cat_oa-bengo4com_issue_7934924ded58 oa-bengo4com_0_7934924ded58_ひろゆき氏の方法はもう終わり? 賠償金「踏み倒し」撲滅へ、法制度見直し議論 7934924ded58 7934924ded58 ひろゆき氏の方法はもう終わり? 賠償金「踏み倒し」撲滅へ、法制度見直し議論 oa-bengo4com

ひろゆき氏の方法はもう終わり? 賠償金「踏み倒し」撲滅へ、法制度見直し議論

これでは逃げ得ではないのかーー。長い裁判の末に勝ち取った勝訴判決。しかし、裁判所がどれだけ高額の賠償金を命じても、実際に払われるかどうかは分からない。相手が支払わなかったとしても罰則はないし、強制執行にも限界があるからだ。

たとえば、2ちゃんねるの創設者・ひろゆき氏は今年5月、AbemaTVの番組「エゴサーチTV」の中で、30億円ほどあった損害賠償を無視し続け、踏み倒したことを明かしている。

このほか、日弁連が2015年に行ったアンケート調査では、殺人などの重大犯罪について、賠償金や示談金を満額受け取ったという回答はゼロ。6割の事件では、被害者側への支払いが一切なかったというデータもある。離婚の際、子どもの養育費について取り決めたのに、約束が果たされないというのもよく聞く話だ。

こうした「踏み倒し」「逃げ得」を防ぐため、現在、法務省では「民事執行法」の見直しが検討されている。今年9月には、中間試案が取りまとめられ、相手の財産を把握しやすくすることなどが提言された。11月10日まで、パブリックコメントも募集中だ。

一体、どうして踏み倒しが起きるのか。どういう見直しが必要になるのか。中間試案について、宇田幸生弁護士に聞いた。

●強制執行しようにも調査権限は貧弱…

ーー賠償金を支払わなくても、本当にペナルティはない?

原則としてペナルティはありません。ただし、判決等に賠償金以外に完済までの遅延損害金の支払いも命じている場合には、賠償金の支払いを終えるまで遅延損害金が日々発生していくことになります。

ーー支払いがない場合、どういう対応をするのか?

判決等で賠償金の支払い義務を負うことになった相手(債務者)が自主的に支払いをしない場合、確定判決を得た者(債権者)は「強制執行」の申し立てを裁判所に行います。

そして、裁判所の命令によって債務者の財産を強制的に差し押さえ、現金化するなどして判決内容に書かれた金額の取り立て(債権回収)を実現することになります。

ーー強制執行をすれば、債権を回収できる?

裁判所の判決は、「強制的に債務者の財産から取り立てをして良い」といういわば許可書でしかないため、差し押さえるべき財産を「債権者自ら」探し出す必要があります。しかし、債権者には警察のような捜査権限がなく、十分な調査ができないのが現状です。

この点、調査をする一つの手段として債務者から自主的に財産内容の申告を求める「財産開示手続」(民事執行法196条以下)という制度はあります。しかし、強制執行がうまくいっていない(不奏功)ことや、既知の財産への強制執行では全額を回収できないことなどを、債権者側がまず裁判所に説明しなければならず、手続き要件が厳しいのが難点です。

また、手続きの行なわれる期日に債務者が出頭しなかったり、虚偽の財産内容を債務者が説明したりした場合であっても、制裁自体が30万円以下の過料に留まっていることも問題です。もともと賠償金を支払わない債務者に対して、改めて過料の制裁を科しても、あまり効果的ではないからです。

そして、このような財産開示制度を利用したとしても、差し押さえるべき財産が見つからなかった場合、あるいは、そもそも財産が何もなかったような場合には、判決があったとしても、結局、取り立てはできないことになります。これではせっかく苦労して勝ち取った判決も「紙切れ」と言わざるを得ません。

ーーさらに時効もあるとか…

判決で確定した請求権といえども10年で消滅時効にかかるため(民法174条の2)、10年が経過する前に改めて裁判を起こすなどして時効を中断する必要があります。

ただ、改めて裁判を起こす場合には手数料も必要となります。たとえば、1億円の賠償金請求の場合、32万円もの収入印紙を改めて裁判所に納めなければならないのです。

●現在、罰則に懲役刑の追加や調査権限の強化などが検討されている

ーー法務省では制度の見直しが検討されている

2017年9月に発表された民事執行法の改正に関する中間試案では、(1)先ほど指摘した「財産開示手続」について申し立ての要件を軽減したり、(2)出頭しない債務者を強制的に裁判所に連行したり、あるいは、(3)罰則に過料だけでなく懲役刑をも加える等、手続きの実効性を向上させるための方策が様々検討されています。

また、(4)銀行などの金融機関や公的機関から債務者の財産に関する情報を取得する制度を新たに創設しようという検討もされています。これらの制度が実現すれば、債務者の財産調査がこれまでよりは容易になり、賠償金の現実的な回収に繋がるのではないかと期待されます。

ただ、さらなる理想を言えば、(a)判決自体に債務者の財産調査のための強制的な捜索権限を付与する、(b)取り立てが困難な場合には国がその立て替えを行い債務者に求償する、といった抜本的な法整備をすることが望まれます。そもそも、支払うべきお金を持っていないというケースもあるためです。

ちなみに、北欧のノルウェーでは、犯罪被害者のために賠償金を国が立て替え、その取り立てを加害者に対して国が直接行なう「回収庁」と呼ばれる役所があります。同国では、国民総背番号制によって加害者の財産捕捉が容易になっており、国による加害者への求償も効果的に進められていると言われていますので、抜本的な制度改革の一つの参考になると思われます。

ーー回収だけに重きを置くと、弊害も起こるのでは?

