cat_oa-bengo4com_issue_5b6629465a5e oa-bengo4com_0_5b6629465a5e_保育園「子ども同士のけんか」で顔に傷跡…園に治療費を支払わせることは可能? 5b6629465a5e 5b6629465a5e 保育園「子ども同士のけんか」で顔に傷跡…園に治療費を支払わせることは可能? oa-bengo4com

保育園「子ども同士のけんか」で顔に傷跡…園に治療費を支払わせることは可能?

やんちゃ盛りの子どもにけんかはつきもの。でも、そのけんかが取り返しのつかない怪我に繋がってしまったらーー。そんな相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。

相談者の子どもは保育園で友達にひっかかれ、顔に傷ができてしまったそうです。「ずっと治療を続けているのですが、かなり深かったので、傷跡が少し残ってしまいました」とのことで、保育園に医療費を請求することを検討しています。

このように子ども同士のけんかで怪我をした場合、誰が損害賠償責任を負うのでしょうか。また、どのような怪我の場合にどれくらいの支払いを受けることができるのでしょうか。佐藤香代弁護士に聞きました。

●損害賠償義務を負うのは誰?

「まず、誰に請求をすればよいかという質問からお答えします。保育園内で、子ども同士のケンカによって一方の子どもがケガをした場合、加害をした子どもを監督する義務を負っていた親権者は、子どもに代わって損害賠償義務を負うと考えられます。

また、保育園は、単に子どもを預かるだけではなく、保育に当たり子どもの生命、身体及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(安全配慮義務)も負っていると考えられています。事故が、保育士の見守り体制に不備があったなどの過失によって起きたといえる場合には、保育園を設置する自治体や団体が損害賠償責任を負う場合もあります。

なお、保育園が、園内で起きる事故に備えて、医療費や見舞金などの支給を受けられる『独立行政法人日本スポーツ振興センター』に加入している場合や、他の賠償保険に加入している場合もあります。治療に時間や費用がかかる、後遺症が残るかもしれないといった場合には、早めに保育園に相談してみましょう」

なお、損害賠償の範囲はどこまでになるのだろうか。傷跡が残ったような場合には、その分も請求できるのか。

「治療尽くしても顔に傷跡が残るなど『後遺症』が残ってしまうような場合、『後遺症』の内容や程度に応じて、将来の損害についても請求できる場合があります。

なお、今回は、『ケンカ』が原因とのことですので、ケガをした子ども側にも落ち度があるかもしれません。そのような場合、子ども自身あるいはその子どもを監督するべき親側に過失があったとして、請求できる賠償額が減額(過失相殺)されることもあり得ます」

【取材協力弁護士】
佐藤 香代(さとう・かよ)弁護士
日本社会事業大学・福祉マネジメント修士(専門職)・非常勤講師 2004年10月 弁護士登録 2014年5月 法律事務所たいとう開設 (主な著作)「Q&A 子どもをめぐる法律相談」(新日本法規)(共著) 「Q&A 学校事故対策マニュアル」(明石書店)〈共著〉
事務所名:法律事務所たいとう
事務所URL:http://www.lo-taito.com/

外部リンク

cat_oa-bengo4com_issue_5b6629465a5e oa-bengo4com_0_6zuptg4nj236_なぜ日本の労働組合は勢いを盛り返せないか 目立つ政府主導の待遇改善、本来の役割は? 6zuptg4nj236 6zuptg4nj236 なぜ日本の労働組合は勢いを盛り返せないか 目立つ政府主導の待遇改善、本来の役割は? oa-bengo4com

なぜ日本の労働組合は勢いを盛り返せないか 目立つ政府主導の待遇改善、本来の役割は?

米国ではコロナ禍による失業増加を機に、比較的所得の低いスターバックスやアマゾンの倉庫作業員、アップルの店舗従業員らが労働組合を結成する動きが相次いだ。かたや日本でも、今年に入って円安と燃料・食料価格の上昇による値上げラッシュが起こり、家計を脅かしている。労働者が苦境に陥る中、日本の組合も米国のように勢いを盛り返すことができるのか。首藤若菜・立教大教授(労使関係論)に聞いた。(ライター・有馬智子)

●所属する職場の課題にコミットすればいいという「内向き」思考が強い

――昨今の日米の労働運動を、どのように評価していますか。

米国ではコロナ禍以降、格差拡大の犠牲となってきた低所得層が、待遇改善を求めて団結する動きが目立ちます。ただ、米国では組合が企業との排他的交渉権を得るには、過半数の労働者の賛成が必要で、使用者側は賛成多数に持ち込ませないよう、伝統的に激しい組合つぶしを展開します。このため日本と違って労使の対立が先鋭化しがちで、世間の耳目を集めやすいという面はあります。

日本でも、大手スーパーの労働組合がパート・アルバイトを組織化するなど、活動を正社員以外に広げる動きが一部に見られます。日本最大のナショナルセンターである連合もWor-Qというフリーランス向けのプラットフォームを設け、多様な働き手にアプローチし始めました。しかし大半の産別・企業別組合は、組合員以外の労働者に対する関心が薄いと言わざるを得ません。

――なぜ関心が薄いのでしょう。

企業別組合を特徴とする日本の労組は、所属する職場の課題にコミットすればいいという「内向き」思考が強くなりがちなためです。それが労働運動そのものの弱さにつながっていると思います。

例えばナショナルセンターは全労働者のため、産別労組はその産業で働く労働者のために、本来存在するはずです。米国でも、団体交渉は企業単位で行われますが、その際に産別労組のメンバーが参加することがしばしばあります。しかし日本では、主に内情を理解している個別企業の労働組合と使用者が交渉を重ねてきました。

私が研究してきた運輸業界でも、個人事業主として働く宅配ドライバーを、産別労組などが支援する動きははっきりとは見られません。むしろ、労使で定めたワークルールの逸脱者として、冷ややかに見ているようです。

――「内向き」思考の原因は何だと考えますか。

企業別組合が強いことが一因でしょう。日本企業は例えば賃金制度などを変える時、労使が水面下で協議し、制度設計の段階からある程度、組合の意向を反映させます。内部調整機能が発達していることには、実質的に労働者の声を取り入れやすく、不要な衝突を避けられるというメリットもあります。しかし労働組合が経営側との交渉に集中し、社会に目を向けようとしなくなる弊害も生みました。

象徴的だったのが2002年、トヨタ自動車が過去最高益を計上した年の春闘で、労組がベアゼロ回答を受け入れたことです。リーディングカンパニーの労使が「雇用を守るため、賃金は我慢する」という姿勢を示したことで、ほかの日本企業に、雇用維持の発想が強まりすぎたように思います。

その結果、賃上げを通じて経済全体に好循環を生み出すというマクロの視点が失われてしまったのです。

●労働者が多様化しても、組合によって守られることは重要

――足元では、コロナ禍のダメージに加えて物価高が家計を直撃しています。労働者側に団結の気運が高まらないのはなぜでしょうか。

1990年代以降、賃上げ率が低迷した上に個別の人事査定や業績連動といった基準が加わったことで、組合が労働者全体の賃金を底上げしているという実感が薄れました。近年はそれに加えて労働者のニーズが非常に多様化し、意見集約が難しくなりました。

労働組合は本来、同じ仕事に就く労働者が仲間意識を共有し、組合員に共通する要望を使用者側に提示します。しかし運輸業界を例にとっても、社員として働きたいドライバーもいれば、個人事業主として労働時間規制にとらわれず働き、多くの収入を得たいという人もいます。ウーバーの配達員も、小遣い稼ぎが目的の人や配達で生計を成り立たせている人が混在していることが、組織化を難しくしています。

――多様化した労働者にとって、労働組合に加入するメリットは薄れたのでしょうか。

私はそうは思いません。労働者が、低賃金で搾取される構造に取り込まれないためには、組合によって守られることが非常に重要です。

先ほどお話した個人事業主のドライバーも、最初は配達個数に応じて報酬が支払われますが、熟練すると1日ごとの報酬に変更され、気づくといくら配達しても収入が上がらない状況に置かれていることがあります。にもかかわらず、雇用されたドライバーに比べて一見、収入が多く見えるため、多くの人が個人事業主に流れます。

どの業界にも共通することですが、ワークルールの外で働く人が増えるほど、労働環境全体が悪い方へ引っ張られ、適正なルールで働ける職場に人が集まらなくなってしまう。悪貨が良貨を駆逐するのです。

こうした事態を防ぐには、組合だけでなく政府も、労働者性が認められる個人事業主に労働基準を順守させるよう法整備を進めるべきです。また消費者である私たちも、労働者の待遇改善にかかるコストが製品やサービス価格に転嫁されることを許容すべきです。

●組合の多くは、政府の定めた制度を守ることが、自分たちの役割だと勘違い

――近年は「働き方改革」「官製春闘」など、政府主導による労働者の待遇改善が進んでいます。組合が活力を取り戻すためには、どうすればいいでしょうか。

「官製春闘」と言われますが、政府の「鶴の一声」で自動的に賃金が上がるわけではなく、個別企業の交渉では組合も一定の役割を果たしています。ただ発信力が弱く、外からは動きが見えないことが問題です。

