の表れとも言えます。従業員にとってはより働きやすい環境になると思われます。

もちろん、会社にとっても、ワーケーション制度の導入により、採用率向上に伴う人手不足の解消や離職率の低下、無駄な会議の廃止等を通じ、一定のメリットもあります」



●労働時間の把握や情報管理の徹底が難しいという面も

ーー課題はどのような点にあるでしょうか

「まずは労働時間の管理です。ワーケーションはテレワークと同様に、職場で勤務状況を目で見て確認したり、タイムカードなどで労働時間を把握することができません。

労働時間は従業員の自己申告が原則となります。しかし、本当に従業員が申請した時間通りに就業しているかが不明であり、従業員の労働時間や残業時間の把握が困難になります。結果として、適正に人事評価を行うことができるのかという問題も生じます。

すでに一部企業では、ITを活用して新たな労務管理システムを構築したり、人事評価制度についてもいわゆるジョブ型(給与は就いているジョブで決まり(職務給)、どのような職務を担当しているかという仕事の内容と難易度(ジョブグレード)によって細かい基準で給与が決定される)を導入している企業もありますが、まだまだ少数です」

ーー旅先ですと、テレワークより「脱線」の誘惑が多いかもしれません

「そのようなデメリットも当然考えられますね。また、情報管理上の問題もあります。

ワーケーション制度を導入するのであれば、ノートパソコンには必ずパスワード設定を行わせたり、社外に持ち出す資料も最小限にするなど、情報漏洩のリスクを最小限に抑えた上で、制度を利用させる必要があります。

さらに、休暇時にも『ワーケーション制度を利用するように』などと、社員に指示することも認めるかどうかも検討が必要です。ワーケーション制度の導入により、労働者にとって休暇の意義が損なわれることがないよう配慮が必要です」

ーー「業務上災害(労災)」の適用はどうなるのでしょうか。たとえば、あらかじめワーケーション制度を利用することを会社に伝えた上で、旅行先に向かっている最中に起きた事故には適用があるのでしょうか

「今後、国としてワーケーションを取得しやすくするために、労災を認めやすくする方向に動くのか否か、現時点では不透明です。

ただし、ワーケーションのために旅行先に向かっている最中に起きた事故については、現在の実務を前提にすれば、たとえば仕事として荷物を運ぶ場合や物品を移動中に監視するなど移動自体が仕事と見なされる場合を除いては、使用者の指揮命令が及んでいないと評価され、原則的に労災として認定される可能性は低いでしょう」

【取材協力弁護士】
山田 長正(やまだ・ながまさ)弁護士
山田総合法律事務所 パートナー弁護士

企業法務を中心に、使用者側労働事件(労働審判を含む)を特に専門として取り扱っており、労働トラブルに関する講演・執筆も多数行っている。
事務所名:山田総合法律事務所
事務所URL:http://www.yamadasogo.jp/

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槇原敬之さんも所持、「RUSH」規制は重すぎる? 輸入した男性が「無罪」を訴える理由

規制されている危険ドラッグ「RUSH(ラッシュ)」を海外から個人輸入したとして、医薬品医療機器等法および関税法違反で起訴された男性(50代)に対し、千葉地裁は6月18日、懲役1年2月(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡した。

裁判で男性は、ラッシュは法律が規制する「指定薬物」にはあたらないとし、無罪を主張した。男性側によれば、この主張が裁判に持ち込まれるのは日本初だという。男性と弁護団で主任弁護人を務める森野嘉郎弁護士に話を聞いた。(編集部・吉田緑)



●ラッシュを輸入し、税関にみつかる

男性(以下、仮名「ヒデさん」)は職を失うなどのさまざまな社会的制裁を受け、精神的に追い込まれたという。森野弁護士は「刑罰まで科す必要があるのか」とラッシュの規制を疑問視する。

「ラッシュ」については、今年8月に有罪判決(懲役2年・執行猶予3年)を言い渡されたシンガーソングライターの槇原敬之さんが、覚醒剤取締法違反(所持)のほか、ラッシュを所持していたとして医薬品医療機器法違反(同)に問われたことで、記憶に残っている人もいるかもしれない。

ヒデさん本人の話をもとに、裁判を振り返りたい。

ヒデさんは、2014年に使用が規制される前からラッシュを使用したことはあった。といっても、誰かが持っていれば使わせてもらう程度で、まったく使わない期間も長かったという。

ラッシュの使用や所持が規制されたことは知っていたというヒデさん。しかし、医薬品の輸入代行業者を通じて海外からラッシュを買えることを知り、この方法ならば合法なのではないかと思ってしまったという。「今考えれば、法律的な知識が乏しかったと思います」とヒデさんは肩を落とす。

そして2015年12月、初めて購入したラッシュは無事、自宅に届いた。

ところが、同じ月に再び購入したラッシュは自宅に届かず、翌1月に再送してもらっても届かなかった。同じ年の6月、ヒデさんは税関に家宅捜索と任意聴取を受け、告発された。