もちろん、債務者といえども最低限度の生活を保障しなければなりません。その観点から、差し押さえが禁止されている財産があります。たとえば、生活に欠くことができない衣服や寝具、1か月の生活に必要な食料や燃料等です(民事執行法131条)。

その他にも、差し押さえが禁止されている債権があります(民事執行法152条)。たとえば、給料や賞与については、その支払期に受けるべき金額のうち原則として4分の3(養育費等の扶養料債権の取り立てのために債務者の給与等を強制執行する場合は2分の1)に相当する部分については差し押さえが許されません。

これら規定によって、債務者には最低限度の生活保障がされているものの、たとえば、債務者の給料収入が余りにも少ない場合、原則どおりの差し押さえ禁止の範囲では最低限度の生活すらできないことも想定されます。このような場合、債務者は「差押禁止債権の範囲の変更」の申し立てをすることによって、差し押さえの一部取り消しを求めることができます(民事執行法153条)。

しかし、日々の生活に事欠く状態の債務者であれば、裁判所に差し押さえの取り消しを求めている時間的余裕がないのが一般です。そこで、中間試案では、財産開示制度の強化など、債権者の地位が強化されることとのバランスから、債務者保護のために「差押禁止債権」の拡大をする方向での検討もされています。たとえば、支払期に受けるべき金額のうち、一定の金額までは全額差し押さえを禁止するというような考え方です。

ただ、債務者の生活保障を重視するあまり、債権回収の実効性が骨抜きとなってしまっては本末転倒です。あくまでも債権者の権利保全を原則とした上での慎重な議論を期待してやまないところです。

【取材協力弁護士】
宇田 幸生(うだ・こうせい)弁護士
愛知県弁護士会犯罪被害者支援委員会前委員長。名古屋市犯罪被害者等支援条例(仮称)検討懇談会座長。殺人等の重大事件において被害者支援活動に取り組んでおり、近時出版した著作に「置き去りにされる犯罪被害者」(内外出版)がある。
事務所名:宇田法律事務所
事務所URL:http://udakosei.info/

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伊藤詩織さん「声をあげたら必ずどこかに届く」被害公表からの日々を振り返る

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之さんから性暴力被害にあったとして、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(中山孝雄裁判長)は1月25日、330万円の賠償を命じた1審・東京地裁判決を変更し、賠償金を約332万円に増額する判決を言い渡した。

判決後、都内で記者会見した伊藤さんは「この民事裁判で(性行為の)同意がなかったことが認められたことはとても大きいのではないかと思います。伊藤詩織ではなく、これが自分の近い人に起きたらどうなるんだろう、ということを少しでも想像していただきたかった」と話した。

代理人の西廣陽子弁護士は「真っ当な常識に従った、よく検討された説得力のある判決だ」と評価した。

●「声をあげたら必ずどこかに届く」

2017年5月に記者会見を開き、性被害の事実を公表した伊藤さん。被害を公にしたことについて「後悔はありません」と振り返った。

「当時は性被害について語る風潮が珍しいとされていたかもしれませんが、2017年の10月に#metooの動きが始まり、それにより報道の流れも変わったと、身をもって変化を感じていました」

ただ、被害を公表した伊藤さんへの誹謗中傷も相次いだ。「個人の人生の中での影響は想像を絶する以上に大きかった。(高裁で)負けてしまったら本当に日本に住めなくなってしまうのではないか、という恐怖もあった」と語る。

伊藤さんは「個人として言えるのは、声をあげたら必ずどこかに届くということ。こうしたケースがあるということを頭の隅に覚えていただいて、同じようなことが起きないように、毎日行動していただけたらなと思う」と呼びかけた。

一方、伊藤さんがおこなった記者会見などについて、山口さんは名誉毀損だとして慰謝料など1億3000万円と謝罪広告を求めて反訴していたが、東京高裁は、デートレイプドラッグに関する言及が名誉毀損とプライバシー侵害にあたるとして、慰謝料など55万円の支払いを伊藤さんに命じた。

当時、デートレイプドラッグについて「『それ何?』という反応が多くあった」(伊藤さん)という。その後、次第にレイプドラッグの被害実態が知られるようになり、警察庁は2019年、性犯罪に使用される薬物による影響などについて通達を出している。

伊藤さんは「(通達が出されたことは)大きな前進だった。個人的な感覚で意見を述べたことはそれまでですが、レイプドラッグの被害が実際にあることを広く知らしめられたことについては、自分の中では大きな一歩だったと感じています」と話した。

現在、法制審議会で性犯罪に関する刑法についての議論がされている。その中で、性的行為に対する同意についての議論もおこなわれる予定だ。伊藤さんは「不同意性交が犯罪であるという項目が議論され、私の身に起こったことが、法律でさばかれる世の中がやってくると信じています」と願った。

●高裁判決の要旨

控訴審は、一審と同様、性行為の同意があったかどうかなどの事実関係が主な争点だった。

中山裁判長は、伊藤さんが、記憶を取り戻したあとの事象について、ほぼ一貫して性的被害を受けたことを具体的に供述していること、伊藤さんと山口さんの間にはそれまで性的行為をおこなうことが想定されるような親密な関係は認められないこと、伊藤さんが行為直後から、友人や医師、警察に対して、性的被害を受けたことを繰り返し訴えていることについて、「事実の経緯として合理的かつ自然に説明することができる」などと指摘した。