「働き方改革」も本来は、政府ではなく組合が使用者側に働きかけ、新しいワークルールを作るべきでした。しかし組合の多くは、政府の定めた制度を守ることが、自分たちの役割だと思い込んでいます。

1960年代に旧電電公社の組合(全電通)は、電話交換手の女性たちの離職防止のために育休制度を作り、それが他の組合に波及して育児・介護休業法の制定につながりました。KDDIの労使は、業界に先駆けて勤務時間インターバルを設け、制度化の先鞭をつけました。一つの職場で生まれた労働協約が、社会のルールとなった事例はいくつもあります。組合が存在感を示すためには、社会を牽引するようなワークルールを作り、自分たちの活動を社会に発信する必要があります。

――組合のあるべき姿について、どう考えますか。

一部の組合員には「非正規労働者を組織化し待遇を改善したら、自分たちの待遇が引き下がるのではないか」との懸念があります。一方、組合に属さない非正規労働者らは「組合員の既得権益は、自分たちからの搾取の上に成り立っている」と考え、労働者間の分断を招いています。

しかし労働者が生活の安定を得るには、内向き思考で既得権益を奪い合うのではなく、外へ活動を開いて、既得権益を享受する人の数を増やすことをこそ目指すべきです。労働組合は古いイメージを払拭し、女性や非正規労働者、ディーセントワークに敏感な若者ら、幅広い層を巻き込むことに本気で取り組む必要があります。

労働組合は、法律的には極めてパワフルな組織です。たった二人からでも結成できますし、組合が団交を申し入れたら、経営側は拒否できません。こうした組合の機能も、再認識されるべきだと思います。

外部リンク

cat_oa-bengo4com_issue_5b6629465a5e oa-bengo4com_0_khpq8qfozmq4_親との絶縁願う宗教2世…結婚後も迫り来る母、住民票の開示制限もできず khpq8qfozmq4 khpq8qfozmq4 親との絶縁願う宗教2世…結婚後も迫り来る母、住民票の開示制限もできず oa-bengo4com

親との絶縁願う宗教2世…結婚後も迫り来る母、住民票の開示制限もできず

安倍元首相の銃撃事件をきっかけに、親が新興宗教にはまってしまった「宗教2世」の苦悩が取り沙汰されている。弁護士ドットコムニュースには、LINE公式アカウントでの体験談募集をきっかけに、手をかざして幸福を祈る新興宗教の2世が不遇な子供時代について語ってくれた。愛情を注がれなかったという彼らは、それぞれ今の家族を守るために「親と縁を切りたい」と切に望んでいる。

●いじめられたり笑われたりした記憶は一生消えない

取材を受けてくれたのは、いずれも関東地方に住む40代のAさん(男性)とBさん(女性)。現在も70代の母親が入信している。

この宗教では、住宅地の各家を回る布教活動をしている。2人とも「手をかざさせてください」と、小学生時代にピンポンしては冊子を配ることを強いられた経験に、強いストレスを感じていたという。

Aさんの母親は、父親の事業の失敗などで悩みを深めて入信した。「あなたも入ってくれなかったら自殺する」と懇願され、小学生で自分も入った。「信者と一緒に行動するのを見られると恥ずかしかった。気持ち悪いと陰口をたたかれ、いじめられる。身に付けなければならないペンダントは、体育の着替えの時に見られないように神経を使っていた」と明かす。

転機が訪れたのは、高校時代。暴力や罵声にまみれていた家庭とは違う価値観を知った。いい家庭に育っている周囲が羨ましかった。団地の5階からペンダントを投げ捨てた。「比べちゃいけないなんて言われますけど、貧乏でも愛情さえあれば良かった。青春時代を台無しにされた。いじめられたり笑われたりした記憶は一生消えない」

大学進学と同時に実家を出ることができ、2008年に結婚してからは、父母とはほとんど会っていない。法律相談に行ったが、血縁は完全に切ることができないと分かり、絶望した。本当は親に慰謝料請求をしたかったものの、時効や証拠等もそろわないことで断念した。せめて自分に何かあった時に、遺産が親にいかないよう公正証書を作った。

Aさんは言う。「僕はたまたま勉強ができて、今も経済的に自立できているから、こうして闘うことができる。精神科医に言われました。あなたのような境遇なら、犯罪者になるか自殺するかだと」


●幼い妹と自宅に放置され、学校にも通えず

一方、Bさんの母親も、ギャンブル好きで浮気を重ねる父親との関係で悩んでいたことがきっかけで入信した。「社宅でのいづらさもあり、宗教に逃げたんだと思います」。小さい子を道場に連れて行くことはできないと理由付けして、当時6歳だったBさんと妹は自宅に放置された。学校にはほとんど行けなかった。

外面を気にする母親は熱心に宗教活動はするものの、家をまったく顧みなかった。Bさんも道場や行事に参加させられていた。教えには「全ての人を許しなさい」とあるのに、災害で亡くなった人を信仰が足りないからだと否定したり、修行に来ない人をののしったりする雰囲気が理解できなかった。

つねられたり、ぶたれたりすることは日常茶飯事で、高校生の時に崖から飛び降りようとしたこともある。けがをして未遂に終わったが、血を流して帰っても「みすぼらしい格好。ばかなことやめて」としか言われなかった。

Bさんは25歳の時に結婚、高校生の娘がいる。金を無心し続けた父は亡くなったものの、母は今も接触を図ってくる。住民票の開示を制限させるDV支援措置を応用できないか役所に頼んでみたが、実の親では無理だと断られた。

「夫や娘がいて初めて『愛して愛されること』を知りました。今の自分と家族を守りたいけれど、解決の糸口が見つかりません」。法律相談にも行ったが、血縁に基づいた制度の矛盾を感じざるを得ないという。

●相談できる場所をつくってほしい

2人が口をそろえて言うのは、支援組織や相談窓口の開設だ。銃撃事件を機に声をあげる2世が増えているが、抜本的な解決策を教えてくれる場所が見つからないという。

「父の日や母の日は嫌いです。親を敬えという風潮にはついていけない。悩んでいても、自分一人の力じゃどうにもならない。子ども時代に社会と断絶してしまっているから、NPOやシェルターといった情報にたどり着けない人が多いと思います」(Aさん)

Bさんは「母は逃げ込んだのが新興宗教だったけれど、何らかの精神的な病を抱えていたんだと思います。ネットが普及し、同じ思いを抱えている2世がこんなにいるんだと知ることができました。私が勇気を出して経験を語ることでもっと理解が広がり、2世を救うための政策や組織をつくるきっかけにしてほしいです」

(相談窓口の一部)
宗教2世ホットライン https://www.niseihotline.com/home
全国霊感商法対策弁護士連絡会 https://www.stopreikan.com/
日本脱カルト協会 http://www.jscpr.org/
真宗大谷派青少幼年センター https://jodo-shinshu.info/oyc/cult/
全国統一教会(協会)被害者家族の会 http://e-kazoku.sakura.ne.jp/

外部リンク

cat_oa-bengo4com_issue_5b6629465a5e oa-bengo4com_0_sivsgkcbqqpw_安倍氏「国葬」、弁護士の6割超が反対「法的根拠がない」 賛成派は「弔問外交」に期待 弁護士278人に聞く sivsgkcbqqpw sivsgkcbqqpw 安倍氏「国葬」、弁護士の6割超が反対「法的根拠がない」 賛成派は「弔問外交」に期待 弁護士278人に聞く oa-bengo4com

安倍氏「国葬」、弁護士の6割超が反対「法的根拠がない」 賛成派は「弔問外交」に期待 弁護士278人に聞く

安倍晋三元首相の「国葬」について、弁護士ドットコムが弁護士に賛否を尋ねるアンケート(7月23〜31日)を実施したところ、278人が回答し、うち6割超が反対だった。法的根拠がないとの意見が多くみられた。

「国葬」への賛否を4択で答えてもらったところ、賛成派は34.5%、反対派は65.5%だった。

<結果詳細>
賛成:20.5%
やや賛成:14.0%
やや反対:9.7%
反対:55.8%


●安倍政権への評価が賛否に影響

自由記述で理由を尋ねたところ、反対派だけでなく賛成派にも法的根拠がないことを指摘する声が多くみられた。

反対派はいわゆる「モリカケサクラ」などの疑惑や秘密保護法、安保法制、共謀罪といった法整備の問題を強調する傾向がみられた。

賛成派では海外からの評価の高さを指摘する意見が多く、「国葬」による「弔問外交」のメリットを強調する意見もよくみられた。

以下、賛成派と反対派それぞれの自由回答をいくつか紹介する。

●反対派の回答

<反対>

・「国葬」を開催する法的根拠、「国葬」に支出する金銭の法的根拠が不明だから。

・森友加計問題、桜を見る会の問題はマスコミですでに指摘されていますが、在任中に内閣が成立させた法律を見ても、数の論理で民主主義をないがしろにしてきた人物という評価であり、およそ国葬に値しない。