それから約11カ月後の2017年5月、ヒデさんは警察による家宅捜索と任意聴取を受けた。このことは職場に知られることとなり、当時、地方公務員として働いていたヒデさんは懲戒免職処分になった。

その2カ月後に在宅起訴され、今年6月にようやく有罪判決が言い渡された。コロナの影響もあり、裁判は3年に及んだ。



●懲戒免職処分をはじめとする「社会的制裁」

「職を失ったことが一番大きな不利益でした」とヒデさんは振り返る。精神的にも追い込まれ、解雇されてから1年間は定職に就かずに生活していたという。

ヒデさんを追い込む出来事は懲戒免職処分にとどまらなかった。

これまで積極的におこなってきた地域の文化活動は自粛を余儀なくされた。地域の舞台に出演しようとしたときは、チラシにヒデさんの名前が掲載されているとして、市役所に苦情が入ったこともあるという。

また、これまで分担執筆してきた児童向けのシリーズ本の執筆メンバーからも外された。すでに出版した本からはヒデさんの名前は消え、すべてペンネームに差し替えられた。

さらに、判決後はラッシュを輸入して有罪となったとして、勤務先、職種などとともに実名報道したメディアもあった。ヒデさんは両親を不安にさせないため裁判のことを話していなかったが、この報道によって両親に知られてしまったという。



●ラッシュは「指定薬物」の要件をみたすのか?

弁護団は裁判で、ラッシュ(亜硝酸イソブチル)は医薬品医療機器法が規制する「指定薬物」にはあたらず、ヒデさんは無罪だと主張。

もともと、指定薬物に関する規制が厳罰化したのは、危険ドラッグの乱用による交通事故の発生や健康被害が相次ぎ、社会に規制の機運が高まったためだった。


しかし、その多くは合成カンナビノイドや合成カチノンによる影響と考えられているという。弁護団は有害な物質は適正に規制されなければならないと考える一方で、ラッシュは「指定薬物」として規制に値するものなのか疑問を抱いていた。

過去にゲイの仲間とラッシュを使用していたというユウジさん(仮名・40代男性)によると、鼻から吸うと酔ったような感覚を感じられたというが、幻覚などはなかった。血管拡張作用があるため、肛門などの筋肉をゆるませる効果があり、性交時の痛みを緩和するために使う人が多いという。

「効果は短いので、みんな(行為中に)何度も吸っていました。ただ、自分のまわりでは依存症になった人や具合が悪くなったり、危険なことをしたりする人は見たことも聞いたこともないです」(ユウジさん)

森野弁護士は「ラッシュの有害性はほかの薬物と比べて低いにもかかわらず、その刑罰はあまりに重すぎる」と指摘する。



●刑罰や懲戒免職処分は妥当か?控訴に向けて

判決を受け、ヒデさんと森野弁護士は控訴に向けて準備を進めている。また、懲戒免職処分についても「拙速で重い処分」であるとして取消しを求めているという。

ラッシュの規制によって社会的な不利益を受けたり、精神的に追い込まれたりしたのはヒデさんだけではない。

実際に、ヒデさんが弁護士や精神保健福祉士などの支援者とともに2018年8月に立ち上げた「ラッシュの規制を考える会」には「医療目的でニトライト(亜硝酸イソプロピル、亜硝酸イソペンチル)を輸入・所持して罰金の略式命令が出された」「かつて逮捕されてしまったことで孤立した」などの相談が複数寄せられているという。


森野弁護士は、次のように語る。

「人に『刑罰を科す』ということは、職場における懲戒処分、資格の制限など、その人にさまざまな社会的不利益を与えることにつながります。だからこそ、刑罰を科すからにはきちんとしたプロセスを経て、その根拠を示すべきです。

規制のあり方については、業者の取り扱いを禁止するなどの流通規制をおこなったり、年齢制限を設けたりするなど、別の方法も考えられると思います。使用や所持で罰することや懲戒免職処分は行き過ぎているといえます」

はたして、ラッシュの規制は妥当なのか。その有害性と刑の重さは釣り合うものなのか。今後の議論が注目される。



●裁判での主張

<弁護団の主張>

弁護団の主張は多岐にわたるが、まとめると次のとおりだ。

・下記の指定薬物の要件に該当しないこと
(1)中枢神経系の興奮もしくは抑制または幻覚の作用を有する蓋然性が高いこと (2)人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがあること (医薬品医療機器等法2条15号)

・厚労相が意見を聴くべきとされた(3)「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」での議論が極めて不十分なこと

・(4)厚労省の指定自体が裁量権を逸脱していること

弁護団が(1)の根拠としてあげたのは、医学雑誌「THE LANCET」に掲載されている論文(注1)や国立精神・神経医療センター精神保健研究所の薬物依存研究部による調査(注2)、医師の証言、当事者へのアンケート調査などだ。

他方、弁護団は指定の際の根拠とされた論文(注3)には亜硝酸イソブチルの「中枢神経系への(直接的な)作用」について明記されていないと指摘した。

また、(2)については、「保健衛生上の危害が発生するおそれ」とは「人体または社会に対して一定程度以上の害悪を発生させるおそれがある場合」をいうとし、亜硝酸イソブチルは人体に対する悪影響が少ないこと、自傷他害事例は報告されていないことなどをあげた。