一方、山口さんの「伊藤さんが性行為に誘う挙動をした」といった供述については、それまで性的行為を行うことが想定されるような親密な関係が会ったことは認められないこと、伊藤さんが直後から性的被害を受けたことを繰り返し訴え公表していることなどの事実経過と「明らかに乖離する」と指摘。

ホテルに入る時点では、飲酒により強度の酩酊状況に会った伊藤さんが、わずか2時間半程度で、その真意に基づき山口さんを性行為に誘う挙動に至ることができたのかについて「素朴な疑問を解消することができない」とし、「供述を信用することはできない」と述べた。

伊藤さんの供述に基づき、同意がないのに性行為に及んだと結論づけ、治療関係費2万8300円と慰謝料300万円(弁護士費用30万円)を認めた。 

●山口さんの反訴についての判断

次に、伊藤さんの性被害公表行為が山口さんに対する名誉毀損やプライバシー侵害として不法行為となるかについて、検討した。

中山裁判長は、デートレイプドラッグの使用に関する公表行為をのぞくものについては、いずれも山口さんの社会的評価を低下させ、プライバシーを明かすものではあるが、「公共の利害に関する事実で、その目的がもっぱら公益を図ることにある」「事実を公表されない法的利益が公表する理由に優越しない」と認定。不法行為は成立しないとした。

伊藤さんの「私は薬(デートレイプドラッグ)を入れられたんだと思っています」「デートレイプドラッグを入れられた場合に起きる記憶障害や吐き気の症状は、自分の身に起きたことと、驚くほど一致していた」といったデートレイプドラッグに関する記述について、山口さんが性的行為前に、デートレイプドラッグを飲ませたとの事実を認めるに足りる的確な証拠はなく、真実であるとは認められない上、いかなる具体的な根拠をもって真実だと信じるに至ったかが明らかではないとして真実相当性もないとし、名誉毀損が成立するとした。

また、「私は薬(デートレイプドラッグ)を入れられたんだと思っています」という内容は、山口さんが伊藤さんを意識不明に陥らせるためにデートレイプドラッグを使用したと主張されていることであると認められ、プライバシーに当たると認定。

公表するにあたっては「相応に慎重な検討が求められていた」とし、山口さんが同意なく性行為をおこなったことが真実であるため、デートレイプドラッグを用いたとの真実でない事実を主張していることが明らかにされると、計画的に性的加害行為に及んだと受け取られるなど、より大きい不利益を被るおそれがあるとし、プライバシー侵害が成立するとした。

その上で、デートレイプドラッグの使用は、加害行為の手段・方法という事実関係の一部にとどまり、その点が公表されたことにより山口さんの社会的評価が低下した程度は「性的加害行為が公表されたことにより山口さんの社会的評価が大きく低下した程度に比較して、大きいとは認められない」とし、慰謝料50万円(弁護士費用5万円)が相当とした。謝罪広告掲載は認めなかった。

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cat_oa-bengo4com_issue_7934924ded58 oa-bengo4com_0_7v6x1hyyfdb6_山口敬之さん上告へ 伊藤詩織さんの名誉毀損認定も「大いに不満がある」 7v6x1hyyfdb6 7v6x1hyyfdb6 山口敬之さん上告へ 伊藤詩織さんの名誉毀損認定も「大いに不満がある」 oa-bengo4com

山口敬之さん上告へ 伊藤詩織さんの名誉毀損認定も「大いに不満がある」

ジャーナリストの伊藤詩織さんが性暴力被害にあったとして起こした訴訟で、約332万円の損害賠償を命じた東京高裁の判決をうけて、元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之さんは1月25日、都内で記者会見を開き「全体では大いに不満がある」として上告する考えを明らかにした。

一方、伊藤さんによる被害公表の一部が名誉毀損と認められたことには「高く評価」すると述べた。高裁判決は、伊藤さんがデートレイプドラッグの使用について言及した公表部分においてのみ、名誉毀損とプライバシー侵害を認定し、伊藤さんに55万円の支払いを命じた。

●山口さん「伊藤さんによるデタラメの流布を裁判所が認めた」

伊藤さんがおこなった記者会見などについて、山口さん側は名誉毀損だとして反訴していた。山口さんは会見の冒頭、判決文をまだ読んでいないことを前提として、このように語った。

「今回の判決につきまして、デートレイプドラッグなるものの主張をめぐって、伊藤さんの不法行為を認め、損害賠償を認めたことを高く評価します。

伊藤さんは日本のテレビ、ラジオにとどまらず、世界中のメディアで薬を盛られたなどと繰り返し発信していて、こうしたデタラメを世界中にばらまいたことについて、私は強い憤りをもっていました。

伊藤さんが事実でないことを事実であるかのように流布したことを裁判所が認めた事実は大きいと思います」

一方、本訴については「今回の判決には全体としておおいに不満がありますので、上告することとし、その準備に入っています」とした。

●控訴審の弁護活動がセカンドレイプにならぬように細心の注意払った

控訴審において、山口さんの代理人弁護士は一新された。1審で担当した弁護士が、伊藤さんに言及したブログ等の発信をめぐり、2021年3月、所属弁護士会から戒告の懲戒処分を発表されていた。

代理人の大西達夫弁護士は、今回のような事例において、加害者とされた男性側の弁護士の主張が「ややもするとセカンドレイプであると非難されるような反証活動がされることはこれまでの同種事案でも見掛けられるところ」であるとして、弁護団としても批判・非難を受けないように、細心の注意を払って弁護活動をおこなったと説明した。