・他の元首相と比べて、あえて国葬とするほど実績が大きかったとはいえない。むしろ、秘密保護法、安保法制、共謀罪等を強行するなど、他の元首相よりも民意軽視する傾向の強い政権であり、森友・加計問題、桜を見る会問題など、スキャンダルの多い政権でもあったのであり、国葬にふさわしくない人物であった。

・非業の死だからという理由で、神格化を図り、多くの疑惑に幕引きを図ろうとしているように見える。

・元首相の政策には功罪あるところ、これを賛美し、批判を封じるものとなりかねない。

・カルト宗教との一定の関わりがあったことは否定しきれない事実であり、結果として国益に重大な損害を与えるような政治を行った人物を殊更に祀り上げる行為は問題の本質から目を背けさせることになるから、もっとひっそりと行うべき。

・長期政権たり得たがために海外からも評価されている。しかし、それは、それを許した政治情勢が作り出しただけであり、安倍氏の貢献ではない。安倍氏はむしろ長期政権の中で、政治不信、日本の民主主義の劣化を招いた張本人であり、そのような人間が国家の費用を使って葬儀を執り行われる価値があるはずがない。

・安倍元首相の評判がかえって下がる。自民党内の主導権争いに利用されているだけ。

<やや反対>

・コロナ禍において外交上やるメリットが不明

・功績自体は否定されるべきではないが、国民の信頼を損ねる事案の解明がまだ済んでいないので、全員が押しなべて納得できるものではないだろうと思う。

●賛成派の回答

<賛成>

・国葬は単なる儀式であるし、戦後在位期間の最長の元首相を国葬とすることは諸外国との関係上も必要。

・在任期間の長さに加え、国政選挙の結果等から国民の支持も高かったと判断できる。政権公約の達成度については物足りなさもあるが、民主主義への冒涜を許さないという強い国家意思を内外に示す必要性も勘案すると、国葬形式の葬儀を挙行するのが望ましい。

・安倍元総理の功績、特に、今回の殺害で分かった国際的な高い評価を正しく受け止めるべきである。政権末期に「モリカケサクラ」批判が起こったが、極めて些細なもので、功績の評価を左右するに足りない。

<やや賛成>

・憲政史上最も長期間総理大臣を務めた人物であること。また、海外から評価が高い政治家であることから、国葬はいわゆる弔問外交になると思われることから。その一方で多額の税金は投入すべきではないと思うため、やや賛成とした。

・外交面での意義は否定しないが、決定に至る経緯に不透明感があるから

・国葬を行う意義はあると考える。もっとも、予算措置や根拠法についての整備をする必要性はあるため、国会において少なくとも法整備は必要である。

外部リンク

cat_oa-bengo4com_issue_5b6629465a5e oa-bengo4com_0_51ck54uyoh07_メスイキ訴訟、堀江貴文さんが山本一郎さんに一部勝訴 「カルトビジネス」は名誉毀損…東京地裁 51ck54uyoh07 51ck54uyoh07 メスイキ訴訟、堀江貴文さんが山本一郎さんに一部勝訴 「カルトビジネス」は名誉毀損…東京地裁 oa-bengo4com

メスイキ訴訟、堀江貴文さんが山本一郎さんに一部勝訴 「カルトビジネス」は名誉毀損…東京地裁

ホリエモンこと実業家の堀江貴文さんが、ツイッターの投稿で名誉を傷つけられたなどとして、作家・投資家の山本一郎さんを訴えた裁判で、東京地裁(飛澤知行裁判長)は、その一部について名誉毀損の成立を認め、山本さんに11万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

「カルトビジネス」「メスイキ」という記載をめぐり、司法判断が出されたかたちだ。訴訟が提起されてからインターネット上で注目されていた。判決は8月4日。

●カルトビジネスと堀江さんを結びつける投稿は社会的評価を低下させる

堀江さんは今年に入って、山本さんのツイッター投稿(8件)によって名誉を傷つけられ、プライバシーも侵害されたとして、慰謝料をふくむ損害賠償49万5000円を求めて提訴した。

判決文によると、投稿のうち、不法行為が認められたのは、2020年10月27日の1件だ。

山本さんは、ある実業家の名前をあげたうえで「出資詐欺などを繰り返しトラブルを起こしていた反社会的勢力がネットで金集めは儲かるからと大手を振って進出してきた事案に見える」と記載したのち、それに続く形で「堀江貴文さんのようなカルトビジネス規制に繋がると思う」とツイートした。

東京地裁は、この投稿が、堀江さんがカルトビジネスをおこなっており、それが反社会的・犯罪的なものであるという事実を摘示するものであると判断。

山本さん側から、真実性および真実相当性について主張立証されなかったことから、名誉毀損の成立を認めた。堀江さんに関する「意見論評」であるという山本さんの主張は採用されなかった。

損害賠償11万円はすべてこの投稿に関するものである。

●「メスイキ」「野菜」「ケツの穴」なぜ名誉毀損にならないのか

一方、残りの7件の投稿については、不法行為の成立が認められなかった。

今回の裁判に先立って、堀江さんは2020年9月、広島県の餃子屋に入店しようとした際のマスク着用をめぐり、店側の対応を批判していた。これによって、店にいたずら電話が続き、一時休業するなどトラブルが発生。

これに関して、ツイッターに「ホリエモンが来店した時の正しい対処法『野菜突っ込んでメスイキさせる』」と投稿した者が現れ、堀江さんは発信者について、プロバイダに開示を求める訴訟を起こしていた。

裁判の中で、「メスイキ」とは、男性のオーガズムに関する性的な俗語表現を意味すると理解される「メスイキ」という性行為の一態様と説明される。

こうした発信者情報開示訴訟を受けて、山本さんは「堀江貴文(ホリエモン)が餃子屋に来店した時の正しい対処法は『野菜を(ケツの穴に)突っ込んでメスイキさせる』って記述で発信者情報開示請求って…こんなの受忍限度内じゃないのかな。」(2021年8月5日)などとツイートした。

堀江さんは、このような山本さんの投稿が「メスイキ」という性行為の一態様や、一般的に他人に知られたくない情報について発信され、名誉感情やプライバシーを侵害されたと主張していた(なお、プライバシー侵害は、指摘が真実であるか否かは成立に関係ない)。

判決は、「メスイキ」などと記載された別の人物による投稿記事について、堀江さんが開示請求訴訟を提起していたことを前提事実として、上記の山本さんの投稿などは、そうした裁判を起こしたという事実を摘示しつつ、感想を付加したものにとどまるものとした。

●裁判所「山本さんは堀江さんの性行為の態様を知る立場にない」

また、これら投稿のプライバシー侵害についても、山本さんが堀江さんの性行為の態様を知り得る立場にあるといった事情が認められないとした。

たとえば「いろんなもん出し入れしているくせに」という表現は「メスイキ投稿をめぐって別の開示請求訴訟が起こされているという事実を踏まえた単なる揶揄」であり、プライバシーを侵害するものと認められないとした。

山本さんは8月6日、自身のYouTubeチャンネルで、今回の判決を取り上げ、「敗訴した」と明るく報告した。

外部リンク

cat_oa-bengo4com_issue_5b6629465a5e oa-bengo4com_0_3izh5ubyqg1v_甲子園球場で「チアリーダー」を盗撮したら罪に問われる? 3izh5ubyqg1v 3izh5ubyqg1v 甲子園球場で「チアリーダー」を盗撮したら罪に問われる? oa-bengo4com

甲子園球場で「チアリーダー」を盗撮したら罪に問われる?

全国高校野球選手権大会が8月6日から開幕した。甲子園球場の観衆をわかすのは、球児のプレーだが、チアリーダーの応援姿にもドラマがある。しかし、そのチアリーダーたちの衣装を見直すべきだという声があらわれている。スマホの普及とともに、チアリーダーの「盗撮被害」が増えていることが背景にあるようだ。そもそも盗撮は罪に問われないのだろうか。河西邦剛弁護士に聞いた。

●チアリーダーの盗撮、犯罪成立しうる

日本の法律には「盗撮罪」はなく、各都道府県の迷惑防止条例が「盗撮」を犯罪として規制しています。

甲子園球場のある兵庫県の場合、「通常衣服で隠されている下着又は身体」を撮影した場合に犯罪になります。たとえば、駅のエスカレーターでスマホを使ってスカート内を撮影するというのが最も多い類型です。

チアリーダーについても、スカート内は通常衣服で隠れている場所と言えるでしょうから、スカート内を撮影した場合には条例違反の犯罪となり、兵庫県の場合であれば6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

駅での盗撮は、スイカやパスモなど、入場記録や防犯カメラから犯人特定ができますが、球場だと犯人特定の証拠が残りずらく、その場で確保しないと後日逮捕するのは困難です。それゆえ怪しい現場を見つければ110番通報して、すぐに警察官に駆け付けてもらうのがベストではあります。

現行犯逮捕は、警察官でない民間人でもできますので、盗撮をしている明らかな状況があれば、私人でも盗撮容疑者の身体拘束は可能です。その場合には、ただちに110番通報して警察に引き渡すことが必要になります。