<裁判所の判断>

ヒデさんの裁判で、裁判所は薬学、医学などの専門知識などは持ち合わせていないとして、厚労相の判断を一定程度尊重する姿勢をみせた。

そして「精神毒性や保健衛生上の危害の発生のおそれの存否を判断するのではなく、厚労相がそのように判断したことに合理性があるか、それが裁量の範囲を逸脱していないかを審査すべき」と前置きをしたうえで、厚労相が亜硝酸イソブチルを指定薬物に指定したことは合理的であり、適法であると結論づけた。

弁護団の主張に対しては、アルコールやニコチンと比較して規制の当否を論ずるのは相当でない、「保健衛生上の危害が生じた場合であっても、医療機関に対して自傷他害の報告がされるとは限らない」などとし、いっさい聞き入れなかった。

弁護団は裁判の意義や地裁判決の解説、今後の動向を参加者とともに考える報告会を9月5日にオンラインで開催する(https://rushcontrol.jimdofree.com/20200822/)。



●かつては気軽に買えたラッシュ…厳しい規制の対象に

ラッシュは主にセックスドラッグとして使用されていたほか、クラブやディスコで陶酔感を高めるためなどに使われていた。2000年代前半まではアダルトショップや通販などで気軽に買うことができた。

しかし、2006年に薬事法(現:医薬品医療機器等法)の改正によって指定薬物制度が導入されたことにより、ラッシュに含まれている亜硝酸イソブチルなどの「亜硝酸エステル類」とよばれる成分は「指定薬物」として規制の対象になった。このときは主に業者による販売などが禁止され、指定薬物の所持や使用などに関する規制はなかった。

その後、2014年に罰則が強化され、所持や使用なども禁止された。加えて、2015年には関税法が改正され、指定薬物の個人輸入が禁止された(10年以下の懲役または3000万円以下の罰金)。

個人輸入は医薬品医療機器等法でも禁止されている(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)。このように2つの罪にあたる場合は、重い方(関税法)の刑罰が科されることになる(刑法54条1項)。

(注1)
亜硝酸エステル類(亜硝酸イソブチルを含む)の有害性は20薬物(アルコール、ニコチン、ヘロイン、コカイン、大麻など)のうち19番目であるとされている。
“Development of a rational scale to assess the harm of drugs of potential misuse” THE LANCET 369 (9566)1047–1053ページ (2007年3月)

(注2)
「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」では自傷他害事例の報告例はないとされる。

(注3)
“Clinical Review of Inhalant” The American Journal on Addictions10(1)79ー94ページ(2001年)

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メルカリで「同人誌」が出品できなくなる? ガイドライン改定で「鬼滅風」など禁止に

フリマアプリ「メルカリ」で、9月1日から「禁止されている出品物」のガイドラインが改定される。今回、新たに出品禁止となるのは、知的財産などの権利侵害のおそれがある商品だ。

ネットでは、「同人誌が出品禁止される」と話題になっているが、実は現在のガイドラインでも、「許諾なくキャラクターなどを使用したハンドメイド品、同人誌など」は違反となっている。

では、新たなガイドラインではどのような出品物が違反になるのだろうか。



●「鬼滅風」などの商品名や説明は禁止に

メルカリが8月25日に発表した改定版によると、次の3つが新たに出品禁止になる。

・商品名や商品説明に、権利侵害の恐れがあるブランド名やキャラクター名などを記載すること(xx風、xx系、xxタイプなど)

・第三者が権利を有しているブランド品のロゴ・デザインと酷似している商品

・事務局が特定のブランドを想起すると判断した商品

説明では、「権利侵害の恐れがあるキャラクターの素材や生地を使用した商品は出品することができません」としている。また、「ブランド名やキャラクター名などを、xx風、xx系、xxタイプなどと商品名や、商品説明に記載することは、権利侵害の恐れや購入者が誤認・混同する恐れがあるため、禁止します」とある。



●現在も出品禁止のはずの同人誌だが…

ネットでは、同人誌が出品禁止になるのではないかと言われているが、現在のガイドラインでも違反の対象となっている。しかし、実際には出品されているものも少なくない。

弁護士ドットコムニュースがメルカリに取材したところ、「同人誌については、オリジナルのものもあり、すべてが出品禁止というわけではありません。ただし、許諾なくキャラクターなどを使用しているものは、権利者から申し立てがあれば削除対応を実施しております」と説明する。

ただし、今回の改定により、「権利侵害の恐れがあるキャラクターの素材や生地を使用した商品は出品はできなくなります」という。

また、今回の改定の理由をたずねたところ、「直接のきっかけはございませんが、以前から様々なご意見を頂戴しておりました。メルカリは、個人間で簡単かつ安全に売買できるマーケットプレイスを目指しており、今後も法令やユーザー保護の観点からガイドラインの改定、アップデートは随時行ってまいります」と回答した。

現在、メルカリではガイド改定日までに、新たに禁止となる出品物を取り下げるよう、ユーザーに呼びかけている。

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