●東京高裁判決概要

東京高裁(中山孝雄裁判長)は1月25日、1審・東京地裁判決(2019年12月18日)と同じく、「性行為の合意はなかった」として、山口さんに約332万円の支払いを命じた。1審の330万円から増額した。

一方、伊藤さんの申告によって名誉を傷つけられたとして、1億3000万円や謝罪広告を求めた山口さんの反訴も一部認め、伊藤さんに55万円の支払いを命じた。

1審では「公共性および公益目的がある」として棄却されていたが、中山裁判長は、デートレイプドラッグの使用に関する公表にのみ、真実性または真実相当性が認められず、名誉毀損とプライバシーの侵害が成立するとした。

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cat_oa-bengo4com_issue_7934924ded58 oa-bengo4com_0_kss88jmnh761_伊藤詩織さん、二審も勝訴 性暴力訴訟、山口敬之さんに332万円の賠償命令  kss88jmnh761 kss88jmnh761 伊藤詩織さん、二審も勝訴 性暴力訴訟、山口敬之さんに332万円の賠償命令  oa-bengo4com

伊藤詩織さん、二審も勝訴 性暴力訴訟、山口敬之さんに332万円の賠償命令 

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之さんから性暴力被害にあったとして、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(中山孝雄裁判長)は1月25日、330万円の賠償を命じた1審・東京地裁判決を変更し、賠償金を約332万円に増額する判決を言い渡した。

また、伊藤さんがおこなった記者会見などについて、山口さんは名誉毀損だとして慰謝料など1億3000万円と謝罪広告を求めて反訴していたが、東京高裁は、デートレイプドラッグに関する言及が名誉毀損とプライバシー侵害にあたるとして、慰謝料など55万円の支払いを伊藤さんに命じた。

●これまでの経緯

1審の東京地裁判決は、山口さんの供述について「不合理に変遷しており、信用性には重大な疑念がある」と指摘。伊藤さんの供述から、山口さんが合意のないまま性行為に及んだと認定した。山口さんの反訴については、「公共性および公益目的がある」として棄却していた。

控訴審の第1回弁論は2021年9月21日におこなわれ、その日のうちに結審していた。控訴審では新たな主張等はされておらず、一審と同様、性行為の同意があったかどうかなどの事実関係が主な争点だった。

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「お前が妊娠させ、娘は働けなくなった」義父に命じられた妻の奨学金返済…離婚でモヤモヤ

妻の奨学金を肩代わりして支払っていた人が「離婚したら、妻のために返済した分を返してもらえないか」と、弁護士ドットコムに質問を寄せました。

相談者の妻は結婚前、自分で働いたお金で奨学金を返済していました。しかし、相談者によれば「つわり等の状態が酷く、有給もほとんど無いため仕事を辞めました」といいます。

その後、義理の父から「お前が妊娠させて、働けなくしたんだから奨学金は夫が払うのが当たり前」と言われたそうです。そこで、妻が妊娠して会社を辞めてからは相談者が代わりに払うことになりました。

しかし、相談者夫妻は離婚することになりました。そこで「妻の奨学金返済のために払った分のお金を嫁に請求したい」と考えています。代わりに払っていた配偶者の奨学金を離婚を理由に返して貰うことはできるのでしょうか。澤藤亮介弁護士に聞きました。

●「義父の要求は法的根拠に乏しい」

ーーそもそも夫は妻の奨学金を肩代わりする義務はあるのでしょうか

結婚やそれに伴う妊娠、出産などの人生のイベントは強制されるものではなく、ご自身の意思や配偶者との話し合いを経て、対応を決めるものです。

法的側面からすれば、妻のかわりに夫が奨学金を返済するべきという義父の要求は、根拠に乏しいと言えるでしょう。

●返済してもらえるか?

ーー離婚時に妻のかわりに返済してきた分を返してもらえないのでしょうか

夫が立て替えてきた金銭が(1)貸金、(2)贈与、(3)婚姻費用の分担のどれに該当するかによって結論は異なります。

(1)貸金:法的に貸金となると、妻に対し貸金返還請求ができる
(2)贈与:プレゼントなどと同様。法的に贈与となると、妻に対し返還請求ができない
(3)婚姻費用の分担:結婚中の生活費の負担。法的に婚姻費用の分担となると、妻に対し返還請求できない

相談者が考えるように、妻に対する「貸金」と言えそうですが、法的には「贈与」や「婚姻費用の分担」などと考える余地はあると言えます。

ーー相手がもし(1)と素直に応じた場合にはどうなりますか

婚姻期間中に夫婦間で立て替えがあり、出してもらった側が借りたものであることを争わない場合は、離婚協議や離婚調停の中で、何らかの形で清算することが多いと思われます。

例えば、財産分与の検討の結果、夫から妻への分与金の支払いが出る場合、それと立替分を相殺処理する形や、離婚協議書や調停調書に立替金の支払方法(一括や分割)を明記したうえで清算する方法などです。

ーー逆に(2)や(3)と相手が主張した場合には、どのように対応するべきでしょうか

他方、妻側が貸金であることを認めずにその法的性質を争う場合、調停の次の手続である審判事件や訴訟の中で、夫側が、返済義務の生じる「貸金」であったことを主張・立証することにより、その返還を求めることになります。

そのため、実際は家庭内のことであるため難しいかもしれませんが、立て替えた奨学金について争いが起こる可能性があるようでしたら、それはあくまで貸したものあることを記載した念書や覚書を残しておくと宜しいかと思われます。