過去の事件でも盗撮が見つかった人物は、必死でデータを削除しようとするので、スマホや電子機器の操作をさせないことが現場対応で重要になります。

また、各都道府県の迷惑防止条例は「卑わいな言動」についても犯罪としており、最高裁も一定の場合には衣服の上からの撮影でも「卑わいな言動」に該当するとした判例もあります。

しかし、現在の警察の運用をみていると、通常衣服で隠れている場所の撮影か否かを事件として立件するか否かの線引きにしている傾向があるようです。

●衣装やユニフォームを見直すべきという声について

学校側とチア部員との双方で話し合い、選択の自由を増やすことが重要です。部員の中には今まで通りの衣装がいいという生徒もいるでしょうし、逆に露出を抑えたいという部員もいるでしょう。同時にユニフォームである以上は、一定の統一性が必要になります。

ある程度統一感を維持しながら複数の衣装選択を学校側が用意すること、たとえばレギンス使用の有無は各部員が選択できるというのは一つの選択かと思います。

●根本的な解決のために

ここ十数年でスマホが普及し、あらゆる場面で盗撮被害が激増しました。球場も例外ではありませんが、法律や条例含め盗撮被害への対応が追い付いていないのが現状です。東京都でも2018年に条例改正が施行されて、盗撮の処罰範囲が拡大しましたが、現在でもアスリート盗撮の問題などが残っています。

球場でのチア盗撮対策として考えられるのが、球場が施設管理権に基づき、観客による撮影は原則禁止としてしまうこと。そうすると許可なく撮影行為をしている人物がより浮き上がりますから規制しやすくはなります。しかし、保護者や学校関係者含め記念撮影も規制されて不都合が生じるので、小さな球場ならまだしも甲子園球場でこれは現実的ではないでしょう。

ほかには、学校関係者や保護者が撮影する場合には、各学校が用意した腕章などを付けるという方法です。これをすると腕章がない人の撮影について牽制する効果があると思われます。何より怪しい人物が近寄りにくい環境をつくることが現実的な対策だと思われます。

痴漢を始めとするほかの性被害と異なり、盗撮は、知らず知らずのうちに被害者になってしまう、しかも画像や映像が流出する二次被害やデジタルタトゥーにも繋がる危険性があるのが特徴です。

主催者や施設管理者、さらには学校や保護者が主体的に生徒を性被害から守る動きをすることが必要かと思います。

【取材協力弁護士】
河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士
「レイ法律事務所」、芸能・エンターテイメント分野の統括パートナー。多数の芸能トラブル案件を扱うとともに著作権、商標権等の知的財産分野に詳しい。日本エンターテイナーライツ協会(ERA)共同代表理事。「清く楽しく美しい推し活 ~推しから愛される術(東京法令出版)」著者。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:http://rei-law.com/

外部リンク

cat_oa-bengo4com_issue_5b6629465a5e oa-bengo4com_0_87pnsoxu94cv_サイバーエージェント「初任給42万円、固定残業代80時間」は法的にOK? 87pnsoxu94cv 87pnsoxu94cv サイバーエージェント「初任給42万円、固定残業代80時間」は法的にOK? oa-bengo4com

サイバーエージェント「初任給42万円、固定残業代80時間」は法的にOK?

職場でトラブルに遭遇しても、対処法がわからない人も多いでしょう。そこで、いざという時に備えて、ぜひ知って欲しい法律知識を笠置裕亮弁護士がお届けします。

連載の第18回は「80時間の固定残業代、法的には?」です。IT大手のサイバーエージェントが、2023年春の新卒入社の初任給を42万円に引き上げるというニュースが話題となりました(日本経済新聞2022年7月26日)。優秀な人材獲得をするための戦略として、ポジティブに捉える声も多くあります。

ただ、同社の募集概要を見ると、月給制職種の場合は、固定残業代の相当時間が「時間外80時間/月、深夜46時間/月」となっています。ネットでは「もう少し基本給に割り振ってほしい」「固定残業代込みだったのか」など、驚く声も寄せられています。

笠置弁護士は「法律でも制約されているような危険な長時間の時間外労働を従業員に行わせることを予定して、月額賃金のうちの一定額をその対価として定めることは、従業員の健康を損なう危険があるわけですから、大きな問題があると言わざるを得ません」と問題点を指摘します。

●残業代を計算する際の1時間あたりの単価に大きな差が出る

IT大手のサイバーエージェントが初任給を42万円に引き上げるというニュースがありました。ただ、新卒採用募集概要を見ると、42万円が基本給として払われるということではなく、80時間分の残業代を含んだ金額となっています。

基本給だけで42万円が払われる場合と、残業代も含んでの金額であるという場合では、意味合いが全く異なります。というのも、残業代を計算する際の1時間あたりの単価に大きな差が出ることになるからです。

基本給だけで42万円が払われる場合には、単価は42万円÷ひと月当たりの所定労働時間ということで計算されることになりますが、残業代も含む金額ということになると、42万円からここに含まれている残業代相当額を控除した金額(今回の場合には20万円代前半の金額ということになるでしょう)÷ひと月当たりの所定労働時間ということになりますから、単価が約半分ということになってしまいます。

初任給の月額が42万円と聞いて、一般的にイメージされるのは残業代を含まない諸手当で42万円という制度だろうと思われますが、今回の賃金制度はそのようなものとは大きく異なることを念頭に置くべきでしょう。

●月80時間の残業は過労死ライン

今回の採用条件では、42万円の月額賃金の中に、80時間分の時間外割増賃金(及び46時間分の深夜割増賃金)が含まれているとのことですが、この点にも法律上の問題があります。

固定の手当として80時間分の時間外割増賃金をあらかじめ払っておくことで、残業時間が80時間を超えない限り、残業代を精算する必要がなくなるため、会社としては労務管理が楽になるというメリットがあります。

このメリットを生かすため、会社としては従業員が通常行っているひと月当たりの残業時間を参考に、手当の金額を決めるのが通例です。つまり、固定の手当として80時間分の時間外割増賃金が払われることは、その会社の中で80時間程度の時間外労働を行うことが制度上予定されていることを意味します。

しかし、ひと月当たり80時間の残業は、いわゆる過労死ラインに匹敵します。ひと月当たり80時間もの残業をこなさなければならないことになると、入浴や食事・通勤などにかかる時間から逆算して、人間が健康を維持するために必要と考えられている睡眠時間を確保できなくなると考えられています。

そのため、過労死の労災認定基準においては、(1)脳や心臓に生じた病気の発症前1か月におおむね100時間、または(2)発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月当たりおおむね80時間、を超える時間外労働が認められる場合には、過重な労働によって病気を発症したものと認めるとされています。

だからこそ、いわゆる働き方改革法の中で、ひと月当たり80時間を超えるような時間外労働をさせることを厳しく禁じる規定が導入されたわけです(労基法36条)。

法律でも制約されているような危険な長時間の時間外労働を従業員に行わせることを予定して、月額賃金のうちの一定額をその対価として定めることは、従業員の健康を損なう危険があるわけですから、大きな問題があると言わざるを得ません。

●過去の裁判例は?

実際、今回と同様に、基本給のうちの一定額を、ひと月当たり80時間分相当の時間外労働に対する割増賃金とすることが有効かどうかについて争われた裁判例として、イクヌーザ事件(東京高裁平成30年10月4日判決)というものがあります。

裁判所は以下のように判示し、この会社が80時間分の残業代分を固定手当として払っていた取扱いを無効と判断しました。

「1か月当たり80時間程度の時間外労働が継続することは、脳血管疾患及び虚血性心疾患等の疾病を労働者に発症させる恐れがあるものというべきであり、このような長時間の時間外労働を恒常的に労働者に行わせることを予定して、基本給のうちの一定額をその対価として定めることは、労働者の健康を損なう危険のあるものであって、大きな問題があるといわざるを得ない。

そうすると、実際には、長時間の時間外労働を恒常的に労働者に行わせることを予定していたわけではないことを示す特段の事情が認められる場合はさておき、通常は、基本給のうちの一定額を月間80時間分相当の時間外労働に対する割増賃金とすることは、公序良俗に違反するものとして無効とすることが相当である。」

その結果、この手当は残業代の支払いとしては認められなくなりますので、会社としては、この手当も含めた金額を残業単価として計算し直したうえで、未払分を払う義務を負うことになります。

サイバーエージェントの採用条件は、働き方改革法が成立してから4年も経った時点で発表されているものですが、80時間分もの残業代を含むという固定残業代の定め方は、働き方改革を推進していこうという時代の流れに逆行していると言わざるを得ません。

●そもそも裁量労働制が適用されるのか?

