昨今、マスクなしで家族以外の人と会話をすることが極めて少なくなった。そもそも打ち合わせや商談などの多くがオンラインで行われるようになり、会うこと自体が減った。マスクやPC画面を通しての会話は、表情が見づらく、意思疎通や相手との距離を縮めるのが従来よりは難しいように感じる。非言語コミュニケーション講師、新木美代氏に、マスク着用時やWeb会議でも好印象を与え信頼関係を築きやすくするための環境づくりや、コロナ時代のマスクコミュニケーションについて話を聞いた。「マスクをすることで、表情で読み取ることが難しく、感情を語彙に落とし込む能力が必要になってきます。これまで、日本人があまり得意としない表現力やコミュニケーションスキルをあげるきっかけになるのではないかと考えています。」(新木氏)
【取材協力】
新木美代氏さん
非言語コミュニケーション講師
鎌倉女子大学/非常勤講師、東洋英和女学院大学/特別講義講師
日本郵便株式会社や神奈川歯科大学など、企業や大学を中心に、7300 人以上 に、言葉以外のコミュニケーション要素(仕草、声の抑揚、表情)から、コミ ュニケーション力や自己肯定感を上げる研修や講義を行う。
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気持ちよく、楽しくいられる環境づくりを
動きの少ないweb会議の前には、体を動かすのがオススメです。舌骨は肩甲骨につながっているので、肩甲骨を回して筋肉をほぐしましょう。上半身だけでなく、屈伸や足首を回すなど、全身を動かすように。ダンスや歌など、自分が気持ち良い、楽しい気分になれることなら何でも良いですよ。手を叩いて「1、2、3、ヨシ!!!」と喝を入れるのもいいかもしれませんね。
【全身をほぐす新木体操】
ギャラリービューで、他者の目に映る自分を見てみる
Webカメラは、下からではなく正面に向け、 手振りが見えるよう、 みぞおち辺りまで映る距離を意識しましょう。相手の写真を大きく表示しがちですが、ギャラリービューにして、あえて自分を見てみるのも良いでしょう。どんな表情で話し、どんな姿勢で聞いているのか、鏡で見るのとはまた違う、他者から見えている自分を見ることができます。
Web会議を行う上でのポイント
①姿勢を正す
姿勢が悪いと緊張感がなくなり、印象も悪くなります。上半身しか見えなくても、姿勢を正しましょう。立ったまま話すのもオススメです。立つことで背骨が伸び、プロフェッショナルとしてプレゼンしている感覚になりやすいので、良い自分を演出できます。
② ジェスチャーをしっかりと行う
画面を通すと、まるでテレビを見ているような感覚になり、反応が薄くなってしまうことがあります。話者は「聞いているかな?」「理解しているかな?」と不安になるので、前のめりになる、相槌やOKポーズなど、身振り手振りで感情を表現しましょう。
③ 抑揚をつけ、一言一言はっきりと
アップテンポ=外交的、ゆっくり=協調性や親和性、など、声のトーンや話すスピードで、相手に与える印象は大きく変わります。しっかりと唇を動かして、一言一言はっきりと発音しましょう。
普段の立ち振る舞いから見直しを
マスクを着用していると、どうしても唇がマスクに張り付き、口が動きにくくなります。そうすると声の抑揚がつけにくくなり、軽薄な印象を与えてしまいます。前述の通り、抑揚をつけてはっきり話すようにしましょう。そして、マスクをしている場合も、笑顔は忘れずに。いつもより3センチほど口角を上げる感覚で笑ってみましょう。目元も動かすよう意識をするのがポイントです。
自分がどう発声するかで、印象はもちろんのこと、周りの人の生産性にも影響を与えることになります。大切なのは、心を込めて話すこと。今日紹介したことはすぐに取り入れられることですが、ふとした瞬間に、毎日 どう生活しているかが表れます。普段から姿勢を正したり、朝気持ちよく挨拶するなど、日頃の立ち振る舞いや生活などを見直してみましょう。
取材・文/岡のぞみ
横浜、湘南を拠点に、ライター・広報として活動。
http://www.tsunagalo.com
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