【取材協力弁護士】
澤藤 亮介(さわふじ・りょうすけ)弁護士
東京弁護士会所属。離婚、男女問題などを中心に取り扱う。自身がiPhoneなどのデバイスが好きなこともあり、ITをフル活用し業務の効率化を図っている。日経BP社『iPadで行こう!』などにも寄稿。
事務所名:東京キーウェスト法律事務所
事務所URL:https://www.keywest-law.com

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セブン店主は「労働者」にあたるのか? 国との訴訟が結審、判決は6月6日

コンビニ最大手セブンイレブンの加盟店オーナーが、労働組合法上の労働者に当たるかどうかが争われている裁判は1月24日、東京地裁で結審した。6月6日に判決が言い渡される。

裁判を起こしたのは、セブンオーナーらでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」。同ユニオンに団体交渉権を認めなかった中央労働委員会の判断の取り消しを求めている。

発端はセブン本部に団体交渉を拒否されたとして、同ユニオンが岡山県労委に申し立てていた事件。同労委は2014年、セブンに団体交渉を受けるよう命じたが、中労委が2019年に取り消し、セブンオーナーは労働組合法上の労働者には当たらないとする逆転判断を示していた。

労働組合法上の労働者は、労働基準法の労働者よりも広い概念で、たとえば、個人事業主であるプロ野球選手でつくる「日本プロ野球選手会」も労働組合として認められている。

団体交渉権が認められれば、使用者側は正当な理由なく団交の申し入れを拒否できない。原告のコンビニ加盟店ユニオンは、フランチャイズ本部と加盟店の間には交渉力格差があるなどとして、団体交渉の必要性を訴えていた。

同ユニオンの関連組織「ファミリーマート加盟店ユニオン」も同じく、団交権を認めないとした中労委の判断の取り消しを求める訴訟を起こしているが、こちらは年内に証人尋問がおこなわれる予定で、まだ結審していない。

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放置駐車の違反金、レンタカー会社の支払い確定 最高裁が上告棄却

レンタカーの放置違反金の支払いをめぐり、貸し出したレンタカー会社が納付命令の取り消しをもとめた裁判で、最高裁第三小法廷は会社側の上告を棄却・不受理とする決定を下した。会社が1月24日、明らかにした。これによって、会社側の請求を退けた判決が確定する。決定は1月18日付。

●貸し出し中でも「使用者」はレンタカー会社との判決

この裁判は、岡山市のレンタカー会社が2020年7月15日、岡山県を相手に起こしたもの。

県公安委員会から、貸し出したレンタカーの放置違反金1万8000円の支払いを命じられたが、実際に運転していた借受人が支払うべきものと主張していた。

1審の岡山地裁(2021年2月16月)は、レンタカー会社が、放置車両の権原を有し、車両の運行を支配し、管理する「使用者」(道路交通法第51条の4第4項)にあたるとして、同社の請求を棄却した。

2審・広島高裁岡山支部(2021年7月15日判決)の控訴棄却につづき、最高裁も上告棄却となった。

今回の決定を受けて、原告・吉備キビレンタカーの湯浅健社長は「残念な結果」としたうえで「健全なレンタカー事業と駐車違反取締制度が出来る環境が整うことを願っております」とコメントした。

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cat_oa-bengo4com_issue_7934924ded58 oa-bengo4com_0_mhp9mrthrtz9_使い勝手がいいだけの「高学歴体育会系」は就活で重視されない? 新卒一括採用の変化 mhp9mrthrtz9 mhp9mrthrtz9 使い勝手がいいだけの「高学歴体育会系」は就活で重視されない? 新卒一括採用の変化 oa-bengo4com

使い勝手がいいだけの「高学歴体育会系」は就活で重視されない? 新卒一括採用の変化

経団連が1月18日に発表した春闘方針「経営労働政策特別委員会報告」で、日本型雇用システムの見直しに向けた視点の一つとして、採用方法の多様化が盛り込まれた。

報告書では、従来の新卒一括採用について、計画的で安定的な採用や、自社に適した人材育成などでメリットがあるとする一方で、新卒時以外の入社機会が限られてしまうことや、中小企業やスタートアップ企業による人材獲得や、起業に失敗した人の再チャレンジを阻害している可能性などをデメリットとして挙げている。

そのうえで、新卒一括による採用割合を見直し、通年採用や中途・経験者採用の導入・拡大をさらに進めていくことだ有効だとしている。

これまで何度も、新卒一括採用の見直しが叫ばれてきたが、今後、どうなっていくのか。採用の問題に詳しい碇邦生・大分大学経済学部講師に聞いた。(編集部:新志有裕、矢口美有)

●採用の時期から、採用のあり方をめぐる議論へ

ーー新卒一括採用については、賛否両論ありますが、どう捉えればいいのでしょうか。

様々な立場の人の思惑が絡んでいて、全体像を語れる人はほとんどいません。例えば学問分野でも、経済学、政治学、法学、社会学と多岐にわたります。さらに、企業、大学、学生のどこの立場で考えるのかによっても視点が異なります。

国単位で考えても、経団連は企業の視点で、経産省も企業の競争力を高める方向性ですが、厚労省は雇用を守りたいということで一枚岩ではありません。

ーーそのような利害関係の複雑さによって、議論が膠着状態に陥ってきた面があるのでしょうか。

それはありますね。しかし、5年くらい前から、新卒一括採用を変えようとする側の思惑が多様化して、議論に変化が見られます。それまでの議論は、大学生がどの時期に就活をするのかという「時期問題」に終始していました。