他にも、採用条件の中には「職種、能力などに応じて2年目以降裁量労働制を適用」という記載がありますが、これにも問題があります。


裁量労働制とは、高度な専門性が求められる業務等に従事する従業員に対し、労使協定の締結等を条件に、実際には何時間働こうとも事前に決められた時間分働いたとみなすという制度です。

いったん制度が適用されたとしても、実際には業務の進め方や時間配分の決め方などの面で、従業員に具体的な指示がされてしまっているという場合には、裁量労働制を適用することはできません。裁判例の中には、裁量労働制が濫用されているとして、適用を認めなかった事例がいくつも存在します。

サイバーエージェントでは、入社2年目から裁量労働制を導入することがあるとのことですが、果たして本当に、新卒で入社したばかりの入社2年目の社員に、高度な専門性・裁量が与えられているのでしょうか。この点にも疑問が残ります。

(笠置裕亮弁護士の連載コラム「知っておいて損はない!労働豆知識」では、笠置弁護士の元に寄せられる労働相談などから、働くすべての人に知っておいてもらいたい知識、いざというときに役立つ情報をお届けします。)

【追記】サイバーエージェント広報室は以下のように回答した。(8月9日20時30分追記)

「まず大前提として、当社では法令順守のもと社員の勤務時間管理を行っております。当然ながら長時間労働を奨励するものでもなく、恒常的に月間80時間の時間外労働を行わせるという趣旨のものではございません。

そしてなぜ固定残業代80時間/月を含む給与としているのかという点について、当社事業の特性上、年間を通し、社員はその日・月ごとに業務量・時間に波がある状況です。例えば新規サービス・ゲームのリリース前、また広告事業におけるコンペの前などに対応できるよう、このような給与体系にしております」

【取材協力弁護士】
笠置 裕亮(かさぎ・ゆうすけ)弁護士
開成高校、東京大学法学部、東京大学法科大学院卒。日本労働弁護団本部事務局次長、同常任幹事。民事・刑事・家事事件に加え、働く人の権利を守るための取り組みを行っている。共著に「新労働相談実践マニュアル」「働く人のための労働時間マニュアルVer.2」(日本労働弁護団)などの他、単著にて多数の論文を執筆。
事務所名:横浜法律事務所
事務所URL:https://yokohamalawoffice.com/

外部リンク

cat_oa-bengo4com_issue_5b6629465a5e oa-bengo4com_0_w7w1enhnpy6y_ウーバーイーツ配達員の保護、公取委が「強気のチャレンジ」をする日はくるか 経済法の観点から w7w1enhnpy6y w7w1enhnpy6y ウーバーイーツ配達員の保護、公取委が「強気のチャレンジ」をする日はくるか 経済法の観点から oa-bengo4com

ウーバーイーツ配達員の保護、公取委が「強気のチャレンジ」をする日はくるか 経済法の観点から

公正取引委員会を舞台にしたフジテレビの月9ドラマ「競争の番人」(原作:新川帆立)の放送が7月から始まり、独占禁止法を武器に悪の企業と戦う公取委に注目が集まっている。原作の小説の帯には「弱くても、戦え!」とあるが、公取委は強い存在なのか、弱い存在なのかーー。

ウーバーイーツなどのプラットフォーム上で単発の仕事を請け負う人たち、いわゆる「ギグワーカー」をどう保護するのかが、社会的な議論になっており、その役割を担う存在としても、公取委が注目されている。

保護のあり方については、労働基準法や労働組合法といった労働法による保護と、独占禁止法や下請法といった経済法による保護の2つのアプローチがあり、国(内閣官房、公取委、中小企業庁、厚労省の連名)が2021年に発表したフリーランスガイドラインにも記載されている。

現在、ウーバーイーツ配達員でつくるウーバーイーツユニオンが、労働組合法上の労働者性を東京都労働委員会で争っているが、国の新たな政策的な動きは見られない。そうであれば、経済法の文脈で、「強い公取委」の登場に期待できないか。

経済法を専門とする弘前大学の長谷河亜希子准教授は「極めて慎重な体質やマンパワー不足などで、公取委は『弱いから、戦わない』となっているのが現状です。しかし、ギグワーカーを含めた日本のフリーランス保護のために、法執行をちゃんとすべきです」と語る。具体的な論点や課題を聞いた。(編集部:新志有裕)

●独占禁止法の「優越的地位の濫用」にあたるか

まず、独占禁止法や下請法はどのようなギグワーカーの保護にどんな役割を果たせるのだろうか。

独占禁止法で検討すべき典型的なものとして、不公正な取引方法の一類型である「優越的地位の濫用」(2条9項5号)が挙げられる。これは、国のフリーランスガイドラインにも出てくる。

ガイドラインでは、「フリーランスにとって仲介事業者との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため、仲介事業者がフリーランスにとって著しく不利益な要請等を行っても、フリーランスがこれを受け入れざるを得ないような場合」としている。

具体的な行為として、報酬の支払い遅延や、報酬の減額、著しく低い報酬の一方的な決定など12項目が挙げられている。

ウーバーイーツのようなプラットフォーム上での働き方については、運営会社による「著しく低い報酬の一方的な決定」が考えられるが、長谷河氏は、ガイドラインにもその報酬の目安がないことを問題視しており、「例えば、5000円という金額が著しく低いかどうかの判断は難しいでしょう。そこで、地域別の最低賃金を参考にしたらどうかと考えています」と語る。

他にも、一方的な報酬体系の変更や、一方的なアカウント停止なども「優越的地位の濫用」として、問題になりうるという。

また、2022年6月に地裁判決が出た「食べログ」裁判で話題になったように、ブラックボックスになっているアルゴリズムの変更によって不利益が生じることも「優越的地位の濫用」として検討課題になるとみている。

ただ、「優越的地位の濫用」などをめぐり、事業者相手に民事裁判を起こす場合、フリーランス側に立証責任があることが大きな問題だとしている。

「対フリーランスという意味では、発注者や仲介業者が優越的地位にあると事実上推定して、違うというなら、事業者側に立証させた方がいいのではないでしょうか。個人であるフリーランスには立証責任の負担が重すぎて、大きな壁になっています」


●アメリカでは「欺瞞的勧誘」で罰金が科された事例も

長谷河氏は、独禁法のもうひとつの規制として、「欺瞞的勧誘」(不公正な取引方法の一類型、一般指定8項)に注目している。これは、供給する商品やサービスの内容、取引条件について、著しく優良、有利であることを顧客に誤認させることだ。

フランチャイズ本部による加盟者募集をめぐる問題での適用が考えられるものだが、長谷河氏は、プラットフォーム運営会社への適用も検討すべきだと考えている。

「ただ、実際に適用された事案自体がほとんどなく、国のフリーランスガイドラインでも記述はありません。しかし、同様の規制があるアメリカでは、ウーバーの欺瞞的なドライバー勧誘に罰金が科されたこともあります。商品やサービスの提供が規制の対象なので、適用しにくいなら、指定の改正をして、役務発注者(プラットフォーム運営会社など)も対象にすればいい」

●下請法では発注書面の交付義務などが発注者に課されている

一方、下請法については、親事業者の資本金が1000万円以上であり、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託が規制対象となる。国のフリーランスガイドラインにも記載されており、発注書面を交付しないことなどが禁止されている。

ウーバーイーツの場合、運営会社と配達員との間に、そもそも業務委託契約が結ばれておらず、アプリの利用契約などにとどまっていたが、ようやく今年7月に、運営会社と配達員との間の委託契約という形に変更する旨の通知が運営会社からなされた。

ただ、これまで海外法人と日本法人の双方と契約する形になっていたこともあり、今後、どう変わっていくのかは不透明な部分がある。

「世界中で『ウーバーは仲介しているだけ』という主張が認められずに、ドライバーの労働者性が認められているわけです。そういう言い分が通るのは望ましくないと思っています。いま都労委で争われている労働組合法上の労働者性に加えて、下請法の対象になるかどうかも重要ですね」

●公取委はチャレンジングな動きができるか

そして、独占禁止法や下請法が適用されるかどうかという理論的な話に加えて、公取委が本当に動けるかどうかという問題が存在する。

例えば、公取委に対しては、独占禁止法に違反している行為を申告する仕組みがあるが、取り上げるかどうかは、公取委の裁量にかかっている。

「毎年数千件という申告がありますが、ほとんど期待はできません。また、相談もできるのですが、これは違法行為をする可能性がある事業者が相談するものですので、被害者のための相談制度ではありません。

ただ、2009年にセブンイレブンが加盟店の見切り販売を制限していたことをめぐって、排除措置命令が出たことがありますが、相当な数の申告が影響したことが考えられますので、申告すること自体はやめないでほしい。まだギグワーカーのようなフリーランスについては、具体的な規制基準も確立されていないので、これからの動きが重要です」

さらに、労働基準監督署の監督官が3000人以上いることと比較して、公取委には人員が800人程度しかないことも問題視している。

「人員的につらいというのはあるのかもしれませんが、せっかくフリーランスのガイドラインを作っても、それで満足したら意味がありません。絵に描いた餅で満足するのではなく、実際に動いてほしい」

長谷河氏は、海外との比較でも、公取委の保守的な体質が浮き彫りになると指摘している。

「例えば、アメリカの競争当局は、カルテル規制や企業結合規制など、ありとあらゆる手段を尽くして労働問題にチャレンジしています。ただ、アメリカを含め、各国の競争当局は裁判で結構負けるんですよ。それを許容しないと日本の公取委はチャレンジできないでしょうね。

