2016年に安価なNVMe M.2 SSDとしてインテルから登場し人気となった「SSD 600p」。その後継モデルとなる「SSD 760p」シリーズの販売が、1月25日から複数ショップでスタートした。
前モデル「SSD 600p」から大幅にパフォーマンスアップしており、256GBモデル「SSDPEKKW256G8XT」と512GBモデル「SSDPEKKW512G8XT」では、シーケンシャルリード3200MB/secオーバー、同ライト1300MB/secオーバーを実現、売れ行きは絶好調になっている。
「SSD 760p」は、速度と価格のバランスが良く、NVMe M.2 SSDのド定番となっているSamsungの「960 EVO」に近いスペックを備えつつ、若干安価になっている。
両製品のスペックをまとめると以下の通りで、シーケンシャルライトやランダムリード・ライトのパフォーマンス、そして耐久性の指標となるTBWは「960 EVO」に軍配が上がるが、MTBFや保証期間、1GBあたりの単価は「SSD 760p」が勝っている。そんな「SSD 760p」の512GBモデル「SSDPEKKW512G8XT」を運良くゲットできたので、試してみることにした。
Intel SSD 760pスペック表
型番 SSDPEKKW128G8XT SSDPEKKW256G8XT SSDPEKKW512G8XT
容量 128GB 256GB 512GB
フォームファクター M.2 Type 2280
NANDフラッシュ 64層3D TLC NAND
コントローラー -
インターフェース PCI Express Gen3 x4、NVMe 1.3
シーケンシャルリード 1640MB/sec 3210MB/sec 3230MB/sec
シーケンシャルライト 650MB/sec 1315MB/sec 1625MB/sec
ランダムリード
(8GB Span) 10万5000 IOPS 20万5000 IOPS 34万 IOPS
ランダムライト
(8GB Span) 16万 IOPS 26万5000 IOPS 27万5000 IOPS
MTBF(平均故障間隔) 160万時間
TBW(総書込容量) 72TBW 144TBW 288TBW
保証期間 5年間保証
実売価格 1万円前後 1万5000円前後 2万7000円前後
1GB単価 78.1円 58.6円 52.7円
Samsung SSD 960 EVOスペック表
型番 MZ-V6T250B/IT MZ-V6E500B/IT MZ-V6E1T0B/IT
容量 250GB 500GB 1TB
フォームファクター M.2 Type 2280
NANDフラッシュ TLC V-NAND
コントローラー Polaris
インターフェース PCI Express Gen3 x4、NVMe 1.2
シーケンシャルリード 3200MB/sec
シーケンシャルライト 1500MB/sec 1800MB/sec 1900MB/sec
ランダムリード(QD32) 33万 IOPS 36万 IOPS
ランダムライト(QD32) 33万 IOPS 36万 IOPS
MTBF(平均故障間隔) 150万時間
TBW(総書込容量) 100TBW 200TBW 400TBW
保証期間 3年間保証
実売価格 1万7000円前後 3万2000円前後 6万2000円前後
1GB単価 68円 64円 62円
==売れ切れ続出の512GBモデルで
パフォーマンスチェック==
売れ行き好調かつ初回入荷が少なかったため、現在再入荷待ちになっている512GBモデルの「SSDPEKKW512G8XT」を、AMD Ryzen 7をSocket AM4プラットフォームに取り付けて、パフォーマンスをチェックしていこう。
CPUは最大3.7GHzのRyzen 7 1700を常時3.9GHzにオーバークロックし、メモリーも3200MHz CL18で動作させている。
テスト環境
CPU AMD「Ryzen 7 1700」(8コア/16スレッド、定格3GHz、最大3.7GHz、TDP 65W)
マザーボード ASUS「ROG CROSSHAIR VI EXTREME」(AMD X370、BIOS 3502 2018/01/28)
メモリー SanMax「SMD4-U16G48M-26V-D」(DDR4-2666@3200、8GB×2)
ビデオカード NVIDIA「GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition」(GDDR5X 11GB)
システムSSD Kingston「SSDNow KC400 256GB」(2.5インチ、SATA3)
電源ユニット Seasonic「SSR-750TD」(750W、80PLUS Titanium)
OS Windows 10 Pro Fall Creators Update(64bit、バージョン 1709)
※お詫びと訂正:記事初出時、スペック表の記述に誤りがありました。記事を訂正してお詫びします。(2018年2月7日)
定番ベンチマークでパフォーマンスを確認
ベンチマークは定番の「CrystalDiskMark 6.0.0」、「CrystalDiskMark 5.50」、「ATTO Disk Benchmark 3.05」を使って計測を行なっている。さらに、ベンチマーク実行中の温度をモニタリングツールの「HWiNFO64」で記録した。なお、マザーボードの大型M.2ヒートシンクは未装着の状態で各テストを行なっている。
計測時のOSは、Fall Creators Updateを適用したWindows 10 Pro 64bit バージョン1709を使用し、Windows Updateで最新状態にしている。また、マザーボード「ROG CROSSHAIR VI EXTREME」のUEFIは、2018年1月28日公開のバージョン3502にアップデートしている。
「CrystalDiskMark」、「ATTO Disk Benchmark」ともに、シーケンシャルリード3000~3100MB/sec前後、同ライト1600MB/sec台をマークした。ランダムの「4KiB Q32T1」(4KQ32T1)、「4KiB Q1T1」は、脆弱性対策の影響でガクッと落ちる傾向にあるが、「4KiB Q8T8」はリード923MB/sec、ライト1024MB/sec。IOPS換算でリード約22万3000IOPS、ライト約24万5000IOPSと十分なパフォーマンスを発揮している。
テスト環境が異なり、インテルCPUの脆弱性対策前のOSを使用しているが、「SSD 960 EVO」の512GBモデル「MZ-V6E500B/IT」の結果と比べても悪くないパフォーマンスだ。
バラック状態の室温21度で最大60度に
ベンチマーク実行中の温度をモニタリングツール「HWiNFO64」で記録すると、アイドル時が33度で、「CrystalDiskMark 6.0.0」(テストデータ1GiB)実行時の最高温度はリードテスト時が51度、ライトテスト時が54度になった。さらにリード・ライトテストが交互に行なわれ、負荷が連続する「ATTO Disk Benchmark 3.05」実行時は、最大60度まで上昇した。
各ベンチマークを複数回実行するテスト全体を通して、サーマルスロットリングは発生しなかったので爆熱というわけではないが、「SSD 760p」の発熱量はそれなりにあるので、エアフローの確保やヒートシンクの装着は必要だろう。
安くて速い「SSD 760p」の満足度は高い
軽いテストだが、気になるマイナス点はなかった「SSD 760p」は新定番になる可能性大だろう。もちろん、Samsung「960 EVO」シリーズの値下がりや特価が出てくると話は変わってくるが、公称シーケンシャルリードが3200MB/secオーバー、同ライトが1300MB/secオーバーとなる256GB、512GBモデルは買いだろう。
あとはアキバでも次回入荷未定となっているので、インテルには製品確保をがんばってもらいたいところだ。