一番初めに変えようと言い始めたのが、バブル崩壊後の1990年前半で、多くのIT企業が生まれた2000年代の議論も同じでした。企業は時期に関係なく高学歴の学生を青田買いしたいと考えましたが、経団連が倫理憲章を作って規制し、学校側も学生生活の確保のために賛同しました。

現在は、グローバル化が進んで日本独自の新卒一括採用を不便に感じる企業が出てきました。職種を絞り込んだジョブ型雇用や通年採用に舵を切る必要が出てきたのです。グローバル企業だけではなく、育成に余裕のない企業も同様です。

そして、これまで以上に学生の専門性を見るようにもなりました。例えば、法学部の学生やロースクール出身者であれば、法務部や知財管理に配属した方が人材育成のコストが下げられる、といった考え方です。学校の勉強と仕事をリンクさせる方向に変わってきたのはこの10年くらいです。

●採用のあり方は一様ではなく、モザイクに

ーーそうは言っても、大企業が、大学時代の学びではなく、高学歴の体育会系で、「何でもやります」「協調性があります」という学生をポテンシャル重視で採用する流れも残っているのではないでしょうか。

今までは、高学歴体育会系を好んで採用していると言われてきた商社でも、そのような学生を落とすようになってきたという話を関係者から聞いたことがあります。

同じ大学でも起業していたり、世界に目を向けたりしている学生の方が欲しいそうです。使い勝手はいいけれども、純粋無垢なので育ててもらうのが前提といった学生は、高学歴であっても、時代の流れを読む力が無さすぎると捉えられるということですね。

しかし、当然企業によって違いがあります。育成することが前提で、気合と根性があれば良いという企業もあります。そういう意味では、採用のあり方は一様ではなく、モザイクになっています。

●新卒一括採用はボリュームゾーンの学生たちを救ってきた

ーーここまでは企業側の視点でしたが、学生は新卒一括採用が続くことを望んでいるのでしょうか。学生の能力を「上」「中」「下」に分類した時に、就職後の企業内教育に期待できるということで、「中」や「下」の学生にとってのメリットが大きかったように思います。

日本の学校教育が、ボリュームゾーンである「中」に対してのケアが厚いのと同様に、新卒一括採用も、その層を中心に救っている面があります。

一方で、「上」の学生への支援はあまりありません。「中」や「下」の学生と同じルールじゃないと就職できないのが現状です。見えないガラスの天井にぶつかってやる気を無くすケースも結構あります。

ですから、フランスのカードル制のように、上位層を別区分にして、とことん働いて出世していく層と、そこそこ働いて楽しい人生を謳歌するけれども、出世はしない層とに分けるべきだという意見もあります。

●「大学は職業訓練校になるべき」論の問題点

ーー次は大学側の視点の話なのですが、文系を中心に、大学の学問と仕事の内容は今もあまりリンクしていません。スキルを重視した採用に変わっていくのであれば、大学は職業訓練校のようになるべきでしょうか。

学生に仕事に直結したことを教えたいのなら、アメリカのように教育と研究を分ける必要があります。

研究を担う人たちを分けないと基礎研究が死んで、研究テーマも狭まってしまいます。例えば紫式部を研究するような、直接世の中の役には立たない学問がなくなってしまうのは困ります。

しかし今のところ、日本の大学は職業訓練校になることの踏ん切りがついていません。日本のジョブ型雇用がアメリカのように積極的にならない理由でもあります。

ーーそれはなぜでしょうか。

日本の大学が研究も教育もしているのは、日本が貧乏で予算がないからです。人件費も抑えて、教員数も減らして、できるだけお金をかけずに少人数でやりましょうという方向になっています。

このような現状を打開しようと、日本電産の永守重信氏のように自分で大学を作ることで教育改革に乗り出す実業家も出てきています。世界的にも、このような実業家や企業が大学を作る事例は少なくありません。教育改革の方向性の1つとしてあるでしょう。

日本は30年以上、経済全体も企業も元気がありません。予算の問題がずっとつきまとって何も変わらないままでいると、新卒採用も含めて化石化してしまいます。まずは日本国内が元気にならないと始まりません。だから世界で戦える企業をもっと増やさないといけません。

ーーまずは企業が変わらないといけないということでしょうか。

変えようと思ったら企業はいくらでも変えられるんですよ。ソフトバンクも楽天も新卒一括採用のルールに縛られずに独自の施策を打ち出しています。大事なのは新しいことに挑戦している企業の足を引っ張らないことです。だから新卒一括採用をする企業としない企業のどちらもあっていいんです。

「日本的」新卒一括採用を変化させるには「日本的」を無くさなくてはいけません。新卒採用は多様なやり方があって良いんです。企業が戦っているフィールドに応じて、やり方を変えればいいだけです。

●部分的でいいので、「出る杭」を伸ばす仕組みに

ーー採用とキャリア形成の多様化が求められているということでしょうか。

システムで全部変えるにはお金が足りません。ですから、そのお金を稼ぐ手段は「出る杭」の人たちをどれだけ支援して成功させるかが重要なんです。例えば前澤友作さんのように、宇宙に行ってしまうほど成功する人たちですね。

そのためには自分が所属しているコミュニティの中で、上に行きたい人とそうじゃない人が自分で選択できる、キャリアの多様化が必要なのです。

しかし、いま上手くやっているところまで無理に変える必要はありません。部分的に「出る杭」を伸ばせば良いんです。成功は一握りの人が手にするものだと歴史的にも物理学的にも立証されています。

そのような人たちを定期的に出して、周りの人たちを引っ張り上げてもらうという仕組みを作らなくてはいけません。新卒採用も、「出る杭」を受け止められるように改善していくべきでしょう。

【プロフィール】 碇邦生(いかり・くにお) 2006年立命館アジア太平洋大学卒業。民間企業を経て神戸大学大学院へ進学し、インドネシアで海外現地法人の調査と企業研修プログラムの開発研究を行う。その後、リクルートワークス研究所で主に採用についてのプロジェクトに従事。2017年から大分大学経済学部経営システム学科の講師。

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家族を苦しめてきた義父、介護目当てに「押しかけ同居」強行の危機 都合よすぎる提案、阻止できる?