いま、日本で公取委が出した排除措置命令をめぐって、裁判で公取委が敗訴したりすると、もう天変地異が起こったかのような大騒ぎになります」

●「労働組合法の労働者概念をさらに拡張してはどうか」

これまで、長谷河氏の専門である経済法の観点からみてきたが、逆に、労働法についてはどう考えているのか。長谷河氏は、「労働組合法上の労働者の範囲をさらに広げてはどうか」と提案する。

現在でも、労働組合法上の労働者については、労働基準法上の労働者よりも対象が広いため、日本プロ野球選手会のように、フリーランスでも労働組合を結成できるが、さらに幅広いフリーランスが労組を結成できるようにすべきということだ。

「もし今後、公取委と厚労省の連携が進んで、フリーランスの問題を労働基準監督署が担当することになったとしても、3000人の監督官では全然まわらないでしょう。ですから、仕事自体をわかっている人たち、つまり労使の自治に任せるということですね。

アメリカでは、フリーランスが労働組合を結成することはできず、カルテルとして規制される可能性がありますが、日本はフリーランスでも労働組合法上の労働者性が認められるという特殊性があります。だからこそ、もっと労組を作りやすくするということですね」

労働組合とは別の存在として、中小事業主が協同組合を設立して、取引先との交渉や団体協約の締結を可能とする中小企業等協同組合法もある(日本俳優連合などが有名)が、取引先の企業には交渉に応じる義務がないことや、協同で組合員向けの事業を行う必要性があることなどから、この法律での対応は不十分だと考えているそうだ。

●国の「フリーランス新法」、本気度を示せるか

結局のところ、日本においては、ウーバーイーツのようなプラットフォーム労働について、労働法でも経済法でも、新たな政策形成の動きは見られず、国が発表したフリーランスガイドラインのように、既存の労働法と経済法を使う形での対応が打ち出されている。そして、岸田政権は、フリーランス新法の立法も打ち出している。

「最低限のものとして、契約や発注書面の義務化は入れるべきでしょうが、もっと踏み込んだものにしてほしいですね。フリーランスの中には、その実態は労働基準法上の労働者であるという人が少なからずいます。

彼らが、自分たちは労働者であると訴えた場合には、発注者側が彼らは労働者ではなく個人事業主であることを立証するというように、立証責任をフリーランスから発注者側に転換するといったものですね。

そして、フリーランスガイドラインでは、公取委と厚労省がきちんと連携しているように見えなかったので、本当に公取委が役割を担うのか、やれないなら、厚労省がやるのか、それとも新しい道を探るのか、ということについて、本気で考えるべきでしょう。

フリーランスでも労基署を使えるといったことや、公取委に新たな被害申告の受け入れ窓口を作るなど、さまざまな手が考えられます。何の保護もなく、ギグワーカーを国が見捨てるようなことにはなってほしくない」

外部リンク

cat_oa-bengo4com_issue_5b6629465a5e oa-bengo4com_0_0d3detdjcc9q_旧統一教会、信者家族らと法廷闘争も 夫の財産を内緒で献金、伝道しなければ「自分も家族も不幸に」…裁判所はどう判断? 0d3detdjcc9q 0d3detdjcc9q 旧統一教会、信者家族らと法廷闘争も 夫の財産を内緒で献金、伝道しなければ「自分も家族も不幸に」…裁判所はどう判断? oa-bengo4com

旧統一教会、信者家族らと法廷闘争も 夫の財産を内緒で献金、伝道しなければ「自分も家族も不幸に」…裁判所はどう判断?

安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件で、殺人の疑いで逮捕・送検された被疑者の家族と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連が連日報じられ、旧統一教会にまつわるトラブルもあらためてクローズアップされている。

旧統一教会による「霊感商法」をめぐっては、 1987年5月に結成された全国霊感商法対策弁護士連絡会が長年にわたり、被害の根絶と被害者救済を目指し活動している。同会ホームページで公開されている集計によると、被害金額は35年間で約1237億円にもなるという。

旧統一教会の田中富広会長は7月11日、記者会見で「(コンプライアンス宣言をした)2009年以降、トラブルは起こっていない」と発言したものの、同17日にホームページで公表された声明で、宣言の結果が出ているという趣旨であり「トラブルがゼロになったという意味で言ったものではない」と釈明。2009年以降もトラブルが発生していることを認めた。

トラブル解決の最終手段となるのは「裁判」だ。旧統一教会に関するトラブルは司法の場でどのように判断されてきたのか。過去の裁判例の一部を紹介する。金銭トラブルをめぐる民事裁判だけでなく、起訴され有罪判決となった刑事裁判もあった。

●事例1)裁判所が献金トラブルを「組織的な不法行為」と指弾

献金をめぐるトラブルとして、旧統一教会の女性信者の元夫が、婚姻期間中に、夫の意思に反して、夫名義の財産から多額の献金等をしていたとして、金銭を受領した旧統一教会に対し、損害賠償を請求したという裁判(東京地裁平成28年1月13日判決)を紹介する。

判決ではまず、旧統一教会は、信者に対して、「信者は氏族メシアとして、家系や先祖を代表して、家族を救い、先祖を救う立場にあり、そのためには、献金や伝道をすることを使命としており、これに従わない場合には、自分も家族も不幸になり、先祖も救われないと指導していた」と指摘。

さらに、どれくらいの財産があるのかを信者から聞き取るとともに、夫の金をどれだけ管理し、自己の判断でどれだけ金を動かせるかをも聞き取った上で、家族との接し方や献金の仕方を指導し、夫の意思に反して献金をすることに躊躇していた信者に対しては、説得をしていたことを認定した。

「組織的活動として、信者の財産状態を把握した上で、壮婦に対しては、献金によって夫を救い、夫の家系を救うという使命のために、夫の財産を夫の意思に反して内緒で献金する等の名目で交付させて」いたとし、妻が行っていた献金等の原資が夫の財産であり、原告の意思に反するものであったことも認識していたと判断。

「組織的な不法行為」であるとして、元夫に対する損害賠償責任を負うとして、旧統一教会に対し、約3430万円の支払いを命じた。

この地裁判決では、元夫が求めていた精神的苦痛に対する慰謝料は認められなかったが、のちの高裁判決(東京高裁平成28年6月28日判決)は、「預金等を取り崩して費消したことが婚姻破綻の有力な原因の一つとなり、これにより1審原告(夫)が相当程度の精神的苦痛を受けたであろうことは容易に推認される」として、慰謝料として100万円の支払いを命じた。

旧統一教会の声明文では、「過去において純粋な信仰に基づいて自主的に献金を捧げた信徒が、その後心変わりして献金の返還を求めるといったケース」をトラブルの一例として挙げていた。

しかし、この裁判では、なんとしても献金をさせようとする「組織的な不法行為」の存在を認め、旧統一教会の不法行為が成立するとした。高裁判決はその後、双方から上告されることなく確定している。

●事例2)信者の違法な勧誘で、旧統一教会の「使用者責任」を認定

旧統一教会への献金をめぐるトラブルでは、信者の違法な勧誘について「使用者責任」を認めた裁判例(東京地裁平成22年12月15日判決)もある。この裁判では、旧統一教会だと知らされずに勧誘された女性とその夫などが原告となって、旧統一教会および勧誘した信者本人に損害賠償を請求した。

判決はまず、布教活動に伴って献金などの勧誘をすることは「その方法が法の許容するものである限り、信教の自由に由来する宗教活動の一環として当然許容されるべきものであり、これにより法律上の責任を生じることはない」としたうえで、次のように述べた。

「相手方に害悪を告知したり、心理的な圧力を加えるなどして、殊更に相手方の不安、恐怖心等をあおるなど、相手方の自由な意思決定を制約するような不相当な方法でされ、その結果、相手方の正常な判断が妨げられた状態で献金等がされたと認められるような場合には、当該勧誘行為は、社会的に相当な範囲を逸脱した行為として、違法と評価されるといわざるを得ない」

そのうえで、家系に関わる因縁話とそれに起因する不幸を告げるなどして不安を植え付け、高額の親族系譜の購入を勧誘したことや、「先祖の悪い霊がとりついており不幸になる」などと害悪の告知をして、不安を殊更にあおって自由な意思決定を不当に制約し献金させたことについて、勧誘した信者本人は直接不法行為を行った者として損害賠償責任を負うとした。

さらに、旧統一教会の責任については、「信者が第三者に加えた損害について、当該信者との間に直接の雇用関係がなくても、当該信者に対して直接又は間接の指揮監督関係を有しており、かつ、当該加害行為が当該宗教法人の宗教活動等の事業の執行につきされたものと認められるとき」は、使用者責任を負うと言及。

「信者らが行った経済活動及び伝道活動は、外形上、被告協会の宗教的活動の一環としてなされたということができる」として、使用者である旧統一教会の損害賠償責任も認めた。

●事例3)旧統一教会のいわゆる「フロント企業」社員が有罪に

最後に紹介するのは、旧統一教会と関係のある霊感商法の会社および社長・営業部長が起訴されたという刑事裁判(東京地裁平成21年11月10日判決)だ。

東京都渋谷区の有限会社「新世」がおこなっていたとされる霊感商法をめぐり、同社社長や営業部長に加え、実行犯5人が逮捕された事案。実行犯5人は各100万円の罰金刑を科され、社長・営業部長と「新世」は、印鑑の売買契約の締結を迫り、威迫して困惑させ売りつけたとして、特定商取引法違反で起訴された。