嫌がらせやセクハラをしてくる義父から家族を守りたい——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者の義父は、親族一のトラブルメーカーで、夫の家族を苦しめてきました。借金を繰り返し、返済ができなくなると息子である夫に泣きついてきます。そこで相談者の意向を理由に「出せないことを伝えると、そんな嫁をコントロールできないでどうするんだ!別れろ!と怒鳴って夫を追い詰めます」。

相談者に対しても、「嫌がらせの手紙が送られてきたり、旦那が出世できないのは私がダメな嫁だと、親戚中に言いふらします。怒鳴ったり、平気で人を殴ります」といい、夫の妹が全治一カ月もの怪我を負わされる事件もありました。

そのため、相談者や夫の家族たちは精神的に追い詰められ、心療内科に通っています。そんな義父が最近、がんと診断され、「みてもらえる人がいなくて困ったのか、我が家に急に来ると言い出しました。断ると、なにがなんでも行ってやると言って脅してきます」。

相談者はどんな対応ができるのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。

●「同居は拒否できます」

まず、相談者や夫は、義父からの同居を拒否することが可能です。

この点、民法で直系血族間に扶養義務が課されていること(877条1項)との関係が問題になりますが、扶養義務は、資力が乏しい親族に対する経済的な支援の義務を指すものであり、同居することまで求められるわけではありません(879条参照)。

無理やり押しかけてくる義父に対して何らかの法的措置がとれないかも問題となります。この点、まずDV防止法を思い浮かべる方が多いかと思いますが、DV防止法の対象は配偶者からの暴力であり、親子間は含まないので、今回のケースでは適用がありません。

ですが、民事保全法の接近禁止仮処分の申立の対象とはなります。もっとも、仮処分が認められるのは、押しかけられてきて身の危険を感じるような緊急性の高いケースですので、直近で重度の暴力を受けていないような場合には、申立しても認められない可能性が高いでしょう。

しかし、できることもあります。矛盾するようですが、このようなケースで一番大切なのは、「相手にしないこと」です。

電話に出ない。着信拒否にする。訪ねてきても応対しない。相手が家の鍵を持っている場合には鍵を変える。このような自衛措置が一番重要です。

相手にしてもらえると思っているから、傍若無人な態度に出るのです。仮に義父が押しかけてきて家の前で騒いだりするような場合には警察を呼んで対応してもらいましょう。

【取材協力弁護士】
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。東京弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)を経て、2014年10月開業。2018年11月から弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)。刑事事件、離婚事件、不当請求事件などを得意としています。
事務所名:北千住パブリック法律事務所
事務所URL:http://www.kp-law.jp/

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ゴルゴ松本、少年院で「命の授業」10周年 「チャンスはくる、だから自分を追い込むな」

「命」「炎」などの人文字ギャグで知られるお笑いコンビ「TIM」のゴルゴ松本さん(54)は、10年前から少年院で漢字や言葉をテーマにしたボランティア講演「『命』の授業」を続けている。

「使命」「ライフワーク」とまで語る、この活動を通じて感じたこと、考えたこと。そして悩める人たちに訴えたいことをこのほど、新著『「命」の相談室』(中公新書ラクレ)にまとめた。

ゴルゴさんは「『命』のためなら迷わず逃げていい」と力説する。逃げることの重要性、そして逃げたあとの振る舞い方を聞いた。(執筆家・山田準)

●「少年院は天国だぞ」

1997年正月、実家に近い東武東上線の男衾(おぶすま)駅のホームから秩父の山並みを眺め、山頂に浮かんで見えた「命」という文字。それが、ゴルゴさんと「命」という文字を結びつける、宿命的な出会いだった。

ゴルゴさんがお笑いを始めたのは1994年。役者からの転身で当時27歳、周囲からは「その歳で?」とバカにされたという。しかし、この「命」など、人文字ギャグでブレイクし、一躍人気者になった。


そんなゴルゴさんが、運命に導かれるように、少年院でボランティア講演をおこなうようになったのは2011年11月から。少年たちの就労支援をしていた元編集者・北村啓一さん(故人)の強い誘いがきっかけだったという。

最初は東京都の多摩少年院。以来、北は北海道から南は福岡県まで、全国48カ所ある少年院のうち、29カ所を訪問。講演回数は約40回にも及ぶ。コロナ禍で一時休止していたものの、昨年10月、赤城少年院(群馬県)で再開した。

「少年院にいる子たちも、目つきや表情は普通の子と変わりません。少年院の中では三食食べることができて、布団で寝ることができて…。(少年院の)外では布団で寝たことがなく、まともに食べさせてもらえない子もいますから。だから、少年院の中で守られている間は、みな同じ目と顔なんです。でも、外に出て違う環境に流されると、また道を踏み外す予備軍になってしまう。だから『少年院に来たことは不運ではない。ここは天国だぞ。天国へ来たと思って生まれ変われ』って言います。あと、『ありがとう』は基本。『いただきます』は『命をいただきます』という意味。『ご馳走さま』の『馳走(ちそう)』とは、おもてなしのこと。忙しい中、作って下さった行為に対して、『ご』と『さま』をつけて『ご馳走様』。これらは感謝の言葉。これが言えなかったら人間として駄目だぞ。親や周りの大人が教えてくれなかったことを、僕はただ伝えているだけ」


●「命」の授業が「使命」に

そもそもゴルゴさんには、少年院にいる子どもだから、という意識はない。教育不足や愛情不足などで、たまたま道を踏み外した子どもたちに、一人の責任ある大人として手を差し伸べ続けていきたい――。それしか頭にないという。

「環境は違っても子どもたちはみんな一緒。自分にとっては年下の人間です。壁は作らず、先に生まれた大人としてできることを伝えているだけ。道を踏み外した少年院の子もそうだけど、とにかく何かが起きたあとが大事。どう生きていくか。そのヒントを伝えられれば。全員を変えるのは無理でも、一人でも笑顔で生きていける子どもが増えてくれればいい」ゴルゴさんは、言葉は「言霊(ことだま)」だという。魂が宿っている。正しい方向へと導く力にもなるが、使い方を誤れば凶器にだってなる。

「僕は言葉の力を信じています。だからこそ、良き言葉を子どもたちに届けたい。悪い言葉は絶対に目に入れない、耳に入れないこと。もし目や耳に入ってしまったら、良い言霊、良い音できれいに清めてほしい。ひどいことを言われても、同じやり方で返したらダメ。否定や悪意に満ちたものは、言った人に戻ってきますから」


「命の授業」は、子どもたちと魂で向き合う充実した時間。もはや、自身の「使命」になっているとゴルゴさんは語る。

「漢字はとても視覚的な『芸術作品』。少年院を出て、また道を踏み外しそうになっても、講演で話した漢字を目にしたとき、『少年院で見た字だ』と、一瞬とどまるかもしれない。そのあとは自分との戦いですが。でも、立ち直るきっかけだけは残してやりたい。足腰が立って、言葉をしゃべれる限り続けたい」

●「環境がダメなら逃げて良い」

ゴルゴさん自身もまた、「命の授業」から多くのことを感じ、学び、そして考えてきたという。中でも強調するのが、「命や人生を守るためには逃げても良い」ということだ。少年たちに限らず、広く悩みを抱えている人たちに伝えたいという。

「自分の命が危なくなったら逃げる。それは負けではない。逃げるが勝ち。たとえば、いじめるようなヤツがいる学校なら、行かなきゃいいんですよ。津波が来たらみな逃げるでしょ。それと一緒。危ないと思ったら、絶対逃げて下さい。これが第一。逃げるとは、良くない兆しから走って逃げる、回避するという意味。とにかく、命より大切なものなんてない。きつければ逃げる。でも10年後はわからないぞ、と。まずは逃げる。そして目線を変えて、いつか勝つ」


つらいことから目を背け続けて良いということではない。大事なのは問題が自分の側にあるのか、環境の側にあるのかだという。

「自分がやろうとしていることで障害があるのなら、逃げるのではなくて、乗り越えなくてはならない。でも、いじめとか、心が追い込まれていって死のうとか思う状況は、その環境自体がダメ。だから、逃げて違う空気を吸うこと、環境、目線を変えることが大事。みなさん、下を向いていませんか、携帯を見ていませんか。空を、星を、花を見て下さいね、ということ。森の中で空気を吸って下さい。酸素は命のもと。体に酸素を入れて下さい」

●「道なんかいくらでもある」

悩んでいるときは「心の視界」が狭くなり、自分を客観的に見られなくなる。だから一度逃げて、目線を変える。そして逆転のための力をたくわえる。環境に恵まれず、逃げられなかった子どもたちにとっては、少年院こそがそういう場なのかもしれない。

「頑張って生きていけば、10年後、20年後、逆転は必ずあるから。負けて終わりじゃない。逆転勝ちはスポーツだけじゃないからね。長い人生、焦るな、慌てるな、あきらめずに行けよ。そして、逆転するぞ! という思いを持ち続けてもらいたい」「辛い」に棒を一本加えれば「幸せ」になる。一本道に見えても逃げて環境を変えれば、別の道が視界に入ってくる。それは遠回りに見えるかもしれないが、信じて一歩を踏み出せば、いつか景色は開ける。

「道なんかいくらでもある。命にかかわる危険なら、逃げる、逃れる、回避する。だって命より大切なものなんてないんですから。『急がば回れ』ですよ。昔も今も、危機、危険からの逃げ方、回避術って、本当に重要ですよね。『「命」の相談室』の次は、『逃げ方』っていう(タイトルの)本を書こうかな。うん、逃げ方はありかもしれない(笑い)」


(プロフィール)
【ゴルゴ松本(まつもと)】
1967年4月17日、埼玉県深谷市(旧・花園町)生まれ。熊谷商野球部で1985年春の選抜(甲子園)に出場。1994年に2歳上のレッド吉田とお笑いコンビ「TIM」を結成。コントと「命」「炎」などの人文字を使った一発ギャグでブレーク。2011年から全国の少年院でボランティア講演を実施。著書に『ゴルゴ松本 あっ「命」の漢字ドリル』(プレジデント社・2022/2/4 発売)、『あっ! 命の授業』(廣済堂出版)、『ゴル語録』(文藝春秋)がある。

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