判決によれば、印鑑を売りつけた手口として、街頭で呼び止めた通行人を事務所に連れて行き、3時間以上もの間、「先祖の人たちは、たくさんの人を殺してきていますね。その因縁が、あなたの家に降りかかっています」「先祖の因縁を振り払うためには、あなたの身分にふさわしい印鑑を持った方がよろしいかと思います」「印相さえよくすれば、先祖の因縁を振り払うことができます」などと執拗に言うなどしていたという。

しかし、この手口が特定商取引法違反に当たるとして、社長に対し懲役2年(執行猶予4年)・罰金300万円、営業部長に対し懲役1年6カ月(懲役4年)・罰金200万円、「新世」に対し罰金800万円の有罪判決が言い渡された。

判決は、被告人となった「新世」の会社役員や従業員など全員が旧統一教会の信者であり、会社設立当初から長年にわたって、このような印鑑販売の手法が、信仰と渾然一体となっているマニュアルや講義によって多数の販売員に周知されていたと指摘。

さらに、販売員らはこの販売手法が信仰にかなったものと信じて強固な意思で実践していたものであり、「新世」社長と営業部長は、印鑑を購入した客を旧統一教会に入信させるための活動であるフォーラムへ誘うなどし、旧統一教会の信者を増やすことをも目的として、違法な手段を伴う印鑑販売を行っていたと認定した。

この判決の認定事実に従えば、「新世」の実態は、旧統一教会のいわゆる「フロント企業」だったということになる。

外部リンク

cat_oa-bengo4com_issue_5b6629465a5e oa-bengo4com_0_i276tqo9io2z_牛久入管で収容8年目、体重半減したパキスタン人の今「ここで死ぬか、在留許可もらって外にでるか」 i276tqo9io2z i276tqo9io2z 牛久入管で収容8年目、体重半減したパキスタン人の今「ここで死ぬか、在留許可もらって外にでるか」 oa-bengo4com

牛久入管で収容8年目、体重半減したパキスタン人の今「ここで死ぬか、在留許可もらって外にでるか」

出入国在留管理庁(入管庁)が発表した全国の収容者数は、2020年4月15日時点で1209人、2020年6月末で507人、2021年6月末で164人、2021年11月15日時点で134人。

この数字が示すように、新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため、入管庁が収容方針を変更した2020年の春以降、全国の収容施設では仮放免(一時的に身柄を解く措置)が一気に進んだ。

コロナによって収容者の総数が急減した一方、3年以上の長期収容者の数は、2021年6月末時点で22人。今年5月、そして7月に東日本入国管理センター(牛久)から仮放免となったある収容者の収容期間は、それぞれ5年、7年に及んだ。

四半世紀余り支援活動を続けている「牛久入管収容問題を考える会」(牛久の会)の田中喜美子さんは「今、牛久には8年目に入った収容者がいます。私たち支援者を含めて、本当に多くの人が、彼のことを心配しています」と話す。

この男性をはじめ、多くの収容者の仮放免や難民申請に関わっている駒井知会弁護士も「夜中でも正月でもいつでも、電話が鳴ると、彼に何かあったのではと思ってしまう……ここ何年間はずっとそんな感じです」と口にする。

多くの人から収容を長期化させる一因と指摘されている入管庁の「原則収容主義」は、収容者をどのような状況に追い詰めているのか。田中さんと駒井弁護士に、「超長期収容」がもたらした現況と問題について聞いた。(取材・文/塚田恭子)

●2度目の収容が8年目に入る

1995年から週に一度、牛久で面会や差し入れを続けている田中さん。収容者の状況をよく知る彼女によれば、コロナ禍以前、常時300人ほどいた牛久でも、現在の収容者は20人ほどになっている。

だが、多くの人に仮放免が認められる中、収容されている人は、それぞれ難しい問題を抱えている人が少なくないという。中でも田中さんがその健康状態などを懸念しているのが、この6月で2度目の収容が8年目に入った、パキスタン・カシミール地方出身のカリルさんだ。

2002年に難民申請をしたカリルさんは、2003年に在留資格を失い、2004年から2006年まで2年間、入管に収容された。その後、仮放免中に再度、難民申請や訴訟を起こしたものの、2015年6月に再収容されて現在に至っている。

「入管の処遇に対する不満からでしょう。2度目の収容後、カリルさんは早い段階で、官給食(入管で出される食事)を一切拒否するようになりました。もともとは体格のよい人で、再収容前は80キロ以上ありましたが、現在の体重は当時から45キロ減り、骨と皮だけになっています。面会室に来るときも、常に車椅子です。去年も体調が非常に悪くなった時期があって、私たちは心配していました」

官給食拒否、体重半減、車椅子、収容8年目。こうした状況を目の当たりにしてきた田中さんは、2021年秋頃から、カリルさんが支援者の面会に応じなくなっていることを憂慮している。

「去年の10月頃、あるトラブルがあって以来、カリルさんはほとんどの支援者と面会しなくなってしまいました。今は、買い物を頼まれている牛久在住の支援者が、その差し入れと代金の支払いを受けるため、月に2度ほど面会していますが、どうしたらよいかと思っています」

カリルさんが支援者を通じて購入しているのはワカメや飲み物などで、今も固形物を摂っている様子はないという。

「毎回、買い物の代金は欠けることなくきちんと支払っているように、カリルさんは人からものをもらうことを好まない、きっちりした人です。収容される前はレストランやハラルフードのお店など3軒ほど経営していたそうで、おそらく商才もあるのでしょう。

日本在住歴も長く、外に出ることができて、体調も戻ったら、働きたいと考えている人になぜビザを与えないのか。2度目だけでも収容がすでに丸7年を超えるのは、どう考えても問題だと思います」


●骨折しても吐血しても、きちんと対応してもらえず

田中さんと同じく、1度目の収容時からカリルさんのことを知り、(面会拒否の)直前まで彼に面会していた「牛久の会」の細田三枝子さんは、カリルさんの心中をこう察する。

「差し入れのため、カリルさんに面会している支援者からは、(支援者の)みなさんには感謝しているし、会いたくないわけではないと、彼は話していると聞いています。ただ、いろいろな人が面会に来たけれど、なかなか自分のケースを報道してもらえず、収容は続き、ビザも出ない。この先どうなるという展望が見えないのに、誰かに会ってどうなるのかと、そんな思いもあるように見えました」

1度目の収容中、カリルさんはケガで左手首を骨折している。そのとき入管はギブスで固定せず、厚紙を当て包帯を巻くという処置しかなかったため、彼は左の掌をきちんと握る・開くができなくなったと、当時を知る細田さんは言う。

「面会時、私たちに(体調不良で)吐血したものを持ってくることがありましたが、そういうものも入管は捨ててしまうと話していました。自分の訴えをすべて潰す入管に対して、おそらく不信感しかないのでしょう。日本に30年以上いて、国に戻っても生活基盤はないでしょうし、この健康状態ではいつ何が起きるかわかりません。本当に人道的な配慮が求められるケースだと思います」

●16歳で政治活動に身を投じる

現在、カリルさんの代理人をつとめるのは、駒井知会弁護士だ。これまでも多くの入管事件に取り組んできた駒井弁護士は、カリルさんの代理人を引き受けた経緯についてこう話す。

「2度目の収容後、東京入管にいたカリルさんから電話をもらったんです。東京入管に足を運んだものの、そのときは会えなかったのですが、その後、東日本入管センターに移送された彼からもう一度電話があって、2017年に牛久で面会しました。

その時点で、カリルさんはすでに骨と皮という状態で、収容以前の写真と見比べるとほぼ別人だったので、これはまずい、とにかく引き受けなければと思いました」

1963年生まれのカリルさんは16歳頃から政治活動を始め、カシミールの独立運動に関わっていたとのことだった。身体拘束は20回以上に及び、その際、拷問も受けているなどとする供述内容は出身国情報とも矛盾せず、難民該当性は相当高いと考えられた。

だが、来日からかなりの時間が経過していることなども考慮すると、本件において、この時点で自分が特に注力すべきは、法務大臣から人道配慮に基づく在留特別許可(在特)を得ることだと、駒井弁護士は考えたという。

「私が面会したときは、5度目の難民申請の、審査請求段階でした。難民審査の行政手続きは二段階で、一次の結果に不服のある申請者は、不服申し立て(審査請求)をおこなうことができます。

審査請求段階の審査には、学識経験者から選ばれると言われている難民審査参与員(参与員)が関わります。参与員は3人1組で請求人にインタビューしますが、東日本入管センター(茨城県牛久市)の収容者は一時的に東京入管(東京都港区)に移送されて、インタビュー(口頭意見陳述等の手続)を受けるのが通例で、参与員が東日本入管センターに足を運ぶことは、私の知る限り他にありません。

ところが、カリルさんについては、3人の参与員がインタビューのため、牛久のセンターまで来ました。カリルさんは当時から車椅子で、血圧も高く、東京入管に移送するのは難しいという判断から、異例中の異例の対応がされたんです」

写真はカリルさんが情報開示請求で入手した、入管職員が撮った彼の上半身だ。コピーのため、やや不鮮明なこの写真からも、浮き上がったあばら骨や、その下の腹部にほとんど肉がないことが見てとれる。

「参与員の方々が、少なくとも人道的な配慮による在特相当であると考えて下さったのではないかという感触はありましたが、結果を言えば、在特は出なくて、どうしようかと思案していたときに、(カリルさんに)強制送還通知が来てしまって。この状況で強制送還されたら命が危ないと思い、彼の命を繋ぐために本当に必要な解決を得る目的で、訴訟を提起しました」


●入管が"奥の手"を適用しようとしたのは

今年3月、入管はカリルさんに対して職権仮放免を適用しようとした。職権仮放免とは、入管がみずからの職権によって、本人(=この場合、カリルさん)が申請していないのに、仮放免を出すことを指す。

だが、当初から一貫して"在留資格を得られるまで入管と闘う"意思を示し、仮放免では外に出ないと断言していたカリルさんは、これを拒否。駒井弁護士も在特に基づく解放を求めた。

「この10年以上、私は入管の収容施設に通い続け、収容者の仮放免を求めてきました。彼らを死なせないために、どんなかたちであれ解放して、外の支援者につなげることに努めてきたんです。

ただ、今回のようなケースは初めてで、だから、どうすればよいか、ものすごく苦しみました。ここ何年間は夜中でも正月でもいつでも、電話が鳴って、その番号が非通知や支援者のものだと、カリルさんが倒れたとか、何かあったという連絡じゃないかと不安になったし、その恐怖に炙られるような思いで生きてきました。

でも、最初の面会時からカリルさんは一貫して、『仮放免は絶対申請しない、在特が出なければ外に出ない』と言い続けていました。そして、身体が衰弱しきった彼が仮放免の状態で健康を回復し、生存を立て直すための拠点となる場所も見つからなかった。だから依頼を受けて5年間、仮放免を申請できなかったんです」

仮放免では絶対に出ない。カリルさんの強固な意思は、多くの支援者の人たちにとっては周知のことだという。

「職権仮放免を拒否するというカリルさんの意思を牛久のセンターの幹部に伝えたとき、彼は私に『あなたは弁護士として、彼の解放を求めないのか』という趣旨のことをいいました。

私はカリルさんに生きていてほしいし、元気になってほしいし、彼が解放されることを心から願っています。こんな話が出る何年も前から、そう願って活動してきました。

たしかに仮放免を得られれば、支援者たちに支えられ、健康の回復を望める収容者の方々もいます。そういう人たちも多いです。2021年3月に名古屋入管収容中に亡くなったウィシュマさんもそうです。彼女には、互いを信頼し合える支援者と頼もしい支援団体があり、回復の拠点となる居住場所も用意されていました。仮放免されれば、彼女の命はつなげたはずなんです。

でも、カリルさんはウィシュマさんと事情がまったく違います。だからこそ職権仮放免ではなく、1秒でも早く在特を得て、外に出したい。もう何年も前から、法務大臣に、あるいは入管に対して、カリルさんについては、在特による解放を求めてきました。そうでなければ、センターの玄関を出たところで彼が野垂れ死にしても、誰が責任を取るでしょうか」

仮放免で外に出ても、就労も、健康保険に入ることもできず、移動の自由も制限される。生活保護をはじめとする福祉と繋がることも許されない。

「安心して身を預けられる先を持たないカリルさんにとっては、外に出ることは、在特付きの解放以外あり得ないんです。在特が付いて健康保険若しくは医療扶助を利用できる立場になれば、以前から面会していた2つの大きなNPO団体が『彼を福祉につなげます』と、何年か前から手を挙げ、書面でもそのことを約束してくれています。だから私は在特を出してくださいと言い続け、訴訟を起こして以降も、それを求めてきたんです」

今、この状況でカリルさんが放り出されたら、どうなるかわからない。

駒井弁護士だけでなく、カリルさんの支援者はそう口を揃える。だからこそカリルさんへの対応を持て余した入管が、いわば奥の手として出してきた職権仮放免は、彼にとっては、福音とはなり得なかったのだ。

●施設内で何か起きてほしくない。責任逃れの職権仮放免

これまでも入管と被収容者のあいだには、さまざまなトラブルがあった。統計のある2007年以降に限っても、入管の収容施設内で亡くなった人は、自殺も含めて17人にのぼることが、入管行政の問題をあらわしている。

「入管はかくも長い間、施設に閉じ込め、先の見えない生活をさせた末に、施設内さえ車椅子で移動している人を、すでに家族もなく、社会とのつながりの完全に切れた場所に送り返そうとしてきました。

これはカリルさんに限った話ではありませんが、そういう絶望しかない状況に置かれ続けた被収容者が、収容中にさらに過酷な仕打ちを受けている。入管への不信感が募るのは、当然といえば当然のことではないでしょうか」

在留資格が切れたからと、入管は長く日本に暮らし、生活基盤を築き、働いて、税金を納めてきた人に新たな在留資格を与えることを検討せず、都合9年以上、身体拘束を続けてきた。

刑事罰を犯したわけでもない1人の人間の自由を奪い続けた末、命の瀬戸際に追い込む。自分たちが招いたこの状況にどう対処すべきか、今、入管自身、困惑しているのではないだろうか。

「入管は困っているだろうと思います。人の自由を奪う身体拘束は、もっとも重い『罰』です。殺人罪でももっと刑期が短い人もいるのに、刑事罰を犯したわけでもない人を、入管は7年以上拘束しているんです。こんなことは、誰に聞いても、どう考えても、人権的にありえないことでしょう」(田中さん)

「おそらく入管は、カリルさんが生きているうちに外に出そうと、職権仮放免を適用しようとしたのだと思います。中で亡くなった人のことさえ、きちんと説明しないのですから、とにかく入管の外に出てくれさえすれば、あとはどうなろうが構わないと思っているのではないでしょうか」(細田さん)

●人間関係、社会とのつながりを断ち切る「超長期」収容

カリルさんの裁判は、今、高裁で争われている。口頭弁論はすでに4回ほどおこなわれ、判決が待たれている。

「来日して35年間、カリルさんは一度だけ、短期間故郷のカシミールに戻っています。『帰国しているなら、難民じゃないだろう』という人がいるかもしれません。でも、そのときも、彼の帰国を聞きつけた警察が、カリルさんが家にいるだろうと、幾度も家に来たそうで、身の危険を感じた彼は家を脱出して他所に隠れ、すぐに日本に戻っています。以来、ずっと日本にいます。すでに故郷に家族は誰もなく、生活の基盤もありません」

ここ(施設内)で死ぬか、在特を得て外に出るか。二つに一つだと、カリルさんは駒井弁護士に話しているという。

本人を支える弁護士、支援者、おそらく入管や裁判所にとっても、カリルさんの状況は非常に難しいケースになっている。もちろん誰より苦しいのは、体重が半減し、移動もままならず、自分はいつ外に出られるか、先の見えない状況に7年以上置かれている本人自身であることは間違いない。

「先の見えない状況で7年以上、収容されながら気力を保つことなど、たいていの人にはできないことです。カリルさんの気力や精神力は、ちょっとやそっとのものではないと思います」(駒井弁護士)

入管問題に取り組む弁護士や田中さんら支援者は、長期収容について、一貫して抗議を続けてきた。

「超長期収容」は、それまで収容者が築いてきた人間関係や、社会とのつながりを断ち切ってしまう。それは収容を解かれても、彼、彼女たちが迎え入れてもらう場所がなくなっていることを意味する。

「こんなことを続けていて、一体、何になるのでしょう」

長年支援を続けてきた田中さんのこの言葉は、多くの収容者の思いを代弁している。このようなことを繰り返さないためにも、人の人生を踏みにじる「超長期収容」がもたらす事態の重大さを入管は直視し、収容の運用を早期に改めるべきではないだろうか。

【プロフィール】こまい・ちえ/東京都出身。イギリスで国際難民法の研究をしていた大学院時代に日本の難民認定の状況を知り、帰国して弁護士となる(60期)。スリランカ女性、ウィシュマさんの死亡事件で名古屋入管(国)の違法を問う裁判や、難民申請中の男性2名が、日本の入管収容は国際人権法に違反していると国を提訴した裁判などで、原告の弁護団を務める。入管収容制度を適法なシステムに変えようと、この問題に取り組んでいる。

【プロフィール】たなか・きみこ/1952年茨城県つくば市出身。「牛久入管収容問題を考える会」代表。つくば市内で喫茶店を経営しながら、1995年から週に一度、東日本入国管理センターで収容者への面会・支援を続け、収容者の人権を尊重するよう、他の団体とも連携しながら、入管に申し入れをおこなっている。2010年に東京弁護士会人権賞を受賞。

●牛久入管収容問題を考える会

http://ushikunokai.org/

外部リンク